ユーカリ栽培で厳禁なコト その1(日照と風通し)
毎月たくさんのお問い合わせをいただきます。
その多くは栽培知識に関することであったり、
調子の悪いユーカリの改善策についてです。
ユーカリは栽培の難しい植物と言われることがあります。
確かに日本とは大きく気候の異なる
オーストラリアの植物なので、
若干癖のある部分もあると思います。
ただ大きく分けて3つのポイントにさえ気を付ければ、
特に難しい植物ではなく、その他の在来の植物でも
もっと難しいものはたくさんあると思います。
ただこの3つのポイントを抑えていないと、
なかなかうまくいかないことが多いです。
これからユーカリの栽培を始める方や、
ユーカリの栽培に苦戦している方は
この3つのポイントをチェックしてみてください。
1. 日照と風通し
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ユーカリ栽培に失敗される方の多くは、
ユーカリを観葉植物やハーブ草木だと思って、
育てている人が多いです。
率直に
ユーカリは観葉植物でも
ハーブ草木でもありません。
ユーカリは大型樹木になります。
樹高が最も小さなものでは、
1~2mというものもありますが、
これは砂漠地帯に生息する非常に希少な種です。
まず日本で手に入れることはできません。
実際に手に入れることができる品種としては、
最も小さなものでも2~4m程度の樹高があります。
これはかんきつ類の樹木やツバキなどに相当します。
ただこの超小型の品種は決してメジャーではなく、
日本で手に入れやすいユーカリの多くは、
最低でも20m程度の大型樹木になるものばかりです。
これはケヤキやクスノキなどに相当します。
gunniiやglobulus、レモンユーカリやポポラス、
銀丸葉ユーカリなども全てが20mオーバーで
要するにケヤキの苗木を盆栽ばりの鉢植えで
育てていることに等しくなります。
そしてユーカリはこれらのクスノキなどと同じく、
森林の最も高い位置で繁栄している陽樹になります。
そのため、基本的には、終日の直射日光が必要になり、
最低でも半日陰以上の日照が必要です。
また乾燥した国の植物ですので、
周囲に他の植物のない、風通しの良い環境を好み、
用土が長く湿っていることを嫌います。
これらの性質を踏まえて、
多くの観葉植物のように、
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室内管理は不可能です。
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これは実際にやってみるとわかりますが、
色々実験してみて、
室内栽培は不可能であると言い切ります。
人間の目は光を感じる能力が高いので、
屋外と室内の明るさの差が良く分かりませんが、
実際に照度計で計測してみるとびっくりするほどの差があります。
正直明るい室内の窓辺よりも、暗い屋外の日陰の方が
遥かに明るいということがわかります。
また室内というのは、
びっくりするほどに風の動きがありません。
特に昨今の機密性の高い住居ではなおさらです。
実際に何も植えていない2つの鉢と土を容易し、
室内の明るい窓辺と暗い屋外の日陰にそれぞれ置いて、
どちらが早く全乾燥するのかテストしてみると、
圧倒的に後者の方が早いことが分かります。
ヘタをすると少し日当たりの悪い室内の場合、
いつまで経っても土の内部が乾かずに
いつしかカビが生えてしまうこともあります。
私は虫を飼っていますので、
これでもその差を実感しています。
虫の飼育容器を室内に置いた場合、
いつまで経っても用土が乾かず、
排泄物はカビだらけで酷い臭いを出します。
これは乾燥器や空気清浄機を置いても効果なしです。
虫の場合は暗い日陰に置く必要があるので、
屋外のかなり暗い場所に置いたものでも、
すぐに用土は乾き、カビも臭いもほとんどありません。
このように室内と屋外では、
実際にテストを行ってみないとわからない、
天と地ほどの環境の差があるのです。
この日照と風通しというのは、
ユーカリ栽培にとって最も重要なポイントといえます。
正直これさえ押さえておけば、
それだけでユーカリ栽培は簡単と言える程です。
また逆にこのポイントを押さえていないと、
ユーカリは非常に栽培が困難な植物と思えるでしょう。
少々用土や鉢が悪くても、水分管理がまずくても、
日照と風通しさえ良ければ、何とかなるものです。
他では多くのユーカリの耐寒性は
多くの方が思っているよりも遥かに高いです。
日本で見かける多くのユーカリでは、
レモンユーカリを除いて、
最低でも-8℃以上を耐えることができます。
レモンユーカリも幼い間は、
-3℃程度で管理することが望ましいですが
成長して葉の毛が無くなった後は
-8℃程度でもほとんど葉痛みが生じなくなります。
冬場の管理は過湿を避けることで、
耐寒性をさらに上げることが可能になります。
逆に過湿は大きく耐寒性を下げることにもなります。
耐寒性-20℃のユーカリであっても、
厳冬期に毎日用土がビタビタでは、
枯れずとも激しく葉痛みが起こってしまいます。
良くユーカリを販売している店舗の説明に、
●室内で育てられます。
●冬場は0℃以上の管理が必要です。
●冬場は室内で管理しましょう。
と書かれているのを見かけますが、
これら全ては大ウソです!
■ユーカリは室内では育てられません。
■0℃ごときを耐えられないユーカリは日本にありません。
■冬場もできる限り屋外で管理しましょう。
これが正解です。
寒地で耐寒性の厳しいユーカリを育てる場合には、
下記のような方法が有効です。
1. 簡易温室を使用する
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ホームセンターなどで2,000円程度で売られている、
無加温の簡易温室を使用することでかなり耐えられます。
実際に-3℃程度での管理が推奨のユーカリでも、
-8℃以上の環境で葉痛みなしという実績があります。
ただし、寒さの和らぐ昼間には、
温室の窓は完全に開け放っておいてください。
これ以上に寒さの厳しい地域では
簡単な加温温室を使用すると良いでしょう。
2. 夜間のみ室内で管理する
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昼間は完全に屋外で管理します。
そして夜間のみ玄関などに取り入れて管理します。
例えば朝出かける際に外に出して良く日光と風に当て、
夜帰宅時に玄関内に取り込むといった感じです。
やたらと寒さの厳しくなるような日は
終日玄関内に取り込んでいても、
数日程度であれば調子を崩すことはないでしょう。
しつこいようですが、
ユーカリの室内管理は不可能です。
是非ともこの失敗だけは犯さないように気をつけて、
ユーカリは観葉植物ではなく樹木であることを
忘れないで栽培に臨んでください。- # by eucalyptus_k | 2015-09-02 18:59 | ユーカリ(栽培知識)
ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その1
今日から私の育てている
全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いていきたいと思います。
ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。
他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。
■ Eucalyptus globulus ssp. globulus(グロブルス)
水食いで強健だが、暑いのはあまり好きではない。
ただ高温障害の出る程までに弱くはない。
日照が足りないと極端に生育が悪くなる。
例えば、葉の一部だけに日光が当たっていると、
その周囲の葉だけがやたらと大きく立派になる程である。
鉢植え管理でも激しい剪定を必要とする程の
基本的に枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:300cm / 鉢:スリット7号】
■ Eucalyptus globulus ssp. bicostata(ビコスタータ)
水食いで強健、私的にはグロブルスでは最も楽で育てやすい。
原種よりも暑さや日照不足に対する適応力が高い模様。
基本、水だけ毎日与えて放置でも全然問題ないが、
放置しすぎるとハダニが発生するのでたまに水をかける。
成長は激しいが原種程の暴力的な印象はない。
基本的に全く枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:250cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus globulus ssp. maidenii(マイデニー)
寒い季節や涼しい季節は放置気味だが、
かなり高温多湿に弱いらしく、梅雨時期や夏などは、
少し気にかけて、水分管理に気を付けている。
原種やビコスタータのように適当に管理していて、
一度150cm級を枯らせたので、グロブルスでは最も鬼門。
真夏の日光の激射を浴びると葉先が少しヘタることもある。
夏場はしっかりと頭で考えて水分管理を心掛ける必要がある。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus globulus ssp. pseudoglobulus(スードグロブルス)
置き場所が悪いので成長はあまり進んでいないが、
原種とビコスタータの間のような位置づけ。
暑さや空中湿度に対しては原種よりも強く、
ビコスタータ程は安心のできないレベル。
基本強健で放置でも問題ない。
ただししっかりと日光に当てないと成長は遅くなる。
葉色の緑が強く、あまり粉を吹かないのが特徴。
【樹高:100cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus cinerea(シネレア)
一般の御宅で屋外管理すると基本的には生育良好。
我が家では生育こそ良好で強健ではあるが、
置き場所が悪いので、夏場は葉が傷みやすい。
どちらかというと涼しい季節に良く日光に当てると良い感じ。
家では強健が故に辛い環境で育てられて見栄えはイマイチ。
葉を綺麗に保ちたい場合は、程良い日照と風通しの良さが大切。
水は思ったより吸わないなという印象。
今は枯れる気のしないユーカリの一つになっている。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus cinerea var. pendula(シネレア・ペンデュラ)
タネが希少なこともあって
少し気にかけているので、見栄えは悪くない。
基本定期的に水を与えるだけの管理で問題ない。
原種同様に過湿、日照不足にも強いので非常に楽な部類。
ただ原種に比べると過保護な管理をしている割には成長が遅い印象。
【樹高:60cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus pulverulenta ssp. pulverulenta(プルベルレンタ)
一般の御宅では生育が良好なことを考えると
我が家ではあまり良い状態とは言えない。
特に我が家の風通しの悪い高温多湿な環境が嫌いな模様。
手をかけて場所を改善すればもっと良くなると思われる。
用土や鉢、日照はそこそこ高いレベルを要求するので、
シネレアのように放置でOKとはまだいかない。
思い通りの樹形に育てるには恐ろしく難易度が高い。
【樹高:100cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus pulverulenta ssp. babyblue(ベイビーブルー)
以前は日照の悪いクーラー室外機の近くに置いており、
年中葉はボロボロで枯死寸前までいったので、
西AZのユーカリ並みの良い場所に移して手をかけたところ、
一気に葉が綺麗になって樹形も良くなってきた。
日照は半日陰程度でも良いので、
涼しく風通しの良い環境が最も大切。
環境さえ良くて少し手をかけてやればまだ楽な部類。
【樹高:60cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos(ポリアンセモス)
これもかなり強健な部類なので、
可愛そうな程、劣悪な場所に置いていて、
葉の状態はとても綺麗とは言えない。
ただ放置で全然育てられるレベル。
上の方の一部の葉には少し日光が当たるのだが、
その場所の葉は驚く程に立派で美しくなる。
用土の選別さえ間違わなければ、
ある程度の日照環境で放置でも問題ない。
暑さにはとても強いようで、
少し暑くなってからの方が成長が進む。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus polyanthemos ssp. vestita(ポリアンセモス・ベスティタ)
こちらは原種とは異なって、ある程度の環境に置いて
ある程度手をかけてあげないと一気に痛む。
また原種に比べると色々と病気にも弱い模様。
相応の場所で少しだけ水分管理に気を使ってあげれば、
特に問題なく、美しい樹形を維持できる。
少し我儘とは言えども他に比べると遥かに楽な部類。
高温障害の症状は出ないが、原種よりは暑さを嫌う。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus camphora(カンフォラ)
巷では生育良好で楽なユーカリというイメージだが、
かなり「純粋な暑さ」を嫌うイメージ。
春先の涼しい季節の生育は良好だが、
夏場は葉が汚くなって、成長が進まない。
耐陰性などの前評判はそこそこだったが、
我が家では少しは手をかけてあげないとしんどいレベル。
冬場以外の水遣りは表面が乾いたらの超級水食い。
水分管理はスルーで日照と風通しの工夫が少しだけ必要。
東北で育てている人は非常に生育良好との情報有り。
【樹高:50cm / 鉢:スリット6号】
■ Corymbia maculata(マキュラータ)
成長も早く、一般的なユーカリの管理でOK。
暑さや空中湿度、過湿に対する耐性は高いが、
寒さにはそこまで強くない(-5℃程度)。
クーラー室外機の側でも全然放置でOKだが、
ある程度の日照がないと成長が進まなくなる。
水切れにだけ少し気を付ければ非常に楽なユーカリ。
【樹高:170cm / 鉢:プラスチック6号】
■ Corymbia citriodora(レモンユーカリ)
クーラー室外機の間横でも生育は良好。
暑さや過湿に対する耐性はぴか一。
その代わり毛の生えている葉は冬場に激しく傷む。
日光はとても好きなようで、
これも日光の当たっている葉だけが大きく立派になる。
定期的に水さえ与えていれば完全放置でOKのユーカリ。
【樹高:300cm / 鉢:プラスチック7号】
■ Corymbia peltata(ペルタータ)
小型品種のためか成長は少し控え目。
ある程度の日光さえ確保できればとても楽なユーカリ。
これも日光が当たる場所の葉だけが極端に大きくなる。
レモンユーカリ程ではないが寒さは得意ではない模様。
樹高の割には水切れが激しいので、相当水食いのイメージ。
【樹高:45cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus staigeriana(スタイゲリアナ)
空中湿度や暑さには我が家では全く問題ないレベル。
ただし日照だけは少し大切で、日照が不足すると、
へなちょこな葉ばかりでうどんこ病が発生する。
以前は劣悪な環境に置いていたが、
最近は少しは日光の当たる場所に置いているので、
生育も良く、基本放置でOKなユーカリ。
日照以外では我が家の環境に適応していると言える。
樹高の大きさもあるが、水切れが非常に早いので、
旅行に行かせてくれないユーカリの一つ。
【樹高:200cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus muelleriana(ミューレリアナ)
暑さ、空中湿度、過湿に対して非常に強く、
寒さにも弱くないと弱点の見つからないユーカリ。
日照が良いと成長が激しすぎるので、
クーラー室外機の風をもろに浴びるような
劣悪な場所に置いているにも関わらず、
それでも成長は激しく、全く痛み知らず。
水切れが激しく我が家では間違いなくトップの水食い。
恐らく炎天下で育てるなら、一日何度も水がいるかもしれない。
現在予定はないが、鉢増しの際には、
かなり保水性の高い用土を使うつもりでいる。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】
もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。
それでは、その2に続きます。- # by eucalyptus_k | 2014-08-22 14:24 | ユーカリ(栽培知識)
ポポラス(polyanthemos)の蕾情報
先日、ユーカリ栽培仲間のkikaku024さんから
ポポラスことpolyanthemosの蕾情報が届きました。
polyanthemosという学名は、
たくさんの花という意味ですので、
ハートリーフのような可愛い葉の他にも
たくさんの花が咲くという魅力的な特徴があります。
育てている人が多い割に、
全く開花情報を聞いたことがなかったので、
今回の情報はとても参考になりました。
polyanthemosの蕾付きの切枝である
ポポラスベリーを収穫したい方には朗報です。
こちらがkikaku024さんよりご提供いただいた写真で、
樹高は110cm程度のpolyanthemosだそうです。
このpolyanthemosは地植えとなっていて、
株元の幹の太さが直径2cmほどもあるそうなので、
鉢植えで開花を実現するためには、
ある程度の年月とさらなる成長が必要でしょう。
ただそれでも私的な推測としては、
鉢植えで数年、150~200cm程度の株で
開花を実現できる可能性があると考えています。
我が家のpolyanthemosは、
樹高だけは150cm以上ありますが、
株元の幹の太さは直径2cmに軽く及びません。
polyanthemosはとても強健なユーカリなので、
我が家でもイマイチな環境の場所に置いていますが、
もう少し置き場所を改善して、
開花を目指して見るのも面白いかもしれません。
kikaku024さん
貴重な情報をありがとうございました!- # by eucalyptus_k | 2014-07-28 17:39 | ユーカリ(花と蕾)
ユーカリの幹が太らない?
最近、「ユーカリの幹が太らない!」
というお問い合わせをいくつかいただいています。
確かに私もたくさんユーカリを育てていますが
支柱をせずに自立するようなユーカリは
本当にわずかしかありません。
この理由はいくつか考えられますが、
まずほとんどのユーカリは
かなりの大型樹木であるということがあります。
特に日本で良く見かけるユーカリは
どれも大きくなるものばかりです。
gunnii(グニー)...25m程度
globulus(グロブルス)...45~70m超
polyanthemos(ポポラス)...20m程度
cinerea(銀丸葉)...20m程度
citriodora(レモン)...50m程度
bridgesiana(アップルボックス)...25m程度
どれも家の2階なんて
簡単に超えてしまうようなサイズですね。
良く聞くのが、2~3mでも
幹が一向に太らないというお話ですが、
これらのユーカリにとって、
2~3mなんてまだまだ子供で、
苗木レベルでしかないということになります。
サクラなどの植樹を思い浮かべていただくとわかりますが、
数メートル程度の苗木はそれはそれはヒョロヒョロで
どれもしっかりと支柱や添え木がされていると思います。
丁度これと全く同じ状態になるのです。
幹を早く太らせるためには
環境やその他様々な要因も絡んでくると思いますが、
樹木は先に背丈を伸ばそうとする性質が強いので、
相応に年月をかけて太らせていくものだとご認識ください。
だって、考えてもみてください。
ユーカリ自体は、20m以上の高い樹高を目指して、
どんどん枝や葉を出して樹高を伸ばそうと頑張っているのに、
わずか2~3mで新芽を摘まれたり、
剪定で樹高を抑えられてしまうので
幹を太らせる余裕なんて中々ないというわけです。
おまけにそれが鉢植えだったり、
いくら地植えでも、根を伸ばせば
すぐに家の基礎や壁、他の植物の根があるような場所では、
なかなか根も満足に伸ばせないので、
もちろん幹を太らせる力も満足に出せないのです。
gunniiは先述した通り25m級のユーカリですが、
良くご近所のお庭に植わっているgunniiは
25mになっているものなんてほとんどないと思います。
恐らく、樹高は2~4m程度で止まり、
幹もとても細くヒョロヒョロしていると思います。
これは上記の要因の通り、小まめな剪定のたまものでもあり、
日本の庭がどうしても狭いという事情によるものでもあります。
試しに広い畑の真ん中にgunniiを地植えした人がいますが、
何も邪魔をするものもなく、ふんだんに根を伸ばすことができ、
日光もガンガン浴びることのできるそんなベストな環境では、
3年程度の短期間で簡単に電信柱を超えたそうです。
もちろんこのような株は幹も早く太ります。
ソースは忘れてしまいましたが
大型樹木の成長の変遷として、
樹高を伸ばす→葉を茂らす→幹を太らす
という大まかな順序があったかと思います。
そのため、大きな樹木であるユーカリは
まず樹高を伸ばすことに必死で
幹を太らすのは後回しになるというわけですね。
5年前に近所で見つけた地植えのgunniiがあります。
その当時このgunniiは良く見かける通りヒョロヒョロで
それはそれは頼りない印象がありました。
そのお宅は植木屋さんの親戚がいるので、
毎シーズン見事に剪定を行っており、
いつ見ても3m程度の樹高に収まっていました。
そして5年が経過して、先日見たそのgunniiは
樹高は5年前と全く同じく3m程度で収まっていましたが、
幹はとても太くなり、とても立派な木になっていました。
このように、根気良く管理を続けていれば
いつかは必ず立派な幹になるものです。
あと、日本ではあまり見かけないレアなユーカリで
最高樹高が2~4m程度という品種がいくつかあります。
このようなユーカリは品種ごとの性質にもよりますが、
比較的早い段階で幹が太り、自立しやすいものが多いです。
我が家でも250cmを超えるcamaldulensisの
株元の直径はわずか1.5cm程しかありませんが、
70cmのalbidaの株元の直径は2.5cm以上、
120cmのcaesia ssp. magnaの株元の直径は4cm以上、
100cmのmacrocarpaの株元の直径も4cm以上あります。
camaldulensisは45m級の大木品種ですから、
250cmでもわずか1/18しか成長していません。
ところが、macrocarpaであれば、3m程度ですから、
既に樹高の1/3は成長しているわけです。
その他では、日本はオーストラリアよりも
かなり湿潤でジメジメしているので、
現地よりも根張りが悪くなる傾向があり、
地植えでも徒長しやすいという話もあります。
このような理由により、
多くのユーカリはちょっと幹が太りにくいのですが、
ぜひ根気よく育てていってみてください。- # by eucalyptus_k | 2013-06-10 18:13 | ユーカリ(栽培知識)