ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その1
今日から私の育てている
全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いていきたいと思います。
ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。
他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。
■ Eucalyptus globulus ssp. globulus(グロブルス)
水食いで強健だが、暑いのはあまり好きではない。
ただ高温障害の出る程までに弱くはない。
日照が足りないと極端に生育が悪くなる。
例えば、葉の一部だけに日光が当たっていると、
その周囲の葉だけがやたらと大きく立派になる程である。
鉢植え管理でも激しい剪定を必要とする程の
基本的に枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:300cm / 鉢:スリット7号】
■ Eucalyptus globulus ssp. bicostata(ビコスタータ)
水食いで強健、私的にはグロブルスでは最も楽で育てやすい。
原種よりも暑さや日照不足に対する適応力が高い模様。
基本、水だけ毎日与えて放置でも全然問題ないが、
放置しすぎるとハダニが発生するのでたまに水をかける。
成長は激しいが原種程の暴力的な印象はない。
基本的に全く枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:250cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus globulus ssp. maidenii(マイデニー)
寒い季節や涼しい季節は放置気味だが、
かなり高温多湿に弱いらしく、梅雨時期や夏などは、
少し気にかけて、水分管理に気を付けている。
原種やビコスタータのように適当に管理していて、
一度150cm級を枯らせたので、グロブルスでは最も鬼門。
真夏の日光の激射を浴びると葉先が少しヘタることもある。
夏場はしっかりと頭で考えて水分管理を心掛ける必要がある。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus globulus ssp. pseudoglobulus(スードグロブルス)
置き場所が悪いので成長はあまり進んでいないが、
原種とビコスタータの間のような位置づけ。
暑さや空中湿度に対しては原種よりも強く、
ビコスタータ程は安心のできないレベル。
基本強健で放置でも問題ない。
ただししっかりと日光に当てないと成長は遅くなる。
葉色の緑が強く、あまり粉を吹かないのが特徴。
【樹高:100cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus cinerea(シネレア)
一般の御宅で屋外管理すると基本的には生育良好。
我が家では生育こそ良好で強健ではあるが、
置き場所が悪いので、夏場は葉が傷みやすい。
どちらかというと涼しい季節に良く日光に当てると良い感じ。
家では強健が故に辛い環境で育てられて見栄えはイマイチ。
葉を綺麗に保ちたい場合は、程良い日照と風通しの良さが大切。
水は思ったより吸わないなという印象。
今は枯れる気のしないユーカリの一つになっている。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus cinerea var. pendula(シネレア・ペンデュラ)
タネが希少なこともあって
少し気にかけているので、見栄えは悪くない。
基本定期的に水を与えるだけの管理で問題ない。
原種同様に過湿、日照不足にも強いので非常に楽な部類。
ただ原種に比べると過保護な管理をしている割には成長が遅い印象。
【樹高:60cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus pulverulenta ssp. pulverulenta(プルベルレンタ)
一般の御宅では生育が良好なことを考えると
我が家ではあまり良い状態とは言えない。
特に我が家の風通しの悪い高温多湿な環境が嫌いな模様。
手をかけて場所を改善すればもっと良くなると思われる。
用土や鉢、日照はそこそこ高いレベルを要求するので、
シネレアのように放置でOKとはまだいかない。
思い通りの樹形に育てるには恐ろしく難易度が高い。
【樹高:100cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus pulverulenta ssp. babyblue(ベイビーブルー)
以前は日照の悪いクーラー室外機の近くに置いており、
年中葉はボロボロで枯死寸前までいったので、
西AZのユーカリ並みの良い場所に移して手をかけたところ、
一気に葉が綺麗になって樹形も良くなってきた。
日照は半日陰程度でも良いので、
涼しく風通しの良い環境が最も大切。
環境さえ良くて少し手をかけてやればまだ楽な部類。
【樹高:60cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos(ポリアンセモス)
これもかなり強健な部類なので、
可愛そうな程、劣悪な場所に置いていて、
葉の状態はとても綺麗とは言えない。
ただ放置で全然育てられるレベル。
上の方の一部の葉には少し日光が当たるのだが、
その場所の葉は驚く程に立派で美しくなる。
用土の選別さえ間違わなければ、
ある程度の日照環境で放置でも問題ない。
暑さにはとても強いようで、
少し暑くなってからの方が成長が進む。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus polyanthemos ssp. vestita(ポリアンセモス・ベスティタ)
こちらは原種とは異なって、ある程度の環境に置いて
ある程度手をかけてあげないと一気に痛む。
また原種に比べると色々と病気にも弱い模様。
相応の場所で少しだけ水分管理に気を使ってあげれば、
特に問題なく、美しい樹形を維持できる。
少し我儘とは言えども他に比べると遥かに楽な部類。
高温障害の症状は出ないが、原種よりは暑さを嫌う。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus camphora(カンフォラ)
巷では生育良好で楽なユーカリというイメージだが、
かなり「純粋な暑さ」を嫌うイメージ。
春先の涼しい季節の生育は良好だが、
夏場は葉が汚くなって、成長が進まない。
耐陰性などの前評判はそこそこだったが、
我が家では少しは手をかけてあげないとしんどいレベル。
冬場以外の水遣りは表面が乾いたらの超級水食い。
水分管理はスルーで日照と風通しの工夫が少しだけ必要。
東北で育てている人は非常に生育良好との情報有り。
【樹高:50cm / 鉢:スリット6号】
■ Corymbia maculata(マキュラータ)
成長も早く、一般的なユーカリの管理でOK。
暑さや空中湿度、過湿に対する耐性は高いが、
寒さにはそこまで強くない(-5℃程度)。
クーラー室外機の側でも全然放置でOKだが、
ある程度の日照がないと成長が進まなくなる。
水切れにだけ少し気を付ければ非常に楽なユーカリ。
【樹高:170cm / 鉢:プラスチック6号】
■ Corymbia citriodora(レモンユーカリ)
クーラー室外機の間横でも生育は良好。
暑さや過湿に対する耐性はぴか一。
その代わり毛の生えている葉は冬場に激しく傷む。
日光はとても好きなようで、
これも日光の当たっている葉だけが大きく立派になる。
定期的に水さえ与えていれば完全放置でOKのユーカリ。
【樹高:300cm / 鉢:プラスチック7号】
■ Corymbia peltata(ペルタータ)
小型品種のためか成長は少し控え目。
ある程度の日光さえ確保できればとても楽なユーカリ。
これも日光が当たる場所の葉だけが極端に大きくなる。
レモンユーカリ程ではないが寒さは得意ではない模様。
樹高の割には水切れが激しいので、相当水食いのイメージ。
【樹高:45cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus staigeriana(スタイゲリアナ)
空中湿度や暑さには我が家では全く問題ないレベル。
ただし日照だけは少し大切で、日照が不足すると、
へなちょこな葉ばかりでうどんこ病が発生する。
以前は劣悪な環境に置いていたが、
最近は少しは日光の当たる場所に置いているので、
生育も良く、基本放置でOKなユーカリ。
日照以外では我が家の環境に適応していると言える。
樹高の大きさもあるが、水切れが非常に早いので、
旅行に行かせてくれないユーカリの一つ。
【樹高:200cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus muelleriana(ミューレリアナ)
暑さ、空中湿度、過湿に対して非常に強く、
寒さにも弱くないと弱点の見つからないユーカリ。
日照が良いと成長が激しすぎるので、
クーラー室外機の風をもろに浴びるような
劣悪な場所に置いているにも関わらず、
それでも成長は激しく、全く痛み知らず。
水切れが激しく我が家では間違いなくトップの水食い。
恐らく炎天下で育てるなら、一日何度も水がいるかもしれない。
現在予定はないが、鉢増しの際には、
かなり保水性の高い用土を使うつもりでいる。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】
もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。
それでは、その2に続きます。- # by eucalyptus_k | 2014-08-22 14:24 | ユーカリ(栽培知識)
春の訪れとユーカリの植え替え
桜も咲き終わって辺りはもうすっかり春です
段々とユーカリの吸水量も増えて、
新芽に動きが出てきました。
そんな中で新たにタネを播いたり、
ポット苗を鉢に植え替えたりしています。
今日も昼ご飯の合間に、4鉢植え替えを行いました。
当初は本当に植え替えが苦手で、色々と失敗もありましたが、
最近は随分と手慣れてきたもので、
パッパと流れ作業でできるようになりました。
まず一つ目はpleurocarpa。
この株は昨年見事な花を咲かせてくれたので、
今年も期待大です!
冬場の過湿と寒さで下葉に少し傷みが出ていますが、
今年の冬の寒さでも新芽には全く傷みがありませんでした。
これからの成長に期待しています。
二つ目はBabyBlue。
置き場所の悪さと夏の傷みが残っていて、かなりボロボロですが、
今回から置き場所をかなり良い場所に移動させて、
これから復活させていきたいと思っています。
我が家のベランダはどうしても置き場所に限りがあるため、
置き場所の悪い株はどんどんと傷み、
置き場所の良い株はすくすくと元気に育っていきます。
このBabyBlueのように丈夫な品種を中心に、
枯れない程度の置き場所ローテーションと
ある程度の妥協がどうしても必要になります。
三つ目はcampaspeです。
これは西AZ出身の白銀細葉が魅力のユーカリで、
今回発の鉢上げになります。
まあ西AZのユーカリの例に漏れず、
なかなかに我儘で厄介なユーカリです。
このような激しい日光を必要とするような品種には、
置き場所のローテーションは行わず、
常に日照や風通しの良い場所に置いています。
四つ目は何と!
最後の品種不明ユーカリです。
accedensのタネに混ざっていたものです。
西AZ限定のタネ屋で購入していますので、
西AZ出身のユーカリであることは間違いないでしょう。
最初はlehmanniiやtorquata辺りかと思っていましたが、
葉や幹、新芽の出方などを見るとどれも違うようです。
ただこのような細葉の一般的なユーカリは、
非常にたくさんありますので、明確な識別を行うには、
もう花を咲かせるより他にありません。
育てている感じではtorquataに近しい品種のようですし、
あまり大きく育つような感じはしないので、
このまま育て続ければ、開花の見込みは十分にあると思います。
このユーカリは非常に強健で、寒さや過湿にも強く、
西AZのユーカリの中では、日照にもまあまあ寛大で、
かなり育てやすいユーカリです。
春も進んで、これからユーカリ栽培は
どんどんと活動的になっていきます。
皆さまがお育てのユーカリの近況など、
お時間のある時にでもお知らせ願えたら嬉しいです- # by eucalyptus_k | 2014-04-10 23:17 | ユーカリ(栽培実績)
タネ播きの適期・適温
最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。
当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。
良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。
ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。
1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
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日本で良く見かけるユーカリが多い地域です
主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata
これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃、
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。
ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。
ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。
2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
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ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana
どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。
これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。
グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。
これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。
また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。
このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。
冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。
ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。
一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensやdalrympleana、nitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
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アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。
主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona
これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。
このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。
ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。
また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。
4. クイーンズランド州のユーカリ
------------------------------------------------------------
クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah
どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。
これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。
これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
------------------------------------------------------------
西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis
これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。
逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。
どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。
今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。
タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!- # by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)
【品種別栽培ガイド-06】
ユーカリ・ベイビーブルー (Eucalyptus pulverulenta 'Baby Blue')続きまして第06回目は
ユーカリ・ベイビーブルーです。
◎ユーカリ・ベイビーブルー
【学名:Eucalyptus pulverulenta 'Baby Blue'】
【英名:'Baby Blue' Eucalyptus】
【品種情報】
最高樹高:4~6m前後
樹形:Mallee(灌木)型
親葉への変化:大きさは変化するが丸葉を終生キープ
適合pH:酸性~中性(4.5-7.5)
【生息地情報】
地域:New South Wales(Victoria州との州境付近)
夏季最高気温:最高値35℃、平均値25℃
夏季最低気温:最低値-2℃、平均値11℃
冬季最高気温:最高値18℃、平均値10℃
冬季最低気温:最低値-8℃、平均値0℃
年間降水量:450~750mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm
【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度でも何とか育てられますが、
日照が悪いといつまでも小さな葉のままで貧弱になり、
うどんこ病やハダニの被害が深刻になります。
屋内管理は完全不可。
・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはかなり水好きな方です。
・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。
・鉢
根張りがデリケートなので、横広の鉢だと、
パフォーマンスが異様に低下します。
この品種には必ず縦長の鉢を使用しましょう。
・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。
・植え替え
根がデリケートなので、植え替え時は注意してください。
初心者は絶対に根鉢を崩さないようにしましょう。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。
・寄せ植え
根が細かくデリケートで、植え分けが不可能になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
・病虫害
日照不足や生育不良により、
うどんこ病の被害が激しく出ることがあります。
雨のかからない場所では、ハダニ被害が激しくなります。
ユーカリ中でもハダニの被害が深刻な品種の一つです。
また、尺取虫やアブラムシが付くこともあります。
園芸用に改良された園芸品種のためか、
原種に比べると、かなり脆弱な部分が多くなっています。
・地植え
地植えをした方が明らかにパフォーマンスは上がります。
ただし、とても成長の遅い品種であり、最高樹高も小型なので、
どちらにしても、ユーカリ中ではかなり大人しい方です。
横に広がる性質が強く、特異な樹形を形作ります。
庭木としても最適なサイズのユーカリです。
・耐寒性
地植えの成樹で-8℃と言われています。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
葉が硬いので、寒風にも強いです。
少しデリケートなBaby Blueですが、
寒い季節はすこぶる元気になります。
・成長力
成長はかなり緩慢で、のんびり育てられます。
環境が合えば、それなりに成長を続けますが、
数年で1mに届かないこともあるくらいです。
・開花
私はまだ実現できていませんが、
1m以内の樹高でも十分開花が目指せるようです。
花は、白に近いクリーム色の花が咲きます。
葉のサイズの割に思ったより小さな花です。
蕾や実も白く粉を吹いており、美しい外観をしています。
・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。
管理が悪い場合は、稀に激しい病害虫の被害により、
枯死に至る可能性もあります。
【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
日照が悪いと、ほとんど成長が進みません。
日照不足は即刻病気につながります。
・夏
最も枯らせることが多い時期。
冷涼な気候出身のユーカリなので、
日本の高温多湿な夏はかなり苦手です。
高温障害の症状がとても出やすく、
夏場はかなり葉の傷む品種です。
涼しい半日陰に退避するか、
少し遮光を行った方が良い場合もあります。
色素が抜けて、斑点ができた場合は
湿度過多・高温障害のサインです。
過湿による根の蒸れにも十分に注意します。
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でもほとんど葉焼けすることはありません。
夏場はかなり成長が控え目になります。
・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
ほとんど紅葉するようなこともなく、
葉痛みもほとんどなしで、とても力強い季節です。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。
【特記栽培情報】
まずは春と秋にふんだんに日光に当て、
丈夫で強い株を育むことが第一です。
品種の特性として、ある程度の耐陰性は持っていますが、
日照不足では、余程環境が良くない限り、
かなり貧弱で病気がちな株になってしまいます。
夏は日本の暖地では、高温多湿が過ぎるため、
どうしてもある程度の葉痛みやダメージが出ます。
春と秋に、しっかりと健康な株に育てていることで、
夏を容易に乗り切ることができます。
原種よりもさらに冷涼な地域が向いているユーカリです。
日照が不足していると、病気がちで、
雨の当たらない環境では、ハダニ被害もかなり激しく出ます。
日照不足による、生育不良に、激しい病害虫の被害が加わると、
水分管理がしっかりしていても、枯死につながることもあります。
あまり大阪や関東の暖地には合っていない印象で、
東北や長野などの涼しい地域の方が向いていると思います。
小型の園芸品種のため、成長はかなり遅くなっていますが、
それが寧ろメリットにもなります。
この手の銀丸葉系のユーカリは
どれも根張りがデリケートなため、
鉢植えではどうしてもパフォーマンスが悪くなります。
特にこの鉢植えでのパフォーマンス低下が顕著な品種です。
鉢植えの場合は、いつまでもヒョロヒョロで
支柱なしではなかなか自立しないことが多いです。
また、性質上、真上に真っ直ぐに伸びてくれることはなく、
幹から90度の角度にどんどん脇芽を出していきます。
真っ直ぐに仕立てるには、かなり無理のある矯正が必要です。
過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。
※情報は適宜追加・変更します。- # by eucalyptus_k | 2012-10-19 18:37 | 品種別栽培ガイド
【品種別栽培ガイド-02】
銀世界ユーカリ (Eucalyptus 'Gin-Sekai')続きまして第02回目は
銀世界ユーカリです。
◎銀世界ユーカリ
【学名:Eucalyptus pulverulenta
Eucalyptus pulverulenta 'Baby Blue'】
【英名:Silver-leaved Mountain Gum】
【品種情報】
最高樹高:6~10m前後
樹形:Mallee(灌木)型
親葉への変化:大きさは変化するが丸葉を終生キープ
適合pH:酸性~弱アルカリ性(4.5-8.8)
【生息地情報】
地域:New South Wales(ブルー・マウンテンズ国立公園)
夏季最高気温:最高値39℃、平均値27℃
夏季最低気温:最低値0℃、平均値11℃
冬季最高気温:最高値20℃、平均値11℃
冬季最低気温:最低値-12℃、平均値-3℃
年間降水量:700~850mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm
【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度ではかなりパフォーマンスが落ちます。
日照が悪いといつまでも小さな葉のままで貧弱になります。
屋内管理は完全不可。
・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはかなり水好きな方です。
・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。
・鉢
あまり問いませんが、根張りがデリケートなので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが異様に低下します。
この品種には必ず縦長の鉢を使用しましょう。
・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。
・植え替え
根がデリケートなので、植え替え時は注意してください。
初心者は絶対に根鉢を崩さないようにします。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。
・寄せ植え
根が細かくデリケートで、植え分けが不可能になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
・病虫害
葉が硬いのであまりうどんこ病の被害は出ませんが、
Baby Blueの方は、うどんこ病が酷くなることもあります。
雨のかからない場所では、ハダニ被害が激しくなります。
特にBaby Blueはハダニの被害が深刻な品種の一つです。
精油のシネオールが強いのでその他虫害はほとんどありません。
・地植え
地植えすると本来のパフォーマンスが出て、
かなり激しい成長力を発揮します。
普通に育てると、すぐに数メートルに成長します。
また、横にも広がり、特異な樹形を形作ります。
サイズ的には庭木としても十分可能です。
・耐寒性
地植えの成樹で-15℃と言われています。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
かなり耐寒性の強いユーカリなので、
寒地でも屋外越冬も見込めるでしょう。
葉が硬いので、寒風にも強いです。
Baby Blueの方は-8℃とかなり耐寒性は落ちますが、
暖地での越冬は全く問題ありません。
・成長力
環境さえ合えば、成長は結構激しくなりますが、
鉢植えにすると極端にパフォーマンスが落ちます。
それでも1年で40~50cmは十分に成長します。
Baby Blueの方の成長はかなり遅めです。
数年で1mに届かないこともあるくらいです。
・開花
原種で150cm程度、Baby Blueであれば、
1m以内の樹高があれば、開花が見込めるようです。
花は、白に近いクリーム色の花が咲きます。
葉のサイズの割に思ったより小さな花です。
蕾や実も白く粉を吹いており、美しい外観をしています。
地植えをすれば早い段階での開花が見込めるでしょう。
・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。
【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
日照が悪いと、ほとんど成長が進みません。
Baby Blueは特に病気がちになります。
・夏
最も枯らせることが多い時期。
冷涼な気候出身のユーカリなので、
日本の高温多湿な夏は少し苦手です。
Baby Blueは特に高温障害が出やすく、
涼しい半日陰に退避するか、
少し遮光を行った方が良い場合もあります。
色素が抜けて、斑点ができた場合は
湿度過多・高温障害のサインです。
過湿による根の蒸れにも十分に注意します。
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。
※Baby Blueは少し葉焼けすることもあります。
夏場はかなり成長が控え目になります。
・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
少々の寒地では紅葉するようなこともなく、
葉痛みもほとんどなしで、とても力強い季節です。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。
【特記栽培情報】
日光にさえ良く当てていれば、
勝手にどんどん育ってくれるという楽なユーカリ。
逆に日光が足りないとかなり難しい植物になります。
※cinereaやgunniiよりも遥かに日光を欲します。
原種の方は、余程のことがない限り、
高温障害が出ることはありませんが、
Baby Blueの方は暑さ(高温多湿)にかなり弱く、
夏場はある程度、葉が傷むことは仕方ありません。
どちらかというと冷涼な地域の方が向いているユーカリです。
あまり大阪や関東の暖地には合っていない印象で、
東北や長野などの涼しい地域の方が向いていると思います。
ただ、原種の方は、特に問題なく育てることができます。
原種は、終日直射日光にふんだんに当てると、
とても大きな葉で元気な株になります。
一方、Baby Blueは小型の園芸品種なので、
成長は遅くなりますが、それが寧ろメリットにもなります。
この手の銀丸葉系のユーカリは
どれも根張りがデリケートなため、
鉢植えではどうしてもパフォーマンスが悪くなります。
特にこの鉢植えでのパフォーマンス低下が顕著な品種です。
鉢植えの場合は、いつまでもヒョロヒョロで
支柱なしではなかなか自立しないことが多いです。
また、性質上、真上に真っ直ぐに伸びてくれることはなく、
幹から90度の角度にどんどん脇芽を出していきます。
真っ直ぐに仕立てるには、かなり無理のある矯正が必要です。
過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。
Baby Blueは原種に比べると少し難易度が高く、
デリケートな部分が多くなっていますが、
過湿に対する耐性がかなり高いところは変わりません。
※情報は適宜追加・変更します。- # by eucalyptus_k | 2012-10-10 14:56 | 品種別栽培ガイド