ユーカリの名前について
ユーカリに限らずですが、
学名・英名・和名・商品名など様々な呼び名があります。
特にユーカリの場合、
日本にはほとんど存在しない品種が多いので、
英名がそのまま和名になっているものや、
和名がそもそも存在しないものもあります。
例えば、Eucalyptus cinereaの場合、
[学名] cinerea
[英名] Silver Doller Gum / Argyle Apple / Mealy Stringybark
[和名] ギンマルバユーカリ
[商品名] シルバーダラーユーカリ etc.
といった感じになります
英名はともかくとして、和名は非常に曖昧です。
そのため、本ブログではあまり使用しないか、
「銀丸葉ユーカリことcinerea」と言ったりしています。
試しに近くのホームセンターや園芸店で
「銀丸葉ユーカリ」と注文してみてください。
恐らく十中八九、gunniiやpulverulentaが届くでしょう。
このようにユーカリの場合、
和名なんてあってないようなものです。
一部、レモンユーカリとユーカリノキだけは、
比較的日本に根付いた和名と言えます。
色々な名前が交錯すると
私でもややこしいと思う程なので、
基本当ブログでは学名を使用するようにしています。
また学名の読み方には、極力cinerea/macrocarpa等の
アルファベット表記を使用するようにしています。
この学名というのは、
ラテン語やギリシャ語を元に付けられています。
そのため、macrocarpaを
マクロカーパと読むのは間違いで、
正しくはマクロカルパという読みになります。
ただその販売者が、
これはマクロカーパという商品名なんだ!
と言い張った場合にはそれで通ってしまうので、
あくまでも正式な学名の読みが
マクロカルパということしか言えないのです。
他にはcypellocarpaというユーカリがあります。
このユーカリは当初様々な読みが交錯していました。
私も最初はシペロカルパだと思っていましたが、
サイペロカルパではないか?と言われたこともあります。
それで調べてみた結果、
ギリシャ語のカップという意味の
キペロという単語が語源になっているので、
正しくはキペロカルパということがわかりました。
他にも正しいとわかっているものでは、
[albopurpurea]
アルボパープレア ×
アルボプルプレア○
[nitens]
ナイテンス ×
ニテンス ○
などがあります。
人名や地名が元になっている品種があります。
これは一体何語で読むのが正しいのか、
正直全くわかりません。
[archeri] アーチェリー氏発見
アーチェリ? アルチェリ?
[woodwardii] ウッドワード氏発見
ウッドワルディー? ウッドワーディー?
[kybeanensis] カイビーン付近に生息
キベアネンシス? カイビーネンシス?
[lane-poolei] レーンプール氏発見
ラネプーレイ? レーンプーレイ?
こんな感じで困惑しますので、とにかく
アルファベット表記をするようにしています。
学名の語源を調べる資料自体はあるので、
一度時間があったら、
再編集してみようかなとも考えています。
ぶっちゃけ私自身も日本語読みは
間違っているものがたくさんあると思います。。。
ピックアップしてみるだけで、
[urnigera]
アーニゲラ×
恐らくウルニゲラ
[urna]
アーナ
恐らくウルナ
[orbifolia]
オービフォリア×
恐らくオルビフォリア
[campaspe]
カンパスプ×
恐らくカンパスペ
[cladocalyx]
クレイドカリックス×
恐らくクラドカリックス
[sturgissiana]
スタージシアナ×
恐らくストゥルジシアナ
などなど...トホホ...- # by eucalyptus_k | 2015-08-06 19:04 | ユーカリ(品種知識)
ユーカリ・アーナ(urna)の蕾
またまた非常に珍しいユーカリに
蕾が付いているのを発見しました。
こちらで紹介している
レアなユーカリurnaです。
花自体はスタンダードなユーカリの花になると思いますが、
urnaの花ももしかすると日本初!?と言えるかもしれません。
文献によると、初夏~秋まで幅広く咲くようなので、
早ければ秋口には咲くかもしれません。
urnaは最高樹高16mクラスの中型ユーカリですが、
蕾の付いた株はわずか120cm程度の株になります。
実はこのurnaもここ2年程はかなり調子が悪かったです。
葉に変な枯れが出るという症状が発生していたので、
菌類か何かの病気かと思っていました。
確かに病気による影響もあるでしょうが、
主な原因は水切れと日焼けだったようです。
今年から半日陰程度の涼しい場所に移して、
水をたっぷり与えるようになってから、
ほとんど痛みが生じなくなっていました。
今春までは見るも無残な姿でしたが、
春以降にかなり美しい樹形を
取り戻してきた矢先の蕾になりました。
urnaも西AZのユーカリで
そこそこデリケートな品種ですから、
開花までまだまだ安心はできませんが、
是非とも珍しい品種の開花を実現したいところです。
ふとurnaの間横にあるpleurocarpaに目をやると
その蕾が開花し始めていました。
次の記事はpleurocarpaの開花
になるでしょうか?- # by eucalyptus_k | 2015-07-15 17:36 | ユーカリ(花と蕾)
西オーストラリアのユーカリ栽培のポイント
一般的に西AZのユーカリは
日本と環境が合わないため、
栽培が難しいと言われています。
確かに中には少しのミスで枯死につながるものや、
毎年同じ時期になると調子を崩すものがあり、
安心して放置できないものが多いです。
日本との大きな環境の差としては、
●絶対的な降雨量に差があること(日本の1/6程度)
●夏が乾燥し、冬が若干湿潤であるということ
●日本のような年単位での寒暖差より一日の寒暖差が大きいこと
●降雨による水分よりも地下水を吸っていること
●土壌の養分が日本と大きく異なること(日本よりも貧しい土壌)
などが挙げられるかと思います。
同じユーカリと言うことだけで、
日本でありふれたgunniiなどと
同じように栽培しているだけでは、
確かにうまくいかないこともあるでしょう。
ただ一部の難しい品種を除けば、
後はその栽培方法にさえ慣れてしまえば、
そこまで難しいものばかりではありません。
私が勝手に感じている範囲で
西AZのユーカリにはいくつかのグループがあります。
それによって若干栽培方法が変わってきます。
あくまでも我が家の栽培環境による判断ですが、
西AZのユーカリの栽培ポイントについて記します。
※あくまでも鉢植えでの管理のポイントです。
ただしあまりにも西AZのユーカリの管理に慣れ過ぎると、
植物=乾燥を好み、肥料はほぼ不要となってしまって、
私のようにパセリを枯らすことになるかもしれません。
1. 半砂漠地帯に生息する強乾燥を好むグループ
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このグループのユーカリは、
最も日本と環境の差のあるグループです。
大体、難しい品種というのは、
このグループに含まれるものが多いです。
とにかく用土の選定を間違えると
難易度がさらに驚異的に跳ね上がります。
またものによっては、梅雨時期などは
雨を避けた方が良いものもあります。
○乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○用土は最も乾燥力の強いものを選ぶ
○真夏はほぼ一日で用土が全乾きするくらいの配合が良い
○この配合で朝に一日一回の水遣りで夏を乗り切る
○終日直射日光に当てて育てる、半日陰は苦しい
○暑く日照が良く、風通しの良い場所に置く
○冬場はほぼ断水に近いほどの管理を行う(月1~2回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○荒れ地に生息しているため高pHや多肥を嫌う傾向にある
○肥料はリン酸分を嫌い鉄分や亜鉛などを多く必要とする。
○室内管理は論外
macrocarpa/rhodantha/kruseana/campaspe/woodwardii
youngiana/gamophylla/gongylocarpa/tetraptera など
2. 非常に乾燥した半砂漠地帯に生息する強乾燥を好むグループ
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このグループのユーカリも、
最も日本と環境の差のあるグループです。
1のグループ程、激しい日光と高温を必要とはしませんが、
用土の乾燥力はさらに強化した方が良いものが多いです。
用土の選定を間違えると難しいところは同じですが、
日照よりも風通しに気を付ける必要があります。
高い空中湿度のある場所ではすぐに葉を散らせます。
多くの品種において、梅雨時期などは
雨を避けた方が良いものが多いです。
○乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○用土は最も乾燥力の強いものを選ぶ
○終日直射日光に当てて育てるのが良く、半日陰程度でもOK
○何よりも風通しの良い場所に置くことが重要
○ジメジメして人間が不快を感じるような高温多湿な場所を避ける
○梅雨時期の葉痛みはある程度の妥協が必要な場合もある
○夏場でもかなり水切れに耐えられるものが多い
○半日陰程度であれば夏場でも一週間程度持つものもある。
○冬場はほぼ断水に近いほどの管理を行う(月1~2回)
○冬場は底面吸水が良いが1ほどは気を使わない
○肥料は1ほど気を使わないが高pHや多肥は好まない。
○室内管理は論外
orbifolia/websteriana/gillii など
3. 平均的な西AZのユーカリに属するグループ(高温を好む)
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このグループのユーカリは、
平均的な西AZのユーカリ栽培方法で管理できる
最もスタンダードな品種です。
その中でも特に高温と日光を好み、
夏場に大きく成長を進めるものが多いです。
このグループのユーカリを入門編として
育てると良いと思います。
私のユーカリ栽培方法は
このグループのユーカリを最も中心に考えていて、
我が家でも調子の良い品種が多いです。
○育苗初期は乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○一度根をしっかり張ってからはある程度融通が効く
○用土はかなり乾燥力の強いものを選ぶ(粒状培養土系)
○根をしっかり張った後はそこそこ吸水量の激しいものもある
○終日直射日光に当てて育てるのが良い
○半日陰程度でも栽培は可能だが成長力はかなり悪くなる
○暑く日照が良く、風通しの良い場所に置く
○冬場はかなり乾燥気味の水遣りを行う(週1回~10日に1回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○肥料にはそこまでうるさいものは少ないが高pHは良くない。
○室内管理は論外
albida/pleurocarpa/extrica/dicipiens/torquata/torwood
caesia/forrestiana/pachyphylla/pluricaulis
salmonophloia/uncinata/dolichorhyncha など
4. 平均的な西AZのユーカリに属するグループ(穏やかな気候を好む)
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このグループのユーカリは、
平均的な西AZのユーカリ栽培方法で管理できる
最もスタンダードな品種です。
日光は特に好きな品種ですが、
どちらかというと涼しい季節に成長を進め、
盛夏にはあまり動きがなくなるものが多いです。
中にはあまりにも真夏の激しい日光を浴びると
少し葉焼けをするものもありますので、
半日陰強くらいでの管理が良いです。
その分、3よりも少し過湿に強いものが多いです。
このグループのユーカリも入門編として
育てると良いと思います。
私のように3のユーカリを基本に考えていると、
夏場は少し葉が汚くなることがあります。
○育苗初期は乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○一度根をしっかり張ってからはある程度融通が効く
○用土はかなり乾燥力の強いものを選ぶ(粒状培養土系)
○根をしっかり張った後はそこそこ吸水量の激しいものが多い
○春秋冬には終日直射日光に当てて育てるのが良い
○夏場は半日陰程度か少し遮光をした方が経過は良い
○風通しの良い場所に置くことは3に同じ
○冬場はかなり乾燥気味の水遣りを行う(週1回~10日に1回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○比較的高pHに対する耐性の高いものが多い
○室内管理は論外
lehmannii/macrandra/erythrocorys/urna/grossa
accedens/crucis/lane-poolei/leptopoda など
4. 冷涼湿潤でかなり穏やかな気候を好むグループ
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このグループのユーカリは、
冬も夏も非常に温暖且つ涼しく、
少しぬるま湯的な環境で育っているものが多いです。
平均的な西AZのユーカリ栽培方法よりも
少し湿潤を好み、過湿耐性はそこそこです。
ところが高温多湿な環境をとても嫌い、
高温多湿が過ぎると、葉が激しく傷んだり、
菌類系の病気に悩まされることが多いです。
日照は半日陰程度で十分なので、
できる限り風通しの良い涼しい場所で管理します。
どちらかというと涼しい季節に成長を進め、
盛夏にはほとんど動きがなくなるものが多いです。
冬場もそこまで耐寒性の強いものは少ないですが、
寒くてもそれなりに吸水の進むものが多いです。
私のように3のユーカリを基本に考えていると、
夏場は少し厄介なところもあるユーカリです。
○育苗初期は湿潤に管理しても生育は良好(育苗は楽)
○初期の育苗はなるべく涼しい季節を中心に行う
○用土は排水性の良いものを選ぶ(夏を乗り切るため)
○根をしっかり張った後は吸水量の激しいものが多い
○春秋冬には終日直射日光に当てて育てるのが良い
○夏場は半日陰程度か少し遮光をして育てる
○何よりも風通しの良い場所に置くことが重要
○ジメジメして人間が不快を感じるような高温多湿な場所を避ける
○冬場は東AZのユーカリと同じような水遣りでOK
○肥料はリン酸分を嫌い高pHでは障害の発生するものが多い
○一部厳冬期の日中や夜間限定の室内退避は可能
preissiana/pachyloma/nutans/platypus/vesiculosa など
5. 例外-1(rudis)
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高い空中湿度に対する耐性もあり、
暑さに対する耐性も高いので、
楽な東AZのユーカリと同様に育てられます。
西AZのユーカリではありますが、
ユーカリ全体でもかなり育てやすい部類になります。
湿地帯生息種のため相当の水食いですが、
そこまで水切れが早いということもありません。
特筆すべきポイントは、冬の寒さには特に弱いので、
小さな間は0℃以下にならない場所に
退避して管理することが大切です。
※成長後は-5℃程度でも耐えることができる。
日照も半日陰程度で育てられます。
また高pHに対する耐性も高く、
用土を酸性にする力が強いので、
アルカリ土壌の改良にも使用されるそうです。
5. 例外-2(moon lagoon)
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半日陰程度の日照でも育てられます。
また過湿に対してもかなり高い耐性を持っています。
かなりの水食いで水切れに気を付ける程ですが、
排水性の高い用土を好みますので、
ある程度乾燥気味に管理した方が生育は良好です。
特筆すべきポイントは
ユーカリには珍しく高pHと多肥を好みます。
肥料をたくさん与えないと生育が悪くなり、
与えれば与える程効果が表れてきます。
そして最後に総括です。
■用土
最も重要な要素の一つです。
この選定を間違えると難易度が跳ね上がったり、
根本的に栽培が不可能な場合があります。
置き場所や栽培環境により左右されますが、
下記が一般的にオススメの用土です。
○ゴールデン粒状培養土 観葉植物用などの粒状培養土
1や2などの強乾燥を好む品種では、
ここに鉄分が豊富な桐生砂、岡山土などや、
ゼオライト、日向土、軽石などを加えて乾燥力を強化する。
○自前でブレンドする場合
硬質赤玉土や硬質鹿沼土などをベースに使用するか
上記の岡山土や日向土などをベースに使用する。
赤玉土や鹿沼土は硬質のものを使用しないと
崩れて粘土化して逆効果になる。
※硬質と名の付くものは通常の2倍以上の価格がします。
○私のブレンド用土(参考)
硬質赤玉土...3
硬質鹿沼土...2
桐生砂...2
ゼオライト(クリノプチロライト系)...2
くん炭...1
■鉢
乾燥力の強いものが推奨です。
下からも乾燥が進むスリット鉢がオススメです。
陶器系のしゃれた鉢などはオススメできません。
また根張りを考えて縦に長いものが良いです。
テラコッタや素焼き鉢などもOKですが、
素材状菌類の繁殖が進みやすいようです。
※経験上経過がイマイチ
根が十分に張り切るまでは、
全体的に株に比べて少し小さめの鉢で栽培すると
格段に難易度が下がります。
この理由は単純に鉢が小さいと
用土量が少なくなるため、
根の行き届かない範囲の用土に
無駄な水分が残ることを防止できるからです。
■日照
一部の真夏の直射日光を避ける品種以外では、
在来の植物では信じられないほどに耐性があります。
特に葉の白い粉は日焼け防止の効果もあるので、
白みの強いものは激しい日光を好むものが多いです。
ユーカリはあくまでも樹木なので、
基本は花草よりも多くの日光を必要とします。
また日光は蒸散と吸水の少ない西AZのユーカリの
用土乾燥を促す効果もあります。
株だけではなく、鉢や用土にも良く日光を当てることで、
根の成長促進と乾燥力強化につながります。
これはかなり大きく成長に差の出るポイントです。
■風通し
全体的に風通しの良さは重要です。
特に東AZのユーカリと比べると大きく差の出るポイントです。
目安は気温自体は暑くても良いので、
人間が不快になるようなジメジメした空中湿度を避けます。
風が良く吹いて外でも涼しいなと感じる場所が良いです。
私がユーカリに適したような
湿度の低い国を訪れた際の経験談ですが、
気温が30℃以上あったとしても、
長袖の白い服を着ている方が涼しいのです。
このような湿度の低い環境がユーカリには最適になります。
また周囲に他の植物や壁などがない場所の方が
格段に風通しが良くなります。
ただし強風による転倒には注意が必要です。
■水分管理
西AZのユーカリ栽培を左右するとても重要なポイントですが
用土と日照、風通し次第では
そこまで気を使わなくて良くなります。
日本の多くの植物では用土表面が乾き始めたら
水遣りを行うという指標がありますが、
それでは少し多すぎるきらいがあります。
どちらかというと用土が中の中まで
ほぼ全乾きする寸前がベストな水遣りタイミングです。
このタイミングは本当に
置き場所や根の張り具合で大きく変わります。
例えば1のグループに属するmacrocarpaでも、
用土と鉢サイズが適切で真夏に直射日光下に置くことで、
ほぼ一日で完全に用土が乾くということになります。
逆に用土の保水性が高く、置き場所の日照が悪く、
根の張りも不十分である場合には、
真夏でも一週間経っても用土が一向に乾かないこともあります。
ユーカリ全般に言えることですが、
特に西AZのユーカリでは、
用土が良く乾き、良く水を与えるといったサイクルが
最も健康な株を安定して育てられる要素になります。
そのためには先述した通り、
用土と日照、風通しがキーになってきます。
■肥料
良くあるマグァンプなどの肥料は
リン酸分が多くなっています。
日本の多くの肥料は花を綺麗に咲かせるものが多いので
自ずからリン酸分が多めに設定されています。
オーストラリアの土壌にはリン酸分が存在しないため、
ユーカリにはほとんど役に立ちません。
品種によっては害にさえなる程です。
基本的に商用栽培でもない限りは
肥料を全く与えなくても栽培は可能ですが、
成長期の液肥などはある程度の効果が見込めます。
その際にはリン酸分が少ない肥料や
微量要素(鉄分など)が多いものを選択します。
我が家では根菜用のカリウム分の多い肥料なども
相応に効果が出ていることを確認しています。
また石灰や化成肥料を与えすぎると、
土壌のpHが上がって、アルカリ寄りになります。
そうなると鉄分欠乏の症状が現れることがあります。
一部、高pHを好むユーカリもありますが、
基本ユーカリは弱酸性~酸性の用土を好みます。
肥料の与えすぎによる高pHには注意してください。
まずは入門編と言われている西AZのユーカリを育ててみて、
西AZのユーカリの育て方に慣れることが先決です。
西AZのユーカリは外観の面白いものや、
美しい花を咲かせるものが多いので、
是非とも育ててみてください!- # by eucalyptus_k | 2014-09-01 17:02 | ユーカリ(栽培知識)
【ユーカリ紹介-47】
ユーカリ・アーナ (Eucalyptus urna)続きまして第47回目は、
白銀色の逆ハート型の葉が美しく、
日本の植物にはないような、
とっても変わった葉の付き方が特長の
ユーカリ・アーナです。
◎ユーカリ・アーナ
【学名:Eucalyptus urna】
【英名:Merrit】
このurnaは、現地でも非常にマイナーで、
マニアックな西オーストラリアのユーカリです。
これもたまたま、ユーカリ識別ソフトで
ユーカリの一覧を何気なく見ていたときに
その葉の付き方の面白さから興味を持ちました。
ところがurnaは非常にマニアックなユーカリであるため、
少しタネを見つけるのに苦労しました。
最終的にはいつもお世話になっている
ebayのタネ屋さんに探してもらって手に入れました。
パッと見は色も葉型もgilliiに良く似ています。
ところが横から葉を見てみると、
とっても不思議な付き方をしていることがわかります。
葉と茎をつないでいる部分に
ウイング(羽根)が付いていて、
横から見るとその変わった形状が良く分かります。
このウイングはとても面白いのですが、
支柱をするときには、どうしても傷つけてしまうので、
urnaはとても支柱のしにくいユーカリです。
urnaの葉色は綺麗な白銀エメラルドで、
gilliiなどと同じような感じの美しい葉です。
育苗初期にはとても小さな葉が出てきて、
少し頼りない感じで心配していましたが、
しっかりと日光に当てて育てていると、
gilliiと同じくらいの大きさの
硬く立派な葉へと育っていきます。
株元には初期の小さな葉がまだ残っています。
urnaの生息地はalbidaなどとほぼ同じ地域です。
こんなに特徴的で面白いユーカリですから、
最初は低木ブッシュ状の品種かと思っていました。
ところが、urnaは、実際には16m程度と、
西AZのユーカリの中では比較的大きなサイズの
Mallee型(灌木型)の樹木へと育つようです。
また、少し残念なことに、
大きく育ててしまうとalbidaと同じように、
柳のように細長い、光沢のある
深緑色の葉へと変わってしまいます。
urnaのこの特徴的な葉をキープするためには、
なるべく鉢植えで樹高を抑えて
のんびりと育てていきたいところです。
学名のurnaの意味ですが、
その実の形状が壺(urn)の形をしているため、
そのurnから名付けられた学名です。
urnigeraもurnから学名の付いたユーカリですが、
urnigeraの場合は、葉の形がurn型ということから名付けられたので、
実の形状から名前の付いたurnaとは少しだけ理由が異なります。
urnaの管理方法についてですが、
他の特徴的な西AZのユーカリの例にもれずに、
水分管理や日照にうるさいところがあります。
また、発芽してからの育苗初期の生存率がとても低く、
生育不良でうまく育たずに枯れてしまう株が際立って多いです。
ただし、25cm程度にまで育ってしまえば、
albidaなどとあまり管理方法は変わらなくなります。
あまり嬉しくないurnaの特徴ですが、
育苗初期の難易度が少し高いユーカリといえます。
育苗初期にはとにかく、タネをたくさん播くことと、
他の苗よりもさらに乾燥気味に管理することです。
また根の張りが激しく、少しデリケートなので、
最初から少し大きめのポットや鉢に植えつけた方が
生育不良を出しにくいように思います。
25cmを超えてからのurnaの管理は
albidaとほぼ同じ管理で大丈夫です。
とにかく終日直射日光に当てて、
強乾燥力の用土で、乾燥気味に育てることです。
ただ、夏場はalbidaよりも少し吸水が激しく、
水切れが起こりやすいので注意してください。
空中湿度が高いと少し葉が傷んだりしますが、
urnaは基本的に病虫害を受けにくいユーカリです。
また、雨に当てて育てていても、
albidaほど葉が汚くなることもありません。
一番大切なのは他の西AZのユーカリと同じで
日光にふんだんに当てることです。
日照が足りないと、上の写真のような
初期の頼りない葉のままで、
いつかは弱って枯れてしまうことになります。
ただし大阪などの真夏の暑さは
urnaには少し暑すぎるようで、
若干の葉焼けが発生することもあります。
地域によっては、涼しい場所で管理を行い、
盛夏限定で少し遮光した方が経過が良いこともあるでしょう。
東AZのユーカリと比べると少し我儘ですが、
とにかく25cm以上にさえ育ってしまえば、
西AZのユーカリの中では特に難しい方ではありません。
比較的大きな樹木へと育つ品種だからでしょうか。
caesiaやaccedens程ではありませんが、
albidaなどと比べると、urnaの成長力は激しい方です。
urnaの耐寒性ですが、
昨年の冬は場所の都合で温室の外に出していたのですが、
とくに目立った葉痛みはありませんでした。
恐らくalbidaなどと同じく、
-7℃程度までは耐えられるかと思います。
ただし、小さな間は、葉が軟いので、
寒風の直当たりは避けた方が良いかもしれません。
urnaは、西AZのユーカリの中では
際立って耐寒性の強いユーカリであるといえます。
冬場はほとんど水を吸わなくなるので、
忘れたころに水遣りをする程度で管理してください。
気になるurnaの香りですが、
シネオールの香りをベースに、少しアロマティックな香りがします。
シネオールの香りを少し円やかで高貴にしたような感じです。
他で言うと、leucoxylonなどの香りにも似ています。
ただし、香りの方はleucoxylonなどよりも
びっくりするほど強いです。
先日、写真を撮る際に、支柱を付け直したのですが、
部屋中がurnaの香りでいっぱいになりました。
支柱を付ける際には、
どうしても葉のウイングを傷つけてしまうので、
香りが強くなるのはある程度、理解できます。
それでも、部屋中が強く香る程までになって、
少し触っていただけなのに、手が精油でベトベトになりました。
恐らく、精油の含有量がかなりのものなのでしょう。
見た目の面白さだけでなく、
香りを楽しむユーカリとしても十分通用します。
とにかく、urnaは見た目がかなり特徴的で、
ツキヌキユーカリ(perriniana)などに次いで、
園芸仲間に自慢できそうなユーカリです。
ところが、非常に残念なことに、
現地でもタネが手に入りにくいほどにマニアックなので、
日本で苗を手に入れることは恐らく不可能でしょう。
urnaを育ててみたい方は、まだ在庫があると思うので、
タネを売っているタネ屋を紹介することができます。
先日も、とある方の依頼を受けて、
urnaの種子購入を代行しました。
urnaはとても素晴らしいユーカリなのですが、
マニアック過ぎるのがたまに傷です。
見た目も面白く、且つとても美しく、
香りも非常に強いユーカリなので、
是非とも日本で流行って欲しいユーカリの一つです。
興味のある方は、相談にのることができます。
遠慮なく、声をおかけください!
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<栽培難易度:C>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★★★
成長力:★★★
要水分:★★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★
耐移植:★★
耐寒性:★★★★
耐暑性:★★★
耐病虫:★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2012-08-21 15:16 | ユーカリ紹介
続 困ったユーカリの症状
先日、こちらの記事で紹介した
ユーカリの困った症状ですが、
親愛なるこあら師匠からの情報によると
どうやら菌類による病気の可能性が高そうです。
私は基本的にはトップジンMを使用していたので、
そろそろ別の殺菌剤へローテするために
昨日、早速、ベンレートを購入しました。
今の時期に殺菌剤を使用しても効果は微妙なので、
もう少し暖かくなったら
一斉に殺菌剤を散布したいと思います。
それでは、少しマズイ状況のユーカリたちです。
冬場はどうしても温室管理が多くなり、
湿気がこもりやすいので、
症状が回復に向かうようなことはありません。
この症状はEucalyptus pachylomaにのみ発生します。
というか、全てのpachylomaに発生しています。
葉にシミができて隆起して固くなります。
サビ病?という感じでしょうか?
この症状は下葉から発生して、
徐々に上の方の葉に転移していきます。
感染した葉はしまいには枯れて散ってしまいます。
今のところ有効な対処法はありません。
次にEucalyptus tetrapteraの症状です。
この赤班はその他の品種でも比較的頻繁に発生します。
あまり、広がることはなく、
その葉がダメになってしまう程度ですむことが多いです。
これはEucalyptus viminalis ssp. cygnetensisの症状です。
酷いクロロシス様の症状になり、
葉先がカールして枯れたりします。
新芽が全てこのように貧弱に生えてきます。
下の方の青々とした葉が正常なものです。
この症状は栄養素の不足によるものかもしれません。
次が、こあら師匠のところでも発生していた
Eucalyptus macrocarpa ssp. elachanthaの症状です。
これも全てのssp. elachanthaに発生しており、
ssp. macrocarpaにはほとんど発生しません。
クロロシス様の葉が生え続けて、斑点ができます。
いつになったらまともな葉が生えてくるのでしょうか?
この症状もしまいには葉が枯れてしまいます。
次は菌による症状ではなく、
事故による悲惨な状況のご報告です
マンション12Fのベランダでは、冬~春にかけて、
風速10m以上の強風が吹き荒れることがあります。
このような風が吹くと、立っているのも困難で、
どこかから洗濯物が飛来することもあります
その強風によって、我が家のタオルかけが転倒し、
大切なEucalyptus urnaが折れてしまいました。
パッと見はまともに見えますが、
下の写真の黒いビニタイのところで
ポッキリ折れて皮一枚で繋がっていました。
折れた箇所から上は完全に枯れることもありますが、
このようにしていると、自然とくっついて
修復されていることがあります。
今のところ1週間以上経過していますが、
特に枯れが出たり、萎れることもありません。
暖かくなってから、ダメージが出ることもありますが、
元気に復活してくれることを願っています。
ちなみに、10cm程度のmacrocarpaの苗を
ドバトにポッキリ折られてしまったことがありますが、
そのときもこのように固定していたところ、
無事にくっついて今は50cmを超える株に成長しています。
本当にユーカリの生命力にはびっくりさせられます!- # by eucalyptus_k | 2012-03-20 16:48 | ユーカリ(栽培知識)