ユーカリの名前について
ユーカリに限らずですが、
学名・英名・和名・商品名など様々な呼び名があります。
特にユーカリの場合、
日本にはほとんど存在しない品種が多いので、
英名がそのまま和名になっているものや、
和名がそもそも存在しないものもあります。
例えば、Eucalyptus cinereaの場合、
[学名] cinerea
[英名] Silver Doller Gum / Argyle Apple / Mealy Stringybark
[和名] ギンマルバユーカリ
[商品名] シルバーダラーユーカリ etc.
といった感じになります
英名はともかくとして、和名は非常に曖昧です。
そのため、本ブログではあまり使用しないか、
「銀丸葉ユーカリことcinerea」と言ったりしています。
試しに近くのホームセンターや園芸店で
「銀丸葉ユーカリ」と注文してみてください。
恐らく十中八九、gunniiやpulverulentaが届くでしょう。
このようにユーカリの場合、
和名なんてあってないようなものです。
一部、レモンユーカリとユーカリノキだけは、
比較的日本に根付いた和名と言えます。
色々な名前が交錯すると
私でもややこしいと思う程なので、
基本当ブログでは学名を使用するようにしています。
また学名の読み方には、極力cinerea/macrocarpa等の
アルファベット表記を使用するようにしています。
この学名というのは、
ラテン語やギリシャ語を元に付けられています。
そのため、macrocarpaを
マクロカーパと読むのは間違いで、
正しくはマクロカルパという読みになります。
ただその販売者が、
これはマクロカーパという商品名なんだ!
と言い張った場合にはそれで通ってしまうので、
あくまでも正式な学名の読みが
マクロカルパということしか言えないのです。
他にはcypellocarpaというユーカリがあります。
このユーカリは当初様々な読みが交錯していました。
私も最初はシペロカルパだと思っていましたが、
サイペロカルパではないか?と言われたこともあります。
それで調べてみた結果、
ギリシャ語のカップという意味の
キペロという単語が語源になっているので、
正しくはキペロカルパということがわかりました。
他にも正しいとわかっているものでは、
[albopurpurea]
アルボパープレア ×
アルボプルプレア○
[nitens]
ナイテンス ×
ニテンス ○
などがあります。
人名や地名が元になっている品種があります。
これは一体何語で読むのが正しいのか、
正直全くわかりません。
[archeri] アーチェリー氏発見
アーチェリ? アルチェリ?
[woodwardii] ウッドワード氏発見
ウッドワルディー? ウッドワーディー?
[kybeanensis] カイビーン付近に生息
キベアネンシス? カイビーネンシス?
[lane-poolei] レーンプール氏発見
ラネプーレイ? レーンプーレイ?
こんな感じで困惑しますので、とにかく
アルファベット表記をするようにしています。
学名の語源を調べる資料自体はあるので、
一度時間があったら、
再編集してみようかなとも考えています。
ぶっちゃけ私自身も日本語読みは
間違っているものがたくさんあると思います。。。
ピックアップしてみるだけで、
[urnigera]
アーニゲラ×
恐らくウルニゲラ
[urna]
アーナ
恐らくウルナ
[orbifolia]
オービフォリア×
恐らくオルビフォリア
[campaspe]
カンパスプ×
恐らくカンパスペ
[cladocalyx]
クレイドカリックス×
恐らくクラドカリックス
[sturgissiana]
スタージシアナ×
恐らくストゥルジシアナ
などなど...トホホ...- # by eucalyptus_k | 2015-08-06 19:04 | ユーカリ(品種知識)
雪のユーカリ
あけましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
近所の氏神神社に初詣に行ったら、
辺りは大阪では珍しい雪景色になっていました。
神社公園に寄贈した地植えのユーカリにも
たくさんの雪が積もっています。
こちらはcladocalyx nana、
こちらはmelliodoraです。
そして実家の庭のユーカリも雪まみれ。
左は寒さに強いsmithiiですが、
右では寒さには弱いerythrocorysにも
完全に雪が積もっています。
恐らくオーストラリアの生息地に生えていたら
一生涯雪を見ることはないのかもしれません。
こちらは右がperrinianaとpleurocarpa、
そして左がmacrocarpaです。
このあたりはまだまだ頑張れると思います。
我が家のベランダの方では雪以前に
台風級の暴風で転倒する株が続出。。。
酷いものは台から落ちて鉢が割れていましたので、
寒い中、復旧のための植え替え処理を行いました。
根鉢は弄ってはいませんが、
無事に越冬できることを祈っています。- # by eucalyptus_k | 2015-01-01 16:46 | ユーカリ(栽培実績)
【ユーカリ紹介-70】
ユーカリ・クレイドカリックス・ナナ (Eucalyptus cladocalyx nana)記念すべき第70回目は、
鮮やかな緑色の丸葉が可愛い、
サウスオーストラリア生息種、
ユーカリ・クレイドカリックス・ナナです。
◎ユーカリ・クレイドカリックス・ナナ
【学名:Eucalyptus cladocalyx nana】
【英名:Dwarf Suger Gum】
このcladocalyx nanaは
日本ではかなりマイナーなユーカリです。
海外ではタネを手に入れるのは困難ではありませんが、
決してメジャーなユーカリというわけではありません。
Eucalyptus cladocalyxという
35m程度になる比較的大型のユーカリがあり、
nanaはその矮性種であるという意味になります。
原種と比べるとかなり小型になるようです。
最高樹高は10m程度までですが、
多くの場合は5m程度に収まるようで、
Ligno-tuber(地際の瘤)を生成しないタイプの
Tree型(木立型)の樹木へと成長します。
原種のcladocalyxは大型で育てにくいためか、
タネとしてはこのcladocalyx nanaの方が
良く出回っているようです。
生息地はサウスオーストラリア州の
カンガルー島を初めとした、
アデレード周辺の湾岸部です。
この辺りのユーカリは、
涼しく乾燥した環境を好むユーカリが多く、
cladocalyx nanaもその例に漏れません。
決して難しいユーカリではありませんが、
cladocalyx nanaの好む環境を用意できなければ、
病気がちになり、いきなり枯れたりすることもあります。
ただ良く乾燥した日照と風通しの良い場所があれば、
びっくりするほど簡単に育てることもできます。
学名のcladocalyxとは、
上の写真のように花が咲くときに、
葉のない蕾専用の萌芽枝を伸ばして、
花をたくさんつけるという特徴から、
「葉のない枝」という意味になります。
Sugar Gumという英名の意味については
現在調査中ですが、
恐らく葉に含まれる糖分が
多いからではないかと考えています。
cladocalyx nanaの大きな魅力の一つとして
その果実があります。
このユーカリの実は大きく丈夫で
形も興味深い樽型をしているため、
花材用のガムナッツとしてとても人気があります。
cladocalyx nanaの葉は粉を全く吹かず、
鮮やかな濃い緑色をしています。
良く日光に当てた下葉は少し青白っぽくなりますが、
新しい葉は特に鮮やかな緑色になります。
また葉の裏と表で質感や色に差があり、
表側が濃い緑色であるのに対して、
裏側はかなり白っぽくなることがあります。
葉型はポポラスなどのような
ハート型になることは滅多になく、
主には少しだけ先の尖った丸い葉になります。
ただ葉の大きさはそこまで大ぶりではなく、
元気な株ではたくさんの葉をつけるので、
なかなかに可愛らしい外観になります。
また枝先の方の茎は赤みを帯びる傾向が強く、
緑鮮やかな丸みのある葉と、
赤っぽい茎のコントラストも美しく映えます。
cladocalyx nanaの葉には
葉がお皿のように丸まるという特徴があります。
上の写真を見ていただくとわかりますが、
葉が内側にカールしています。
この特徴は面白い外観を演出してくれますが、
実は少しだけデメリットもあります。
水遣りの際に水をかけたり、雨が降ると、
このお皿のような葉に水が溜ります。
これにより湿気の多い時期には少し葉枯れが出たり、
うどんこ病などの病気が発生することがあります。
どうしても風通しの良い場所が確保できない場合は、
水がかかった後に、少し葉を揺らせて、
余分な水分を落とした方が良いでしょう。
しっかりと日光に当てて育てた株では、
非常にカラッと乾燥した薄く硬い葉になります。
一見すると枯れているのではと思ってしまう程です。
無理に葉を折り曲げるとすぐにパキッと折れてしまいます。
逆に日照不足など、環境がイマイチの場合には、
びっくりするほど柔らかい葉が生成されます。
また新芽部分の葉も他種に比べて非常に柔らかいです。
これらの葉は病害虫に酷く悩まされることになります。
最終的に大きく育ったcladocalyx nanaの葉は、
ユーカリ的な光沢のある鎌状の細葉へと変化します。
精油の含有量が少ないこともあるでしょうが、
cladocalyx nanaは、ユーカリには珍しく
非常に虫害の多いユーカリです。
普通に尺取虫や毛虫がついたり、
ハキリバチなどの被害を激しく受けます。
また先述した通り、
うどんこ病には非常に弱いユーカリで、
我が家のベランダでは、
全ユーカリ中でトップクラスの被害が出ます。
日照の良い実家の庭や知人の御宅の庭でも、
ある程度のうどんこ病が発生していますので、
うどんこ病には特に弱いユーカリであるといえます。
日照や風通しの良い場所では
そこまで深刻になることはありませんが、
ベランダなど、風通しの悪い場所では
時期によって、ある程度の薬剤散布が
必要になることもあります。
cladocalyx nanaの葉は、
鮮やかな緑色の柔らかい葉が多く、
病害虫の影響も激しく、香りもほとんどしません。
私のようにたくさんのユーカリを育てていると、
cladocalyx nanaはあまり
ユーカリっぽくないなあとさえ感じることがあります。
cladocalyx nanaの幹は赤みが強く、
全体的に小さな突起がありザラザラしています。
写真を見ると分かりますが、
形状は丸い部分と角のある部分が混在しています。
柔らかい葉に比べると幹はしっかりしており、
他のユーカリに比べても少し硬めです。
葉のように簡単に折れたりすることもなく、
かなり丈夫で弾力性もあるので安心です。
cladocalyx nanaの育て方についてですが、
乾燥力の強い用土を使用して、
風通しが良く涼しい場所で
良く日光に当てて育てます。
この風通しと日照という環境さえ整えば、
そこまで厄介なユーカリでありません。
cladocalyx nanaの吸水量は、生息地の近い
leucoxylonなどに比べるとかなり少なめで、
albopurpureaなどと同程度かそれ以下です。
ただそこまで水切れに強いユーカリでもありません。
基本的に夏場はほとんど動きがなく、
かなり涼しい季節メインで成長を進めます。
矮性種であるためか、成長はかなり控えめです。
元々過湿には弱い品種ではないのですが、
これに高温が加わると極端に弱くなります。
特に夏場の過湿には非常に弱いところがあり、
保水性の高い用土で栽培している場合、
暑い時間帯に水を与えてしまったりなどすると、
根の蒸れによる急性の根腐れで
いきなり枯れることがあります。
この夏場の過湿への弱さはかなり顕著で、
私も知人の栽培者も何度か経験しています。
夏場は水切れにも注意が必要な季節ですが、
寧ろ水の与えすぎや与える時間こそが
最も気をつける必要のあるポイントになります。
この夏場の枯れを防ぐためには、
乾燥力の高い用土で育てることが重要です。
酸性~弱酸性を好むユーカリが多い中、
cladocalyx nanaは比較的高めのpHを好みます。
基本的には弱酸性~中性程度がベストですが、
非常に高いアルカリ耐性を兼ね備えており、
アルカリ寄りの用土でも生育は良好です。
そのような性質からか、
比較的肥料の効果が出やすいユーカリでもあります。
ただし、多肥すぎるのは厳禁です。
また主に湾岸部に生息しているためか、
cladocalyx nanaは、ユーカリの中でも
かなり高い耐塩性も持っていますので、
海の傍の方でも安心して育てられます。
全く粉を吹くことがなく、
非常に柔らかいcladocalyx nanaの葉は、
昨今の厳しい真夏の日差しでは
少し葉焼けすることもあります。
早い時期から良く日光に当てた、
カラッとした硬い葉の場合は、
心配する程の被害は発生しませんが、
新芽部分やその他の柔らかい葉の場合は、
夏場には酷く葉焼けすることもあるので、
日照が激しすぎる場合には少し遮光が必要です。
真夏は大きな病害虫の影響もないので、
涼しい半日陰程度の場所に移動させるのもありですが、
春と秋と冬には、半日陰以上の日照を確保して、
日光にどんどん当てて成長を促進させてください。
結論として春と秋の病害虫の問題と、
夏場の急性根腐れにさえ気をつければ、
後は問題なく育てられるはずです。
cladocalyx nanaの耐寒性ですが、
あまり強いとはいえません。
地植えの成樹であれば-7℃以上でも大丈夫でしょうが、
樹高の低い鉢植えの株では、
-5℃程度が限界ラインではないかと思います。
余程の寒地か過湿でもない限り、
枯死することは稀でしょうが、
cladocalyx nanaの葉は非常に柔らかいため、
寒風に弱く、風吹きっ晒しの場所に置くと、
葉が激しく傷むことがあります。
主には葉のカールしている部分が真っ赤になり、
周囲に霜焼けの症状が出ることが多いです。
また水遣りの際などに葉に溜った水も、
冬場の葉痛みを引き起こします。
大阪のような暖地でも、
置き場所によっては真っ赤に紅葉して、
葉の周囲が激しく傷むことがあるので、
軒下などで寒風を凌いだ方が良いでしょう。
夏場の過湿に対する弱さとは異なり、
冬場の過湿には決して弱くはありませんが、
乾燥気味に管理した方が耐寒性は高くなります。
冬場は思ったよりも葉が傷むことがありますが、
毎年、春以降の生育が順調な場合は、
あまり気にしなくても大丈夫です。
実はこの記事の写真は昨年の秋頃のものです。
昨年の冬にかなり寒い場所に置いていたところ、
全体的に葉がボロボロになってしまったので、
今年は暖かい場所に置いて養生しています。
上が現在の写真になります。
葉はボロボロになりましたが、
通年の生育状態は決して悪くはありません。
気になるcladocalyx nanaの香りについてですが、
シネオールベースで少し青臭いハーバル系の
スッとした香りがかすかに漂います。
香り自体は決して悪くはないのですが、
かなり強めに葉をクラッシュしないと香らず、
とても香りの弱いユーカリです。
特に乾燥した硬い葉ではほとんど香ることがありません。
精油には面白い成分が入っているはずなのですが、
その含有量が非常に少ないのでしょう。
これが病害虫への弱さにも影響していると思われます。
残念ながら、香りを楽しむユーカリとしての利用は難しいです。
また葉に含まれている青酸配糖体の量が多く、
比較的毒性の強いユーカリであるとの指摘もあるため、
ユーカリ茶としての利用は避けた方が良いでしょう。
cladocalyx nanaは香りこそ楽しめませんが、
緑鮮やかな可愛い丸葉のユーカリが好きな人には
オススメなユーカリの一つです。
特に矮性種であるnanaであれば、
2m以内程度の樹高で
開花を実現できる可能性もあるはずです。
花自体は白い一般的なユーカリの花ですが、
その大きさと数はなかなかのもので、
開花後のガムナッツの収穫も興味深いです。
非常にマイナーなcladocalyx nanaですが、
日本で栽培している農場がありますので、
興味のある方にはご紹介させていただきます。
病害虫に弱く少しデリケートで
ユーカリらしからぬところのあるcladocalyx nanaですが、
逆に様々な在来の植物を育てている方には、
ごく普通の植物として育てられると思います。
ぜひ一度cladocalyx nanaを育ててみて、
その一風変わった特徴を満喫してみてください。
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<栽培難易度:C>
香良さ:★★
香強さ:★
成長力:★★
要水分:★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★
耐暑性:★★
耐病虫:★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2014-12-17 03:38 | ユーカリ紹介
ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その5
私の育てている全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いています。
ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。
他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。
■ Eucalyptus leucoxylon ssp. leucoxylon(リューコキシロン)
比較的日本ではありふれたリューコキシロンの原種。
最も大型の木立型になる品種だが、花の色も多彩。
リューコキシロン系は全般的に、
かなり涼しく乾燥した環境を好むように思われる。
夏場も大きな高温障害の症状が出ることはないが、
成長が全く進まず、かなり涼しい季節に激しく成長を進める。
日照は半日陰程度でも問題なく成長が進み、
夏場の激しい日光では葉焼けすることもある。
根がしっかりと張った後はかなりの水食いとなり、
水切れ耐性も低く、夏場の水切れには注意が必要。
基本的には過湿にも強く、強健で育てやすいが、
夏場の過湿で枯らせたこともあるので、
暑い季節の根の蒸れには少しだけ注意が必要。
我が家ではうどんこ病を初めとする
菌類系の病気にとても弱い印象がある。
【樹高:140cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus leucoxylon ssp. pruinosa(リューコキシロン・プルイノサ)
白みの強くなるリューコキシロンの亜種だが、
我が家ではそこまで白みが強い印象はない。
ただリューコキシロンの中では最も生育が良好。
かなり涼しく乾燥した環境を好むように思われる。
夏場も大きな高温障害の症状が出ることはないが、
成長が全く進まず、かなり涼しい季節に激しく成長を進める。
日照は半日陰程度でも問題なく成長が進み、
夏場の激しい日光では葉焼けすることもある。
根がしっかりと張った後はかなりの水食いとなり、
水切れ耐性も低く、夏場の水切れには注意が必要。
その他のリューコキシロンの亜種では
うどんこ病を初めとする菌類系の病気が酷いが、
我が家では本種は病気にも強く、あらゆる面で強健。
【樹高:250cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus petiolaris(ペティオラリス)
元々leucoxylon ssp. petiolarisという分類から、
独立してEucalyptus petiolarisとなった品種。
過去にleucoxylon roseaというと大概が本種を示したが、
現在は主にleucoxylon ssp. megalocarpaを指す。
我が家ではリューコキシロン系で最も病気に悩まされている。
炭疽病のような症状が出て、消毒しても一向に改善されない。
性質としては、リューコキシロンの中でもより涼しい環境を好む。
夏場には少し高温障害の症状が出たり、激しく葉焼けしたりする。
病気の影響もあるかもしれないが、成長はかなり控え目。
ただ過湿には非常に強いようで、適当な管理でもあまり影響は出ない。
病気の改善と共に、これから栽培方法を掴んでいく必要がある。
【樹高:80cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus fasciculosa (ファシキュロサ)
あまり大きな特徴もなく、香りもほとんどしない。
育て方は病気に強く、強健で成長の遅いリューコキシロン。
あまりに暑すぎると新芽部分に高温障害の症状が軽く出る。
成長はかなり涼しい季節メインで成長を進める。
当初、湿地帯生息種と勘違いしていて、
多量の潅水を行っていたが、生育に特に影響が出なかったので、
かなり過湿には強いと思われる。
ところが、一方ではリューコキシロンに比べて
水切れ耐性も高いようでそこそこ頑張ってくれる。
成長は控え目で特徴も少ないが、
とても強健で非常に育てやすいユーカリ。
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus cladocalyx nana (クレイドカリックス・ナナ)
Eucalyptus cladocalyxという中型品種の矮性種。
それでも10m近い樹高にはなる。
生息地的にはリューコキシロンに近いため、
性質も似ている部分が多いが、それよりも遥かにデリケート。
あまり寒さに強くない点と暑さに弱い点が目立つ。
成長はかなり涼しい季節メインで成長を進め、
夏場には新芽部分に高温障害の症状が出ることもある。
また、夏場の根の蒸れにも弱く、高温多湿な管理をすると、
夏場にいきなり枯れてしまうこともある。
リューコキシロンとの大きな違いとして、
かなり日光の好きな品種で半日陰以上の日照が必要。
日光好きなのに暑さに弱いという点が少し厄介。
冬場もあまり寒風に当てすぎると葉がボロボロになる。
ただ耐寒性自体そこまで低いわけではない。
吸水量は少なくはないが、リューコキシロン等に比べると
遥かに乾燥を好むため、排水性の高い用土を選択する。
元々葉が柔らかいので、病虫害の影響を受けやすい。
思った以上に我儘で綺麗に管理するのは難しい。
【樹高:70cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus albopurpurea(アルボプルプレア)
リューコキシロンとクレイドカリックスの間のような感じ。
ただかなり暑さには弱いところがあり、
高温障害の症状が強く出ることもある。
日光は好きな方だが、半日陰程度でも良く育つ。
正直、夏場の葉焼けや高温障害が酷くなり、
暑い季節にはほとんど動きがないので、
夏場は少し遮光した環境や半日陰程度で育てた方が、
遥かに丈夫で葉の綺麗な株になる。
吸水はそこそこ激しく、過湿にも高い耐性があるが、
夏場の根の蒸れには少し注意が必要。
水切れ耐性も高いので、排水性の高い用土で、
乾燥気味に管理した方が良い。
日照を多少犠牲にしてでも、涼しい場所で
管理をするのが綺麗な株を育てるポイント。
一度2m近くまで育ったが、切り戻している。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus parvula(パルブラ)
グニーよりも遥かに小さな楕円の葉が特徴。
とにかく強健で寒さに強いユーカリ。
夏場はあまり動きはなくなるが、
暑さにも強く、高温障害の症状が出たことはない。
半日陰程度の日照でも問題なく育つが、
日光は好きな品種なので良く日光に当てた方が良い。
とにかく寒さにも暑さにも強く、
あらゆる面で非常に強健なユーカリだが、
根が張りきってからの吸水量は湿地帯生息種並み。
水切れ耐性が低いので、水切れで枯らせることの多いユーカリ。
あまり用土も問わない品種で、
基本表面が乾いたら水遣りで問題なく育つ。
とにかく水切れに注意!
【樹高:100cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus cordata(コルダータ)
他にはない質感の銀葉がとても美しい品種。
また精油の多さとシネオール分の濃さもひか一のユーカリ。
とにかく顕著に涼しい環境を好む。
夏場の高温障害の症状こそあまり出ないが、
かなり涼しい季節メインで成長を進め、
夏場には全くといっていいほど動きがなくなる。
大きな枯れや病気などはないが、
夏場に葉を美しく保つのがとても難しい。
日光が非常に好きな品種で、
半日陰以上の日照がないと生育は極端に悪くなる。
現地では半湿地帯生息種のため、
冬場以外は表面が乾いたら水遣りのタイミングでOK。
元々かなり寒さには強い品種だが、
冬場の過湿による耐寒性の低下が目立つ。
前評判では水切れに弱いという話だったが、
思ったよりも乾燥に耐えられるように思う。
とにかく大阪では葉を綺麗に保つのが難しい。
夏場は良く日光に当て、良く水を与え、
冬場は少し乾燥気味に管理をするのが良い。
鉢が小さいと生育に影響の出やすい品種でもある。
【樹高:100cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus regnans(レグナンス)
最も樹高の高くなるユーカリ。
ところが性質は暑さに弱いの一言に尽きる。
春先には非常に激しい成長力を発揮するが、
暖かくなってからは、成長が止まり、
どんどん葉がボロボロになっていく。
当初は養分不足や病気の可能性を考えたが、
最終的には純粋に暑さに弱いことが判明した。
強健なので枯れることは滅多にないが、
大阪では葉を綺麗に保ちながら、
順調に育てることは困難であるという結論に達した。
我が家ではニテンスと並んで純粋に暑さに弱い品種である。
過湿には非常に強く、吸水量も激しく、水切れに弱い。
また耐陰性も高いようで、日陰でも問題なく成長する。
日照を犠牲にしてでも、涼しさを追求したいところだが、
我が家ではこれ以上の涼しい環境は
用意できないという場所で管理をしても、
時期で葉がボロボロになるのは避けられなかった。
【樹高:120cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus cypellocarpa(キペロカルパ)
準高山地帯に生息する大型品種だが、
そこまで暑さに弱いという印象はない。
とにかく強健で成長が馬鹿みたいに激しい。
夏場には新芽部分に高温障害の症状が出ることもあるが、
成長が激しいので全く気に留める必要はない。
涼しい季節メインで成長を進め、
夏場はその激しい成長力も少し影をひそめる。
日光は好きな方だが、成長が激しすぎるので、
半日陰程度でも十分すぎる程である。
吸水量も半端ない方だが、
意外にもそこそこの乾燥に耐えることができるので、
大体我が家ではビミナリスと似たような管理をしている。
ビミナリスよりも成長を進める時期が短いにも関わらず、
大体、同程度のペースで成長を進めていく程の激しさ。
我が家ではほぼ枯れる気のしないユーカリの一つである。
【樹高:200cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus nicholii(ニコリー)
葉形の定まらない不定形な糸葉系のユーカリ。
前評判ではかなり寒さに強いということだったが、
非常に寒風に弱く、冬場の寒風を避けないと、
葉がボロボロになって、春先にパラパラ散っていく。
ただ環境が良ければ成長は激しいので、
半落葉樹のように管理しても問題はない。
とにかく日光の好きな品種で、
日光が足りないと、ほとんど成長が進まなくなる。
どちらかというと暑い環境が好きなようで、
高温障害の症状も出たことはないので、
良く日光に当てて育てることがポイント。
吸水量は激しい方だが、水の遣り過ぎは生育の悪化を招くので、
シネレアなどと同程度か少し乾燥気味に管理した方が良い。
個人的には環境の悪い我が家のベランダでは、
葉を綺麗に保つのが少し難しいなという印象がある。
【樹高:100cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus scoparia(スコパリア)
パッと見はプンクタータなどに良く似ているが、
葉の鮮やかな緑色と新芽の赤みが特徴の品種。
一年を通して葉を美しく保つのが難しい。
涼しい季節にはビックリするほど順調に
美しい葉をどんどん生成してくれるが、
暑くなると途端に成長がストップして、
少しの直射日光でも葉焼けしてしまうことがある。
ところが日光は好きな方で、
涼しい成長期には良く日光に当てた方が良い。
夏場はしっかりと遮光するか、
日照を犠牲にして、涼しい環境で養生させる感じ。
吸水量は比較的激しい方だが、用土の排水性を上げて、
少し乾燥気味に管理した方が経過は良い。
そこまで水切れに弱いという印象もない。
実は冬場もあまり耐寒性が高いとはいえないユーカリで、
寒風に当てると葉がボロボロになりやすい。
東AZのユーカリにしては少しぬるま湯的な環境を好む。
一度160cm近くまで育ったが、
夏場に葉がボロボロになったため大きく切り戻している。
【樹高:80cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus brookeriana(ブルッケリアナ)
光沢のあるユーカリらしからぬ葉が特徴。
成長の時期は短く、かなり涼しい季節に成長を進める。
元来、そこそこの大型になる品種だが、
大阪では成長時期が短く、一年を通して大人しい印象がある。
冷涼な環境を好むユーカリだが、
暑さによる高温障害の症状はほぼ皆無。
樹高のわりには根張りが激しくなるのも特徴。
ただし吸水量は並程度でシネレア等と同等か
それよりもまだ乾燥を好むレベル。
特に日光の好きな品種で半日陰以上の環境が必要。
成長期には直射日光に当てないと成長が進まなくなる。
耐寒性はグロブルスと同程度は兼ね備えているが、
寒風には弱く、寒風を浴びると葉が傷みやすい。
基本的には強健で平均的な管理で問題ない。
【樹高:80cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus coccifera(コッキフェラ)
かなり冷涼な高山に生息する完全な高山植物である。
際立って暑さに弱い性質が目立ち、
夏場には高い確率で葉枯れが出る程の高温障害になる。
もちろん成長は寒いくらいに涼しい季節がメイン。
ただしニテンスやレグナンスのように
全く手の施しようがないというレベルではない。
夏場は日光を犠牲にしてでも、
高温多湿になりにくい涼しい日陰で管理することで、
葉痛みを大幅に抑えることに成功した。
ただ基本的には非常に日光の好きな品種なので、
成長期にはしっかりと直射日光に当てて育てる。
吸水量は少なく、特に夏場の過湿に弱い。
かなり高い耐寒性を兼ね備えているが、
冬場の過湿による耐寒性の低下が顕著である。
年間を通して、涼しい環境で、
排水性の良い用土で乾燥気味に管理することが大切。
【樹高:90cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus serraensis(セラエンシス - アルピナ)
アルピナとも呼ばれる高山植物系のユーカリ。
ほぼコッキフェラと同程度暑さに弱い。
寒いくらいに涼しい季節メインで成長を進め、
夏場はほぼ完全に成長がストップする。
コッキフェラと異なるのは、酷い高温障害が出るのは、
新芽部分に限られ、古い葉はほとんど痛むことはない。
元々小型品種のため、成長期であっても大人しい。
コッキフェラ以上に日光の好きな品種でもあり、
成長期にはほぼ直射日光に当てていないと成長が進まない。
成長期の吸水量はそこそこ激しい方なので、
涼しい季節でも水切れに少し注意が必要。
一方高山植物の癖に耐寒性は思ったより高くない。
-8℃くらいまでは問題ないが、
あまりに激しい寒風を食らうと酷く葉が傷む。
大阪では少し厄介で全体的に大人しいユーカリ。
【樹高:30cm / 鉢:スリット5号ロング】
こうして見てみると、
意外に暑さに弱く、冷涼な環境を好む品種が多いですね。
栽培当初は「ユーカリ=暑さに強い」
という思い込みがありましたが、
特に日本で良く見かけるようなユーカリほど、
暑さに弱いものが多くて、色々と学ぶことは多かったです。
もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。
その6に続きます。- # by eucalyptus_k | 2014-09-22 16:30 | ユーカリ(栽培知識)
樹高の伸びと下葉がなくなる問題
梅雨も終わりに差し掛かり、
大阪では軽く30℃を超える日がやってきました。
晴れの日には高温乾燥が好きな
西AZのユーカリを中心に
やっと面倒な梅雨が明けたかとばかりに
新芽の展開を進め始めています。
一部の湿地帯生息種で且つ高温が好きな品種以外は
基本的にユーカリは梅雨時期が苦手で、
多くの品種では葉が傷んだり、
冬の間の傷んだ葉を散らせたりします。
春に次いでこれから
ますます成長を進めていくわけですが、
30m~80mになるような大型品種の場合、
鉢植えでも放置すれば、
ほんの数年で数mになるものがあります。
我が家のベランダでも、
camaldulensis...3m
globulus ssp. globulus...3m
citriodora...3m
risdonii...3m
melliodora...3m
leucoxylon ssp. pruinosa...2.5m
viminalis ssp. viminalis...2.5m
globulus ssp. bicostata...2.5m
coolabah...2.5m
sideroxylon...2m
staigeriana...2m
smithii...2m
rudis...2m
cypellocarpa...2m
morrisbyi...2m
robusta...2m
subcrenulata...2m
maculata...1.7m
bridgesiana...1.8m
と軒並み2mオーバーのオンパレードで、
ほとんどが1.5mオーバー、
1m以内のものは数える程しかないという状況です。
ちょうどこちらの写真に写っている
物干し用の竿が2m弱くらいの高さになります。
先年、足場板で土台を組んで、
全体的な日照を向上させたのが良かったようです。
また毎年猛威を振るっていた、
うどんこ病やハダニの被害も
今年はほぼ皆無という状況で、
これも激しい成長に拍車をかけているようです。
さらに一部の2mオーバー級では、
末葉に変わるものまで出だしています。
末葉に変わりだしたsmithii
鉢は全てが6号スリット鉢で、
一部のものでは5号のものまであります。
通常であれば、鉢のサイズだけで見ると、
完全に根詰まり状態のはずなのですが、
スリット鉢の効果でしょうか。
もちろんそれなりに根はパンパンですが、
根詰まりで急を要するような株はありません。
ただこの大きさになってくると、
下葉はどんどんと落ちていき、
特に2.5~3m級のものでは、
上部1/3程度にしか葉がありません。
物干し竿から下はほとんど葉がないものが多い
ただどれも健康状態自体は悪くはなく、
3mというと完全に天井に頭を打つのですが、
頭を打って削られた頂点の成長はストップして、
その少し下くらいから脇芽を盛んに出しています。
天井に擦られて横から芽を出したcamaldulensis
私は鉢植え管理の宿命と割り切って、
あまり下葉の減少を気にしていませんが、
これは多くのユーカリを美しく育てたい方には、
大きな問題になっているようです。
これの打開策はプロでも悩むところと聞き及びますし、
私にも今のところ、良い案は浮かんでいません。
安全策を取るのであれば、
ある程度葉を残して、切ることですが、
そもそもかなり上部にしか葉がないわけなので、
所詮、妥協策でしかなく、年々下葉は減り続けます。
また上をいくら切り続けても、
下の方はどんどん木化が進んでいき、
下から枝が出るという成果には全く貢献できません。
ただ比較的風通しの良い場所にある、
melliodoraでは、半分以上も葉が残っていたりするので、
下部の風通しの改善などは若干効果があるかもしれません。
melliodoraの幹の下の方
それでも最終的には、限界を迎えて、
一か八かで、かなり下の葉のない部分で
バッサリ切ってしまうのもありなのでしょうが、
その方法で生き残るかどうかは本当に博打感覚です。
実は私はその方法を実行して、
今まで一度も枯らせたことはありませんが、
やはり相応の覚悟が必要になりますし、
時期を間違えるとダメになってしまうこともあります。
やはり先日の記事で書いたように、
「ユーカリは樹木である」という事実がある限り、
ある程度は仕方のないことなのかもしれません。
下の方の幹に傷を付けて、
そこから新芽を出させるという高等テクもありますが、
私は一度もうまくいったことはありません。
上の方の新芽部分をしつこく傷つけていると、
株元から芽が出るという実例もあるのですが、
これも本当にその株次第で絶対というわけではありません。
結局、全く解決策の提示ができないのですが、
もしユーカリが好きなら、
そんなユーカリの姿も受け入れて
楽しく育ててみるのはどうでしょうか?
何か良い方法がある場合、教えていただければ、
株数はありますので、色々と実験も可能です。
それでも、綺麗な樹形でなければ嫌だ!という方は、
とにかく低樹高の内から小まめな摘芯や剪定を心がけるか、
そもそも低樹高で収まる品種や脇芽を吹きやすい品種を
選択して育てるのが良いと思います。
我が家でも、脇芽の吹きやすいcrenulataや、
albida/moon lagoonなどでは、
100~180cm程度になっても、
割と綺麗な樹形を保つことができています。
crenulata(樹高150cm)
albida(樹高100cm)
moon lagoon(樹高130cm)
大型樹木を鉢植えで美しく育てる。
これは趣味の栽培者の永遠の課題ですね。- # by eucalyptus_k | 2014-07-02 16:25 | ユーカリ(栽培知識)