今年はたくさん枯れた...
久々の投稿恐れ入ります。
最近多忙+体調不良が重なって
なかなかブログの更新ができずに申し訳ありません。
そんな中、今年はたくさん枯らせてしまいました。
決して管理には手を抜いてはいないのですが...
でも原因究明だけは怠りません。
■ Eucalyptus pleurocarpa
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元々病気がちだった株ですが
毎年何とか花だけは咲かせてくれていました。
このように病気がちの株は
大体数年で調子を崩して枯れてしまうことが多いです。
■ Eucalyptus serraensis
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完全に今年の猛暑と高温多湿で枯れた感じです。
この品種やpauciflora ssp. niphophilaは
本当に大阪の猛暑はキツイですね。
なかなかうまく育てるのがこの環境では難しいです。
■ Eucalyptus delegatensis ssp. tasmaniensis
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これも猛暑でダメージを受けていたところ、
秋口の長雨で過湿になって枯れたと思われます。
まだ復活の可能性も少しだけありますが...
ユーカリの管理について、
初めの頃は越冬が最も怖いと思ってしまいますが、
慣れてくると本当に怖いのは
梅雨~秋口にかけての季節だと思わされます。
今は発芽後の小苗の管理ができる余裕がないので、
時間ができたら全て仕切り直しですね。
のんびりユーカリ管理のできる日が
早くやってくることを切に願います- # by eucalyptus_k | 2016-10-28 19:27 | ユーカリ(栽培実績)
ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その4
私の育てている全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いています。
ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。
他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。
■ Eucalyptus urnigera(アーニゲラ)
見た目はグニーやシネレアにも似ているが、
遥かに日光を必要とし、乾燥を好む。
準高山生息種にしては暑さにも強い。
とにかく日光が足りないと極端に生育が悪くなる。
必要日照量は西AZのユーカリに匹敵する。
日光の良く当たる場所で育てられるなら、
水切れにも強く、葉も美しく、
脇芽をたくさん出す性質も強いので
暑さに弱いグニーなどよりも遥かに育てやすい。
高い日照を要求するので我が家では少しイマイチ。
【樹高:60cm / 鉢:スリット5号ロング】※普通種
【樹高:60cm / 鉢:スリット5号ロング】※白みの強い種
■ Eucalyptus sturgissiana(スタージシアナ)
かなりレア度の高い、人呼んで東AZのマクロカルパ。
大きく育った葉はツキヌキ状になることもある。
どちらかというと涼しい季節メインで成長を進め、
東AZのユーカリのわりには小型で成長も遅い。
盛夏にはほとんど動きがなくなるが、
暑さに弱いということもなく、高温障害にもならない。
半日陰以上の環境で乾燥気味に管理すれば、
シネレアなどとほとんど変わりなく育てられる。
成長が控え目なので鉢植えでも管理しやすい。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus melanophloia(メラノフロイア)
亜熱帯性の暖かい気候を好む、超水食いの非常に強健な品種。
冬場は葉が紫色に紅葉し、少し葉枯れが出ることもあるが、
春になると完全に生まれ変わるほどに生育は旺盛。
半日陰以下の環境でも育てられるが、
本来の銀葉を生成せずに緑色の強い葉になる。
葉の白みを強くしたい場合には良く日光に当てる。
とにかく湿地帯生息種に匹敵するほどの水食いで、
水切れにもそこそこ弱いので少し注意が必要。
成長はそこそこ早いが、低木での開花も見込める。
非常にうどんこ病に罹りやすいが、
強健なので葉が汚くなる程度で枯れることはない。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus grandis (グランディス)
亜熱帯から熱帯性のかなり暖かい気候を好む。
実際に東南アジアなどの熱帯雨林の植樹に使用されている。
初期のレモンユーカリほどではないが、
冬場はかなり激しく葉が傷むこともある。
それでも春も早いうちに完全復活以上の状態に戻る。
成長の早さはぴか一の超大型品種で、
日光をふんだんに浴びた際の成長力には目を見張るものがある。
我が家では成長と水切れが激しすぎるため、少し日陰に置いている。
日光と水さえあれば、際限なく葉を茂らせてどんどん伸びていく。
湿地帯生息種で完全に水に浸かった土壌でも生育が可能。
このユーカリを過湿で枯らせることはないだろうが、
冬場に水でビタビタにすると耐寒性が下がるので注意。
半日陰の鉢植えでも一年に何度も剪定を要する程で
ユーカリの生命力を実感できる枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:70cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus pruinosa (プルイノサ)
我が家では珍しいノーザンテリトリー出身のユーカリ。
涼しい季節よりも暑い季節メインで成長を進める。
雨季と乾季のあるサバンナ地帯出身のため、
過湿にも強く、同時にある程度の乾燥にも耐えることができる。
色々と実験してみたが、水は多めの方が生育は良くなる。
かなり日光が好きな品種で、日照が足りないと、
本来の銀葉を生成せずに深緑のくすんだ小さな葉になる。
注意するポイントは耐寒性で、-3℃程度でも激しく傷む。
毎年冬には葉を散らせて、春に復活するという
半分落葉樹かと思うような性質を持つ。
冬場の過湿はただでさえ弱い耐寒性をさらに下げるので注意。
【樹高:80cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus smithii(スミティー)
涼しい環境を好む、成長の激しい大型品種。
暑い季節には少し高温障害の症状が出たり、
ほとんど生育が進まなくなるが、
涼しい季節の成長力はビミナリスに匹敵する。
中には比較的低木でMallee型になる種もあるらしい。
見た目は若干茎と新芽に白みのあるビミナリスだが、
湿地帯生息種に匹敵するほどの水食い。
我が家では日照のかなり悪い場所に置いているが、
涼しい季節でもほぼ毎日の水遣りを必要とする。
シネオール分が強く、かなり良い香りがする。
【樹高:200cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus aggregata(アグレガータ)
冷涼湿潤な気候を好む湿地帯生息種。
カンフォラやオバータと似たような性質を持ち、
両者に負けるとも劣らない水食い。
かなり涼しい季節メインで成長を進め、
あまりに暑いと新芽部分に高温障害の症状が
出ることもあるが、そこまで酷くなることはない。
半日陰以上の日光を必要とする品種で、
日照が良ければ夏場でもそこそこ成長を進める。
高い空中湿度に対しても強いはずだが、
高温多湿になりすぎると下葉を少し散らせることもある。
成長はカンフォラよりも激しく、オバータには劣る。
【樹高:90cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus kitsoniana(キットソニアナ)
これもカンフォラなどと同じく冷涼湿潤な気候を好む
湿地帯生息種だが、カンフォラなどよりもさらに強健。
日照が悪いとうどんこ病に罹りやすいユーカリだが、
日照さえ良ければ成長もそこそこ激しくなる。
かなり冷涼な地域に生息しているわりには、
暑さにもかなり強く、高温障害の症状は出ていない。
また高温多湿による葉の蒸れにもそこそこ強い。
ただし盛夏にはほとんど成長が進まなくなる。
現地では水に浸かった土壌でも生育が可能だが、
高温多湿な日本の水浸し土壌に耐えられるかは不明。
かなりの水食いだが、少しの乾燥にも耐えることもできる。
ある程度の大きさになると枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:70cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus mannifera ssp. praecox(マニフェラ・プラエコックス)
冷涼な環境に生息する銀丸葉の品種。
小丸葉と呼ばれるグニーよりもさらに小さな楕円の葉を持つ。
冷涼な環境を好むがグニーなどよりも暑さに強く、
夏場に高温障害や葉痛みが出ることはほとんどない。
ただし盛夏にはほとんど成長が進まなくなる。
個人的には吸水量や見た目もグニーにそっくりで、
それよりも暑さに強く安定感があるので、
さらに育てやすいグニーといった感じ。
大きさのわりには根張りがかなり激しいが、
そこまで成長が激しいという感じもしない。
半日陰程度の日照でも十分に育てられる。
【樹高:80cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus polybractea(ポリブラクテア)
非常に強健で白みのある糸葉系ユーカリ。
育苗初期は病気がちでうどんこ病などにも悩まされたが、
ある程度の大きさまで育ち、少し日光が当たるようになってからは、
非常に成長が激しく、枯れる気のしないユーカリの一つになった。
過湿にも非常に強く、かなりの水食いだが、
そこそこの乾燥にも耐えることができる。
半日陰以上の日照があれば、十分に育てることができる。
株元から脇芽を出す性質がとても強く、樹形はかなり暴れる。
寒さにも強く、あまり弱点の見つからないユーカリ。
涼しい季節よりも、少し暖かい季節メインで成長を進める。
【樹高:140cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus viridis(ビリディス)
暑さにも寒さにも強く、非常に強健なユーカリ。
また、生育はベストではなくなるが、
半日陰以下の日照で育てることも可能。
とにかく我が家では、置き場所が悪くても、
暑くても、寒くても、乾燥していても、
少し過湿気味になったとしても、
ほとんど葉を痛ませることもなく、
地味にどんどんと成長を進ませていく。
ある程度の大きさにまで育ててからは、
ほぼ枯れる気のしないユーカリの一つになった。
あらゆる場所に対応可能なオールマイティなユーカリ。
【樹高:170cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus tenuiramis(テヌイラミス)
ツキヌキ状の白銀細葉を生じる際立って美しいユーカリ。
とにかくかなり涼しい季節メインで成長を進め、
成長期の葉はとても美しく、ある程度の成長力もある。
ところが夏になると、全く生育をストップして、
激しい高温障害の症状が出ることになる。
際立って暑さに弱いユーカリである。
特に高温時の高い空中湿度を嫌い、
そのような場所では葉の込み合った部分がボロボロになる。
春もかなり寒い間から、秋もかなり寒くなるまで成長を進める。
冬でも新芽を展開させることがあり、冬場の葉が最も美しい。
そこそこの水食いだが、ある程度の乾燥にも耐えることができる。
【樹高:170cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus risdonii(リズドニー)
テヌイラミスとは性質も外観も良く似たユーカリ。
ペリニアナほどではないが、テヌイラミスよりも、
さらに丸みのある白銀色のツキヌキ状の葉が特徴。
テヌイラミスほど暑さに弱くはないが、
夏には相応に高温障害の症状が出て葉が傷む。
特に高温時の高い空中湿度を嫌い、
そのような場所では葉の込み合った部分がボロボロになる。
もちろん夏場には成長をほぼストップする。
春もかなり寒い間から、秋もかなり寒くなるまで成長を進める。
冬でも新芽を展開させることがあり、冬場の葉が最も美しい。
テヌイラミスよりも遥かに水食いで過湿には強いが水切れには弱い。
【樹高:300cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus delegatensis ssp. delegatensis(デレガテンシス)
非常に冷涼で湿潤な環境を好むユーカリだが、
亜種のタスマニエンシスに比べると少しだけ暑さに強い。
夏場はあまり激しく高温障害にまで至ることはない。
かなり涼しい季節メインで成長を進めるが、
同時にかなりの日光好きで、日光が足りないと、
成長期にほとんど成長が進まないこともある。
夏場の激しい日光を浴びると、葉がヘタって痛むこともあるので、
日光好きではあるが、夏場は少し遮光が必要。
吸水量はそこそこ激しい方で、シネレアなどよりも良く水を吸う。
過湿には強いが、水切れ耐性はあまりないようなので、
夏場などの水切れには少し注意が必要。
実は成長期の成長力は激しく、かなりの大型品種である。
【樹高:90cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus delegatensis ssp. tasmaniensis
(デレガテンシス・タスマニエンシス)
原種よりもさらに冷涼湿潤な気候を好み、
葉の丸みと幹の白みがより強く、見た目の美しい亜種。
暑さにはかなり弱く、夏場はある程度の
高温障害と葉痛みは妥協が必要な範囲。
ただ風通しを良くすることで症状を緩和することができる。
これもかなりの日光好きではあるが、夏場は少し遮光が必要。
原種よりもさらに水食いなイメージで、
湿地帯生息種に匹敵するほどの吸水量を持つ。
原種同様に成長期の成長力が激しい大型品種である。
【樹高:170cm / 鉢:スリット6号】
もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。
その5に続きます。- # by eucalyptus_k | 2014-09-05 19:59 | ユーカリ(栽培知識)
もうすぐ越冬!
最近少し多忙であることもありますが、
どうしても冬はユーカリのネタが少なくなります。
ただ今年は非常に寒い日が何日もありながら、
ユーカリの様子はとても安定しています。
恐らく毎年毎年、年を経るごとに
どんどん給水量を減らしているからでしょう。
最も水を吸うようなユーカリでも
今年は週に1~2回程度しか与えていません。
いわゆる、「用土の表面が乾いたら」というサインで言うと、
用土の表面が乾いてから約3日後に給水といった感じです。
ただし、これは最も水を吸うスワンプ系の
樹高2mクラスのユーカリに限った話です。
樹高の低い株や西AZの乾燥を好むユーカリについては、
完全に底面のスリットからのみの給水しか行っていません。
間隔も、前はいつ与えたか全く覚えていないほどに少ないです。
恐らく最も少ない品種では、
半月に1回以下になるのではないでしょうか。
このように給水を減らしてから、
今まで冬に葉がボロボロになっていたようなユーカリでも、
痛むどころか、葉の色さえも変わらなくなりました。
他では、冬のように給水量の少ない季節には、
一体どのユーカリが本当に良く水を吸うのか?が分かります。
冬の統計を取っていくと、ユーカリの給水ランキングが作れそうです。
我が家では、下記の品種が比較的良く水を吸います。
※上から順に給水量が多いという実感です。
■Eucalyptus mulleriana
■Eucalyptus crenulata
■Eucalyptus ovata
■Eucalyptus robusta
■Eucalyptus risdonii
■Eucalyptus smithii
■Eucalyptus melliodora
■Eucalyptus goniocalyx
■Eucalyptus delegatensis ssp. tasmaniensis
■Eucalyptus melanophloia
■Eucalyptus nova-anglica
■Eucalyptus tenuiramis
■Eucalyptus nitens
■Eucalyptus pruinosa
■Eucalyptus polybractea
吸水量を減らしていることもあるでしょうが、
何よりも数が多いので、夏は特に枯らせることの多い季節です。
ところが、初心者の頃、最も恐れていた冬は
本当に暇な程に楽な季節になっています。
皆さまのお宅のユーカリの近況はいかがでしょうか?
またお時間のあるときにでもご一報いただけたら嬉しいです
我が家も家族全員が風邪をひいてしまい、
息子に至っては、インフルエンザに罹ってしまいましたが、
皆さまは是非ともお身体に気をつけて健やかな毎日をお過ごしください。
風邪をひいた時でも、ユーカリは待ってくれないので、
そんなときの水遣りや毎朝のチェックは相当に根性が要ります- # by eucalyptus_k | 2014-02-05 20:24 | ユーカリ(栽培実績)
【ユーカリ紹介-69】
ユーカリ・デレガテンシス・タスマニエンシス
(Eucalyptus delegatensis ssp. tasmaniensis)続きまして第69回目は
純白の樹皮が予想以上にとても美しく
水滴が垂れたような形のブルーグレイの葉が特徴、
冷涼地でこそ本領を発揮するタスマニア島固有種
ユーカリ・デレガテンシス・タスマニエンシスです。
◎ユーカリ・デレガテンシス・タスマニエンシス
【学名:Eucalyptus delegatensis ssp. tasmaniensis】
【英名:Blue Leaf / White Top / Gum-topped Stringybark】
このdelegatensis ssp. tasmaniensisは、
現地では比較的メジャーで本土の高山地帯に生息している
delegatensis ssp. delegatensisのタスマニア生息種です。
実はこのssp. tasmaniensisと
原種のssp. delegatensisは
当初、全く育てる予定のないユーカリでした。
当時の私は銀葉で丸葉のユーカリが好きで
そのようなユーカリを中心にセレクトしていましたので、
どちらかというと長細い葉をしているdelegatensisには
ほとんど興味がありませんでした。
近日中に紹介できるかと思いますが、
丸葉ユーカリにdarlympleanaというユーカリがあります。
そのdarlympleanaのタネを注文するときに
ちょっと頭がボケていたようで、
同じdから始まるdelegatensisを注文してしまいました。
注文間違いに気がついたのはタネが届いた後で、
しばらくはショックで、興味がなかったこともあって、
特にタネを播くこともなく、冷蔵庫に眠らせていました。
それからしばらく丸葉ユーカリを育て続けて、
その他の様々なユーカリに興味を持ち始めてから、
delegatensis ssp. tasmaniensisの
とても美しい写真を見ることがありました。
そして、その美しさに魅せられて、
delegatensis ssp. tasmaniensisのタネを
新たに注文するとともに、
冷蔵庫に眠らせていたssp. delegatensisのタネも
一緒に播くという機会をやっと得ることができました。
詳しくは後述しますが、delegatensisというユーカリは、
原種、亜種共に、際立って暑さに弱い性質があり、
夏の日差しを少しでも浴びるとヘロヘロになります。
ただ、性質自体はとても強健で頑丈なようで、
ヘロヘロになってもあまり枯れる気はしません。
そのため、特に強健な原種のssp. delegatensisは、
非常に日照の悪い場所に置いていたため、
成長状態があまり芳しくありません。
一方、亜種のssp. tasmaniensisは、
少しだけ原種よりデリケートな性質もあって、、
日照などのそれなりに良い場所に置いていたため、
結果として、成長状態が格段に良くなってしまい、
原種よりも先に紹介することになっています。
原種のssp. delegatensisも
次の春以降にご紹介できる予定です。
多くのユーカリには
いくつかの亜種や変種を持つものが多いですが、
大概の品種では、原種と亜種それぞれが、
見分けもつかない程に良く似ているものです。
ところがこのdelegatensisについては、
原種のssp. delegatensisと、
亜種のssp. tasmaniensisで、
一目見て違いがわかる程度の差があります。
詳しい比較は原種の紹介のときに行う予定です。
まず、このdelegatensis ssp. tasmaniensisは、
非常に美しい純白の樹皮を持っています。
この純白の樹皮は驚くほどに美しく、
当初、興味を持っていなかった自分が
馬鹿らしくなるほどに魅力的な外観を演出してくれます。
正直、この美しい樹皮が醸し出す
際立った全体像を見た時に
育てて良かったなあと心から思いました。
ユーカリには樹皮が白くなるものは多いのですが、
大概の品種では、相応に大きくなってからの話になります。
ところがこのdelegatensis ssp. tasmaniensisでは、
40cm程度の樹高のときから、
その美しい樹皮を生成してくれます。
この写真のdelegatensis ssp. tasmaniensisは
現在、140cm程度の樹高がありますが、
新芽部分以外の下3/4程度の幹は真っ白です。
写真を撮っている時に
ちょうど面白い写真を撮ることができました。
下の写真は幹の白い部分とそうでない部分の
ちょうど境目になります。
そこから上の比較的新しい幹の部分は、
主に黄緑色で赤っぽい部分もあります。
このまだ白く染まっていない部分も
これから樹高を伸ばすにつれて、
どんどん白くなってくることと思います。
ちなみにこの幹の白い部分は、
幹そのものが白い色をしているのではなく、
おしろいのような白い粉がびっしりと付いています。
そのため、幹の白い部分を指で強く擦ると、
その白い粉が取れてしまい、緑色の幹が見えてきます。
delegatensis ssp. tasmaniensisの葉は、
白みの強いブルーグレイの葉色をしています。
写真の葉色は夏を越した直後のもので
少し緑色が強くなっていますが、
涼しい季節の葉は、水色に近いような
非常に美しい色になります。
一方原種のssp. delegatensisでは、
見てわかる程に緑色が強くなります。
こんな美しい銀葉を持つ
delegatensis ssp. tasmaniensisですが、
出たばかりの新芽は、全く粉を吹いておらず、
葉色は濃い緑色で激しく光沢があります。
この写真の左上の方には
その光沢のある新芽が映っていますが、
下の方に行くほど、幹も葉も
白みが強くなっているのがわかると思います。
delegatensis ssp. tasmaniensisの葉型は、
槍型というには、少し無理がある程に
全体的に強く丸みがあります。
例えるなら涙型(ティアドロップ型)をしています。
中には小判のようにかなり丸みの強い葉もあります。
一方原種のssp. delegatensisは、
葉に丸みがなく、細長く尖っており、
大きさも長さもかなり大きなものになります。
delegatensis ssp. tasmaniensisの葉は
どれも下にぶら下がるように生えています。
そして葉は幹の方向に向けて軽くカーブしており、
左右対称の形をしているものは存在しません。
そしてこの写真がわかりやすいかと思いますが、
私が指で持っている葉の葉柄の部分を見てください。
葉柄と葉の接点の部分に少しズレがあります。
葉のカーブの内側になる方が必ず葉側へズレています。
このような特徴の葉を持つユーカリは
他にもいくつか存在していますが、
この葉柄部分の特徴をobliqueと言います。
このoblique(不等辺)がとても激しく、
その学名にまでなっている
Eucalyptus obliquaというユーカリもあります。
丸みのあるブルーグレイの葉を持ち、
純白の樹皮を含めて、全体的に白みの強い
delegatensis ssp. tasmaniensisは、
海外では、polyanthemosと同じくらい人気があり、
切枝などに使用されることも多いようです。
ただし、日本では、
まず見かけることのないユーカリです。
こんな面白い特徴を持つ
delegatensis ssp. tasmaniensisですが
原種と共に屈指の大木に育つユーカリです。
その樹高は50m以上で大きなものでは90mにもなり、
ユーカリの中でも特に大型で
Tree型の立派な樹木へと育ちます。
またこのdelegatensis ssp. tasmaniensisは、
ユーカリの大きな特徴である
Lignotuber(地際の瘤)を生成しません。
苗木の段階では、非常に美しい純白の樹皮が特徴ですが、
大きく育ってからの樹皮は、意外にもStringybarkで
非常にゴツゴツして毛羽立った形状をしています。
大きくなってからの葉型ですが、
viminalisなどのように非常に細長い鎌形の葉にはなりませんが、
小さな間のような白銀で丸みのある葉は失われて、
緑色で光沢のある幅広の槍の先のような葉へと変化します。
delegatensis ssp. tasmaniensisの生息地は
タスマニア島の準高山地帯です。
原種はAZ本土の1500m近い高山地帯に生息していますが、
ssp. tasmaniensisは、それよりも少し低い場所に生息しているため、
原種に比べると耐寒性は若干劣るようです。
delegatensis ssp. tasmaniensisの育て方についてですが、
前述した通り、極めて暑さに弱い性質を持っています。
日本の夏の激しい直射日光に当てると、
正午を過ぎた頃に、葉全体が
ヘロヘロになることがしばしばあります。
ところがそのような状態になっても、
そのまま枯れが出て枯死するということはありません。
強健な原種では、ヘロヘロになりながらも
高温障害の症状が出ることはほとんどありません。
ところが、高温に多湿が加わったような環境の場合、
delegatensis ssp. tasmaniensisでは、
酷く高温障害の症状が出ることもあります。
基本的には、非常に日光の好きな品種です。
風通しが良く、日照のとても良い、
乾燥した場所を確保できる場合には、
ヘロヘロになることをあまり気にせずに
その場所でガンガンに日光を当てた方が良いです。
ところが、風通しを確保できず、
湿気の籠りやすい場所で育てる場合には、
夏場限定で少し日照が悪くなったとしても、
涼しく風通しの良い、乾燥した場所に退避した方が良いでしょう。
その代わり、春と秋と冬には、
半日陰以上の日照を確保して、
日光にどんどん当てて成長を促進させてください。
成長のメインの時期は、
大阪や東京などの暖地の場合は、
初春や晩秋のかなり涼しい時期になります。
大阪などではあまり環境が合っていないため、
成長期に日照が不足している場合、
全くといって良いほど成長が進まないこともあります。
delegatensis ssp. tasmaniensisは、
超大型になる品種のため、
元来、非常に激しい成長力を持っています。
ところが大阪ではその成長期が短いため、
年間を通して見るとそこまで成長の激しさを
実感することはできません。
※それでもそれなりに成長は激しいです。
もし、長野県の純高山地帯や東北など
冷涼湿潤な環境で栽培した場合には、
globulusやcamaldulensis顔負けの
暴力的な成長力を発揮することと思います。
delegatensis ssp. tasmaniensisは
日本とあまり雨量の変わらない地域出身ですので、
ユーカリの中では抜群の吸水量を誇ります。
恐らく、他の外来の観葉植物を大きく越え、
在来の植物とほぼ変わらない水遣りで育てられます。
夏場の吸水はヘタをすると1日に1回を上回ります。
樹高があり、根張りがしっかりしている場合には
我が家でも冬場に2~4日に1回程度の水遣りを要します。
水切れに対する耐性はあまり持ち合わせていないため、
水切れには特に注意の必要な品種です。
春や秋、冬には、一般的な用土の表面が乾いたら水遣り、
夏場には用土の表面が少し乾いたら水遣りで対応できます。
delegatensis ssp. tasmaniensisは、
基本的に用土を選ばないユーカリであるといえます。
ただし、あまりにも水切れが早すぎる場合には、
少し用土の保水性を上げた方が良いかもしれません。
我が家では、管理しているユーカリの数が多いので、
delegatensis ssp. tasmaniensisは、水切れ防止のために
とにかく多めに水遣りをしている傾向がありますが、
それで傷んだということは全くなく、
恐らく過湿で枯らせることはほとんどないように思います。
ただし、水が好きといっても、高温多湿は苦手ですので、
夏場の暑い時間帯に用土をビタビタにすることで起こる
根の蒸れによる急性の根腐れには注意が必要です。
水はたくさん与えても、
湿気が籠らないように工夫をすると
より安心して管理ができると思います。
delegatensis ssp. tasmaniensisは、
divesやradiata等と同じ、ミント系ユーカリの仲間です。
そのため、病害虫による被害はほぼ皆無です。
たまにハキリバチが葉を切り取っていくことはあっても、
我が家や実家の庭でも病虫害が出たことは一度もありません。
結論として夏場の高温多湿と水切れにさえ気をつければ、
ほぼ在来の植物と変わらない管理で育てられます。
delegatensis ssp. tasmaniensisの耐寒性ですが、
原種より若干劣るとはいっても、
-12℃程度までは問題なく耐えられるようです。
これはcinereaとほぼ同じ耐寒性ですので、
日本の多くの場所で越冬が可能であると思います。
冬季の過湿にも強い耐性を持っていますが、
若干乾燥気味に育てた方が葉を綺麗に保つことができます。
基本的には冬場の管理で注意するポイントは
水切れ意外には見当たらない程に冬が楽なユーカリです。
気になるdelegatensis ssp. tasmaniensisの香りについてですが、
ミント系ユーカリの代表格のため、
ペパーミントとほぼ同じような香りがします。
一般的なユーカリのようなシネオールの香りはありません。
ところがその香りは非常に弱く、
指で葉を擦った程度では、まず香りません。
葉を千切ったり、クラッシュしたとしても、
余程鼻が良くないと、ほとんど香りを感じることができません。
頑張って何とか嗅いだ香り自体は悪くないのですが、
香りを楽しむ利用はまず不可能と言って良いです。
delegatensis ssp. tasmaniensisは原種と共に
ほとんど日本で知られていないユーカリのはずですが、
育ててみたいのだけれど、どこで手に入れたらよいか?
というお問い合わせが意外に多いユーカリの一つです。
以前も一度、ユーカリプレゼントで
1苗プレゼントしたことがありますが、
非常に喜んでいただけたのを覚えています。
確かに私も当初は全く興味を持っていませんでしたが、
その純白の樹皮とブルーグレイの葉色は
ビックリするほどに美しく、
cinerea等とはまた違った良さがあると思います。
残念ながら、現在日本で
delegatensis ssp. tasmaniensisの苗を
手に入れる方法はありません。
もし育ててみたい方がいらっしゃったら、
タネの販売先をご紹介します。
発芽時に若干の癖がありますが、
芽さえ出てしまえば、後はとても楽に育てられますので、
ユーカリをタネから育てる入門編にも最適です。
特に冷涼地にお住まいの方には、
少し恐ろしいほど?のパフォーマンスを
発揮してくれること間違いなしです。
是非ともdelegatensis ssp. tasmaniensisを育ててみて、
その美しさに酔いしれてみてください。
------------------------------
<栽培難易度:A+>
香良さ:★★★
香強さ:★
成長力:★★★★
要水分:★★★★★
耐過湿:★★★★★
耐水切:★
耐日陰:★★
耐移植:★★★★
耐寒性:★★★★★
耐暑性:★
耐病虫:★★★★★
------------------------------
※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2014-01-10 18:11 | ユーカリ紹介
ユーカリの発芽と事前処理
ユーカリはオーストラリアの各所に生息し、
暑いのが好きなものから、寒いのが好きなもの、
湿潤を好むものから、乾燥を好むものまで
本当に多種多様な品種があります。
その中でも特に寒いのが好きな品種で、
高山や純高山に生息しているような品種には、
上手く発芽をさせるために、
コールドトリートメント(冷却処理)を
必要とする品種がいくつかあります。
この処理は、収穫仕立てのタネでもない限り、
大概は冷蔵庫などの中で長期保管されていますから、
全く行わなくても発芽ゼロということは滅多にありません。
私も数株程度確保できればいいので、
この処理をしっかりと行うようなことは滅多にありませんが、
商用などで、より多くを発芽させるためには、
この処理を工夫する必要がありそうです。
先年の秋口に下記のタネを播きました。
Eucalyptus kybeanensis
Eucalyptus glaucescens(Mallee)
glaucescensについては、
以前から育ててはいますが、
珍しいMallee(灌木)タイプのものが
新たに手に入ったので新しく播きました。
これらの品種は、比較的長い
コールドトリートメントを必要とする品種です。
どちらももちろん購入した時点で
収穫仕立てではないでしょうから、
そのまま何もせずに播きました。
私は5.5cmの小さなポリポットに
少しタネを播くくらいですが、
それでも発芽率の良いものであれば、
数えられないほど発芽することがあります。
上記の品種の結果としては、
kybeanensisがわずか3株、
glaucescensが4株という結果でした。
これは信じられないくらい悪い率です。
どちらも寒さにはとても強い品種なので、
そのまま屋外放置で育てながら、
冬を超えて、最近暖かくなってきてから、
そのポットの状態を見てみました。
すると!
信じられないくらいたくさん発芽しています!
恐らく、冬季屋外放置(水は切らしません)で
天然のコールドトリートメントが成立したのでしょう。
趣味で育てているような人は、
少し冷蔵庫でそのままタネを保管してから播けば、
発芽率は悪くとも、それなりに発芽するものです。
冷蔵庫でそのまま保管するという方法は
簡易コールドトリートメント
とでも言ったところでしょうか。
ところが実際の正式なコールドトリートメントは、
タネにしっかりと吸水を行いながら、
指定期間冷蔵保存するというのが正しいのです。
一例として、公開されているやり方としては、
湿らせた不織布などにタネを包み、
容器に入れて、冷蔵庫などで指定期間保管します。
不織布が乾いたら適宜湿らせていきます。
下記は一般的にトリートメントが必要とされている品種です。
確かにcoccofera/pauciflora/nitens/delegatensisなどでは、
冬を超えてから大量に発芽したということが何度もありました。
※期間は必要とされているトリートメントの期間です。
※☆のついている品種ではトリートメントの重要度は低いです。
※あくまでも一例で他にもあります。
Eucalyptus serraensis ... 6週間
Eucalyptus aggregata ... 4週間☆
Eucalyptus coccifera ... 6週間
Eucalyptus crenulata ... 6週間☆
Eucalyptus cypellocarpa ... 1週間程度☆
Eucalyptus dalrympleana ... 4週間☆
Eucalyptus delegatensis ... 8週間から冬季中
Eucalyptus glaucescens ... 6週間
Eucalyptus globulus ... 3週間☆
Eucalyptus gregsoniana ... 4週間
Eucalyptus johnstonii ... 4週間
Eucalyptus kybeanensis ... 4週間
Eucalyptus melliodora ... 3週間☆
Eucalyptus moorei ... 5週間☆
Eucalyptus nitens ... 4週間
Eucalyptus obliqua ... 4週間
Eucalyptus ovata ... 6週間
Eucalyptus pauciflora(亜種含む) ... 6週間以上
Eucalyptus perriniana ... 4週間
Eucalyptus pulverulenta ... 4週間☆
Eucalyptus radiata ... 2週間程度☆
Eucalyptus regnans ... 4週間
Eucalyptus rodwayi ... 4週間☆
Eucalyptus rubida ... 4週間☆
Eucalyptus subcrenulata ... 4週間
Eucalyptus tenuiramis ... 4週間
Eucalyptus vernicosa ... 6週間
多くの苗がちゃんと必要な人は、
コールドトリートメントを
しっかりと行った方が良さそうですが、
気長に育てている趣味レベルの人は、
秋口にタネを播いて、水を切らさないように
そのまま越冬すれば春にはたくさん発芽しているでしょう。
この真性のコールドトリートメントですが、
保管状態や場所が悪いと、
そのままタネが腐ってしまうこともあるので、
少し気をつけてくださいね。- # by eucalyptus_k | 2013-03-26 12:21 | ユーカリ(栽培知識)