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【ユーカリ紹介-58】
ユーカリ・ガモフィラ (Eucalyptus gamophylla)

続きまして第58回目は
ステップや半砂漠地帯に生息し、
ブルーグレイのツキヌキ葉が非常に美しい
「砂漠のツキヌキユーカリ」こと
ユーカリ・ガモフィラです。

◎ユーカリ・ガモフィラ
【学名:Eucalyptus gamophylla】
【英名:Warilu / Blue-leaved Mallee】
fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像1

fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像2

このgamophyllaは、その他のユーカリとは異なり、
エアーズロックで有名なアリススプリングスの近郊から、
ノーザンテリトリーの北部の広い地域と、
西オーストラリア州の北西部、クイーンズランド州東部の
一部のかなり暑い地域に自生しています。

Wariluというアボリジニー名も持ち、
現地ではそれなりに名の通ったユーカリですが、
日本では知る人もいないのではという程にマイナーです。

このgamophyllaの生息している地域の多くは、
半砂漠地帯かステップ地帯で、
降雨量はほぼあってないような状態です。

そのような地域に生息するユーカリは、
どれも低木Malleeかブッシュ状の個体が多く、
このgamophyllaもその例にもれず、
かなり低木で横に広がることが好きなユーカリです。

fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像3

ユーカリ検索に掲載している
gamophyllaの樹高は8m以内となっており、
一般的にはそのように言われています。

実際に豊富に水分のあるような場所や
定期的に水を与えてもらえるような栽培時には
8m程度の樹高にまで育つ性質を発揮するようです。

ところが、大部分が半砂漠地帯で、
ほとんど雨の降らない場所に生息している
野生の個体では、ほとんどが4m以内のブッシュ状で、
樹高を伸ばすことは滅多にないようです。

他のユーカリと同じように、大きく育つと
細葉に変化するという性質も持っているのですが、
上記の要因により、野生の個体では、
細葉に変化するようなことは滅多になく、
ほとんどがツキヌキ状の葉を終始キープするようです。

gamophyllaの大きな特徴は、
何と言ってもそのツキヌキ状の葉です。

gamophyllaという学名も、接合した葉という意味で
そのツキヌキ葉を表しています。

元祖ツキヌキユーカリのperrinianaとは異なり、
ツルっとした葉に白く粉を吹いていて、
その葉は、少し離れて見ると、
とても綺麗なブルーグレイに見えます。

英名は、Blue-leaved Malleeですが、
以前に紹介したpolybractea
Blue-leaved Malleeという英名を持っています。

一般的にはpolybractea
Blue Malleeと呼ばれることが多く、
Blue-leaved Malleeというと
このgamophyllaを差すことが多いようです。

その生息地を元に、perrinianaと分けて、
私はこのgamophylla
「砂漠のツキヌキユーカリ」と呼んでいます。

ところが、ほとんどの個体がツキヌキ状の葉になる
perrinianaとは大きく異なり、gamophyllaでは幾分、
ツキヌキ状の葉が生じにくくなっています。

現地の文献を調べたり、現地の栽培者の話を聞く限りでは、
豊富な日光を浴びて、健康に育った株であることと、
ある程度の樹高に育つことで、
ツキヌキ状の葉が生じやすくなるようです。

我が家のgamophyllaにも
一部ツキヌキ状の葉が生じています。

fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像4

fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像5

ところが今のところ、大部分の葉は、
ツキヌキ状にはなっていません。

一方、実家の庭で育てているgamophylla
ほとんどの葉が立派なツキヌキ状になっています。

ツキヌキ状の葉を生成するためには、
栽培環境の影響が大きそうですが、
個体差も大きく関係しているように思っています。

葉はかなり大葉で分厚く、写真で見ても、
Blue-leaved Malleeという英名が相応しく、
とても美しいブルーグレイの葉色をしています。

fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像6

fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像7

写真では少しわかりにくいのですが、
cinerea/glaucescens/albidaなどの銀葉とは
少し異なった質感の銀葉をしています。

これらの品種では、少しザラザラした葉に
むらなくふんだんに粉を吹いている感じです。

ところが、gamophyllaの葉では、
元々少し光沢のあるようなツルっとした葉に
まるで粉を意図的にふりかけたような質感なのです。

また葉は上記の品種よりも遥かに分厚く、
pulverulentaのように、葉を曲げると
パキッと折れてしまうほどに硬い葉をしています。

fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像8

写真ではイマイチわかりにくいかと思いますが、
何となくイメージしていただけるでしょうか。

またその茎も葉と同様に
ツルっとしたところに粉をふりかけたような質感です。

fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像9

その質感から、日光に当たると、
その他の銀葉の映えるユーカリよりも
さらに美しく輝くのが、
このgamophyllaの大きな魅力の一つです。

gamophyllaの育て方についてですが、
「砂漠のツキヌキユーカリ」という呼称の通り、
過湿を非常に嫌い、とても乾燥を好むユーカリです。

ところが、gamophyllaの生息している地域は
ほとんど雨が降らない代わりに、
非常に豊富な地下水を有しています。

そのため、とても乾燥を好むくせに
決して水を必要としないわけではないという性質を持っており、
そこが少し栽培難易度を上げているところです。

またgamophyllaの生息地の地下水には
幾分かの塩分が含まれているため、
ユーカリ中では比較的高い耐塩性を持っていることも
gamophyllaの特徴となっています。

とにかく、我々が普通に日本で育てるには、
少々厄介で癖のあるユーカリの代表格です。

地植えなら融通は効くのでしょうが、
鉢植えの場合は、ただちに乾燥する用土で、
頻繁に水を与えるのが最適という、
とても面倒な育て方が必要なユーカリです。

極端な話が、夏場は1日で用土が全乾燥し、
葉が犬の耳のように垂れてくるぐらいの環境で、
毎朝定期的に水遣りをするというのがベストです。

過湿にうるさいgamophyllaの栽培には、
最高レベルの乾燥力を持つ用土
を使用するのが良いでしょう。

また、もう一つのポイントは、
ユーカリの中ではmacrocarpaなどに匹敵するくらいに
激しい日光を欲する品種であるというところです。

昨年までは、半日陰以下の場所で、
gamophyllaをずっと育てていましたが、
2年経っても30cmを超えずにヒョロヒョロのままでした。

ポット苗の株ではヒョロヒョロのまま、
いつしか枯れてしまったものも多数ありました。

そこで、一転して、今年の春から、
ほぼ終日直射日光が当たり、
最も西日のきつい場所に移動してみたところ、
春~夏の間だけで、60cm以上も成長し、
葉の数もびっくりするほど増えました。

このようにgamophyllaを元気に育てるためには、
豊富な直射日光と高温が必須になります。

過湿に対しては、macrocarpa程デリケートではありませんが、
かなり嫌う方で、確実に成長力がなくなり、
葉数も少なくなり、どんどんと弱っていきます。
過湿が過ぎると大きな株がいきなり枯死することもあります。

他の砂漠地帯のユーカリと同じように、
冬場の吸水量はびっくりするほど激減します。
冬の水の吸わなさは、間違いなくユーカリ中でトップクラスです。
月に2回の水遣りでは少し多すぎるくらいで、
ほぼ断水に近いような管理が必要になります。

gamophyllaのメインの成長時期は、
梅雨明けの非常に暑くなってくる時期です。
もちろん春と秋の暖かい時期にも成長は進みますが、
やっぱり夏場の健やかさにはびっくりさせられます。

成長力はそこまで激しい方ではありませんが、
環境が合った場合には、caesiaに匹敵するほどの
比較的激しい成長力を発揮してくれます。

最後に、病害虫についてですが、
日光の足らない場所で育てた場合には、
酷いうどんこ病ハダニの被害が多発します。
うどんこ病の被害の程度で言うならば、
トップクラスに酷いユーカリの一つです。

ところがそのような場所でgamophyllaを育てた場合、
根本的にこの先、健康に育てることも難しいでしょう。

酷いうどんこ病の被害が出ている場合には、
病気の防除を考えるよりも、
根本的な置き場所の改善を考えた方が良いです。

豊富な日光を浴びて厚く硬い葉を持った個体には、
うどんこ病ハダニの被害が出ることはありません。

fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像10

気になるgamophyllaの耐寒性ですが、
かなり暑い地域に生息しているユーカリのため、
あまり強い方ではありません。

最終的に60cmを超えるような株であれば、
-5℃くらいまでは特に問題ありませんが、
特に15cm以下の小さな苗の場合は、
0℃以上で越冬させるか、
簡易温室などで防寒対策を取った方が無難です。

また用土凍結や激しい霜にも、
あまり強いとは言えないところがあります。

一度野ざらしの10cm程度のポット苗群が、
-5℃の環境で全滅してしまったことがあります。

大きく育った株でも、0℃以下になるような場所では、
新芽を中心にピンク色~薄紫色へと激しく紅葉します。
この紅葉は中々美しく、冬場の寂しい庭を彩ってくれます。

gamophyllaの香りについてですが、
葉を激しくクラッシュしてようやく
微かに少し青臭いハーバルな香りがします。

このgamophyllaを激しく剪定したり、
支柱にギュッとくくりつける作業を行っても、
周囲に香りが漂うようなことは全くありません。

残念ながら香りを楽しむという要素は
全くないと言っても過言ではありません。

fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像11
※この写真は最も実際の葉色に近い写真です。

一風変わった白銀ツキヌキ葉を持ち、
日光にひと際輝くgamophylla
樹高も低く、鉢植えでも管理しやすいので、
栽培用のユーカリとして特にオススメです。

また、pachyphyllamacrocarpaなど、
乾燥と吸水のバランスが難しい
砂漠地帯出身のユーカリ挑戦編としても最適です。

日本では、見かけることさえないgamophyllaですが、
以前、親愛なるこあら師匠が試験用に育てていらっしゃったので、
もしかするといくつか在庫をお持ちかもしれません。
興味のある方は、一度問い合わせてみてはいかがでしょうか?

もう一つの魅力として、
gamophyllaは低木でも開花の見込めるユーカリです。
花は珍しい色をしているわけではありませんが、
非常にたくさんの花を咲かせるユーカリです。

fancyboxガモフィラ(Eucalyptus gamophylla)の画像12

魅力的な「砂漠のツキヌキユーカリ」gamophylla
是非とも育ててみてはいかがでしょうか?
私も特にお気に入りのユーカリの一つです。

------------------------------
<栽培難易度:D+>
香良さ:★★
香強さ:★
成長力:★★

要水分:★★
耐過湿:
耐水切:★★★★
耐日陰:☆
耐移植:★★
耐寒性:★★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2013-01-14 18:03 | ユーカリ紹介
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ユーカリ品種検索を改良しました!

引き続きまして、
ユーカリ品種検索に更なる改良を加えました。

まず一つ目の改良内容としては、
新しい検索項目として、
「必要日照量」「花の色」でも
新たに検索ができるようになりました。

次に二つ目の改良内容ですが、
今まで葉の形や色はそれぞれのユーカリで、
1つの形や色しか掲載されていませんでしたが、
現実には一つの形や色だけに限定することは不可能なため、
複数の形や色を掲載するように改良しています。

最後に三つ目の改良内容ですが、
幼葉と末葉のところにそれぞれ一口コメントを追加。
それぞれの品種リストの最後に、
総括として備考を追加しています。

見やすさや使いやすさなどは
更に改善を進めていきます。

また不具合などございましたら、
恐れ入りますがご報告をお願いいたします。

今後とも当ブログを
よろしくお願いいたします!

# by eucalyptus_k | 2013-01-10 00:58 | その他
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今年の冬季管理からわかったこと

初めに!
非常に遅くなってしまいましたが、、、

あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします!

今年はブログの機能追加と
それに関するトラブル云々に加えて、
年末年始のバタバタで、
記事の更新もままなりませんでした><;

季節は厳冬期に差し掛かろうというところですが、
今年は未だに温室を出してさえいません。
寒さに弱いユーカリを軒下に移動させたり、
後ろに下げるといったようなことも全く行っていません。

camaldulensis/robusta/melanophloia/rudis
レモンユーカリといったような、
そこまで寒さに強くないユーカリは
既に真っ赤に紅葉しています。

ところが、
decipiens/kruseana/pleurocarpa/extrica

などの若干耐寒性に難ありの西AZのユーカリや、
耐寒性が未知数の新参のユーカリについては、
特に大きな葉痛みや、紅葉も起こっていません。

我が家で最も耐寒性に難のあるerythrocorysも、
成長が進んで、葉の毛がなくなり、
光沢のある葉へと変わったからでしょうか。
今のところ目立った痛みは出ていません。

このままいけそうな気もしているので、
今年は、まだしばらく、
温室や移動なしで行きたいと思っています。

今年の管理で、例年と大きく違うところは、ただ一つ!
ほぼ全ての株で、鉢の上からは全く水を与えていないことです。

寒さに強く、冬季の吸水もそこそこあるような、
globulus/risdoniiなどはその限りではありませんが、
特にmacrocarpaなどのユーカリでは、3~14日に1回程度、
ほんの数秒、鉢底のスリットから軽く水をかける程度です。

特に冬季の吸水が少ないユーカリにwoodwardiiがあります。
我が家のwoodwardiiは35cmくらいの樹高で、
スリットの5号鉢に植わっています。
これももちろん、鉢底のスリットからの吸水のみです。

試しに、用土全てがカラカラの状態のときに、
鉢底のスリットから5秒程度水をかけて、
そこから、鉢底のスリットから見える土が、
何日で乾くのかを実験してみました。

結果は、余裕で半月以上かかりました。

わずか5秒、鉢底から水をかけただけですから、
用土の表面は最初から最後までカラカラです。

60cmで6号鉢のkruseanaでも実験しましたが、
余裕で半月くらいは湿ったままでした。

これは、鉢底から見えるスリット付近の土だけの話ですから、
恐らく完全に水が切れて、枯れが出るまでには、
まだ何日も余裕があるものだと思います。

これらのユーカリが、
冬季はどれほど水を吸わないのかがわかります。

先年までの冬季管理では、最低でも半月に1度くらい、
鉢の表面からたっぷりと水を与えていました。
これでは正直少ないかなと思っていたのですが、
とんでもない話で、寧ろ多すぎたようですね。

今年、一切温室を使用していなくても、
ほとんど全てのユーカリに痛みがないのは、
この吸水量の調整の恩恵なのかもしれません。

吸水を減らし、乾燥気味に管理することで、
大幅に耐寒性を上げることができる。

この言葉の意味をようやく体感できた気がします。

一方で、冬季にこれらのユーカリを
常時、雨の当たる場所で管理するというのは
ちょっと難しいことなのかもしれません。。。

# by eucalyptus_k | 2013-01-05 19:38 | ユーカリ(栽培知識)
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ユーカリ写真館の新設とユーカリ品種検索の改良について

当ブログ掲載の写真を
写真館形式(品種別リスト)で見ることのできる
ユーカリ写真館」が新しくできました。

ブログ右部のカテゴリ内リンクからも
飛ぶことができるようになっています。

またユーカリ品種検索で表示される品種リストから、
それぞれの品種の関連記事/ユーカリ紹介/栽培ガイド/
そして新設のユーカリ写真館へ、
ジャンプできるようになりました。

見やすさや使いやすさなどは
更に改善を進めていきます。

今後とも当ブログを
よろしくお願いいたします!

# by eucalyptus_k | 2013-01-04 23:24 | その他
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【ユーカリ紹介-57】
ユーカリ・ポリブラクテア (Eucalyptus polybractea)

続きまして第57回目は
ブルーグレーの糸葉が美しく、
高級ユーカリ精油のCT1/CT2を産出する元となる
ユーカリ・ポリブラクテアです。

◎ユーカリ・ポリブラクテア
【学名:Eucalyptus polybractea】
【英名:Blue Mallee / Blue-leaved Mallee】
fancyboxポリブラクテア(Eucalyptus polybractea)の画像1

fancyboxポリブラクテア(Eucalyptus polybractea)の画像2

私には精油に関する知識はあまりありませんが、
このpolybracteaは、高価で貴重な精油である、
CT1/CT2という精油を産出できるユーカリとして有名です。

実は精油が有名だからということで、
育てようと思ったわけではなく、
ブルーグレーの糸葉が面白いなと思って、
育て始めることになっています。

育て始めてから、少しアロマを齧った知人から、
polybracteaは精油が有名だよという話を聞いて、
初めてその事実を知ったという次第になります。

精油はその手の人の間ではとても有名なようですが、
栽培するためのユーカリとしては、非常にマイナーで
日本で売っているのを見かけたことはありません。

上の写真で見るpolybracteaの葉は
深緑が映えて、青々とした葉色をしていますが、
ふんだんに日光に当てて育てることで、
パッと見は、美しい白銀色にも見えるような、
白みの強い、ブルーグレイの葉色になります。

fancyboxポリブラクテア(Eucalyptus polybractea)の画像3

糸葉といえる程に細い葉を持つpolybracteaですが、
糸葉で有名なviridisnicholiiのような
均等に細長く伸びる糸葉ではなく、
camaldulensisなどの細長い槍型の葉を
さらにそのまま引き延ばしたような形をしています。

fancyboxポリブラクテア(Eucalyptus polybractea)の画像4

アロマ界では有名なpolybracteaですが、
その生息域は非常に限られた狭い地域になっています。

ニューサウスウェールズ州やビクトリア州の
内陸部の一部の地域にのみ自生しており、
内陸出身のユーカリのため、東AZのユーカリの中では、
比較的乾燥を好む品種であるといえます。

また、このpolybracteaは、
オーストラリアに入植が始まった初期に発見され、
それから、その精油の効能などが注目され続けているという
少し長い歴史を持つユーカリなのです。

ユーカリの中では、8m程度とかなり小型で、
Mallee(灌木型)としての性質がとても強いユーカリです。
そのため、栽培しているほとんどの株で、
非常に株元からたくさん脇芽を出しまくるという特徴が見られます。

家のようなスペースの限られたベランダでは、
常に株元から新芽を出し続けながら、
どんどんと幅を広げていくので、
とても置き場所に困るユーカリの一つです。

ところが、ブッシュ状に育つユーカリとは明らかに異なり、
しっかりと幹を伸ばしていくのもpolybracteaの特徴です。
真っ直ぐにしっかりと主幹を伸ばしていきつつも
株元のLigno-tuberからたくさんの脇芽を出すので、
他のユーカリとは一風変わった外観へと育ちます。

fancyboxポリブラクテア(Eucalyptus polybractea)の画像5

写真のpolybracteaは、
まだ育て始めて間もないときのものなので、
どんどんと幹を伸ばしている最中ですが、
今年は逆に幹の高さをほとんど伸ばすことがなく、
株元から非常にたくさんの脇芽を出して、
樹形はさながらダルマのような形になっています。

実は学名のpolybracteaの意味ですが、
たくさんの包葉という意味になります。

これは2つ上の写真を見ていただくとわかりますが、
polybracteaを初めとする細葉のユーカリの多くは、
新芽が包まれたような形状をしており、
polybracteaの、この非常にたくさん脇芽を出す性質から
名づけられたようです。

polybracteaの育て方についてですが、
東AZの中では、比較的乾燥を好む部類で、
葉形も生息地も近いviridisと良く似ています。

厳密には、比較的強健なviridisと比べると、
若干、過湿には弱く、デリケートだともいえます。

ただし、西AZのユーカリなどと比べると、
遥かに強健で育てやすく、
どちらかというと、あまり手をかけなくても、
勝手に育ってくれるようなユーカリです。

用土の排水性さえしっかりと確保できれば、
viminalissideroxylonなどと
ほぼ同じような管理で育てられると思います。

polybracteaの成長力もviridisと同じようなもので、
決して遅いというわけではありませんが、
激しすぎるというわけでもないという感じです。

とにかく、polybracteaは、
あらゆる育て方の特徴が非常に平均的で、
特に特記すべき栽培のポイントが見つかりません。

敢えて一つポイントとして挙げるのであれば、
特に日光が好きな品種であるということです。

日照の良い場所と悪い場所で、
それぞれpolybracteaを育ててみると、
葉色から葉の硬さ、成長力、強健さ全てにおいて、
とても大きく差の出るユーカリであることがわかります。

前述したように、ふんだんに直射日光を浴びた株は、
葉色が白みの強いブルーグレイとなり、
とてもしっかりとした硬い葉へと成長します。
もちろんこのような株は、成長も激しく、病気知らずです。

ところが、我が家のように、
日照がイマイチな場所で育てると、
葉は深い青緑色でダークブルーといったような葉色となり、
葉の硬さも、いつまで経っても柔らかいままです。
また成長もかなり遅くなります。

精油の成分に起因しているのかはわかりませんが、
それでも、ハダニやその他害虫の
被害が出ることはほとんどありません。

ところが、そのような貧弱な葉には、
我が家のユーカリの中でもトップクラスに酷い
うどんこ病の症状が毎年多発します。

最近は我が家の全てのユーカリの樹高が
メートル級になってきたこともあって、
うどんこ病被害は年々減少しているのですが、
polybracteaには依然として、悲惨なほどの被害が出ます。

polybracteaのメインの成長時期は、
viridispolyanthemosなどと同じように、
春と秋の比較的暖かくなってからの季節ですが、
夏場の暑さや直射日光にも耐えることができ、
高温障害などの症状が出ることもありません。

ところが、比較的乾燥を好む性質を持っている癖に、
水切れにはあまり強くないというところがあります。

夏場や春と秋のメインの成長時期には、
水遣りをちょっと忘れていると、いきなり水切れになります。
葉が細いために、葉に枯れが出るのも早いので、
水遣りには少し注意が必要になってきます。

私もうっかりして、過去に何度も水切れを出し、
今は何とか全てが復活していますが、
ほとんどの葉が枯れてしまったこともあります。

とにかくふんだんに日光にさえ当てていれば、
とても育てやすく、勝手にたくさん脇芽を出して、
こんもりと育ってくれるユーカリです。

気になるpolybracteaの耐寒性ですが、
東AZのユーカリの中では、あまり強くない方で、
-7℃程度までといわれています。

ただし大阪の冬くらいでは問題ありません。
特に大きく紅葉することもなく、
大きな葉痛みが起こることは稀です。

ただし、葉が細く、小さな間は少し柔らかいので、
幼い苗が急な霜や寒波を食らうと、
ヘロヘロになってヘタることもあります。

また、用土凍結にも弱く、
用土が凍結した際に少し危なくなった経験があります。

ただし、どれも25cm以下の小さな苗の話で、
我が家の80cmを超えたpolybracteaであれば、
-5℃近くまで下がっても、特に大きなダメージはありません。

冬場はほとんど水を吸わなくなりますので、
西AZのユーカリ並みに乾燥気味に管理することで、
耐寒性も上がり、頻繁な用土凍結も防げることと思います。

さて、ユーカリ精油の王者的存在の
精油を産出できるpolybracteaの香りですが、
武骨なまでにシネオール一辺倒の香りです。

例えば、シネオール含有量の多いユーカリといえば、
他にviminalisglobulussmithiiなどが挙げられますが、
これらのユーカリは、シネオール分を豊富に含むとともに、
香水系や柑橘系の香りがする成分も同時に含んでいるため、
スーッとしながらも、とても爽やかな香りがします。

ところがpolybracteaは、
90%以上のシネオール純度を誇るCT1の精油からもわかるように、
非常にシネオールの含有量が高いユーカリです。

他には、CT2精油の目玉となっている、
クリプトンという希少な成分なども含まれていますが、
polybracteaに含まれている成分は
そのほとんどがシネオールなのです。

そのため、polybracteaの香りは、
アロマ用のハーブというよりは、
明らかに薬用といったような香りがします。

スッとして爽快ではありますが、
恐らくかなり生臭く感じると思います。

残念ながら、香りを楽しむハーブとしては
少し無理がありますが、その効能から、
様々なことに利用できると思います。

fancyboxポリブラクテア(Eucalyptus polybractea)の画像6

毎年、我が家のpolybractea
酷いうどんこ病の症状に悩まされていますが、
それでもさほど成長には影響がないようで、
強健で安心して育てられています。

そのため、日照等がイマイチの場所に置いてあり、
葉色がとても濃い緑色になっています。

次年度は余裕があれば、もっと良い場所に移して、
そのブルーグレーの葉色を楽しみたいと思っています。

糸葉ユーカリが好きで、
さらに少し銀葉寄りの葉色が好きなら、
薬用効果も高いpolybracteaはオススメです。

日本ではとてもマイナーなpolybracteaですが、
確か親愛なるこあら師匠の農場
いくつか在庫があるのではないかと思います。

豊富な日光さえ確保できるのであれば、
とても強健となり、育てやすく
容易に美しい葉が楽しめるはずです。

CT1/CT2の精油が好きな人も
その元となるpolybractea
ぜひ一度育ててみてはいかがでしょうか。

------------------------------
<栽培難易度:B>
香良さ:★★
香強さ:★★★
成長力:★★★

要水分:★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★
耐病虫:★★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2012-12-26 13:38 | ユーカリ紹介
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