
【ユーカリ紹介-35】
ユーカリ・マイデニー (Eucalyptus globulus ssp. maidenii)続きまして第35回目はglobulusの中では特徴的で
少し変わった外観を持つ亜種ユーカリ・マイデニーです。
◎ユーカリ・マイデニー
【学名:Eucalyptus globulus ssp. maidenii】
【英名:Maiden's Gum】
日本ではお馴染みのglobulusですが、
その中でもこのmaideniiは、
明治時代から日本でお馴染みの
ssp. bicostataやssp. globulusとは
少し異なる外観と経緯を持つユーカリです。
学名はEucalyptus globulus ssp. maideniiですが、
現地で一般的にはEucalyptus maideniiと呼ばれています。
globulusには4種の亜種と1種の矮性種が存在します。
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●Eucalyptus globulus ssp. globulus
●Eucalyptus globulus var. compacta
●Eucalyptus globulus ssp. bicostata
●Eucalyptus globulus ssp. maidenii
●Eucalyptus globulus ssp. pseudoglobulus
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これらは全てが非常に良く類似していて、
小さな苗や数m程度の苗木の間の識別はほぼ不可能です。
一番の識別方法は大きく育ってからできる
蕾や実の大きさや形状を比較するのが一番です。
>>>詳しい識別についてはこちらの記事をご覧ください。
今回ご紹介するmaideniiは、
あまり日本では見かけることのないglobulusです。
maideniiは、オーストラリアの各所に生息するglobulusの中では、
オーストラリア南東部海岸沿いの一部の地域にのみ自生する
少々マニアックなglobulusなのです。
上記にもあるように、
幼苗の間にはほとんど識別が不可能なglobulusですが、
maideniiは、その中では少し変わった外観をしているので
globulusを多数育てている方なら、
ある程度の見分けがつくこともあるでしょう。
私も最初はあまり見分けがつきませんでしたが、
育て続けている間に、このmaideniiだけは
何とか見分けがつくようになってきました。
その違いを敢えて挙げるならば、
幼苗の間は極端に細長い葉になるか、
逆に丸みを帯びた葉が生じやすい傾向にあり、
細長い葉では、葉にカーブが生じることがあります。
また、最も葉の白色が強くなりやすく、
茎のザラザラはほぼありません。
ただ、この特徴を個体差が上回ることも十分にあり得ます。
私もmaideniiを育てていて
確かに白色が強いなあという印象を持っています。
そして、葉の丸いmaideniiと葉の細いmaideniiが
確かに存在していると感じています。
ちなみにこの記事で紹介している写真は
どちらかというと葉に丸みのあるmaideniiのものです。
最近意識的に観察していると、
実はそれほど葉全体の白色が、
強いわけではないことが分かってきました。
maideniiの葉の表面は比較的緑色が強く、
寧ろ他の亜種よりも深い緑色をしていることが多いのですが、
葉の裏面や茎の色が際立って白いように思います。
その結果、葉表面の緑色と、
葉裏や茎の白色との強いコントラストで、
白色が強いという印象につながっていました。
亜種間での比較の対象になる実のサイズは、
横幅が0.6~1cm、長さは0.5~1.1cmと
他よりもかなり小さく、少し縦長の形をしています。
また、蕾や実はあまり白く粉を吹いていないことも特徴です。
そしてさらに大きな特徴として、
蕾は下の写真のように7個セットで生じます。
globulusの中では中規模のサイズで、
大きなものでは50m前後の大木へと育ちます。
根の張りはssp. globulusよりは控えめですが、
それでもユーカリ中ではトップクラスに盛んな方です。
露地植えにする場合にはそれなりの覚悟が必要です。
育ててみると、ssp. bicostataよりもさらにデリケートです。
特に暑さに弱い性質が強く、梅雨時期~夏場にかけて、
高温多湿になる環境では、激しく葉が傷むことがあります。
また夏場の過湿による、根の蒸れにも少し注意が必要になります。
風通しが良く、涼しい場所で管理すると良いでしょう。
それでもユーカリ中ではかなり強健!育て方も非常に簡単で、
何よりもその成長の早さには相当ビックリさせられます。
露地植えにするとあっという間に人間の背丈を超えてしまいます。
植木鉢であっても、太陽にたくさん当てることで、
一年以内に背丈を超えるほどに成長します。
鉢植えで育てる場合には
ssp. globulusよりも少し控え目な分、
育てやすい品種といえるかもしれません。
globulusは古くから日本で親しまれてきただけあって、
日本の環境には非常に合っています。
ユーカリの中ではかなり水を好む方で、
小さな鉢ではあっという間に水切れを起こします。
水分管理も考えて、小まめな摘芯を心がけてください。
とりあえず一般的な観葉植物並みの管理で問題ありません。
ただ、室内や日陰で管理を行うと徒長し貧弱に育ちます。
なるべく、屋外の日光が良くあたる場所で管理してください。
maideniiの耐寒性は-9℃程度と言われており、
ssp. globulusよりも少しだけ耐寒性は強くなっています。
余程の寒地でもない限り、野外越冬は問題ないと思います。
冬は余り水を吸わなくなるので、少し乾燥気味に管理してください。
maideniiは青々とした葉が特徴的な品種ですが、
その新葉は明らかに美しい銀葉で冬季には真っ白へと変わります。
この白銀色の新葉と育った葉の
濃い緑色のハーモニーは中々に美しいです。
また、茎が見てわかるほどの四角形をしています。
globulusの中では茎の表面のザラザラはほぼなく、
どちらかというとツルっとしている傾向があります。
ssp. globulusやssp. bicostataは精油やユーカリ茶で有名ですが、
maideniiは精油の成分や実際の香りが少し異なっています。
柑橘系の香りや甘さの強いssp. globulusなどに比べると、
どちらかというとシネオールが際立っているような香りです。
cinereaやcordata、bridgesianaなどに近い香りといえます。
またglobulusの中では香りは弱い方ですが、
それでも他のユーカリよりも香りは強めではあります。
ssp. globulusなどの方が爽快で強く良い香りですが、
maideniiも十分に香りを楽しむハーブとして利用できます。
親愛なるこあら師匠のブログ「ユーカリクリニック」によると、
このユーカリをコアラに与えると、
不妊症になるとかいうとんでもない偏見があり、
日本の動物園でコアラには決して与えないそうです。
コアラが食べていそうなユーカリのイメージなんですがねぇ>3<
私は見た目で育てるならば
間違いなくこのmaideniiを選ぶと思います。
逆に香りや効能で選ぶのならば
ssp. globulusやssp. bicostataを選びます。
見た目の美しさでglobulusを育てたい方には特にオススメです。
ただし、なかなか売っていることはないと思うので
育ててみたい方には素晴らしい農場をご紹介します。
とはいってもmaideniiはglobulusです。
成長力は馬鹿にならないので注意が必要ですが、
是非皆さんにも育ててほしいユーカリです!
なかなか綺麗な外観にびっくりしますよ。
あなたはどのglobulusを選びますか!?
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<栽培難易度:B>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★★
成長力:★★★★★
要水分:★★★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★
耐病虫:★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-08-22 20:01 | ユーカリ紹介

【ユーカリ紹介-34】
ユーカリ・ビコスタータ (Eucalyptus globulus ssp. bicostata)続きまして第34回目はユーカリ精油といえばこれ!
ssp. globulusと共に日本でも明治時代からお馴染みのユーカリ、
globulusの亜種ユーカリ・ビコスタータです。
◎ユーカリ・ビコスタータ
【学名:Eucalyptus globulus ssp. bicostata】
【英名:Southern Blue Gum / Victorian Blue Gum
Eurabbie】
このbicostataもssp. globulusと同様に
明治時代から日本でお馴染みのユーカリです。
日本人がユーカリ特有の香りや葉をイメージしたり、
メンターム等で使用されているユーカリ油は
このbicostataやssp. globulusのものです。
学名はEucalyptus globulus ssp. bicostataですが、
現地で一般的にはEucalyptus bicostataと呼ばれています。
globulusには4種の亜種と1種の矮性種が存在します。
---------------------------------------------------------
●Eucalyptus globulus ssp. globulus
●Eucalyptus globulus var. compacta
●Eucalyptus globulus ssp. bicostata
●Eucalyptus globulus ssp. maidenii
●Eucalyptus globulus ssp. pseudoglobulus
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これらは全てが非常に良く類似していて、
小さな苗や数m程度の苗木の間の識別はほぼ不可能です。
一番の識別方法は大きく育ってからできる
蕾や実の大きさや形状を比較するのが一番です。
>>>詳しい識別についてはこちらの記事をご覧ください。
今回ご紹介するbicostataは、
ssp. globulusと混ざって、
ホームセンター等でも良く見かける品種です。
オーストラリアの各所に生息するglobulusの中では、
その英名の通り、オーストラリア南東部に生息している亜種です。
亜種の中では、ssp. globulusと最も良く似ています。
日本ではこのbicostataも含めて
Eucalyptus globulusといえるでしょう。
敢えて違いを挙げるならば、
幼苗の間はssp. globulusよりも
葉が若干コンパクトで細長くなりやすく、
少し葉の白さが長く残りやすくて、
茎のザラザラ感が強いというところでしょうか。
ただ、この特徴を個体差が上回ることもあり、
苗時点では、ほぼ見た目での識別は不可能です。
亜種間での比較の対象になる実のサイズは、
横幅が1~2cm、長さは0.7~1cmと
ssp. globulusに比べると明らかに小さいです。
また、蕾や実が白く粉を吹いているのも特徴です。
蕾と枝を結ぶ部分は存在しません。
そしてさらに大きな特徴として、
蕾は下の写真のように3個セットで生じます。
globulusの中では中規模のサイズで、
大きなものでは45m前後の大木へと育ちます。
根の張りはssp. globulusよりは控えめですが、
それでもユーカリ中ではトップクラスに盛んな方です。
露地植えにする場合にはそれなりの覚悟が必要です。
育ててみると、globulusの中では、
最も強健で万能な性質を持っています。
ssp. globulusや特にssp. maideniiでは、
その生息地上、少し暑さに弱いところがありますが、
bicostataは暑さにも強く、夏場の葉痛みもほとんどありません。
育て方も非常に簡単で、何よりも
その成長の早さには相当ビックリさせられます。
露地植えにするとあっという間に人間の背丈を超えてしまいます。
植木鉢であっても、太陽にたくさん当てることで、
一年以内に背丈を超えるほどに成長します。
鉢植えで育てる場合には
ssp. globulusよりも少し控え目な分、
育てやすい品種といえるかもしれません。
ただし、大きく成長してからは
globulus中でも随一の大葉へと成長しますので、
その見た目のスケールはかなりダイナミックです。
葉が大きいので、ハーブ収穫用には最適ですね。
ただ、若干ではありますが、
香りの強さはssp. globulusより劣ります。
ただあくまでも若干なので、
十分に香りを楽しむハーブとしては利用できます。
globulusは古くから日本で親しまれてきただけあって、
日本の環境には非常に合っています。
ユーカリの中ではかなり水を好む方で、
小さな鉢ではあっという間に水切れを起こします。
水分管理も考えて、小まめな摘芯を心がけてください。
とりあえず一般的な観葉植物並みの管理で問題ありません。
ただ、室内や日陰で管理を行うと徒長し貧弱に育ちます。
なるべく、屋外の日光が良くあたる場所で管理してください。
耐寒性は-10℃程度と言われており、
ssp. globulusよりも耐寒性は強くなっています。
余程の寒地でもない限り、野外越冬は問題ないと思います。
冬は余り水を吸わなくなるので、少し乾燥気味に管理してください。
bicostataは青々とした葉が特徴的な品種ですが、
その新葉は明らかに美しい銀葉で
冬季には薄ピンク色にも変わります。
この白銀色の新葉と育った葉の
濃い緑色のハーモニーは中々に美しいです。
また、茎が見てわかるほどの四角形をしています。
厳密にはbicostataは茎の四角が激しく尖っており、
手裏剣のように角が飛び出たウイング型という形状をしています。
茎の表面はザラザラしており、
globulusの中ではザラザラがかなり強い方です。
bicostataの魅力はやはりその効能でしょう。
ssp. globulusと共に、ユーカリ茶としてもお馴染みで、
実際に販売もされている品種です。
私も実際、お茶にして飲んでみましたが、非常に美味でした。
※ユーカリ茶についてはこちらをご覧ください。
精油で有名なだけあって、香りの強さもユーカリ中ピカイチ!
葉や茎を軽く指で撫でただけで強く香ります。
香りはssp. globulusと全く同じ香りで、
メンターム様の切れの良いスッとしたシネオールの香りの後に、
非常に爽やかな柑橘系の香りが色どりを添えています。
スタンダードなユーカリの香りと思われがちですが、
実際、かなり柑橘系の香りが強い、爽やか系の香りといえます。
とにかく、スッと香ってスッキリ突き抜ける強い爽快感があります。
花粉症に苦しむ私には非常に快適な香りです。
親愛なるこあら師匠のブログ「ユーカリクリニック」によると、
このユーカリをコアラに与えると、
不妊症になるとかいうとんでもない偏見があり、
日本の動物園でコアラには決して与えないそうです。
コアラが食べていそうなユーカリのイメージなんですがねぇ>3<
とにかくお茶にお風呂にポプリにと、
非常に使い道の豊かなユーカリなので、
これからも色々と活用していきたいと思っています。
少しベタなユーカリではありますが、使い道はたくさん!
外観も中々に綺麗なのでオススメしちゃいます。
ただし、本当に成長力は馬鹿になりませんけどね><;
是非皆さんも育ててみましょう!!
あなたはどのglobulusを選びますか!?
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<栽培難易度:A>
香良さ:★★★★★
香強さ:★★★★★
成長力:★★★★★
要水分:★★★★
耐過湿:★★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★★
耐病虫:★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-08-17 08:10 | ユーカリ紹介

ユーカリ酒を仕込みました
ブログには中々書けていませんが、
かなり多くの品種でユーカリ茶を飲みました。
メジャーなglobulus/robustaから、
マイナーなwebsteriana/aromaphloiaまで。
どれも特徴があってとっても美味です。
そして、今回はやっと!
念願のユーカリ酒を仕込みました!
作り方はホワイトリカーに
良く洗って水分を落としたユーカリの葉を入れ、
氷砂糖を入れるという
果実酒と全く同じ作り方です。
今回は”珍しく”協力的な同居人様に
大変ご尽力をいただきました@@!
今回仕込んだ品種は全10種!
私の興味で選んだのではなく、
伸び放題で剪定を必要とする品種から選びました><;
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Eucalyptus globulus ssp. globulus
Eucalyptus camaldulensis var. camaldulensis
Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis
Eucalyptus smithii
Eucalyptus grandis
Eucalyptus melanophloia
Eucalyptus tenuiramis
Eucalyptus rudis
Eucalyptus melliodora
Eucalyptus crenulata
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一ヶ月以上経ったら
葉を取り除いて飲むことができるようです。
どんな味がするのでしょうか?
楽しみ楽しみ~♪- # by eucalyptus_k | 2011-08-11 20:29 | ユーカリ(茶・酒)

【ユーカリ紹介-33】
ユーカリ・ムーンラグーン (Eucalyptus 'Moon Lagoon')続きまして第33回目は、
庭木や垣根に適した品種で
ユーカリには珍しい小さな葉と
美しいコバルトブルーの葉色が魅力の
ハイブリッド品種、ユーカリ・ムーンラグーンです。
◎ユーカリ・ムーンラグーン
【学名:Eucalyptus latens 'Moon Lagoon'】
【英名:Fine-leaved Mallee】
このMoon Lagoonはユーカリらしからぬ外観で、
その美しい葉や可愛らしい樹形から、
誰もが魅力を感じるであろうユーカリです。
名前のMoon Lagoonとは、
英語で月の入江という意味で、
なかなかロマンチックな響きです。
実は、このMoon Lagoonは、
Eucalyptus latensというユーカリと、
お馴染みのEucalyptus kruseanaの、
ハイブリッド(交雑種)なのです。
育ててみて感じるその性質や外観は、
latensのものを大きく引き継いでいます。
latensをベースにして
kruseanaの要素を付け加えたという感じです。
一般的にはEucalyptus Moon Lagoonと言われますが、
通常であればEucalyptusという属名の後には
cinerea/gunniiなどのラテン語の種小名が続きます。
実際Moon Lagoonというのは園芸品種名で
var.に続く名称に近くなっています。
正式にはあくまでもlatensの園芸品種なので
Eucalyptus latens 'Moon Lagoon'
というのが正しい表記です。
他でいえば、
Eucalyptus gunnii 'Silver Drop'や
Eucalyptus pulverulenta 'Baby Blue'
などと同じような表記になるわけです。
とにかく、白銀色の美しい
可愛らしい小さな葉が魅力です。
写真では分かりにくいですが
葉の表面はコバルトブルーが美しく
艶消しでザラザラのkruseanaそのものです。
また、やたらと脇芽が出やすい性質で
どんどんと樹形にボリュームが付いていきます。
園芸用にユーカリを育てるならば、
必ず候補に挙げてほしいほどに
園芸品種として大成功といえるユーカリです。
樹木としては、
大きくても4m以内の茂み状に育ち、
どちらかというと横に広がるタイプです。
基本的にはこの美しい小葉を保ちますが、
あまり大きく育ててしまうと、
先祖返りして、albidaの末葉のような、
濃い緑色で光沢のある細葉になってしまいます。
あまり大きく高く育てるのではなく、
小まめな剪定や摘芯を繰り返して、
美しくボリュームのある樹形へと仕立てたいものです。
こんなにも美しく魅力的なMoon Lagoonは、
アメリカやオーストラリアの花屋などでは
フラワーアレンジの定番品種のようです。
ところが日本ではあまり知名度もなく、
売られているのはほぼ見かけません。
もし今後、日本でユーカリを流行らせたいならば、
このMoon Lagoonは起爆剤になってくれそうです。
樹高があまり高くならない品種ですから、
皆さんの身長以下の樹高でも
容易に開花が見込めると思います。
花自体は小さな白い定番のユーカリの花ですが、
この美しい樹形に花が咲き乱れれば、
本当に名前のMoon Lagoonそのものといえますね♪
ではこのMoon Lagoonは育てやすいのか?というと
これは少し微妙でなんとも言えません。
難しい人には難しいでしょうし、
合う人には育てやすいユーカリです。。。
うまく説明できませんが、
私のようにユーカリを多く育てている者にとって、
少し異色な存在のユーカリなんです。
ユーカリといえば以前からお話しているように、
かなり乾燥を好み、日光が大好きで、
肥料はあまり効かないという特徴があります。
また、多くの品種は弱酸性の用土を好みます。
ところがこのMoon Lagoonは、
乾燥は他のユーカリと同じように好みますが、
弱アルカリ性の用土を好み、肥料も大好き、
日光はそこそこで水大好きという
ユーカリにはあまりないような特徴を持っています。
ある種、日本在来の乾燥を好むといわれる、
特に収穫物のあるような植物と
同じように育てていただければ良いと思います。
そのためMoon Lagoonは、
あまりユーカリを育てたことのない人の方が、
寧ろ育てやすいユーカリなのかもしれません。
逆に私のようなユーカリ栽培者には
少し厄介なこともあるユーカリなんです。
通常ユーカリを育てていると
肥料も水も余り与えずに
ガンガンの日光に当てていれば良く育ちます。
普段はこんな感じで余り手をかけません。
ところがこのようにMoon Lagoonを、
他のユーカリと同じように育てていると、
水切れが多発して枯れを出したり、
pHの不適合や肥料不足で生育不良になったりします。
また、余りに激しい日光を当てすぎると
生育がストップしたり葉焼けしたりするので、
真夏はバラなどのように少し遮光するか、
半日陰などで育てた方が生育状況が良くなります。
※決して日陰好きというわけではありません。
家のベランダではどうかというと、
真夏などはかなりベストな環境のようで、
葉も美しく、かなり見事に成長してくれます。
逆にmacrocarpaなどが爆発的に成長する
私の実家の庭では、暑すぎ、水少なすぎで、
かなり生育不良でヘロヘロになっています。
とにかく、水切れに気をつけてください!
ただし、あくまでも乾燥を好む植物なので
常に用土が湿っているなどは避けてください。
また風通しを良くしてください。
雨が降り続いて用土は湿り気味、
ようやく雨がやみ、晴れの日が来て、
朝にはまだ用土が湿っていたので水遣りを控えたら、
夕方には水切れして枯れが出ていた、
ということを良くやってしまいます。
そんな感じで突然水切れがやってきます。
また、葉が小さいため、水切れしても、
葉が枯れてくるまで気づかないことが多いです。
水切れにさえ気をつければ、
あとは、たまに苦土石灰を施したり、
成長期に置肥や液肥を与えていれば、
Moon Lagoonはきっとこの美しい樹形を
ふんだんに披露してくれるはずです。
こうやって見てみると、kruseanaの性質は
見た目以外ではほとんど引き継いでいないようです。
Moon Lagoonは病害虫の影響を比較的受けにくい方で、
過湿耐性はlehmanniiやcrucisなどと同程度かそれ以上です。
ただし、風通しが悪いとうどんこ病になることがあります。
成長力についてはどちらかというと遅い方です。
ただそれは一般的なユーカリの成長速度と比べた場合で、
一般的な植物のレベルでは平均的な成長力です。
成長期に肥料を多く与えたり、
湿度や温度、日照などの環境が合った場合には
なかなかの速度で成長することもあります。
また、環境が全く合わないと
まるっきり成長をストップします。
Moon Lagoonの成長速度は、
栽培環境の適合バロメータになると思います。
暑い真夏でも環境さえ合えば、
コンスタントに成長を続けますが、
少し涼しい春や秋に大きく成長します。
耐寒性については暖地では全く問題ないレベルで、
-7℃程度までは頑張るようです。
ただし、葉が小さいので
寒風には弱く、寒風吹きさらしだと
葉の多くに枯れが出てしまいます。
ただしっかりと育った株の場合は、
春になれば枯れた葉を落とし、
新しい芽をたくさん吹くことと思います。
葉を綺麗なまま保ちたい人は
寒風を避けて、軒下などで越冬すると良いでしょう。
気になるMoon Lagoonの香りですが、
kruseanaとほとんど同じ香りで、
シネオールの香りをベースに爽やかな柑橘系の香りがします。
とても爽やかで良い香りです。
kruseanaほどは強く香りませんが、
香りを楽しむユーカリとしての利用も可能です。
とにかく、いっぺん育ててみてください!
合うか合わないかは皆さんの育て方と、
皆さんのお宅の環境次第ですw
ただ、特に難しいユーカリではありませんし、
酷い水切れでもしない限り、
いきなり枯れるようなこともないと思います。
とにかく、ユーカリとして以前に
植物としてかなり美しいです!
育ててみたい方には何と!
このユーカリを主力として栽培している
素晴らしい農場をご紹介できますので、
是非声をかけてくださいね。
月の入江にぜひ魅せられてくださいね★
------------------------------
<栽培難易度:B+>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★(環境次第)
要水分:★★★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★★
耐病虫:★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-07-21 19:34 | ユーカリ紹介

ユーカリ栽培最大の障害
私がユーカリを育てている中で
最大の障害が二つあります。
それは、、、
うどんこ病とハダニです。
主な発生時期は
うどんこ病が5~7月と10~11月、
ハダニが7~10月です。
この二つの発生時期は微妙に被らず、
ダブルパンチを食わないのが唯一の救いです。
この二つの障害は
ユーカリを屋外の日光が良く当たる
風通しの良い場所で育てている人には
あまり縁のない存在かもしれません。
我が家はベランダと言う閉鎖された環境で
日照もかなり悪いということから、
この二つがかなり猛威を奮うのです。
ハダニは比較的大きく育った株に発生し、
執拗な水攻めと毎日の確認で
枯れを出すほどのことは中々ありません。
また、被害の酷くなる品種も限られています。
とにかく早目に発見して、
水で流してしまえば何とか乗り切れます。
最も暑い時期に大発生して、
手がつけられなくなるときには、
ニッソランという薬品を使用することがあります。
この薬品はハダニに対しては絶大な効果があり、
撒いてしまえば、そのシーズンはまず乗り切れます。
また、希釈倍率が高いので、
比較的幼い苗でも薬害が出ることはありません。
ただ、閉鎖環境で撒くと少し気分が悪くなるので、
本当に最後の最後にだけと決めています。
次にうどんこ病ですが、
これがある種、最強の障害といえます。
なぜかというと、
ミント系ユーカリの一部の品種以外、
ほぼ全ての品種に大発生し、
わずが数センチの超幼苗にも多発するからです。
大きな株の場合、葉が汚くなる程度の被害ですが、
小さな苗の場合は枯死する可能性が高いです。
また、閉鎖されたベランダですから、
もう広がり放題に広がり手がつけられません。
最初はなるべく農薬は使用せず、
ネットで色々調べて、木酢や重曹など
オーガニック系の方法を色々試しましたが、
家でははっきりいって全てまやかし。。。
効き目は全てがゼロでした。
うどんこ病というものは、
様々な植物で発生する病気ですが、
植物によって発生する菌はそれぞれが別種なのです。
うどんこ病といえば、イチゴやバラが有名ですが、
イチゴ、バラ、ユーカリにつく菌は異なるわけです。
そこで、ユーカリのうどんこ病に効く薬で
尚且つ薬害の出ない薬を探す旅が始まりました。
おそらくうどんこ病に効く薬として
そこらで売っているものは
全て試しきったといっても過言ではありません。
薬が効かずにうどんこ病で枯れた苗、
薬害で枯れた苗は数知れず。。。
周りでは最も葉が豊かに生い茂る時期が
家では最も葉が汚くなる時期になっていました。
あんなこんなで数年がかりで試しましたが
ユーカリのうどんこ病に効く薬というものを
どうしても見つけきれずにいました。
敢えて効果のあるものとしては、
トップジンMスプレーとカリグリーンです。
ただ、トップジンMスプレーは
多くの品種に薬害が出て、幼苗には使えず、
葉が白く汚れてしまうという欠点がありました。
また、完全に根絶するには力不足でした。
カリグリーンは撒いて1週間は押さえられますが、
1週間以上たつと、どんどんと再発していきました。
また展着剤の使用量が難しく、
展着剤の量を間違うと酷い薬害が出ました。
ユーカリの葉は白く粉を吹いているものが多く、
かなり強く水を弾く性質を持っています。
そのため、通常の展着剤の使用量では、
葉が薬を弾いてしまい、あまり効き目が望めません。
ただ、量を増やしてしまうと、白い粉を剥がしてしまい、
葉が汚くなり、そこから酷く枯れてしまいます。
私のイメージですが、
ユーカリはかなり薬害の出やすい植物です。
日光の良く当たる環境で
丈夫に育った葉ならともかく、
家のような日照不足の環境で育った
柔な葉であれば余計に薬害も酷くなります。
まあ、そんなこんなで、
数年越しで大概の薬も試し終わり、
半ばあきらめかけていたところでした。
ネットで何気なく調べていたときに、
ある薬品を見つけました。
紹介されていたうたい文句は、
うどんこ病の最後の砦だとか!
ただ一つ大きなネックがありました。
この薬は異様に高価なのです!
家にはかなりの量の株がありますから、
薬を買うときは業務用の100~250gの大袋で買います。
大概の薬はそれで大体1000円と少々
くらいの値段で買えるのですが、
この最後の砦は100gでなんと!
3500円近くもするのです(高すぎ!)
最後の最後まで迷いましたが、
ベランダは真っ白粉景色、、、
もうこれっきゃないと買うことにしました。
撒いてみて。。。
まず薬害はまったくありません!
家で最も薬害の多発する品種でも
ほぼ薬害は見られませんでした。
希釈倍率が2500倍なので、
薬害が出にくくなっているのでしょう。
次に効き目は。。。
一回撒いただけで、
うどんこ病の新規発生がほぼなくなりました!!
家で一番うどんこ病の被害の多い4品種。。。
Eucalyptus leucoxylon
Eucalyptus cladocalyx nana
Eucalyptus melanophloia
Eucalyptus Forrestiana
特にCladocalyxなんて、
我が家のうどんこ病の媒介主で、
葉を毎日ふき取っても、翌朝には真っ白。。。
もう手がつけられない品種でした。
この4品種だけは何度か繰り返し撒いて、
これもほぼ発生を抑えることに成功しました。
もちろん薬害もありません。
数センチの幼苗にも撒きましたが、
これもほぼ薬害はなしといえる状態でした。
これから先の経過を見ていかないと、
最終的な結果はわかりませんが、
この薬害のなさで、この効き目は凄いと思いました。
私みたいに閉鎖環境で苗同士の葉が触れ合うくらい密に
100品種以上も育てている人はいないと思いますが、
うどんこ病に悩まされる人がいたらぜひお試しください。
ただし、2500倍希釈の薬品が100gで3500円前後。
これは普通の人には中々手が出しにくいかもですね。
その最後の砦の名は!?
ポリオキシンAL水溶剤
他に水和剤や乳剤もありますが、
水溶剤を選択してください。
成分は土壌細菌から発見された天然物質で
純国産の抗生物質だそうです。
そのため、人体や他の動物に対する
危険性が極めて低くなっています。
私は撒いても気分が悪くなったり、
肌が荒れるようなことは一切ありませんでした。
この成分を食らったうどんこ病菌は
新たな胞子や菌糸を生成することができなくなるため、
強力な防除効果と治療効果があるようです。
また凄いことに!
ハダニにも効くようで
殺ダニ剤としても認識されています。
これは本当にお役立ちですね!
ユーカリのうどんこ病&ハダニに効く薬
そして私のためにあるような薬
やっと見つけることができました♪- # by eucalyptus_k | 2011-06-26 01:05 | ユーカリ(栽培知識)