
【ユーカリ紹介-19】
ユーカリ・ルディス (Eucalyptus rudis)第19回目も私がタネから育てたユーカリです。
西オーストラリア出身のユーカリだというのに、
robustaに続いて、家のベランダを気に入ってくれた、
奇特で貴重なユーカリ・ルディスです。
◎ユーカリ・ルディス
【学名:Eucalyptus rudis】
【英名:West Australia Flooded Gum】
Flooded Gumとは水につかったユーカリという意味です。
東オーストラリアのFlooded Gumはgrandisですが、
このrudisは西オーストラリアのFlooded Gumというわけです。
その名の通り、川べりの湿った土壌であったり、
水に浸かった湿地帯に生息しているユーカリです。
そのため、乾燥を好む西オーストラリア軍団の中では、
群を抜いて水を好むユーカリであるといえます。
泥質土壌を好むため、過湿耐性は相当強いようです。
grandisやrobustaに比べると、
そこまで水を頻繁に与える必要はありませんが、
同等の潅水量でも問題なく育てられます。
たださすがに西AZのユーカリなだけあって、
そこそこの水切れ耐性も兼ね備えているようで、
grandisやrobustaほど水切れに気を使う必要もありません。
rudisはスワンプ系のユーカリですから、
高い空中湿度や土中湿度を好むようで、
多くの品種が過湿やうどんこ病に苦しむ梅雨時期に
病気知らずで一番順調に成長していたユーカリの一つです。
このrudisはさほど華やかなユーカリでもなく、
茂み状や低木に育つ品種が多い
西オーストラリアのユーカリの中では、
25m程度までの比較的大きな木に成長する品種です。
そのため園芸用としてはほとんど注目されていません。
寧ろかなりマニアックなユーカリといえます。
実は私も当初は名前くらいしか知らず、
ほとんどノーマークなユーカリでした。
もちろん全く育てるつもりもありませんでした。
そんなとき、ある夢を見ました。
私が大きなユーカリの木を育てている夢でした。
同居人に「そのユーカリは何?」と聞かれて、
夢の中の私は「ルディス!」と答えていました。
そして私は大切に大切にその大木の世話をしていました。
この夢がきっかけで、急激に興味を抱いた私は、
すぐにタネを取り寄せて、播いてしまい今に至ります。
本当に不思議な出会いをしたユーカリなのです。
そのrudisが、家のベランダという環境に
非常に合っているユーカリだというのも
何かしら不思議な運命を感じます。
あまり知識がない中で育て始めたので、
一般的な細葉系のユーカリかと思っていましたが、
育ててみるとかなり大ぶりではありますが、
ハートリーフに似たような葉の形をしています。
色はrobustaのように少し濃い目の綺麗な緑色です。
たくさん太陽に当てた方が成長は速いのですが、
半日陰でも比較的順調に成長を続けてくれます。
親愛なるこあら師匠のお話では、
rudisは非常に頑強でしぶとく、中々枯れないユーカリとのことです。
過湿にも強く、ベランダでも安心して育てていけるユーカリですね。
現地では、土壌改良用にも使われるようで、
汚泥土壌や強アルカリ土壌、
塩分質の土壌までを改良する働きがあるようです。
ただ、急速な土壌改良作用のある植物ですから、
寄せ植えなどには超不向きということになります。
西オーストラリアでもかなり温暖な地域出身のため、
耐寒性は最低クラスのユーカリであるといえます。
大阪の冬であっても簡易温室に入れる等、多少の防寒対策が必要です。
露地植えの成樹で-5℃が限界、鉢植えの苗木程度であれば、
0℃以下にならないアロエのような管理が必要です。
0℃近くになり、寒風の当たるような環境では、葉が激しく痛みます。
簡易温室などで寒風を避けるだけでも痛みをかなり軽減できます。
万が一、葉が全て落葉してしまったとしても、
非常に強健な品種ですから、春に新芽を吹く可能性は高いです。
気になるrudisの香りについては、
ユーカリ特有のシネオール系の香りをベースに、
少しスパイシーでウッディーな薬草系の香りが微かに漂います。
そんなに香りの強い方でもなく、少し渋めの香りのため、
香りを楽しむ目的としては少々物足りないと思います。
私の実験では、ユーカリ茶としては比較的美味でした。
家のベランダに合っていることもありますが、
うどんこ病などの病気に悩まされることは少ないように思います。
ただし芋虫などの害虫被害には比較的遭いやすいユーカリであると
親愛なるこあら師匠に伺った記憶があります。
rudisは少し男前で大ぶりなハートリーフ系ですが、
観葉植物として葉を楽しむユーカリといえるでしょう。
中々位置づけや用途が難しいところですが、
育てやすさは耐寒性以外ではピカイチですので、
興味のある方は育ててみてはいかがでしょうか。
------------------------------
<栽培難易度:A>
香良さ:★★
香強さ:★★
成長力:★★★★
要水分:★★★★
耐過湿:★★★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★★★
耐寒性:★
耐暑性:★★★★
耐病虫:★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2010-10-08 16:39 | ユーカリ紹介

【ユーカリ紹介-18】
ユーカリ・ロブスタ (Eucalyptus robusta)第18回目は、過湿と日照不足が特徴な家のベランダで
ぶっちぎりで元気に育ってくれている、
日本ではユーカリ茶で有名なユーカリ・ロブスタです。
◎ユーカリ・ロブスタ
【学名:Eucalyptus robusta】
【英名:Swamp Mahogany】
このrobustaは光沢のある綺麗な深緑の大葉が特徴です。
cinereaなどの白銀色の丸葉ユーカリに見慣れていると、
これってユーカリなの?と思ってしまうほどです。
大阪では街路樹や神社、公園でクスノキを多数見かけますが、
大きく育ったrobustaの葉は大きなクスノキの葉の様でもあり、
パッと見は在来の樹木のようにも見えてしまいます。
そのため、余り観賞用として育てられることは少ないようです。
親愛なるこあら師匠の農場でも
コアラの飼料用に栽培されているようです。
ただ、私のように白銀葉の品種をメインで育てていると、
逆に新鮮で、その濃い緑の葉がやたらと美しく見えてしまいます。
多くのユーカリにはシネオール等の殺菌成分が多く含まれていますが、
これらの成分は人体に摂取すると少々有害にもなりえる成分です。
ところがこのrobustaにはシネオールがほとんど含まれておらず、
その他の有害成分もほとんど含まれていないため、
お茶に最適なユーカリとして認められているようです。
英名にスワンプとあるように沼地出身のユーカリですから、
比較的高い空中湿度を好み、水も爆発的に必要とする方です。
成長速度についてはユーカリ中でもトップクラスに速い方で、
脇芽を出しながらぐんぐんと背丈を伸ばしていきます。
生息域の近いgrandisと非常に良く似た性質で、
切っても切っても負けずに枝を増やしていきます。
これもgrandisと同じ特徴ですが、
ユーカリではお馴染みのLigno-tuber(地際の瘤)を
全く生成することのない品種です。
そのため、真っ直ぐにスッと伸びた樹形で、
スギやヒノキにも似た30mを超える立派な樹木へと生長します。
耐寒性についてはあまり強くはないと言われていますが、
-5℃くらいまでは全然大丈夫だと思われます。
今年の冬は、少しの葉痛みこそありましたが、
我が家では問題なく越冬できています。
さらに寒い場所であったり、強烈な寒風を浴びると、
葉が枯れて、激しく落葉することもあるようですが、
強健なため、中々枯死するようなことはなく、
暖かくなると同時に激しく新芽を吹いて復活します。
私が良く行く、京都の五条通に
立派なrobustaの大木が何本もあるのですが、
我が家よりも圧倒的に寒くなる京都市内でも
問題なく越冬できているので、
地植えの場合はかなり耐えられるようですね。
気になるrobustaの香りについては、
ユーカリ特有のスッとした香りは全くしません。
その他の芳香成分についても非常に微量のため、
葉を切って、手で揉んでみても、
青臭い一般的な植物の葉のような香りが強く、
その中に少しお茶のような爽やかな香りを感じることができます。
香りを楽しむハーブとしての利用は難しいでしょう。
とにかくgrandisと並んで、
非常に育てやすく、枯れる気がしないユーカリの一つです。
grandisはかなりの日光を必要としますが、
robustaは家のベランダような半日陰でも驚くほど成長が早く、
お茶や入浴剤としての利用には最適です。
家ではハダニの被害が出たり、
うどんこ病に罹ることはほとんどありませんが、
殺菌成分や精油自体の含有量が少なく、
人間がお茶として飲める程のユーカリですから、
ユーカリには珍しく、毛虫や芋虫などの害虫が良く付きます。
robustaの大きな深緑色の葉は
観葉植物としてこそ活かせるものではないでしょうか。
室内では十分な日光を確保することが難しそうですが、
非常に明るい窓辺の観葉植物としてなら利用できそうな気がしています。
是非とも一度、育ててみてください!
------------------------------
<栽培難易度:A>
香良さ:★★★
香強さ:★
成長力:★★★★★
要水分:★★★★★
耐過湿:★★★★★
耐水切:★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★★★
耐寒性:★★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2010-10-07 01:02 | ユーカリ紹介

今年のユーカリ育成を振り返って
今年、ユーカリの種を大量に播いて、
そして、成長の季節が、あと数ヶ月で終わります。
春に種を播いたものの中で
一番大きくなったものが1m程度
一番成長が遅かったものが6cm程度です。
ユーカリを育ててみて思ったのは、
思ったよりたくさんの日光と
少し強いくらいの空気の流れが大切だと感じました。
この2つはマンションのベランダという環境では
一番確保するのが難しい要素ですから、
それはそれは苦しみながら学びました。
今年はもう1つ、実家の親父の協力を得て、
車で5分程度離れた、一軒家の実家の庭でも
ユーカリの育成を試験的に行ってみました。
まず、家のベランダですが、
通常の一般的なマンションのベランダと異なり、
完全に風を通さない高さ120cm程度の石壁で囲われています。
そのため、冬は暖かく、強風も遮ることができる反面、
湿気がこもりやすく、特に下方での空気の流れがありません。
そこに、洗濯物を干すわけですから、
かなり湿気がこもり、ムンムンの状態となります。
また、上の階が大きく前方にせり出しているため、
台風級の横殴りの雨が降らない限りは、
雨の日でも余裕で洗濯物を干すことができます。
これは、日照がその分悪くなることを意味します。
太陽の高い季節(4~7月)は、
ベランダの1/3程度に西日が当たるだけ、
太陽の中程度の高さの季節(2~3月・8~9月)は、
ベランダ全体に4時間程午後の日差しが当たり、
太陽の低い季節(10月~1月)は、
ベランダの半分程度に2時間程午後の日差しが当たります。
最高で4時間/日程度の直射日光となるため、
ほぼ、半日陰の環境ということになります。
この環境はユーカリにはかなりよろしくありませんでした。
ある程度の樹高が稼げればそれだけ日照を得ることができますが、
背の低い苗ほど、日照が悪くなるという厄介な環境です。
この湿気のこもった、日照の悪い環境でも
良く育ってくれたユーカリは下記の品種です。
robusta/camphora/rudis/bridgesiana
citriodora/scoparia/gunnii/staigeriana
crenulata/goniocalyx/grandis/nova-anglica
aromaphloia/melanophloia
湿気に強かったり、日陰に強い品種ばかりです。
これにneglectaを足した品種が、
日本に合って、日陰でも育つ品種といえると思います。
そのまま、栽培難易度が簡単だとも考えられるでしょう。
トップ3はrobusta/citriodora/bridgesianaです。
一方、著しく生育の悪かった品種は下記です。
kruseana/albida/crucis/rhodantha
macrocarpa/polybractea/lehmannii/tetragona
Moon Lagoon/forrestiana/tetraptera/gillii
pachyphylla/torquata/caesia/uncinata/decipiens
ほとんどが中央~西オーストラリアの品種で
高温・乾燥・強い日差しを好む品種ですね。
結論としてこれらの品種をベランダで育てることは
かなりの力技だなあと思わされました。
ワースト3はtetragona/Moon Lagoon/albidaです。
tetragona/Moon Lagoonは
半年で6~10cmしか成長しませんでした。
そして下記は比較的日本でもメジャーですが、
意外にも家では全然奮わなかった品種です。
cinerea/pulverulenta/perriniana/viminalis/morrisbyi
glaucescens/parvula/cordata/leucoxylon/radiata
生育が遅いこともありますが、
何よりも病気がちで株自体の元気がないものが多いです。
湿度が高く、日光が不足しており、
何よりも空気の動きがないのが一番の要因かなと思っています。
次に家の実家の庭ですが、
ここは比較的広いオーブンスペースの庭です。
太陽の一番高い季節のみ、
11時くらいまで少し日陰が生じますが、
それ以外の季節は終日直射日光がガンガンに降り注ぎます。
また、実家の前が学校のグラウンドのため、
かなり風通しが良いのも特徴です。
ここではベランダとは異なり、
下記の品種が非常に良い生育状況となりました。
pulverulenta/perriniana/kruseana/albida
crucis/macrocarpa/tetragona/tetraptera
pachyphylla/torquata/caesia/uncinata
gillii/orbifolia/camphora/aromaphloia
melliodora/erythrocorys
特に西オーストラリア品種の成長の良さが尋常ではありません。
macrocarpaなどが別品種の如く、高速で大きくなっていきます。
また、葉の硬さと葉の大きさが全く違います。
ベランダのものと比べてみると、別品種のように違います。
ところが逆に、下記の品種は生育が著しく悪く、
葉焼けや枯れが多発してしまいました。
gunnii/crenulata/scoparia/sturgissiana
melanophloia/nitens/lehmannii/smithii
delegatensis/cladocalyx nana/radiata
最後に、ベランダでも実家でも、
イマイチ実績の上がらなかった品種があります。
Moon Lagoon/radiata/delegatensis/cordata
lehmannii/forrestiana/leucoxylon
ここには私が掴み切れていない何かがあるのでしょう。
これらの品種の成長の鍵を掴むことも
次年度の大きな目標になると思います。
日々学びの連続ですね。。。
好奇心と探求心は尽きません。- # by eucalyptus_k | 2010-09-24 00:22 | ユーカリ(栽培実績)

発芽不良は厄介だ。。。
久々のブログ更新になりました><;
最近は追加で新品種の種播を行っていますが、
どれも発芽が芳しくなく、色々と手間取っています。
Eucalyptus pachyloma
スイートセンテッドなどと呼ばれ、
現地ではクリスマスツリーにも利用されたりするようです。
西オーストラリア軍団では珍しく中々発芽しません。
今やっと2苗だけ発芽しました。
Eucalyptus pauciflora ssp. niphophila
寒さに強い、雪の積もる高山のユーカリです。
Snow Gumとも呼ばれています。
発芽には2ケ月以上の冷却処理が必要となり、
そこから先も驚異的な発芽率の悪さを誇ります。。。
また異様に蒸れに弱く、日本では難易度も高めです。
種のクオリティーは保証されていますが、
全く発芽しないので、今一番厄介な品種です。
Eucalyptus coccifera
こちらも高山生息種でTasmanian Snow Gumです。
こちらも長期間の冷却処理を要し、
その後の発芽率も著しく悪いです。
現地の園芸家曰く、発芽には一癖あるようです。
たくさん播いて、2苗やっと発芽という状況です。
そして、この中に一つ加わっていた、
Eucalyptus nicholiiですが最近一斉に発芽を開始しました。
ユーカリ中最小クラスの双葉が何ともいえません><;
赤玉土では発芽に3週間ほどかかりましたが、
バーミキュライトでは5日程度で発芽しました。
pHの差か、それともより湿潤を好むということでしょうか。
それでは最後に最近の近況をいくつか紹介します。
私が今年の目標に設定した
Eucalyptus macrocarpa(マクロカルパ)ですが、
紆余曲折を経て、やっとここまできました!
成長は早いとはいえませんが、着実に進んでいきます。
直射日光ガンガンの環境が非常に大切ですね。
日陰などで育てると葉が細く小さいままになります。
後は涼しくなったら植え分けを行う予定です。
今まで培ってきた植え替えテクの見せどころです!
次は家で今絶好調のユーカリを2種ご紹介します。
Eucalyptus robusta
家の環境がとにかく大好きなようで、
5月から一気に伸びて、今は70cmを超えています。
何も触っていないのに、脇芽まで勝手に生じています。
Eucalyptus melanophloia
当初は貧弱で他のユーカリに埋もれていましたが、
気温の上昇とともにスイッチが入ったようです。
毎日わかるほどに成長し、今は30cm近いです。
かなり湿潤を好む品種のようです。
次は、タスマニアの1000m級の高山生息種、
Eucalyptus vernicosaに手を出す予定です。
私のマニア魂はとどまるところを知りません(笑)- # by eucalyptus_k | 2010-09-02 02:28 | ユーカリ(栽培実績)

【ユーカリ紹介-17】
ユーカリ・クルセアナ (Eucalyptus kruseana)第17回目にして、ハートリーフ三兄弟以外で
やっとまともな西オーストラリアのユーカリが出てきました。
海外の文献も絶賛! 私も「ユーカリ界の青白い宝石」と一押し、
とにかく美しすぎて毎日眺めてはうっとりしてしまう。
ユーカリ・クルセアナです。
◎ユーカリ・クルセアナ
【学名:Eucalyptus kruseana】
【英名:Bookleaf Mallee / Kruse's Mallee】
実は私、kruseanaには早い段階で目を付け、
タネを播いていたのですが、育苗の難易度が非常に高く、
昨年の種播~育苗は一旦断念した次第です。
とにかく、強い直射日光と高い温度が必要になってきます。
特に育苗初期には良く日光に当てて、
丈夫な根を育む必要があります。
我が家のベランダで通常通り育苗していると
日光の量が圧倒的に足りないため、
いつまでたっても大きな葉を作れずに貧弱で小さいままです。
そこでポット数個分だけと非常に限られていますが、
日中に直射日光が常時当たる場所を何とか確保しました。
そこで育苗を行った結果、やっとまともな苗が育ちました。
昨年の育苗を断念したと同時に、
上の写真の苗を親愛なるこあら師匠の農場より購入しました。
以前、ユーカリの葉の白く粉をふいたものは、
オーストラリアの強烈な紫外線を避けるための
日焼け止めの役割を果たしているとご紹介しましたが、
このkruseanaは特に強力な日焼け止めを持っています。
そのため、日本で育てていくためには、
特に強烈な直射日光がフルタイムで必要になります。
上の写真の苗も半日直射日光が当たる環境に置いていますが、
あまり大きく丈夫な新葉を生成できずにいます。
このkruseanaは同居人や実家の親父さえも
地植えしたいというほどの美しさです。
とにかく新芽は完全に白く粉をふいており、
太陽に当ててみるとほぼ純白そのものなのです。
下葉も白に近いエメラルド色で、
まるでユーカリがおしろいを塗ったようです。
このkruseanaは育てていくのに何かと都合が良いのです。
まず、余り大きく育たずに茂み状に育つこと、(大きくても2~3m程度)
この美しい丸葉を最後までしっかりとキープすること、
樹高数十センチ程度の鉢植えであっても、ユーカリでは非常に珍しい、
ライムグリーンの花を美しく咲かせてくれるからです。
実家の庭のkruseanaの株では、
実際にわずか60cm程度の株で開花を実現できています。
このライムグリーンの花は中々に美しく、
何よりもとてもたくさん咲くことが特徴です。
恐らくこのkruseanaを数年間育て上げることさえできれば、
ほとんどの方がこの花を楽しむことができるはずです。
ただ、このkruseanaには、大きなネックが一つあります。
日本の環境にはあまり合っていないために、
栽培難易度が少し高くなってしまうということです。
kruseanaを過去販売していた業者に問い合わせたところ、
まず、育苗難易度が高く、在庫を多く確保できないこと、
苗を販売しても、うまく育てられない購入者が多いこと、
そもそも健康に育てられる環境を用意すること自体が大変で、
商品として成り立たせるのが難しいというお話でした。
このユーカリは元々、西オーストラリア内陸部の
Kalgoorlieという砂漠の金鉱の町近辺だけに自生する品種です。
それがアメリカなどで切枝用として注目され
園芸品種としてメジャーになったようです。
生息地は年間降雨量200mm程度(大阪の1/8以下)で、
夏期の最高気温は48℃、夜間は8℃程度まで下がり、
冬季の最低気温は-3℃程度とかなり激しい環境です。
気候としてはステップ気候や砂漠気候に属します。
またこの地域は冬季が湿潤で夏季が乾燥しているという
日本とは全く逆の環境にあるのです。
そのため、極度に高温多湿を嫌うこととなり、
雨ざらしでは、梅雨などの季節を乗り越えるのが少し困難になります。
水はけの良い用土で、かなり乾燥気味に管理する必要があります。
育苗で感じたのは、用土に水分が残ることを極端に嫌うようです。
1~3日で完全に用土が乾ききるというのが、
ベストな栽培環境になってくるのかなと思っています。
ところがこの環境を湿潤な日本で作りだすには中々難しいのです。
これを作るためには温室やビニルハウスで専門的に管理するか、
放任主義ではなく、小マメな管理をするしかありません。。。
また、他には、ワンサイズ小さな鉢で管理したり、
土から上だけでなく、鉢にも良く日光に当たるようにすることで、
過湿を避け、高温を好むkruseanaに適した環境を構築できます。
このクラスのユーカリを育てるに当たって、
まず行って欲しいことは、
「ユーカリを毎日必ず観察する」ことです。
毎日、用土や株の状態をしっかりと観察していれば、
よほどのことがない限り、枯らせてしまうことはないでしょう。
逆に植物はほおって置く主義という方には不向きなユーカリです。
成長速度についてはどちらかというとゆっくりな方です。
また、かなり乾燥を好みますが、
そこまで水切れに強いというわけでもなく、
用土が完全に乾いたらたっぷりと水遣りをする必要があります。
この辺りも多肉植物とは違い少し手間のかかるところです。
耐寒性については-5℃くらいと言われています。
ユーカリ中ではあまり強い方とはいえません。
大阪では30cmを超えるような株であれば特に問題はありませんが、
小さな苗については、寒い日は簡易温室などに退避しないと、
新芽などに枯れや痛みがでることがあります。
また、寒い日に葉に水をかけると痛みの出る場合があります。
寒さにあまり強くないからといって、
室内管理は絶対に避けてください。
室内では空気の流れがないため、用土に余分な水分が残りやすく、
過湿で根を痛め、ほぼ100%に近い確率で枯らせてしまいます。
少し寒くても、寒風さえ防げるなら、野外管理が必須です。
また冬季は本当にびっくりするほど水を吸わなくなります。
我が家でもたまにスリット鉢の底のスリットから
少しシャワーで水をかけてあげる程度で、
冬に鉢の表面から水を与えることはまずありません。
ハッキリ言って断水に近いような管理になります。
冬だけでなく、最高気温が30℃に満たなくなってくると
急激に吸水量が減ってくるので注意が必要です。
ここで吸水量の激減を察知できずに、
涼しくなった途端に過湿で枯らせることが多いです。
これはmacrocarpaなどと同様にとても厄介なポイントです。
我が家は日照があまり良くないこともありますが、
基本、最高気温が30℃を切ったくらいから、
鉢の表面からの吸水はストップして、
底面吸水のみに切り替えています。
気になる香りについては、
orbifoliaやpulverulentaに良く似ています。
シネオールの香りをベースに爽やかな柑橘系の香りがします。
香りの強さは弱くもなく強くもないという程度で、
葉や茎を指で触ると、良く香ります。
非常に爽やかで誰もが好きになれる良い香りです。
とにかくユーカリの中では一押しなのですが、
育てるのが少し面倒でマメな管理が必要になると思います。
でも、その面倒を受け入れてでも育ててみたくなるユーカリです。
私はこのkruseanaを徹底的に経験し、学んで、
いつか量産できるように密かな野望を持っています。
このkruseanaを育ててみたい方には
素晴らしいユーカリ農場をご紹介しますので
是非、ご連絡をいただければと思います!
------------------------------
<栽培難易度:E>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★
要水分:★★
耐過湿:☆
耐水切:★★★★
耐日陰:☆
耐移植:★★★
耐寒性:★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2010-08-21 12:16 | ユーカリ紹介