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【ユーカリ紹介-60】
ユーカリ・ゴンギロカルパ (Eucalyptus gongylocarpa)

続きまして第60回目は
白銀逆ハート葉に毛が生えているという
他にはない外観を持っている
砂漠出身の美しい超マイナーユーカリ
ユーカリ・ゴンギロカルパです。

◎ユーカリ・ゴンギロカルパ
【学名:Eucalyptus gongylocarpa】
【英名:Marble Gum / Baarla】
fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像1

fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像2

このgongylocarpaは、非常にマイナーなユーカリです。
恐らく日本で育てているのは私くらいでしょうし、
タネを手に入れるのも少し困難なくらい
現地でも希少なユーカリです。

元々名前さえも知らないユーカリでしたが、
ユーカリ図鑑ソフトをパラパラ見ているときに
その特徴的な外観に目を奪われて、
育ててみることになった次第です。

gongylocarpaの外観は、率直に、
銀葉逆ハート葉を持つcordataの葉に
激しく毛を生やしたような感じです。

fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像3

他に銀葉で毛の生えているユーカリと言えば、
pleurocarpaがあるかと思いますが、
pleurocarpaはごく初期に毛が生えているだけで、
毛の生えているときには銀葉ではなく、
緑色の強い葉色をしています。

ところが、gongylocarpaは、
かなり大きくなって、細葉の末葉が出るまでの間は、
この白銀色の毛の生えた葉をキープします。

私の調べた限りでは、銀葉で且つ
毛の生えている葉を持つといえるユーカリは、
このgongylocarpaだけだと思います。

そのような経緯から、gongylocarpaは、
他にはない、とても珍しい外観を持つ
珍しいユーカリだと言えます。

ユーカリを100種類以上も見てきた私ですが、
gongylocarpaはとても特徴的で美しい外観をしており、
かなりお気に入りなユーカリの一つです。

fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像4

もちろん葉だけでなく、その茎も
とても激しく毛が生えており、
白く粉を吹いていて美しいです。

fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像5

また新芽も毛玉のように激しく毛が生えており、
純白に輝く美しさを持っています。

fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像6

ユーカリをこのブログでいくつか見ている方であれば、
恐らくgongylocarpaは、低木Malleeなのではないか
と思われるのではないでしょうか?

私も初めはそのように思っていました。

gongylocarpaがもし低木品種であるなら、
結局その珍しい葉も、
早い段階で末葉に変わる可能性があります。

ところが意外にも、gongylocarpaは、
16m前後と比較的大型樹木に育つ品種なのです。

そのため、鉢植えや低樹高で管理する場合には、
その特徴的な葉を長い間キープすることができます。

gongylocarpaのメインの生息地は、
西AZ内陸部の半砂漠地帯で、
macrocarparhodanthaなどと同じような地域です。

ところが、西AZだけではなく、
ノーザンテリトリー南部のエアーズロックの近辺や、
サウスオーストラリア州の内陸部の半砂漠地帯など、
その他にも多数生息地が存在しています。

ただし、いずれも地下水は豊富ですが、
かなり砂漠に近い地域に生息しているため、
相当に乾燥を好むユーカリだと言えます。

非常に名前も特徴的なgongylocarpaですが、
その名前の由来は蕾や実の形状から来ています。

gongyloはボールのような形、
carpaは実という意味になりますので、
「ボールのような形の実」という意味になります。

その名の通り、丸い純白の蕾と、
本当にボールのように真ん丸な実をしています。

fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像7

fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像8

ただし、先述した通り、
そこそこの樹高にまで育つ品種のため、
開花させて、その特徴的な実の形状を見るためには、
相応の大きさにまで育てる必要があるかもしれません。

名前については、他にBaarlaという
アボリジニ名も持っているようです。

fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像9

こんな特徴的で美しいgongylocarpaの育て方についてですが、
非常に乾燥を好む性質と過湿を嫌う性質を持っており、
栽培難易度は簡単と言えるレベルではありません。

私も当初から、かなり我儘そうだなと考えて、
たくさんタネを播いて、少し多めに苗を確保する予定でしたが、
上手く育ったのは、この一株だけでした。

この株も、梅雨時期にかなり傷んで、
少し危なくなったことさえありました。

そこで、さらに潅水量を制限して、
より乾燥気味に育てた結果、
ようやく写真のように育ちました。

macrocarpaほどデリケートではありませんが、
基本的には同じような管理が推奨です。

fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像10

このgongylocarpaの美しい葉ですが、
触ってみると、ビックリするほど柔らかいです

そのため、風などによって何かにぶつけられたりすると、
すぐに葉が傷んで、そこから枯れが生じます。

macrocarpaのように水分管理をミスると
いきなり枯れてしまうといったようなことはありませんが、
過湿は即、葉痛みに結び付きます。

その他では、湿気が籠る場所などで育てて、
空中湿度が上がると、葉が汚くなることもあります。

とにかく、gongylocarpaは、
綺麗な葉をキープして育てるのが、
なかなかに難しいユーカリだといえます。

葉が柔らかいことが原因かもしれませんが、
うどんこ病にも非常に弱い品種です。

macrocarpaなどと同様に、
激しい直射日光にふんだんに当てることと、
強乾燥の用土で育てることが大切です。

日光については、間違いなく
最高レベルの日光を必要とする部類です。
半日陰での管理は少し難しいでしょう。

gongylocarpaは、激しく粉を吹いていますので、
日本の夏の日光程度では、
葉焼けするようなことは一切ありません。

ある程度の大きさにさえなってしまえば、
余程のことがない限り、
いきなり枯れるようなことはないでしょうが、
葉を綺麗に保ちながら育てるためには、
湿気の籠らない、風通しの良い場所で育てることと、
梅雨時期などは、雨のかからない場所に
一時的に退避させる必要があるかもしれません。

また、夏もmacrocarpaほどは水を吸わず、
成長もかなり控えめな品種ですから、
少し小さめの鉢で育てる方が都合が良いかと思います。

成長力は大型になる割にはかなり控えめです。
恐らく日本ではあまり環境が合わないのでしょう。
高温と乾燥という環境を準備できるのであれば、
それなりの成長力を発揮してくれるかもしれません。

成長のメインの時期は、
梅雨明け後のかなり暑くなってからで、
涼しい季節にはあまり大きな動きはありません。

冬はその他の西AZのユーカリと同じように
断水に近い管理を行う必要があります。

ところが、冬の経過はなかなか良好で、
macrocarpaのように驚異的なデリケートさはありません。

ちょうど冬の管理はpleurocarpaと似たような感じです。
その他のユーカリに比べると、圧倒的に水は吸いませんが、
西AZのユーカリの中では冬も水を欲する方なので、
放置しすぎての水切れには注意が必要になります。

梅雨時期などは、少し注意が必要ですが、
冬の管理は西AZのユーカリの中では比較的楽な方です。

気になるgongylocarpaの耐寒性ですが、
この外観を見ると、いかにも寒さに弱そうです。

ところが、今年の冬の経過を見ていると、
なかなかの耐寒性を備えているように感じました。

gongylocarpaは我が家のベランダでも
トップクラスに寒風の直撃を受け、
強風吹きっ晒しの場所に置いています。

これは一か八かの賭けでもありましたが、
何よりも湿気が籠るとすぐに葉が汚くなるので、
寒くても日光と風通しが確保できる場所に
置いておきたいと思ったからです。

その結果、新芽は紫色に激しく紅葉していますが、
目だった葉痛みはほとんどありません。

fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像11

恐らく、macrocarpaalbidaなどと同じく、
-8℃くらいまでは耐えられるものと思います。

この結果には正直少しびっくりしています。

gongylocarpaは、西AZのユーカリの中では、
albidaなどと同じように、
冬の管理が比較的楽な品種です。

ただし葉が柔らかいユーカリですので、
あまりにも幼い苗の場合は、
少しだけ防寒対策をした方が良いかもしれません。

gongylocarpaの香りについてですが、
シネオールベースのスッとした香りに
少し甘みが加わったような中々に良い香りです。

香り自体は強いとも弱いとも言えないレベルで、
cinereaなどとほぼ同程度の強さです。
香りの質自体もcinerea/cordataなどに良く似ています。

毛の生えているユーカリは、
指で葉を軽くこすると良く香るものが多く、
gongylocarpaも指で軽く葉をこすっただけで
非常に良く香ります。

ただ、先述した通り、
gongylocarpaは葉がとても柔らかいので、
あまり強くこすり過ぎると、
そこから傷むので注意が必要です。

成長した葉をリースなどに使用する場合には、
十分に香りを楽しむユーカリとしても通用します。

fancyboxゴンギロカルパ(Eucalyptus gongylocarpa)の画像12

白銀色に毛の生えた葉という
他にはない特徴をもったgongylocarpaですが、
残念ながら、現在手に入れるためには、
タネから育てていくしかありません。

また、タネから育てる場合にも
決して簡単とは言えず、
環境が悪いと立ち枯れが多く発生します。

それでも、gongylocarpaは、
そんな困難に打ち勝ってでも
育ててほしい程に素晴らしいユーカリです。

庭木や鉢植えとして育てていれば、
間違いなく通行人の目を引くユーカリです。

もし育ててみたい方がいらっしゃったら、
タネの販売先をご紹介します。

興味のある方は、
是非ともgongylocarpaの栽培に
チャレンジしてみてください!

------------------------------
<栽培難易度:D>
香良さ:★★★
香強さ:★★★
成長力:★

要水分:★
耐過湿:★★
耐水切:★★★★
耐日陰:
耐移植:★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2013-02-11 17:54 | ユーカリ紹介
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冬の終わりとドバトとの根比べ

今年は結局、面倒なことと、
実験的な理由もあって(言い訳?)
全く簡易温室を使用せずに冬を越えられそうです。

花粉情報がそろそろメディアでも取り上げられ、
今晩の雪かもしれない天候さえ乗り越えれば、
春はもうすぐそこまで来ているといえます。

結局、今年は大阪では目立って寒すぎる日が
なかったこともあるのかもしれませんが、
全てのユーカリで完全屋外越冬が達成できそうです。

寒さに難ありと言われている、
decipiens/tetragona/kruseana/erythrocorys
といったユーカリも、寒風吹きさらしの場所に放置中ですが、
特に大きな葉痛みはありません。

何度も書いていますように、
今年は大幅に潅水量を減らしたことが
一番良かったのかもしれませんが、
私の育てている150品種程のユーカリに限り、
50cmを超えるような株であれば、
大阪の軒下では屋外越冬が可能ということになります。

寒風や高層マンション特有の強風を
まともに受ける場所ではありますが、
雨はほぼかからない場所になりますので、
あくまでも「軒下」とさせていただきます。

パッと見、最も傷みが激しいのは
レモンユーカリですが、
これは毎年同じことで、
春になれば早々に復活を遂げてくれます。


話は変わりますが、
最近の悩みは、専らドバトです!

マンションに多数巣くうドバトは、
さながら森のような我が家のベランダを
いたくお気に入りの様子。。。

毎日熱心にユーカリの枯れ木や枯れ葉を集めて、
ベランダの隅に巣を作ろうと必死です。

巣作りは、毎日欠かさずユーカリ管理をする
私に阻まれて、達成は100%不可能でしょうが、
賢いことに、枯れ枝だけでなく、
勝手に下枝を折って巣のネタにするので困ったものです。
鉢土もドバトの足跡だらけです。。。

ドバトの禁忌剤などはとうの昔に導入済みですが、
最近では慣れてきて、ほとんど効き目はありません。

ハトは餌を与えると、
どんどん多産になり増えていきます。

人間の一時の満足で餌を与えてしまうと、
結果として、自治体の駆除の対象になってしまったり、
お互いのために何ら良いことはありませんから、
公園などで餌を与えようなんて思ったときには
今一度考えてみてください。

こちらも腹が立つことは多々ありますが、
何とかうまく共存できないものか試行錯誤してみます。

# by eucalyptus_k | 2013-02-05 14:01 | ユーカリ(栽培実績)
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【ユーカリ紹介-59】
ユーカリ・テトラプテラ (Eucalyptus tetraptera)

続きまして第59回目は
ユーカリ中で最大の大葉と
四角形の非常に変わった花を咲かせる
西AZ出身の低木ユーカリ、
ユーカリ・テトラプテラです。

◎ユーカリ・テトラプテラ
【学名:Eucalyptus tetraptera】
【英名:Square-fruited Mallee】
fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像1

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像2

このtetrapteraは、とても大きな2つの特徴を持ち、
日本では、知る人ぞ知るマイナーなユーカリですが、
海外の栽培者には、幅広く人気のあるメジャーなユーカリです。

そのため、海外のタネ屋を覘いてみると、
必ずといってよいほど、タネの在庫があります。

まず、tetrapteraの一番大きな特徴は、
そのとても変わった形状の花でしょう。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像3

見ていただくと、その異様な形状に
びっくりされるのではないでしょうか?

厳密には大きな赤い角ばったものは
花梗(花の付いている部分)で、
実際の花は先の毛のようなピンクの部分です。

tetrapteraは、赤い角ばった花梗から、
ピンクの花を咲かせるユーカリ
ということになります。

もちろん、tetrapteraという学名も
その花の形状が元になっており、
4つのウイングという意味になります。

tetrapteraのもう一つの大きな特徴は、
ユーカリ中で最も大きな葉を持つというところです。

我が家のtetrapteraは、
まだ2年目で樹高50cm程度といったところですが、
それでもとても大きな葉を付けています。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像4

試しにその葉の長さを計ってみると

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像5

何と20cmもあることがわかります。

tetrapteraの葉では20cmなんてまだまだ序の口で、
さらに大きくなることがわかっています。

最大のサイズは29cm程度ということなので、
最終的には30cm近い葉を付けることになります。

この葉はとても分厚く、しっかりとしています。
また、散った葉も硬く、長くその形状を保ちます。

そのため、現地の子供はtetrapteraの葉を、
なんと! 本のしおり代わりに使うそうです。

試しにしおり代わりにしてみました。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像6

確かにこれならしおりとして
問題なく使用できると実感しました。

そんな大きな葉を支えているわけですから、
先端の方でも、その茎はとても丈夫です。
簡単に手で折れるような硬さではありません。

先の方の茎は少し突起がありザラザラしています。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像7

これはかなり先端の方ですが、
かなりの太さであることがわかります。

これが段々と下の方になるにしたがって、
突起はなくなり、ツルっとした質感になります。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像8

このあたりになってくると、
支柱の竹と同じくらいの太さになっており、
強風でもびくともしない硬さをもっています。

ただし鉢植え栽培の場合は、
この硬さと葉の大きさが仇となり、
転倒につながることもあるので、
十分に注意が必要です。

また我が家では、早いうちから支柱で強制して、
真っ直ぐに伸びるようにしていますが、
そのまま支柱なしで育てると、
なかなか真っ直ぐには伸びてくれません。

またとても太陽が好きな性質を持っているため、
しきりに太陽の方を向いて曲がります。

次に新芽の部分を見てみましょう。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像9

とても立派な新芽です。
その他のユーカリと比べると、
新芽も硬くしっかりとしています。

後でも述べますが、
tetrapteraはとても湿気を嫌います。
新芽の先が茶色くなっているのは、過湿だったり、
空中湿度が高すぎたりすると、起こる症状です。

我が家では、どうしても、湿度の高い季節には、
こういった症状が発生しますが、
暑い真夏などの成長期には、全くなくなります。

tetrapteraの生息地ですが、
最も我儘なユーカリが数多く生息している、
オーストラリア南西の沿岸部で、
エスペランスの近郊です。

lehmannii/tetragona/forrestianaなどが
生息している地域とほぼ同じになります。

tetrapteraはユーカリの中でも、
かなり小型の部類になります。

地下水が豊富で、温暖な場所であれば、
4m程度の樹高にまで育つようですが、
大概は2m前後までの樹高で、
ブッシュ状に横に広がることが多いようです。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像10

低木ユーカリのため、1m程度の樹高でも開花が見込めます。
ただtetrapteraはとても成長の遅いユーカリなので、
1m程度の樹高で開花ともなると、
最低でも3年はかかるものと思われます。

こんな特徴的なtetrapteraの育て方についてですが、
激しい直射日光と強乾燥力の用土で育てるという
西AZのユーカリの典型的な育て方をします。

また、その中でも、過湿や高い空中湿度に弱く、
海外でメジャーなユーカリであるわりには、
なかなかに難易度の高いユーカリです。

このように葉の大きなユーカリは、
非常に水をたくさん欲する傾向が強いのですが、
tetrapteraは他の西AZのユーカリと比べても、
吸水量はかなり少なめで、
ユーカリ中でも最も水を必要としないユーカリ
の一つに数えられるでしょう。

非常に乾燥を好む西AZのユーカリであっても、
過湿にうるさいmacrocarpaであったとしても、
鉢植え栽培で、真夏に終日直射日光を当てている場合には、
ほぼ間違いなく、毎日1回の水遣りが必要になるものです。

ところが、tetrapteraはギリギリですが、
2日に1回の水遣りでも耐えられるレベルです。

また、冬になると、ほぼ断水に近い管理になります。

我が家のtetrapteraは日照量を優先する代わりに、
土砂降りの場合には、少し雨のしぶきがかかる場所に置いています。
とはいっても、屋根がかなりせり出していますし、
雨が直でかかることは全くあり得ない場所です。

その場所で、実は、まだ12月になってから、
一度も水を与えていません。

それでも、スリット鉢の底から見える土は
常に湿っているような状態で、
たまに降る雨の湿気やしぶきだけで、
ほぼ2ヶ月、全く水を与えずに生きています。

同じ場所には、macrocarparhodanthaもありますが、
さすがにこれらのユーカリであっても、
雨の湿気だけで2ヶ月はちょっと無理です。

これらの結果から、特に冬季は、
どれほど水の要らないユーカリであるかがわかります。
まさに、多肉植物並みと言っても過言ではありません。

ポイントとしては、まず日光です。
必要な日光レベルは最高レベルです。

色々と実験をしてみましたが、
半日陰程度の場所では、非常に生育が悪くなり、
いつまでも小さな葉のままで徒長して、
激しいうどんこ病の被害に悩まされます。

そして次には、最高レベルの乾燥力の
用土を使用して育てた方が良いでしょう。

tetrapteraの、特に冬季に水を吸わない性質を考えると、
余程乾燥力のある用土で育てていない限りは、
冬季に雨ざらしの場所で育てるのは難しいかもしれません。

macrocarpaなどが元気に育っている、
雨の当たる実家の庭でも、冬季の長雨で、
tetrapteraが枯れてしまいました。

ただ、梅雨時期には、
kruseana程のデリケートさはないので、
恐らく、気温の高さと湿度のバランス
大きなポイントとなっているように思います。

とにかく、日本で普通の植物のように育てるには
少々厄介なユーカリであると言えるかもしれません。

低木Malleeの例に漏れず、
tetrapteraの成長はとても緩慢です。
環境が余程合う場合は別なのかもしれませんが、
良くても、大体1年で30~40cmくらいの成長速度です。

また成長は、春の暖かい季節にも進みますが、
梅雨明け後の最も暑くなる季節がメインになります。

しっかりと日光に当てた株には
うどんこ病ハダニの被害が出ることはありませんが、
tetrapteraは精油分のとても少ないユーカリなので、
ハキリバチが葉を頻繁に千切っていったり、
尺取虫などの食害に合うこともあるようです。

気になるtetrapteraの耐寒性ですが、
残念ながらあまり強い方ではありません。

大体-5℃程度までと言われていますが、
小さな苗の間は、簡易温室を使用するなど、
防寒対策が必要になってきます。

ただ、冬季は特に過湿を嫌う品種ですから、
間違っても室内管理は行わないでください。

我が家の50cmを超えて、
大きな葉を付けたtetrapteraでも、
例年は、激しく霜焼けの症状が出るので、
念のため簡易温室に退避しています。

ところが今年は、敢えて、
寒風吹きさらしの場所に放置してみました。
断水に近い管理をしていることが良いのでしょうか、
葉は赤紫色に紅葉していますが、
さほど大きな葉痛みは発生していません。

ただ、30cm以下の小さな苗が、
冬に屋外放置で全滅した経緯もありますので、
慣れない方にはやはり防寒対策をオススメします。

一度簡易温室内で水を遣り過ぎて、
温室内でも、用土が軽く凍結したことがあるのですが、
そのときは、もうダメかと思うくらいに傷みました。

そもそも、用土が凍結するような
水分管理には問題があるということです。

tetrapteraは葉が分厚く大きいので、
水切れのサインがとてもわかりやすいです。

冬季管理に自信のない人は、
慣れるまで、毎日欠かさずチェックして、
葉が犬の耳のようにベロンと垂れてから、
鉢底を軽く水につけるというような
水遣りで対応するのが良いかもしれません。

tetrapteraの香りについてですが、
とても残念なことに、全くといっていいほど香りません。
今まで何度か散ってすぐの葉を砕いて香ってみましたが、
torquataなどと同じような薄い花の香り系だろう
ということだけはわかりましたが、詳しくは掴み切れていません。

それほどまでに香りのしないユーカリなのです。
もちろんながら、香りを楽しむという要素は皆無なので、
花を楽しむユーカリであるとご理解ください。

fancyboxテトラプテラ(Eucalyptus tetraptera)の画像11

とっても変わった花と大きな葉を持つ、
特徴的なtetrapteraは、
海外の栽培者の目を引き続ける程に魅力的で、
皆さんにも是非とも育てて欲しいユーカリです。

ただ、ユーカリには相性というものがあり、
環境や栽培者の性格如何によっては、
とても難易度の高いユーカリになるかもしれません。

それでも、そんな難易度を承知してでも、
育ててみたいという魅力満載のユーカリです!

macrocarpakruseanaを育てている人には
問題なく育てられるユーカリです。

またtetragonaなどを元気に育てられている人も
入っていきやすいユーカリであると思います。

育てたい方には朗報です!
親愛なるこあら師匠の農場にて
在庫があるとの記事がアップされています。

ちょっと癖があり、我儘ではありますが、
それでも、非常に珍しいtetrapteraの花を
是非とも咲かせてみてください!

------------------------------
<栽培難易度:D>
香良さ:★★?
香強さ:★
成長力:★

要水分:★
耐過湿:★★
耐水切:★
耐日陰:
耐移植:★★★
耐寒性:★
耐暑性:★★★★★
耐病虫:★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい

 
# by eucalyptus_k | 2013-01-28 16:58 | ユーカリ紹介
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久々のユーカリ茶

久々に思い立ってユーカリ茶を飲んでみました。

今日のセレクションは
Eucalyptus camaldulensisをベースに
Eucalyptus grandisを加え、
ウコンを一つまみというブレンドです。

fancybox記事270の画像1

これが非常に美味しい!!!
同居人も私もビックリ。

ユーカリ茶は血液の流れを良くし、
血圧低下や糖尿病にも効果があるそうです。

何よりも飲んでみると、
利尿作用と便秘に対する効果は
激しく実感できます。

毒性に関しては心配ないことがわかったので、
機会があればぜひお試しください{#グッド}

※妊婦や子供は避けましょう。

# by eucalyptus_k | 2013-01-26 03:13 | ユーカリ(茶・酒)
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【品種別栽培ガイド-10】
ユーカリ・アップルボックス (Eucalyptus bridgesiana)

続きまして第10回目は
ユーカリ・ブリジシアナです。

◎ユーカリ・アップルボックス
【学名:Eucalyptus bridgesiana】
【英名:Apple Box / Apple Gum】
fancyboxブリジシアナ(Eucalyptus bridgesiana)の画像1

【品種情報】
最高樹高:20m前後
樹形:Tree(木立)型
親葉への変化:逆ハート型の丸葉~柳型の細葉へ変化
適合pH:弱酸性~中性(5.5-7.5)


【生息地情報】
地域:New South Wale東部全域、Victoria東部
夏季最高気温:最高値40℃、平均値28℃
夏季最低気温:最低値4℃、平均値14℃
冬季最高気温:最高値19℃、平均値11℃
冬季最低気温:最低値-9℃、平均値2℃
年間降水量:650~1000mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm


【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度でも何とか育てられますが、
日照が悪いといつまでも小さな葉のままで貧弱になります。
また葉の緑色が濃くなり、美しい白銀色がうまく出ません。
屋内管理は完全不可。

・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはかなり水好きな方です。

・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。

・鉢
あまり問いませんが、縦長の方がパフォーマンスは出ます。
他のユーカリに比べると、横広の鉢でも
パフォーマンスの低下があまりありません。

・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。

・植え替え
植え替えに対しての耐性は強い方ですが、
初心者はできる限り根鉢を崩さない方が無難です。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。

・寄せ植え
後々の植え分けがとても困難になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
また、吸水力が激しいので、寄せ植えした花草を
早い段階で枯らせたり、生命力を奪うことがあります。

・病虫害
日照不足や生育不良により、
うどんこ病の被害が激しく出ることがあります。
雨のかからない場所では、ハダニ被害の激しい品種です。
葉のシネオール分が少ないためか、
新芽を中心にアブラムシが発生したり、
尺取虫や蓑虫などの食害が出ることもあります。

・地植え
地植えすると本来のパフォーマンスが出て、
かなり激しい成長力を発揮します。
普通に育てると、簡単に家の二階を超えます。

・耐寒性
地植えの成樹で-10℃と言われています。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
鉢植えの場合は、東北や北海道の寒地では
屋外越冬は難しいかもしれません。

・成長力
鉢植えであれば、最高で年40~60cm以上。
かなり成長の激しいユーカリです。
地植えすると1年で1mを簡単に超えるでしょう。
地植えの場合は、思ったより成長が激しいので
ある程度の覚悟と注意が必要です。

・開花
日本では開花したという情報を聞いたことがありません。
恐らく、数メートル以上という相応の樹高が必要かと思います。
花は、白に近いクリーム色の花が咲きます。
蕾や実は全く粉を吹かないのが特徴です。

・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。


【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
日照が悪いと、葉の周囲が、ヨレヨレになることがあります。
また、そのような葉は緑色が強くなってしまいます。
そのような葉には、うどんこ病が発生することもあります。
丈夫で白みの強い葉にするためには良く日光に当ててください。

・夏
最も枯らせることが多い時期。
決して弱くはないですが、日本の高温多湿な夏は、
どちらかというと苦手なので、
過湿による根の蒸れに十分に注意します。
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。
夏場は少し成長が控え目になります。

・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
寒地では葉が赤紫色に紅葉することもあります。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。


【特記栽培情報】
日光にさえ良く当てていれば、
勝手にどんどん育ってくれるという楽なユーカリ。
日光が控え目の場合には、葉の緑色が強くなり、
ヨレヨレの貧弱な葉になってしまいますが、
それでもそれなりに成長を続けてくれます。
あまり枯れる気のしないユーカリの一つです。

個人的には、gunniiよりも
さらに日本に合っている印象なので、
成長はとても激しく感じられると思います。

春・秋の暖かい時期には良く水を吸いますが、
夏場は成長がかなり控えめになり、
思ったより水を吸わなくなることがあります。

葉の精油含有量が少ないため、
ユーカリには珍しく、虫害に合いやすいところがありますが、
深刻になることはなく、成長力で十分カバーできます。

とにかく成長が激しく、簡単に育てられるユーカリです。
良く日光に当てた葉は厚みが出てきて、
美しく魅力的な銀葉へと育っていきます。
美しく育った銀葉は花材にも利用されています。

過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。


※情報は適宜追加・変更します。

 
# by eucalyptus_k | 2013-01-22 13:20 | 品種別栽培ガイド
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