ユーカリ・シルバープレート(1)
未判別種の
ユーカリ・シルバープレート(Eucalyptus silverplate)
の種が先日アメリカから届きました。
育ててみないと内容は何か全くわかりません。
種の外観で推測してみたところ、
cinerea、perriniana、gunnii、urnigera
辺りの種に良く似ています。
シルバープレートというと銀の皿ですから
perriniana(ツキヌキユーカリ)や
cinerea(銀丸葉ユーカリ)あたりが
妥当かなあと勝手に思っています。- # by eucalyptus_k | 2009-12-26 18:12 | ユーカリ(品種知識)
日本のユーカリ実情(2)~名称別分析~
次に、実際に出回っている名称別に
書いていきたいと思います。
【銀丸葉】
一応、cinereaの和名となっていますが、
基本的には銀葉で丸ければOKなのが結論です。
知らない人から見れば、日本で出回っているユーカリは
ほとんどが銀丸葉ではないでしょうか。
実際にこの名称が使われているものでは、
cinerea、gunnii、polyanthemosを見かけました。
【シルバーダラー】
これもシルバーでダラー(硬貨)なので、
銀葉、丸葉であればOKなのが結論ですね。
この名で売られているものとしては、
原種のシネレアより少し小柄で銀白色の控え目な、
cinerea var. pendulaを多く見かけました。
どういうわけか今年は流通がほとんどないようです。
一度、生産元に学名を問い合わせたことがあります。
その答えはEucalyptus silver dollerでした。
もちろんそんな学名のユーカリはありません。
海外でsilver doller名での種の大量安価販売がありましたので
これを今取り寄せています。
結果は来年育ったらご報告します。
【シルバーダラーガム/ポポラス】
これは、そのままpolyanthemos(ポポラス)の英名です。
ところが日本では扇型の葉のユーカリ=ポポラスみたいです。
よってorbifoliaやdecipiensが混ざっていることもあります。
実際polyanthemosとして販売されているものは、
orbifolia等であることがほとんどでした。
【銀世界ユーカリ】
もともとは確か会津の方の地場産業で
切枝用のユーカリ栽培に力をいれており、
その出荷名が銀世界というところが発祥のはずです。
そちらで育てているユーカリは独自に開発した品種とありましたが、
確かめてみたところpulverulenta 'Baby Blue'です。
これはpulverulentaの改良品種で、
小型で耐寒性があり、湿気にも強く、香水のような香りがします。
また、樹高が私の背より低くても花が咲くという
花屋で販売するために生まれたようなユーカリです。
また、銀世界というのは切枝での販売名が多いようで、
この名で売られている切枝は、
私が見たもの全てpulverulentaでした。
pulverulentaは新芽が非常に綺麗な白銀色なのですが、
しばらくすると葉が風に揺られてこすれて普通の緑になります。
ところが切ってしばらく置いておくと、葉が真っ白になってきます。
その姿が白くて綺麗なので銀世界と名付けたようです。
これもたまにcinereaの切枝が混ざっていますが、
cinereaは干からびると色あせるので
pulverulentaの方が切枝としては価値があるようです。
【アップルボックス】
これは珍しく、英名通りにbridgesiana。
間違いがあったことは今のところ見たことはありません。
他とは少し変わった葉型&生え方なのが原因でしょうか。
【レモンユーカリ】
他にはない外観と香りなので
citriodoraで間違いはありませんでした。
【グロブルス】
ほとんど間違いはないのですが、
gunniiと混ざっていることが結構あります。
本当は非常にユーカリらしいユーカリなのですが、
あまり普通の人に好まれる外観ではないからでしょうか。
以外に見かけることは少ないです。
【マウンテンスワンプガム】
英名の通りcamphoraです。
比較的良く見かけることがありました。
【マリーレッドガム】
英名の通りcamaldulensisです。
大きな木でたまに見かけることがありました。
【レッドアイアンバーク】
英名の通りsideroxylonです。
これも大きな木で非常に稀に見かけることがありました。
【ペパーミントユーカリ】
これはradiataのことです。
これも大きな木で非常に稀に見かけることがありました。
【リトルボーイブルー】
これはpulverulenta 'Baby Blue'が正体です。
これは実際に販売されているところが日本で2か所。
両方から取り寄せたことがありますので間違いないかと思います。
リトルボーイブルー=kruseanaという文献もありますが、
kruseanaが日本で出回ることはほぼありません。
【ハートリーフユーカリ】
私が見たものではorbifoliaが最も多く、
cordata、camphora、polyanthemos、
albens、niphophilaなどがありました。
いつも品種の判別が困難で泣きそうになる名付け方です。
【グニー】
まあほとんどはこれです!(笑)
圧倒的なシェアを誇っていると思います。
でも、本当に日本で&鉢植えで育てるのには最適のユーカリで
日本人女性好みの外観なんだなあと思います。
たまーにglobulusが混ざっていることがあり、
一度、parvulaやcrenulataが混ざっているところも見ました。
品種の判別については現在判別中ですが、
よく見かけるgunniiの外観は下記の通りです。
<白銀色で幹が赤く丸葉>
これが一番綺麗かなあと思っています。
葉が少し肉厚で白銀色が強いのが特徴です。
これが多分、ノーマルのssp. gunniiかと思っています。
たまにコマルバユーカリの名称で売られています。
<緑が濃くて葉が若干楕円葉(葉が少し大きめ)>
これは葉の付き方を見ると
ssp. archeriの特徴ににていますが、
詳細は定かではありません。
少し強めの香りがあります。
<通常の緑色で楕円葉、最もgunnii的なgunnii>
葉はしっかりとした楕円形で適度な緑色です。
また写真のように可愛らしく生えています。
これがssp. divaricataのように推測しています。
<白銀色が強めの楕円葉>
これは私も紹介させていただいている
silverdropという販売名のものです。
ssp. gunniiの園芸品種という説が有力です。
あくまでも私の情報収集の結果ですが
ご参考までによろしくお願いいたします。
ほんと私ってオタクだなあと思います(笑)。- # by eucalyptus_k | 2009-12-23 20:26 | ユーカリ(品種知識)
日本のユーカリ実情(1)~適当な名称管理等~
今回は生産者側ではなく、
消費者側にいるからこそわかる現実と、
日本でのユーカリの名称管理とその他について、
私が知りえることを書いていきたいと思います。
まあ、とにかく日本でのユーカリ事情はいい加減です。
勝手に名付けてみたり、学名・品種を間違う等、日常茶飯事。
ここまで適当なのには本当にびっくりします。
私は相当オタッキーな性格なので
ひたすらに珍しいユーカリを日本全国探しまくりました。
本当に日本全国、100か所以上は電話しましたね(笑)
その結果わかったことですが、
「実際に日本で出回っている品種は僅か」
個人や単発で栽培されているところは別として
日本で出回っているのは、ほとんどが
gunnii、globulus、citriodoraの3種です。
そしてその他では非常に稀ですが、
bridgesiana、websteriana、polyanthemos
cinerea、pulverulenta、perrinianaなどです。
それ以外はまずほとんど見かけません。
あと、大量生産している栽培元も全国数か所だと思います。
実際、名前までほとんどわかってます(笑)
コアラの絵やgunniiの葉の絵が描かれたタグなど
見覚えはありませんか?
「名づけ方は非常に適当」
銀葉で丸葉なら「銀丸葉」、銀色で綺麗なら「銀世界」、
葉がハート型なら「ハートリーフ」、
全てはコアラの餌で、花粉症に効く、、、と。
まあ、日本人がイメージしてるユーカリはコアラですし、
売れれば品種なんてどうでもいいのでしょうね。
私は当初、苗をひたすら探して買い求めましたが、
品種が全然わからずいい加減、
頼んだものと全く違う品種が届いたりするので、
今はこあら師匠のところで種から育てられた苗か、
自分で種から育てたもの以外は手を出しません。
ユーカリであれば何でもOKという場合は
そんな拘りは無用なのでしょうが。
そういうことに馬鹿みたいに拘ってみる面白さが
あってもいいんじゃないかなあと思っています。- # by eucalyptus_k | 2009-12-23 19:25 | ユーカリ(品種知識)
双葉が生えそろった時点での植え付け
ニュージーランドの園芸職人に教わった
双葉が出そろった時点での植え付けですが
早速実行してみました。
ちょうど双葉が出そろったばかりのEucalyptus parvulaです。
双葉だけを掴んでまっすぐゆっくり抜いてみると、
根の引っ掛かる感覚が一切なくまっすぐ抜けました。
根をよく見てみると、
細かい枝根がちょうど生え出してこようとしているのがわかります。
太い直根に白カビのような白く細い毛が無数に生えています。
確かにこれ以上成長が進むと
枝根が伸び出してきてしまうため、
引き抜く際にどこかで根が切れてしまうのかもしれません。
冬季植え付けのため、生存の有無は何ともいえませんが
今後の成長を見て、色々試していきたいと思います。- # by eucalyptus_k | 2009-12-10 18:40 | ユーカリ(栽培知識)
ニュージーランドの園芸職人より
先日、gunnii ssp. divaricataの写真を送ってくれた
ニュージーランドの園芸職人より
いくつか情報が届きましたのでお知らせします。
まず、Osakano Jieさんよりお問い合わせのあった、
縦に長いポットの件ですが、
こちらは日本ではあまり知られていない
Rootrainers(ルートレーナ)というものだそうです。
根を縦に長く誘導して育成することができ、
鉢上げの際に容器を二つに開けて
苗を取りだすことができるというすぐれものです。
また底面吸水用のトレイ等も付属しているようです。
直根で植え替えがデリケートなユーカリで
丈夫な根を育てるためにルートレーナを常用するそうです。
次に現地でのFungus(菌類)による立ち枯れ病の対策ですが、
殺菌剤の使用よりも、まず気を付けていることがあるそうです。
それは完全に底面吸水に徹し、株元と苗、用土の表面は
完全に乾いた状態に保つことだそうです。
これを聞いて自分の育て方はかなりまずいなと思いました。。。
もう一つは種播~発芽してから
そのルートレーナへの植え替えのタイミングです。
これには少々ビックリしました。
まず種播トレイに種を播き、発芽させるところまでは同じですが、
そこから、双葉が生えそろった時点で即植え替えるそうです。
このときにとにかく気をつけることは、一切、幹を触らないことで、
完全に双葉だけを持って静かに引き抜き、
そうっと且つ速やかに植えることがポイントであるとのことです。
この方法は試したことがありませんが、
双葉で植え替えると幹を握り潰してしまうことが多いのと、
一般的な日本の園芸用土(低質な堆肥等)に
耐えられないような気がしています。
そこで最後に育苗用の用土ですが、
現地の土は非常に肥料分が少ないということでした。
日本の土とは大きく異なるかと思いますが、
話を聞いていると、個人的に一番近そうな土が、
赤玉土+真砂土+鹿沼土+川砂に
少しだけ腐葉土を加えたような感じではないかと思います。
はっきりいって酸性寄りの肥料分不足の用土ですが、
「ユーカリは荒れた貧しい土壌の方がたくましく育つよ」
とのことです。
参考になったりビックリするような内容もありましたが、
今後は色々と試しながら良い方法を編み出していきたいと思います。
まずは技術が伴うように日々精進したいところです。。。- # by eucalyptus_k | 2009-12-10 05:11 | ユーカリ(栽培知識)