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冬のユーカリ管理 その3(耐寒性を上げるには)

この湿潤な日本で健康に生き抜くためには、
耐寒温度はあくまでも目安でしかありません。

耐寒性を上げるためのもっと重要なポイントが二つあります。
このポイントさえ押さえることができれば、
耐寒温度を遥かに上回る結果を出すこともできます。

例えば親愛なるこあら師匠
推奨耐寒温度10℃以上、5℃以上の管理必須のバオバブ
-5℃近くにもなる場所で無事に越冬させていらっしゃいます。

私も昨年は耐寒性0℃以上推奨のユーカリの幼苗を
-5℃近い環境で越冬させましたし、
一般的に3℃以上推奨のレモンユーカリ
-5℃になる屋外で越冬させることができました。

では、このポイントとは何なのでしょうか?
-----------------------------------------------------
1. 風(空気の動き)のない場所で管理すること
2. 水分管理をよりタイトに乾燥気味に管理すること
-----------------------------------------------------

この二つになります。

まず1についてですが、最も簡単な方法では
風の当たりにくい軒下で管理することです。

さらに有効で、葉痛みも防げる方法としては
簡易温室を使用することです。

この簡易温室とは、ホームセンターなどで
2000円程度で販売されているビニール製のものです。

これは加温を行うわけではありませんので、
実際に夜間の内部気温は外の気温とほとんど変わりません。
ところが風をほぼ完全にシャットアウトすることができます。

これだけで、耐寒温度はかなり上がります。
実際に-3℃では枯れのでるdecipiensstaigeriana
それらのわずか2cm程度の幼苗でさえも、
全く葉痛みさえすることなく、越冬できています。

簡易温室を使用する場合には下記をご留意ください。
-------------------------------------------------------
●日中は必ず扉を開け放っておくこと
●夜間でも3℃を下回らない場合は扉を開け放っておくこと
●気温が3℃を下回らなくなったら温室を片づけること
-------------------------------------------------------

冬季でも日照の良い日には、締め切っていると
びっくりするほど高温になることがあります。

また、ずっと締め切りっぱなしだと
室内管理と同じようなことになってしまいます。

場所に問題がなければ、
この簡易温室はとても効果的です。
上記に気をつけて、ぜひ使ってみてください。


次に2についてですが、
夏はたくさん水を吸うようなユーカリも、
温度が下がると、かなり吸水量が落ちてきます。

これは品種にもよりますが
びっくりするほど水を吸わなくなります。

例えばerythrocorysというユーカリがあります。
樹高が70cm程度で6号スリット鉢に植わっています。
夏場は半日陰の場所で二日に一回程度の水遣りをします。
冬季には夏季の倍以上日光が当たるのですが、
水遣りは週に一回以下の頻度にまで低下します。

他にはlehmanniiの場合ですが、
同じく樹高が70cm程度で6号スリット鉢に植わっています。
夏場は半日陰の場所でほぼ一日に一回程度の水遣りをしますが、
冬季には週に一回程度の頻度にまで低下します。

これに気をつけて、
より乾燥気味に管理を行ってください。

冬季は夏季のように急な水切れは起こりません。
私が良く行う管理方法としては、
下記のようなものがあります。

多くのユーカリは水が切れてくると
柔らかくなって、葉先が犬の耳のように
だらんと垂れさがってきます。

このまま放置すると、水切れで葉が枯れますが、
この垂れ下がった状態をサインとして
水遣りを行うことにしています。

ただ、この方法を実践する場合には、
一日一回の観察が欠かせなくなります。

また一部の、葉に厚みのある品種では
垂れさがらずに枯れに移行することもあるので
その当たりは注意が必要です。

最後に樹高が大きくなってくると
自然と耐寒性も上がってきます。

大きすぎて、室内や温室に入らない場合は
なるべく風の当たらない軒下に置くだけでも
耐寒性はかなり変わってきます。

樹高が50cmを超えれば
レモンユーカリでも-5℃くらいでは
葉はボロボロになってしまいますが、
枯死してしまうようなことはありません。

最後に、もし枯らせてしまった場合、
過湿による根のダメージで枯れた場合には
復活の可能性はほとんどありません。

ところが水切れや寒さで枯らせてしまった場合は
春になると復活する可能性が高くなります。

万が一枯らせてしまったと思った場合でも、
春までは捨てずに、管理を続けてみてくださいね。

# by eucalyptus_k | 2011-11-08 20:37 | ユーカリ(栽培知識)
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冬のユーカリ管理 その2(耐寒性について)

先日メールをいただいた方から
冬のユーカリ管理について書いてほしいと
ご要望があったので、書いてみたいと思います。

あくまでも私の環境と経験に基づいた内容ですので
ご自身の栽環境とは必ずしも当てはまらないので
そのあたりはご了承くださいね。

では、寒い寒い屋外でどのようにして越冬させるのか?
まずはお育てのユーカリの耐寒温度を知ることが大切です。

これはネットなどで調べればある程度見つかりますが、
わからない場合は私までお問い合わせいただいても結構です。

では例としてcinereaを取り上げてみます。
cinereaの一般的な耐寒温度は-12℃です。

よし!-12℃なら大丈夫だ!
と単純にはいきません。

この-12℃という耐寒温度は
実際には成樹で露地植えの場合
あくまでも一般的な耐寒温度です。

鉢植えであったり、幼苗であったり、
風の強い場所であったりする場合は
かなり変わってきます。

まず、鉢植えの場合は耐寒性が下がります。
一般的には素焼鉢や陶器鉢よりも
プラスチック鉢の方が耐寒性は上がります。

また、水分多めで管理すると耐寒性はガクンと落ちます。
風の強い場所では体感温度が変わりますから、
耐寒性もグンと落ちることになります。

多くの方は鉢植えでの管理をされていると思うので、
これはあくまでも目安ですが、その場合の耐寒性は
この場合の-12℃から3~4℃下がった、
-9~-8℃くらいが妥当な耐寒温度といえます。

次にこの耐寒温度というものは
あくまでも生き延びることのできる限界温度ですから、
葉が傷んだり、葉が散ってしまうことは
全く想定されていない温度になっています。

ユーカリは寒風をびゅんびゅん浴びると
葉が酷く痛んだり、散ってしまうことがあります。

もちろん春には美しい新芽がどんどん出ますが、
冬前の美しい樹形を維持したい場合もあると思います。

そのような場合は、まず風を避ける工夫をすること、
そして、耐寒性をさらに3~4℃下げた、
この場合では-5℃くらいで管理すると
酷い葉痛みを防ぎ美しい樹形を維持することができます。

# by eucalyptus_k | 2011-11-08 20:20 | ユーカリ(栽培知識)
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冬のユーカリ管理 その1(室内管理は厳禁)

先日メールをいただいた方から
冬のユーカリ管理について書いてほしいと
ご要望があったので、書いてみたいと思います。

あくまでも私の環境と経験に基づいた内容ですので
ご自身の栽環境とは必ずしも当てはまらないので
そのあたりはご了承くださいね。

まず、寒くなって、考えること!
お家の中にいれよう!

これは絶対にダメです!!!

ユーカリの室内管理は
止めてください!!


私も数々のユーカリ栽培者の方と
メールでやり取りをしていますが、
冬季に室内管理をされた方は、
ほぼ全員が全滅させたと伺いました。

室内で植物を管理すると、
思った以上に余分な水分が用土内に残ります。

表面は乾いたように見えても、
内部にはまだまだ湿った部分がたくさんあり、
これがいつまで経っても乾かないのです。

また、風通しも悪いので、
悪質な菌類が発生することにもなります。

実は室内管理の成功データもいくつかありますが、
これは一部の湿潤を好むユーカリのみになります。

比較的、室内管理が容易なものとしては、
citriodora(レモンユーカリ)/gunnii/camphora
robusta/rudis/staigeriana

などがあげられると思います。

このうち、gunnii/camphoraなどは
かなりの耐寒性を持っていますから、
わざわざ室内で管理する必要はありません。

これ以外の特に西AZ出身のユーカリなどは
室内管理で起こる、用土内部の過湿に耐えきれず、
かなりの確率で枯れることになります。

私の知っている方はほとんど枯らせていますし、
私もうまく越冬させられる自信は全くありません。

枯らせたくない場合は
室内管理は厳禁と思ってください。


ただし、一部室内管理は可能ですし、
ある程度、有効な方法でもあります。

これはとても面倒なので
時間的余裕のある方だけにしてください。

その方法とは
昼は屋外に出し、夜は屋内に取り込む。

お店をされている人などは
面倒なく、日課としてできるかもしれませんね。

# by eucalyptus_k | 2011-11-08 19:37 | ユーカリ(栽培知識)
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ユーカリは基本「弱酸性」を好みます!

最近、ネットでユーカリに関する情報を拝見していると、
良く見かけるのがこの情報です。。。

ユーカリは酸性を嫌う

ハッキリいいますが、

この情報は大きな間違いです!

一般的にハーブが酸性を嫌うからでしょうか?
それともオーストラリア=石灰岩と思うからでしょうか?

中にはアルカリ性寄りの方が
好調な品種もわずかながら存在します。
例えばMoon Lagoon/erthrocorysなどです。

ほとんどの方が好んで育てられている
cinerea/pulverulenta/gunniiなど、
多くの東AZ出身のユーカリは
ほぼ全てが弱酸性~酸性を好みます。

主に弱酸性を好む日本の植物と比べても、
さらに酸性の強いものを好む品種も多いです。

leucoxylon/cladocalyx/fasciculosaなどの
アデレード近郊に生息しているユーカリは
基本的には弱酸性を好みますが、
かなり高いアルカリ耐性を持ち、
アルカリ寄りのpHでも比較的順調に育ちます。

ただ私は良くユーカリに
有機石灰や苦土石灰を与えることがあります。

それはpHを操作するためではなく、
マグネシウム等のミネラル分を補給するためです。
これが不足すると、葉の葉緑素が抜けた
クロロシスのような状態になることがあります。

あと最近思うのは意外に肥料当たりが多いです。
リン酸分の塩分に当たることが多いようですね。
慣れない方は肥料は控えた方が良いかもしれません。

急に寒くなった今年の秋口、
ユーカリを枯らせてしまったお話を良く聞きます。
私も苗サイズであれば、結構枯らせています。

夏季と同じ調子で水遣りをしていたため、
根腐れになってしまったことが主な原因ですが、
上記もぜひ、ご参考にしてみてください。

# by eucalyptus_k | 2011-10-28 21:13 | ユーカリ(栽培知識)
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【ユーカリ紹介-38】
ユーカリ・アーチェリ (Eucalyptus archeri)

続きまして第38回目は、
Eucalyptus gunniiの高山生息種で全く見分けがつかず
ほぼgunniiといってしまっても良いくらいの
ユーカリ・アーチェリです。

◎ユーカリ・アーチェリ
【学名:Eucalyptus archeri】
【英名:Alpine Cider Gum】

fancyboxアーチェリ(Eucalyptus archeri)の画像1

fancyboxアーチェリ(Eucalyptus archeri)の画像2

このarcheriですが、当ブログでは
gunniiの亜種、Eucalyptus gunnii ssp. archeri
として紹介してきましたが、
この記事では敢えてEucalyptus archeri
固有の品種として紹介させていただきます。

英名からもわかるように
比較的平地の湿地帯に生息するgunniiに対して、
archeriは1100m以上のタスマニアの高山に自生しています。
要するにgunniiの高山生息種というわけです。

とはいえ、実際にはgunnii
見た目による差はほぼ皆無です。

色々、特徴みたいなものはありますが、
個体差がその特徴を上回ってしまうため、
これはarcheriという確定的な特徴はありません。

ただ、通常のssp. gunniissp. divaricataは、
20~30mクラスの立派な木立ちの樹木へと育つのに対して、
このarcheriMallee(灌木型)で、
樹高も10m程度までとなっているようです。

fancyboxアーチェリ(Eucalyptus archeri)の画像3

そもそもその分類についても非常に曖昧であり、
またオーストラリア各所ではgunniiの亜種間での
勝手な自然交配も起こってしまっているため、
----------------------------
Tree(木立型)gunnii
Mallee(灌木型)archeri
----------------------------

と考えるのが現在では一般的なようです。

gunniiには大きく分けて3つの亜種が存在します。
----------------------------------------------------------------------
Eucalyptus gunnii ssp. gunnii(グニー原種)
Eucalyptus gunnii ssp. archeri(タスマニア高山種)
Eucalyptus gunnii ssp. divaricata(白銀色の絶滅危惧種)

----------------------------------------------------------------------

ところが日本ではこの3種を
きっちりと分類して販売していることはまずありません。
私が様々な販売店等で見て調べてみた結果、
全ての亜種がごちゃまぜになっているのが現状です。
>>>詳しい識別についてはこちらの記事をご覧ください。

本当にパッと見では区別がつきにくい...ではなく
全く区別をつけることができません><;

このように亜種間で区別がつきにくい
ということはユーカリでは良くあることなのですが、
こんなにも差がないことには本当にびっくりします。

あくまでも主観で、個体差の範囲かもしれませんが、
ssp. gunniiに比べると、幾分か葉は小柄です。
また、少し白銀色は控えめになっていると思います。

fancyboxアーチェリ(Eucalyptus archeri)の画像4

またMallee型だからでしょうか。
通常のgunniiよりもたくさん脇芽を出しやすい
性質を持っているように思います。

一応、archeriの公的な特徴としては、
葉は丸みを帯びながら、葉先が尖りやすく、
新芽は白銀色をしているのですが、
だんだん下葉になるごとに、緑色が濃くなるようです。

茎のザラザラは成長後も長く残りやすく、
茎は丸型もあるが、四角型になりやすくなっています。
茎の色は比較的白みを帯びにくく、
緑色のままや赤色の茎のままが多くなります。

また、対になった二枚の葉の
茎との接点同士は重なりにくくなっており、
葉が対にならずに交互に生えることも多い、
といった傾向があるようです。

fancyboxアーチェリ(Eucalyptus archeri)の画像5

また、蕾や実が白く粉を吹くことはなく、
実の形状はカップ型になります。

fancyboxアーチェリ(Eucalyptus archeri)の画像6

fancyboxアーチェリ(Eucalyptus archeri)の画像7

そして前述のMallee型(灌木型)である
というところです。

archeriは、gunniiに比べると、
より乾燥に強く、過湿に弱くなっていますが、
あくまでもgunniiと比べたらです。

ユーカリ中ではかなり水が好きな方で、
根腐れよりも真夏の水切れを
心配した方が良いような感じです。

archeriはユーカリ中でも過湿に強い方で、
湿潤を好む品種のため、
一般的な観葉植物と同様の管理で
簡単にうまく育てることができます。
また、移植を嫌うユーカリの中でも、
比較的移植に耐えることのできる品種です。

成長力はなかなか激しい方ですが、
gunniiと比べてしまうと、
元々の樹高が低いということもあって、
少し控え目な成長力であるといえます。

ただし、archeriの耐寒性はユーカリ中でもぴか一で、
最強クラスのgunniiをさらに上回ります。
詳しい限界は不明ですが、
-20℃を上回るような環境下でも生き残るようです。

日本の暖地では葉が傷むことさえなく、
寧ろ夏の高温多湿の方が心配になるくらいです。

日本の暑さには弱いとまではいきませんが、
夏の成長は控えめで、あまり得意ではないため、
夏季の過湿による根の蒸れには少し気をつけてください。

気になるarcheriの香りは、
基本的にはgunniiとほとんど大差はないのですが、
ハッカ系の香りが強いgunniiに比べると、
柑橘系とシネオールの香りが少し強くなっています。
また、gunniiよりも少し精油の量は多めのようです。
とはいえ、香りを楽しむには少し心もとない感じです。

とにかくarcheriは、gunniiと並んで非常に育てやすく、
初心者向けで育てやすいユーカリの代表格です。

fancyboxアーチェリ(Eucalyptus archeri)の画像8

その割に、見た目は繊細で美しいので、
何かユーカリを育てたいという方には
gunniiと共にとてもオススメのユーカリになります。

あなたはgunniiを選びますか?
それともarcheriを選びますか?

------------------------------
<栽培難易度:A>
香良さ:★★★
香強さ:★★
成長力:★★★

要水分:★★★★
耐過湿:★★★★
耐水切:★
耐日陰:★★★★
耐移植:★★★★
耐寒性:★★★★★
耐暑性:★★
耐病虫:★★★★

------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2011-10-21 22:37 | ユーカリ紹介
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