続 困ったユーカリの症状
先日、こちらの記事で紹介した
ユーカリの困った症状ですが、
親愛なるこあら師匠からの情報によると
どうやら菌類による病気の可能性が高そうです。
私は基本的にはトップジンMを使用していたので、
そろそろ別の殺菌剤へローテするために
昨日、早速、ベンレートを購入しました。
今の時期に殺菌剤を使用しても効果は微妙なので、
もう少し暖かくなったら
一斉に殺菌剤を散布したいと思います。
それでは、少しマズイ状況のユーカリたちです。
冬場はどうしても温室管理が多くなり、
湿気がこもりやすいので、
症状が回復に向かうようなことはありません。
この症状はEucalyptus pachylomaにのみ発生します。
というか、全てのpachylomaに発生しています。
葉にシミができて隆起して固くなります。
サビ病?という感じでしょうか?
この症状は下葉から発生して、
徐々に上の方の葉に転移していきます。
感染した葉はしまいには枯れて散ってしまいます。
今のところ有効な対処法はありません。
次にEucalyptus tetrapteraの症状です。
この赤班はその他の品種でも比較的頻繁に発生します。
あまり、広がることはなく、
その葉がダメになってしまう程度ですむことが多いです。
これはEucalyptus viminalis ssp. cygnetensisの症状です。
酷いクロロシス様の症状になり、
葉先がカールして枯れたりします。
新芽が全てこのように貧弱に生えてきます。
下の方の青々とした葉が正常なものです。
この症状は栄養素の不足によるものかもしれません。
次が、こあら師匠のところでも発生していた
Eucalyptus macrocarpa ssp. elachanthaの症状です。
これも全てのssp. elachanthaに発生しており、
ssp. macrocarpaにはほとんど発生しません。
クロロシス様の葉が生え続けて、斑点ができます。
いつになったらまともな葉が生えてくるのでしょうか?
この症状もしまいには葉が枯れてしまいます。
次は菌による症状ではなく、
事故による悲惨な状況のご報告です
マンション12Fのベランダでは、冬~春にかけて、
風速10m以上の強風が吹き荒れることがあります。
このような風が吹くと、立っているのも困難で、
どこかから洗濯物が飛来することもあります
その強風によって、我が家のタオルかけが転倒し、
大切なEucalyptus urnaが折れてしまいました。
パッと見はまともに見えますが、
下の写真の黒いビニタイのところで
ポッキリ折れて皮一枚で繋がっていました。
折れた箇所から上は完全に枯れることもありますが、
このようにしていると、自然とくっついて
修復されていることがあります。
今のところ1週間以上経過していますが、
特に枯れが出たり、萎れることもありません。
暖かくなってから、ダメージが出ることもありますが、
元気に復活してくれることを願っています。
ちなみに、10cm程度のmacrocarpaの苗を
ドバトにポッキリ折られてしまったことがありますが、
そのときもこのように固定していたところ、
無事にくっついて今は50cmを超える株に成長しています。
本当にユーカリの生命力にはびっくりさせられます!- # by eucalyptus_k | 2012-03-20 16:48 | ユーカリ(栽培知識)
困ったユーカリの症状
最近、家のほぼ決まった品種のユーカリに
厄介な症状が発生して困っています。
それは、どのような症状かというと、
まず初めに葉の緑色が薄くなり、
(これは全く色素には変化のない場合もあり)
葉に赤いシミや茶色い斑点が無数にできて、
その後、葉が枯れたりボロボロになったりします。
これは当初、菌類による病気であろうと考えていましたが、
殺菌剤散布による改善は全く見られませんでした。
親愛なるこあら師匠のところでも
同じ症状に悩まされていらっしゃるとのことです。
その記事はこちら>>>
家でこの症状に合う品種は
主に西オーストラリアの品種に多く、
macrocarpa/macrocarpa ssp. elachantha
pachyloma/Moon Lagoonなどに発生します。
特にmacrocarpa ssp. elachantha/pachylomaでの発生率は
ほぼ100%に近くなっているほどに深刻です。
この症状は、
・鉢の小さな(用土の少ない)株から発生する
・植えつけて半年以上経ってから発生する
という特徴があるため、
用土中の物質が関係しているのではないかと推測し、
現地の栽培者にヒントを求めてみました。
その結果、
用土内のミネラル分の不足による壊死
という回答が得られました。
不足している可能性のある成分については
特に回答は得られませんでしたが、
色々試してみると良いと言われました。
基本的にはユーカリは肥料分をあまり必要とせず、
海外の園芸指南書によると、
ほぼ施肥なしでも育てられるとあります。
ところが育てていると、
一部で比較的多肥を好むものも存在することがわかりました。
例えば、Moon Lagoonは比較的多肥を好み、
用土もアルカリ性よりの用土を好む傾向にあります。
上記の症状が発生したMoon Lagoonは
実家の庭で半ば放置気味のもので、
ベランダで多肥気味に育てているものには全く発生していません。
また、こあら師匠のところではtetragonaにも
症状があらわれているとのお話ですが、
家ではtetragonaにはほとんどこの症状は現れていません。
実はtetragonaは実験的に、
植えつけ時に少し多めに苦土石灰を混ぜ込んであり、
もしかするとこれが功を奏したのかもしれません。
別にある硬質赤玉土単用の放置tetragonaポット苗では
二年目から少しこの症状が発生し始めています。
pachylomaはとても深刻で、
一年目の秋くらいから酷い状態になっています。
これも、現在、苦土石灰や有機石灰を多めに与えて様子を見ています。
最も酷いmacrocarpa ssp. elachanthaでは、
早い時期から苦土石灰や有機石灰などを与えていますが、
今のところほとんど改善が見られていない状況です。
総合的で一般的な肥料を与えながら
様子を見るのが最も良い方法ではありますが、
敢えて、各成分ごとに与えていきながら、
その経過を観察していきたいと思います。
取り急ぎは、
Osakano Jieさんがトライされているカキ殻石灰や、
カリウム、マグネシウム、カルシウム、窒素などを
敢えて少し多めに与えながら様子を見ていきたいと思います。
他にも葉面散布できる
効果的な化学肥料がありそうですが、
これはどれも少し高価なので、
親愛なるこあら師匠にお任せしたいと思います- # by eucalyptus_k | 2012-01-27 17:16 | ユーカリ(栽培知識)
冬のユーカリ管理 その4(水遣りと用土凍結)
耐寒性の強いユーカリを育てていて、
簡易温室などを一切使用せずに
通常通りの屋外管理を行っている場合に
用土が凍結してしまうことがあります。
寒さに強い品種では
用土の凍結自体にはかなり耐久力があります。
しかし、できる限り、
速やかに融かしてしまった方が良いです。
なぜかというと
凍結は様々な弊害を引き起こすからです。
まず用土が完全に凍結してしまうと、
用土が完全に乾いたのと同じことになってしまい、
水切れが起こってしまいます。
これは特に小さな鉢やポット苗で
気をつける必要があります。
次に赤玉土などの粒状の用土を使用している場合、
凍結により用土が粉砕して微塵になり、
解凍後に用土の保水性が極端に悪くなることがあります。
凍結してしまった後の用土には少し気をつけてください。
他には用土が凍結したことにより、
霜柱で用土が持ち上がってしまい、
根を損傷してしまうことがあります。
できる限り避けたい用土凍結ですが、
水遣りのタイミングをコントロールすることで
防ぐことができます。
夕方に水遣りをするのは避けてください。
また、天気予報を確認して、
やたらと冷えるような日には水遣りを控えます。
私がいつも用土を凍結させてしまうのは
個人的なスケジュールの都合で
夕方に水遣りをしてしまったときばかりです。
夕方の水遣りを控えるだけでも
用土凍結をかなり防ぐことができると思います。
ちなみに簡易温室を使用している場合は
用土凍結が起こったことは一度もありません。
最後に積雪に対してですが、
多くの耐寒性のある品種では
雪に対する耐久力もかなり強いです。
gunniiやperriniana、urnigeraなど
耐寒性が-10℃を超えるようなユーカリであれば、
積雪ごときで葉痛みさえも起こしません。- # by eucalyptus_k | 2011-11-08 21:03 | ユーカリ(栽培知識)
冬のユーカリ管理 その3(耐寒性を上げるには)
この湿潤な日本で健康に生き抜くためには、
耐寒温度はあくまでも目安でしかありません。
耐寒性を上げるためのもっと重要なポイントが二つあります。
このポイントさえ押さえることができれば、
耐寒温度を遥かに上回る結果を出すこともできます。
例えば親愛なるこあら師匠は
推奨耐寒温度10℃以上、5℃以上の管理必須のバオバブを
-5℃近くにもなる場所で無事に越冬させていらっしゃいます。
私も昨年は耐寒性0℃以上推奨のユーカリの幼苗を
-5℃近い環境で越冬させましたし、
一般的に3℃以上推奨のレモンユーカリも
-5℃になる屋外で越冬させることができました。
では、このポイントとは何なのでしょうか?
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1. 風(空気の動き)のない場所で管理すること
2. 水分管理をよりタイトに乾燥気味に管理すること
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この二つになります。
まず1についてですが、最も簡単な方法では
風の当たりにくい軒下で管理することです。
さらに有効で、葉痛みも防げる方法としては
簡易温室を使用することです。
この簡易温室とは、ホームセンターなどで
2000円程度で販売されているビニール製のものです。
これは加温を行うわけではありませんので、
実際に夜間の内部気温は外の気温とほとんど変わりません。
ところが風をほぼ完全にシャットアウトすることができます。
これだけで、耐寒温度はかなり上がります。
実際に-3℃では枯れのでるdecipiensやstaigerianaや
それらのわずか2cm程度の幼苗でさえも、
全く葉痛みさえすることなく、越冬できています。
簡易温室を使用する場合には下記をご留意ください。
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●日中は必ず扉を開け放っておくこと
●夜間でも3℃を下回らない場合は扉を開け放っておくこと
●気温が3℃を下回らなくなったら温室を片づけること
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冬季でも日照の良い日には、締め切っていると
びっくりするほど高温になることがあります。
また、ずっと締め切りっぱなしだと
室内管理と同じようなことになってしまいます。
場所に問題がなければ、
この簡易温室はとても効果的です。
上記に気をつけて、ぜひ使ってみてください。
次に2についてですが、
夏はたくさん水を吸うようなユーカリも、
温度が下がると、かなり吸水量が落ちてきます。
これは品種にもよりますが
びっくりするほど水を吸わなくなります。
例えばerythrocorysというユーカリがあります。
樹高が70cm程度で6号スリット鉢に植わっています。
夏場は半日陰の場所で二日に一回程度の水遣りをします。
冬季には夏季の倍以上日光が当たるのですが、
水遣りは週に一回以下の頻度にまで低下します。
他にはlehmanniiの場合ですが、
同じく樹高が70cm程度で6号スリット鉢に植わっています。
夏場は半日陰の場所でほぼ一日に一回程度の水遣りをしますが、
冬季には週に一回程度の頻度にまで低下します。
これに気をつけて、
より乾燥気味に管理を行ってください。
冬季は夏季のように急な水切れは起こりません。
私が良く行う管理方法としては、
下記のようなものがあります。
多くのユーカリは水が切れてくると
柔らかくなって、葉先が犬の耳のように
だらんと垂れさがってきます。
このまま放置すると、水切れで葉が枯れますが、
この垂れ下がった状態をサインとして
水遣りを行うことにしています。
ただ、この方法を実践する場合には、
一日一回の観察が欠かせなくなります。
また一部の、葉に厚みのある品種では
垂れさがらずに枯れに移行することもあるので
その当たりは注意が必要です。
最後に樹高が大きくなってくると
自然と耐寒性も上がってきます。
大きすぎて、室内や温室に入らない場合は
なるべく風の当たらない軒下に置くだけでも
耐寒性はかなり変わってきます。
樹高が50cmを超えれば
レモンユーカリでも-5℃くらいでは
葉はボロボロになってしまいますが、
枯死してしまうようなことはありません。
最後に、もし枯らせてしまった場合、
過湿による根のダメージで枯れた場合には
復活の可能性はほとんどありません。
ところが水切れや寒さで枯らせてしまった場合は
春になると復活する可能性が高くなります。
万が一枯らせてしまったと思った場合でも、
春までは捨てずに、管理を続けてみてくださいね。- # by eucalyptus_k | 2011-11-08 20:37 | ユーカリ(栽培知識)
冬のユーカリ管理 その2(耐寒性について)
先日メールをいただいた方から
冬のユーカリ管理について書いてほしいと
ご要望があったので、書いてみたいと思います。
あくまでも私の環境と経験に基づいた内容ですので
ご自身の栽環境とは必ずしも当てはまらないので
そのあたりはご了承くださいね。
では、寒い寒い屋外でどのようにして越冬させるのか?
まずはお育てのユーカリの耐寒温度を知ることが大切です。
これはネットなどで調べればある程度見つかりますが、
わからない場合は私までお問い合わせいただいても結構です。
では例としてcinereaを取り上げてみます。
cinereaの一般的な耐寒温度は-12℃です。
よし!-12℃なら大丈夫だ!
と単純にはいきません。
この-12℃という耐寒温度は
実際には成樹で露地植えの場合の
あくまでも一般的な耐寒温度です。
鉢植えであったり、幼苗であったり、
風の強い場所であったりする場合は
かなり変わってきます。
まず、鉢植えの場合は耐寒性が下がります。
一般的には素焼鉢や陶器鉢よりも
プラスチック鉢の方が耐寒性は上がります。
また、水分多めで管理すると耐寒性はガクンと落ちます。
風の強い場所では体感温度が変わりますから、
耐寒性もグンと落ちることになります。
多くの方は鉢植えでの管理をされていると思うので、
これはあくまでも目安ですが、その場合の耐寒性は
この場合の-12℃から3~4℃下がった、
-9~-8℃くらいが妥当な耐寒温度といえます。
次にこの耐寒温度というものは
あくまでも生き延びることのできる限界温度ですから、
葉が傷んだり、葉が散ってしまうことは
全く想定されていない温度になっています。
ユーカリは寒風をびゅんびゅん浴びると
葉が酷く痛んだり、散ってしまうことがあります。
もちろん春には美しい新芽がどんどん出ますが、
冬前の美しい樹形を維持したい場合もあると思います。
そのような場合は、まず風を避ける工夫をすること、
そして、耐寒性をさらに3~4℃下げた、
この場合では-5℃くらいで管理すると
酷い葉痛みを防ぎ美しい樹形を維持することができます。- # by eucalyptus_k | 2011-11-08 20:20 | ユーカリ(栽培知識)