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ユーカリ栽培のポイント

今回はユーカリ栽培の参考になる情報を
少し書いてみたいと思います。

昨年は早春からうどんこ病や生育不良に悩まされましたが、
今年は全てのユーカリがすこぶる好調に育っています。
まだ春も早いうちから、どの品種もたくさんの脇芽を出して、
みてわかるほどに元気な状態です。

この昨年との大きな差は私の水分管理術の向上が
最も大きな要因といえるでしょうが、
スリットポットの導入と用土の工夫も挙げられると思います。

ユーカリを育てていて常に思うのは、
非常に乾燥を好む植物だなあということです。

ところがここで注意していただきたいのが、
乾燥を好むということは、
水を必要としないということとは全く別

ということです。

乾燥を好むということは、
用土が長い間湿っていることを嫌うということです。

この用土が長い間湿っていることを避けるためには、
鉢と用土と置き場所(植え場所)に工夫が必要なのです。

ちなみに日本で一番有名なgunniiですが、
これはユーカリの中でもかなり水を必要とする品種で、
水切れに対する耐性をほとんど持ち合わせていない品種です。
それでも日本の在来の植物や一般的な観葉植物に比べると
かなり乾燥を好む植物であるといえます。

日本で乾燥を好む植物というと
サンスベリアやサボテンなどの多肉植物が思い浮かびます。

多肉植物は自分自身に水分を蓄えることができるため、
用土が完全に乾いても、その水分で長く生きることができます。

ところがユーカリは自分自身に水分を蓄える力は強くないので、
どんなに乾燥を好むユーカリでも、用土が完全に乾くと、
容易に水切れを起こしてしまうことを忘れないでください。

<1. 置き場所(植え場所)の工夫>
はっきりいってこれさえ十分に満たすことができれば、
鉢や用土はどうでもいいほどに重要な要素です。

一般的にユーカリの栽培難易度は簡単で、
庭に適当に置いておけば大きく育ったという話を良く聞きます。
これはこの1の要素が十分に満たされているからです。

実際に相応の庭をお持ちであればこの1の要素は満たせます。
ところが人によっては十分な置き場所を
確保することが難しい場合もあります。
例えば、家のようなベランダでは
この置き場所を十分に確保することはできません。

それではどのような置き場所が良いのでしょうか。
それはズバリ下記の二つの要素に絞られます。
----------------------------------------------
●日光が一年中、終日で良く当たる場所
●風通しの良い場所

----------------------------------------------
なぜこの二つの要素が重要かというと、
用土を早く乾かすために乾燥力の強い環境を作り、
日光を良く浴び、高い土中温度を確保できるからです。

ユーカリは、在来の日本の植物よりも
遥かに激しい日光と高い土中温度を好みます。

そのため、ユーカリの室内管理は無理があります。
室内は日光量や日照力が弱く、
何よりも風の動きが少なすぎるために、
どうしても余分な水分を用土に残してしまいます。

はっきり言い切りますが、
ユーカリの室内管理は不可能です。
私でも室内ではうまく育てる自信は全くありません。

この置き場所という要素を満たせない場合は
次の2と3の要素でカバーする必要があります。

<2. 鉢の工夫>
環境以外で乾燥力を上げるためには
鉢という要素があります。

乾きやすい鉢といえば、まず、素焼き鉢です。
率直に素焼き鉢はユーカリ栽培には向いているといえます。

素焼き鉢のデメリットをあげるとすれば、
重いことと、場所をとること、耐寒性が落ちることです。
素焼き鉢は冬季に用土が冷えやすいため、
根がダメージを受けやすく、明らかに耐寒性が下がります。
特に耐寒性が微妙なdecipiensなどの品種には不向きですね。
また、室内に取り込むとカビの温床にもなりやすいです。

そこで、今流行のスリット鉢がオススメです。
特長である根のサークリングを防げる能力だけでなく、
底面にも大きな穴が開いているために、
底面からも用土の乾燥が進みやすいです。
また、低価格で薄く軽く、コンパクトで場所も取りません。

ただ、1の置き場所の要素が満たされ過ぎているような場合には、
品種によっては乾燥力が強すぎる場合もあります。
特に湿地帯に生息するようなユーカリでは、
乾燥力が強すぎて、少し生育が悪くなることもありますし、
水切れが早すぎて少し面倒なこともあります。
環境に合わせて適切な鉢を選択してください。

<3. 用土の工夫>
1が十分に満たせず、鉢も素焼きやスリット鉢は嫌だという場合、
この用土という要素でカバーすることが重要になってきます。

率直に市販の観葉植物用の用土では少し保水性が高すぎます。
自家製ブレンド用土が面倒くさい場合は、
粒状培養土として販売されているものが良いでしょう。

自家製でブレンドする場合には、
赤玉土をメインに鹿沼土、桐生砂、日向土などを加え、
くん炭やゼオライトまたはパーライトを加えるとなお良いです。

肥料分となる用土はあまり使わなくても良いです。
ユーカリは雑菌に弱いところがありますので、
堆肥分や腐葉土などは余り使用せずに、
品種によりピートモスで保水力を調整すると良いでしょう。

ちなみに私の自家製用土は下記の通りです。
非常に乾燥力が強いので参考になさってください。
---------------------------------------
硬質赤玉土(小粒)-5割
鹿沼土(中粒)-2割
桐生砂or日向土orパーライト-1割
くん炭-1割
ゼオライト-1割
ピートモス-品種により調整

---------------------------------------
この中でゼオライトについてですが、
ユーカリにはかなり有効な用土であると考えています。
実際に家ではゼオライトを配合した用土を使用しているユーカリは、
非常に根張りが良く、丈夫に成長している実績があります。

Osakano_Jieさんのレポートによると、
オーストラリアの土壌にはゼオライトが多量に含まれ、
ユーカリへのミネラル分補給に一躍かっているとのことです。

ゼオライトには大きく分けて2種類が存在します。
モルデナイト系ゼオライトクリノプチロライト系ゼオライトです。
前者のモルデナイト系は日本では比較的良く見かけるゼオライトで、
水質改善剤や根腐れ防止剤として
使用されている和製やアジア製のゼオライトです。
後者のクリノプチロライト系は北米産が多く、
アルカリ分の強いゼオライトです。

この2種類の中でオーストラリアのゼオライトにより近く、
ユーカリに有効であると思われるものは、
後者のクリノプチロライト系ゼオライトです。

ところがこのクリノプチロライト系ゼオライト
ホームセンター等では滅多に売っておらず、
主にネット通販で購入できますが、
少しレアなために、かなり高価になっています。
もし余裕のある方は、使用して損はないと言っておきます。

ユーカリには日本で販売されている
多くの肥料がほとんど効きません。
その中で有効な成分のみを
効率よく吸収させるのにもゼオライトが役立ちます。

<肥料について>
ユーカリには日本の多くの肥料がほとんど効かないといわれます。
肥料には大きく分けて、窒素・リン酸・カリウムの三種があります。
良く売っている化成肥料や液肥などを見ていただくとわかりますが、
リン酸分が最も多く、窒素がそれに次いで
多くなっていると思います。

この中でユーカリはリン酸を特に嫌います。
私が試してみた結果、窒素もそんなに与えない方がいいでしょう。
この中でユーカリに有効なのは主にカリウム肥料なのです。

ところがカリウム肥料は中々吸収されにくいようです。
それを効率よく吸収させるためにゼオライトが役立つようです。

私は化成肥料を置肥している程度であまり肥料分は与えていません。
プロのお話では有機肥料(鶏糞や牛糞)は効果があるようですが、
あまり鉢植え栽培では実用的ではありません。
※一部、多肥を好む品種も存在します(Moon Lagoonなど)


最後に、栽培難易度の難しいユーカリ、
簡単なユーカリがありますが、
この差は本当に水分管理の難しさに直結します。
難しいユーカリは過湿に弱く、すぐ根腐れするということで、
簡単なユーカリは過湿に耐性があり、
水分管理がアバウトでも丈夫に育つユーカリということです。

ユーカリはいきなり枯れることがあると言われますが、
ユーカリが枯れる理由の90%は過湿による根のダメージです。
1、2、3の要素をうまく工夫して
より良い栽培環境を実現してください。

用土の表面がカラカラに乾いていたとしても、
用土の中は湿った状態であることが良くあります。
慣れないうちは少し用土を指で掘ってみて、
用土の内部の状況を確認することも参考になるでしょう。

それでは、皆さんがユーカリを
楽しく育てられることを願っています。
何か質問があったら遠慮なくどうぞ^^

# by eucalyptus_k | 2011-04-09 23:41 | ユーカリ(栽培知識)
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【ユーカリ紹介-25】
ユーカリ・クルキス (Eucalyptus crucis ssp. crucis)

続きまして第25回目は
西オーストラリア軍団の一員で、
日本では全く知られていないユーカリですが、
kruseanaに次いでコバルトブルーの銀葉が美しい、
サザンクロス・シルバー・マリーこと、
ユーカリ・クルキス
です。

◎ユーカリ・クルキス
【学名:Eucalyptus crucis ssp. crucis】
【英名:Southern Cross Silver Mallee】

fancyboxクルキス(Eucalyptus crucis)の画像1

fancyboxクルキス(Eucalyptus crucis)の画像2

crucis日本では本当に全く知られていないユーカリです。
苗が売っているどころか、日本語の資料さえ見つかりません。
また園芸用植物としてユーカリが注目されている欧米においても、
ほとんどデータを発見することができないほどにマイナーです。

オーストラリア本土では、
銀葉の美しい園芸用品種として細々と栽培されています。
そのため、西オーストラリアのタネ屋を中心に、
何とかタネの在庫を見つけることができました。

crucisは私も当初は全く知らなかったようなユーカリですが、
たまたま銀葉の美しい品種を探しているときに、
オーストラリアの個人栽培者のブログから見つけました。
サザンクロス(南十字星)という名称が非常に印象的で、
ついつい突っ込んで調べたために良く知ることができました。
ちなみに学名のcrucisCross(十字架)の意味です。

このサザンクロスという名称の由来ですが、
オーストラリア南西部のSouthern Crossという
町の周辺にのみ自生しているユーカリだからです。
カッコイイ英名の由来はその生息地名というわけです。

地図で見てみるとわかりますが、
このSouthern Crossという町は、
kruseanaの生息地であるKalgoorlieの比較的近くです。
そのため、その性質もkruseanaに良く似ています。

たまたま、欧米の栽培者に目を付けられたことで、
比較的メジャーになったkruseanaですが、
このcrucisも何かの拍子に注目を集めることができれば、
kruseanaに次いでメジャーになれること間違いなし!
それほどまでに美しい銀葉が特徴です。

艶消しでザラザラしているkruseanaの葉とは異なり、
crucisの葉は肉厚で少し透明感があり、
pulverulentaの葉のようです。
茎や葉の白色はかなり強く、kruseanaと同じように、
強力な日焼け止めをもっているため、
強い直射日光の元で育てる必要があります。

何よりも特徴的なのは、その逆ハート型の葉形です。

fancyboxクルキス(Eucalyptus crucis)の画像3

どちらかというと葉の長さよりも幅の方が大きくなるため、
より可愛らしいハート型を演出してくれています。
また、茎を挟んだ左右の葉が強く密接しているために、
新芽の部分はインコのクチバシのようにも見えます。
この可愛らしい外観と強く粉を吹いたような葉色は、
誰もが心を奪われるような美しさを持っています。

fancyboxクルキス(Eucalyptus crucis)の画像4

樹木としては15m程度とユーカリでは低めの灌木状に育ちます。
また、このcrucisminnirichiという特徴的な樹皮をしています。

fancyboxクルキス(Eucalyptus crucis)の画像5

派手な赤色基調の樹皮が細かく剥けて
黄色い筋模様を形作っています。
激しく剥けたminnirichi
まるで赤い虹のように見えることもあります。

またcrucisは比較的低い樹高で開花を目指すことのできる品種です。
1m程度の鉢植えで開花したという情報もあります。
花自体はクリーム色の一般的なユーカリの花ですが、
その蕾が純白で非常に美しく、花材としても利用できそうです。

fancyboxクルキス(Eucalyptus crucis)の画像6

丈夫に育てるためには、とにかく強い直射日光が必要です。
一日中、直射日光がガンガンに降り注ぐような環境が推奨です。
その他では、乾燥気味に管理するといった、
西オーストラリア軍団の代表的な育て方をします。

crucisは過湿に非常に弱い西オーストラリア軍団の中では、
少しだけ過湿耐性を持っているため、育てやすい方です。
例えばkruseanaと比べると明らかに育てやすいです。
また、葉が肉厚のため、病害虫の影響も受けにくい方です。

実際はあまり水を必要としない部類のユーカリですから、
乾燥気味に管理し、用土が完全に乾くタイミングで
たっぷり水遣りをするのが最も良い管理方法といえます。

また少しの過湿耐性を持っているとは言っても、
高い空中湿度をとても嫌う性質があります。
そのため梅雨時期~夏場にかけて、
風通しが悪く、湿気の籠りやすい悪い場所で管理すると、
葉痛みが出たり、うどんこ病の被害が出ることがあります。

耐寒性については-7℃程度までは頑張るようで、
西オーストラリア軍団の中ではかなり強い方です。
今年の大阪の冬では葉が痛むことさえありませんでした。
冬は特に水を吸わなくなるので、より乾燥気味に管理してください。
強い寒風を避けることで、葉の痛みを防ぎ、
美しい葉を一年中維持できることと思います。

気になるcrucisの香りですが、
典型的なシネオール系の香りがスッと突き抜けて、
少しだけ柑橘系の香りが感じられます。
cinereacordataなどに良く似た香りです。
香りの強さはcinereaなどと同じで、
葉を軽く指で擦ると良く香ってきます。
香りを楽しむハーブとしても十分利用できます。

crucisは非常にマイナーなユーカリで、
育てたい方はタネから育てるしかないところでしたが、
この度、親愛なるこあら師匠にご紹介させていただいたため、
現在は定番商品としていくつか在庫をお持ちのことと思います。
育ててみたい方にはご紹介させていただきます。

乾燥気味に管理し、強い直射日光に当てることで、
その葉の白さがどんどん増していきます。
一番白いときの新芽はまさに純白そのものです。

fancyboxクルキス(Eucalyptus crucis)の画像7

銀葉のユーカリが好きな人はcrucisの虜になること間違いなし!
私一押しのそれはそれは美しいユーカリですよ^^

------------------------------
<栽培難易度:C>
香良さ:★★★
香強さ:★★★
成長力:★★★

要水分:★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★★★
耐日陰:★
耐移植:★★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★

------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2011-03-21 01:12 | ユーカリ紹介
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ユーカリ紹介改訂のご連絡

今、色々と過去のユーカリ紹介の記事に
訂正や追加、改訂を行っています。

現在、下記の記事が改訂済みになっています。
viminalisの記事では2種の亜種を紹介しています。
perrinianaの記事では2種の型について紹介しています。
興味があったら読んでくださいね。

-----------------------------------------
01. ユーカリ・シルバーダラー
02. 銀世界ユーカリ
03. 銀丸葉ユーカリ
04. ユーカリ・グニー
05. ユーカリ・プルベルレンタ
06. ユーカリ・ベイビーブルー
07. ツキヌキユーカリ
08. ユーカリ・ビミナリス
09. ユーカリ・オービフォリア
10. ユーカリ・アップルボックス
11. ユーカリ・コルダータ
12. ユーカリ・グロブルス
13. ユーカリ・グランディス
14. ユーカリ・ウェブステリアナ
15. ユーカリ・ゴニオカリックス
16. ユーカリ・アロマフロイア
17. ユーカリ・クルセアナ
18. ユーカリ・ロブスタ
19. ユーカリ・ルディス

※その他の記事は現在改訂中です。
-----------------------------------------

# by eucalyptus_k | 2011-03-12 19:58 | ユーカリ(その他)
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【ユーカリ紹介-24】
ユーカリ・ポポラス
(Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos)

続きまして第24回目は
ポポラス(ポポラスベリー)として、
生け花やフラワーアレンジで有名。
その可愛いハートリーフの葉型が女性に人気の
ユーカリ・ポリアンセモスです。

◎ユーカリ・ポリアンセモス
【学名:Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos】
【英名:Red Box】

fancyboxポリアンセモス(Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos)の画像1

fancyboxポリアンセモス(Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos)の画像2

生花やフラワーアレンジの世界では、
葉と蕾や実のセットで
ポポラスベリーと呼ばれて重宝されています。

fancyboxポリアンセモス(Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos)の画像3
※大きく育つと写真のように涙型の葉になります。

実はこのpolyanthemosという学名は、
Many Flowers(たくさんの花)の意味で、
その名の通り、たくさんの花を咲かすユーカリなのです。
このたくさんの花=蕾がポポラスベリーを形作っています。

polyanthemosは、日本では何故か
Silver Doller Gumと呼ばれることがあり、
cinereaの英名であるSilver Doller Gumと全く同じなので
呼び名や販売名では少々ややこしいところがあります。

とにかく日本ではハートリーフユーカリ=ポポラスと思われるほど、
メジャー&人気のあるユーカリで園芸店でもたまに見かけられます。
非常に良く見かけるgunniiなどの丸葉ユーカリとは、
一風変わったハートリーフが可愛いと女性に人気があります。

fancyboxポリアンセモス(Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos)の画像4

上の写真はまだ比較的樹高の低いうちの葉ですが、
この原種のssp. polyanthemosでは、
ある程度の樹高になってくると、
葉が横広になってくるという特徴があります。

fancyboxポリアンセモス(Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos)の画像5

もちろん個体差で変わることもありますが、
葉柄(葉と幹をつなぐ部分)から
葉が90°に近い程の横方向に広がるというのが
ssp. polyanthemosの大きな特徴です。

またpolyanthemosには、
ssp. vestitaという亜種が存在します。
その紹介と比較はこちらに掲載していますので、
興味があったらご覧ください。

polyanthemosは、
ハートリーフユーカリとして販売されていることも多く、
同じハートリーフ名で販売されるorbifoliaとも良く混同されます。

polyanthemosorbifoliaに比べると
葉の葉脈がハッキリしています。
またorbifoliaは上の写真のような
横広の葉になるようなこと絶対にありません。
polyanthemosorbifoliaの識別についてはこちらで詳しく紹介しています。

polyanthemosは20m程度の中規模の樹木に育ちます。
地植えをしたいという方も多くいらっしゃいますが、
広い庭があるならば不可能ではないという感じです。

かなり小まめに剪定を行ってサイズを調整しないと、
簡単に家の2階を超えてしまうことになります。

またこのssp. polyanthemosでは、
ほぼ全ての株が立派なTree(木立型)の樹木になります。

また比較的涼しい季節に成長するgunniiなどと比べると、
かなり気温の高くなる季節に大きく成長する品種です。
環境さえ合えば、成長力は旺盛な方ですから、
小まめな摘芯を心がけてください。

もしポポラスベリーのために開花を目指す場合には、
最低でも2m以上の樹高にまで育てる必要があると思います。

生息地はcinereapulverulentaなどの
日本でメジャーなユーカリとほぼ同じ地域なので、
比較的日本でも育てやすいユーカリの代表格です。

ただ砂利土の多い土壌を好んで生息するため、
cinereaなどに比べると、より排水性の高い用土を好みます。
水はけの悪い用土や過湿には少し弱いところがあり、
根腐れには注意が必要な品種です。
川砂や軽石などを配合した乾燥力の高い用土を使用しましょう。

また、西AZのユーカリ程ではありませんが、
東AZのユーカリの中では、中々の水切れ耐性を持っています。

ユーカリの中でも特に日光の好きな品種で、
日光に当てれば当てる程、どんどんと元気に成長します。
分厚く元気に育った葉は、
真夏の直射日光でも葉焼けするようなことはありません。

ただ、このssp. polyanthemosについては、
そこそこの耐陰性も兼ね備えているようで、
他のユーカリに比べると、半日陰くらいの環境でも、
そこそこ元気に育ってくれます。

耐寒性については、cinereapulverulentaなどの
同じ地域に生息するユーカリに比べると高い方ではありませんが、
それでも-7℃程度までは耐えることができます。

英名のRed Boxが表しているように、
新しい茎は赤みを帯びた色に成長することが多く、
非常に寒さの厳しい環境では、
冬に真っ赤なモミジのような色に紅葉します。
この紅葉もpolyanthemosの冬の醍醐味といえます。

fancyboxポリアンセモス(Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos)の画像7

我が家では、毎年寒さが足らずに全く紅葉することはありません。
おそらく、置き場所の都合で寒風を防げるためかもしれません。

polyanthemosの葉は、
苗のうちは緑色の強い葉色をしていますが、
大きくなるに従って白銀色が強くなり、
ブルーグレイの葉色になっていきます。

気になるpolyanthemosの香りですが、
シネオール系の香りをベースに、
少しミント様の甘く爽快な香りを感じます。
シネオールがガツンとくるcinereaなどよりも、
かなり親しみやすく、魅力的な良い香りです。

ところが、葉が肉厚でしっかりしているため、
葉を強く指でこすったり、
葉を千切ったときにほのかに香る程度です。
比較的、良い香りではありますが、
あまり香りを楽しむユーカリとはいえません。

fancyboxポリアンセモス(Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos)の画像6

polyanthemosは人気があり、良く知られているユーカリです。
近所のオシャレなケーキ屋さんの入口にも置いてありました。

ところがgunniiなどと比べると、
売っているところはあまり多くありません。

ユーカリに興味がある方に育ててほしいユーカリの代表格です。
手に入れたい方には素晴らしい農場をご紹介します。
特にオススメです。是非、育ててみてくださいね^^

------------------------------
<栽培難易度:A>
香良さ:★★★
香強さ:★★
成長力:★★★

要水分:★★
耐過湿:★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★★
耐病虫:★★★★

------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2011-03-03 02:15 | ユーカリ紹介
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【ユーカリ紹介-23】
ユーカリ・レーマニー (Eucalyptus lehmannii)

第23回目は西オーストラリア軍団の一員で、
非常に変わった形状の蕾から
特徴的なライムグリーンの花を咲かせる、
かなり際物のユーカリ・レーマニーです。

◎ユーカリ・レーマニー
【学名:Eucalyptus lehmannii】
【英名:Bushy Yate / Lehmann's Mallee / Snake Gum】

fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像1

fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像2

このlehmanniiはその奇妙なバナナのような形の蕾、
fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像3

そこから咲く、チアリーダーのポンポンや
フラダンスの腰蓑のような薄いライムグリーンの花、
fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像4

トゲの生えた鉄球のような少し厳つい形の実と
fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像5

非常に面白い特徴を持っています。

大きな木になるユーカリが多い中、
lehmanniiは最小の部類で、
3m程度のブッシュ(茂み)状に育ちます。
私はまだ花を咲かせるには至っていませんが、
このサイズを考えると、鉢植えでかなり低い樹高でも
この特徴的な花を咲かせることができると考えています。

fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像6

写真のように葉の形はかなり細長い部類に入ります。
ブッシュ状に育つその性質からか、
細かい脇芽を縦横無尽にクネクネ出しまくるため、
まるで炎が燃えているかのような樹形に育ちます。
親愛なるこあら師匠は、このlehmanniiの樹形を
不動明王の背面にある炎に例えていらっしゃいました。

また新芽は非常に細い線のような形で生じてきます。

fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像7

この炎のようにも見えるクネクネ茂った樹形と細い新芽が、
蛇に見えるということでSnake Gumとも呼ばれているようです。
Snakeというと不気味なイメージがしますが、
どちらかというと少し豪快で神秘的な雰囲気があります。
とにかく家のベランダのような多種のユーカリが密集する場所でも、
一際異彩を放っていることは間違いありません。

lehmanniiの生息地は最も厄介なユーカリが多く生息している、
オーストラリア南西部の沿岸部です。
この地域は暑くもなく寒くもなく、雨も適度に降るので、
ここに生息しているユーカリ達はかなり気難しい傾向が強いです。
そんな厄介なユーカリ達の中では、
lehmanniiは、比較的育てやすいユーカリです。

日光はかなり大好きで、乾燥気味に管理するといった、
西オーストラリア軍団の代表的な育て方をします。
ところが、macrocarpa/orbifoliaなどの
内陸部の砂漠地帯に生息している品種とは大きく異なり、
かなり水が好きで、水切れにも注意する必要があります。

非常に乾燥力の強い用土と鉢で育て、
頻繁に乾いて水を与えるといったような環境がベストです。
私は瓦礫のような用土で育て、肥料分もほとんど与えていませんが、
そのような環境でこそ、調子良く育ってくれています。
とにかく水が好きな癖に、
過湿は嫌うという性質にだけは気をつけてください。

もうひとつ注意するポイントとしては、
lehmanniiは精油成分が少なく、香りも非常に弱いため、
病害虫の被害を受けやすいというところです。
ユーカリでは珍しくアブラムシの被害にあったり、
Osakano_Jieさんのお宅では、
ハキリバチ尺取虫の被害にあったりするようです。
また、うどんこ病にも罹りやすい品種です。

またかなりのアルカリ耐性を兼ね備えているようで、
多肥で用土がアルカリ寄りに傾いても、
多くの西AZのユーカリのように
鉄分欠乏症の症状が出ることはありません。

ただ普通に育てる上では、
pHは特に気にすることなく、弱酸性で問題ありません。

成長力は平均的ですが、決して遅い方ではありません。
高い気温の中、たくさんの日光を受けて、
素早く乾いて水をたっぷり与えられるような環境下では、
少し見ないうちに葉がたくさん増えていてびっくりするほどです。

この生息地のユーカリは余り寒さに強くないのですが、
耐寒性ではlehmanniiは思ったよりも頑張るようです。
今年の-5℃近くまで下がった大阪の冬を難なく乗り越えています。
ただ、葉が細く柔らかいため、寒風には非常に弱く、
新しい葉に大きなダメージを受けることがあります。

できることなら、風の当たりにくい軒下などでの越冬を推奨します。
家のベランダでは寒風を凌げる場所に置いていましたが、
葉の痛みもほとんどなく、非常に元気に越冬できました。

気になる香りについては、rudisに少し似ています。
シネオールをベースにスパイシーでウッディーな香りが漂います。
アロマティックというよりは少し渋めの香りです。
また、精油が少なく、葉を指ですりつぶしてやっと香るほどですから、
香りを楽しむユーカリとしてはおすすめできません。
やはり花を咲かせるために育てるユーカリといえます。

このlehmannii、本当はかなりマニアックなユーカリのはずですが、
その特徴的な蕾と花と実が魅力的だからでしょうか。
海外の園芸店やタネ屋ではかなり良く見かけるユーカリです。
ところが日本では全くといっていいほど見かけることはありません。

fancyboxレーマニー(Eucalyptus lehmannii)の画像8

cinereaなどの東オーストラリアのユーカリに比べると、
少し気難しい性質ではありますが、
西オーストラリアのユーカリ入門編にはぴったりだと思います。
とにかく用土の排水性をしっかりすれば、、
そんなに栽培難易度の高いユーカリではありません。

ユーカリの開花を目指して鉢植えで育てるのに最適。
日照の良い庭の庭木としても非常に面白いと思います。
是非、一度、チャレンジして、
西オーストラリアのユーカリを体感してみてください!
育ててみたい方には、素晴らしい農場をご紹介します。

------------------------------
<栽培難易度:C>
香良さ:★★
香強さ:★
成長力:★★★

要水分:★★★
耐過湿:★★
耐水切:★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★
耐病虫:★★

------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2011-02-25 01:21 | ユーカリ紹介
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