困ったユーカリの症状
最近、家のほぼ決まった品種のユーカリに
厄介な症状が発生して困っています。
それは、どのような症状かというと、
まず初めに葉の緑色が薄くなり、
(これは全く色素には変化のない場合もあり)
葉に赤いシミや茶色い斑点が無数にできて、
その後、葉が枯れたりボロボロになったりします。
これは当初、菌類による病気であろうと考えていましたが、
殺菌剤散布による改善は全く見られませんでした。
親愛なるこあら師匠のところでも
同じ症状に悩まされていらっしゃるとのことです。
その記事はこちら>>>
家でこの症状に合う品種は
主に西オーストラリアの品種に多く、
macrocarpa/macrocarpa ssp. elachantha
pachyloma/Moon Lagoonなどに発生します。
特にmacrocarpa ssp. elachantha/pachylomaでの発生率は
ほぼ100%に近くなっているほどに深刻です。
この症状は、
・鉢の小さな(用土の少ない)株から発生する
・植えつけて半年以上経ってから発生する
という特徴があるため、
用土中の物質が関係しているのではないかと推測し、
現地の栽培者にヒントを求めてみました。
その結果、
用土内のミネラル分の不足による壊死
という回答が得られました。
不足している可能性のある成分については
特に回答は得られませんでしたが、
色々試してみると良いと言われました。
基本的にはユーカリは肥料分をあまり必要とせず、
海外の園芸指南書によると、
ほぼ施肥なしでも育てられるとあります。
ところが育てていると、
一部で比較的多肥を好むものも存在することがわかりました。
例えば、Moon Lagoonは比較的多肥を好み、
用土もアルカリ性よりの用土を好む傾向にあります。
上記の症状が発生したMoon Lagoonは
実家の庭で半ば放置気味のもので、
ベランダで多肥気味に育てているものには全く発生していません。
また、こあら師匠のところではtetragonaにも
症状があらわれているとのお話ですが、
家ではtetragonaにはほとんどこの症状は現れていません。
実はtetragonaは実験的に、
植えつけ時に少し多めに苦土石灰を混ぜ込んであり、
もしかするとこれが功を奏したのかもしれません。
別にある硬質赤玉土単用の放置tetragonaポット苗では
二年目から少しこの症状が発生し始めています。
pachylomaはとても深刻で、
一年目の秋くらいから酷い状態になっています。
これも、現在、苦土石灰や有機石灰を多めに与えて様子を見ています。
最も酷いmacrocarpa ssp. elachanthaでは、
早い時期から苦土石灰や有機石灰などを与えていますが、
今のところほとんど改善が見られていない状況です。
総合的で一般的な肥料を与えながら
様子を見るのが最も良い方法ではありますが、
敢えて、各成分ごとに与えていきながら、
その経過を観察していきたいと思います。
取り急ぎは、
Osakano Jieさんがトライされているカキ殻石灰や、
カリウム、マグネシウム、カルシウム、窒素などを
敢えて少し多めに与えながら様子を見ていきたいと思います。
他にも葉面散布できる
効果的な化学肥料がありそうですが、
これはどれも少し高価なので、
親愛なるこあら師匠にお任せしたいと思います- # by eucalyptus_k | 2012-01-27 17:16 | ユーカリ(栽培知識)
新年早々!我が家のユーカリ達
前回の12月初頭の写真に引き続き、
本日撮影したてのユーカリ達を公開します
前回の写真で最も日照の良い場所に置いてあった品種は
同時に寒風に弱いものも多いので、
多くは簡易温室に避難させている状態です。
恐らく多くの品種が温室外でも越冬可能かと思いますが、
敢えて葉を痛ませたくないという考えからです。
こちらが背の高い温室で、
三段のものを二段にして使用しています。
上段は苗、下段は寒さに弱い鉢ものです。
こちらが背の低い方の温室です。
温室の下段をさらに寄って見てみます。
まずは左の大きな温室からです。
銀大葉が目立っているのはmacrocarpaです。
その他ではkruseana/pachyphylla/pachyloma
staigeriana/rhodanthaなどがあります。
この中で本当に寒さが心配なのは
真ん中あたりのとても小さな苗サイズの
socialis/woodwardii/torwood/gongylocarpa
の4品種とpachylomaだけです。
次に右の温室です。
こちらも銀大葉が目立っているのはmacrocarpaです。
左の奥のピンクになっている大葉はpleurocarpa、
右手前の大きな葉のものがtetrapteraです。
小さな葉が特徴的なものは全てdecipiens(亜種3種)です。
このdecipiensが最も寒さに弱いように思います。
既にかなり葉は痛みかけています。
macrocarpaの右横の小さなpimpinianaも
寒さにはまり強くなさそうです。
私の背丈程の高さがあるrisdoniiです。
夏は比較的深緑の葉色をしていますが、
冬になるといきなり銀葉が美しくなってきます。
寒さにはめっぽう強く、冬は寧ろ調子が良いくらいです。
左の銀葉はcrucis、右手前がalbopurpureaです。
さらにその足元に寄ってみます。
右がalbopurpureaで真ん中左の銀葉はgilliiです
左手前がとても珍しいユーカリpruinosaです。
サバンナ出身なので寒さがとても心配でしたが
今のところとくに大きな葉痛みも起こっていません。
次は少し左側を見てみます。
銀葉が美しいのは先程も写っていたcrucis、
そして葉が真っ赤になっているのが
先日ユーカリ紹介で紹介したmelanophloiaです。
このように真っ赤になって葉痛みも激しいです。
albopurpureaの更に手前です。
大きな毛の生えた葉はerythrocorysです。
寒さにはとても弱いユーカリですが、
この大きさになると大阪の冬では問題ありません。
手前の細葉はlehmanniiです。
これも風さえ防げれば葉痛はありません。
さらに奥にあるtenuiramisです。
夏の葉はとっても濃い緑色なのですが、
冬になると別品種かの如く銀葉になります。
とても丈夫で美しく冬こそ本場のユーカリです。
我が家のノッポ君たちです。
どれも寒さに強いというわけではありません。
一番背の高いのがrobusta、右がglobulus、
手前の下葉が紅葉しているのがcamaldulensis、
左下の方で銀葉の美しいものはmaideniiやbicostata、
奥に見えるのがcitriodora(レモンユーカリ)です。
そのレモンユーカリに焦点を当ててみました。
今のところ別に大した葉痛みも起こっていません。
右下で綺麗に紅葉しているのはgrandisです。
これもあまり寒さに強いとは言えませんが、
春になれば一気に復活してくるでしょう。
さらに奥の日当たりの悪いゾーンです。
背の高い丸葉はrudisです。
これは我が家でもトップクラスに寒さに弱いですが、
ここまで大きくなれば越冬は問題ないと思います。
今のところ少しだけ葉が傷んでいる程度です。
真ん中の葉のでかいのはcypellocarpa、
その右横の銀葉はgunniiです。
この辺りは寧ろ冬の方が調子が良くなります。
そこから少し手前にあるsmithiiです。
これも今の時期の方が圧倒的に調子が良いです。
新芽はピンクで少し銀葉がかる部分もあります。
viminalisと比べて、今の時期はかなり白っぽくなります。
右下の方に見えている若葉色の新芽がviminalisですが、
夏には全く見分けがつかなくなります。
次はベランダの右手の方になります。
ここは日当たりは良いですが、
結構風が当たって寒くなります。
右の銀葉ハートリーフがorbifolia、
その左隣がtorquata、
一番手前の銀小葉がMoon Lagoon、
その後ろの銀葉がalbidaです。
ここの品種たちは比較的寒さには強いです。
その左側の場所です。
室外機の下なので暖かく、
養生場所のようになっています。
一番左の銀葉はcinerea、奥の銀葉はperriniana、
手前の背の低い銀葉はaccedensです。
accedens右側の小さなcoolabahと
左側の細長葉のleptophyllaは少し養生中です。
それでも温室内よりは寒いですから、
もう少し樹高が伸びれば屋外越冬は問題なさそうです。
それでは最後に大きな温室の手前にあった
特徴的なユーカリ3種を
紹介して終わりにしたいと思います
どれもあまり寒さには強くないかなと心配でしたが、
今のところとくに葉痛みもないようなので
安心して温室外(真前)に置いてあります。
Eucalyptua urna
これは他にはないようなとても珍しい葉をしています。
生息地はalbidaなどと同じ地域になっています。
写真でわかりますでしょうか?
良く見て頂くと葉が下の図のように生えていることがわかります。
このユーカリ、香水系の中々良い香りがします。
Eucalyptus preissiana
とても大きな緑色の葉をしています。
このユーカリは数メートルの茂み状に育ちます。
下の写真のような黄色い花が魅力のユーカリです。
成長はとっても遅いですが、開花が楽しみですね
Eucalyptus platypus
育ててみるとdecipiensにとても良く似ていますが、
葉には毛が生えており、色々な意味で
decipiensよりも頑丈です。
現地ではmoortと呼ばれて親しまれているユーカリで、
これも下の写真のように花が魅力のユーカリです。
花は写真のようなクリーム色の他に
黄色やライムグリーンなど多岐にわたっているようです。
これから先、厳しい冬を耐えしのんで、
春にはまた元気に育っていって欲しいですね。
皆さんのユーカリの近況も
また聞かせて頂ければ嬉しいです- # by eucalyptus_k | 2012-01-03 20:10 | ユーカリ(栽培実績)
ユーカリは基本「弱酸性」を好みます!
最近、ネットでユーカリに関する情報を拝見していると、
良く見かけるのがこの情報です。。。
ユーカリは酸性を嫌う
ハッキリいいますが、
この情報は大きな間違いです!
一般的にハーブが酸性を嫌うからでしょうか?
それともオーストラリア=石灰岩と思うからでしょうか?
中にはアルカリ性寄りの方が
好調な品種もわずかながら存在します。
例えばMoon Lagoon/erthrocorysなどです。
ほとんどの方が好んで育てられている
cinerea/pulverulenta/gunniiなど、
多くの東AZ出身のユーカリは
ほぼ全てが弱酸性~酸性を好みます。
主に弱酸性を好む日本の植物と比べても、
さらに酸性の強いものを好む品種も多いです。
leucoxylon/cladocalyx/fasciculosaなどの
アデレード近郊に生息しているユーカリは
基本的には弱酸性を好みますが、
かなり高いアルカリ耐性を持ち、
アルカリ寄りのpHでも比較的順調に育ちます。
ただ私は良くユーカリに
有機石灰や苦土石灰を与えることがあります。
それはpHを操作するためではなく、
マグネシウム等のミネラル分を補給するためです。
これが不足すると、葉の葉緑素が抜けた
クロロシスのような状態になることがあります。
あと最近思うのは意外に肥料当たりが多いです。
リン酸分の塩分に当たることが多いようですね。
慣れない方は肥料は控えた方が良いかもしれません。
急に寒くなった今年の秋口、
ユーカリを枯らせてしまったお話を良く聞きます。
私も苗サイズであれば、結構枯らせています。
夏季と同じ調子で水遣りをしていたため、
根腐れになってしまったことが主な原因ですが、
上記もぜひ、ご参考にしてみてください。- # by eucalyptus_k | 2011-10-28 21:13 | ユーカリ(栽培知識)
【ユーカリ紹介-33】
ユーカリ・ムーンラグーン (Eucalyptus 'Moon Lagoon')続きまして第33回目は、
庭木や垣根に適した品種で
ユーカリには珍しい小さな葉と
美しいコバルトブルーの葉色が魅力の
ハイブリッド品種、ユーカリ・ムーンラグーンです。
◎ユーカリ・ムーンラグーン
【学名:Eucalyptus latens 'Moon Lagoon'】
【英名:Fine-leaved Mallee】
このMoon Lagoonはユーカリらしからぬ外観で、
その美しい葉や可愛らしい樹形から、
誰もが魅力を感じるであろうユーカリです。
名前のMoon Lagoonとは、
英語で月の入江という意味で、
なかなかロマンチックな響きです。
実は、このMoon Lagoonは、
Eucalyptus latensというユーカリと、
お馴染みのEucalyptus kruseanaの、
ハイブリッド(交雑種)なのです。
育ててみて感じるその性質や外観は、
latensのものを大きく引き継いでいます。
latensをベースにして
kruseanaの要素を付け加えたという感じです。
一般的にはEucalyptus Moon Lagoonと言われますが、
通常であればEucalyptusという属名の後には
cinerea/gunniiなどのラテン語の種小名が続きます。
実際Moon Lagoonというのは園芸品種名で
var.に続く名称に近くなっています。
正式にはあくまでもlatensの園芸品種なので
Eucalyptus latens 'Moon Lagoon'
というのが正しい表記です。
他でいえば、
Eucalyptus gunnii 'Silver Drop'や
Eucalyptus pulverulenta 'Baby Blue'
などと同じような表記になるわけです。
とにかく、白銀色の美しい
可愛らしい小さな葉が魅力です。
写真では分かりにくいですが
葉の表面はコバルトブルーが美しく
艶消しでザラザラのkruseanaそのものです。
また、やたらと脇芽が出やすい性質で
どんどんと樹形にボリュームが付いていきます。
園芸用にユーカリを育てるならば、
必ず候補に挙げてほしいほどに
園芸品種として大成功といえるユーカリです。
樹木としては、
大きくても4m以内の茂み状に育ち、
どちらかというと横に広がるタイプです。
基本的にはこの美しい小葉を保ちますが、
あまり大きく育ててしまうと、
先祖返りして、albidaの末葉のような、
濃い緑色で光沢のある細葉になってしまいます。
あまり大きく高く育てるのではなく、
小まめな剪定や摘芯を繰り返して、
美しくボリュームのある樹形へと仕立てたいものです。
こんなにも美しく魅力的なMoon Lagoonは、
アメリカやオーストラリアの花屋などでは
フラワーアレンジの定番品種のようです。
ところが日本ではあまり知名度もなく、
売られているのはほぼ見かけません。
もし今後、日本でユーカリを流行らせたいならば、
このMoon Lagoonは起爆剤になってくれそうです。
樹高があまり高くならない品種ですから、
皆さんの身長以下の樹高でも
容易に開花が見込めると思います。
花自体は小さな白い定番のユーカリの花ですが、
この美しい樹形に花が咲き乱れれば、
本当に名前のMoon Lagoonそのものといえますね♪
ではこのMoon Lagoonは育てやすいのか?というと
これは少し微妙でなんとも言えません。
難しい人には難しいでしょうし、
合う人には育てやすいユーカリです。。。
うまく説明できませんが、
私のようにユーカリを多く育てている者にとって、
少し異色な存在のユーカリなんです。
ユーカリといえば以前からお話しているように、
かなり乾燥を好み、日光が大好きで、
肥料はあまり効かないという特徴があります。
また、多くの品種は弱酸性の用土を好みます。
ところがこのMoon Lagoonは、
乾燥は他のユーカリと同じように好みますが、
弱アルカリ性の用土を好み、肥料も大好き、
日光はそこそこで水大好きという
ユーカリにはあまりないような特徴を持っています。
ある種、日本在来の乾燥を好むといわれる、
特に収穫物のあるような植物と
同じように育てていただければ良いと思います。
そのためMoon Lagoonは、
あまりユーカリを育てたことのない人の方が、
寧ろ育てやすいユーカリなのかもしれません。
逆に私のようなユーカリ栽培者には
少し厄介なこともあるユーカリなんです。
通常ユーカリを育てていると
肥料も水も余り与えずに
ガンガンの日光に当てていれば良く育ちます。
普段はこんな感じで余り手をかけません。
ところがこのようにMoon Lagoonを、
他のユーカリと同じように育てていると、
水切れが多発して枯れを出したり、
pHの不適合や肥料不足で生育不良になったりします。
また、余りに激しい日光を当てすぎると
生育がストップしたり葉焼けしたりするので、
真夏はバラなどのように少し遮光するか、
半日陰などで育てた方が生育状況が良くなります。
※決して日陰好きというわけではありません。
家のベランダではどうかというと、
真夏などはかなりベストな環境のようで、
葉も美しく、かなり見事に成長してくれます。
逆にmacrocarpaなどが爆発的に成長する
私の実家の庭では、暑すぎ、水少なすぎで、
かなり生育不良でヘロヘロになっています。
とにかく、水切れに気をつけてください!
ただし、あくまでも乾燥を好む植物なので
常に用土が湿っているなどは避けてください。
また風通しを良くしてください。
雨が降り続いて用土は湿り気味、
ようやく雨がやみ、晴れの日が来て、
朝にはまだ用土が湿っていたので水遣りを控えたら、
夕方には水切れして枯れが出ていた、
ということを良くやってしまいます。
そんな感じで突然水切れがやってきます。
また、葉が小さいため、水切れしても、
葉が枯れてくるまで気づかないことが多いです。
水切れにさえ気をつければ、
あとは、たまに苦土石灰を施したり、
成長期に置肥や液肥を与えていれば、
Moon Lagoonはきっとこの美しい樹形を
ふんだんに披露してくれるはずです。
こうやって見てみると、kruseanaの性質は
見た目以外ではほとんど引き継いでいないようです。
Moon Lagoonは病害虫の影響を比較的受けにくい方で、
過湿耐性はlehmanniiやcrucisなどと同程度かそれ以上です。
ただし、風通しが悪いとうどんこ病になることがあります。
成長力についてはどちらかというと遅い方です。
ただそれは一般的なユーカリの成長速度と比べた場合で、
一般的な植物のレベルでは平均的な成長力です。
成長期に肥料を多く与えたり、
湿度や温度、日照などの環境が合った場合には
なかなかの速度で成長することもあります。
また、環境が全く合わないと
まるっきり成長をストップします。
Moon Lagoonの成長速度は、
栽培環境の適合バロメータになると思います。
暑い真夏でも環境さえ合えば、
コンスタントに成長を続けますが、
少し涼しい春や秋に大きく成長します。
耐寒性については暖地では全く問題ないレベルで、
-7℃程度までは頑張るようです。
ただし、葉が小さいので
寒風には弱く、寒風吹きさらしだと
葉の多くに枯れが出てしまいます。
ただしっかりと育った株の場合は、
春になれば枯れた葉を落とし、
新しい芽をたくさん吹くことと思います。
葉を綺麗なまま保ちたい人は
寒風を避けて、軒下などで越冬すると良いでしょう。
気になるMoon Lagoonの香りですが、
kruseanaとほとんど同じ香りで、
シネオールの香りをベースに爽やかな柑橘系の香りがします。
とても爽やかで良い香りです。
kruseanaほどは強く香りませんが、
香りを楽しむユーカリとしての利用も可能です。
とにかく、いっぺん育ててみてください!
合うか合わないかは皆さんの育て方と、
皆さんのお宅の環境次第ですw
ただ、特に難しいユーカリではありませんし、
酷い水切れでもしない限り、
いきなり枯れるようなこともないと思います。
とにかく、ユーカリとして以前に
植物としてかなり美しいです!
育ててみたい方には何と!
このユーカリを主力として栽培している
素晴らしい農場をご紹介できますので、
是非声をかけてくださいね。
月の入江にぜひ魅せられてくださいね★
------------------------------
<栽培難易度:B+>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★(環境次第)
要水分:★★★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★★
耐病虫:★★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-07-21 19:34 | ユーカリ紹介
ユーカリ栽培のポイント
今回はユーカリ栽培の参考になる情報を
少し書いてみたいと思います。
昨年は早春からうどんこ病や生育不良に悩まされましたが、
今年は全てのユーカリがすこぶる好調に育っています。
まだ春も早いうちから、どの品種もたくさんの脇芽を出して、
みてわかるほどに元気な状態です。
この昨年との大きな差は私の水分管理術の向上が
最も大きな要因といえるでしょうが、
スリットポットの導入と用土の工夫も挙げられると思います。
ユーカリを育てていて常に思うのは、
非常に乾燥を好む植物だなあということです。
ところがここで注意していただきたいのが、
乾燥を好むということは、
水を必要としないということとは全く別
ということです。
乾燥を好むということは、
用土が長い間湿っていることを嫌うということです。
この用土が長い間湿っていることを避けるためには、
鉢と用土と置き場所(植え場所)に工夫が必要なのです。
ちなみに日本で一番有名なgunniiですが、
これはユーカリの中でもかなり水を必要とする品種で、
水切れに対する耐性をほとんど持ち合わせていない品種です。
それでも日本の在来の植物や一般的な観葉植物に比べると
かなり乾燥を好む植物であるといえます。
日本で乾燥を好む植物というと
サンスベリアやサボテンなどの多肉植物が思い浮かびます。
多肉植物は自分自身に水分を蓄えることができるため、
用土が完全に乾いても、その水分で長く生きることができます。
ところがユーカリは自分自身に水分を蓄える力は強くないので、
どんなに乾燥を好むユーカリでも、用土が完全に乾くと、
容易に水切れを起こしてしまうことを忘れないでください。
<1. 置き場所(植え場所)の工夫>
はっきりいってこれさえ十分に満たすことができれば、
鉢や用土はどうでもいいほどに重要な要素です。
一般的にユーカリの栽培難易度は簡単で、
庭に適当に置いておけば大きく育ったという話を良く聞きます。
これはこの1の要素が十分に満たされているからです。
実際に相応の庭をお持ちであればこの1の要素は満たせます。
ところが人によっては十分な置き場所を
確保することが難しい場合もあります。
例えば、家のようなベランダでは
この置き場所を十分に確保することはできません。
それではどのような置き場所が良いのでしょうか。
それはズバリ下記の二つの要素に絞られます。
----------------------------------------------
●日光が一年中、終日で良く当たる場所
●風通しの良い場所
----------------------------------------------
なぜこの二つの要素が重要かというと、
用土を早く乾かすために乾燥力の強い環境を作り、
日光を良く浴び、高い土中温度を確保できるからです。
ユーカリは、在来の日本の植物よりも
遥かに激しい日光と高い土中温度を好みます。
そのため、ユーカリの室内管理は無理があります。
室内は日光量や日照力が弱く、
何よりも風の動きが少なすぎるために、
どうしても余分な水分を用土に残してしまいます。
はっきり言い切りますが、
ユーカリの室内管理は不可能です。
私でも室内ではうまく育てる自信は全くありません。
この置き場所という要素を満たせない場合は
次の2と3の要素でカバーする必要があります。
<2. 鉢の工夫>
環境以外で乾燥力を上げるためには
鉢という要素があります。
乾きやすい鉢といえば、まず、素焼き鉢です。
率直に素焼き鉢はユーカリ栽培には向いているといえます。
素焼き鉢のデメリットをあげるとすれば、
重いことと、場所をとること、耐寒性が落ちることです。
素焼き鉢は冬季に用土が冷えやすいため、
根がダメージを受けやすく、明らかに耐寒性が下がります。
特に耐寒性が微妙なdecipiensなどの品種には不向きですね。
また、室内に取り込むとカビの温床にもなりやすいです。
そこで、今流行のスリット鉢がオススメです。
特長である根のサークリングを防げる能力だけでなく、
底面にも大きな穴が開いているために、
底面からも用土の乾燥が進みやすいです。
また、低価格で薄く軽く、コンパクトで場所も取りません。
ただ、1の置き場所の要素が満たされ過ぎているような場合には、
品種によっては乾燥力が強すぎる場合もあります。
特に湿地帯に生息するようなユーカリでは、
乾燥力が強すぎて、少し生育が悪くなることもありますし、
水切れが早すぎて少し面倒なこともあります。
環境に合わせて適切な鉢を選択してください。
<3. 用土の工夫>
1が十分に満たせず、鉢も素焼きやスリット鉢は嫌だという場合、
この用土という要素でカバーすることが重要になってきます。
率直に市販の観葉植物用の用土では少し保水性が高すぎます。
自家製ブレンド用土が面倒くさい場合は、
粒状培養土として販売されているものが良いでしょう。
自家製でブレンドする場合には、
赤玉土をメインに鹿沼土、桐生砂、日向土などを加え、
くん炭やゼオライトまたはパーライトを加えるとなお良いです。
肥料分となる用土はあまり使わなくても良いです。
ユーカリは雑菌に弱いところがありますので、
堆肥分や腐葉土などは余り使用せずに、
品種によりピートモスで保水力を調整すると良いでしょう。
ちなみに私の自家製用土は下記の通りです。
非常に乾燥力が強いので参考になさってください。
---------------------------------------
硬質赤玉土(小粒)-5割
鹿沼土(中粒)-2割
桐生砂or日向土orパーライト-1割
くん炭-1割
ゼオライト-1割
ピートモス-品種により調整
---------------------------------------
この中でゼオライトについてですが、
ユーカリにはかなり有効な用土であると考えています。
実際に家ではゼオライトを配合した用土を使用しているユーカリは、
非常に根張りが良く、丈夫に成長している実績があります。
Osakano_Jieさんのレポートによると、
オーストラリアの土壌にはゼオライトが多量に含まれ、
ユーカリへのミネラル分補給に一躍かっているとのことです。
ゼオライトには大きく分けて2種類が存在します。
モルデナイト系ゼオライトとクリノプチロライト系ゼオライトです。
前者のモルデナイト系は日本では比較的良く見かけるゼオライトで、
水質改善剤や根腐れ防止剤として
使用されている和製やアジア製のゼオライトです。
後者のクリノプチロライト系は北米産が多く、
アルカリ分の強いゼオライトです。
この2種類の中でオーストラリアのゼオライトにより近く、
ユーカリに有効であると思われるものは、
後者のクリノプチロライト系ゼオライトです。
ところがこのクリノプチロライト系ゼオライトは
ホームセンター等では滅多に売っておらず、
主にネット通販で購入できますが、
少しレアなために、かなり高価になっています。
もし余裕のある方は、使用して損はないと言っておきます。
ユーカリには日本で販売されている
多くの肥料がほとんど効きません。
その中で有効な成分のみを
効率よく吸収させるのにもゼオライトが役立ちます。
<肥料について>
ユーカリには日本の多くの肥料がほとんど効かないといわれます。
肥料には大きく分けて、窒素・リン酸・カリウムの三種があります。
良く売っている化成肥料や液肥などを見ていただくとわかりますが、
リン酸分が最も多く、窒素がそれに次いで
多くなっていると思います。
この中でユーカリはリン酸を特に嫌います。
私が試してみた結果、窒素もそんなに与えない方がいいでしょう。
この中でユーカリに有効なのは主にカリウム肥料なのです。
ところがカリウム肥料は中々吸収されにくいようです。
それを効率よく吸収させるためにゼオライトが役立つようです。
私は化成肥料を置肥している程度であまり肥料分は与えていません。
プロのお話では有機肥料(鶏糞や牛糞)は効果があるようですが、
あまり鉢植え栽培では実用的ではありません。
※一部、多肥を好む品種も存在します(Moon Lagoonなど)
最後に、栽培難易度の難しいユーカリ、
簡単なユーカリがありますが、
この差は本当に水分管理の難しさに直結します。
難しいユーカリは過湿に弱く、すぐ根腐れするということで、
簡単なユーカリは過湿に耐性があり、
水分管理がアバウトでも丈夫に育つユーカリということです。
ユーカリはいきなり枯れることがあると言われますが、
ユーカリが枯れる理由の90%は過湿による根のダメージです。
1、2、3の要素をうまく工夫して
より良い栽培環境を実現してください。
用土の表面がカラカラに乾いていたとしても、
用土の中は湿った状態であることが良くあります。
慣れないうちは少し用土を指で掘ってみて、
用土の内部の状況を確認することも参考になるでしょう。
それでは、皆さんがユーカリを
楽しく育てられることを願っています。
何か質問があったら遠慮なくどうぞ^^- # by eucalyptus_k | 2011-04-09 23:41 | ユーカリ(栽培知識)