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【品種別栽培ガイド-08】
ユーカリ・ビミナリス (Eucalyptus viminalis)

続きまして第08回目は
ユーカリ・ビミナリスです。

◎ユーカリ・ビミナリス(リボンガム)
【学名:Eucalyptus viminalis ssp. viminalis】
【英名:Manna Gum / Ribbon Gum / White Gum】
fancyboxビミナリス(Eucalyptus viminalis ssp. viminalis)の画像1

◎ユーカリ・ビミナリス(ラフバーク)
【学名:Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis】
【英名:Rough-barked Manna Gum】
fancyboxビミナリス(Eucalyptus viminalis ssp. viminalis)の画像2

【品種情報】
・Eucalyptus viminalis ssp. viminalis
最高樹高:40~90m前後(タスマニア生息種は特に大型)
樹形:Tree(木立)型
親葉への変化:槍型の細葉~柳型の長細葉へ変化
適合pH:弱酸性~酸性(5.0-6.0)

・Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis
最高樹高:10m前後
樹形:Tree(木立)型型、稀にMallee(灌木)型
親葉への変化:槍型の細葉~柳型の長細葉へ変化
適合pH:弱酸性~酸性(5.0-6.0)


【生息地情報】
・Eucalyptus viminalis ssp. viminalis
地域:New South Wale南東部、Victoria沿岸部、タスマニア中東部
夏季最高気温:最高値40℃、平均値26℃
夏季最低気温:最低値3℃、平均値11℃
冬季最高気温:最高値18℃、平均値11℃
冬季最低気温:最低値-9℃、平均値0℃
年間降水量:450~1350mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm

・Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis
地域:South Australia南東部~カンガルー島付近、
   New South Wale南西端部
夏季最高気温:最高値42℃、平均値25℃
夏季最低気温:最低値3℃、平均値12℃
冬季最高気温:最高値22℃、平均値13℃
冬季最低気温:最低値-4℃、平均値5℃
年間降水量:450~900mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm


【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度ではかなりパフォーマンスが落ちます。
日照が悪いと葉が薄く小さくヨレヨレで貧弱になります。
そのような葉は酷い病虫害に悩まされます。
屋内管理は完全不可。

・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土・樹高による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはそれなりに水好きな方です。
特に根張りのしっかりとした株では、
成長期の吸水量はとても激しくなります。

・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。

・鉢
あまり問いませんが、根張りが非常に激しいので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが非常に低下します。
できる限り、縦長で少し大きめの鉢を使用しましょう。

・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。
カルシウム分を好むため、貝殻由来の有機石灰は効果あり。
ただし与えすぎによるpHの変化には注意!

・植え替え
植え替えに対しての耐性は弱くはありませんが、
初心者はできる限り根鉢を崩さない方が無難です。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。

・寄せ植え
後々の植え分けがとても困難になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
また、根張りがとても激しいので、寄せ植えした花草を
早い段階で枯らせたり、生命力を奪うことがあります。

・病虫害
日照不足や生育不良により、
うどんこ病の被害が激しく出ることがあります。
雨のかからない場所では、ハダニ被害の激しい品種です。
風通しの良い場所で、日光を良く浴びた丈夫な株には
病気やハダニによる被害はあまり出ることがなくなります。
精油のシネオールが強いので、
その他虫害は全くと言っていいほどありません。

・地植え
非常に成長や根張りが激しく、
特にssp. viminalisは45m以上もの大木になる品種です。
余程の覚悟と場所がない限り、地植えは避けた方が無難です。
また、根張りが激しいため、家屋の傍に植えると、
家の基礎を傷つける可能性もあります。

・耐寒性
耐寒性はかなり高い方で、ssp. viminalisであれば、
地植えの成樹で-12℃程度と言われています。
生息地の都合上、ssp. cygnetensis
地植えの成樹で-7℃程度となっていますが、
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能です。

・成長力
鉢植えでも良く日光に当てれば、最高で年60~100cmほど。
地植えすると1年で簡単に人の背丈を越えてしまいます。
とても成長力は激しく、余程の覚悟がない限りは
地植えは辞めておいた方が無難です。
鉢植えでもとても激しい成長力を発揮し、
ハーブ利用にも事欠かないユーカリです。
ssp. cygnetensisは少し控え目になるはずですが、
苗木時点での成長力はあまり変わらず、2種ともに激しいです。

・開花
どちらも大型品種のため、
恐らく、数メートル以上という相応の樹高が必要かと思います。
最高樹高を考えると、ssp. cygnetensisならば、
2m程度での開花が見込める可能性はあります。
花は、白い小さな花がたくさん咲きます。
蕾は緑色が鮮やかで、比較的小さなサイズです。

・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。


【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
数日という単位でわかる程に激しく成長していきます。
日照が悪いと、成長は少し控え目になります。
日照不足になった葉は、
うどんこ病の被害が激しく出ることもあります。

・夏
最も枯らせることが多い時期。
比較的冷涼な気候出身のユーカリなので、
日本の高温多湿な夏は少し苦手です。
あまりに暑い場合には、新芽を中心に
高温障害の症状が出ることはありますが、
大きな被害につながることはありません。
ssp. cygnetensisはさらに冷涼な地域に生息しているため、
環境によっては、激しく葉痛みが出ることもあります。
また、水遣りは涼しい時間帯に行うようにして、
根が蒸れないように気をつけてください。
ssp. viminalisであれば、
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。
ssp. cygnetensisの場合は、
少し遮光をした方が良い場合もあります。
最も暑い時期にはあまり成長が進まなくなります。

・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
寒い場所では少し赤っぽく紅葉することがあります。
暖かい時期に比べると、思ったよりも水を吸わなくなるので、
冬場の過湿には十分に注意してください。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。


【特記栽培情報】
日光にさえ良く当てていれば、
勝手にどんどん育ってくれるという楽なユーカリ。
日光が足りないと少し病気がちにはなりますが、
それでもそれなりの成長力を見せつけてくれます。

まずは春と秋にふんだんに日光に当て、
丈夫で強い株と葉を育むことが第一です。
この時期に元気な葉をたくさん育てておくと、
一年中ほとんど心配することがなくなります。

とてもありふれたユーカリですが、
関西や関東の暖地などでは若干暑すぎる傾向があり、
夏場には、高温障害の症状や若干の葉痛みが出ることもあります。
また、雨の当たらない場所ではハダニの被害も激しく出ます。
ただ、春の間に元気な葉をたくさん生やした株には
あまり心配するようなことはありません。

ssp. cygnetensisについては、
暑さにさらに弱くなり、高温障害の症状が激しく出たり、
根が蒸れて枯れるという恐れが少し高くなっています。
ssp. cygnetensis暑さに弱いという認識を少し持って
少しだけ、デリケートな管理を行ってください。

根張りや樹高にもよりますが、
あまり十分に根の張れていない株は
涼しくなってからはかなり吸水量が低下します。
思った以上に乾燥を好む性質がありますので、
涼しくなってからの過湿には注意が必要です。

また、ssp. cygnetensis
原種よりも、少しだけ水分管理にうるさいところがあります。
基本的に、viminalisは成長が激しく、強健なユーカリですが、
ssp. cygnetensisを育てる場合には、
特にleucoxylonと性質が似ていますので、
少しだけ、デリケートな管理を心がけてください。

成長が激しいため、年に何度も剪定することになると思いますが、
剪定は春~初夏、秋口に行い、夏場や冬場の強剪定は避けましょう。
剪定には良く反応し、新芽をどんどん出してくれます。

また、大型品種で成長も根張りもとても激しいため、
どうしても鉢が飽和状態となり、
下葉が散る、葉数が少なくなるなど、
根詰まりの症状が早い段階で出ることもあります。

結果的には45mを超える品種なので、
大きく育てると言っても限界はあります。
そのような場合、どのように育てていくのかという問題は、
私にとっても、大きな課題になっています。

一つ、成長力を抑制し、根張りをコントロールできる
スリット鉢の使用は、とても効果的です。

オーストラリアの栽培指南書によると、
カルシウム分をとても必要とするユーカリだそうです。
特に、生息地が特殊なssp. cygnetensisは顕著です。
カルシウムが欠乏すると、葉の色素が抜けたり、
葉先に炭ソ病のような枯れが出ることがあります。

そのような場合は、貝殻由来の有機石灰などを適量補給します。
与えすぎると、用土のpHがアルカリ寄りとなり、
生育不良や他の要素の摂取障害に繋がりますので、
与えすぎには十分に気をつけてください。

過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。
※特に涼しくなってからの水分管理に注意。


※情報は適宜追加・変更します。

 
# by eucalyptus_k | 2012-10-26 15:07 | 品種別栽培ガイド
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立派なpleurocarpaが…残念…

昨日は大気の状態が不安定になり、
夜半を中心に酷い突風が吹いたようです。

マンションの12階では、
台風張りの強風が吹き荒れたようで、
昨晩はたくさんの鉢が倒れていて大変でした。

多くの鉢では根張りが激しいので、
鉢が倒れても、根が出てしまうようなことはなく、
表面付近の用土がこぼれた程度で済みました。

ところが、日照は良いのですが、
風がマトモに当たる場所に置いていた
80cmを超える程の立派なpleurocarpaが、
完全に土から根こそぎ引っこ抜かれて、
床に落ちて、バキバキに折れていました。

根が残っていれば、復旧を試みようと思いましたが、
完全に根が千切れて、見るも無残な状況だったため、
諦めて、泣く泣く廃棄処分にしました。

下の写真が星になったpleurocarpaです。

fancybox記事247の画像1

とても期待していた大切な株だったので、
我が子を失ったような気分になりました。

余りにもガッチリと支柱をしていたため、
全身で強風を受けてしまったようです。

葉が破れることはあっても、
強風に対しては、少し支柱を短めにして、
弾力をつけて置く方が安全なようです。

pleurocarpaは50cmくらいの株が
もう一つだけ残っていたので、
こちらに、次年度は希望を託したいと思います。

pleurocarpaは美しく、とても良いユーカリなので
場所に余裕ができたら、次年度には
追加でタネを播いてみようと思います。

何か、ベランダ園芸の限界を感じたようで、
近い将来に広い地上の敷地で、
ゆったりとユーカリを育てたいなという夢を
強く思いなおした出来事でした。

# by eucalyptus_k | 2012-10-24 13:51 | ユーカリ(栽培実績)
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今年の夏は色々大変でした。。。

ハダニうどんこ病が私の一番の障害だというのは
日々ブログに書いていることですが、
その他にも色々と厄介な問題があります。

特に今年の夏は例年とは異なり、
本当に色々と大変でした。

まず、気候の違いからなのか、
ハダニの被害発生時期が少しずれたことから、
被害の早期発見ができず、
今年は一切の薬剤散布をしなかったこともあって、
えげつないハダニ被害を被ってしまいました。

fancybox記事246の画像1

上の写真は現在のsmithiiの例です。
いつもはハダニによる被害が8月には少し見つかり、
すぐにそこで薬剤散布をするため、
被害をそこで食い止めることができるのですが、
今年は8月に被害がほとんどなかったので、安心していたら、
9月には悲惨な状況になっていたという次第です。

来年は様々な方からアドバイスのあった、
オルトランやアドマイヤーなどを試してみたいと思います。

もう一つ、いくつかの品種限定で
とても厄介な存在があります。

それはホコリダニによる被害です。

このホコリダニは小さく目視することができないため、
当初は何かの病気かと思っていました。

ハダニのようにくそ暑い季節ではなく、
少し涼しい、ユーカリの成長時期と
被害時期が丁度重なるので、大きな成長の妨げとなります。

ホコリダニは小さな間の新芽に付いて、
新芽とその後の成長した葉に奇形や斑点を生みだします。

Eucalyptus scorpariaの被害
fancybox記事246の画像2

Eucalyptus torquataの被害
fancybox記事246の画像3

Eucalyptus torwoodの被害
fancybox記事246の画像4

このホコリダニは何故か決まった品種にしか付きません。
特に酷いのは上記の3種で他にはbridgesianarudisforrestiana
albopurpureaなど主に精油が少なめのユーカリに被害を及ぼします。

基本的には、ハダニと同じでニッソランなどが効くようですが、
その他の薬剤はあまり効果がなく、散水もほとんど効果なしなので、
いつも仕方ないなあと、半ば放置気味です。

毎年、我が家のtorquataはこのホコリダニのせいで、
新芽が出ては枯れてを繰り返し、ほとんど成長しません。

今のところの打開策は
なるべく良く日に当てることくらいです。

次に今夏にとても猛威を奮ったのが、高温障害です。

これも最初は病気か要素欠乏症かと思っていたのですが、
色々と調べてみると、これは、植物の典型的な高温障害の症状で、
暑い季節が終わると一気に終息することもあるので、
間違いないという結論に至りました。

これはそのままですが、
暑さに弱い品種(冷涼地出身や高山出身のユーカリ)
を中心に発生します。

葉の色素が抜けて黄色くなり、葉の周囲が枯れたり、
規則的な斑点ができることが主な症状です。

Eucalyptus smithiiの基本的な症状です。
fancybox記事246の画像5

最も顕著で悲惨なEucalyptus cocciferaです。
涼しくなってきたので、綺麗な新芽が出だしています。
fancybox記事246の画像6

これは特にわかりやすいEucalyptus risdoniiです。
fancybox記事246の画像7

ほとんどの葉の色素が抜け、
暑い時期にできた右上の新芽は傷んでいますが、
涼しくなってからできた左の新芽は、
全く症状が見られずに、とても綺麗な色をしています。

他には写真を撮り忘れましたが、
Eucalyptus delegatensis ssp. tasmaniensis
Eucalyptus pauciflora ssp. niphophila、
Eucalyptus tenuiramisもとても悲惨な状況になっています。

これらも涼しくなってから出た新芽はとても綺麗で、
全くその症状が見られないのです。

他にはperrinianaや、pulverulentaなどにも
軽いですが、少しその症状が見られます。

これだけは、我が家ではこれ以上対処のしようがないので、
毎年こうなるものだと割り切るしかありませんね。

今年の夏は高温多湿で本来の大阪らしい夏でした。

ユーカリは多種多様、そんな環境が苦手なユーカリも
存在するということがわかり勉強になりました。

# by eucalyptus_k | 2012-10-23 13:15 | ユーカリ(栽培実績)
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ユーカリの地植えについて

最近、地植えに関するお問い合わせが増えています。
私はベランダ園芸なので地植えはしたくてもできないのですが、
その分、地植えされている人からは常に情報を集めています。

近所に地植えをされている御宅があると、
チャイムを押してインタビューなど、
とっても変な奴にもなっていたりします(笑)

そんな中で集めた地植えに関する情報について
いくつか掲載許可が下りたものがありますので、
まずはそちらをご紹介させていただきながら、
私の知りえる情報について書いてみたいと思います。

まず、とてもありふれたユーカリですが、
地植えに関してはとても例の少ないcinereaです。

cinereaは15~20m程度という、
ユーカリの中では比較的低木の品種ですが、
それでも相応のサイズになる樹木です。

お写真の提供は東北で、
あべ哲はり灸院をされているアベテツさんです。

fancybox記事245の画像1

fancybox記事245の画像2

とても立派なcinereaですね!
実は他にもいくつかcinereaの地植えを見たことはありますが、
こんなに立派なcinereaは初めて見ました。

実はこの立派なcinerea
元々はホームセンターで売られていた
わずか30cm程度の小苗だったそうです!

それをまずは鉢植えで育てて
一年で120cmになったものを地植えにして、
そこからわずか2年でこの高さになったそうです。

ちなみに、アベテツさんはしっかりとプロに依頼して、
定期的に剪定をされているそうです。

この成長力を考えると、
やはり地植えには相当の覚悟が要りますね!

polyanthemos/bridgesiana/sideroxylonなど
日本で良く見かける多くのユーカリも
大体同じサイズのユーカリになりますので、
是非とも参考にしてほしいと思います。

ちなみに良く地植えされているgunnii
cinereaよりもさらに一つ大きなサイズになりますが、
日本の狭い庭ではパフォーマンスがイマイチで、
あまり成長が進まないことが逆に好条件になっているようです。

親愛なるこあら師匠が広い畑に植えたところ、
数年で電信柱を超えたそうですので、
くれぐれも気をつけてください。

次に、ユーカリ中でもトップクラスに成長の遅い
Moon Lagoonを地植えされたという、
Osakano Jieさんの例もあります。

これについては下記の記事をご覧ください。
★ ブログ Aromaphloia ★

他にも、私の近所の大きな公園に
tereticornis/grandis/camaldulesisの3種が
地植えされている場所があります。

これはどれも50m級の大木クラスのユーカリですが、
それはそれは見上げる程に大きいです。

下記の写真はビデオからのキャプチャー画像ですので
画質はいまいちですがご容赦ください。

Eucalyptus tereticornis
fancybox記事245の画像3

Eucalyptus grandis
fancybox記事245の画像4

Eucalyptus camaldulesis
fancybox記事245の画像5

どれも学校や病院、公園などで見かける、
メタセコイアの最大サイズと同じかそれ以上です。
マンションなどの4~6階程度の高さがあります。

もちろん普通のお宅の庭では、
ここまでのパフォーマンスは出ないとしても、
このあたりのユーカリを地植えにするのは、
余程の覚悟がない限り止めた方がいいですね。

他にもまた別の公園に
globulusの大木があります。

これもまた機会があれば写真を撮ってきますが、
この木は毎年、完全丸刈りに剪定されているにも関わらず、
とても大きく、幹の太い立派な木になっています。

globulusは亜種・変種も含めて、
全てが巨木になるようなユーカリなので、
地植えは特に避けた方が良いでしょう。

最後に最も良く見かける、
銀世界(pulverulenta)があります。

これは10m前後とユーカリではかなり小さい方ですが、
それでも、畑に植えると、電信柱のサイズにはなります。

fancybox記事245の画像6

この写真のpulverulentaはとても立派で
7m近い樹高があります。

それでも、このサイズであれば、
結構庭木でも見かけますし、枝の利用価値もあるので、
地植えを検討する場合は、
このサイズくらいからが良いかもしれません。

他には、実家の庭にgilliiを地植えしていますので、
こちらも今後成長が進み次第、レポートしたいと思います。

最後に、

ユーカリは観葉植物ではありません。

あくまでも、樹木になります。

良く私は、サクラやケヤキ、場合によってはクスノキを
地植えする覚悟がいると言っていますが、
これは決して間違いではありません。

地植えをする場合は、
今後もしっかりと管理ができるのか?
大きくなったらどうするのか?など
しっかりと考えてから、臨んでください。

最初のうちは小まめな剪定で、樹高を抑えていたとしても、
少し忙しくなって、数か月放置したら、
もう背が届かなくなっていることもあります。

そしてそのままさらに放置すると
すぐに家の二階を超えてしまうこともあります。

ちなみに、西AZのユーカリには
2~4m程度という超低木のユーカリもいくつかあります。

そのようなユーカリは、どうしても日本の気候に合わず、
少し栽培難易度が高めになってしまいますが、
上手く行けば、多くの品種では、美しい花が見られ、
サイズ的にもヤマボウシやハナミズキクラスとして、
良いシンボルツリーになることと思います。

どんなユーカリであっても、
あくまでもユーカリを地植えされる場合は、
庭に木を植えるという認識でお願いします。

# by eucalyptus_k | 2012-10-21 13:54 | ユーカリ(栽培知識)
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【品種別栽培ガイド-07】
ツキヌキユーカリ (Eucalyptus perriniana)

続きまして第07回目は
ツキヌキユーカリ(perriniana)です。

◎ツキヌキユーカリ
【学名:Eucalyptus perriniana】
【英名:Spinning Gum】
fancyboxペリニアナ(Eucalyptus perriniana)の画像1

【品種情報】
・Mainland Form(オーストラリア本土型)
最高樹高:5~7m前後
樹形:Tree(木立)型、稀にMallee(灌木)型
親葉への変化:ツキヌキ状の丸葉~柳型の細葉へ変化
適合pH:弱酸性(5.5-6.5)

・Tasmanian Form(タスマニア型)
最高樹高:4.5~6m前後
樹形:Mallee(灌木)型、稀にTree(木立)型
親葉への変化:ツキヌキ状の丸葉~柳型の細葉へ変化
適合pH:弱酸性(5.5-6.5)


【生息地情報】
・Mainland Form(オーストラリア本土型)
地域:New South Wale南東州境部、Victoria北東州境部(純高山地帯)
夏季最高気温:最高値30℃、平均値18℃
夏季最低気温:最低値-6℃、平均値5℃
冬季最高気温:最高値9℃、平均値2℃
冬季最低気温:最低値-23℃、平均値-7℃
年間降水量:750~1850mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm

・Tasmanian Form(タスマニア型)
地域:Tasmania南東部(準高山地帯)
夏季最高気温:最高値32℃、平均値19℃
夏季最低気温:最低値-4℃、平均値5℃
冬季最高気温:最高値12℃、平均値6℃
冬季最低気温:最低値-12℃、平均値-2℃
年間降水量:850~1200mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm


【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度ではかなりパフォーマンスが落ちます。
日照が悪いと葉が薄く小さくヨレヨレで貧弱になります。
そのような葉は酷い病虫害に悩まされます。
屋内管理は完全不可。

・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはかなり水好きな方です。

・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。

・鉢
あまり問いませんが、根張りがデリケートなので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが非常に低下します。
できる限り、縦長の鉢を使用しましょう。

・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。

・植え替え
植え替えに対しての耐性は弱くはありませんが、
初心者はできる限り根鉢を崩さない方が無難です。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。

・寄せ植え
後々の植え分けがとても困難になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。

・病虫害
日照不足や生育不良により、
うどんこ病の被害が激しく出ることがあります。
雨のかからない場所では、ハダニ被害の激しい品種です。
ユーカリ中でもハダニの被害が深刻な品種の一つです。
風通しの良い場所で、日光を良く浴びた丈夫な株には
病気やハダニによる被害はあまり出ることがなくなります。
精油のシネオールが強いのでその他虫害はほとんどありません。

・地植え
地植えをした方が明らかにパフォーマンスは上がります。
比較的低木品種なのですが、地植えに関する実例がなく、
あまり詳しいことはわかっていません。
成長が激しすぎて手に余るようなことはないと思います。

・耐寒性
ユーカリ中でもトップクラスの耐寒性を誇り、
地植えの成樹で-17℃以上と言われています。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
日本の最も寒い場所でも栽培不可能ではありません。
寒い北米やヨーロッパでは定番のユーカリです。
寒い季節はすこぶる元気になります。

・成長力
鉢植えであれば、最高で年20~40cmほど。
地植えすると1年で80m程度まで育つ可能性もあります。
成長力は環境さえ合えば、決して遅い方ではありませんが、
成長が速すぎてびっくりするようなことはありません。
また、暑い時期はほとんど成長が進まないこともあります。
結果的に見ると、成長はかなり遅いイメージがあります。

・開花
私はまだ実現できていませんが、
恐らく150cm程度の樹高があれば、開花は十分に見込めると思います。
ただし、開花をしたという話はほとんど聞きません。
(地植えの実例もほとんどありません)
花は、ほとんど白に近いクリーム色の花が咲きます。
葉のサイズの割に思ったより小さな花です。
蕾や実はあまり強く粉を吹かないようです。

・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。
管理が悪い場合は、稀に激しい病害虫の被害により、
枯死に至る可能性もあります。


【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
日照が悪いと、ほとんど成長が進みません。
日照不足は即刻病気につながります。

・夏
最も枯らせることが多い時期。
冷涼な気候出身のユーカリなので、
日本の高温多湿な夏は少し苦手です。
高温障害の症状が出たことはありませんが、
湿気の多い梅雨時期などには少し葉が傷むことがあります。
また、空中湿度の高い環境で栽培すると、
葉に溜った水などが原因で葉に枯れの出ることもあります。
できる限り風通しの良い場所で管理しましょう。
その他では、水切れのサインが掴みにくいので
急な水切れによる枯れにも注意が必要です。
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。
最も暑い時期にはほとんど成長が進まなくなります。

・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
ほとんど紅葉するようなこともなく、
葉痛みもほとんどなしで、とても力強い季節です。
夏場の青々とした葉とは異なり、
特にTasmanian Formは水色~薄ピンク色のような
非常に美しい葉色の映える季節です。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。


【特記栽培情報】
まずは春と秋にふんだんに日光に当て、
丈夫で強い株と葉を育むことが第一です。
日照不足も株を貧弱にする大きな要因ですが、
他の品種よりも、風通しの良さがとても大切で、
用土だけでなく、葉にも余分な水分を残さないようにします。
※場合によっては、手で水滴を払うと良いでしょう。

日照不足は激しいうどんこ病の被害につながり、
風通しの悪さは、酷いハダニの被害につながります。
私はハダニうどんこ病放置で枯らせたこともあります。

梅雨時期は日本の暖地では、高温多湿が過ぎるため、
ある程度の葉痛みが出ることはあります。
春と秋に、しっかりと健康な株に育てていることで、
梅雨~夏を容易に乗り切ることができます。
とても冷涼な地域に向いているユーカリです。

冬にはとても元気で葉がとても美しくなります。
元々雪原地帯にも生息しているため、
雪や霜などにもとても強く、全くものともしません。
見た目も魅力的で、極寒地で育てるには最適なユーカリです。

カナダ寄りの北米やヨーロッパ北部では
積雪も多く、あまりにも寒くなりすぎるため、
cinerea/pulverulentaといったような
代表的な丸葉ユーカリは生き残れないそうです。
そんな地域では、このperrinianagunnii
最もスタンダードでありふれたユーカリになっています。

あまり大阪や関東の暖地には合っていない印象で、
東北や長野などの涼しい地域の方が向いていると思います。
ただ、その他の冷涼地のユーカリに比べると、
幾分か暑さにも耐性を備えているように思います。
※高温障害の症状があまり出ない。

このperrinianaの弱点として
剪定に弱いというところがあります。
あまり剪定に反応してくれることもなく、
切り口から菌に感染して、酷く枯れることがあります。
剪定を行う際には、鋏などを良く消毒してください。
鉄と相性が悪いという話もあるので。
木製の剪定用具を使用すると良いかもしれません。

どちらかというと灌木型のユーカリのため、
特に育苗初期は少し癖が悪く、
あまり真っ直ぐに伸びてくれなかったり、
ちゃんと自立してくれない場合が多いです。

そんな際は、通常は支柱などで矯正を行うのですが、
矯正をせずに成長するままに育てている方が、
元気に育ち、脇芽も出しやすいというデータがあります。

それでも綺麗な樹形を保つためには支柱は必要ですが、
葉がツキヌキ状のため、とても支柱が付けにくく、
葉を傷つけやすいので、気をつけてください。

過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。


※情報は適宜追加・変更します。

 
# by eucalyptus_k | 2012-10-20 01:43 | 品種別栽培ガイド
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