蕾の近況とグラウスセンス(glaucescens)
最近どんどんと暑さが増しています。
私がメインで育てている西AZのユーカリでは
最も厄介な梅雨時期を乗り越えて、
そろそろ活発に動き出すものが出てきています。
そんな中、梅雨の一番最後に
無念にも枯らせてしまった大株もあります。
このお話は次回以降にするとして、
今日は動きのある蕾などの近況をお知らせします。
まず先日紹介したdecipiens ssp. adesmophloiaの蕾です。
この株はかなり鉢が小さく、酷い根詰まり状態にあったので、
先日、紹介した後すぐにワンサイズ鉢増しを行っています。
そのかいあってか、
蕾の成長が急激に進み始めました。
病気がちで開花できるかとても心配な
decipiens ssp. adesmophloiaでしたが、
蕾に痛みはなく、このまま順調に
開花までいけそうな気がしています。
次はイチオシのcaesia ssp. magnaです。
これもみるみる大きくなっていきますが、
元々かなり大きめの蕾なので、
我が家の日照では来春あたりになるでしょうか?
そこまで寒さに強い品種でもないので、
蕾の越冬には気を使いたいところです。
そして最後は蕾ではありませんが、
立派なglaucescensの写真です。
基本的に小丸葉の多いglaucescensですが、
日光をふんだんに浴びて、
かなり大ぶりな葉になっています。
このglaucescensはとにかく
根が張り切るまでの管理と
日照がキーになっているように思います。
それに気づくまでは、タネから2年経っても
わずか30cm程度の樹高にしかなりませんでしたが、
それに気づいた後の1年半で
現在の140cm近い樹高にまで急激に育ちました。
元々どうすればうまくいくのか?と
試行錯誤していたユーカリの一つだったので、
このように順調に育ってくれると嬉しいものです。
下の写真はcinereaですが、
この大きさだととても良く似ています。
識別の仕方は色々ありますが、
葉型と粉の吹き方に若干の差があることと、
何よりも香りが大きく異なります。
日本でも少しずつ
手に入りやすくなったglaucescens。
十分な日照が確保できる方にオススメです。- # by eucalyptus_k | 2014-07-30 12:23 | ユーカリ(花と蕾)
ポポラス(polyanthemos)の蕾情報
先日、ユーカリ栽培仲間のkikaku024さんから
ポポラスことpolyanthemosの蕾情報が届きました。
polyanthemosという学名は、
たくさんの花という意味ですので、
ハートリーフのような可愛い葉の他にも
たくさんの花が咲くという魅力的な特徴があります。
育てている人が多い割に、
全く開花情報を聞いたことがなかったので、
今回の情報はとても参考になりました。
polyanthemosの蕾付きの切枝である
ポポラスベリーを収穫したい方には朗報です。
こちらがkikaku024さんよりご提供いただいた写真で、
樹高は110cm程度のpolyanthemosだそうです。
このpolyanthemosは地植えとなっていて、
株元の幹の太さが直径2cmほどもあるそうなので、
鉢植えで開花を実現するためには、
ある程度の年月とさらなる成長が必要でしょう。
ただそれでも私的な推測としては、
鉢植えで数年、150~200cm程度の株で
開花を実現できる可能性があると考えています。
我が家のpolyanthemosは、
樹高だけは150cm以上ありますが、
株元の幹の太さは直径2cmに軽く及びません。
polyanthemosはとても強健なユーカリなので、
我が家でもイマイチな環境の場所に置いていますが、
もう少し置き場所を改善して、
開花を目指して見るのも面白いかもしれません。
kikaku024さん
貴重な情報をありがとうございました!- # by eucalyptus_k | 2014-07-28 17:39 | ユーカリ(花と蕾)
たくさんの蕾を発見!
先日の台風でたくさんの株を退避しました。
退避するのも戻すのも1時間程度かかるような
大変な作業になりましたが、
それでも2時間近くかかった以前の配置よりは、
圧倒的に楽になりました。
結局台風の影響は皆無で、
退避作業は徒労に終わりましたが、
そのお陰で、いくつかのユーカリに
新しい蕾を発見することができました。
いつもしっかりと観察しているつもりなのですが、
なかなかちゃんと見れていないものですね。
まずは今年実家で開花を達成できたtorquataです。
※実家での開花記事はこちら
このtorquataはずっと調子が悪くて、
出る葉出る葉が全て枯れていくという状態でした。
ストレプトマイシンによる殺菌、
用土にpH未調整のピートモスを混ぜてpHを落とす作業、
風通しの改善を行うことによって、
見事葉枯れの症状が治まり、
今回の蕾につながってくれました。
この株は現在比較的調子は良いので、
開花の期待は大ですが、
今からだと来春あたりになるでしょうか。
次は先日開花を実現することができたtorwoodです。
※開花記事はこちら
開花した時の蕾よりも
さらにたくさんの蕾が付いています。
これも非常に調子が悪く、
torquataと同じ処置を行っています。
以前よりも少し調子は戻ってきていますが、
こちらは明らかに病気のようで、
完全に復活には至っていない状態です。
開花は来春以降になるでしょうが、
依然、状態が心配な株なので、
無事開花を実現できるかは未知数です。
次は例年開花を続けてくれているextricaです。
これも非常にたくさんの蕾をつけてくれていますが、
同じく病気がちで調子はあまりよろしくありません。
extricaは蕾から開花までが早いので、
うまくいけば今年中に開花を実現できるかもしれません。
株の調子次第といったところです。
そしてここからは私的にも
非常に嬉しい2種の蕾です。
実はこれから紹介する2種は
私が個人的に花を咲かせたいランキングの
トップにあった2種なんです!
1つ目はpachyphyllaです。
この蕾は最終的には真紅になり、
面白い形状の真紅の蕾から、
黄色い花が咲くという絶景を演出してくれます。
今の時点でも結構大きな蕾なので、
思っていたよりも大きな花が咲きそうで楽しみです。
このpachyphyllaは英名のThick-leaved Malleeの通り、
非常に硬い葉が特徴のユーカリです。
本当にその葉の硬さにはビックリします。
ヘタに手などを葉先で突くと、
刺さって怪我をする程に硬いです。
ただpachyphyllaは正直、
かなり難易度の高いユーカリです。
まずorbifoliaなども顔負けな程に
恐ろしく水を吸いません。
また少しでも過湿になると、
調子を崩して、葉を散らせてしまいます。
樹高1mにもなる株が、小さなスリット5号の
ロングに植わっているにも関わらず、
今の時期でも3日に1回程度の、
鉢底スリットからの水かけだけで十分です。
ヘタに用土表面から水を与えると、
一気に調子を崩すこともあります。
現状の調子は微妙なところで、
梅雨時期は毎年、調子を崩します。
開花実現はまだまだ何とも言えませんが、
無事な開花を心待ちにしたいと思います。
2つ目はシルバープリンセスの異名を持つ
caesia ssp. magnaです。
このユーカリの花は赤に近いピンク色で
ユーカリ中でも屈指の美しさを持っています。
また中々に立派で大きな花を咲かせます。
現在まだ枝の色は赤みが強いですが、
蕾や枝の色は完全な白銀色になっていくため、
銀の蕾と枝にピンク色の花という外観が
シルバープリンセスという名の元になっています。
caesiaは元々楽なユーカリではありますが、
これは比較的調子が良いので、
開花がとても楽しみです。
こうして見てみると、
一年目からでも開花することのある
gilliiやpleurocarpa、extricaなどは
とても花の咲きやすい
ユーカリであることがわかります。
今回新しく蕾のついた品種は
どれも3年近くかかっていると思います。
我が家のベランダでも、実家の庭でも
既に私の身長を超える程のerythrocorysが、
そろそろ開花してくれそうなものですが、
これはとても時間がかかっています。
先日も珍しいdecipiens ssp. adesmophloiaの
蕾を発見することができました。
どれもまだ無事に開花できるのかは未知数ですが、
たくさんの蕾ができるのは本当に嬉しいものです。- # by eucalyptus_k | 2014-07-19 13:57 | ユーカリ(花と蕾)
今年も咲いたプレウロカルパ(pleurocarpa)
昨年始めて花を咲かせてくれた
pleurocarpaが今年も開花していました。
昨年は比較的多くの花を咲かせてくれましたが、
根詰まりと置き場所の悪さによる痛みと、
春咲きの強風で蕾の多くが取れてしまいました。
そのため今年はたった一輪だけの開花ですが、
それでもなかなかに美しい花です。
このpleurocarpaは西AZのユーカリ入門編にも最適ですし、
非常に低樹高での開花を実現できるユーカリです。
一風変わった外観と性質を持つ
西AZのユーカリにチャレンジしてみたい方は、
まずこのpleurocarpaから入ってみるのがオススメです。
ちなみに実家の方にも
樹高150cmを超える立派なpleurocarpaがあります。
今年はそのpleurocarpaの方も
初の開花を実現することができていました。
少し花の時期が終わり気味ではありますが、
いくつか写真を載せておきます。
以前我が家には転倒で折れて枯れてしまいましたが、
非常に立派な別のpleurocarpaがありました。
ただその株は相応の樹高になっているにも関わらず、
全く蕾が付いていませんでした。
またこの実家の立派なpleurocarpaも
蕾が付くのに非常に時間がかかりました。
ユーカリ全てに言えることかはわかりませんが、
このpleurocarpaについては、
少し苛め気味、痛み気味の方が、
蕾が付きやすいような気がしています。
最後にpleurocarpaの少し不思議な花。
花の中にピンク色が混ざっています。
たまたまでしょうか?
花が終わりかけるとピンクになる?
こんなこともあるのですね!- # by eucalyptus_k | 2014-07-16 11:58 | ユーカリ(花と蕾)
樹高の伸びと下葉がなくなる問題
梅雨も終わりに差し掛かり、
大阪では軽く30℃を超える日がやってきました。
晴れの日には高温乾燥が好きな
西AZのユーカリを中心に
やっと面倒な梅雨が明けたかとばかりに
新芽の展開を進め始めています。
一部の湿地帯生息種で且つ高温が好きな品種以外は
基本的にユーカリは梅雨時期が苦手で、
多くの品種では葉が傷んだり、
冬の間の傷んだ葉を散らせたりします。
春に次いでこれから
ますます成長を進めていくわけですが、
30m~80mになるような大型品種の場合、
鉢植えでも放置すれば、
ほんの数年で数mになるものがあります。
我が家のベランダでも、
camaldulensis...3m
globulus ssp. globulus...3m
citriodora...3m
risdonii...3m
melliodora...3m
leucoxylon ssp. pruinosa...2.5m
viminalis ssp. viminalis...2.5m
globulus ssp. bicostata...2.5m
coolabah...2.5m
sideroxylon...2m
staigeriana...2m
smithii...2m
rudis...2m
cypellocarpa...2m
morrisbyi...2m
robusta...2m
subcrenulata...2m
maculata...1.7m
bridgesiana...1.8m
と軒並み2mオーバーのオンパレードで、
ほとんどが1.5mオーバー、
1m以内のものは数える程しかないという状況です。
ちょうどこちらの写真に写っている
物干し用の竿が2m弱くらいの高さになります。
先年、足場板で土台を組んで、
全体的な日照を向上させたのが良かったようです。
また毎年猛威を振るっていた、
うどんこ病やハダニの被害も
今年はほぼ皆無という状況で、
これも激しい成長に拍車をかけているようです。
さらに一部の2mオーバー級では、
末葉に変わるものまで出だしています。
末葉に変わりだしたsmithii
鉢は全てが6号スリット鉢で、
一部のものでは5号のものまであります。
通常であれば、鉢のサイズだけで見ると、
完全に根詰まり状態のはずなのですが、
スリット鉢の効果でしょうか。
もちろんそれなりに根はパンパンですが、
根詰まりで急を要するような株はありません。
ただこの大きさになってくると、
下葉はどんどんと落ちていき、
特に2.5~3m級のものでは、
上部1/3程度にしか葉がありません。
物干し竿から下はほとんど葉がないものが多い
ただどれも健康状態自体は悪くはなく、
3mというと完全に天井に頭を打つのですが、
頭を打って削られた頂点の成長はストップして、
その少し下くらいから脇芽を盛んに出しています。
天井に擦られて横から芽を出したcamaldulensis
私は鉢植え管理の宿命と割り切って、
あまり下葉の減少を気にしていませんが、
これは多くのユーカリを美しく育てたい方には、
大きな問題になっているようです。
これの打開策はプロでも悩むところと聞き及びますし、
私にも今のところ、良い案は浮かんでいません。
安全策を取るのであれば、
ある程度葉を残して、切ることですが、
そもそもかなり上部にしか葉がないわけなので、
所詮、妥協策でしかなく、年々下葉は減り続けます。
また上をいくら切り続けても、
下の方はどんどん木化が進んでいき、
下から枝が出るという成果には全く貢献できません。
ただ比較的風通しの良い場所にある、
melliodoraでは、半分以上も葉が残っていたりするので、
下部の風通しの改善などは若干効果があるかもしれません。
melliodoraの幹の下の方
それでも最終的には、限界を迎えて、
一か八かで、かなり下の葉のない部分で
バッサリ切ってしまうのもありなのでしょうが、
その方法で生き残るかどうかは本当に博打感覚です。
実は私はその方法を実行して、
今まで一度も枯らせたことはありませんが、
やはり相応の覚悟が必要になりますし、
時期を間違えるとダメになってしまうこともあります。
やはり先日の記事で書いたように、
「ユーカリは樹木である」という事実がある限り、
ある程度は仕方のないことなのかもしれません。
下の方の幹に傷を付けて、
そこから新芽を出させるという高等テクもありますが、
私は一度もうまくいったことはありません。
上の方の新芽部分をしつこく傷つけていると、
株元から芽が出るという実例もあるのですが、
これも本当にその株次第で絶対というわけではありません。
結局、全く解決策の提示ができないのですが、
もしユーカリが好きなら、
そんなユーカリの姿も受け入れて
楽しく育ててみるのはどうでしょうか?
何か良い方法がある場合、教えていただければ、
株数はありますので、色々と実験も可能です。
それでも、綺麗な樹形でなければ嫌だ!という方は、
とにかく低樹高の内から小まめな摘芯や剪定を心がけるか、
そもそも低樹高で収まる品種や脇芽を吹きやすい品種を
選択して育てるのが良いと思います。
我が家でも、脇芽の吹きやすいcrenulataや、
albida/moon lagoonなどでは、
100~180cm程度になっても、
割と綺麗な樹形を保つことができています。
crenulata(樹高150cm)
albida(樹高100cm)
moon lagoon(樹高130cm)
大型樹木を鉢植えで美しく育てる。
これは趣味の栽培者の永遠の課題ですね。- # by eucalyptus_k | 2014-07-02 16:25 | ユーカリ(栽培知識)
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