西オーストラリアのユーカリ栽培のポイント
一般的に西AZのユーカリは
日本と環境が合わないため、
栽培が難しいと言われています。
確かに中には少しのミスで枯死につながるものや、
毎年同じ時期になると調子を崩すものがあり、
安心して放置できないものが多いです。
日本との大きな環境の差としては、
●絶対的な降雨量に差があること(日本の1/6程度)
●夏が乾燥し、冬が若干湿潤であるということ
●日本のような年単位での寒暖差より一日の寒暖差が大きいこと
●降雨による水分よりも地下水を吸っていること
●土壌の養分が日本と大きく異なること(日本よりも貧しい土壌)
などが挙げられるかと思います。
同じユーカリと言うことだけで、
日本でありふれたgunniiなどと
同じように栽培しているだけでは、
確かにうまくいかないこともあるでしょう。
ただ一部の難しい品種を除けば、
後はその栽培方法にさえ慣れてしまえば、
そこまで難しいものばかりではありません。
私が勝手に感じている範囲で
西AZのユーカリにはいくつかのグループがあります。
それによって若干栽培方法が変わってきます。
あくまでも我が家の栽培環境による判断ですが、
西AZのユーカリの栽培ポイントについて記します。
※あくまでも鉢植えでの管理のポイントです。
ただしあまりにも西AZのユーカリの管理に慣れ過ぎると、
植物=乾燥を好み、肥料はほぼ不要となってしまって、
私のようにパセリを枯らすことになるかもしれません。
1. 半砂漠地帯に生息する強乾燥を好むグループ
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このグループのユーカリは、
最も日本と環境の差のあるグループです。
大体、難しい品種というのは、
このグループに含まれるものが多いです。
とにかく用土の選定を間違えると
難易度がさらに驚異的に跳ね上がります。
またものによっては、梅雨時期などは
雨を避けた方が良いものもあります。
○乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○用土は最も乾燥力の強いものを選ぶ
○真夏はほぼ一日で用土が全乾きするくらいの配合が良い
○この配合で朝に一日一回の水遣りで夏を乗り切る
○終日直射日光に当てて育てる、半日陰は苦しい
○暑く日照が良く、風通しの良い場所に置く
○冬場はほぼ断水に近いほどの管理を行う(月1~2回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○荒れ地に生息しているため高pHや多肥を嫌う傾向にある
○肥料はリン酸分を嫌い鉄分や亜鉛などを多く必要とする。
○室内管理は論外
macrocarpa/rhodantha/kruseana/campaspe/woodwardii
youngiana/gamophylla/gongylocarpa/tetraptera など
2. 非常に乾燥した半砂漠地帯に生息する強乾燥を好むグループ
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このグループのユーカリも、
最も日本と環境の差のあるグループです。
1のグループ程、激しい日光と高温を必要とはしませんが、
用土の乾燥力はさらに強化した方が良いものが多いです。
用土の選定を間違えると難しいところは同じですが、
日照よりも風通しに気を付ける必要があります。
高い空中湿度のある場所ではすぐに葉を散らせます。
多くの品種において、梅雨時期などは
雨を避けた方が良いものが多いです。
○乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○用土は最も乾燥力の強いものを選ぶ
○終日直射日光に当てて育てるのが良く、半日陰程度でもOK
○何よりも風通しの良い場所に置くことが重要
○ジメジメして人間が不快を感じるような高温多湿な場所を避ける
○梅雨時期の葉痛みはある程度の妥協が必要な場合もある
○夏場でもかなり水切れに耐えられるものが多い
○半日陰程度であれば夏場でも一週間程度持つものもある。
○冬場はほぼ断水に近いほどの管理を行う(月1~2回)
○冬場は底面吸水が良いが1ほどは気を使わない
○肥料は1ほど気を使わないが高pHや多肥は好まない。
○室内管理は論外
orbifolia/websteriana/gillii など
3. 平均的な西AZのユーカリに属するグループ(高温を好む)
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このグループのユーカリは、
平均的な西AZのユーカリ栽培方法で管理できる
最もスタンダードな品種です。
その中でも特に高温と日光を好み、
夏場に大きく成長を進めるものが多いです。
このグループのユーカリを入門編として
育てると良いと思います。
私のユーカリ栽培方法は
このグループのユーカリを最も中心に考えていて、
我が家でも調子の良い品種が多いです。
○育苗初期は乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○一度根をしっかり張ってからはある程度融通が効く
○用土はかなり乾燥力の強いものを選ぶ(粒状培養土系)
○根をしっかり張った後はそこそこ吸水量の激しいものもある
○終日直射日光に当てて育てるのが良い
○半日陰程度でも栽培は可能だが成長力はかなり悪くなる
○暑く日照が良く、風通しの良い場所に置く
○冬場はかなり乾燥気味の水遣りを行う(週1回~10日に1回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○肥料にはそこまでうるさいものは少ないが高pHは良くない。
○室内管理は論外
albida/pleurocarpa/extrica/dicipiens/torquata/torwood
caesia/forrestiana/pachyphylla/pluricaulis
salmonophloia/uncinata/dolichorhyncha など
4. 平均的な西AZのユーカリに属するグループ(穏やかな気候を好む)
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このグループのユーカリは、
平均的な西AZのユーカリ栽培方法で管理できる
最もスタンダードな品種です。
日光は特に好きな品種ですが、
どちらかというと涼しい季節に成長を進め、
盛夏にはあまり動きがなくなるものが多いです。
中にはあまりにも真夏の激しい日光を浴びると
少し葉焼けをするものもありますので、
半日陰強くらいでの管理が良いです。
その分、3よりも少し過湿に強いものが多いです。
このグループのユーカリも入門編として
育てると良いと思います。
私のように3のユーカリを基本に考えていると、
夏場は少し葉が汚くなることがあります。
○育苗初期は乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○一度根をしっかり張ってからはある程度融通が効く
○用土はかなり乾燥力の強いものを選ぶ(粒状培養土系)
○根をしっかり張った後はそこそこ吸水量の激しいものが多い
○春秋冬には終日直射日光に当てて育てるのが良い
○夏場は半日陰程度か少し遮光をした方が経過は良い
○風通しの良い場所に置くことは3に同じ
○冬場はかなり乾燥気味の水遣りを行う(週1回~10日に1回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○比較的高pHに対する耐性の高いものが多い
○室内管理は論外
lehmannii/macrandra/erythrocorys/urna/grossa
accedens/crucis/lane-poolei/leptopoda など
4. 冷涼湿潤でかなり穏やかな気候を好むグループ
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このグループのユーカリは、
冬も夏も非常に温暖且つ涼しく、
少しぬるま湯的な環境で育っているものが多いです。
平均的な西AZのユーカリ栽培方法よりも
少し湿潤を好み、過湿耐性はそこそこです。
ところが高温多湿な環境をとても嫌い、
高温多湿が過ぎると、葉が激しく傷んだり、
菌類系の病気に悩まされることが多いです。
日照は半日陰程度で十分なので、
できる限り風通しの良い涼しい場所で管理します。
どちらかというと涼しい季節に成長を進め、
盛夏にはほとんど動きがなくなるものが多いです。
冬場もそこまで耐寒性の強いものは少ないですが、
寒くてもそれなりに吸水の進むものが多いです。
私のように3のユーカリを基本に考えていると、
夏場は少し厄介なところもあるユーカリです。
○育苗初期は湿潤に管理しても生育は良好(育苗は楽)
○初期の育苗はなるべく涼しい季節を中心に行う
○用土は排水性の良いものを選ぶ(夏を乗り切るため)
○根をしっかり張った後は吸水量の激しいものが多い
○春秋冬には終日直射日光に当てて育てるのが良い
○夏場は半日陰程度か少し遮光をして育てる
○何よりも風通しの良い場所に置くことが重要
○ジメジメして人間が不快を感じるような高温多湿な場所を避ける
○冬場は東AZのユーカリと同じような水遣りでOK
○肥料はリン酸分を嫌い高pHでは障害の発生するものが多い
○一部厳冬期の日中や夜間限定の室内退避は可能
preissiana/pachyloma/nutans/platypus/vesiculosa など
5. 例外-1(rudis)
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高い空中湿度に対する耐性もあり、
暑さに対する耐性も高いので、
楽な東AZのユーカリと同様に育てられます。
西AZのユーカリではありますが、
ユーカリ全体でもかなり育てやすい部類になります。
湿地帯生息種のため相当の水食いですが、
そこまで水切れが早いということもありません。
特筆すべきポイントは、冬の寒さには特に弱いので、
小さな間は0℃以下にならない場所に
退避して管理することが大切です。
※成長後は-5℃程度でも耐えることができる。
日照も半日陰程度で育てられます。
また高pHに対する耐性も高く、
用土を酸性にする力が強いので、
アルカリ土壌の改良にも使用されるそうです。
5. 例外-2(moon lagoon)
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半日陰程度の日照でも育てられます。
また過湿に対してもかなり高い耐性を持っています。
かなりの水食いで水切れに気を付ける程ですが、
排水性の高い用土を好みますので、
ある程度乾燥気味に管理した方が生育は良好です。
特筆すべきポイントは
ユーカリには珍しく高pHと多肥を好みます。
肥料をたくさん与えないと生育が悪くなり、
与えれば与える程効果が表れてきます。
そして最後に総括です。
■用土
最も重要な要素の一つです。
この選定を間違えると難易度が跳ね上がったり、
根本的に栽培が不可能な場合があります。
置き場所や栽培環境により左右されますが、
下記が一般的にオススメの用土です。
○ゴールデン粒状培養土 観葉植物用などの粒状培養土
1や2などの強乾燥を好む品種では、
ここに鉄分が豊富な桐生砂、岡山土などや、
ゼオライト、日向土、軽石などを加えて乾燥力を強化する。
○自前でブレンドする場合
硬質赤玉土や硬質鹿沼土などをベースに使用するか
上記の岡山土や日向土などをベースに使用する。
赤玉土や鹿沼土は硬質のものを使用しないと
崩れて粘土化して逆効果になる。
※硬質と名の付くものは通常の2倍以上の価格がします。
○私のブレンド用土(参考)
硬質赤玉土...3
硬質鹿沼土...2
桐生砂...2
ゼオライト(クリノプチロライト系)...2
くん炭...1
■鉢
乾燥力の強いものが推奨です。
下からも乾燥が進むスリット鉢がオススメです。
陶器系のしゃれた鉢などはオススメできません。
また根張りを考えて縦に長いものが良いです。
テラコッタや素焼き鉢などもOKですが、
素材状菌類の繁殖が進みやすいようです。
※経験上経過がイマイチ
根が十分に張り切るまでは、
全体的に株に比べて少し小さめの鉢で栽培すると
格段に難易度が下がります。
この理由は単純に鉢が小さいと
用土量が少なくなるため、
根の行き届かない範囲の用土に
無駄な水分が残ることを防止できるからです。
■日照
一部の真夏の直射日光を避ける品種以外では、
在来の植物では信じられないほどに耐性があります。
特に葉の白い粉は日焼け防止の効果もあるので、
白みの強いものは激しい日光を好むものが多いです。
ユーカリはあくまでも樹木なので、
基本は花草よりも多くの日光を必要とします。
また日光は蒸散と吸水の少ない西AZのユーカリの
用土乾燥を促す効果もあります。
株だけではなく、鉢や用土にも良く日光を当てることで、
根の成長促進と乾燥力強化につながります。
これはかなり大きく成長に差の出るポイントです。
■風通し
全体的に風通しの良さは重要です。
特に東AZのユーカリと比べると大きく差の出るポイントです。
目安は気温自体は暑くても良いので、
人間が不快になるようなジメジメした空中湿度を避けます。
風が良く吹いて外でも涼しいなと感じる場所が良いです。
私がユーカリに適したような
湿度の低い国を訪れた際の経験談ですが、
気温が30℃以上あったとしても、
長袖の白い服を着ている方が涼しいのです。
このような湿度の低い環境がユーカリには最適になります。
また周囲に他の植物や壁などがない場所の方が
格段に風通しが良くなります。
ただし強風による転倒には注意が必要です。
■水分管理
西AZのユーカリ栽培を左右するとても重要なポイントですが
用土と日照、風通し次第では
そこまで気を使わなくて良くなります。
日本の多くの植物では用土表面が乾き始めたら
水遣りを行うという指標がありますが、
それでは少し多すぎるきらいがあります。
どちらかというと用土が中の中まで
ほぼ全乾きする寸前がベストな水遣りタイミングです。
このタイミングは本当に
置き場所や根の張り具合で大きく変わります。
例えば1のグループに属するmacrocarpaでも、
用土と鉢サイズが適切で真夏に直射日光下に置くことで、
ほぼ一日で完全に用土が乾くということになります。
逆に用土の保水性が高く、置き場所の日照が悪く、
根の張りも不十分である場合には、
真夏でも一週間経っても用土が一向に乾かないこともあります。
ユーカリ全般に言えることですが、
特に西AZのユーカリでは、
用土が良く乾き、良く水を与えるといったサイクルが
最も健康な株を安定して育てられる要素になります。
そのためには先述した通り、
用土と日照、風通しがキーになってきます。
■肥料
良くあるマグァンプなどの肥料は
リン酸分が多くなっています。
日本の多くの肥料は花を綺麗に咲かせるものが多いので
自ずからリン酸分が多めに設定されています。
オーストラリアの土壌にはリン酸分が存在しないため、
ユーカリにはほとんど役に立ちません。
品種によっては害にさえなる程です。
基本的に商用栽培でもない限りは
肥料を全く与えなくても栽培は可能ですが、
成長期の液肥などはある程度の効果が見込めます。
その際にはリン酸分が少ない肥料や
微量要素(鉄分など)が多いものを選択します。
我が家では根菜用のカリウム分の多い肥料なども
相応に効果が出ていることを確認しています。
また石灰や化成肥料を与えすぎると、
土壌のpHが上がって、アルカリ寄りになります。
そうなると鉄分欠乏の症状が現れることがあります。
一部、高pHを好むユーカリもありますが、
基本ユーカリは弱酸性~酸性の用土を好みます。
肥料の与えすぎによる高pHには注意してください。
まずは入門編と言われている西AZのユーカリを育ててみて、
西AZのユーカリの育て方に慣れることが先決です。
西AZのユーカリは外観の面白いものや、
美しい花を咲かせるものが多いので、
是非とも育ててみてください!- # by eucalyptus_k | 2014-09-01 17:02 | ユーカリ(栽培知識)
Eucalyptus platypus(プラティパス)の水切れ
先日、こちらの記事で、
植え替え情報を紹介したてだったplatypusですが、
油断していて、いきなり水切れを出してしまいました。
植え替えのしたてで根が安定していないこともあったでしょうが、
理由は完全に水切れで、私の不注意と油断が原因です。
気づいたのが早かったので、
全枯れ-枯死には至りませんでしたが、
大体1/3くらいの葉に枯れが出てしまいました。
先日、ご紹介した時の写真が下のもの、
そして今回、枯れた葉を取り除いたものが下の写真です。
多くのユーカリでは水切れ前に、
葉が犬の耳のように垂れ下がったりなど、
ある程度のサインがあります。
また、ユーカリの多くは乾燥耐性が強く、
水切れで、しな垂れても、
そこまで速攻で葉枯れが出ることは少ないです。
ところが今回のこのplatypusや、
他ではMoon Lagoon、kruseanaなどのように、
カラッとした質感で葉の硬い品種では、
その水切れのサインが全くわからないことがあります。
そしてplatypusやMoon Lagoonは、
比較的水が大好きなユーカリのため、水切れも早く、、
特にplatypusでは乾燥耐性が非常に低いようです。
この株は昼の11時ごろに確認したときには、
鉢の表面こそカラカラでしたが、
鉢底のスリットから見える土はまだ良く湿っていました。
もう一日耐えられるかなと、その日は水を与えず、
次の日、用事で水遣りが少し遅めになって、
13時ごろ確認したところ、既に水が切れて、
葉枯れが出ていたという状況です。
今回のように1/3もの葉を枯らせたのは初めてですが、
実は以前にも、同じplatypusで、
1/5~1/6程度の葉を水切れで枯らせたことが何度もあります。
かなりの水食いで、すぐに葉がしな垂れるユーカリは結構あります。
ところがこんなに急速に葉枯れが出るユーカリは珍しいです。
本当に、このplatypusは水切れに対して、
かなりシビアなユーカリであると思います。
ちなみに水切れで、
ギリギリ間に合った場合の葉の症状例です。
発見が遅くて全てがカリカリになった場合は別ですが、
写真のように葉の一部は瑞々しいのに、
一部が枯れているというような状態になります。
過湿で根がやられてしまった場合には、
このような枯れ方にはならず、
全体的にカリカリになって枯れていきます。
とりあえず新芽部分に
あまりダメージがなかったのが救いです。
ボリュームもかなり控えめになり、
下葉の色も少し悪くなってしまいましたが、
新芽部分はまだまだイキイキしているので、
これも経験!ということで次への糧にしていきます。
しかしこのplatypus、
乾燥を好む西AZのユーカリの仲間のはずなのですが、、、
特に水切れで気をつけていく必要がありますね。
とりあえずこれからが成長期ですから、
気持ちを新たに、仕切り直しです!- # by eucalyptus_k | 2014-04-27 01:52 | ユーカリ(栽培実績)
今日の植え替えはEucalyptus platypus(プラティパス)
暖かくなってきて、
植え替え(鉢増し)もどんどん進んでいきます。
今日の植え替えはEucalyptus platypusです。
このユーカリは西AZに生息するユーカリで、
MalletとかMarlockとか呼ばれる、
ユーカリでは少し特殊な樹形に育つ品種です。
ユーカリの多くに生じるLigno-tuber(地際の瘤)を生成せずに、
主幹からたくさん枝分かれをした茂み状に育っていきます。
その性質はとても顕著で、他にはないくらいに
激しく枝分かれして、樹高よりも幅の方が大きくなっています。
写真の株もかなり真っ直ぐに矯正していますが、
矯正なしだとかなりの幅に拡がり、バラバラになります。
西AZのユーカリというと、激暑の環境が好きで、
あまり水を吸わない、強乾燥を好むイメージが強いですが、
pachylomaやpreissianaなどと同じように、
かなり涼しい季節メインで成長を進めます。
また吸水量もなかなか激しく、
東AZのメジャーなユーカリ顔負けです。
現地の文献では、湿地帯などにも生息しているようなので、
西AZのユーカリ=半砂漠という図式が
あまり成り立たないユーカリと言えます。
この株は本当に根がパンパンでもう限界だったので、
5号から6号へと鉢増しを行いました。
比較的低木での開花が見込める品種で、
花が面白くて人気のあるユーカリですので、
今年は開花が実現できるでしょうか?
花は主にはライムグリーンの花が咲くようですが、
クリーム色やピンク色の花が咲くこともあるようです。
葉は全く白みを帯びていないからでしょうか?
あまりガンガンの日光に当てすぎると
真夏には少し葉焼けすることもあります。
そのため、あまり置き場所を問わず、
半日陰くらいでも結構順調に成長してくれます。
タネ播きから育苗の間には、
立ち枯れが多発して、本当に難儀しましたが、
大きく育ってからは、とても楽なユーカリです。
日陰にも、過湿にもそれなりに強く、
面白い樹形と美しい花が魅力!
それに加えて、中々に香りが強く、
良い香りもするので、とても興味深いユーカリです。
西AZのユーカリ入門編にも最適ですし、
成長しても細葉には変わらず、たくさんの花を咲かせます。
広い庭の庭木としても面白いかもしれません。- # by eucalyptus_k | 2014-04-14 17:06 | ユーカリ(栽培実績)
最近の近況
最近本当に冷えてきましたね。
こう寒くなってくると
ユーカリの世話もとても暇になります。
毎年冬になると同じ事を書きますが、
本当に私はユーカリ育成初期の頃、
冬に水をあげすぎていたんだなと反省します。
現在の水遣りは、
2mを超えるような水好きの品種では
週に1~2回程度を鉢の上から与えますが、
1m以内程度の乾燥を好む西AZの品種では、
週に1回程度、鉢底のスリットから水を少しかける程度です。
一部、根張りが良く、鉢が小さめの下記の品種に限り、
1~2週に一回程度、鉢表面から水を与えます。
■ 80cm程度のalbida
■ 120cm程度と150cm程度のorbifolia
■ 80cm程度のwebsteriana
■ 160cm程度のerythrocorys
■ 140cm程度のcaesia ssp. magna
■ 80cm程度のMoon Lagoon
■ 樹高50cmでも幅も50cmのplatypus
■ 樹高80cm程度のuncinata
これでも十分すぎるほどで
日照の悪い我が家のベランダの話ではありますが、
どれほど水を吸わないかが良く分かります。
比較的、耐寒性が高いと言われながら、
我が家では、毎年早いうちから葉が赤く染まり、
0℃程度でも結構葉の散っていた、
viminalis/nicholii/bridgesiana/neglectaなども、
水を減らしてからは、全くそのような兆候が見られません。
特にneglectaは最強クラスの耐寒性が特徴と言われますが、
東AZには珍しく、かなり乾燥に耐えることができるので、
乾燥した環境があってこその強い耐寒性のようです。
一方ではかなり冷涼地の湿地帯に生息している、
ovataやcamphoraなどは、本当に夏の調子はさっぱりですが、
この時期でも他と比べるとかなり早いペースで水を吸います。
我が家のovataやcamphoraはまだ樹高が60cm以下で
鉢はそこそこ大きめの鉢に植えているにも関わらず、
コンスタントに週一回程度の水遣りを行っています。
恐らくこれ以下でも問題なく生存できるでしょうし、
これ以上でも耐えることができるでしょう。
この2種に関しては、今の時期でも、新芽を吹くので、
思った以上に冷涼湿潤な環境が好きなようです。
もうユーカリを育て始めて5年近くになりますが、
最近になってやっと理解・納得のできた、
個々のユーカリの性質が本当にたくさんあります。
まだまだ勉強と経験あるのみですね!
寒い中、私はちょっと体調を崩し気味で、
記事の更新もかなり遅れ気味になっていますが、
皆さまは体調に十分気をつけて、
寒い日々を達者にお過ごしくださいね- # by eucalyptus_k | 2013-12-18 12:14 | ユーカリ(栽培実績)
【ユーカリ紹介-64】
ユーカリ・プラティパス (Eucalyptus platypus)続きまして第64回目は
とても西オーストラリア的な低木品種で
ニスを塗ったかのような光沢の強い
鮮やかな緑色の葉が特徴的な
ユーカリ・プラティパスです。
◎ユーカリ・プラティパス
【学名:Eucalyptus platypus】
【英名:Moort / Round-leaved Moort】
日本ではまず知る人もいないほどに
マイナーなユーカリであるplatypusですが、
現地オーストラリアでは、園芸用に人気があり、
特に生息地の西AZではかなり身近なユーカリだそうです。
Moort(ムート)というアボリジニー名を持つことからも、
現地では親しみの深いユーカリであることがわかります。
その葉や外観にも色々と特徴的なところはありますが、
どちらかというと、花を咲かせるユーカリとして
人気があり、現地では頻繁に栽培されています。
前の記事でcrenulataがとても良く茂るという
お話をさせていただきましたが、
このplatypusも非常に良く茂る性質を持っています。
日本にはない樹種ですが、
現地ではMarlockという樹種になるようです。
このMarlockは樹高は10m以内の低木ですが、
とても細くひょろ長い幹にたくさん枝葉が茂るというような、
日本で言うとちょっとした藪を形成しているような
そんな樹種になるようです。
そのため、このplatypusは育て始めてから、
ほとんど真っ直ぐ上に伸びるようなことはなく、
どんどんと枝葉を増やしながら茂っていきます。
写真のplatypusは少し前のもので、
現在はこれよりも遥かに激しく茂っています。
5号鉢ではもう根がパンパンで、
そろそろ鉢増しをする必要があるほどですが、
その樹高はわずか35cm程しかありません。
ところが、横には45cm以上も茂っています。
現在は無理やり支柱で真っ直ぐに矯正しているのですが、
全く矯正を行わなかった場合は、
どんな風に茂って広がっていくのか想像もつきません。
この性質であれば、上手く剪定して育てれば、
玉もの仕立てとして美しい樹形を作ることができるかもしれません。
そんな特徴的なplatypusの葉ですが、
ニスを塗ったかのような非常に強い光沢があり、
とても濃く鮮やかな緑色の葉色をしています。
またその葉は非常に硬くしっかりとしています。
整った葉型の品種が多いユーカリでは珍しく、
platypusの葉はかなり不定形です。
platypusの葉は、基本的にはしゃもじのような形をしていますが、
ハート型のものがあったり、団扇型のものがあったり、
槍の先のように尖ったものがあったり、
本当にその形は多種多様で同じ葉型の葉はほとんどなく、
全ての葉がそれぞれ微妙に異なった形をしています。
また多くの葉の周囲はとてもデコボコしており、
左右対称ではないようなヘンテコな形の葉も
結構たくさん生じています。
また、精油の分泌腺が豊富なようで、
葉もとてもザラザラでデコボコしています。
茎も葉と同じようにザラザラしており、
葉・茎ともに粉を吹いているような箇所はありません。
platypusは幼葉と末葉で、ほとんど差の生じない品種です。
ただ、大きく育っていくことによって、
少し葉の形は丸みを帯び、整っていくようです。
生息地は、西AZのアルバニー周辺という、
非常に我儘なユーカリの多い地域ではありますが、
platypusは意外にも、強健で非常に育てやすいユーカリです。
樹高については、本に書いてある最高樹高は8m程度ですが、
そこまで真っ直ぐに大きくなることは稀で、
大概が数メートル程度で激しく横に茂るようです。
platypusはこのような性質から、
とても鉢植え管理向きのユーカリであるといえます。
ただし、激しく横に広がる性質もあるので、
少し場所をとってしまうかもしれません。
先述した通り、花を咲かせるユーカリとして、
現地では人気があり、花の色も様々で面白いです。
基本的には、下の写真のような
ライムグリーンの花がメインのようですが、
クリームホワイトの花が咲くものがあったり、
稀にピンク色の花を咲かせる個体も
存在しているようです。
またこのplatypusの近似種に
vesiculosaというユーカリがあります。
こちらはピンク色の花限定の品種で、
さらに樹高の低い低木品種になります。
このvesiculosaも別途栽培していますので、
またいつかユーカリ紹介でご紹介したいと思います。
platypusの最高樹高を考えると、
1m程度の樹高で開花を目指せるのではないでしょうか。
ただし、必ずしも順調に樹高を伸ばすユーカリではないので、
何mの樹高でというのはあまり参考にならず、
何年目で開花などと考えた方が良いとは思います。
学名のplatypusの意味ですが、
直訳すると「幅の広い足」という意味になります。
これは、platypusの花梗(花が付いている茎)の幅が
とても広いことに起因するようです。
上の写真はそれぞれ蕾と実の写真ですが、
蕾や実が付いている部分が
とても幅広く平たいのがわかるかと思います。
とても面白い特徴がたくさんあるplatypusですが、
この、他にはないような変な特徴の数々は
とても西AZのユーカリ的だなあと思わされます。
こんな特徴的で面白いplatypusの育て方についてですが、
西AZのユーカリらしく、強烈な日光と乾燥を好みますが、
過湿に対する耐性が比較的強く、
とても育てやすいユーカリであると言えます。
ところがタネ播きから育苗初期については、
とても立ち枯れしやすく、中々に難しかったです。
あまりにも育苗初期が難しかったので、
これは中々厄介なユーカリだなあと心配していたのですが、
ある程度育って、丈夫な葉が生じるようになってからは、
とても楽に育てられるようになっています。
まず、小さな間は強乾燥力の用土で且つ、
少し小さめの鉢で育てながら、
しっかりとした根張りを確保したいところです。
platypusの育苗初期の小さな柔らかい葉は、
うどんこ病などの影響を受けることもありますが、
根張りがしっかりと完了した後の分厚く丈夫な葉は、
病害虫の影響をほとんど受けることはありません。
恐らく精油が豊富なこともあるでしょうが、
我が家でも珍しく、ハダニなどの影響を全く受けません。
またしっかりとした根張りを確保できた株では、
西AZのユーカリではとても珍しく、
半日陰程度でも丈夫に育つ、
少しの耐陰性も兼ね備えています。
成長は、東AZのユーカリと比べると遅い方ですが、
西AZのユーカリの中では、それなりに早い方です。
ちょうどlehmanniiやtetragonaなどと同じくらいです。
この成長速度は、育てている上で都合が良く、
遅すぎて退屈にもなりませんし、
早すぎて困ることもないという程度でとても管理しやすいです。
platypusは、西AZのユーカリの中では
かなり水が大好きな方で、
特に初期の根張りが確保できている場合、
暑い時期には東AZのユーカリが顔負けするほどに
水を吸うので、水切れにも注意が必要です。
また、水切れ自体にもあまり強くないようで、
水が切れるとすぐに、丈夫で硬い葉がヨレヨレになり、
葉の艶を失って、だらんと垂れてきます。
水切れに強いユーカリであれば、
そこからしばらくは枯れずに頑張るのですが、
platypusは水が切れるとすぐに、
下葉に枯れが出たりなど傷みやすいので、
水切れには特に注意が必要になります。
冬季になると、吸水量は激減しますが、
それでも西AZのユーカリの中では、
かなり吸水を必要とする方です。
※tetragonaと同程度
冬季でも気づかないうちに水が切れて、
葉が枯れ出していることもあるので気をつけてください。
また、冬季の過湿には、西AZのユーカリの中では、ですが、
ビックリするほど耐えることができます。
また多くの西AZのユーカリが葉痛みしやすい梅雨時期でも、
あまり葉に痛みが出ることはありません。
platypusは、西AZのユーカリらしく、
強烈な日光や高温にはとても強いです。
葉は全く粉を吹いていませんが、
真夏の直射日光などものともせずに元気に育ちます。
ザッと育ててみた感じの印象ですが、
とても楽で丈夫なlehmanniiと言った感じです。
lehmanniiを問題なく育てられる人なら、
platypusは楽に管理できることと思います。
気になるplatypusの耐寒性についてですが、
恐らく、macrocarpaやalbidaなどと同じく、
-8℃くらいまでは耐えられるものと思います。
-8℃程度の耐寒性を持つとされる
西AZのユーカリは、-5℃程度になる我が家のベランダでも、
それなりに紅葉したり、少し葉痛みが生じることがあります。
ところがplatypusは全く紅葉することがなく、
夏場と同じように、鮮やかな葉色を保ち続けています。
昨年の冬は屋外に完全放置していましたが、
目立った葉痛みはほとんどなかったので、
本当はもっと高い耐寒性を兼ね備えているのかもしれません。
platypusの香りについてですが、
シネオールベースのスッとした強い香りに
柑橘系の香りが少しだけ加わったような爽快な香りです。
これは万人受けするであろうとても良い香りです。
orbifoliaやdecipiensなどの香りにも似ており、
さらにシネオールを強くしたような感じです。
葉が硬く分厚いためか、
軽く葉に触れただけではほとんど香りませんが、
強く葉をこすったり、葉を千切ったりしたときには、
周りが香りでいっぱいになるほど強く香ります。
恐らく精油の含有量もかなり多いと思われます。
精油の含有量の多いユーカリは、
支柱を施すときや、剪定などの際に
たくさん触ると、すぐに手がベトベトになるのですが、
platypusもすぐに手がベトベトになります。
栽培したり、花を咲かせたりする用途以外にも、
香りを楽しむユーカリとして十分に利用できます。
現地の文献などでは、platypusの葉を
リースなどにして利用している例を見かけますが、
個人的にはリースにはどうなの?と疑問に思っています。
何故かというと、platypusの葉は、
枯れるとすぐに茶色くなって、
通常の枯れ葉のようになって縮れてしまうからです。
もっとボリュームが付いてきたら、
色々と試してみたいと思っています。
platypusには様々な特徴があり、
本当に育てていると飽きないユーカリです。
西AZのユーカリの中では、
accedensなどと並んでトップクラスに育てやすく、
西AZのユーカリ入門編にも最適です。
コンパクトに管理しやすく、
樹形もこんもりと茂りやすいというのも
とても魅力的な性質です。
platypusは、日本ではとてもマイナーなユーカリなので、
タネから育てるしかないのでは?と思われるでしょうが、
親愛なるこあら師匠の農場では、
すでに栽培が始まって、商品として並んでいます。
育苗初期には少し難しいところがあるので、
慣れない人は、苗を買って育てた方が良いかもしれません。
興味のある方は是非とも育ててみてください!
そして花が咲いた暁には、
何色の花が咲いたか、是非とも教えてくださいね♪
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<栽培難易度:B+>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★★
要水分:★★★
耐過湿:★★★
耐水切:★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★
耐暑性:★★★
耐病虫:★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2013-06-14 12:39 | ユーカリ紹介