ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その5
私の育てている全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いています。
ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。
他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。
■ Eucalyptus leucoxylon ssp. leucoxylon(リューコキシロン)
比較的日本ではありふれたリューコキシロンの原種。
最も大型の木立型になる品種だが、花の色も多彩。
リューコキシロン系は全般的に、
かなり涼しく乾燥した環境を好むように思われる。
夏場も大きな高温障害の症状が出ることはないが、
成長が全く進まず、かなり涼しい季節に激しく成長を進める。
日照は半日陰程度でも問題なく成長が進み、
夏場の激しい日光では葉焼けすることもある。
根がしっかりと張った後はかなりの水食いとなり、
水切れ耐性も低く、夏場の水切れには注意が必要。
基本的には過湿にも強く、強健で育てやすいが、
夏場の過湿で枯らせたこともあるので、
暑い季節の根の蒸れには少しだけ注意が必要。
我が家ではうどんこ病を初めとする
菌類系の病気にとても弱い印象がある。
【樹高:140cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus leucoxylon ssp. pruinosa(リューコキシロン・プルイノサ)
白みの強くなるリューコキシロンの亜種だが、
我が家ではそこまで白みが強い印象はない。
ただリューコキシロンの中では最も生育が良好。
かなり涼しく乾燥した環境を好むように思われる。
夏場も大きな高温障害の症状が出ることはないが、
成長が全く進まず、かなり涼しい季節に激しく成長を進める。
日照は半日陰程度でも問題なく成長が進み、
夏場の激しい日光では葉焼けすることもある。
根がしっかりと張った後はかなりの水食いとなり、
水切れ耐性も低く、夏場の水切れには注意が必要。
その他のリューコキシロンの亜種では
うどんこ病を初めとする菌類系の病気が酷いが、
我が家では本種は病気にも強く、あらゆる面で強健。
【樹高:250cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus petiolaris(ペティオラリス)
元々leucoxylon ssp. petiolarisという分類から、
独立してEucalyptus petiolarisとなった品種。
過去にleucoxylon roseaというと大概が本種を示したが、
現在は主にleucoxylon ssp. megalocarpaを指す。
我が家ではリューコキシロン系で最も病気に悩まされている。
炭疽病のような症状が出て、消毒しても一向に改善されない。
性質としては、リューコキシロンの中でもより涼しい環境を好む。
夏場には少し高温障害の症状が出たり、激しく葉焼けしたりする。
病気の影響もあるかもしれないが、成長はかなり控え目。
ただ過湿には非常に強いようで、適当な管理でもあまり影響は出ない。
病気の改善と共に、これから栽培方法を掴んでいく必要がある。
【樹高:80cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus fasciculosa (ファシキュロサ)
あまり大きな特徴もなく、香りもほとんどしない。
育て方は病気に強く、強健で成長の遅いリューコキシロン。
あまりに暑すぎると新芽部分に高温障害の症状が軽く出る。
成長はかなり涼しい季節メインで成長を進める。
当初、湿地帯生息種と勘違いしていて、
多量の潅水を行っていたが、生育に特に影響が出なかったので、
かなり過湿には強いと思われる。
ところが、一方ではリューコキシロンに比べて
水切れ耐性も高いようでそこそこ頑張ってくれる。
成長は控え目で特徴も少ないが、
とても強健で非常に育てやすいユーカリ。
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus cladocalyx nana (クレイドカリックス・ナナ)
Eucalyptus cladocalyxという中型品種の矮性種。
それでも10m近い樹高にはなる。
生息地的にはリューコキシロンに近いため、
性質も似ている部分が多いが、それよりも遥かにデリケート。
あまり寒さに強くない点と暑さに弱い点が目立つ。
成長はかなり涼しい季節メインで成長を進め、
夏場には新芽部分に高温障害の症状が出ることもある。
また、夏場の根の蒸れにも弱く、高温多湿な管理をすると、
夏場にいきなり枯れてしまうこともある。
リューコキシロンとの大きな違いとして、
かなり日光の好きな品種で半日陰以上の日照が必要。
日光好きなのに暑さに弱いという点が少し厄介。
冬場もあまり寒風に当てすぎると葉がボロボロになる。
ただ耐寒性自体そこまで低いわけではない。
吸水量は少なくはないが、リューコキシロン等に比べると
遥かに乾燥を好むため、排水性の高い用土を選択する。
元々葉が柔らかいので、病虫害の影響を受けやすい。
思った以上に我儘で綺麗に管理するのは難しい。
【樹高:70cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus albopurpurea(アルボプルプレア)
リューコキシロンとクレイドカリックスの間のような感じ。
ただかなり暑さには弱いところがあり、
高温障害の症状が強く出ることもある。
日光は好きな方だが、半日陰程度でも良く育つ。
正直、夏場の葉焼けや高温障害が酷くなり、
暑い季節にはほとんど動きがないので、
夏場は少し遮光した環境や半日陰程度で育てた方が、
遥かに丈夫で葉の綺麗な株になる。
吸水はそこそこ激しく、過湿にも高い耐性があるが、
夏場の根の蒸れには少し注意が必要。
水切れ耐性も高いので、排水性の高い用土で、
乾燥気味に管理した方が良い。
日照を多少犠牲にしてでも、涼しい場所で
管理をするのが綺麗な株を育てるポイント。
一度2m近くまで育ったが、切り戻している。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus parvula(パルブラ)
グニーよりも遥かに小さな楕円の葉が特徴。
とにかく強健で寒さに強いユーカリ。
夏場はあまり動きはなくなるが、
暑さにも強く、高温障害の症状が出たことはない。
半日陰程度の日照でも問題なく育つが、
日光は好きな品種なので良く日光に当てた方が良い。
とにかく寒さにも暑さにも強く、
あらゆる面で非常に強健なユーカリだが、
根が張りきってからの吸水量は湿地帯生息種並み。
水切れ耐性が低いので、水切れで枯らせることの多いユーカリ。
あまり用土も問わない品種で、
基本表面が乾いたら水遣りで問題なく育つ。
とにかく水切れに注意!
【樹高:100cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus cordata(コルダータ)
他にはない質感の銀葉がとても美しい品種。
また精油の多さとシネオール分の濃さもひか一のユーカリ。
とにかく顕著に涼しい環境を好む。
夏場の高温障害の症状こそあまり出ないが、
かなり涼しい季節メインで成長を進め、
夏場には全くといっていいほど動きがなくなる。
大きな枯れや病気などはないが、
夏場に葉を美しく保つのがとても難しい。
日光が非常に好きな品種で、
半日陰以上の日照がないと生育は極端に悪くなる。
現地では半湿地帯生息種のため、
冬場以外は表面が乾いたら水遣りのタイミングでOK。
元々かなり寒さには強い品種だが、
冬場の過湿による耐寒性の低下が目立つ。
前評判では水切れに弱いという話だったが、
思ったよりも乾燥に耐えられるように思う。
とにかく大阪では葉を綺麗に保つのが難しい。
夏場は良く日光に当て、良く水を与え、
冬場は少し乾燥気味に管理をするのが良い。
鉢が小さいと生育に影響の出やすい品種でもある。
【樹高:100cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus regnans(レグナンス)
最も樹高の高くなるユーカリ。
ところが性質は暑さに弱いの一言に尽きる。
春先には非常に激しい成長力を発揮するが、
暖かくなってからは、成長が止まり、
どんどん葉がボロボロになっていく。
当初は養分不足や病気の可能性を考えたが、
最終的には純粋に暑さに弱いことが判明した。
強健なので枯れることは滅多にないが、
大阪では葉を綺麗に保ちながら、
順調に育てることは困難であるという結論に達した。
我が家ではニテンスと並んで純粋に暑さに弱い品種である。
過湿には非常に強く、吸水量も激しく、水切れに弱い。
また耐陰性も高いようで、日陰でも問題なく成長する。
日照を犠牲にしてでも、涼しさを追求したいところだが、
我が家ではこれ以上の涼しい環境は
用意できないという場所で管理をしても、
時期で葉がボロボロになるのは避けられなかった。
【樹高:120cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus cypellocarpa(キペロカルパ)
準高山地帯に生息する大型品種だが、
そこまで暑さに弱いという印象はない。
とにかく強健で成長が馬鹿みたいに激しい。
夏場には新芽部分に高温障害の症状が出ることもあるが、
成長が激しいので全く気に留める必要はない。
涼しい季節メインで成長を進め、
夏場はその激しい成長力も少し影をひそめる。
日光は好きな方だが、成長が激しすぎるので、
半日陰程度でも十分すぎる程である。
吸水量も半端ない方だが、
意外にもそこそこの乾燥に耐えることができるので、
大体我が家ではビミナリスと似たような管理をしている。
ビミナリスよりも成長を進める時期が短いにも関わらず、
大体、同程度のペースで成長を進めていく程の激しさ。
我が家ではほぼ枯れる気のしないユーカリの一つである。
【樹高:200cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus nicholii(ニコリー)
葉形の定まらない不定形な糸葉系のユーカリ。
前評判ではかなり寒さに強いということだったが、
非常に寒風に弱く、冬場の寒風を避けないと、
葉がボロボロになって、春先にパラパラ散っていく。
ただ環境が良ければ成長は激しいので、
半落葉樹のように管理しても問題はない。
とにかく日光の好きな品種で、
日光が足りないと、ほとんど成長が進まなくなる。
どちらかというと暑い環境が好きなようで、
高温障害の症状も出たことはないので、
良く日光に当てて育てることがポイント。
吸水量は激しい方だが、水の遣り過ぎは生育の悪化を招くので、
シネレアなどと同程度か少し乾燥気味に管理した方が良い。
個人的には環境の悪い我が家のベランダでは、
葉を綺麗に保つのが少し難しいなという印象がある。
【樹高:100cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus scoparia(スコパリア)
パッと見はプンクタータなどに良く似ているが、
葉の鮮やかな緑色と新芽の赤みが特徴の品種。
一年を通して葉を美しく保つのが難しい。
涼しい季節にはビックリするほど順調に
美しい葉をどんどん生成してくれるが、
暑くなると途端に成長がストップして、
少しの直射日光でも葉焼けしてしまうことがある。
ところが日光は好きな方で、
涼しい成長期には良く日光に当てた方が良い。
夏場はしっかりと遮光するか、
日照を犠牲にして、涼しい環境で養生させる感じ。
吸水量は比較的激しい方だが、用土の排水性を上げて、
少し乾燥気味に管理した方が経過は良い。
そこまで水切れに弱いという印象もない。
実は冬場もあまり耐寒性が高いとはいえないユーカリで、
寒風に当てると葉がボロボロになりやすい。
東AZのユーカリにしては少しぬるま湯的な環境を好む。
一度160cm近くまで育ったが、
夏場に葉がボロボロになったため大きく切り戻している。
【樹高:80cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus brookeriana(ブルッケリアナ)
光沢のあるユーカリらしからぬ葉が特徴。
成長の時期は短く、かなり涼しい季節に成長を進める。
元来、そこそこの大型になる品種だが、
大阪では成長時期が短く、一年を通して大人しい印象がある。
冷涼な環境を好むユーカリだが、
暑さによる高温障害の症状はほぼ皆無。
樹高のわりには根張りが激しくなるのも特徴。
ただし吸水量は並程度でシネレア等と同等か
それよりもまだ乾燥を好むレベル。
特に日光の好きな品種で半日陰以上の環境が必要。
成長期には直射日光に当てないと成長が進まなくなる。
耐寒性はグロブルスと同程度は兼ね備えているが、
寒風には弱く、寒風を浴びると葉が傷みやすい。
基本的には強健で平均的な管理で問題ない。
【樹高:80cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus coccifera(コッキフェラ)
かなり冷涼な高山に生息する完全な高山植物である。
際立って暑さに弱い性質が目立ち、
夏場には高い確率で葉枯れが出る程の高温障害になる。
もちろん成長は寒いくらいに涼しい季節がメイン。
ただしニテンスやレグナンスのように
全く手の施しようがないというレベルではない。
夏場は日光を犠牲にしてでも、
高温多湿になりにくい涼しい日陰で管理することで、
葉痛みを大幅に抑えることに成功した。
ただ基本的には非常に日光の好きな品種なので、
成長期にはしっかりと直射日光に当てて育てる。
吸水量は少なく、特に夏場の過湿に弱い。
かなり高い耐寒性を兼ね備えているが、
冬場の過湿による耐寒性の低下が顕著である。
年間を通して、涼しい環境で、
排水性の良い用土で乾燥気味に管理することが大切。
【樹高:90cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus serraensis(セラエンシス - アルピナ)
アルピナとも呼ばれる高山植物系のユーカリ。
ほぼコッキフェラと同程度暑さに弱い。
寒いくらいに涼しい季節メインで成長を進め、
夏場はほぼ完全に成長がストップする。
コッキフェラと異なるのは、酷い高温障害が出るのは、
新芽部分に限られ、古い葉はほとんど痛むことはない。
元々小型品種のため、成長期であっても大人しい。
コッキフェラ以上に日光の好きな品種でもあり、
成長期にはほぼ直射日光に当てていないと成長が進まない。
成長期の吸水量はそこそこ激しい方なので、
涼しい季節でも水切れに少し注意が必要。
一方高山植物の癖に耐寒性は思ったより高くない。
-8℃くらいまでは問題ないが、
あまりに激しい寒風を食らうと酷く葉が傷む。
大阪では少し厄介で全体的に大人しいユーカリ。
【樹高:30cm / 鉢:スリット5号ロング】
こうして見てみると、
意外に暑さに弱く、冷涼な環境を好む品種が多いですね。
栽培当初は「ユーカリ=暑さに強い」
という思い込みがありましたが、
特に日本で良く見かけるようなユーカリほど、
暑さに弱いものが多くて、色々と学ぶことは多かったです。
もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。
その6に続きます。- # by eucalyptus_k | 2014-09-22 16:30 | ユーカリ(栽培知識)
ユーカリの発芽と事前処理
ユーカリはオーストラリアの各所に生息し、
暑いのが好きなものから、寒いのが好きなもの、
湿潤を好むものから、乾燥を好むものまで
本当に多種多様な品種があります。
その中でも特に寒いのが好きな品種で、
高山や純高山に生息しているような品種には、
上手く発芽をさせるために、
コールドトリートメント(冷却処理)を
必要とする品種がいくつかあります。
この処理は、収穫仕立てのタネでもない限り、
大概は冷蔵庫などの中で長期保管されていますから、
全く行わなくても発芽ゼロということは滅多にありません。
私も数株程度確保できればいいので、
この処理をしっかりと行うようなことは滅多にありませんが、
商用などで、より多くを発芽させるためには、
この処理を工夫する必要がありそうです。
先年の秋口に下記のタネを播きました。
Eucalyptus kybeanensis
Eucalyptus glaucescens(Mallee)
glaucescensについては、
以前から育ててはいますが、
珍しいMallee(灌木)タイプのものが
新たに手に入ったので新しく播きました。
これらの品種は、比較的長い
コールドトリートメントを必要とする品種です。
どちらももちろん購入した時点で
収穫仕立てではないでしょうから、
そのまま何もせずに播きました。
私は5.5cmの小さなポリポットに
少しタネを播くくらいですが、
それでも発芽率の良いものであれば、
数えられないほど発芽することがあります。
上記の品種の結果としては、
kybeanensisがわずか3株、
glaucescensが4株という結果でした。
これは信じられないくらい悪い率です。
どちらも寒さにはとても強い品種なので、
そのまま屋外放置で育てながら、
冬を超えて、最近暖かくなってきてから、
そのポットの状態を見てみました。
すると!
信じられないくらいたくさん発芽しています!
恐らく、冬季屋外放置(水は切らしません)で
天然のコールドトリートメントが成立したのでしょう。
趣味で育てているような人は、
少し冷蔵庫でそのままタネを保管してから播けば、
発芽率は悪くとも、それなりに発芽するものです。
冷蔵庫でそのまま保管するという方法は
簡易コールドトリートメント
とでも言ったところでしょうか。
ところが実際の正式なコールドトリートメントは、
タネにしっかりと吸水を行いながら、
指定期間冷蔵保存するというのが正しいのです。
一例として、公開されているやり方としては、
湿らせた不織布などにタネを包み、
容器に入れて、冷蔵庫などで指定期間保管します。
不織布が乾いたら適宜湿らせていきます。
下記は一般的にトリートメントが必要とされている品種です。
確かにcoccofera/pauciflora/nitens/delegatensisなどでは、
冬を超えてから大量に発芽したということが何度もありました。
※期間は必要とされているトリートメントの期間です。
※☆のついている品種ではトリートメントの重要度は低いです。
※あくまでも一例で他にもあります。
Eucalyptus serraensis ... 6週間
Eucalyptus aggregata ... 4週間☆
Eucalyptus coccifera ... 6週間
Eucalyptus crenulata ... 6週間☆
Eucalyptus cypellocarpa ... 1週間程度☆
Eucalyptus dalrympleana ... 4週間☆
Eucalyptus delegatensis ... 8週間から冬季中
Eucalyptus glaucescens ... 6週間
Eucalyptus globulus ... 3週間☆
Eucalyptus gregsoniana ... 4週間
Eucalyptus johnstonii ... 4週間
Eucalyptus kybeanensis ... 4週間
Eucalyptus melliodora ... 3週間☆
Eucalyptus moorei ... 5週間☆
Eucalyptus nitens ... 4週間
Eucalyptus obliqua ... 4週間
Eucalyptus ovata ... 6週間
Eucalyptus pauciflora(亜種含む) ... 6週間以上
Eucalyptus perriniana ... 4週間
Eucalyptus pulverulenta ... 4週間☆
Eucalyptus radiata ... 2週間程度☆
Eucalyptus regnans ... 4週間
Eucalyptus rodwayi ... 4週間☆
Eucalyptus rubida ... 4週間☆
Eucalyptus subcrenulata ... 4週間
Eucalyptus tenuiramis ... 4週間
Eucalyptus vernicosa ... 6週間
多くの苗がちゃんと必要な人は、
コールドトリートメントを
しっかりと行った方が良さそうですが、
気長に育てている趣味レベルの人は、
秋口にタネを播いて、水を切らさないように
そのまま越冬すれば春にはたくさん発芽しているでしょう。
この真性のコールドトリートメントですが、
保管状態や場所が悪いと、
そのままタネが腐ってしまうこともあるので、
少し気をつけてくださいね。- # by eucalyptus_k | 2013-03-26 12:21 | ユーカリ(栽培知識)
寒さが好きなユーカリ!?
ユーカリをたくさん育てていると
日々色々なことがわかります。
一番びっくりするのは、品種により、
本当に様々な性質を持っていることです。
北はワニが生息するような熱帯地域で、
北東部は沖縄のような亜熱帯地域。
かと思えば、南東部は東北のような冷涼地で、
南部や西部の沿岸部は地中性の穏やかな気候。
そして内陸部にはステップや砂漠が広がっている。
という風にとても様々な気候の地域があることを考えると、
ユーカリの多種多様さにも納得がいきます。
今日はとても寒さに強い、というか
寒さが好きなユーカリに焦点を当ててみます。
Eucalyptus cocciferaというユーカリがあります。
英名はTasmanian snow gumで、
名前からも寒いところが大好きなことがわかります。
見た目は深緑の楕円形の葉が生える
典型的なミント系ユーカリです。
高山生息種のため、6m程度の低木で収まり、
樹皮の白い、明らかに高山植物っぽい樹木になります。
このcocciferaは、我が家では、
西AZのユーカリの難しさとはまた違った難しさがあり、
とても育てるのが厄介なユーカリです。
また発芽にも長期間の冷却処理が必要になり、
発芽率も悪く、育苗難易度も高めです。
まず梅雨時期~真夏は、高温障害の症状に加えて、
葉に規則的な褐斑がたくさんでき、
毎年、葉がボロボロになります。
また、5月の終わり頃から10月の初頭までは、
ほとんど成長することもなく、
夏場はただ葉が傷むにまかせるしかありません。
また、かなり乾燥を好む性質を持っており、
夏場でもほとんど水を吸わず、
過湿は即命取りになるほどデリケートです。
ところが、寒い季節にはめっぽう元気です!
まだ最低気温が1ケタ台の早春や
特に今頃の11月半ばから12月までの
もうコートを着なければいけないような季節に、
成長が進んで、新芽をたくさん出したりします。
今年の夏も我が家のcocciferaは激しく痛みました。
ところが今日そのcocciferaを見てみたら、
この1週間くらいの間に、
たくさんの新芽を出していました。
ちなみに、冷涼を好む品種として
Eucalyptus niphophilaも
cocciferaと似たような性質を持っています。
どちらも真夏や成長期の寒い季節も、
西AZのユーカリ並みかそれ以上に乾燥を好みます。
この2種は耐寒性はかなりのものを持っていますので、
東北や北海道の暖地などで育てると、
とても育てやすいユーカリになるかもしれません。
本当にユーカリには色々あって
びっくりさせられますね- # by eucalyptus_k | 2012-12-04 17:59 | ユーカリ(品種知識)
タネ播きの適期・適温
最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。
当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。
良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。
ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。
1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
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日本で良く見かけるユーカリが多い地域です
主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata
これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃、
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。
ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。
ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。
2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
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ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana
どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。
これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。
グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。
これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。
また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。
このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。
冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。
ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。
一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensやdalrympleana、nitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
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アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。
主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona
これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。
このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。
ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。
また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。
4. クイーンズランド州のユーカリ
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クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah
どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。
これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。
これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
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西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis
これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。
逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。
どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。
今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。
タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!- # by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)
今年の夏は色々大変でした。。。
ハダニ、うどんこ病が私の一番の障害だというのは
日々ブログに書いていることですが、
その他にも色々と厄介な問題があります。
特に今年の夏は例年とは異なり、
本当に色々と大変でした。
まず、気候の違いからなのか、
ハダニの被害発生時期が少しずれたことから、
被害の早期発見ができず、
今年は一切の薬剤散布をしなかったこともあって、
えげつないハダニ被害を被ってしまいました。
上の写真は現在のsmithiiの例です。
いつもはハダニによる被害が8月には少し見つかり、
すぐにそこで薬剤散布をするため、
被害をそこで食い止めることができるのですが、
今年は8月に被害がほとんどなかったので、安心していたら、
9月には悲惨な状況になっていたという次第です。
来年は様々な方からアドバイスのあった、
オルトランやアドマイヤーなどを試してみたいと思います。
もう一つ、いくつかの品種限定で
とても厄介な存在があります。
それはホコリダニによる被害です。
このホコリダニは小さく目視することができないため、
当初は何かの病気かと思っていました。
ハダニのようにくそ暑い季節ではなく、
少し涼しい、ユーカリの成長時期と
被害時期が丁度重なるので、大きな成長の妨げとなります。
ホコリダニは小さな間の新芽に付いて、
新芽とその後の成長した葉に奇形や斑点を生みだします。
Eucalyptus scorpariaの被害
Eucalyptus torquataの被害
Eucalyptus torwoodの被害
このホコリダニは何故か決まった品種にしか付きません。
特に酷いのは上記の3種で他にはbridgesianaやrudis、forrestiana、
albopurpureaなど主に精油が少なめのユーカリに被害を及ぼします。
基本的には、ハダニと同じでニッソランなどが効くようですが、
その他の薬剤はあまり効果がなく、散水もほとんど効果なしなので、
いつも仕方ないなあと、半ば放置気味です。
毎年、我が家のtorquataはこのホコリダニのせいで、
新芽が出ては枯れてを繰り返し、ほとんど成長しません。
今のところの打開策は
なるべく良く日に当てることくらいです。
次に今夏にとても猛威を奮ったのが、高温障害です。
これも最初は病気か要素欠乏症かと思っていたのですが、
色々と調べてみると、これは、植物の典型的な高温障害の症状で、
暑い季節が終わると一気に終息することもあるので、
間違いないという結論に至りました。
これはそのままですが、
暑さに弱い品種(冷涼地出身や高山出身のユーカリ)
を中心に発生します。
葉の色素が抜けて黄色くなり、葉の周囲が枯れたり、
規則的な斑点ができることが主な症状です。
Eucalyptus smithiiの基本的な症状です。
最も顕著で悲惨なEucalyptus cocciferaです。
涼しくなってきたので、綺麗な新芽が出だしています。
これは特にわかりやすいEucalyptus risdoniiです。
ほとんどの葉の色素が抜け、
暑い時期にできた右上の新芽は傷んでいますが、
涼しくなってからできた左の新芽は、
全く症状が見られずに、とても綺麗な色をしています。
他には写真を撮り忘れましたが、
Eucalyptus delegatensis ssp. tasmaniensisと
Eucalyptus pauciflora ssp. niphophila、
Eucalyptus tenuiramisもとても悲惨な状況になっています。
これらも涼しくなってから出た新芽はとても綺麗で、
全くその症状が見られないのです。
他にはperrinianaや、pulverulentaなどにも
軽いですが、少しその症状が見られます。
これだけは、我が家ではこれ以上対処のしようがないので、
毎年こうなるものだと割り切るしかありませんね。
今年の夏は高温多湿で本来の大阪らしい夏でした。
ユーカリは多種多様、そんな環境が苦手なユーカリも
存在するということがわかり勉強になりました。- # by eucalyptus_k | 2012-10-23 13:15 | ユーカリ(栽培実績)