【ユーカリ紹介-54】
ユーカリ・エリスロコリス (Eucalyptus erythrocorys)続きまして第54回目は
面白い花の咲くユーカリとして
アメリカやヨーロッパなどで人気があり、
現地では街路樹の定番品種、
ユーカリ・エリスロコリスです。
◎ユーカリ・エリスロコリス
【学名:Eucalyptus erythrocorys】
【英名:Illyarrie】
このerythrocorysは日本ではあまり知られていませんが、
海外では花を咲かせるユーカリとしてとてもメジャーです。
アメリカやヨーロッパの花卉のタネを販売している
タネ屋さんには必ずといっていいほど
ラインナップされているユーカリです。
また、このerythrocorysは特定の英名を持ちません。
現地では原住民アボリジニーの言葉で
イリアリ(Illyarrie)と呼ばれて親しまれているようです。
このerythrocorysの一番の魅力は、もちろんその花です!
蕾が真紅で花は眩しいほどの黄色をしているため、
赤と黄のコントラストがとても美しいです。
erythrocorysという学名もこの赤い蕾を表しており、
Red Helmet(赤いヘルメット)の意味があります。
とても魅力的で且つメジャーなユーカリなので、
ユーカリ好きは必ず押さえておきたいユーカリ!
ということで私も3年前から育て始めています。
冒頭の写真の株の先端や、上の花の写真の葉は、
細長く光沢のある葉をしていることがわかります。
ところがこのerythrocorysは、
育て始めは、毛の生えた葉と茎を持ち、
全く異なった外観をしています。
下の写真はタネ播きから二年目で、
去年の秋の写真です。
葉や茎には細かい毛が
たくさん生えていることがわかると思います。
また新芽部分も激しく毛に覆われています。
そんな全てが毛むくじゃらのerythrocorysですが、
育て始めて、3年経った今年、樹高が120cmを超えるあたりから、
細長く光沢のある葉が出始めました。
そして光沢のある葉が出た箇所の茎も
同様に全く毛がなくなってツルっとしています。
もちろん新芽部分も全く毛はなく、
パッと見は、全く異なる品種のユーカリのようです。
現在、光沢のある葉が出ているのは、
先端の30cmくらいの部分と、
株の上の方から出てきた脇芽の先端部分のみです。
このerythrocorysは、ユーカリの中では
かなり低木の部類になりますが、
それでも8m程度の樹高へと成長します。
主にはMallee型(灌木型)になるようですが、
稀にTree型(木立型)になることもあるようです。
丁度、日本の典型的な街路樹サイズです。
地植えをしてしまうと、相応の大きさになりますが、
鉢植えでも十分に開花が見込めるようです。
この株は現在150cm程度の樹高にまで成長しました。
鉢植え管理ではもちろん大きさに制限はありますが、
今後、成長していくに従って、
光沢のある細葉が増えていくことと思います。
現在は下の写真のように、先端部は細葉ですが
株元から三分の二くらいの場所には、
まだまだ毛の生えた葉がたくさん残っています。
毛の生えている間の葉は
そこまで大きくなることはありませんが、
光沢のある葉はとても大きなサイズになります。
試しに計ってみたところ、
一番大きな葉は18cm近くもあり、ビックリしました!
実はこのerythrocorysには、
既に何名か開花を実現させた先人がいます。
その方々の話では、我が家の株のように
丁度120cmを超えたあたりから、光沢のある細葉が出始めて、
大体、その翌年には花が咲き始めるとのことです。
花芽は必ず光沢のある葉の部分から出るようなので、
光沢のある葉が出だしたら、
もうすぐ開花するかもというサインになるようですね。
開花時期は、ミモザなどと同じ早春ということなので、
我が家の株も、無事に冬を超えることができたら、
来春には開花する可能性があるということになります。
150cmという樹高は我が家の狭いベランダでは
大きすぎて、管理がかなり困難になります
大体、1mを超えた株は剪定してしまうのですが、
erythrocorysは1mオーバーから花が咲くと聞いていたため、
敢えてここまで伸ばしていました。
その甲斐があったということで嬉しく思っています。
ユーカリは、花が咲くかどうかにはかなり個体差があり、
いつまで経っても、なかなか花の咲かない個体も多くあります。
erythrocorysを複数株を育てている先人に聞いた話では、
全ての株が同じようなペースで
毎年、必ず花を咲かせているそうなんです!
この先人からの情報によると、erythrocorysは、
かなり花の咲きやすいユーカリであると推測できます。
こんな魅力満載のerythrocorysの育て方ですが、
西AZのユーカリにしては、比較的湿潤を好み、
過湿にも強く、育てやすいユーカリです。
また、成長力もなかなか激しいユーカリです。
日照などがイマイチの我が家のベランダでも、
2年で80cmを超え、3年で150cmに達していますから、
かなり成長の激しいユーカリであることがわかります。
※置き場所は半日ほど直射の当たる場所に置いています。
湿潤を好むといっても、西AZのユーカリですから、
排水性の良い用土を使用することは基本です。
西AZのユーカリの中では、湿潤を好むためか、
かなり根張りの強烈なところがあるので、
夏季の水切れには十分注意が必要です。
また、弱酸性~酸性のpHを好むユーカリが多い中、
弱酸性~弱アルカリ性くらいの、
少し高めのpHを好む性質があります。
ただあまり慣れていない人がpHをいじると、
色々と失敗することの方が多いので、
pHはあまり気にせず、通常の用土で管理をし、
少しアルカリ寄りの耐性があると
認識する程度で良いと思います。
基本的にはあまり肥料を与えなくても大丈夫ですが、
どちらかというと、肥料の効き目が良い方で、
適量の肥料は、成長力を加速させます。
ただし、多肥はもちろんアウトですし、
リン酸分を好まないところは他種と同じです。
日本よりも遥かに乾燥した地域のユーカリですから、
あまり高い空中湿度は好みません。
そのため、梅雨時期などには新芽部分に枯れが出たり、
少し葉痛みが起こることもありますが、
通常はあまり心配はいりません。
どうしても不安な場合は、
他の西AZのユーカリと同じように
梅雨時期限定で軒下などで雨を避けると良いでしょう。
erythrocorysは少しの耐陰性を備えているようで、
半日陰の場所でも、比較的元気に成長します。
ただ、元来、かなり太陽が好きな品種ですので、
早期の開花を目指して、元気な株を育てたい場合には、
他の西AZのユーカリと同じように
たくさんの日光に当てて育てた方が良いです。
葉に毛が生えているためか、
少しミント様の成分を含んでいるためかわかりませんが、
病害虫の影響を受けることは皆無といえます。
我が家では毎年、うどんこ病やハダニが猛威を奮いますが、
erythrocorysはうどんこ病を全く発症せず、
ハダニの被害もほとんどありません。
成長のメインはGW後の春の暖かい時期と、
梅雨明け後の初夏から最も暑い季節で、
しっかりと早春から太陽に当てていた株は、
西日を浴びても葉焼けするようなことはありません。
ところが最高気温が20℃を切るようになると
途端にほとんど成長が進まなくなります。
erythrocorysの生息地は、
ウェストオーストラリア州の州都パースの
少し北の地域の石灰岩の多い沿岸部です。
このあたりの気候は非常に穏やかで、
冬は0℃を切ることはほとんどなく、
朝方には1℃程度まで下がることもありますが、
日中は15~20℃近くにもなり、
夏も30℃前後の日が多いというとても快適な環境です。
オーストラリアの中ではとても過ごしやすく、
誰もが快適になれる環境であると言われています。
そのような穏やかな気候の地域ですから、
これらの地域に生息するユーカリは、
我儘で寒さに弱い品種が多く存在しています。
erythrocorysは湿潤を好むため、
さほど我儘なユーカリではありませんが、
寒さにはとても弱いユーカリです。
良く寒さに弱いと言われる
レモンユーカリと同等かそれ以下で、
恐らく我が家では最も寒さに弱いユーカリでしょう。
数値では地植えの成樹で-5℃程度と言われていますが、
鉢植えの管理では頑張っても-3℃程度までで、
慣れない人には0℃以上の管理を推奨します。
先年は敢えて屋外越冬を試みましたが、
葉はボロボロになり、見るも無残な状態になりました。
また、最も寒い日に用土が凍結したことがありましたが、
その際には、株全体がクタクタになってしまい、
もう駄目かもしれないという程にまで傷みました。
近所の屋外で、ポットで数十センチの苗を
管理されていたOsakano Jieさんのところでは、
erythrocorysは全滅してしまったそうなので、
雨が当たり、寒風を防げない場所では、
関西や関東でも屋外越冬はかなり難しいかもしれません。
またerythrocorysは霜にも非常に弱く、
霜が葉に付くと、激しく霜焼けの症状が出ます。
恐らく他のユーカリと同じで、
葉に毛の生えている間は
特に耐寒性が弱くなるものと思われます。
ただ、無加温の簡易温室などを使用した場合は、
気温が-5℃程度まで下がったとしても
ほとんど葉が傷むことはありません。
冬場には、簡易温室などを使用するか、
寒い日の晩などは屋内に取り込むなどの
管理が必要になると思います。
また冬季は特に、軒下や温室内などで、
雨を避けた方が安心して越冬できます。
フルタイム室内で管理するのはオススメできません。
どうしても日照が不足してしまうことと、
用土の乾燥が進まないことで過湿になり、
徒長して貧弱な株になってしまう可能性が高いです。
また、いくら過湿に強いとは言っても、
水分管理が難しくなり、枯死する確率も高くなります。
それでも関東以東の寒地では、
少し加温された温室や屋内での管理も
止むを得ないこともあるかと思います、
ただ関東以西の暖地では、
日中に気温がマイナスになることはほとんどありません。
日中であれば、気温が多少0℃を切ったとしても
日光の暖かさがありますから、
夜間に温室や室内に取り込むだけでも十分対応可能です。
我が家でも今年は開花を楽しみにしているので、
無理に完全屋外越冬するのは止めておく予定です。
ただサイズ的に簡易温室には入りきらないので、
寒い日の夜間のみ屋内取り入れで対応しようと考えています。
erythrocorys越冬時のポイントは下記の通りです。
・雨を避け、水分は控えめに管理すること
・潅水時間に気を付けて用土凍結を防ぐこと
・寒い日の夜間は無理をせず温室や玄関内などに取り込むこと
多くの毛の生えたユーカリというのは、
あまり0℃を下回らない環境に生息しているものが多く、
冬になっても、冬季休眠モードに入りきれないものが多いです。
そのため、冬季でも比較的水を欲するところがあります。
他の西AZのユーカリは、冬場はほとんど水を吸わず、
断水に近いくらいの管理を行うものが多いですが、
erythrocorysは、寒さに強いgunniiなどと
あまり変わらないくらい水を吸うことがあるので、
冬場でも安心しすぎると、水切れを起こす場合があります。
erythrocorysは、冬場の管理にさえ気をつければ、
西AZの中ではトップクラスに育てやすいユーカリです。
気になるerythrocorysの香りですが、
私にはシネオール系の香りにも感じられますが、
実際はシネオールはほとんど含まれておらず、
メンソール系の成分がメインになっているようです。
香りはあまり強い方ではなく、
葉を指でさっと撫でると微かに香る程度です、
シネオール特有の少し生臭い香りは全くせず、
スッとする典型的なハッカの香りがします。
葉に毛の生えている間は比較的良く香りますが、
光沢の出た細葉になるとほとんど香らなくなります。
香りは爽快で決して悪くはありませんが、
香りを楽しむには少し弱く、
花を楽しむユーカリのオマケのような感じです。
erythrocorysは寒さに弱いことさえ除けば、
圧倒的に育てやすく、魅力的なユーカリです。
赤と黄色のコントラストが大好きで、
暖地で広い庭があるお宅であれば、
シンボルツリーにするのもありでしょう。
鉢植え管理でも、1mオーバーで十分に開花が見込めるため、
花を楽しむことのできるユーカリの中では、
海外の人気が示すように、トップクラスに良いユーカリです。
育ててみたい方には
素晴らしい農場をご紹介します♪
現在、erythrocorysが手に入るのは
親愛なるこあら師匠の農場だけかと思います。
興味のある方はタネから育てるのもありです。
タネ播き~育苗の難易度もとても低く、
タネから育てるユーカリの入門編にも最適です。
ユーカリ好きには抑えておきたいerythrocorys!
ぜひとも育ててみて、
美しい赤と黄のコントラストに
魅せられてみてはいかがでしょうか。
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<栽培難易度:B+>
香良さ:★★★
香強さ:★★
成長力:★★★
要水分:★★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★★
耐寒性:☆
耐暑性:★★★★
耐病虫:★★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2012-11-19 17:03 | ユーカリ紹介
【ユーカリ紹介-53】
レモンユーカリ (Corymbia citriodora)続きまして第53回目は
日本でも超有名なレモンユーカリ。
蚊の禁忌効果などハーブとしても重宝され、
渋めのレモンの皮の香りを強く香らせる
コリンビア・シトリオドラです。
◎レモンユーカリ
【学名:Corymbia citriodora】
【英名:Lemon-scented Gum / Spotted Gum】
ここに来てようやく、
このメジャーなユーカリを紹介することができました。
我が家でも年中調子の良いユーカリで、
現在のところ、6号鉢で2.3mを超える樹高がありますが、
実はメジャー過ぎて、紹介を忘れていました。。。
ユーカリのことなんてあまり知らないという方でも、
少し園芸をかじっている方なら、誰もが
レモンユーカリといえば知っているほどにメジャーで、
ホームセンターや園芸店などでも良く見かけます。
ユーカリと呼ばれる植物には3つの属が存在します。
最も良く知られているのがEucalyptus属ですね。
今までユーカリ紹介に登場した全てのユーカリは、
このEucalyptus属になります。
あと2つはCorymbia属とAngophora属です。
Corymbia属は主にEucalyptus属よりも暖かい地域に生息し、
タネや実がとても大きいという特徴があります。
また幼い間は葉が毛で覆われており、
成長するに従って、葉の毛がなくなり、
光沢が出てくるという品種が多いです。
またどれも柑橘系の香りがする品種ばかりです。
Angophora属はさらに暖かく、ほぼ熱帯に近い地域に生息し、
タネがCorymbia属よりもさらに大きいという特徴があります。
成樹の外観はCorymbia属と良く似ています。
このレモンユーカリは、そのCorymbia属に属するユーカリです。
柑橘系の香りがするCorymbia属の中でも
最もレモンの香りが強いのがレモンユーカリです。
学名のcitriodoraもそのままレモンの香りという意味です。
屋外用の観葉植物としてありふれたレモンユーカリですが、
実は50m級の立派な樹木に成長する超大型品種です。
良く地植えをされる方がいるようですが、
いつまで経ってもヒョロっとしており、
台風などの際に折れて倒れたという話を良く聞きます。
実はレモンユーカリは、オーストラリアでもとても暖かい、
亜熱帯地域であるゴールドコーストやケアンズ周辺に
生息しているユーカリです。
一つはかなりの大型樹木であるため、
数メートルの樹高があったとしても、
あくまでも苗木でしかないので、
幹が太りきっていないということもあります。
それに加え、本州の暖地では、
レモンユーカリが本来のパフォーマンスを出すには
少し気温が足らないということも考えられます。
レモンユーカリの生息地の気候は沖縄に良く似ています。
沖縄でレモンユーカリを地植えで育てている人を知っていますが、
そのレモンユーカリは樹高が数十メートルの立派な大木となり、
しっかりと毎年花を咲かせているそうです。
本州で地植えをするには、色々な意味で無理があるため、
やはり鉢植えでコンパクトに管理した方が良いでしょう。
とはいえ、さすが大型樹木!
気候が合わないとはいえ、成長力はかなりのものがあります。
またレモンユーカリの生息地の降雨量は
夏場には軽いスコールが降るようなところですから、
本州のあらゆる地域に比べてかなり多いです。
日本では少し湿潤すぎて
パフォーマンスがイマイチなユーカリが多い中、
レモンユーカリは、湿度や降雨量的には
日本にとても合っているユーカリです。
そのため、鉢植えであまり気を使わずに管理しても、
ワンシーズンで1m近く成長することもあります。
我が家でもかなり激しく切り戻して、
紅茶とミックスしてレモン風味の紅茶として使用したり、
お風呂に入れたりして活用してますが、
それでも毎年2mを超える樹高になっています。
我が家では都合が良いので、
下の写真のように物干しの柱を支柱としてくくりつけています。
6号鉢で2mオーバーということもあるでしょうが、
樹高や葉の大きさの割にはかなりヒョロっとしており、
支柱にくくりつけていないと、
上半分は完全に地面に垂れて着いてしまうほどです。
レモンユーカリの特徴は、とにかく激しく毛が生えており、
とても大きなサイズの葉をしているところです。
この葉に生えた毛には諸説ありますが、
暑い地域に生息しているユーカリのため、
葉の蒸散効率を上げているという説が有力です。
大きく育つとこの毛は全てなくなり、
ツルっとした光沢のある葉に変わります。
我が家では、まだ毛のない葉は生じていませんが、
生育環境や個体差により、
かなり早い段階で毛がなくなることもあります。
とても強く香るレモンユーカリですが、
毛のなくなった個体では、香りがかなり控えめになります。
ただし、毛がなくなると幾分か耐寒性が上がるようです。
葉に毛の生えている間は
茎にも同様に毛が激しく生えています。
この毛は思ったよりもしっかりしていて、
もちろん手に刺さる程の固さはありませんが、
固いところでは男性の髭くらいの固さがあり、
肌の柔らかいところで激しくこすると、
少し肌が痛くなるほどに強靭です。
面白い情報として、剪定したレモンユーカリの葉や茎を
ハーブ利用のために乾燥させるとき、
トレイに入れて日陰で干していると、
この毛が抜けて、トレイの下に粉のように大量にたまります。
生育状況が極めて良いということもありますが、
我が家ではトップクラスに葉の大きなユーカリです。
大きめの葉の長さを測ってみましたが、
20cmもあってびっくりしました!
ちなみに1m程度の樹高であっても、
このサイズの葉が何枚も出ていました。
レモンユーカリの育て方についてですが、
土の排水性が極端に悪くない場合は、
通常の観葉植物と同様に育てることができます。
水遣りも一般的な観葉植物と同じで、
夏季は表面が乾いたらたっぷり水遣りで大丈夫です。
恐らく、ある程度の樹高がある株は
真夏であれば毎日の水遣りが必要になるでしょう。
ただ湿潤を好み、かなりの水食いであっても、
用土の排水性が悪いベタ土は嫌います。
オリーブなどの乾燥を好む観葉植物と同じように
排水性の良い用土を使用した方が明らかに生育は良くなります。
精油が強烈なため、病虫害はほとんど皆無に等しいです。
たまにハキリバチや芋虫が付くそうですが、
決して深刻になるようなことはありません。
また新芽限定でアブラムシが付くこともあるようですが、
余程株が幼くない限り大した問題にはなりません。
その他では、我が家のようにイマイチな環境でも、
うどんこ病やハダニの被害が出ることは全くありません。
超初心者向けで、在来の植物とほぼ同じように
育てられる程に強健なレモンユーカリですが、
一つだけ厄介な弱点があります。
それは暖かい地域に生息しているため、
耐寒性が非常に弱いというところです。
日本で販売されている場合の説明書きには
万全を期して3℃以上と書かれています。
実際のレモンユーカリの耐寒性は
地植えの成樹で-6℃程度と言われています。
ユーカリの管理にあまり慣れていない人は、
0℃以上の管理を心掛ければ安心です。
その場合は、関西や関東の暖地でも、寒い日の夜には
屋内に取り込むなどの対処が必要です。
レモンユーカリはかなりの過湿耐性を兼ね備えているため、
冬季に室内管理をすることも不可能ではありません。
ただ、その場合はかなり明るい、
直射日光の当たる窓辺に置くことが必須です。
私的には、面倒でなければ、
夜だけ屋内に取り込むなどの管理を推奨します。
東北地方などの寒い場所では、
よほど冬季の管理がうまくない限りは
屋外越冬は難しいかもしれません。
ユーカリの冬季管理に慣れている
親愛なるこあら師匠や私は、
-5℃程度まで下がる大阪の冬でも
レモンユーカリを完全屋外越冬させています。
コツは色々ありますが、
とにかく潅水を極限まで少なめにするということです。
下の写真は厳冬期のレモンユーカリです。
葉は真っ赤になり、
ところどころに霜焼けのような葉痛みが生じています。
このように屋外越冬させる場合は、
葉がボロボロになるという覚悟だけは必要です。
ただ、春が来るとともに、傷んだ葉はほとんど散り、
新しい葉がどんどん出てくるのでさほど問題にはなりません。
こちらの写真の株も、毎年屋外越冬ですが、
すでに冬の痛みの跡は全く見られません。
さらに寒い場所でレモンユーカリを屋外越冬させた場合、
全ての葉が傷んで散ってしまうこともあります。
それでも、枯れたと思って破棄しないでください。
根さえ生きていれば、葉が全てなくなっても、
レモンユーカリはかなりの確率で芽を吹きます。
どうしても室内管理が難しく、屋外で越冬させる場合は、
鉢の周りに防寒材を巻いたり、
発泡スチロールで鉢を防寒対策するだけでも、
かなり安全に屋外越冬させることができます。
どうしても心配な場合は、
葉もボロボロになりますので、
無理をせずに夜間だけ室内取り込みで問題ありません。
私がレモンユーカリを差し上げた知り合いに
ほとんど植物は放置という人がいます。
真冬には-7℃にもなる場所ですが、
冬も完全屋外放置で見るも無残な状態になります。
それでも毎年非常に元気に育っています。
この手のユーカリは、
あまり過保護にせず、放置くらいの方が
たくましく育ってくれるのかもしれません。
レモンユーカリの香りはそのまま名前の通りです。
以前に紹介したstaigerianaが
お菓子のレモン香料の香りなのに対して、
レモンユーカリはそのままレモンの皮の香りです。
この香りの主成分はシトロネラールという成分です。
実はこの香りは山椒の葉や実の香りと全く同じなので、
人によっては山椒の香りと言う人もいます。
また人によってはアゲハ蝶の幼虫の舌の香りと言います。
実はこれはある種正解と言えるのです。
アゲハ蝶の幼虫はミカン科の植物や山椒に付きます。
学術的な根拠はありませんが、
恐らく、これらの葉に含まれるシトロネラールを吸収して、
舌の香りに利用しているのではないかと考えています。
シトロネラールには蚊を含む、多くの虫に対して
禁忌効果があるとされており、
蚊除けリングなどにその成分が活用されています。
ただ、効果があるのはあくまでも精油です。
レモンユーカリを育てているだけで
蚊が寄ってこないなどということはありません。
精油を抽出して利用しないと、
効果はほとんど得られませんのでご注意ください。
このレモンユーカリの香りですが、
ユーカリの中でもトップクラスに強いです。
恐らく、globulusと並んでNo.1と言っても良いです。
それでも育てていて香ってくることはほとんどありません。
ただし、葉に手が軽く当たっただけでも、
手に強くレモンユーカリの香りが残ります。
我が家では物干しにくくりつけているので、
たまに洗濯物が擦れて、香りが付くことがあります。
私はハーブ利用で乾燥させる前に、
細かく葉を裁断するのですが、
そのような場合には部屋中が
レモンユーカリの香りでいっぱいになります。
レモンユーカリはとても育てやすいユーカリです。
あまりにも育てやすすぎて、
ユーカリであるということさえ忘れてしまう程です。
ただ巷では何故か良く枯らせるという話も聞きます。
一つ注意することは、ベタ土を嫌うというところです。
あまり用土は選びませんが、排水性が極端に悪いと、
在来の植物よりも根腐れする可能性は高くなります。
それでも少しでもユーカリをかじったことのある人には、
gunniiなどと比べても、ビックリするほど楽です。
この香り、少し好き嫌いがハッキリするところがありますが、
レモンユーカリのワイルドな香りが好きな方には
とてもオススメなユーカリです。
レモンユーカリ育ててみませんか?
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<栽培難易度:A>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★★★
成長力:★★★★★
要水分:★★★★★
耐過湿:★★★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★★★
耐寒性:☆
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2012-11-09 10:11 | ユーカリ紹介
タネ播きの適期・適温
最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。
当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。
良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。
ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。
1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
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日本で良く見かけるユーカリが多い地域です
主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata
これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃、
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。
ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。
ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。
2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
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ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana
どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。
これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。
グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。
これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。
また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。
このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。
冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。
ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。
一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensやdalrympleana、nitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
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アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。
主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona
これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。
このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。
ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。
また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。
4. クイーンズランド州のユーカリ
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クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah
どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。
これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。
これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
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西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis
これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。
逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。
どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。
今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。
タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!- # by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)
【品種別栽培ガイド-09】
ユーカリ・オービフォリア (Eucalyptus orbifolia)続きまして第09回目は
ユーカリ・オービフォリアです。
◎ユーカリ・オービフォリア
【学名:Eucalyptus orbifolia】
【英名:Round-leaved Mallee】
【品種情報】
最高樹高:5m前後
樹形:ブッシュ状のMallee(灌木)型
親葉への変化:ハートリーフ~一部楕円形の葉へ変化
適合pH:弱酸性(5.5-6.5)
【生息地情報】
地域:West Australia中南部、Northern Territory南端部、
South Australia北端部
夏季最高気温:最高値47℃、平均値37℃
夏季最低気温:最低値9℃、平均値21℃
冬季最高気温:最高値28℃、平均値18℃
冬季最低気温:最低値-5℃、平均値6℃
年間降水量:100~300mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm
【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度ではかなりパフォーマンスが落ちます。
日照が悪いと葉が薄く小さくヨレヨレで貧弱になります。
そのような葉はうどんこ病に悩まされることもあります。
屋内管理は完全不可。
・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏場であっても少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みます。
葉の蒸散をあまり行わないため、
ユーカリ中でも特に水の要らない品種です。
・用土
通常の観葉植物用土での栽培はできる限り避け、
パーライトや軽石、川砂などを多く混ぜ込み、
乾燥力を強化した用土の使用を推奨します。
粒状培養土やサボテン用土のような、
非常に乾燥力の高い用土での栽培に適しています。
・鉢
あまり問いませんが、根張りがデリケートなので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが異様に低下します。
この品種には必ず縦長の鉢を使用しましょう。
・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
基本的には、貧しい土壌を好む性質を持っているため、
多肥は避け、あまり肥料は与えない方が良いでしょう。
・植え替え
根がデリケートなので、植え替え時は注意してください。
初心者は絶対に根鉢を崩さないようにします。
特に根が細く長いので、切らないように十分に注意してください。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。
・寄せ植え
根が細くデリケートで、植え分けが不可能になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
・病虫害
日照不足や生育不良により、新芽を中心に、
うどんこ病の被害が激しく出ることがあります。
空中湿度の高い環境を極端に嫌いますが、
葉が硬く厚いためか、病害虫の被害はほとんどありません。
・地植え
地植えをした方が明らかにパフォーマンスは上がります。
ただし、非常に成長の遅い品種で、
あまり日本の気候や風土にも合っていないため、
爆発的な成長力は望めないと思われます。
地植えの際も、なるべく乾燥した場所や土壌を選択し、
空気や湿気が籠らないような工夫が必要です。
・耐寒性
西AZのユーカリの中ではかなり高い方で、
鉢植えでも-7℃くらいまで耐えられると思います。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
葉が厚く丈夫なためか、全く紅葉することがありません。
・成長力
鉢植えであれば、最高で年10~30cmほど。
地植えするとさらに成長力は増すことと思います。
成長力自体はとてつもなく遅いというわけではありませんが、
日本とは根本的に気候が合っていないため、
成長する時期がかなり限られています。
そのため、結果的に見ると、成長はかなり遅いイメージがあります。
春・秋の、日中はとても暑く、朝方は肌寒いという、
一日のうちの寒暖差の激しい季節をメインに成長します。
冬や梅雨時期はほとんど成長せず、夏場もあまり成長は進みません。
・開花
知り合いの情報では70cmと150cmで開花したという情報があり、
残念ながら最近枯れてしまいましたが、
実家の80cmの株に蕾ができていたのを発見しています。
70cm程度の樹高があれば開花が見込めるようです。
花は、花弁の先が黄色い、白に近いクリーム色の花を咲かせます。
蕾や実は少しだけ粉を吹いているようです。
・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れです。
特に水分管理にはとてもうるさいので、
過湿が原因でいきなり枯れることのある品種です。
【季節の管理】
・春秋
日中は暑く、夜と朝方は肌寒いという、
寒暖差のあるような時期で、尚且つ
雨の少ない乾燥した時期に成長します。
成長するときはグッと成長が進みますが、
気候や環境が合わなくなると、途端に成長がストップします。
とにかくこの時期は、良く日光に当てて、成長を促しましょう。
春に日照不足だと、梅雨を乗り切るのが少し厄介になります。
秋は、しっかりと日々の気温の低下をチェックしていないと、
水遣り過多で過湿になり、いきなり枯れることがあります。
秋は梅雨に次いで、最も枯らせることが多い時期だと言えます。
・夏
梅雨時期はorbofoliaの鬼門の時期です。
しっかりと日光に当てていても、
曇りや雨の日が続き、気候がジメジメしてくると、
葉が傷み(枯れというよりは葉が腐るような感じ)、
葉をパラパラと散らせることが多くなります。
あまりにも傷みが酷い場合は、
雨のかからない場所に一時的に退避するのもありです。
ただし、間違っても室内管理はアウトです。
何とか厄介な梅雨を乗り越えて、
夏に入ると、思ったより成長は進みませんが、
とても安定した時期に入ります。
葉は激しく粉を吹いているため、
真夏の直射や西日にガンガンに当たっても、
全く葉焼けすることはありません。
いくら水が要らない品種と言っても、水切れは起こるので、
葉が柔らかくなって、萎れていないかなどチェックしながら、
夏場でも過湿にならないように注意して水遣りをします。
夏場は他のユーカリとは大きく異なり、
葉の白色が鮮やでとても綺麗になる時期です。
ところが高温に多湿が加わると、
梅雨時期と同じ症状が多発することになります。
そのため、ハウス栽培などでは
夏場も注意が必要になってきます。
・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
日照や風通し、用土などにもよりますが、
他の植物と比べると、月に1~2回と、
ほとんど断水に近いような水分管理を行います。
冬になっても、葉に紅葉などの変化はほとんどありません。
完全に全ての活動を休止しているといったイメージです。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。
【特記栽培情報】
orbifoliaは特に成長の遅い品種ではないのですが、
気候が合わないと途端に成長をストップしてしまうため、
結果として日本では、とても成長の遅いユーカリになっています。
試しに1年間育ててみると良く分かりますが、
成長の進む時期というのがとても限られているのです。
特に昼は比較的暑く、日差しも強いのに、
朝方はかなり肌寒く、窓を開けてはとても眠れない
というようなとても限られた時期に成長を進めます。
丁度、4~5月の間と10~11月の間の雨の少ない時期です。
たまたま、この時期に雨や曇りの日が多く続くと、
そのシーズンのorbifoliaの成長はイマイチになり、
次のチャンスへ持ち越しとなってしまいます。
成長の進む時期だけを見ていると
さほど成長が遅いとは思えないほどなのですが。。。
また、用土の排水性にもとてもうるさく、
余分な水分が残るような用土で栽培すると、
徒長し、葉の数がとても少なくなってしまいます。
日光に良く当てて、風通しも良く管理しているにも関わらず、
葉が散ったり、葉の数が少なくなる場合は、
少し用土の質がorbifoliaには合っていないというサインです。
また、特に水を吸わず、乾燥を好む品種のため、
初心者は、ワンサイズ、もしくはツーサイズくらい
敢えて小さな鉢で栽培するのが良いでしょう。
日照については、半日陰くらいでも栽培は可能です。
ただし、日照が少ないとどうしても貧弱になり、
用土の乾燥も進まなくなりますので、
過湿による枯死の可能性は自ずと高くなります。
基本的には、フルタイム直射日光を好む品種なので、
ふんだんに日光が当たり、風通しも良い
オープンスペースでの栽培が好ましいです。
大きな株になってしまえばさほどの心配はいりませんが、
幼苗の間やあまり根が張りきれていない間は
雨を避けて管理した方が良いかもしれません。
先述しましたが、梅雨時期や
ハウス内栽培など夏場に高温多湿になりやすい場所での管理は
orbifoliaにとって鬼門です。
水分管理をしっかりと行っていても、
見るからに調子が悪くなり、葉を散らせたりします。
なるべく、空中湿度を下げる工夫を行い、
梅雨時期には雨を避けるなどして、
ある程度の傷みは受け入れて、何とか耐え忍んでください。
結論として、とても良い栽培方法や
好む環境づくりなど、私もいまいち読み切れていません。
私はどちらかというと、比較的相性の良いユーカリです。
難しいユーカリというのは、誰にも難しいものなのですが、
不思議とこのユーカリには、とても個人差があるのです。
このユーカリと相性が悪く、軒並み枯らせる人もいれば、
毎年屋外に放置しているだけで、とても元気に育てている人もいます。
上記のような結果から、何らかしかorbifoliaに合う
栽培のポイントというものがあるのだろうと思っています。
育て方も環境も人それぞれですから、まずはorbifoliaを育ててみて、
経験の中から栽培のポイントを掴んでみてください。
とても傷みやすく、我儘な性質を持っていますが、
完全に枯死することはそこまでありませんので、
砂漠地域のユーカリ栽培の入門編には最適です。
このユーカリを上手く育てることができたら、
その他の西AZのユーカリなどを上手く育てるポイントが
とても良く理解できるかと思います。
※情報は適宜追加・変更します。- # by eucalyptus_k | 2012-11-04 17:37 | 品種別栽培ガイド
吸水量が減ってます!
何かついこの間までクーラー入れてたなあと思っていたら、
今は毎晩、羽毛布団を被って寝ているというように
急に寒くなってビックリしています。
それと同時に、ユーカリの吸水量も一気に減りました。
leucoxylonやcladocalyx、smithii、glaucescensなどのように、
ちょっと涼しいくらいの方が良いようなユーカリは
そんなに大幅な吸水量の減少はありませんが、
macrocarpaやgilliiなど、多くの西AZのユーカリや
砂漠地帯出身のユーカリは、吸水量が激減しています。
そのようなユーカリでは、直射日光の良く当たる場所でも、
私は数日に一回程度、スリット鉢の底のスリットからのみ、
簡単にシャワーで底面吸水させる以外は、
もう何週間も上から水を与えていません。
それが寧ろ良いようでとても元気に育っています。
特に暖かい地域に生息しているユーカリの
吸水量には注意して、過湿に気をつけてください。
私は12階なので、あまり縁はありませんが、
コガネムシ幼虫の被害も増大する季節のようです。
水遣り管理はバッチリなのに調子が悪いというときには、
どうせ、あまり冬季の葉は利用できませんから、
少し切りこんだ後にオルトランの散布も良いかもしれませんね。
私もそろそろ冬支度のレイアウトや
その他の算段を立てようかなと考え始めています。- # by eucalyptus_k | 2012-10-29 12:29 | ユーカリ(栽培知識)