
【ユーカリ紹介-28】
ユーカリ・マクロカルパ
(Eucalyptus macrocarpa ssp. macrocarpa)続きまして第28回目は
ユーカリ中で最大の赤い花を咲かせ、
ほとんど白色に近いまでの白銀葉の美しさは
まさにユーカリの王者と呼ぶにふさわしい、
ユーカリ・マクロカルパです。
◎ユーカリ・マクロカルパ
【学名:Eucalyptus macrocarpa ssp. macrocarpa】
【英名:Mottlecah / Mottleceae / Desert Mallee
Blue Bush / Bush Rose / Mallee Rose / Rose of the West】
macrocarpaは日本では知る人ぞ知るユーカリですが、
世界的にはかなり有名で、たくさんの英名や呼称を持つ、
ユーカリの王者的存在といえるユーカリです。
ユーカリ、強いては園芸に興味のある人で、
その際立った外観を目にした人は、
咄嗟に育ててみたいと思ってしまうほどに美しいユーカリです。
ところが栽培難易度の高さでも
恐らくユーカリの王者的存在・・・といえます。
macrocarpaは率直に言うと、
---------------------------------------------------------
・土が完全に乾いたら即水遣りが必要
・菌に弱く非常に根腐れしやすい
・半日直射日光以上の日照量が最低限必須
・雨の残り雫でも葉が傷み、病気に弱い
・肥料あたりしやすくリン酸を嫌う
・株だけでなく鉢にも日光を当てる必要がある
---------------------------------------------------------
といった厄介な性質をもったサボテンを育てるイメージです。
植物は放置が一番という人より、
雨が降るたびにわざわざ鉢を移動するくらいの
非常に熱心でマメな人向きのユーカリといえます。
生息地は西オーストラリア州の州都パースの
東部から北東部にかけて広がる半砂漠地帯です。
年間降水量は250mm(大阪の1/6)程度で
最高気温が50℃近くにまでなるような過酷な環境です。
パースに留学していた従弟に聞いたのですが、
この辺りは夏でも長袖で行動し、帽子や飲料水を忘れると、
気づかないうちに体内の水分が不足し、死に至ることもあるため、
喉の渇きだけではなく、時間を決めての給水が必須とのことでした。
また、夏はほとんど雨が降らずに
雨のほとんどは冬季に集中していることも、
日本と真逆の環境であることがわかります。
この環境の違いからmacrocarpaは高温多湿を極度に嫌います。
樹木としては大きくても3m程度といった低木で、
Bush(茂み)という名称からもわかるように、
木というよりは藪のように広がって育ちます。
西オーストラリア出身のユーカリには
原住民アボリジニーの言葉による
名前を持っているものがいくつかあります。
このmacrocarpaも
Mottlecah(モトレカ)やMottleceae(モトルセア)
といったアボリジニーの言葉による名前があります。
現地ではMottlecahと呼ばれているようです。
ちなみに学名のmacrocarpaは、大きな実の意味です。
花がユーカリ中で最大ですから、
必然的に実もユーカリ中で最大ということになります。
macrocarpaの最大の魅力は何といっても
まずその白銀大葉の美しさではないでしょうか
十分日光に当たり、乾燥気味に育てられた
健康な株の葉の長さは15cm近くにもなります。
写真の株で10cm程度の長さがありますが、
これでもかなりダイナミックで圧倒される外観です。
またもう一つの魅力は
直径10cmにもなるユーカリ中で最大の花でしょう。
この花はただ大きさが最大であるだけではなく、
茂みの薔薇に例えられるほど美しい花でもあります。
下の写真は開花を実現することができた、
実家の庭のmacrocarpaです!
------------------------------------------------------
実家の庭のmacrocarpaが開花!
※更に詳しくはこちらの記事をご覧ください。
------------------------------------------------------
この花を咲かせることは、
macrocarpaを育てる人にとって、
ある種のゴールであるといえると思います。
このmacrocarpaの花を咲かせるためには
タネを播いてから平均以上の環境・状態で育てて、
最短で5年程度かかるといわれています。
これは丈夫な株、十分な樹高(1m以上)へと育ち、
花を咲かせるための体力を維持できるほどに
根を伸ばすまでにかかる年月と言われています。
ただ栽培環境が良ければ、
3年程度での開花も可能なようです。
macrocarpaが日本で花を咲かせる時期は
ミモザアカシアと大体同じで早春と言われています。
蕾は夏~秋口にかけてでき出して、
そのまま越冬することになります。
急な寒波で蕾が傷んでしまうことがあるため、
蕾ができてからはマメなケアが必要とのことです。
macrocarpaの育て方のポイントとしては
下記のような感じです。
<水分管理>
鉢の表面はカラカラに乾いているのに、
土をひっくり返してみると
中はまだ湿っているといった状態を嫌います。
用土の中の方の状態までは中々わかりませんから、
日光の良く当たる風通しの良い環境で育てて乾燥力をあげます。
スリットポットなどのように底面からも
用土の乾燥状態を確認できる鉢があると便利です。
水切れ耐性をそこそこ兼ね備えており、
水が切れると大きな葉が犬の耳のように垂れさがります。
真夏でもそこから1日程度であれば枯れることはありません。
どうしても水分管理に自信がない人は、
葉が垂れさがったら水遣りを心がけるといいでしょう。
ただし、毎日確認することを忘れないでください。
夏季にフルタイム直射日光の環境で育てていると、
macrocarpaは何て水切れが早いのだろうと思われることでしょう。
夏季に株から鉢まで1日中直射日光が当たっている暑い場所なら、
macrocarpaは確実に1日1回程度の水遣りが必要になります。
ところが最高気温が30℃を切った途端に
その激しい吸水量はびっくりする程激減します。
慣れていない人は、毎日の最高気温をチェックして、
水遣りをしっかりと調整していく必要があります。
この吸水量の変化に気づけずに枯らせることが多いです。
我が家のベランダは日照がイマイチのため、
最高気温が30℃を切った途端に
鉢表面からの吸水をストップして、
完全に底面吸水のみにチェンジしています。
また、株には非常に良く日光が当たっているのに、
鉢や鉢土に日光が当たっていない場合なども
あまり生育がうまく進まないことがあります。
下記は吸水量の変化の目安です。
※これはあくまでも目安です!
※実際の結果は環境によって大きく変化します。
※どのくらい大きく変化するかの目安にしてください。
----------------------------------------------------------------
※終日直射日光の当たる環境で晴れの日が続いた場合
気温30℃以上 ... 毎日1回の水遣り
気温25℃以上30℃未満 ... 3日に1回の水遣り
気温20℃以上25℃未満 ... 5日に1回の水遣り
気温20℃以下 ... 週1回程度の水遣りか底面吸水
冬季 ... ほぼ断水か底面吸水のみ
※20℃以下の底面吸水は3日に1回程度
※冬季の底面吸水は5~7日に1回程度
----------------------------------------------------------------
<雨の管理>
用土の乾燥力と日照さえ十分であれば、
必ずしも必須の条件ではありませんが、
雨は極力避けた方が無難なようです。
完全に雨ざらしと雨を避ける環境では、
後者の方が健康で葉も綺麗に育っています。
特に梅雨時期はmacrocarpaには雨量が多すぎるため、
この時期だけでも雨が降ったら軒下に移すなどすると良いです。
軒下に置きっぱなしでもかまいませんが、
その際は日照量と風通しには気をつけてください。
梅雨時期など湿度の高い環境下で
葉に水がたまると中々蒸発せずに葉が傷むことがあります。
また冬季も葉にたまった水が冷えて、
枯れが出ることがありますので、
葉に水がかかったときには、軽く葉をゆすって
葉にたまった水を落とすようにしてください。
<肥料について>
全く与えないか、化成の置肥を指定量以下で与える程度でOKです。
また成長期に少し液肥を与えるのもOKです。
置肥や液肥はリン酸分が少なく、
窒素やカリウム分の多い肥料にすると良いでしょう。
ユーカリの中では、とても鉄分を必要とするユーカリで、
pHが上がり過ぎると、鉄分欠乏症の症状が出ることがあります。
化成肥料の与えすぎには十分注意してください。
葉面散布の鉄分系肥料などは効果的です。
※macrocarpaは酸性~弱酸性のpHを好みます。
基本的には荒れた貧しい大地を好む品種のため、
植え替え時に肥料を混ぜ込むのは止めた方が良いでしょう。
成長速度を上げたい場合には肥料ではなく、
macrocarpaの好む環境づくりをした方が効果的です。
<日光について>
半日以上直射日光の当たる環境が最低限必要で、
1日中ガンガンに直射日光が降り注ぐような環境が望ましいです。
ただし、半日陰程度の日照はあくまでも最低限で、
この場合は著しくパフォーマンスが落ちます。
元気に丈夫な株を育てたい場合には、
フルタイム直射日光が必須になるでしょう。
また、夏は少し涼しい場所よりも、
コンクリートやアスファルト、レンガなどの照り返しがきつく、
地上付近の温度が異様に高くなるような場所が寧ろ向いています。
葉の白さからもわかるように強烈な日焼け止めを持っていますので、
遮光は一切不要、葉焼けなどすることはありません。
※ただし日陰にあった株を急に夏の日差しに当てるのはアウトです。
いつまで経っても葉が大きくならないのは日照不足が原因です。
日照不足の場合は、激しいうどんこ病の被害が出ることがあります。
macrocarpaはうどんこ病にはかなり弱いユーカリです。
日照不足はそのまま水分管理の難易度を大幅に上げます。
十分な日照環境を完備することが最も重要なポイントになります。
また、葉だけでなく、鉢や用土にも良く日光を当てて、
鉢内の土中温度と乾燥力を上げることも成長力増進に役立ちます。
ここまで書くとかなり難しいと思われるでしょうが、
難しいというよりはとにかくマメに育てる必要があります。
旅行や出張が多い人や片手間の人には少し辛いかもしれません。
どうしても自信がないという人は、
kruseana/lehmannii/tetragona/albida/crucisといった
西オーストラリアのユーカリをまず育ててみて、
その水分管理の特徴を身につけると良いと思います。
macrocarpaの耐寒性ですが、思っていたよりもかなり強く、
一般的には-7℃程度までは大丈夫です。
うまく育てればもっと頑張れそうな気がしています。
-5℃程度でもほとんど葉痛みはありませんでした。
葉が分厚いためか、寒風にもかなり強かったです。
ただし、冬季の水分管理はよりデリケートになりますので、
冬季は葉が垂れさがったら水遣りをするか、
たまに行う底面吸水のみで乗り切った方が良いでしょう。
冬季の吸水の少なさにも本当にびっくりさせられます。
80cm近い大きな株が、月に1回か2回の水遣りで十分なのです。
ただ月に何回という水遣りはあまりよろしくないですし、
用土によっては月に1回の水遣りでも傷むことがあります。
※無駄な水分が用土内にいつまでも残るため。
日照や風通しがあまり良くない場所で管理する場合には、
たまに行う底面吸水で乗り切った方が良いです。
寒さが心配だということで、
冬季に室内で管理するのは絶対に止めましょう!
室内管理は鉢に余分な水分が残るために根が傷み枯れます。
私や先人の室内管理での枯死率は100%です><;
最近、良く栽培のポイントなどでお話ししていますが、
冬季に寒さが心配な人は、
ホームセンターなどで売られている簡易温室に入れましょう。
もちろん昼間は扉全開で
気温がマイナスにいくような日の夜間のみ扉を閉じます。
macrocarpaは本当に思っていたよりも寒さには強いユーカリです。
水分管理については梅雨時期と冬を乗り越えることができれば、
もうマスターしたようなものです!
気になるmacrocarpaの香りですが、
これがかなり良い香りで香り自体も中々に強いです。
手で葉を軽くはたいただけでほんのりと良い香りが漂います。
また水遣りのときなどに葉に水をかけたときも微かに香ります。
シネオールベースの香りですが、爽やかな花の香りがします。
葉をクラッシュして強く香ると、
シネオールの香りが強くなってしまいますが、
軽くはたくなどで微かに漂わせる方が
花の香りが強くなって、魅力的な香りに感じます。
最近良く見かけるようになったmacrocarpaですが、
もし興味のある方がいらっしゃったら
在庫をお持ちの素晴らしい農場をご紹介します。
macrocarpaはタネから販売できる苗サイズにまで育てるのが、
非常に厄介で手もかかり難しいのです。
これがネックで過去に生産を断念した栽培業者もいたほどです。
そのため、少しだけ値は張りますが、何卒ご理解ください。
macrocarpaに関しては、私もずっと勉強中です。
もしmacrocarpaを購入された方がいらっしゃったら、
一緒に情報をシェアしながら育てていけたらと思っています。
もしよろしければ、
この記事に非公開でメアドを書いてくださるか、
お問い合わせフォームからお問い合わせをいただければ
必ずメールを返信させていただきます。
よろしくお願いします。
この記事で興味を持った人が
macrocarpaを育てるようになったらいいなと思っています。
本当に写真で見るよりもっともっと美しいですよ!
macrocarpaを育てる技術を確立して、
macrocarpaを育てる人を日本に増やして、
macrocarpaを日本に溢れさせること。
ユーカリに本格的に手を出そうと決めた
私の大きな夢の一つなんです。
最近良く見かけるようになったことに、
少しこのブログが貢献できていたら嬉しいです
------------------------------
<栽培難易度:E+>
香良さ:★★★★★
香強さ:★★★★★
成長力:★★
要水分:★
耐過湿:☆
耐水切:★★★★
耐日陰:☆
耐移植:★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-05-02 17:37 | ユーカリ紹介

ユーカリプレゼントが終了しましたm(_ _)m
第二回ユーカリプレゼントが終了しました。
※まだ発送前の方もいらっしゃるのですが。。。
お陰さまで全ての在庫とプラスアルファまでが
全部なくなるという非常に光栄な結果となりました^^
素人が育てた苗ではありますが、
皆さまの元で元気に育ってほしいなと願っています。
また、万が一、枯れてしまっても、
売っているところをご紹介もできますし、
次回もまたプレゼントにご応募ください。
一度育ててみて、枯れちゃって、
それでもどうしてもこの品種が欲しい~!!ってときは、
私までこっそりメールをください。
親愛なるあなたのために、追加でタネを播きますよ♪
困ったことにタネはいっぱい余っているのです><;
次回のプレゼントは夏前、
もしくは秋口に実施できるかもしれない予定です。
どんどんマニアックなユーカリになっていきますが、
興味のある方は、期待しないで待っててください(>0<)
最後に、
プレゼントを受け取ってくださった方々へ、
本当にありがとうございました。- # by eucalyptus_k | 2011-04-30 19:43 | ユーカリ(その他)

【ユーカリ紹介-27】
ユーカリ・アルボプルプレア (Eucalyptus albopurpurea)続きまして第27回目は
ユーカリでは非常に珍しい紫の花が特徴的で、
その名前にもなっているユーカリ・アルボプルプレアです。
◎ユーカリ・アルボプルプレア
【学名:Eucalyptus albopurpurea】
【英名:Coffin Bay Mallee】
albopurpureaという学名の意味は、そのままPurple Flower、
ある意味、その特徴的な紫の花が全てというユーカリです。
ユーカリには白やクリーム色、黄色の花を咲かせるものが多く、
leucoxylonやsideroxylonといった花が有名な品種では、
ピンクや赤、オレンジといった花を咲かせるものもあります。
その中で紫の花を咲かせるユーカリは
恐らくこのalbopurpureaだけではないかと思います。
このalbopurpureaは、その特徴的な花から、
海外では比較的有名な部類のユーカリになりますが、
日本ではまず見かけることのないマニアックなユーカリです。
その生息域は非常に限られており、
アデレード周辺の海岸沿いと、
英名にあるコフィンベイの周辺のみに自生しています。
現在はEucalyptus albopurpureaと、
完全に独立した品種のユーカリとして認定されていますが、
以前はEucalyptus lansdowneanaの亜種で
ssp. albopurpureaとして扱われていました。
このalbopurpurea、率直に言ってしまうと、
紫の花を目当てにする以外では
少々面白みに欠けるユーカリといえるかもしれません。
葉は青緑色が濃く、稀に少しだけ白く粉を吹き、
先の尖った、典型的なユーカリの葉形をしています。
大きく育ってからも、少し細長くはなるものの、
あまり葉の形状が変わることはありません。
このalbopurpureaが生息する地域には、
非常に良く似たユーカリ達がいくつか存在しています。
fasciculosa/porosa/conglobataなどの品種です。
これらは非常に良く似すぎていて、
素人目にはほとんど見た目での区別はつきません。
特にfasciculosaはまるで同種であるかのように似ています。
敢えていうならば、albopurpureaはその紫の花と同じように、
茎が綺麗な紫色をしていることが特徴でしょうか。
それ以外では花を咲かせてから識別するしかありません。
ピンク色の花が有名なleucoxylonやsideroxylonは、
25m以上の比較的大きな樹木へと成長する品種のため、
鉢植えで花を楽しむには10号以上の大鉢で、
最低でも2m程度にまで育てるか、露地植えする必要があります。
ところがこのalbopurpureaは、
最高でも5m程度とかなり小型の灌木状に育ちます。
この最高5m程度という樹高のユーカリであれば、
鉢植えで、1m以上の樹高でも十分に開花が見込めると考えています。
鉢植えで非常に珍しい花が咲くかも!?ということで、
私の中ではかなり期待大のユーカリなのです。
このアデレード近辺のユーカリには、
比較的乾燥を好むわりに、中々の水食いで、
根張りが強く、水切れ耐性が低いという特徴があります。
また、かなり涼しい季節メインで育つものが多いです。
大阪などの激しい暑さはあまり得意ではないようで、
夏場はほとんど動きがなくなります。
高温障害の症状がでることは稀ですが、
風通しが悪く、高温多湿な場所で育てると、
梅雨時期~夏場にかけて、少し葉痛みがでることがあります。
暑い季節はなるべく風通しの良い場所で管理してください。
albopurpureaは中々の水食いで、
涼しい季節にはかなりの成長力で育っていきます。
その割には比較的乾燥力の強い用土を好み、
過湿には少し弱いところがあります。
要するに早く乾く用土で
頻繁な水遣りを心がけると良いということです。
育て方や環境としては、leucoxylonや
cladocalyxなどに良く似ており、
それらの中でも強健で育てやすいユーカリです。
耐寒性については平均的で、
-8℃程度とleucoxylonと同じか、それよりも少し弱い程度です。
大阪の冬ではほとんど葉痛みはありませんでしたが、
寒風にはかなり弱いようで、
冬季に寒風を浴びるとヘロヘロになります。
暖かい日には元に戻りますが、風の強い環境では、
寒風を凌げる軒下などでの管理を推奨します。
気になるalbopurpureaの香りですが、
これはユーカリか?と思うほどに全く香りがしません。
葉を千切ってクラッシュして初めて、
わずかなミント様の香りと青臭い草の香りがします。
はっきりいって香りを楽しむことはできません。
本当に紫の花が全てのユーカリですね。
私はあまり日当たりの良くない場所で育てていますが、
過湿にさえ気をつければ、それでも元気に成長してくれます。
ただしあまりにも日照が悪い場合には、
酷いうどんこ病の被害が出ることがあります。
我が家でもかなりうどんこ病には弱いユーカリの一つです。
どちらかというと比較的育てやすいユーカリで、
leucoxylonなどのメジャーなユーカリと比べても、
同程度に強健なイメージがあります。
紫の花を目当てに育ててみたい人は、
恐らく日本で手に入れることは難しいと思います。
海外のタネ屋やebayなどでは
比較的頻繁にタネが売られていますので、
興味のある方にはご紹介させていただきます。
今後も期待をかけて熱心に育てながら、
開花に向けて頑張っていきたいと思っています。
いつかこのブログで紫の花を紹介できたらいいなぁ。。。
------------------------------
<栽培難易度:B+>
香良さ:★★
香強さ:★
成長力:★★★
要水分:★★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★
耐病虫:★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-04-25 22:36 | ユーカリ紹介

我が家の栽培環境
最近、ユーカリ栽培のポイントについて色々と書いていますが、
これだけは本当に環境によって大きな差が出るため、
中々、これといったオールマイティな方法は導き出せません。
一日中日光の良く当たる、風通しの良い広い庭があれば、
それだけでユーカリなんて
大して難しいものでもなくなるでしょう。
また真夏などで一番怖いのは水切れになってくるでしょう。
しかし、日照の悪い環境や風通しのよろしくない環境の場合、
用土や水分管理に気を使い、難易度も少し高くなります。
その中で一番怖いのは過湿になってくるでしょう。
私がユーカリを育てているベランダは、
通常のベランダよりさらに日照や風通しも悪く、
ユーカリを育てるのには不向きな環境であるといえます。
そのため、私は少し難しく
ユーカリ栽培について考えなければなりません。
今日は我が家がどのような環境なのかをご紹介します。
私の書いたユーカリ栽培のポイントは、
我が家の環境での今時点の最善の栽培方法です。
皆さんの環境と比較して考えてみてください。
ベランダは南向き(厳密には若干南西向き)です。
そのため、夏季には西日だけは良く当たります。
まずはベランダへ出て、右側の状態です。
扉のすぐとなりには大きな簡易温室が二つ置いてあります。
もう少し暖かくなったら、覆いを完全に取り去る予定です。
上段はポット苗、最下段は鉢植えを置いています。
その向こうにはスクラムを組んだ鉢植えが並んでいます。
これはその奥の鉢植えゾーンの写真です。
鉢植えが五列でぎっしりと並んでいます。
こちら側にも室内とつながる扉がありますが、
この扉は完全に封鎖されています。
最奥の右手に見える白いものはクーラーの室外機です。
また、写真上部に物干竿が見えると思いますが、
こちらには毎日洗濯物をぶら下げているわけです。
これが空気の流れの滞留とさらなる過湿を招きます。
また、季節によっては日光を遮る要因にもなります。
春と秋は列の真ん中、冬は列の奥のみ、
夏は列の最前列のみに直射日光が半日程度当たります。
最も太陽の高くなる季節(5~7月)の日照が最悪です。
これはこの鉢植えゾーンをより幅広く写した写真です。
左の壁は完全に日光と風をシャットアウトするので、
冬の寒風やビル風、突風を防いではくれるのですが、
空気の流れをかなり悪くする要因にもなっています。
鉢植えの前の歩けるスペースは狭く、人のすれ違い不可です。
完全に植木鉢が占めている範囲の方が広くなっています。
左の壁の上の柵に折りたたみ式の物干竿が見えるでしょうか。
これを広げてしまうと猿の綱渡りのようにしないと歩けません。
また日光を遮るので靴下くらいしか干せませんToT
これが壁と天井を映した写真です。
今までの写真を見て比較的明るいじゃないか
と思われた方もいるかもしれませんが、
この写真を見ると、屋外と比べて、
ベランダがどれだけ暗いかわかっていただけると思います。
壁は分厚く、天井も壁と同じ範囲まで外に出ています。
内側の物干竿に洗濯物を干した場合には、
台風級の暴風雨でもない限り雨はかかりません。
その代わり日光もかなり届きにくくなってしまいます。
柵の向こうにプランターをくくりつけてあるのが見えるでしょうか。
ここが唯一確保できた一日中直射日光ゾーンなのです。
次にベランダへ出て、左側の状態です。
このスペースは冬以外の季節には非常に良く日光が当たります。
また、ベランダの中では最も風通しの良いスペースです。
そのために少し気難しいユーカリ達を置いています。
ネックとしては、直接ここでは水遣りができないので、
水遣りの際にはわざわざ鉢を移動して水をやり、
水を切ってから元の場所に戻す作業が発生します。
これが我が家の栽培環境の全容です。
とにかく、壁が分厚く、天井もかなり外までせり出しているので、
風の動きがなく、日照もかなり制限される環境です。
恐らく普通のマンションのベランダであれば、
壁が透明で、ある程度の日光を通す素材のものであったり、
壁や柵自体、またはその下部に、
風を通せるスペースのあるものが多いのではないでしょうか。
そのようなベランダに比べると、強風や雨を防げる傍ら、
かなり湿気のこもりやすい環境になってしまいます。
また私のマニア魂のせいで、
異様に鉢が密集していることも
空気の滞留と湿気を招いていると思います。。。
この環境をご参考にしていただき、
ユーカリ栽培のポイントと照らし合わせてみてください。- # by eucalyptus_k | 2011-04-24 16:51 | ユーカリ(栽培実績)

【ユーカリ紹介-26】
ユーカリ・モリスビー (Eucalyptus morrisbyi)続きまして第26回目は
絶滅危惧種に指定されているタスマニア生息種、
銀丸葉が美しく育てやすいユーカリ・モリスビーです。
◎ユーカリ・モリスビー
【学名:Eucalyptus morrisbyi】
【英名:Morrisby's Gum】
このmorrisbyiは絶滅危惧種に指定されています。
ところがそれは自生する個体での話のようで、
栽培用の種子としては相応に出回っています。
とはいえ、かなりマニアックなユーカリの一つで、
日本で見かけることはまずないといっていいユーカリでしょう。
タスマニアには美しい銀葉の丸葉ユーカリがいくつか存在します。
皆さんが良くご存知のgunniiはその代表格ですし、
他にもurnigera/rubida/perriniana/archeriなどがあります。
morrisbyiもこの中に名を連ねる一種です。
私がこのマニアックなユーカリを知ることができたのは、
私のユーカリ同好会仲間であるOsakano_Jieさんのお陰です。
Osakano_Jieさんは、この美しいユーカリに、
いち早く目を付けられ、栽培を行ってこられました。
その折にタネをお分けいただいて、育てたのが写真の株です。
>>>Osakano_Jieさんのブログはこちらとこちら
morrisbyiはとにかく白く美しい銀葉が特徴の品種です。
gunniiやurnigeraに良く似ていますが、
茎も葉と同様に白く粉を吹いておりザラザラで、
葉の周囲はcrenulataのようにギザギザになっています。
また、冬季には新芽が薄ピンク色になり、これがまた綺麗です。
オーストラリアのユーカリに関する文献には、
果実は白く粉を吹き、壺のような形でurnigeraに似る、
大きくなってからの新芽はcordataに似るとあります。
また生息域の環境はgunniiと良く似ているとのことです。
ちなみにこのmorrisbyiという人の名前のような学名の由来ですが、
全くその通りにMorrisby氏が発見したユーカリだからです。
morrisbyiはユーカリの中ではさほど大きくなる方ではなく、
16m程度のねじれたかのような珍しい樹皮を持つ樹木へと育ちます。
また、繊細で美しい外観からは想像できないほどに強健で、
涼しい季節をメインに脇芽をガンガン出して成長していきます。
暑い夏はさほど得意ではないようで、
盛夏にはほとんど成長が進まなくなります。
ただそこまで暑さに弱いというわけではなく、
今のところ高温障害の症状が出たことはありません。
タスマニア生息種には湿地帯を好み、
日陰に対する耐性を持ち合わせている品種が多いのですが、
このmorrisbyiはタスマニア生息種の中でも
かなり日光が大好きな品種といえるでしょう。
半日陰以下の日照の場所では、
生育がかなり悪くなり、ヨレヨレの葉ばかりを生成します。
またこのような葉は酷いうどんこ病や
ハダニの被害を受けることにもなるので、
morrisbyiを育てる上で日照はとても重要になります。
家のベランダのように日照が控え目な環境では、
比較的小丸葉で可愛いくヒョロっと育っていきますが、
Osakano_Jieさんのところのように
十分な日照の得られる環境では、
goniocalyxほどではないですが、
中々にたくましい大葉へと育っていくようです。
成長力や外観、その強健な性質を見ていると、
gunniiを育てているかのような気がしてきます。
率直なイメージとしては日光の好きなgunniiといった感じです。
morrisbyiはユーカリ中でもかなりの過湿耐性を備えており、
どちらかというと湿地帯に近い環境を好む品種といえます。
かなり水を好むユーカリで、水切れにもさほど強くはありません。
この辺りもgunniiと良く似ているなと思っています。
このような強健なユーカリが絶滅危惧種に指定される要因として、
一つは元々の生息域がかなり限られていることと、
近年、タスマニアの雨量がかなり減少しているため、
湿潤を好むユーカリ達がそれに耐えられないことが推測されます。
耐寒性についてはユーカリ中でもトップクラスで
-12℃くらいまでは枯れずに生き残ります。
さらに寒い環境にあって、土から上が枯れても、
高確率で春には新芽を吹くほどに強健です。
大阪の冬ではほとんど葉が痛むことさえありませんでした。
気になるmorrisbyiの香りですが、
非常に爽やかな柑橘系の香りが強く感じられて、
その後にシネオール系の香りがスッと突き抜けます。
pulverulentaに良く似た非常に爽やかで快適な香りです。
香りの強さはcinereaなどと同じで、
葉を軽く指で擦ると良く香ります。
香りを楽しんだり、花材としても十分利用できると思います。
日光の良く当たる環境さえあれば、
gunniiとほぼ同じように育てることができます。
また、成長力や鉢植えでの管理もgunniiとほぼ同じです。
私の私見ですが、gunniiよりも香りが強く心地よいです。
gunniiが大好きで、さらにバリエーションを
増やしたい方にオススメです。
ところが困ったことに、
日本ではmorrisbyiを手に入れる手段が全くありません。
私も現在は余分な苗は持ち合わせていませんし、
おそらく栽培している業者も日本には存在しないと思います。
どうしても育ててみたい方にはタネの販売所をご紹介します。
タネから育てる難易度としてはさほど難しい方ではありません。
もしmorrisbyiに興味があって、
どうしても育ててみたいという方は、
遠慮なく私に声をかけてくださいね。
育てやすいし、綺麗だし、香りも心地よいし、
日本で流行ってもいいのになあと思うmorrisbyiでした。
------------------------------
<栽培難易度:A+>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★★★
要水分:★★★★
耐過湿:★★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★★★
耐暑性:★★
耐病虫:★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-04-23 14:52 | ユーカリ紹介