識別しにくいユーカリ(2)~Eucalyptus gunnii~
第一回の~はじめに~を何気なく書いて、
そこからすぐに「止めようか?」という壁にぶち当たりました。
何故かというと、このgunniiの識別は、
おそらく全ユーカリ中で最も困難になると思われたからです。
今回は当ブログを書いている中で
最も時間と労力を費やしました。
読んだ資料は10点を超え(全て英語です。。。)、
問い合わせた現地の栽培者や研究者は5名以上。
それでも確固たる結論は出ていませんが、
とりあえず今の時点で分かったことを書いていきます。
今後も引き続き、研究は続けていきます。
そして分かったことは必ずこちらに書いていきたいと思います。
まず、gunniiで学術的に認められている亜種は下記の3種です。
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Eucalyptus gunnii ssp. gunnii
Eucalyptus gunnii ssp. archeri
Eucalyptus gunnii ssp. divaricata
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この中のssp. divaricataですが、
これは英語のDivaricate(分岐する)から来ており、
ssp. gunniiから分岐して
新しく分類された品種という意味です。
ここで一つとても厄介なことがあります。
学説によってはこのssp. divaricataを
ssp. gunniiと完全に同種とみなすこともあるのです。
まあそれだけ良く似ているということで、
資料や情報も格段に少なくなってしまいます。
もちろん、今回はssp. divaricataを
完全に別種として考えていきます。
このssp. divaricataは絶滅危惧種に指定されており、
恐ろしく狭い、超限られた地域にのみ自生しています。
もし、興味があったらGoogle Mapで調べてみてください。
タスマニア島のMienaという町付近に
Shannon Lagoonという周囲7km程度の小さな湖があります。
ssp. divaricataはこの湖の周囲にのみ
わずかな数だけ自生しています。
周囲7kmというと富士五湖の中で
最小の精進湖と同じくらいの湖です。
ということはssp. divaricataは、例えばヒノキに例えるならば、
精進湖の周囲にのみわずかに生息しているヒノキのみを
別種として認定しているのに等しいということになります。
通常であれば、このような限定された品種を
私がタネを入手して育てたり、
苗をホームセンター等で購入することなどあり得ないことです。
でも、そこらへんのホームセンターで売っているんです!
タネも現地の種屋であればどこでも扱っています。
アメリカやヨーロッパでgunniiといえば、
十中八九はこのssp. divaricataのことです。
なぜここまで、このssp. divaricataが
メジャーになったのでしょうか?
それは、フラワーアレンジなどに向く品種だと目をつけた
ヨーロッパの栽培者が現地でタネを手に入れて持ち帰ったそうです。
そして、その美しい外観と強健でコンパクトに育つ性質が人気で、
またたく間に世界中でgunniiの園芸品種として広まったようです。
こんなに簡単に広がる品種が何故絶滅の危機にあるのか?
それはこの強健なssp. divaricataには、
水切れにだけは非常に弱いという弱点があるためです。
1990年頃から生息地の雨量が減少し、干ばつが続いた結果、
多くのssp. divaricataが枯死してその数を減らしました。
まずはssp. divaricataに関する
これらの情報を押さえた上で識別へと進みたいと思います。
gunniiの識別は単純に3種を比較することは不可能です。
まずは第一段階の比較として、
ssp. divaricataか?それ以外の2種か?という識別を行います。
早速ssp. divaricataの写真を見ていきましょう。
以下の写真は私のところで育てているものです。
まずは比較的幼い苗の写真です。
そして次はかなり調子良く成長した苗です。
遺伝子的にはgunniiとUrnigeraの間に位置するようなので、
葉がかなり綺麗な白銀水色をしていて、
色だけで見るとCinerea(銀丸葉ユーカリ)のようです。
次にssp. divaricataの特徴です。
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-苗時点-
1. 葉や茎は非常に強く粉を吹き、白銀水色になる
2. 葉が楕円よりもかなり丸くなる傾向が強い
3. 大きく育っても葉は比較的小さ目の傾向が強い
4. 茎のザラザラは成長後、早い段階で消えてなくなる。
5. 茎は四角型と丸型が等しく発生する
6. 葉先が尖らずに丸くなる傾向が強い
7. 対に付いた葉同士の茎との接点は重なりやすい
8. 非常に脇芽が出やすく、こんもり育つ
正直、非常に曖昧ではありますが、
これが苗時点での特に大きな識別のポイントです。
とにかくgunniiをたくさん見てください。
そうすれば、何とか識別が可能になると思います。
一番大きなポイントは1と2です。
-樹木時点-
1. 蕾・実は非常に白色が強くなる
2. 実の形はツボ型になる
3. 12m~15m程度の低木に育つ
4. 大きく成長してからの葉は白色が強い
5. 木立ち(Tree)型に育つ
-その他
1. 香りはシネオールを含まず、柑橘系が強い
2. 耐寒性は非常に強い(-18℃以上)
3. 水切れに弱い
4. Shannon Lagoon周辺の限られた地域にのみ生息
他の2種はここまで白い蕾をしていません。
これは大きな識別のポイントですね。
ちなみにssp. gunniiはもっと大きな木へと育ち、
ssp. archeriは灌木型(Mallee)に育ちます。
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次に第二段階の比較として、
ssp. gunniiか?ssp. archeriか?という識別を行います。
結論ですが、この識別は葉や茎などからはほぼ不可能です。。。
まずはssp. gunniiの写真を見ていきましょう。
成長するごとに葉は白くなっていきます。
ssp. divaricataに比べると葉は大きく楕円形をしています。
次は私のところで育てている苗です。
少し寒さで痛んで赤くなっています。
ssp. gunniiの特徴です。
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-苗時点-
1. 葉は新芽・下葉ともに白く粉を吹いたように成長する
2. 茎も比較的白く育つ傾向が強い
3. 茎のザラザラは成長後、早い段階で消えてなくなる。
4. 茎は四角型の場合もあるが、丸型になる傾向が強い
5. 葉先が尖らずに丸くなる傾向が強い
6. 対に付いた葉同士の茎との接点は重なりやすい
-樹木時点-
1. 蕾は少しだけ白くなる
2. 実は白く粉を吹いたようになる
3. 実の形はツボ形になる
4. 25m以上の大木に成長し、3種の中では最も大きくなる
5. 大きく成長してからの葉は白色が強い
6. 木立ち(Tree)型に育つ
-その他-
1. 香りはシネオールを微量に含み、ミント系が強い
2. 3種の中で耐寒性は最も弱く、葉が傷みやすい(-15℃)
3. 水切れに弱い
4. タスマニア島広域の湿地帯や湖・川の付近に生息
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次にssp. archeriの写真を見ていきましょう。
次は私のところで育てている苗です。
少し寒さで痛んで赤くなっています。
ssp. archeriの特徴です。
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-苗時点-
1. 葉は新芽が非常に白色が強く、下葉は緑色が強くなる
2. 茎は比較的緑色もしくは赤色に育つ傾向が強い
3. 茎のザラザラは成長後も長く残る
4. 茎は丸型の場合もあるが、四角型になる傾向が強い
5. 葉先が丸くならずに尖る傾向が強い
6. 対に付いた葉同士の茎との接点が重なりにくい
-樹木時点-
1. 蕾と実が白くなることはない
2. 実の形はカップ形になる
3. 10m以内の低木に育つ
4. 大きく成長してからの葉は緑色が強い
5. 灌木(Mallee)状に育つ
-その他-
1. 香りはシネオールが強く、わずかにミント系が香る
2. 耐寒性は非常に強い(-18℃以上)
3. 3種の中では最も水切れに強い
4. タスマニア島の標高1100m以上の高山に生息
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いかがですか?
ハッキリいって写真では区別がつかないと思います。
苗時点では個体差が特徴を上回るため、
見た目による識別はほぼ不可能といえます。
苗を何本も見てきている現地の栽培者からも、
「苗時点では全く同じ」という回答をもらいました。
一番の識別のポイントは、
樹高、木立ちか灌木か、蕾・実の色とその形状の3つです。
ところが実際は現地の栽培者でも、
外観からの識別はほとんど行わず、
しっかりとタネから管理しているようです。。。
とにかく、苗時点でのssp. gunniiとssp. archeriの
確実な識別方法は、今の時点では私にもわかりません。
そこでタネのルーツから考える識別です。
こんなに外観が似ているにも関わらず、
ssp. archeriは「Eucalyptus Archeri」と
完全に別種扱いされるほど、
gunniiから切り離されて分類されています。
よってssp. archeriのタネが
Eucalyptus gunniiとして販売されていることは
ほとんどあり得ないと考えられます。
逆にssp. gunniiとssp. divaricataは
Eucalyptus gunniiとして
ごっちゃになっていることが多いでしょう。
寧ろヨーロッパやアメリカからgunniiのタネを買うと、
かなり高い確率でssp. divaricataのタネが来ることでしょう。
よほどマニアックでもない日本の栽培者は、
ほとんどがEucalyptus gunniiでタネを仕入れているはずですから、
ssp. archeriのタネが紛れ込む可能性は非常に低いことになります。
よって、日本で販売されているgunniiについては、
ssp. gunniiか?ssp. divaricataか?の
第一段階の識別でほぼ間に合うと考えられます。
最後に私の家にもあるvar. silverdropという園芸品種ですが、
上記全ての判別を行った結果、
ssp. gunniiでほぼ間違いないと思います。
var. silverdropという名のタネは
ヨーロッパでのみ販売されているものです。
ssp. divaricataが主流のヨーロッパでは
gunniiは完全な丸葉というのが当たり前。
逆に葉が楕円のssp. gunniiを
SilverDrop(銀の雫)と特徴づけて呼んでいる。
あくまでも推測ですが、このように考えられますね。
ここまで長文を読んでいただいて
本当にありがとうございました。
一番最後は我が家自慢の
silverdropの写真で締めくくらせていただきます。
私の適職??
どんな適職診断でやっても
もちろん"学者"ですw
こんなにgunniiばっかり見ていたら、
凄くgunniiが好きになっちゃったなぁ♪- # by eucalyptus_k | 2011-02-09 05:43 | ユーカリ(品種知識)
識別しにくいユーカリ(1)~はじめに~
ユーカリの品種識別は困難を極めます。
日本での情報が少なすぎることが一番大きな要因です。
品種間の識別であれば、
私のところではオーストラリアの学術資料を活用することで、
何とか詳しい識別ができるようになってきました。
ところが各品種には亜種・変種というものが存在します。
ユーカリの学名の後にssp.で続くのが亜種名、
var.で続くものが変種や園芸品種名です。
この亜種・変種レベルになってくると
その詳しい識別はかなり難しくなってきます。
多くの品種の場合、亜種間での特徴より
株の個体差がそれを上回ることが多いため、
100%断定できるような識別はほぼ不可能といえます。
日本では決して流通量が多くないユーカリだからこそ、
葉形や茎の形状といった見た目の特徴ではなく、
タネの入手経路等のルーツを想定した識別も
かなり有効な識別手段になってきます。
実際、日本からのタネの入手経路はかなり限られています。
例えばAという品種のタネは△と□でしか入手できないので、
△のタネの出所と□のタネの出所を詳しく調べることで
日本に流通しているA品種の詳細を知ることができるのです。
ところがよく見かけたり、よく流通している品種ほど、
亜種や変種が多く存在する傾向があり、少々厄介でもあります。
日本ではかなりメジャーなユーカリに下記の4種があります。
Eucalyptus gunnii
Eucalyptus globulus
Eucalyptus leucoxylon
Eucalyptus camaldulensis
4種ともホームセンター等で販売されていたり、
公園などでも見かけることのできる品種です。
これら4種には多くの亜種・変種が存在します。
特にcamaldulensisに至っては、
オーストラリアの各所に生息しており、
その生息地によって、種類が分けられているほどです。
今回は全4回でgunnii/globulus/leucoxylonの3種について、
その識別に関する考察を行ってみたいと思います。
camaldulensisについては、
現在識別を行うための各株を栽培するスペースや
その他の余裕がありません。
いつか可能になったときには必ず行うつもりでいます。
何卒ご理解をお願いします。
その他ではradiata/camphora/decipiensなどでも
いくつかの亜種が存在しています。
これらもいずれ必ず挑戦していくつもりでいます。- # by eucalyptus_k | 2011-02-05 18:55 | ユーカリ(品種知識)
ユーカリの耐寒性
遂に大阪でも寒い日が連続でやってきました。
局地的な気温や計測器の情報では、
私の住んでいる周辺の最低気温は-1℃~-2℃。
家のベランダの囲われたゾーンで0~2℃となっています。
ところがこの数日はマンションの12階ということで、
地上に比べて恐ろしく風が強く、半ば軽い台風の如く。
風当たりの強い場所にポット苗を置いておくと、
支柱ごと根こそぎ引き抜かれてしまうといった状況です。
ベランダで作業をしているときに
突風に合うと一瞬息ができなくなり、
まっすぐ立っていることさえ困難になります。
また、スキーウェアを着ていないと作業が出来ないほどの寒さです。
他のお宅から折れた枝や洗濯物、
ラベルなどがどんどん飛んできます。
ちなみに耐寒温度をリンケ耐寒温度に基づいて計算してみると、
-8~-12℃くらいあることが分かりました。。。
寒いだけなら多分大丈夫なのでしょうが、
この異様に強い寒風で相当参っているものがあるようです。
ホームセンターで安売りしている簡易温室に入れてあるものは、
耐寒性のない品種で1cm程度の双葉でもピンピンしています。
もちろん温室は無加温で気温はほとんど外と変わりません。
風だけはほぼ完全にシャットアウトできています。
こんな中で、ヘタるユーカリ、
ピンピンしているユーカリと様々です。
今のユーカリの状況を自身の記録も含めて載せます。
もしよろしければご参考にしてください。
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最低気温:0~2℃
瞬間最大風速:10m以上(突風時は直立困難な状況)
耐寒温度:-8~-12℃ ※リンケ体感温度による
霜:軒下のためほぼなし
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<野外では退避措置が必要なもの>
●Eucalyptus camaldulensis(40cm)
(新芽が完全に萎れる、素焼き鉢で土の量が少なめ)
→簡易温室退避で問題なし
耐寒性はかなりあると思っていましたが、
新芽が寒風にめっきり弱いようです。
先端10cmくらいが完全に萎れてしまいます。
●Eucalyptus gamophylla(18cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
風さえなければこの気温では全然大丈夫です。
実家の庭の50cm程度の株は全然元気なので、
25cmを超える程度までは防寒対策が必要かもしれません。
●Eucalyptus polybractea(15cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
風さえなければこの気温では全然大丈夫です。
まだ幼いことが大きな要因かもしれません。
気温がもう少し高くても、とにかく風に弱いです。
●Eucalyptus forrestiana(10cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
かなり小さい状態での寒風は耐えられないようです。
簡易温室内では元気なものです。
●Eucalyptus pachyphylla(15cm)
(全体がヘロヘロになる)
→簡易温室退避で問題なし
小さい状態での寒風は耐えられないようです。
簡易温室内では元気なものです。
<耐寒性低めでも簡易温室では問題のないもの>
※野外吹きっさらしではどうなるか不明です。
●Eucalyptus decipiens(25cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus pruinosa(15cm)
●Eucalyptus rudis(45cm)
→葉が固くなりますが、痛みはなし
●Eucalyptus pleurocarpa(15cm)
●Eucalyptus extrica(15cm)
●Eucalyptus erythrocorys(30cm)
●Eucalyptus pachyloma(5cm)
→新芽が赤くなりますが、痛みはなし
●Eucalyptus macrocarpa(15~25cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus rhodantha(5~15cm)
●Eucalyptus uncinata(45cm)
●Eucalyptus accedens(1.5cm)
→全く痛みなし
<葉に少し痛みはあるが株自体は元気なもの>
●Corymbia citriodora(120cm)
→葉が少し焼け、赤くなっているが新芽も何とか無事
<寒風に少しだけヘタるが耐えきれるもの>
●Eucalyptus globulus(20~45cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus polyanthemos(30~40cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus muelleriana(20cm)
●Eucalyptus websteriana(25cm)
●Eucalyptus smithii(20cm)
●Eucalyptus albopurpurea(30cm)
●Eucalyptus melanophloia(50cm)
●Eucalyptus 'Moon Lagoon'(20cm)
●Eucalyptus leucoxylon ssp. pruinosa(15cm)
→夜間に少し葉がヘタるが昼には復活
●Eucalyptus melliodora(40cm)
●Eucalyptus kruseana(35cm)
●Eucalyptus sideroxylon(20cm)
●Eucalyptus torquata(50cm)
→新芽の一部のみ一日中ヘタるが株自体は無事
<思っていたより耐寒性があったもの>
●Eucalyptus staigeriana(30cm)
●Eucalyptus orbifolia(50cm)
●Eucalyptus cladocalyx nana(18cm)
●Eucalyptus gillii(20cm)
●Eucalyptus lehmannii(40cm)
●Eucalyptus albida(15cm)
●Eucalyptus crucis(25cm)
●Eucalyptus tetraptera(20cm)
●Eucalyptus pluricaulis ssp. porphyrea(15cm)
●Eucalyptus caesia ssp. magna(25cm)
●Eucalyptus macrocarpa(15cm)
→ヘタりも痛みも全くなし
<成長したり新芽を展開するもの>
●Eucalyptus gunnii(10cm~60cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus perriniana(40cm)
●Eucalyptus nitens(20cm)
●Eucalyptus aromaphloia(25cm)
●Eucalyptus glaucescens(20cm)
●Eucalyptus dives(15cm)
●Eucalyptus dalrympleana(5~20cm)
●Eucalyptus rubida(5~20cm)
●Eucalyptus nova-anglica(5~20cm)
●Eucalyptus urnigera(5~15cm)
●Eucalyptus neglecta(2~8cm)
●Eucalyptus tenuiramis(25cm)
●Eucalyptus risdonii(20cm)
●Eucalyptus delegatensis(10cm~20cm)※全てのssp.含む
●Eucalyptus parvula(25cm)
●Eucalyptus cordata(25cm)
●Eucalyptus scoparia(35cm)
●Eucalyptus coccifera(5cm)
●Eucalyptus cephalocarpa(2cm)
●Eucalyptus cypellocarpa(2cm)
●Eucalyptus subcrenulata(8cm)
●Eucalyptus ovata(5~30cm)
●Eucalyptus pauciflora ssp. niphophila(5cm)
●Eucalyptus pauciflora ssp. debeuzevillei(5cm)
●Eucalyptus vernicosa(2cm)
これらの品種は本当に凄いですね!
家ではgunniiやperrinianaなどは寧ろ冬季の方が元気な程です。
野外越冬で気づいたポイントとしては、
・耐寒性が増す樹高のポイントは25cm以上
・風にさえ気をつければかなり耐える
・少し肌寒くなった間から寒さに慣らせておく
・水遣りのタイミングに気をつける
などです。
その中でも寒風だけは本当に怖いですね。
調べたところによると、
体感温度は風速1mでおよそ1℃下がるようです。
マンションでは寒さには強風が付きものですから。。。
全て無事に越冬できるように学びながら頑張ります!- # by eucalyptus_k | 2010-12-26 20:10 | ユーカリ(栽培知識)
育てていてわかった!巷のユーカリ情報の真偽
そろそろ冬も本格的になり、
大阪でも5℃を切る寒さになってきました。
寒さに弱いと思われる品種や幼苗などは、
寒風を避けるためにホームセンターで販売されている
安価の簡易温室に入れるようにしています。
とはいえ、家のベランダは
風を通さない分厚い石壁で覆われていますから、
外気温よりプラス3℃くらいの暖かい状態になっています。
夏には日照不足を招くこの石壁も、
冬季には寒風を防ぐというありがたい役割を果たしてくれます。
冬季はユーカリの生育にストップがかかったり、
非常にスローになったりしていますので、
どうしても栽培レポート系のネタは少なくなってしまいます。
日本にはたくさんのユーカリに関する情報があふれています。
今日はその情報にズバッと鉈を入れてみたいと思います。
「ユーカリの香りは花粉症に効く」
日本で販売されているユーカリの多くはgunniiですが、
そのgunniiの説明やキャッチコピーでも良く見かけます。
花粉症に効く成分といえるのは、
厳密にはシネオールやカンファー、ピペリトンといった成分ですが、
gunniiは精油量が少なく、
これらの成分もほとんど含まれていません。
gunniiが花粉症に効くというのは明らかな過大広告ですね。
成分分析と実際に試してみた実績として有効だなと思うものは、
globulus/dives/cinerea/cordata/goniocalyx
などでしょうか。
「アップルボックスはりんごの香りがする」
「りんごを切ったような葉型なので
アップルボックスという」
上記は全て誰かが勝手に勘違いした内容です。
bridgesiana/aromaphloia/goniocalyx
などがアップルと言われますが、
これは全て樹皮がりんごの木のようであるからです。
ユーカリの名称は樹皮、木質、花、実に起因するのがほとんどです。
アップルボックスはりんごの香りはしません!
もろシネオール系の樟脳の香りがします。
敢えてりんごの香りに近いと言ってもよいユーカリは、
grandis/glaucescensなどが考えられますね。
「レモンユーカリの耐寒性は5℃~10℃以上必要」
最近色々試してみましたが、
25cm以上の苗で鉢植えであっても、
アロエ程度(0℃以上)の管理で十分野外越冬できますね。
ただし葉は少し赤くなって痛んだりすることはあります。
耐寒性については環境もあるので一概には言えませんが、
下記のことに気をつければ耐寒性0℃でいけるように思います。
●秋の比較的暖かい間から徐々に寒さに慣らせていくこと
●夜間の水遣りは避け、用土の凍結を防止すること
●寒い風が吹き抜けるような場所は避け、軒下管理推奨
意外に寒くてもちゃんと水はそこそこ必要なんですよね。。。
「ユーカリは水切れに強い」
こあら師匠もおっしゃっていますが、
逆に水切れに強い品種は非常に少ないです。
降雨量が日本の1/6程度の環境の植物だからそう思うのでしょうね。
現地では根を深く伸ばし、豊富な地下水を激しく吸い上げています。
よって寧ろ水は大好きな品種が多いですね。
ところが「乾燥を好む」というのは大正解です。
毎日土がカラカラに乾いて、毎日欠かさず水遣りをする。
そんな用土や環境が大好きということです。
逆に土が長期間湿っているという環境は大嫌いです。
「ユーカリには肥料が効きにくい」
これは厳密には正しい部分がかなりあると思います。
日本で売られている肥料はほとんどがリン酸の多いものです。
ところがユーカリはこのリン酸をほとんど必要としません。
これはオーストラリアの土壌には
ほとんどリン酸が含まれていないことに
起因するのではないでしょうか。
逆にカリ肥料を比較的必要とするようですね。
窒素については一般的な草木と同じレベル必要とします。
特に砂漠地帯や西AZ出身の品種については、
日本の肥料を与えすぎるとリン酸に当たることがあるようです。
「ユーカリはアルカリ性の用土を好む」
これはたまに育て方などで見かけることがありますが、
95%以上のユーカリが好む用土は弱酸性~酸性の用土です。
一般的に日本で販売されている用土なら、
pHの調整は特に必要ありません。
ところが中には一部アルカリ性を好む品種もあります。
家ではMoon Lagoonなどがそうですね。
他ではアルカリ耐性のある品種もいくつか存在しますが、
アルカリ性を好むというわけではありません。
「ユーカリは根から他の植物を枯らす物質を出す」
これはよく言われていますが、
科学的にそのような事実は一切ありません。
ただユーカリは非常に根張り能力が高く吸水能力も非常に高いです。
また、用土の養分を急速に消費し、
用土を酸性にする力が非常に強いです。
一般的に寄せ植えするような花の咲く植物は、
比較的アルカリ性を好み、根張りや吸水もデリケートです。
そのため、ユーカリと一緒に寄せ植えすると
全てにおいて負けてしまって元気を失うことがあります。
ユーカリは寄せ植えにはあまり向かない植物といえます。
他にも疑問に思うような情報があれば、
私のわかる範囲で鉈を入れていきます。
お気軽にお問い合わせくださいね。- # by eucalyptus_k | 2010-12-11 22:59 | ユーカリ(品種知識)
ユーカリ茶検証 その1
初めてのユーカリ茶(Eucalyptus robusta)が
かなり美味だったために急激に興味が深まり、
どんどん色々なユーカリ茶を試飲し続けています。
ちょうど冬になる前に一斉に剪定した葉が残っていますので
連続して色々な品種のお茶を試飲することができています。
親愛なるこあら師匠よりご提案のあった、
robusta生葉でのお茶にも是非トライしてみたいと思っています。
一般的にユーカリ茶として流通しているものは
Eucalyptus robusta/Eucalyptus globulusの2種です。
これ以外の品種については、摂取の安全保障がありませんので
ユーカリ茶にされる方は自己責任でお願いいたします。
ちなみにこのブログを書いている限り、
私は無事であるという証明になります(笑)。
今までに飲んでみた品種のお茶について
下記に感想を記します。
・乾燥葉は10日以上干した葉を使用しています。
・茶葉は茶さじ一杯程度を使用しています。
・熱湯を200ccほど注ぎ、約5分置いて飲みます。
●Eucalyptus grandis茶(乾燥葉)
花の香りがするユーカリのため、
香り自体はかなり良い香りでうっとりできます。
ところが味は比較的青臭く、単用では微妙です。
これは一般的な花のお茶にも言えることですね。
紅茶などとブレンドすると絶品に仕上がると思います。
●Eucalyptus gunnii ssp. gunnii茶(乾燥葉)
スッとしたミント様の香りがあり、
ローズマリーのお茶に非常に近いものがあります。
少し茶の出が悪いので、茶葉を多めに使用した方が良さそうです。
ミント様の香りだけは非常に強く、かなり後まで口の中に残ります。
私と同居人には意外にも好評な品種です。
ユーカリ酒などにも使用してみたいなと思いました。
●Eucalyptus goniocalyx茶(乾燥葉)
味と口の中に残る香りはかなり良いのですが、
飲んだ瞬間に鼻を抜けていく香りがかなり強烈です。
その香りはシネオールメインのユーカリの香りそのもので、
この香りが強すぎるため、お茶としてはかなり癖があります。
余程ユーカリの香りが好きな方以外にはオススメできません。
また、少しくどいので胸焼けすることがあります。
現在、葉のストックがあるのが、下記の品種です。
Eucalyptus aromaphloia
Eucalyptus bridgesiana
Eucalyptus rudis
Eucalyptus websteriana
Corymbia citriodora
近日中にこちらも試飲してみたいと思います。
今のところ、安全のために一日あたり一品種と決めています。
どうぞお楽しみに~♪- # by eucalyptus_k | 2010-11-16 18:30 | ユーカリ(茶・酒)