【ユーカリ紹介-51】
ユーカリ・キペロカルパ (Eucalyptus cypellocarpa)記念すべき第51回目は、
冷涼地に生息する超パワフルで超大型品種、
何もかもスケールのでかい!
ユーカリ・キペロカルパです。
◎ユーカリ・キペロカルパ
【学名:Eucalyptus cypellocarpa】
【英名:Mountain Grey Gum / Mountain Gum / Monkey Gum】
このcypellocarpaですが、
最初はずっとシペロカルパと呼んでいました。
ところが今回このユーカリ紹介アップの際に
再度良く調べてみた結果、
読み方はキペロカルパとなるようです。
実は最初、良い香りのしそうな
繊細で可愛いユーカリを想像していたのですが、
育ててみると化け物級の成長力を持った、
とてもスケールのでかいユーカリでした!
このcypellocarpaの写真は、実は春に撮ったものですが、
これで去年の秋播きの株なんです!
もちろんのことながら、冬場はそこまで成長せず、
10cm程度の時に、ちょっと大きすぎるかなという
6号鉢に定植したところ、わずか1ヶ月余りで
この大きさに成長したのです!
そして、そこからもどんどん成長を続けるので、
一度夏前にバッサリと激しく剪定したのですが、
それでも、今、既に150cmくらいあります。
恐らく放置していたら
簡単に2mを超えていたことでしょう。
同じ時にタネを播いた株で、
未だに小さなポットに植わったものがありますが、
不思議なことにこの株はまだ20cm程度です。
cypellocarpaはglobulusやpunctata等と同じように、
早めに大きな鉢に植えた方が
根をふんだんに伸ばして、大きく成長するようですね。
cypellocarpaの何よりもの特徴は
緑の鮮やかな、とても大きな葉です。
これは春先の葉なので、まだとても小さく、
今、一番大きな葉は、これの2倍くらいはあります。
調べてみると、それもそのはず。
cypellocarpaは65m以上の大木になるユーカリです。
学術的なルーツとしては
globulusとviminalisの中間に位置するようなので、
大型になるのもうなずけます。
これらのユーカリと大きく異なるのは、
高山出身のユーカリであるという点です。
そのため、海外の栽培ガイドにもありますが、
cool & wet(冷涼で湿潤)な環境を好みます。
新芽は光り輝くほどに激しく光沢があり、
成長してからの葉にも少し光沢のある質感です。
carpaというのはユーカリの学名に良くありますが、
以前から書いているように、実のことです。
cypelloはカップのようなという意味なので、
学名は「カップのような形の実」という意味になります。
生息地は、オーストラリア南西部沿岸部全域の
高山地帯に非常に幅広く生息しています。
cypellocarpaは、日本ではとてもマイナーで、
恐らく市場で見かけることはないでしょうが、
海外では材木用に植林されていたり、
生息域が広大なこともあって、かなりメジャーなユーカリです。
そのため、タネはとても手に入りやすく、
タネから育てる場合も、芽の大きさがとても大きく、
湿潤を好むため、とても育てやすいです。
タネから育てる場合は、
とっとと大きな鉢に定植すると良いと思います。
cypellocarpaの育て方についてですが、
土も鉢もあまり問わない、超強健なユーカリです。
余程管理が悪くない限りは、なかなか枯れることはないでしょう。
気をつけるのは、春~秋の水切れにつきます。
私はこのcypellocarpa、成長が早すぎるので、
夏場は全く日が当たらない場所に置いていました。
そんな場所にも関わらず、
コンスタントに1日1回の水遣りを欲します。
それでも、毎日犬の耳のように垂れていたので、
本来はもっと多量に水を与えても良いかもしれません。
前の記事で、涼しくなると吸水量が激減すると書きましたが、
10月も中盤に差し掛かる今でも、雨が降らない限り、
1日1回の水遣りをしないと水が切れてしまいます。
一般的に表面が乾いたらたっぷり水遣りと言いますが、
それでは、多くのユーカリには、
少し過湿気味になることが多いです。
ところが、このcypellocarpaには
表面が半乾きでたっぷり水遣りをするくらいでないと、
特に暑い時期には対応できないと思います。
後は、病害虫にも強く、下葉にハダニは少し付きますが、
ほおっておいても、深刻な被害にはなりません。
何もかもが豪快で強健なcypellocarpaですが、
一つだけ、弱点があります。
それは高山出身のユーカリなので、
暑さにはあまり強くないというところです。
夏場は葉の色素が抜けて、葉先が枯れ始めるという、
高温障害の症状がかなり顕著に出ることあります。
ただし、暑すぎて枯れてしまうことはありません。
少し夏場は葉が傷むものだという程度です。
暑さに弱いユーカリは、根が蒸れやすいのですが、
cypellocarpaの場合は、吸水量が激しすぎて、
蒸れる程水分を残さないようです。
また、ある程度の耐陰性も備えているようで、
あまり日照の良くない場所でも、コンスタントに成長し、
激しく水を吸っていきます。
これだと、日照の良い場所にマトモに出したら、
手がつけられないほどに成長するかもしれません。
とにかく、ちょっとだけ暑いのは苦手ですが、
その他では、ほとんど死角のない、
globulusやviminalisよりも遥かに強健なユーカリです。
cypellocarpaの耐寒性ですが、
高山生息種としては大したことはなく、
-8℃程度までと言われています。
ただし、日本の暖地での屋外越冬は余裕で、
あまり紅葉や葉痛みをすることもありません。
また冬でも、他のユーカリと比べると
かなり水分を欲するので、
冬場の水切れにも少し注意が必要です。
そして、気になるcypellocarpaの香りですが、
武骨なまでに、純粋なシネオール系です。
globulus/pulverulenta/viminalisなどのように、
柑橘系の香りがしたりすることもなく、
smithii/leucoxylon/camaldulensisなどのように、
少し香水系の良い香りがするわけでもなく、
ただひたすらに純粋なシネオールの香りがスッとします。
似ているのはpolybractea/punctataなどです。
香り自体はそんなに強いものでもありません。
葉を強く指でこすると香るという程度です。
私はあまりにも葉がたくさん採れたので、
ユーカリ茶やユーカリ酒にもしてみましたが、
どれもそこそこ使えて、美味な感じでした。
とても良い香りというわけではありませんが、
シネオール好き?には好まれる香りでしょう。
cypellocarpaには繊細で美しい外観はなく、
何もかもがスケールのでかいユーカリです。
おまけに日本で苗を手に入れる手段はなく、
育てる場合はタネを買う必要があります。
それでも、爆発的な成長力と、
何をしても枯れない安心感があり、
とても力強いユーカリです。
そんなcypellocarpaを、もし育ててみたい人には、
タネの販売所を紹介することもできますし、
タネがたくさん余っているので、
安価でタネを少しお分けすることもできます。
多くの人がユーカリに求める繊細さはありませんが、
何よりもパワフルな「本来のユーカリ」を実家できます。
こんなcypellocarpa、
興味があったら育ててみませんか?
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<栽培難易度:A>
香良さ:★★
香強さ:★★
成長力:★★★★★
要水分:★★★★★
耐過湿:★★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★★★
耐移植:★★★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★
耐病虫:★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2012-10-13 14:01 | ユーカリ紹介
急に気温が下がる時期は注意!
最近かなり寒くなりましたね!
急な気温の変化には気をつけてください。
私も早速風邪を引いてしまいました。。。
急な気温の変化に気をつけるのは
ユーカリも同じなんです。
恐らく親愛なるこあら師匠のところのように
ビニルハウス栽培がメインの場合は、
まだまだ激暑の環境が続くものと思われますが、
初心者がユーカリを良く枯らすのが
今のこの時期なんです!
結論として、ユーカリが気温の変化で
ダメージを受けるのではありません。
急な気温の変化で吸水量が激減するのです。
私のように毎日、朝夕、1時間程度の
水遣り&見回りタイムを取っていると
非常に良くわかることなのですが、
思った以上に気温の変化は急激にやってきます。
常に家の中で家事をしていたり、
建物の中で仕事をしていると、
この急な気温の変化になかなか気づけないものです。
まだまだ日差しはキツイので
日中はかなり暑い感じがしていますが、
気温を計ってみると、実はそれほど高くないものなんです。
私も最初はなかなか気づけなかったので、
PC/Mobileともに天候のアプリを入れて、
必ず毎日の最高気温と最低気温をチェックしています。
品種によって差はありますが、
最高気温が30℃に届かなくなって、
最低気温が25℃を切るというラインが、
一つ大きく吸水量の変わるポイントです。
例えば、特に気温の変化による吸水量の増減が
明確な品種としてmacrocarpaがあります。
このユーカリはある程度の樹高があれば、
真夏は1日に1回の水遣りが必須なほど
非常に良く水を欲します。
ところが、その全く同じ株が
真冬には月に2回程度まで潅水量が減ります。
我が家の1m近いmacrocarpaも
半日直射の環境であるにも関わらず、
1日に1回の水遣りが必須で、
外泊の際は、水に浸けて出かけていました。
ところが、最近は天気が悪いこともありますが、
一気に5~7日に1回まで潅水量が減っています。
rhodantha/gamophyllaなどもそんな感じです。
毎日外に出て、気温をチェックしている私でも、
それに気づくのが少し遅れて、
真夏並みの水遣りを続けていた結果、
葉に赤いシミができてきてしまいました。
他にも水分管理の調整が遅れて、
葉に傷みが出てきたものもあります。
このまま気づかないでいると、
誰でも気づくほど寒くなった頃に、
ユーカリがいくつか星になったりするわけです。。。
大体この時期、葉が傷みだしたり、
枯れる葉が出たり、元気がなくなるのは、
このように、真夏のつもりで水遣りを続けて、
過湿になってしまったことによる根の傷みが原因です。
他には、コガネムシ幼虫が活発になる時期なので、
それらの影響を受けていることも考えられます。
コガネムシは腐植質に反応して卵を産むので、
粒状培養土や私のような腐植質なしの
岩石用土を使用している場合にはあまり心配はいりません。
この季節、慣れない人はちょっと注意しながら、
潅水量を一度見直してみてください。
そして不幸にも枯れてしまった場合には、、、
必ず中身をひっくり返して、
枯れた原因を確かめてみてください。- # by eucalyptus_k | 2012-10-12 11:13 | ユーカリ(栽培知識)
【品種別栽培ガイド-02】
銀世界ユーカリ (Eucalyptus 'Gin-Sekai')続きまして第02回目は
銀世界ユーカリです。
◎銀世界ユーカリ
【学名:Eucalyptus pulverulenta
Eucalyptus pulverulenta 'Baby Blue'】
【英名:Silver-leaved Mountain Gum】
【品種情報】
最高樹高:6~10m前後
樹形:Mallee(灌木)型
親葉への変化:大きさは変化するが丸葉を終生キープ
適合pH:酸性~弱アルカリ性(4.5-8.8)
【生息地情報】
地域:New South Wales(ブルー・マウンテンズ国立公園)
夏季最高気温:最高値39℃、平均値27℃
夏季最低気温:最低値0℃、平均値11℃
冬季最高気温:最高値20℃、平均値11℃
冬季最低気温:最低値-12℃、平均値-3℃
年間降水量:700~850mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm
【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度ではかなりパフォーマンスが落ちます。
日照が悪いといつまでも小さな葉のままで貧弱になります。
屋内管理は完全不可。
・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはかなり水好きな方です。
・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。
・鉢
あまり問いませんが、根張りがデリケートなので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが異様に低下します。
この品種には必ず縦長の鉢を使用しましょう。
・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。
・植え替え
根がデリケートなので、植え替え時は注意してください。
初心者は絶対に根鉢を崩さないようにします。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。
・寄せ植え
根が細かくデリケートで、植え分けが不可能になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
・病虫害
葉が硬いのであまりうどんこ病の被害は出ませんが、
Baby Blueの方は、うどんこ病が酷くなることもあります。
雨のかからない場所では、ハダニ被害が激しくなります。
特にBaby Blueはハダニの被害が深刻な品種の一つです。
精油のシネオールが強いのでその他虫害はほとんどありません。
・地植え
地植えすると本来のパフォーマンスが出て、
かなり激しい成長力を発揮します。
普通に育てると、すぐに数メートルに成長します。
また、横にも広がり、特異な樹形を形作ります。
サイズ的には庭木としても十分可能です。
・耐寒性
地植えの成樹で-15℃と言われています。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
かなり耐寒性の強いユーカリなので、
寒地でも屋外越冬も見込めるでしょう。
葉が硬いので、寒風にも強いです。
Baby Blueの方は-8℃とかなり耐寒性は落ちますが、
暖地での越冬は全く問題ありません。
・成長力
環境さえ合えば、成長は結構激しくなりますが、
鉢植えにすると極端にパフォーマンスが落ちます。
それでも1年で40~50cmは十分に成長します。
Baby Blueの方の成長はかなり遅めです。
数年で1mに届かないこともあるくらいです。
・開花
原種で150cm程度、Baby Blueであれば、
1m以内の樹高があれば、開花が見込めるようです。
花は、白に近いクリーム色の花が咲きます。
葉のサイズの割に思ったより小さな花です。
蕾や実も白く粉を吹いており、美しい外観をしています。
地植えをすれば早い段階での開花が見込めるでしょう。
・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。
【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
日照が悪いと、ほとんど成長が進みません。
Baby Blueは特に病気がちになります。
・夏
最も枯らせることが多い時期。
冷涼な気候出身のユーカリなので、
日本の高温多湿な夏は少し苦手です。
Baby Blueは特に高温障害が出やすく、
涼しい半日陰に退避するか、
少し遮光を行った方が良い場合もあります。
色素が抜けて、斑点ができた場合は
湿度過多・高温障害のサインです。
過湿による根の蒸れにも十分に注意します。
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。
※Baby Blueは少し葉焼けすることもあります。
夏場はかなり成長が控え目になります。
・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
少々の寒地では紅葉するようなこともなく、
葉痛みもほとんどなしで、とても力強い季節です。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。
【特記栽培情報】
日光にさえ良く当てていれば、
勝手にどんどん育ってくれるという楽なユーカリ。
逆に日光が足りないとかなり難しい植物になります。
※cinereaやgunniiよりも遥かに日光を欲します。
原種の方は、余程のことがない限り、
高温障害が出ることはありませんが、
Baby Blueの方は暑さ(高温多湿)にかなり弱く、
夏場はある程度、葉が傷むことは仕方ありません。
どちらかというと冷涼な地域の方が向いているユーカリです。
あまり大阪や関東の暖地には合っていない印象で、
東北や長野などの涼しい地域の方が向いていると思います。
ただ、原種の方は、特に問題なく育てることができます。
原種は、終日直射日光にふんだんに当てると、
とても大きな葉で元気な株になります。
一方、Baby Blueは小型の園芸品種なので、
成長は遅くなりますが、それが寧ろメリットにもなります。
この手の銀丸葉系のユーカリは
どれも根張りがデリケートなため、
鉢植えではどうしてもパフォーマンスが悪くなります。
特にこの鉢植えでのパフォーマンス低下が顕著な品種です。
鉢植えの場合は、いつまでもヒョロヒョロで
支柱なしではなかなか自立しないことが多いです。
また、性質上、真上に真っ直ぐに伸びてくれることはなく、
幹から90度の角度にどんどん脇芽を出していきます。
真っ直ぐに仕立てるには、かなり無理のある矯正が必要です。
過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。
Baby Blueは原種に比べると少し難易度が高く、
デリケートな部分が多くなっていますが、
過湿に対する耐性がかなり高いところは変わりません。
※情報は適宜追加・変更します。- # by eucalyptus_k | 2012-10-10 14:56 | 品種別栽培ガイド
【品種別栽培ガイド-01】
ユーカリ・シルバーダラー (Eucalyptus cinerea 'Silver Doller')この度、新しいカテゴリを立ち上げて、
ユーカリ紹介に沿った順序で
「品種別栽培ガイド」を始めることになりました。
我が家の環境での情報になりますので、
あくまでも参考として、ご自宅での良い栽培方法を
確立するためにヒントにしてください。
記念すべき第01回目は
ユーカリ・シルバーダラーです。
◎ユーカリ・シルバーダラー
【学名:Eucalyptus cinerea 'Silver Doller'】
【英名:Silver Doller Gum】
【品種情報】
最高樹高:20m前後
樹形:基本Tree(木立)型、稀にMallee(灌木)型
親葉への変化:丸葉~卵型の細葉へ変化
適合pH:弱酸性~中性(5.5-7.8)
【生息地情報】
地域:New South Wales(キャンベラ南部)
夏季最高気温:最高値39℃、平均値27℃
夏季最低気温:最低値-1℃、平均値12℃
冬季最高気温:最高値18℃、平均値11℃
冬季最低気温:最低値-10℃、平均値0℃
年間降水量:600~950mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm
【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
最低でも半日直射は欲しいところです。
屋内管理は完全不可。
・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはかなり水好きな方です。
・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。
・鉢
あまり問いませんが、根張りがデリケートなので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが非常に低下します。
できる限り、縦長の鉢を使用しましょう。
・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。
・植え替え
根がデリケートなので、植え替え時は注意してください。
初心者は絶対に根鉢を崩さないようにしましょう。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。
・寄せ植え
根が細かくデリケートで、植え分けが不可能になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
・病虫害
直射日光が半日以下だと、うどんこ病に罹りやすくなります。
雨のかからない場所では、原種よりもハダニ被害が遥かに出やすいです。
精油のシネオールが強いのでその他虫害はほとんどありません。
・地植え
地植えすると本来のパフォーマンスが出て、
かなり激しい成長力を発揮します。
普通に育てると、簡単に家の二階を超えます。
・耐寒性
地植えの成樹で-12℃と言われています。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
ただし、極寒の北米やヨーロッパでは生き残れないそうなので、
北海道の寒地では屋外越冬は難しいかもしれません。
・成長力
原種よりはかなり控え目ですが、
鉢植えであれば、最高で年40~50cmほど。
地植えすると1年で1mを超える可能性もあります。
・開花
日本では開花したという情報を聞いたことがありません。
恐らく、数メートル以上という相応の樹高が必要かと思います。
花は、白に近いクリーム色の花が咲きます。
蕾や実も白く粉を吹いており、美しい外観をしています。
・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。
【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
日照が悪いと、原種よりも遥かに病気がちになります。
・夏
最も枯らせることが多い時期。
決して弱くはないですが、日本の高温多湿な夏は、
どちらかというと苦手なので、
過湿による根の蒸れに十分に注意します。
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。
夏場は少し成長が控え目になります。
・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
寒地では葉がピンク色に紅葉することもあります。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。
【特記栽培情報】
日光にさえ良く当てていれば、
勝手にどんどん育ってくれるという楽なユーカリ。
逆に日光が足りないと少し難しい植物になります。
個人的には、gunniiよりも
さらに日本に合っている印象なので、
成長はとても激しく感じられると思います。
※それでも原種よりはかなり穏やかです。
この手の銀丸葉系のユーカリは
どれも根張りがデリケートなため、
鉢植えではどうしてもパフォーマンスが悪くなります。
鉢植えの場合は、いつまでもヒョロヒョロで
支柱なしではなかなか自立しないことが多いです。
過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。
※情報は適宜追加・変更します。- # by eucalyptus_k | 2012-10-10 13:23 | 品種別栽培ガイド
ハダニの被害
私がユーカリ栽培を始めてから
ずっと課題になっているのが
うどんこ病とハダニの対策です。
これは風通しと日照の悪いベランダ園芸では
つきものの障害となっていますが、
我が家では株数も150以上とかなりあるので、
かなり深刻な問題になっています。
うどんこ病については、
枯死につながるようなことは滅多になく、
ある程度、株の生命力を上げることと、
生育が進むことで、防げる部分はあるのですが、
ハダニに関しては、依然として深刻です。
まず、我が家のベランダは全く雨がかからないことと、
夏季はクーラーの室外機の影響もあって、
非常に乾燥が進みます。
これは、ユーカリの栽培環境としては
乾燥気味で決して悪いことでもないのですが、
一方でハダニの好む環境を作り出してしまいます。
150cmもの株が、てっぺんを残して、全部やられてしまい、
今の時期、マトモな葉がほとんど残っていない。
そんなことが毎年恒例となっています。
中にはハダニに全て葉をやられてしまい、
それが起因となって、枯死してしまった
1m程度の株もいくつかあったりします。
自然由来の禁忌剤やシャワーによる散水では
とてもではないですが対処できません。
ニッソランというハダニの卵を殺す
少々強い薬を播くことで、かなり被害は抑えられますが、
とても強い薬ですし、狭いベランダで撒くと
散布している私でさえも、少々気分が悪くなるます。
また、相応に薬害も出るので、なかなか頻繁に撒こうとは思えません。
また散布を行うと、初夏~冬までは
ほぼハーブ利用は不可能になってしまいます。
小規模の発生であれば、何とかできるのでしょうが、
恐らく、大発生を上回るレベルの発生率です。
横に置いてあるパセリや、
下手をするとアロエまで被害を受ける程です。
日本は比較的湿潤な気候のため、
雨の当たるオープンスペースでユーカリを育てている場合、
滅多にハダニの被害が深刻になることはありませんが、
降雨量が少なく、非常に乾燥している
ヨーロッパや現地オーストラリアでは、私と同様に
ハダニは深刻な被害をもたらす障害となっているようです。
経験者の皆さま!
何か良い方法はないものでしょうか・・・。
【被害状況の一部】
Eucalyptus morrisbyi(200cm)
写真では分かりにくいですが、
全体がやられてマトモな葉は皆無です。
上の方の葉もカスリ状になっています。
Eucalyptus smithii(160cm)
太陽の当たりにくい下葉は酷いものです。。。
Eucalyptus dalrympleana(100cm)
場所的に散水しやすく、散水しまくったので、
今年はかなりマシな方です。
Eucalyptus rubida(120cm)
これも日の当らない下葉は酷い有様です。
Eucalyptus bridgesiana(80cm)
毎年葉がほとんどなくなるほどに酷い被害が出ますが、
今年は場所の都合で散水しまくって若干マシです。
Eucalyptus globulus ssp. bicostata(150cm)
被害の出にくい品種のはずでしたが、
油断していたら、最も酷い状況になっていました。。。
不思議と近くのssp. globulusは被害なしです。
Eucalyptus melliodora(170cm)
毎年酷い品種ですが、今年は背丈が伸びて、
直射日光に当たっただけマシでした。
Eucalyptus rudis(170cm)
毎年そこまで酷くない品種のはずでしたが、
油断していたら、下葉を酷くやられていました。
これは被害のほんの一部です。
この写真を取る間だけで、指で潰しまくって、
指先が真っ赤になりました。。。- # by eucalyptus_k | 2012-10-08 13:33 | ユーカリ(栽培知識)