春のベランダ速報
今年の冬は少し湿潤だったようで、
雨ざらしのユーカリの越冬は少し難しかったようです。
私のところのベランダの唯一のメリットは
雨が全くかからないため、
完全に水分量をコントロールできることです。
私も今年で水遣り三年が過ぎ、
少しは結果が出せるようになったのでしょうか。
今年の冬は、定植済みのもので
枯れを出すことはありませんでした。
そんなベランダからの速報です。
もうジャングルの如き状況で
洗濯物を干せる場所が本当に限られてきました><;
ちょっとは剪定とかしないといけないのですが、
数が多いので剪定というだけで、
一日潰れてしまうため、なかなかできずにいます。
一番中心の葉の大きなものはerythrocorysです。
今年は何とか屋外越冬できましたが、
やはりユーカリ中では
耐寒性のかなり弱い品種であることがわかりました。
写真ではちょっとわかりにくいですが
結構、ギリギリのラインまで葉が傷んでいます。
頑張れば屋外越冬も可能かもしれませんが、
基本的には大阪の暖地より冷えるところでは、
屋外越冬は避けて、簡易温室を用意した方が無難です。
左に見えるcamaldulensis/robustaは2m級です。
一番右にせり出している細葉のものはsmithiiです。
これももう私の背丈に到達している大きさです。
他にもrisdonii/cypellocarpa/rudisなども
私の背丈を超え始めてきました。
他には、albopurpurea/crucis/morrisbyi/erythrocorys
maculata/tenuiramis/melanophloia/leocoxylon/sideroxylonなども
もうすぐ私の背丈に迫ろうという状況です。
このあたりはそろそろどうにかしないといけません。
最も太陽が当たるゾーンも元気です!
もちろん絶対に鉢は動かないように固定していますが、
強風で幹が折られることがあるのが難点です。
夏でも何とか日光が当たるゾーンです。
こちらは少しデリケートな品種を集めています。
最後に我が家のalbidaです。
albidaの葉にはシミができやすいとのお話を伺いましたが、
家では特にシミができるようなことはありません。
これはもしかすると家では雨がかからないことが
原因になっているのかもしれません。
とにかく、今年は成長力が例年以上です!
もうすぐうどんこ病の季節がやってきますので、
葉が美しいままで乗り切って欲しいものです。- # by eucalyptus_k | 2012-04-22 20:47 | ユーカリ(栽培実績)
ユーカリは基本「弱酸性」を好みます!
最近、ネットでユーカリに関する情報を拝見していると、
良く見かけるのがこの情報です。。。
ユーカリは酸性を嫌う
ハッキリいいますが、
この情報は大きな間違いです!
一般的にハーブが酸性を嫌うからでしょうか?
それともオーストラリア=石灰岩と思うからでしょうか?
中にはアルカリ性寄りの方が
好調な品種もわずかながら存在します。
例えばMoon Lagoon/erthrocorysなどです。
ほとんどの方が好んで育てられている
cinerea/pulverulenta/gunniiなど、
多くの東AZ出身のユーカリは
ほぼ全てが弱酸性~酸性を好みます。
主に弱酸性を好む日本の植物と比べても、
さらに酸性の強いものを好む品種も多いです。
leucoxylon/cladocalyx/fasciculosaなどの
アデレード近郊に生息しているユーカリは
基本的には弱酸性を好みますが、
かなり高いアルカリ耐性を持ち、
アルカリ寄りのpHでも比較的順調に育ちます。
ただ私は良くユーカリに
有機石灰や苦土石灰を与えることがあります。
それはpHを操作するためではなく、
マグネシウム等のミネラル分を補給するためです。
これが不足すると、葉の葉緑素が抜けた
クロロシスのような状態になることがあります。
あと最近思うのは意外に肥料当たりが多いです。
リン酸分の塩分に当たることが多いようですね。
慣れない方は肥料は控えた方が良いかもしれません。
急に寒くなった今年の秋口、
ユーカリを枯らせてしまったお話を良く聞きます。
私も苗サイズであれば、結構枯らせています。
夏季と同じ調子で水遣りをしていたため、
根腐れになってしまったことが主な原因ですが、
上記もぜひ、ご参考にしてみてください。- # by eucalyptus_k | 2011-10-28 21:13 | ユーカリ(栽培知識)
ユーカリ栽培最大の障害
私がユーカリを育てている中で
最大の障害が二つあります。
それは、、、
うどんこ病とハダニです。
主な発生時期は
うどんこ病が5~7月と10~11月、
ハダニが7~10月です。
この二つの発生時期は微妙に被らず、
ダブルパンチを食わないのが唯一の救いです。
この二つの障害は
ユーカリを屋外の日光が良く当たる
風通しの良い場所で育てている人には
あまり縁のない存在かもしれません。
我が家はベランダと言う閉鎖された環境で
日照もかなり悪いということから、
この二つがかなり猛威を奮うのです。
ハダニは比較的大きく育った株に発生し、
執拗な水攻めと毎日の確認で
枯れを出すほどのことは中々ありません。
また、被害の酷くなる品種も限られています。
とにかく早目に発見して、
水で流してしまえば何とか乗り切れます。
最も暑い時期に大発生して、
手がつけられなくなるときには、
ニッソランという薬品を使用することがあります。
この薬品はハダニに対しては絶大な効果があり、
撒いてしまえば、そのシーズンはまず乗り切れます。
また、希釈倍率が高いので、
比較的幼い苗でも薬害が出ることはありません。
ただ、閉鎖環境で撒くと少し気分が悪くなるので、
本当に最後の最後にだけと決めています。
次にうどんこ病ですが、
これがある種、最強の障害といえます。
なぜかというと、
ミント系ユーカリの一部の品種以外、
ほぼ全ての品種に大発生し、
わずが数センチの超幼苗にも多発するからです。
大きな株の場合、葉が汚くなる程度の被害ですが、
小さな苗の場合は枯死する可能性が高いです。
また、閉鎖されたベランダですから、
もう広がり放題に広がり手がつけられません。
最初はなるべく農薬は使用せず、
ネットで色々調べて、木酢や重曹など
オーガニック系の方法を色々試しましたが、
家でははっきりいって全てまやかし。。。
効き目は全てがゼロでした。
うどんこ病というものは、
様々な植物で発生する病気ですが、
植物によって発生する菌はそれぞれが別種なのです。
うどんこ病といえば、イチゴやバラが有名ですが、
イチゴ、バラ、ユーカリにつく菌は異なるわけです。
そこで、ユーカリのうどんこ病に効く薬で
尚且つ薬害の出ない薬を探す旅が始まりました。
おそらくうどんこ病に効く薬として
そこらで売っているものは
全て試しきったといっても過言ではありません。
薬が効かずにうどんこ病で枯れた苗、
薬害で枯れた苗は数知れず。。。
周りでは最も葉が豊かに生い茂る時期が
家では最も葉が汚くなる時期になっていました。
あんなこんなで数年がかりで試しましたが
ユーカリのうどんこ病に効く薬というものを
どうしても見つけきれずにいました。
敢えて効果のあるものとしては、
トップジンMスプレーとカリグリーンです。
ただ、トップジンMスプレーは
多くの品種に薬害が出て、幼苗には使えず、
葉が白く汚れてしまうという欠点がありました。
また、完全に根絶するには力不足でした。
カリグリーンは撒いて1週間は押さえられますが、
1週間以上たつと、どんどんと再発していきました。
また展着剤の使用量が難しく、
展着剤の量を間違うと酷い薬害が出ました。
ユーカリの葉は白く粉を吹いているものが多く、
かなり強く水を弾く性質を持っています。
そのため、通常の展着剤の使用量では、
葉が薬を弾いてしまい、あまり効き目が望めません。
ただ、量を増やしてしまうと、白い粉を剥がしてしまい、
葉が汚くなり、そこから酷く枯れてしまいます。
私のイメージですが、
ユーカリはかなり薬害の出やすい植物です。
日光の良く当たる環境で
丈夫に育った葉ならともかく、
家のような日照不足の環境で育った
柔な葉であれば余計に薬害も酷くなります。
まあ、そんなこんなで、
数年越しで大概の薬も試し終わり、
半ばあきらめかけていたところでした。
ネットで何気なく調べていたときに、
ある薬品を見つけました。
紹介されていたうたい文句は、
うどんこ病の最後の砦だとか!
ただ一つ大きなネックがありました。
この薬は異様に高価なのです!
家にはかなりの量の株がありますから、
薬を買うときは業務用の100~250gの大袋で買います。
大概の薬はそれで大体1000円と少々
くらいの値段で買えるのですが、
この最後の砦は100gでなんと!
3500円近くもするのです(高すぎ!)
最後の最後まで迷いましたが、
ベランダは真っ白粉景色、、、
もうこれっきゃないと買うことにしました。
撒いてみて。。。
まず薬害はまったくありません!
家で最も薬害の多発する品種でも
ほぼ薬害は見られませんでした。
希釈倍率が2500倍なので、
薬害が出にくくなっているのでしょう。
次に効き目は。。。
一回撒いただけで、
うどんこ病の新規発生がほぼなくなりました!!
家で一番うどんこ病の被害の多い4品種。。。
Eucalyptus leucoxylon
Eucalyptus cladocalyx nana
Eucalyptus melanophloia
Eucalyptus Forrestiana
特にCladocalyxなんて、
我が家のうどんこ病の媒介主で、
葉を毎日ふき取っても、翌朝には真っ白。。。
もう手がつけられない品種でした。
この4品種だけは何度か繰り返し撒いて、
これもほぼ発生を抑えることに成功しました。
もちろん薬害もありません。
数センチの幼苗にも撒きましたが、
これもほぼ薬害はなしといえる状態でした。
これから先の経過を見ていかないと、
最終的な結果はわかりませんが、
この薬害のなさで、この効き目は凄いと思いました。
私みたいに閉鎖環境で苗同士の葉が触れ合うくらい密に
100品種以上も育てている人はいないと思いますが、
うどんこ病に悩まされる人がいたらぜひお試しください。
ただし、2500倍希釈の薬品が100gで3500円前後。
これは普通の人には中々手が出しにくいかもですね。
その最後の砦の名は!?
ポリオキシンAL水溶剤
他に水和剤や乳剤もありますが、
水溶剤を選択してください。
成分は土壌細菌から発見された天然物質で
純国産の抗生物質だそうです。
そのため、人体や他の動物に対する
危険性が極めて低くなっています。
私は撒いても気分が悪くなったり、
肌が荒れるようなことは一切ありませんでした。
この成分を食らったうどんこ病菌は
新たな胞子や菌糸を生成することができなくなるため、
強力な防除効果と治療効果があるようです。
また凄いことに!
ハダニにも効くようで
殺ダニ剤としても認識されています。
これは本当にお役立ちですね!
ユーカリのうどんこ病&ハダニに効く薬
そして私のためにあるような薬
やっと見つけることができました♪- # by eucalyptus_k | 2011-06-26 01:05 | ユーカリ(栽培知識)
識別しにくいユーカリ(1)~はじめに~
ユーカリの品種識別は困難を極めます。
日本での情報が少なすぎることが一番大きな要因です。
品種間の識別であれば、
私のところではオーストラリアの学術資料を活用することで、
何とか詳しい識別ができるようになってきました。
ところが各品種には亜種・変種というものが存在します。
ユーカリの学名の後にssp.で続くのが亜種名、
var.で続くものが変種や園芸品種名です。
この亜種・変種レベルになってくると
その詳しい識別はかなり難しくなってきます。
多くの品種の場合、亜種間での特徴より
株の個体差がそれを上回ることが多いため、
100%断定できるような識別はほぼ不可能といえます。
日本では決して流通量が多くないユーカリだからこそ、
葉形や茎の形状といった見た目の特徴ではなく、
タネの入手経路等のルーツを想定した識別も
かなり有効な識別手段になってきます。
実際、日本からのタネの入手経路はかなり限られています。
例えばAという品種のタネは△と□でしか入手できないので、
△のタネの出所と□のタネの出所を詳しく調べることで
日本に流通しているA品種の詳細を知ることができるのです。
ところがよく見かけたり、よく流通している品種ほど、
亜種や変種が多く存在する傾向があり、少々厄介でもあります。
日本ではかなりメジャーなユーカリに下記の4種があります。
Eucalyptus gunnii
Eucalyptus globulus
Eucalyptus leucoxylon
Eucalyptus camaldulensis
4種ともホームセンター等で販売されていたり、
公園などでも見かけることのできる品種です。
これら4種には多くの亜種・変種が存在します。
特にcamaldulensisに至っては、
オーストラリアの各所に生息しており、
その生息地によって、種類が分けられているほどです。
今回は全4回でgunnii/globulus/leucoxylonの3種について、
その識別に関する考察を行ってみたいと思います。
camaldulensisについては、
現在識別を行うための各株を栽培するスペースや
その他の余裕がありません。
いつか可能になったときには必ず行うつもりでいます。
何卒ご理解をお願いします。
その他ではradiata/camphora/decipiensなどでも
いくつかの亜種が存在しています。
これらもいずれ必ず挑戦していくつもりでいます。- # by eucalyptus_k | 2011-02-05 18:55 | ユーカリ(品種知識)
ユーカリに含まれる毒素について
先日のユーカリ茶のお話の中で出ました
ユーカリの毒素(青酸配糖体)について
少し詳しい情報が見つかりましたのでご紹介します。
ユーカリには体内に摂取することで、
人体に害のある成分がいくつか含まれています。
シネオール、フェノール、タンニン、青酸配糖体などです。
この中でもシネオールやフェノール、タンニンなどは、
過剰摂取することで害を及ぼしますが、
少量の摂取ではデトックスにも役立つ成分です。
ところがこの中で最も危険なものが青酸配糖体です。
これは摂取し、体内で分解されることで
有毒物質である青酸(シアン化水素)を生じます。
青梅の毒もこの青酸配糖体であるアミグダリンという物質です。
ユーカリに含まれる青酸配糖体は大きく分けて3種類あります。
このアミグダリンとプルナシン、サンブニグリンという物質です。
この中でもユーカリに最も多く含まれているのがプルナシンで、
このプルナシンは青梅にも少し含まれているようです。
どのユーカリにどの物質がどれだけ含まれているか、
これについては今のところ目立った文書は見当たりませんが、
この青酸配糖体を多く含むことが実証され、
比較的毒性が強いと言われているユーカリを下記に記します。
これはあくまでも学術的な調査が行われて、
毒性の強いユーカリとして文書に記されているものです。
これ以外のユーカリについては
安全であるという証明がなされているわけではありませんので
摂取などされる場合はくれぐれもご注意ください。
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Eucalyptus acaciiformis
Eucalyptus burdettiana
Eucalyptus caleyi
Eucalyptus camphora
Eucalyptus cladocalyx
Eucalyptus cylindriflora
Eucalyptus diversifolia
Eucalyptus eximia(Corymbia)
Eucalyptus leptophleba
Eucalyptus leucoxylon
Eucalyptus megacornuta
Eucalyptus microtheca
Eucalyptus nobilis
Eucalyptus orgadophila
Eucalyptus ovata
Eucalyptus ptellaris
Eucalyptus pilligaensis
Eucalyptus polyanthemos
Eucalyptus rudderi
Eucalyptus steedmanii
Eucalyptus tectifica
Eucalyptus viminalis
Eucalyptus yarraensis
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目標にしていたcamphoraのお茶は
少しだけ気をつけた方が良いかもしれませんね。- # by eucalyptus_k | 2010-11-12 17:17 | ユーカリ(茶・酒)