タネ播きの適期・適温
最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。
当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。
良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。
ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。
1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
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日本で良く見かけるユーカリが多い地域です
主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata
これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃、
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。
ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。
ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。
2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
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ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana
どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。
これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。
グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。
これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。
また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。
このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。
冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。
ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。
一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensやdalrympleana、nitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
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アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。
主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona
これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。
このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。
ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。
また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。
4. クイーンズランド州のユーカリ
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クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah
どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。
これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。
これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
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西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis
これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。
逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。
どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。
今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。
タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!- # by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)
ユーカリの地植えについて
最近、地植えに関するお問い合わせが増えています。
私はベランダ園芸なので地植えはしたくてもできないのですが、
その分、地植えされている人からは常に情報を集めています。
近所に地植えをされている御宅があると、
チャイムを押してインタビューなど、
とっても変な奴にもなっていたりします(笑)
そんな中で集めた地植えに関する情報について
いくつか掲載許可が下りたものがありますので、
まずはそちらをご紹介させていただきながら、
私の知りえる情報について書いてみたいと思います。
まず、とてもありふれたユーカリですが、
地植えに関してはとても例の少ないcinereaです。
cinereaは15~20m程度という、
ユーカリの中では比較的低木の品種ですが、
それでも相応のサイズになる樹木です。
お写真の提供は東北で、
あべ哲はり灸院をされているアベテツさんです。
とても立派なcinereaですね!
実は他にもいくつかcinereaの地植えを見たことはありますが、
こんなに立派なcinereaは初めて見ました。
実はこの立派なcinerea、
元々はホームセンターで売られていた
わずか30cm程度の小苗だったそうです!
それをまずは鉢植えで育てて
一年で120cmになったものを地植えにして、
そこからわずか2年でこの高さになったそうです。
ちなみに、アベテツさんはしっかりとプロに依頼して、
定期的に剪定をされているそうです。
この成長力を考えると、
やはり地植えには相当の覚悟が要りますね!
polyanthemos/bridgesiana/sideroxylonなど
日本で良く見かける多くのユーカリも
大体同じサイズのユーカリになりますので、
是非とも参考にしてほしいと思います。
ちなみに良く地植えされているgunniiは
cinereaよりもさらに一つ大きなサイズになりますが、
日本の狭い庭ではパフォーマンスがイマイチで、
あまり成長が進まないことが逆に好条件になっているようです。
親愛なるこあら師匠が広い畑に植えたところ、
数年で電信柱を超えたそうですので、
くれぐれも気をつけてください。
次に、ユーカリ中でもトップクラスに成長の遅い
Moon Lagoonを地植えされたという、
Osakano Jieさんの例もあります。
これについては下記の記事をご覧ください。
★ ブログ Aromaphloia ★
他にも、私の近所の大きな公園に
tereticornis/grandis/camaldulesisの3種が
地植えされている場所があります。
これはどれも50m級の大木クラスのユーカリですが、
それはそれは見上げる程に大きいです。
下記の写真はビデオからのキャプチャー画像ですので
画質はいまいちですがご容赦ください。
Eucalyptus tereticornis
Eucalyptus grandis
Eucalyptus camaldulesis
どれも学校や病院、公園などで見かける、
メタセコイアの最大サイズと同じかそれ以上です。
マンションなどの4~6階程度の高さがあります。
もちろん普通のお宅の庭では、
ここまでのパフォーマンスは出ないとしても、
このあたりのユーカリを地植えにするのは、
余程の覚悟がない限り止めた方がいいですね。
他にもまた別の公園に
globulusの大木があります。
これもまた機会があれば写真を撮ってきますが、
この木は毎年、完全丸刈りに剪定されているにも関わらず、
とても大きく、幹の太い立派な木になっています。
globulusは亜種・変種も含めて、
全てが巨木になるようなユーカリなので、
地植えは特に避けた方が良いでしょう。
最後に最も良く見かける、
銀世界(pulverulenta)があります。
これは10m前後とユーカリではかなり小さい方ですが、
それでも、畑に植えると、電信柱のサイズにはなります。
この写真のpulverulentaはとても立派で
7m近い樹高があります。
それでも、このサイズであれば、
結構庭木でも見かけますし、枝の利用価値もあるので、
地植えを検討する場合は、
このサイズくらいからが良いかもしれません。
他には、実家の庭にgilliiを地植えしていますので、
こちらも今後成長が進み次第、レポートしたいと思います。
最後に、
ユーカリは観葉植物ではありません。
あくまでも、樹木になります。
良く私は、サクラやケヤキ、場合によってはクスノキを
地植えする覚悟がいると言っていますが、
これは決して間違いではありません。
地植えをする場合は、
今後もしっかりと管理ができるのか?
大きくなったらどうするのか?など
しっかりと考えてから、臨んでください。
最初のうちは小まめな剪定で、樹高を抑えていたとしても、
少し忙しくなって、数か月放置したら、
もう背が届かなくなっていることもあります。
そしてそのままさらに放置すると
すぐに家の二階を超えてしまうこともあります。
ちなみに、西AZのユーカリには
2~4m程度という超低木のユーカリもいくつかあります。
そのようなユーカリは、どうしても日本の気候に合わず、
少し栽培難易度が高めになってしまいますが、
上手く行けば、多くの品種では、美しい花が見られ、
サイズ的にもヤマボウシやハナミズキクラスとして、
良いシンボルツリーになることと思います。
どんなユーカリであっても、
あくまでもユーカリを地植えされる場合は、
庭に木を植えるという認識でお願いします。- # by eucalyptus_k | 2012-10-21 13:54 | ユーカリ(栽培知識)
【品種別栽培ガイド-03】
銀丸葉ユーカリ (Eucalyptus cinerea ssp. cinerea)続きまして第03回目は
銀丸葉ユーカリ原種 シネレアです。
◎銀丸葉ユーカリ
【学名:Eucalyptus cinerea ssp. cinerea】
【英名:Silver Doller Gum / Argyle Apple / Mealy Stringybark】
【品種情報】
最高樹高:20m前後
樹形:基本Tree(木立)型、稀にMallee(灌木)型
親葉への変化:丸葉~卵型の細葉へ変化
適合pH:弱酸性~中性(5.5-7.8)
【生息地情報】
地域:New South Wales(キャンベラ北部)
夏季最高気温:最高値40℃、平均値28℃
夏季最低気温:最低値2℃、平均値13℃
冬季最高気温:最高値18℃、平均値12℃
冬季最低気温:最低値-11℃、平均値0℃
年間降水量:650~850mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm
【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
最低でも半日直射は欲しいところです。
屋内管理は完全不可。
・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはかなり水好きな方です。
・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。
・鉢
あまり問いませんが、根張りがデリケートなので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが非常に低下します。
できる限り、縦長の鉢を使用しましょう。
・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。
・植え替え
根がデリケートなので、植え替え時は注意してください。
初心者は絶対に根鉢を崩さないようにしましょう。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。
・寄せ植え
根が細かくデリケートで、植え分けが不可能になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
・病虫害
直射日光が半日以下だと、うどんこ病に罹りやすくなります。
よほど悪環境でもない限りは、精油の濃いシネオールの影響からか
ハダニやその他虫害はほとんどありません。
・地植え
地植えすると本来のパフォーマンスが出て、
かなり激しい成長力を発揮します。
普通に育てると、簡単に家の二階を超えます。
・耐寒性
地植えの成樹で-12℃と言われています。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
ただし、極寒の北米やヨーロッパでは生き残れないそうなので、
北海道の寒地では屋外越冬は難しいかもしれません。
・成長力
鉢植えであれば、最高で年40~50cmほど。
地植えすると1年で1mを超える可能性もあります。
地植えされた方は、思ったより成長が激しく、
かなりビックリされています。
・開花
日本では開花したという情報を聞いたことがありません。
恐らく、数メートル以上という相応の樹高が必要かと思います。
花は、白に近いクリーム色の花が咲きます。
蕾や実も白く粉を吹いており、美しい外観をしています。
・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。
【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
日照が悪いと、元々柔らかい葉がさらに柔らかくなり、
葉の周囲が、ヨレヨレになることがあります。
そのような葉には、うどんこ病が発生することもあります。
・夏
最も枯らせることが多い時期。
決して弱くはないですが、日本の高温多湿な夏は、
どちらかというと苦手なので、
過湿による根の蒸れに十分に注意します。
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。
夏場は少し成長が控え目になります。
・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
寒地では葉がピンク色に紅葉することもあります。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。
【特記栽培情報】
日光にさえ良く当てていれば、
勝手にどんどん育ってくれるという楽なユーカリ。
逆に日光が足りないと少し難しい植物になります。
個人的には、gunniiよりも
さらに日本に合っている印象なので、
成長はとても激しく感じられると思います。
この手の銀丸葉系のユーカリは
どれも根張りがデリケートなため、
鉢植えではどうしてもパフォーマンスが悪くなります。
鉢植えの場合は、いつまでもヒョロヒョロで
支柱なしではなかなか自立しないことが多いです。
過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。
※情報は適宜追加・変更します。- # by eucalyptus_k | 2012-10-15 12:27 | 品種別栽培ガイド
ユーカリの寄せ植えは止めた方が良い!
最近色々な方からお話を聞いていると
ユーカリを寄せ植えするのはどうかという話が出てきます。
確かに狭い日本ですし、場所の確保も大変ですから
寄せ植えしたいという気持ちは良くわかります。
実はこの私も、狭いベランダで、場所の確保が困難で、
いくつか寄せ植えをしたことがあります。
Eucalyptus bridgesiana + Eucalyptus orbifolia
Eucalyptus gunnii ssp. gunnii × 2
Eucalyptus cinerea × 2
Eucalyptus pulverulenta × 2
上記のような寄せ植えをやっていました。
特にorbifoliaの寄せ植えは、
性質が全く違うので最悪ですね。。。
でも、、、
ユーカリ程寄せ植えに適さない植物はありません。
最初のうちは問題ないのですが、
根張りと吸水が激しいので、
いずれはどちらかの株が食われて枯れたり、
共倒れになってしまうことさえあります。
まず、無理を感じたのは、
性質の違うbridgesianaとorbifoliaの寄せ植えでした。
これについては一昨年の秋に植え分けを行っています。
鉢から抜いてみると、思った以上に最悪な状況でした。
鉢の中はほとんどがbridgesianaの太い根で覆われており、
orbifoliaの根なんてどこにも見当たらない程でした。
今でも覚えていますが、
難解なパズルを解くかのように
根を切ることは全くないくらいの丁寧さで、
1時間以上かけてbridgesianaの根をほどき、
その中からorbifoliaの根を救い出しました。
救い出したorbifoliaの根は
仙人の髭のように細く真っ直ぐに伸びていました。
そこから植え分けた後、bridgesianaは凄い根だったので、
特に大きな痛みもありませんでしたが、
orbifoliaは悲惨でほとんどの葉がなくなり、
もう完全に枯れてしまうという覚悟をしていましたが、
何とか奇跡の復活を遂げて、
今は1m近い立派な株になってくれています。
私は今まで多くの植え替えに失敗し、
枯らせた株は星の数ほどあります。
この事例は、その経験が活かされた
奇跡の結果だと思ってください。
その他の上記の寄せ植え株も60~80cmを超え、
もう限界になっていると判断して、
今年の春~初夏に植え分けを行うことに決めました。
ここまで大きくなると、片方の弱い方の株が食われて、
明らかに樹勢に差が出ているのが一目瞭然です。
全ての株について、最悪な状況でした。
60~80cmを超えるまでに育っていますから、
もう根は完全に一体化しており、
ほぐすのは途方もない労力が伴うと思い落胆しました。
それでも共倒れを避けるために、
時期も時期ですが、できる限り丁寧に時間をかけて、
樹勢の強い方の株を優先して、解いて
何とか植え分けを行いました。
その結果は。。。
Eucalyptus gunnii...樹勢の弱い方が枯死
Eucalyptus pulverulenta...樹勢の弱い方が枯死
Eucalyptus cinerea...両方生存
という悲惨な有様でした。
cinereaが両方生き延びたのはある種奇跡ですが、
あまり樹勢に差がなかったのが良かったようです。
それでも痛みはものすごく、
一旦は共倒れの覚悟を決めた程です。
このようにユーカリの寄せ植えは
とても悲惨な結果をもたらすものです。
季節の寄せ植えとして見せて、
季節が終わったら抜いてしまうのなら別ですが、
ユーカリを末永く育てていたい方は
絶対に寄せ植えは行わない方が良いです!
もし場所がないのならば、
小さな鉢で無理やり育てた方が良いです。
極端な話、ポットのまま置いていた方がまだ良いです。
どちらにしてもユーカリには災難でしょうが、
こちらの方が、枯れてしまうことはないので遥かにマシですし、
元気がなくなってから、いくらでも対処は可能です。
最後にその他の植物との寄せ植えですが、
これも基本的には止めた方が良いです。
ユーカリは自身の落葉の精油により、
土中の成分を自分に合わせる性質を持っています。
また、観葉植物ではなく、大型樹木なので、
根張りが他の草木では到底太刀打ちできません。
また、多くの品種で用土を酸性にする力が強く、
アルカリ寄りのpHを好む、多くの花草は
元気がなくなったり、枯れてしまったりします。
ユーカリは毒を出して、他の植物を枯らすとまで言われています。
実際は毒を出すというのは嘘ですが、
上記の要因により、結果的には他の植物を食ってしまいます。
下の写真は、私の教訓とするために撮った
枯れたgunniiの写真です。
このgunniiは私が初めて育てたユーカリだったので、
とてもショックで少し涙がこぼれました
このような悲惨な結果を招かないためにも
ユーカリの寄せ植えは絶対に避けてください。- # by eucalyptus_k | 2012-08-08 08:22 | ユーカリ(栽培知識)
ベランダでも育てられるユーカリ10選
私もユーカリを育て始めて数年になります。
日光の良く当たる広い庭で育てれば
そんなに難しい植物ではないユーカリですが、
日照も風通しもイマイチな
マンションのベランダで栽培すると
とても厄介な植物のように思えてきます。
放置しておけばぐんぐん育つ
実家の庭のユーカリたちを尻目に、
初期の頃のベランダ栽培は本当に困難を極めました。
今でも、結構病気がちな株があったり、
パフォーマンスがイマイチだったり、
これからも、学習の余地は多々あります。
そんな中、日照も風通しもイマイチで
空中湿度が高くなりがちな
ベランダでも育てやすいユーカリ10選
を発表したいと思います。
これは、日照や風通しの悪い、
とても狭い庭やその他スペースでの栽培の場合にも
参考になるかと思います。
1. Eucalyptus rudis
暑さにも湿度にも強いユーカリ
日照が良ければ成長力がとても激しくなりますが、
半日陰の方が大人しくて良いくらいです。
病気の蔓延する我が家でも病気知らずです。
2. Eucalyptus crenulata
耐陰性がとても強く、置き場所によって
あまり成長が左右されません。
ハダニなどの被害は激しいですが、
強健で調子が良いので問題なしです。
3. Eucalyptus risdonii
何故か家ではトップクラスに調子の良いユーカリ。
見た目も美しく、とてもオススメな品種です。
逆に少し涼しいくらいの環境が好みなので、
それがベランダの環境と合っているのかもしれません。
病害虫の影響は全く受けることはありません。
4. Eucalyptus tenuiramis
これもrisdoniiと並んでトップクラスに調子が良いです。
日照が良いと、馬鹿みたいに成長するので、
半日陰のベランダくらいの方が良いくらいです。
日照が悪くても美しい葉をキープし、病虫害知らずです。
5. Eucalyptus goniocalyx
日照の良い方がパフォーマンスは格段にあがりますが、
ベランダの悪い場所でもコンスタントに健康に成長します。
精油が濃く、葉が分厚いためか、病害虫の影響は皆無です。
家では最悪のクーラー室外機前に置いていますが、
それでも特に問題なく育っている強者です。
6. Eucalyptus viridis
日照が悪いとパフォーマンス自体はイマイチですが、
何よりも病害虫の影響なしで、コツコツと成長を続けてくれます。
あまり手がかからずに健康なのがとても良いです。
7. Eucalyptus robusta
日照が良いことがベストですが、
成長力と生命力がケタ外れているため、
他のユーカリと比べると、ベランダであっても
余りパフォーマンスの低下を感じられません。
8. Eucalyptus camaldulensis
成長力が激しすぎるので、家のベランダのような
イマイチの環境でいじめ気味に育てた方が
寧ろ丁度良いのではないかというユーカリです。
※それであってもまだ成長が激しすぎます!
9. Corymbia citriodora
これも成長が激しいのでベランダくらいの方が良いです。
また冬は少し寒さに弱いので、
比較的暖かいベランダとの相性がとても良いユーカリです。
10. Eucalyptus 'Moon Lagoon'
日照の良い方が格段にパフォーマンスは良いですが、
ベランダのような環境でも、
さほど大きなパフォーマンスの低下を感じません。
ただ成長はとても遅くなるので
気長に育てていくといった感じです。
どれも強健で過湿に強い品種ばかりです。
また、耐陰性が比較的強い品種か、
成長力が激しすぎて、環境が悪い方が
丁度良いというユーカリに分かれています。
ちなみに日本でメジャーなgunniiや
globulus/cinerea/pulverulentaなどは、
日照が足りずにかなり難易度が高くなります。
globulusだけは枯らさずに管理するのは
さほど難しくはありませんが、
パフォーマンスは著しく低下します。
余り良い環境を用意できないという人は
ぜひとも参考にしてみてください- # by eucalyptus_k | 2012-07-10 18:32 | ユーカリ(栽培知識)