雪のユーカリ
あけましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
近所の氏神神社に初詣に行ったら、
辺りは大阪では珍しい雪景色になっていました。
神社公園に寄贈した地植えのユーカリにも
たくさんの雪が積もっています。
こちらはcladocalyx nana、
こちらはmelliodoraです。
そして実家の庭のユーカリも雪まみれ。
左は寒さに強いsmithiiですが、
右では寒さには弱いerythrocorysにも
完全に雪が積もっています。
恐らくオーストラリアの生息地に生えていたら
一生涯雪を見ることはないのかもしれません。
こちらは右がperrinianaとpleurocarpa、
そして左がmacrocarpaです。
このあたりはまだまだ頑張れると思います。
我が家のベランダの方では雪以前に
台風級の暴風で転倒する株が続出。。。
酷いものは台から落ちて鉢が割れていましたので、
寒い中、復旧のための植え替え処理を行いました。
根鉢は弄ってはいませんが、
無事に越冬できることを祈っています。- # by eucalyptus_k | 2015-01-01 16:46 | ユーカリ(栽培実績)
台風の接近とユーカリの避難
先日に引き続きまたまた台風襲来です。
いつも何故か当初は大阪に近づくと予想されますが、
ここ数年、大きく逸れてほとんど影響がありません。
ところが今回はいつまで経っても予想が逸れずに
当初の予定通り大阪に向かって進んでくるようです。
いつもは手抜きのユーカリ避難ですが、
今回は最大級の防備体制を引くことにしました。
全ての鉢を台の上から降ろして、
床面で強固なスクラムを組んでいます。
元々マンションの高層階ということで、
風速20m級の風が吹くことが良くあります。
そのため、鉢で常に強固なスクラムを組んでいるため、
滅多なことでは転倒はあり得ないのですが、
以前安心して置いていたら、転倒はなくても、
幹が真っ二つに裂けたことがあります。
また夜間のため、心配で夜も眠れないので、
時間をかけて防備体制を引くことにしました。
また強風により新芽が傷んだり、
蕾が取れてしまったりするので、
そのための防備体制でもあります。
それでも動かせない3m級の株については、
風に吹かれるままになりますが、
まあ強健な品種ばかりなので、
折れたら剪定と割り切ることにします。
ただこのクラスの株については、
もう私の力では折ることもできませんし、
ハサミも通らず、剪定にはノコギリが必要になります。
またびっくりするほどに幹に柔軟性がありますので、
物干台に守られて実際にはほとんど影響はありません。
この防備体制の準備ですが、
水遣り作業と合わせて、2時間近くかかります。
またもちろん戻す時にも
それ以上の時間がかかることになります。
私は商用栽培者ではないので、
そこまで切羽詰まったものはありませんが、
農業に従事されている方が、台風はとても頭が痛い
と言っている気持ちが少しわかるような気がします。
これはユーカリではないゴールドクレストと
ユーカリのerythrocorysですが、
非常に樹高が高く、安定感もないので、
このような株は臨時で室内に退避しています。
最近、鳴く虫収集にも凝っている私ですが、
また淀川の河原が水没しないこと、
そしてこの台風で大きな被害が出ないことを
心よりお祈りしています。- # by eucalyptus_k | 2014-10-13 13:16 | ユーカリ(その他)
西オーストラリアのユーカリ栽培のポイント
一般的に西AZのユーカリは
日本と環境が合わないため、
栽培が難しいと言われています。
確かに中には少しのミスで枯死につながるものや、
毎年同じ時期になると調子を崩すものがあり、
安心して放置できないものが多いです。
日本との大きな環境の差としては、
●絶対的な降雨量に差があること(日本の1/6程度)
●夏が乾燥し、冬が若干湿潤であるということ
●日本のような年単位での寒暖差より一日の寒暖差が大きいこと
●降雨による水分よりも地下水を吸っていること
●土壌の養分が日本と大きく異なること(日本よりも貧しい土壌)
などが挙げられるかと思います。
同じユーカリと言うことだけで、
日本でありふれたgunniiなどと
同じように栽培しているだけでは、
確かにうまくいかないこともあるでしょう。
ただ一部の難しい品種を除けば、
後はその栽培方法にさえ慣れてしまえば、
そこまで難しいものばかりではありません。
私が勝手に感じている範囲で
西AZのユーカリにはいくつかのグループがあります。
それによって若干栽培方法が変わってきます。
あくまでも我が家の栽培環境による判断ですが、
西AZのユーカリの栽培ポイントについて記します。
※あくまでも鉢植えでの管理のポイントです。
ただしあまりにも西AZのユーカリの管理に慣れ過ぎると、
植物=乾燥を好み、肥料はほぼ不要となってしまって、
私のようにパセリを枯らすことになるかもしれません。
1. 半砂漠地帯に生息する強乾燥を好むグループ
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このグループのユーカリは、
最も日本と環境の差のあるグループです。
大体、難しい品種というのは、
このグループに含まれるものが多いです。
とにかく用土の選定を間違えると
難易度がさらに驚異的に跳ね上がります。
またものによっては、梅雨時期などは
雨を避けた方が良いものもあります。
○乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○用土は最も乾燥力の強いものを選ぶ
○真夏はほぼ一日で用土が全乾きするくらいの配合が良い
○この配合で朝に一日一回の水遣りで夏を乗り切る
○終日直射日光に当てて育てる、半日陰は苦しい
○暑く日照が良く、風通しの良い場所に置く
○冬場はほぼ断水に近いほどの管理を行う(月1~2回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○荒れ地に生息しているため高pHや多肥を嫌う傾向にある
○肥料はリン酸分を嫌い鉄分や亜鉛などを多く必要とする。
○室内管理は論外
macrocarpa/rhodantha/kruseana/campaspe/woodwardii
youngiana/gamophylla/gongylocarpa/tetraptera など
2. 非常に乾燥した半砂漠地帯に生息する強乾燥を好むグループ
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このグループのユーカリも、
最も日本と環境の差のあるグループです。
1のグループ程、激しい日光と高温を必要とはしませんが、
用土の乾燥力はさらに強化した方が良いものが多いです。
用土の選定を間違えると難しいところは同じですが、
日照よりも風通しに気を付ける必要があります。
高い空中湿度のある場所ではすぐに葉を散らせます。
多くの品種において、梅雨時期などは
雨を避けた方が良いものが多いです。
○乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○用土は最も乾燥力の強いものを選ぶ
○終日直射日光に当てて育てるのが良く、半日陰程度でもOK
○何よりも風通しの良い場所に置くことが重要
○ジメジメして人間が不快を感じるような高温多湿な場所を避ける
○梅雨時期の葉痛みはある程度の妥協が必要な場合もある
○夏場でもかなり水切れに耐えられるものが多い
○半日陰程度であれば夏場でも一週間程度持つものもある。
○冬場はほぼ断水に近いほどの管理を行う(月1~2回)
○冬場は底面吸水が良いが1ほどは気を使わない
○肥料は1ほど気を使わないが高pHや多肥は好まない。
○室内管理は論外
orbifolia/websteriana/gillii など
3. 平均的な西AZのユーカリに属するグループ(高温を好む)
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このグループのユーカリは、
平均的な西AZのユーカリ栽培方法で管理できる
最もスタンダードな品種です。
その中でも特に高温と日光を好み、
夏場に大きく成長を進めるものが多いです。
このグループのユーカリを入門編として
育てると良いと思います。
私のユーカリ栽培方法は
このグループのユーカリを最も中心に考えていて、
我が家でも調子の良い品種が多いです。
○育苗初期は乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○一度根をしっかり張ってからはある程度融通が効く
○用土はかなり乾燥力の強いものを選ぶ(粒状培養土系)
○根をしっかり張った後はそこそこ吸水量の激しいものもある
○終日直射日光に当てて育てるのが良い
○半日陰程度でも栽培は可能だが成長力はかなり悪くなる
○暑く日照が良く、風通しの良い場所に置く
○冬場はかなり乾燥気味の水遣りを行う(週1回~10日に1回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○肥料にはそこまでうるさいものは少ないが高pHは良くない。
○室内管理は論外
albida/pleurocarpa/extrica/dicipiens/torquata/torwood
caesia/forrestiana/pachyphylla/pluricaulis
salmonophloia/uncinata/dolichorhyncha など
4. 平均的な西AZのユーカリに属するグループ(穏やかな気候を好む)
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このグループのユーカリは、
平均的な西AZのユーカリ栽培方法で管理できる
最もスタンダードな品種です。
日光は特に好きな品種ですが、
どちらかというと涼しい季節に成長を進め、
盛夏にはあまり動きがなくなるものが多いです。
中にはあまりにも真夏の激しい日光を浴びると
少し葉焼けをするものもありますので、
半日陰強くらいでの管理が良いです。
その分、3よりも少し過湿に強いものが多いです。
このグループのユーカリも入門編として
育てると良いと思います。
私のように3のユーカリを基本に考えていると、
夏場は少し葉が汚くなることがあります。
○育苗初期は乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○一度根をしっかり張ってからはある程度融通が効く
○用土はかなり乾燥力の強いものを選ぶ(粒状培養土系)
○根をしっかり張った後はそこそこ吸水量の激しいものが多い
○春秋冬には終日直射日光に当てて育てるのが良い
○夏場は半日陰程度か少し遮光をした方が経過は良い
○風通しの良い場所に置くことは3に同じ
○冬場はかなり乾燥気味の水遣りを行う(週1回~10日に1回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○比較的高pHに対する耐性の高いものが多い
○室内管理は論外
lehmannii/macrandra/erythrocorys/urna/grossa
accedens/crucis/lane-poolei/leptopoda など
4. 冷涼湿潤でかなり穏やかな気候を好むグループ
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このグループのユーカリは、
冬も夏も非常に温暖且つ涼しく、
少しぬるま湯的な環境で育っているものが多いです。
平均的な西AZのユーカリ栽培方法よりも
少し湿潤を好み、過湿耐性はそこそこです。
ところが高温多湿な環境をとても嫌い、
高温多湿が過ぎると、葉が激しく傷んだり、
菌類系の病気に悩まされることが多いです。
日照は半日陰程度で十分なので、
できる限り風通しの良い涼しい場所で管理します。
どちらかというと涼しい季節に成長を進め、
盛夏にはほとんど動きがなくなるものが多いです。
冬場もそこまで耐寒性の強いものは少ないですが、
寒くてもそれなりに吸水の進むものが多いです。
私のように3のユーカリを基本に考えていると、
夏場は少し厄介なところもあるユーカリです。
○育苗初期は湿潤に管理しても生育は良好(育苗は楽)
○初期の育苗はなるべく涼しい季節を中心に行う
○用土は排水性の良いものを選ぶ(夏を乗り切るため)
○根をしっかり張った後は吸水量の激しいものが多い
○春秋冬には終日直射日光に当てて育てるのが良い
○夏場は半日陰程度か少し遮光をして育てる
○何よりも風通しの良い場所に置くことが重要
○ジメジメして人間が不快を感じるような高温多湿な場所を避ける
○冬場は東AZのユーカリと同じような水遣りでOK
○肥料はリン酸分を嫌い高pHでは障害の発生するものが多い
○一部厳冬期の日中や夜間限定の室内退避は可能
preissiana/pachyloma/nutans/platypus/vesiculosa など
5. 例外-1(rudis)
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高い空中湿度に対する耐性もあり、
暑さに対する耐性も高いので、
楽な東AZのユーカリと同様に育てられます。
西AZのユーカリではありますが、
ユーカリ全体でもかなり育てやすい部類になります。
湿地帯生息種のため相当の水食いですが、
そこまで水切れが早いということもありません。
特筆すべきポイントは、冬の寒さには特に弱いので、
小さな間は0℃以下にならない場所に
退避して管理することが大切です。
※成長後は-5℃程度でも耐えることができる。
日照も半日陰程度で育てられます。
また高pHに対する耐性も高く、
用土を酸性にする力が強いので、
アルカリ土壌の改良にも使用されるそうです。
5. 例外-2(moon lagoon)
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半日陰程度の日照でも育てられます。
また過湿に対してもかなり高い耐性を持っています。
かなりの水食いで水切れに気を付ける程ですが、
排水性の高い用土を好みますので、
ある程度乾燥気味に管理した方が生育は良好です。
特筆すべきポイントは
ユーカリには珍しく高pHと多肥を好みます。
肥料をたくさん与えないと生育が悪くなり、
与えれば与える程効果が表れてきます。
そして最後に総括です。
■用土
最も重要な要素の一つです。
この選定を間違えると難易度が跳ね上がったり、
根本的に栽培が不可能な場合があります。
置き場所や栽培環境により左右されますが、
下記が一般的にオススメの用土です。
○ゴールデン粒状培養土 観葉植物用などの粒状培養土
1や2などの強乾燥を好む品種では、
ここに鉄分が豊富な桐生砂、岡山土などや、
ゼオライト、日向土、軽石などを加えて乾燥力を強化する。
○自前でブレンドする場合
硬質赤玉土や硬質鹿沼土などをベースに使用するか
上記の岡山土や日向土などをベースに使用する。
赤玉土や鹿沼土は硬質のものを使用しないと
崩れて粘土化して逆効果になる。
※硬質と名の付くものは通常の2倍以上の価格がします。
○私のブレンド用土(参考)
硬質赤玉土...3
硬質鹿沼土...2
桐生砂...2
ゼオライト(クリノプチロライト系)...2
くん炭...1
■鉢
乾燥力の強いものが推奨です。
下からも乾燥が進むスリット鉢がオススメです。
陶器系のしゃれた鉢などはオススメできません。
また根張りを考えて縦に長いものが良いです。
テラコッタや素焼き鉢などもOKですが、
素材状菌類の繁殖が進みやすいようです。
※経験上経過がイマイチ
根が十分に張り切るまでは、
全体的に株に比べて少し小さめの鉢で栽培すると
格段に難易度が下がります。
この理由は単純に鉢が小さいと
用土量が少なくなるため、
根の行き届かない範囲の用土に
無駄な水分が残ることを防止できるからです。
■日照
一部の真夏の直射日光を避ける品種以外では、
在来の植物では信じられないほどに耐性があります。
特に葉の白い粉は日焼け防止の効果もあるので、
白みの強いものは激しい日光を好むものが多いです。
ユーカリはあくまでも樹木なので、
基本は花草よりも多くの日光を必要とします。
また日光は蒸散と吸水の少ない西AZのユーカリの
用土乾燥を促す効果もあります。
株だけではなく、鉢や用土にも良く日光を当てることで、
根の成長促進と乾燥力強化につながります。
これはかなり大きく成長に差の出るポイントです。
■風通し
全体的に風通しの良さは重要です。
特に東AZのユーカリと比べると大きく差の出るポイントです。
目安は気温自体は暑くても良いので、
人間が不快になるようなジメジメした空中湿度を避けます。
風が良く吹いて外でも涼しいなと感じる場所が良いです。
私がユーカリに適したような
湿度の低い国を訪れた際の経験談ですが、
気温が30℃以上あったとしても、
長袖の白い服を着ている方が涼しいのです。
このような湿度の低い環境がユーカリには最適になります。
また周囲に他の植物や壁などがない場所の方が
格段に風通しが良くなります。
ただし強風による転倒には注意が必要です。
■水分管理
西AZのユーカリ栽培を左右するとても重要なポイントですが
用土と日照、風通し次第では
そこまで気を使わなくて良くなります。
日本の多くの植物では用土表面が乾き始めたら
水遣りを行うという指標がありますが、
それでは少し多すぎるきらいがあります。
どちらかというと用土が中の中まで
ほぼ全乾きする寸前がベストな水遣りタイミングです。
このタイミングは本当に
置き場所や根の張り具合で大きく変わります。
例えば1のグループに属するmacrocarpaでも、
用土と鉢サイズが適切で真夏に直射日光下に置くことで、
ほぼ一日で完全に用土が乾くということになります。
逆に用土の保水性が高く、置き場所の日照が悪く、
根の張りも不十分である場合には、
真夏でも一週間経っても用土が一向に乾かないこともあります。
ユーカリ全般に言えることですが、
特に西AZのユーカリでは、
用土が良く乾き、良く水を与えるといったサイクルが
最も健康な株を安定して育てられる要素になります。
そのためには先述した通り、
用土と日照、風通しがキーになってきます。
■肥料
良くあるマグァンプなどの肥料は
リン酸分が多くなっています。
日本の多くの肥料は花を綺麗に咲かせるものが多いので
自ずからリン酸分が多めに設定されています。
オーストラリアの土壌にはリン酸分が存在しないため、
ユーカリにはほとんど役に立ちません。
品種によっては害にさえなる程です。
基本的に商用栽培でもない限りは
肥料を全く与えなくても栽培は可能ですが、
成長期の液肥などはある程度の効果が見込めます。
その際にはリン酸分が少ない肥料や
微量要素(鉄分など)が多いものを選択します。
我が家では根菜用のカリウム分の多い肥料なども
相応に効果が出ていることを確認しています。
また石灰や化成肥料を与えすぎると、
土壌のpHが上がって、アルカリ寄りになります。
そうなると鉄分欠乏の症状が現れることがあります。
一部、高pHを好むユーカリもありますが、
基本ユーカリは弱酸性~酸性の用土を好みます。
肥料の与えすぎによる高pHには注意してください。
まずは入門編と言われている西AZのユーカリを育ててみて、
西AZのユーカリの育て方に慣れることが先決です。
西AZのユーカリは外観の面白いものや、
美しい花を咲かせるものが多いので、
是非とも育ててみてください!- # by eucalyptus_k | 2014-09-01 17:02 | ユーカリ(栽培知識)
たくさんの蕾を発見!
先日の台風でたくさんの株を退避しました。
退避するのも戻すのも1時間程度かかるような
大変な作業になりましたが、
それでも2時間近くかかった以前の配置よりは、
圧倒的に楽になりました。
結局台風の影響は皆無で、
退避作業は徒労に終わりましたが、
そのお陰で、いくつかのユーカリに
新しい蕾を発見することができました。
いつもしっかりと観察しているつもりなのですが、
なかなかちゃんと見れていないものですね。
まずは今年実家で開花を達成できたtorquataです。
※実家での開花記事はこちら
このtorquataはずっと調子が悪くて、
出る葉出る葉が全て枯れていくという状態でした。
ストレプトマイシンによる殺菌、
用土にpH未調整のピートモスを混ぜてpHを落とす作業、
風通しの改善を行うことによって、
見事葉枯れの症状が治まり、
今回の蕾につながってくれました。
この株は現在比較的調子は良いので、
開花の期待は大ですが、
今からだと来春あたりになるでしょうか。
次は先日開花を実現することができたtorwoodです。
※開花記事はこちら
開花した時の蕾よりも
さらにたくさんの蕾が付いています。
これも非常に調子が悪く、
torquataと同じ処置を行っています。
以前よりも少し調子は戻ってきていますが、
こちらは明らかに病気のようで、
完全に復活には至っていない状態です。
開花は来春以降になるでしょうが、
依然、状態が心配な株なので、
無事開花を実現できるかは未知数です。
次は例年開花を続けてくれているextricaです。
これも非常にたくさんの蕾をつけてくれていますが、
同じく病気がちで調子はあまりよろしくありません。
extricaは蕾から開花までが早いので、
うまくいけば今年中に開花を実現できるかもしれません。
株の調子次第といったところです。
そしてここからは私的にも
非常に嬉しい2種の蕾です。
実はこれから紹介する2種は
私が個人的に花を咲かせたいランキングの
トップにあった2種なんです!
1つ目はpachyphyllaです。
この蕾は最終的には真紅になり、
面白い形状の真紅の蕾から、
黄色い花が咲くという絶景を演出してくれます。
今の時点でも結構大きな蕾なので、
思っていたよりも大きな花が咲きそうで楽しみです。
このpachyphyllaは英名のThick-leaved Malleeの通り、
非常に硬い葉が特徴のユーカリです。
本当にその葉の硬さにはビックリします。
ヘタに手などを葉先で突くと、
刺さって怪我をする程に硬いです。
ただpachyphyllaは正直、
かなり難易度の高いユーカリです。
まずorbifoliaなども顔負けな程に
恐ろしく水を吸いません。
また少しでも過湿になると、
調子を崩して、葉を散らせてしまいます。
樹高1mにもなる株が、小さなスリット5号の
ロングに植わっているにも関わらず、
今の時期でも3日に1回程度の、
鉢底スリットからの水かけだけで十分です。
ヘタに用土表面から水を与えると、
一気に調子を崩すこともあります。
現状の調子は微妙なところで、
梅雨時期は毎年、調子を崩します。
開花実現はまだまだ何とも言えませんが、
無事な開花を心待ちにしたいと思います。
2つ目はシルバープリンセスの異名を持つ
caesia ssp. magnaです。
このユーカリの花は赤に近いピンク色で
ユーカリ中でも屈指の美しさを持っています。
また中々に立派で大きな花を咲かせます。
現在まだ枝の色は赤みが強いですが、
蕾や枝の色は完全な白銀色になっていくため、
銀の蕾と枝にピンク色の花という外観が
シルバープリンセスという名の元になっています。
caesiaは元々楽なユーカリではありますが、
これは比較的調子が良いので、
開花がとても楽しみです。
こうして見てみると、
一年目からでも開花することのある
gilliiやpleurocarpa、extricaなどは
とても花の咲きやすい
ユーカリであることがわかります。
今回新しく蕾のついた品種は
どれも3年近くかかっていると思います。
我が家のベランダでも、実家の庭でも
既に私の身長を超える程のerythrocorysが、
そろそろ開花してくれそうなものですが、
これはとても時間がかかっています。
先日も珍しいdecipiens ssp. adesmophloiaの
蕾を発見することができました。
どれもまだ無事に開花できるのかは未知数ですが、
たくさんの蕾ができるのは本当に嬉しいものです。- # by eucalyptus_k | 2014-07-19 13:57 | ユーカリ(花と蕾)
レモンユーカリの葉の変化と耐寒性
先日、同居人の実家に帰省しました。
実はこちらのお庭にも勝手にユーカリを持ちこんでいます
こちらの両親は二人とも仕事でとても忙しいので、
最も育てやすく手のかからないユーカリを選択しました。
globulus ssp. globulus、globulus ssp. maidenii
perriniana(ツキヌキユーカリ)が1本ずつと
Corymbia citriodora(レモンユーカリ)が2本あります。
どれも持ち込んだ時には、20cm程度の小苗で
レモンユーカリに至っては、
わずか5cmくらいだったと記憶しています。
お庭は南向きで非常に日照が良いので、
既に全ての株の樹高は私の背を軽く超えています。
これでも何度も剪定を行っているとのことですが、
まだ1年半ほどしか経っていません。
我が家よりも大きな鉢へと
鉢増ししてもらっていることもありますが、
非常に素晴らしい成長力を発揮しています。
ここで面白い写真が撮れたのでご紹介したいと思います。
レモンユーカリは最初、葉に激しく毛が生えていますが、
ある程度成長を進めると、その毛がなくなり、
ツルっとした光沢のある葉へと変化します。
何が基準になっているのかは不明ですが、
我が家のレモンユーカリは、既に樹高が3m近くありますが、
まだ全ての葉にはふさふさに毛が生えています。
これは葉に毛の生えたユーカリ全てに言えることですが、
毛がなくなると大幅に耐寒性が増すようです。
この毛がなくなることによる耐寒性の増加は、
他の毛の生えたユーカリである、
pleurocarpaやerythrocorysでも実証済みです。
特にerythrocorysは初期の耐寒性が弱く、
越冬後には、さほど寒くはならない我が家の株でも、
毎年瀕死に近くなるほどまでボロボロになっていましたが、
毛のなくなった今年は、例年より寒い冬であるにも関わらず、
大した葉の痛みは起こっていません。
また、レモンユーカリは、ユーカリの中では
トップクラスに香りの強いユーカリで、
毛の生えた葉を軽く指で撫でるだけでも
強く香りが指に残るほどです。
ところが毛がなくなると同時に、この香りは非常に弱くなり、
もう軽く指で撫でた程度では香らなくなります。
こちらの庭には2本のレモンユーカリがありますが、
そのうちの1本は既に、ほぼ全ての葉の毛がなくなっています。
この家は、少し高地にある住宅地なので、
我が家のベランダよりも遥かに寒くなり、
先日の大雪でもかなり積もったと聞いています。
レモンユーカリは日本での購入時の説明では、
一般的に耐寒性が3℃程度で
冬は室内に取りこんでくださいと言われます。
下の写真はその大雪を乗り越えたばかりの
葉の毛がほぼなくなった方の株です。
葉は青々としており、
ほとんど葉の傷みのないことがわかります。
面白いのはもう1本の方の株です。
こちらの株では、毛の生えた葉が半分あり、
もう半分の葉の毛がなくなっているという状態です。
上の方の葉は毛が既になくなった葉で、
下の方の紫の葉がまだ毛のある葉になります。
さらに近くで見てみると、傷みの差が良く分かります。
こちらがまだ毛のある方の葉で
全体が紫色になって、かなり傷んでいます。
酷いものではここまでボロボロになっています。
ところが既に毛のない葉では
とても傷みが少ないです。
軽く変色している程度で全く心配のない状態です!
こちらのお庭では、最低気温は-5℃以下になり、
霜どころか積雪まで経験しているわけですが、
耐寒性に難ありといわれるレモンユーカリでも
葉の毛がなくなった後は、ここまで問題なく
冬を越せるようになるということがわかります。
私の経験では、初期の毛のある葉でも、
吸水量を調整することで、葉はボロボロになっても、
-5℃くらいまでは耐えることができます。
この写真を見る限りでは、毛がなくなった後は、
-8℃くらいまでは全く問題ないように思います。
また越冬が完了した後には、
我が家のerythrocorysも紹介したいと思います。
最後に耐寒性最強クラスのperrinianaです。
さすがに葉の痛みは全く見られず、
寧ろ最もperrinianaが美しく映える季節と言えます。
このperrinianaは単にperrinianaとして
購入したタネから育ったものですが、
薄紫に変色する小さな可愛い葉が特徴である
Tasmanian Formのperrinianaであることがわかりました。
春の到来はもうすぐそこまで来ています。
また、皆さんの越冬後のユーカリ状況など、
お時間のあるときに教えていただけると嬉しいです- # by eucalyptus_k | 2014-02-24 12:21 | ユーカリ(栽培知識)