
【ユーカリ紹介-32】
ユーカリ・アルビダ (Eucalyptus albida)続きまして第32回目は、
西オーストラリア軍団の一員、
「白」という意味の学名が表す通りに、
ユーカリ中でもトップクラスに葉の白い、
「ユーカリ界の白い宝石」ユーカリ・アルビダです。
◎ユーカリ・アルビダ
【学名:Eucalyptus albida】
【英名:White-leaved Mallee】
学名のalbidaの意味は「白」です。
また英名もWhite-leaved Malleeです。
これらの名前が表すように
albidaはユーカリ中でも随一の銀葉を持っています。
私が他に育てているユーカリで
albidaに対抗できるほどの葉の白さをもつものは
macrocarpa/gillii/glaucescensくらいです。
また、比較的小ぶりでコンパクトにまとまりやすく、
わき芽もたくさん出すという性質のため、
自慢の白葉を活かした美しい樹形が容易に形作られます。
葉の形状は丸くて先の尖った
ティアドロップ(涙)型をしており、
明るいエメラルド色になるか強く白い粉を吹きます。
このalbidaの美しさには私も早い段階で目をつけていましたが、
最近では、ネット等で販売されているのを良く見かけます。
日本で流通するのはとても良いことなのですが、
もし購入される場合には苗のサイズにご注意ください。
私が以前見つけたものでは、
数センチの幼苗で売られているものがいくつかありました。
これはちょっと酷いな、、、と思いました。
これはユーカリ全般に言えることですが、
ユーカリはタネを播いてからの発芽率は比較的上々です。
例えばalbidaであれば発芽率は80%を超えると思います。
ところがそこから10cmを超え、
25cm程度の樹高に至るまでに、
多くの苗が淘汰されていくものです。
特に日本の環境に合っているとはいいがたい
西オーストラリアのユーカリについては、
25cmまでの生存率がプロでも50%を切るものがあります。
ぶっちゃけ数センチの苗であれば、
淘汰される前の段階といえるので、
ちょっと購入は控えた方がいいと思います><;
また、幼苗の間の栽培難易度は比較的高く、
ちょっと初心者には無理があるように思います。
最低15cm以上、安心を求めるなら25cm以上のサイズで
ご購入されることをオススメします。
ちなみにalbidaなどは横に広がりやすい品種なので、
樹高は真っ直ぐ上に伸ばした時点でのサイズでOKです。
それでも売れ行きは上々みたいで、
albida関連でこのブログを訪問される方も多くいます。
そんな人気のalbidaですが、
現地では3m程度と非常に小型の灌木状に育ちます。
また、その樹皮はユーカリ特有の形状で、
ねじれて、どんどん剥けていくタイプのものです。
ところで、上の樹木の写真を見て気づきませんか?
そう、葉が白色ではなく、濃い緑色をしています。
実はalbidaの白い丸葉は小さい間限定の葉で、
大きく育ってからの末葉は、
寧ろ深い緑色が特徴になるほどの細葉になります。
これはこれで切り枝として人気があるようです。
小ぶりで美しいalbidaですが、
育てていく上で大きなネックが二つあります。
一つはこの葉の白さです。
これだけ葉が白いということは
強力な日焼け止めをもっているということですから、
終日直射日光がガンガンに必要となります。
半日陰以下の環境で育てると
いつまで経っても葉が大きくならずに
貧相なまま育ち、いつかは枯れてしまいます。
実際に販売業者に聞いた話ですが、
日光不足でうまく育たないという
購入者からのクレームは結構多いようです。
そして、次のネックですが、
これは最もクレームの多い原因となっているようです。
albidaはかなり低木なため、樹高の低い間から、
深緑色の細長い末葉が生え出す可能性があります。
私の知っている情報では、
わずか1m程度の樹高で末葉が生え始めました。
逆に1m程度の樹高で花が咲いたという話も聞いています。
このユーカリの幼葉と末葉の関係ですが、
実際かなりアバウトで個体差に大きく左右されます。
例えば1mから末葉が出るものもあれば、
どれだけ大きくなっても末葉の出ないものがあったり、
一旦末葉が出ても、剪定すれば幼葉がまた生え出したり、
もう二度と幼葉が出なくなってしまったりなど様々です。
とにかくalbida自慢の白く美しい幼葉を維持するためには、
かなり小まめな剪定や摘芯が必要になるわけです。
albidaを購入して育ててみようという方は、
この特徴について良く理解しておいてくださいね。
albidaの生息地は西オーストラリア南西部の内陸です。
西オーストラリア軍団の中では、比較的育てやすい方ですが、
かなり強烈な日光が終日必要になります。
kruseanaやcrucisなどと似たような感じで、
一般的な西オーストラリアのユーカリと同じ育て方をします。
乾燥力の強い用土で乾燥気味に管理します。
orbifoliaやwebsteriana、kruseanaほどではありませんが、
crucisよりもさらに水を必要としません。
病害虫の影響は比較的受けにくい方で、
kruseanaよりは過湿耐性があり、
crucisよりは過湿耐性が弱いといった感じです。
ちまたで販売されているalbidaの情報を見ると、
生育はかなりゆっくりとありますが、
西オーストラリアのユーカリの中では、
決して遅い方ではなく、平均的な成長力です。
日光ガンガンで乾燥力の強い用土という
albidaが好む環境を作ることができれば、
一年以内にタネ播きから60cm程度までは軽く育ちます。
どうしても生育が遅いという人は
栽培環境があまり合っていないというサインです。
暑い真夏もコンスタントに成長を続けますが、
盛夏を過ぎて、少し涼しくなった秋に大きく成長します。
恐らく、秋の成長のポイントは
夏に十分な日光を浴びていることだと思います。
耐寒性については難ありの西オーストラリア軍団ですが、
その中ではかなり強く、-8℃程度までは頑張るようです。
今年はわずか10cm程度のalbidaの苗を
寒風の吹き荒れる場所に放置していました。
何度も用土がカチカチに凍り、霜柱も酷かったですが、
大した痛みもなく、元気に育ち続けています。
その放置された苗というのが、
ズバリ!この記事の写真の苗です!
あまりに幼いうちは、
少し寒風を避けた方が良いかもしれませんが、
関東以西の暖地では容易に野外越冬ができると思います。
冬季には新芽などが紫色に紅葉します。
気になるalbidaの香りですが、
少し甘みの強いミント系の香りが漂います。
香りは強くもなく、弱くもないといった感じです。
とても爽やかで良い香りで、
枝を切ったりしたときなどに良く香ります。
香りを楽しむユーカリとしての利用もギリギリ可能です。
albidaの売り文句として、
「こんなに美しい植物があったなんて知らなかった」
なんて良く書かれていますが、
albidaはこの言葉に偽りなしと思うほどに美しいユーカリです。
ただ、gunniiやcinereaなどの
良く売られているユーカリに比べると、
性質が大きく異なるため、その性質を熟知していないと、
少々手のかかるユーカリではあります。
kruseanaやmacrocarpaなどと同様に、
西オーストラリアのユーカリに慣れるまでは、
少しマメな水分管理と毎日のチェックが必要かと思います。
それでも育ててみたい方には、
素晴らしい農場をご紹介できますので、
是非声をかけてくださいね。
albidaの白葉を是非一度ご堪能ください♪
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<栽培難易度:C>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★
要水分:★★
耐過湿:★★
耐水切:★★★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-06-09 22:20 | ユーカリ紹介

ユーカリ愛好会を作ります!
突然ですが、ユーカリ愛好会を作ります!
現メンバーは私とOsakano_Jieさんの二名だけです。
>>>ユーカリの生字引Osakano_Jieさんのブログはこちら
今のところ、ルールなどは特にないです。
単純にユーカリ好きが集まって、
情報交換や苗・タネのシェアができたらいいなと思っています。
私とOsakano_Jieさんは、同じ市内に住んでいるため、
何度か会って、お話をしたり、苗交換をしたりしています。
また、いずれオフ会と称し、
一杯やりませんかみたいな話もあります。
お近くなら、たまに会って
ユーカリの話に花を咲かせたいななんて思っています。
別に近くじゃなくても、メールやチャットで、
ユーカリ談義に燃えてみてもいいなと思っています。
今のところ非常に軽い集まりではありますが、
将来的には何か大きなこともやりたいななんて密かに思ってマスw
ちなみに現メンバーのユーカリマニア度と
入れ込み度合いはかなりのものがありますのであしからず(爆)。
一つだけ決めておきたいなと思っていることは、
会員は全会員のメールアドレスをシェアするというところだけです。
例えば、今入会した場合には、
私とOsakano_Jieさんとメアド交換を行い、
ユーカリに関する交流を深めていくということになります。
私生活のお話や詳しいプロフを明かす必要もなく、
ユーカリの話だけに限定して情報交換ができれば結構です。
別に気遣いなどは一切不要で、
気ままにマイペースにやっていただいて結構です。
そもそも私がかなりマイペースです。。。w
もし入会してみたいなとか、
興味があるんだけど・・・なんて人がいたら、
この記事に匿名でメアドを書いてください。
取り急ぎは私の方からメールを返信させていただきます。
入会希望でなくても、質問だけでも結構ですよ^^
今まで、ユーカリが本当にたくさんの
素晴らしいご縁を作ってくれました。
これからも、ユーカリを通じて
たくさんのご縁ができることを心から願っています。
【PS】
以前、glaucescensを希望されたとある方へ
あれからいかがですか?お元気にされていますか?
また、気が向いたらご連絡お待ちしていますね♪
それでは、今日も良い日でありますように☆- # by eucalyptus_k | 2011-05-22 00:46 | その他

【ユーカリ紹介-31】
ユーカリ・ウンキナータ (Eucalyptus uncinata)続きまして第31回目は
日本では中々ツキヌキになってくれない、
西オーストラリアのミニツキヌキユーカリこと、
ユーカリ・ウンキナータです。
◎ユーカリ・ウンキナータ
【学名:Eucalyptus uncinata】
【英名:Hook-leaved Mallee】
uncinataは西オーストラリアに生息するユーカリの中では
珍しくツキヌキ状の葉になる品種です。
ところが上の写真のように
日本で、特に幼い苗のうちは
なかなかツキヌキ状に育ってくれません。
現地オーストラリアでは
乾燥した土壌で強い直射日光を浴びて、
丈夫な株へと育つために、
幼いうちでもツキヌキ状の葉が生じるようです。
日本でももう少し大きく育っていくと
下の写真のようなツキヌキ状の葉が生じてくるようです。
uncinataの葉色は綺麗なエメラルドグリーンで、
少し白く粉を吹くこともあります。
また、比較的肉厚でしっかりとした葉をしています。
写真で見るとツキヌキ状になっているかのように見えますが、
良く見ると葉と葉の間にはしっかりと切れ目があります。
uncinataは樹木としては4m~7m程度の灌木状に育ちます。
大きく育ってくると、一般的な丸葉ユーカリと同じく、
英名の通り、鉤状の細長い葉へと形を変えます。
細長い葉になってからも、
綺麗なエメラルドグリーンの葉色を保ち、
ポポラスのようにたくさん蕾をつけるため、
現地では花材としても重宝されているようです。
uncinataは幼いうちでは脇目を出しにくく、
一本で真っ直ぐに伸びる傾向が強いようです。
また、全体がかなりコンパクトにまとまるため、
なかなか可愛らしい外観をしています。
生息地は西オーストラリアのエスペランス付近と、
少し癖のあるユーカリが多い地域ですが、
その中では比較的育てやすいユーカリです。
uncinataは少し水切れに強いlehmanniiといった感じです。
kruseanaやmacrocarpaよりは水を好みますが、
ほぼ一般的な西オーストラリアのユーカリと同じ育て方をします。
乾燥力の強い用土で乾燥気味に管理し、
一日中直射日光の降り注ぐような環境を好みます。
葉が肉厚のためか、
病害虫の影響をあまり受けにくい丈夫なユーカリです。
また、本当に若干ではありますが、
過湿環境への耐性も備えているようです。
東オーストラリアのユーカリと比べると、
uncinataの成長速度は並程度ですが、
西オーストラリアのユーカリの中では、
なかなか成長力の旺盛な方であるといえます。
uncinataはどちらかというと高い土中温度を好むようで、
涼しい季節よりも、暑い真夏メインで成長します。
耐寒性については難ありのユーカリが多い地域出身ですが、
uncinataはその中でかなり強い部類になります。
今年の-5℃近くまで下がった大阪の冬は難なく乗り越えています。
葉が肉厚のため、寒風にもそこそこ頑張りますが、
幼苗のうちは、少し風を避けた方が良いかもしれません。
冬季には新芽などが紫色に紅葉します。
気になるuncinataの香りですが、
西オーストラリアでは精油に少し定評があるようです。
アロマデンドレンという甘みの強い芳香成分を多く含み、
柑橘系の香りがメインの香水のような非常に良い香りがします。
orbifoliaやdecipiensの香りを強くしたような感じで、
この香りは誰もが好きになれるアロマティックな香りです。
uncinataは育てて外観を楽しむだけでなく、
香りを楽しむユーカリとしても十分に利用できます。
uncinataは面白い葉型のユーカリが好きで、
西オーストラリアのユーカリにチャレンジしてみたい人には、
特におすすめのユーカリです。
また、ユーカリをコンパクトに育ててみたい人や
ユーカリの香りを楽しみたい人にも最適です。
育ててみたい方には素晴らしい農場をご紹介できますので、
是非声をかけてくださいね。
意外に多いツキヌキマニア??の方は
是非とも育ててみてくださいねw♪
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<栽培難易度:C>
香良さ:★★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★
要水分:★★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★
耐移植:★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-05-19 18:13 | ユーカリ紹介

【ユーカリ紹介-30】
ユーカリ・カエシア・マグナ (Eucalyptus caesia ssp. magna)記念すべき第30回目は
幼葉ではユーカリとは思えないような外観で、
美しい花を咲かせるユーカリの代表格、
ユーカリ・カエシア・マグナです。
◎ユーカリ・カエシア・マグナ
【学名:Eucalyptus caesia ssp. magna】
【英名:Silver Princess / Gungurru】
上の写真は苗木のうちのcaesia ssp. magnaの写真ですが、
今までに紹介したどのユーカリにも似ておらず、
まるで別の植物のであるかのような葉形です。
アイビーなどの蔦系やペペロミアなどの葉にも似ています。
ところがこれもれっきとしたユーカリの一種です。
葉は深い緑色の完全な逆ハート型、
かなり肉厚でツルっとしており、光沢があります。
良くうどんこ病に罹ることがありますが、
葉が肉厚でツルツルのため、
指で軽く撫でただけで、菌を簡単に取リ去ることができます。
caesiaにはssp. caesiaという原種と
このssp. magnaという亜種の2種が存在します。
ssp.caesiaの方が花や実、樹高など全てが小ぶりで、
ssp. magnaの方が全てにおいて大型で幹の白銀色も強くなります。
magnaには大きいという意味があります。
caesia全体を一般的にSilver Princessと呼ぶこともありますが、
厳密にはSilver Princessとはssp. magnaのことです。
上の写真のような幼苗の間は
蔦系のような少し渋い葉形をしていますが、
成長してからのcaesia ssp. magnaは
Silver Princessの名に相応しい
繊細で美しい外観へと変貌を遂げます。
葉は細長い一般的なユーカリの葉形へと変わり、
茎や蕾はそれはそれは美しい白銀色になります。
caesiaという学名はラベンダーブルーという意味で、
この茎や蕾の白銀水色に由来しています。
もう一つcaesia ssp. magnaの大きな特徴をあげるとするならば、
ユーカリ中でも美しくて有名なピンク色の花でしょう。
下の写真は2015年の4月に我が家のベランダで開花した
caesia ssp. magnaの花です。
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我が家のベランダでcaesia ssp. magnaが開花!
※更に詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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その花の美しさから、現地オーストラリアでは
公園などの街路樹として好んで植えられています。
西オーストラリアでユーカリの花見といえば、
torquataやこのcaesia ssp. magnaの花見のことをいうようです。
caesia ssp. magnaという学名よりもSilver Princessや、
アボリジニーの言葉による名前Gungurruで親しまれています。
西オーストラリアでは、よく見られるcaesia ssp. magnaですが、
元々はパース北東部半砂漠地帯の
限られた地域にのみ自生する品種です。
その花や茎の美しさから園芸用として広まったと考えられます。
樹木としては15m程度までの灌木状に育ち、
比較的低い樹高の鉢植えでも開花が見込めるようです。
またcrucis/orbifolia/websterianaなどと同じく、
minnirichiという一風変わった赤い樹皮が特徴です。
花・茎・樹皮と面白い特徴が
盛りだくさんのcaesia ssp. magna。
将来、広い庭の家に住むようになったら、
ぜひ、庭木にしたいと考えています。
このcaesia ssp. magnaは、少しの過湿耐性があり、
西オーストラリア軍団の中では比較的育てやすい品種です。
西オーストラリアのユーカリ入門編といえるでしょう。
また、幼苗のうちは大したことはありませんが、
ある程度の大きさに成長した株の吸水量は半端ありません。
日照がとても良い場所での夏季の吸水量は
gunniiなどとは比べ物にならないほどに激しいです。
また、あまり水切れに対する耐性がないようで、
水切れするとかなり早い段階で葉先や新芽が枯れ出します。
実家の庭では、全てのcaesia ssp. magnaが
水切れで全滅してしまったほどなので、
夏季の水切れには特に注意が必要な品種です。
ただし最高気温が30℃を切るようになってくると、
他の西AZのユーカリの例に漏れず
その激しい吸水量は一気に激減していきます。
冬季も断水とまでは言いませんが、
ビックリするほどに水を吸わなくなります。
それでもかなり育てやすいユーカリで、
少し聞きわけが良く、丈夫なlehmanniiといったところです。
用土の酷い過湿は避け、乾燥気味に管理し、
とにかく日光にさえ良く当てていれば、
中々のスピードで成長していきます。
春先の少し涼しい季節から、夏真っ盛りの暑い季節まで、
コンスタントに成長を続けてくれる品種です。
耐寒性についてはあまり強い方とは言えません。
最高で-7℃程度までは生き残れるようですが、
大阪の冬でもある程度の葉痛みが起こることがあります。
樹高の小さな間や葉痛みを特に避けたい場合には、
軒下などの少し暖かい場所で越冬させると良いです。
寒い季節には新芽や葉先がワインレッドに紅葉して綺麗です。
気になるcaesia ssp. magnaの香りですが、
torquataの芳香成分トルクアトンがメインとなるため、
香水のようなフローラルな香りが微かに漂います。
ただしその香り自体はtorquataよりも遥かに弱く、
指で葉を擦った程度ではほとんど香りはしません。
葉をクラッシュしてようやく香りを感じることができる程度です。
香りを楽しむユーカリとしての利用は難しく、
花や美しい外観を楽しむためのユーカリといえるでしょう。
人づてに聞いた話ではありますが、
このcaesia ssp. magnaは
以前NHKの某園芸番組で紹介されたことがあるようです。
その際にはタネをフライパンで炒ってから播き、
山火事を経験させて発芽させると紹介されていたようですが、
そんなことをしなくても簡単に発芽します。
実際、このcaesia ssp. magnaは
私の経験では最高の発芽率を誇っています。
caesia ssp. magnaのタネはユーカリの中では比較的大きい方で、
一粒一粒を選り分けて播くことができます。
私は過去に9粒のタネを播いたことがありますが、
その全てが元気な苗として発芽しました。
要するに発芽率100%だったわけです!
ちなみに他の品種ではこんなことは滅多にありません。
かなりの有名番組で紹介されたために、
当時はかなり多くの人がタネを購入して育てていたようですが、
なかなか難しく、ほとんどの人が枯らせてしまったようです。
これを聞くと難しいユーカリ?と思われるかもしれませんが、
西オーストラリア出身で乾燥を好むことさえ踏まえていれば、
西オーストラリアのユーカリ入門編で間違いありません。
ただ、いくら育てやすいとはいっても、
日本の一般的な草木と同じ水分管理では、
さすがに育てるのは無理だったのだろうと思います。
caesia ssp. magnaは苗木のうちは
少し特異な外観をしていますが、
大きさ的にもパフォーマンス的にも
庭木として最高のユーカリではないでしょうか。
花を咲かせて楽しんだり、
花材として利用できる美しいユーカリです。
また、gunniiなどの日本に合ったユーカリを
ひとしきり育てた方の次のステップにもおすすめです。
是非、一度育ててみて花を咲かせてみてください。
手に入れたい方には素晴らしい農場をご紹介できますので、
是非声をかけてくださいね。
ちなみにユーカリをタネから育てる場合でも、
caesia ssp. magnaは入門編としておすすめですよ♪
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<栽培難易度:C>
香良さ:★★★
香強さ:★
成長力:★★★
要水分:★★★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★
耐暑性:★★★
耐病虫:★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-05-13 17:45 | ユーカリ紹介

【ユーカリ紹介-29】
ユーカリ・スミティー (Eucalyptus smithii)続きまして第29回目は
高価で品のある精油として有名で、
甘く官能的な香りが魅力のユーカリ・スミティーです。
◎ユーカリ・スミティー
【学名:Eucalyptus smithii】
【英名:Gully Gum / Gully Peppermint
Blackbutt Peppermint】
精油として利用されるユーカリの中では代表格の存在。
ユーカリ精油の中ではかなり甘みが強く、官能的で、
アロマティックな香りが魅力のユーカリです。
smithiiの精油にはシネオールの他にも、
甘みの強いAromadendrenという芳香物質が多量に含まれており、
香水になっても通用しそうなほどに良い香りがします。
ところがユーカリとしては比較的マイナーで、
viminalisやradiataなどとほとんど区別のつかない、
典型的な細葉ユーカリといった外観をしています。
葉形や苗の間の樹形などでは
viminalisやradiataと区別することはほぼ不可能です。
※Eucalyptus viminalis var. pedicellarisと呼ばれることもあります。
敢えてsmithiiの特徴をあげるとするならば、
新芽が少し白っぽかったり紫がかっていたり、
茎が少し白く粉を吹き、ザラザラしているところです。
viminalisやradiataは茎が白くなることはありません。
smithiiは外観で目を引くような品種ではなかったために、
以前は私も全く知ることのなかったユーカリでした。
ところが、あるとき百貨店のアロマテラピーコーナーで、
試供品のユーカリ精油の香りを嗅ぎまくっていたときでした。
当時は聞いたこともなかった
smithiiという名のユーカリ精油を嗅いで、
その香りのよさにビックリしたのが出会いのきっかけでした。
私は外見の面白さや美しさから
育てるユーカリを選定することが多いのですが、
香りの良さから興味を持ったのは、このsmithiiが初めてです。
smithiiの生息域はシドニーより南の沿岸部~内陸部で
比較的冷涼で多雨な気候の地域出身のユーカリです。
そのため、日本の猛暑には少し弱いところがあります。
さすがに暑さで枯れてしまうようなことはありませんが、
正午過ぎの激しい日差しを浴びるとヘロヘロになったり、
軽度の葉焼けが起こることもあるため、
少し遮光して育てても良いでしょう。
また、夏季には根の蒸れに少し注意が必要です。
樹木としては、45m程度の立派な大木に成長する種と、
10m程度の灌木状に育つ種に分かれていますが、
この2種については特に詳しく区別されておらず、
タネから育てる場合はどちらが育つかは全くわかりません。
主な生息地である
ニューサウスウェールズ州の沿岸部~内陸部には
前者の大木へと育つ品種が生息し、
これが最も一般的なsmithiiとされています。
一部ビクトリア州の内陸部高地に生息するsmithiiが、
後者の10m程度の灌木状に育つレアな種のようです。
smithiiはこの地域に生息するユーカリとしては
かなりの水好きで準スワンプ系のユーカリともいえます。
また過湿に対する耐性をそれなりに備えています。
用土の乾燥を好む多くのユーカリとは異なり、
少し用土に水分が残っているような状態を好みます。
水が大好きなので、水切れに注意したいところですが、
同時に少し暑さにも弱いところを持っています。
そのため、夏季の熱い時間帯の過湿によって起こる、
苗の蒸れを避けるために、涼しい時間の水遣りを心がけてください。
smithiiのメインの成長期は早春と晩秋で、
昼でもかなり涼しく、夜は寒いくらいの時期です。
成長力はかなり旺盛な方で、
暑さに弱いgunniiとして育てられますが、
成長期にはgunniiよりも水を吸うので注意してください。
逆に夏は活動を休止して、吸水は少し控え目になります。
耐寒性についてはかなり強い方で、
-10℃程度と大阪の冬ではほとんど痛むこともありません。
ただ、viminalisなどに比べると、幼いうちは少し葉がうすいので、
小さな苗の間は、強い寒風を避けた方が葉を綺麗に保てるでしょう。
すでに太鼓判を押しているsmithiiの香りですが、
非常に甘みの強い香水のような香りが強く漂い、
その後にシネオールの香りがスッと突き抜けます。
軽く葉を指で撫でただけでも、非常に強く香るほどです。
pulverulentaやBaby Blueの香りにも少し似ており、
甘みをさらに強化したような感じがします。
おそらくこの香りを好きになれない人はいないでしょう。
私はこの香りをそのまま香水にしても良いと思っています。
globulusなどの市販されている多くのユーカリ精油は
シネオールが中心で、メンタームのような香りがすると思いますが、
smithiiの精油はかなりアロマティックでうっとりできます。
夏の管理にさえ少し気をつければ、
どちらかというとかなり育てやすいユーカリで、
我が家のような日陰でも生育状態は非常に良好です。
細葉ユーカリに興味があり、
良い香りのユーカリを育ててみたいという方には、
これ以上にはない!といったようなユーカリです。
どうしても育ててみたい方には、
親愛なるこあら師匠の農場をご紹介します。
魅力的な香りのviminalisと一緒に育てれば、
共に成長力も旺盛で育てやすく、
香りを楽しむハーブとして大活躍することと思います。
ぜひ、この魅惑の香りをご堪能ください!
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<栽培難易度:A+>
香良さ:★★★★★
香強さ:★★★★★
成長力:★★★★
要水分:★★★★
耐過湿:★★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★★
耐暑性:★
耐病虫:★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-05-06 17:34 | ユーカリ紹介