日本のユーカリ実情(2)~名称別分析~
次に、実際に出回っている名称別に
書いていきたいと思います。
【銀丸葉】
一応、cinereaの和名となっていますが、
基本的には銀葉で丸ければOKなのが結論です。
知らない人から見れば、日本で出回っているユーカリは
ほとんどが銀丸葉ではないでしょうか。
実際にこの名称が使われているものでは、
cinerea、gunnii、polyanthemosを見かけました。
【シルバーダラー】
これもシルバーでダラー(硬貨)なので、
銀葉、丸葉であればOKなのが結論ですね。
この名で売られているものとしては、
原種のシネレアより少し小柄で銀白色の控え目な、
cinerea var. pendulaを多く見かけました。
どういうわけか今年は流通がほとんどないようです。
一度、生産元に学名を問い合わせたことがあります。
その答えはEucalyptus silver dollerでした。
もちろんそんな学名のユーカリはありません。
海外でsilver doller名での種の大量安価販売がありましたので
これを今取り寄せています。
結果は来年育ったらご報告します。
【シルバーダラーガム/ポポラス】
これは、そのままpolyanthemos(ポポラス)の英名です。
ところが日本では扇型の葉のユーカリ=ポポラスみたいです。
よってorbifoliaやdecipiensが混ざっていることもあります。
実際polyanthemosとして販売されているものは、
orbifolia等であることがほとんどでした。
【銀世界ユーカリ】
もともとは確か会津の方の地場産業で
切枝用のユーカリ栽培に力をいれており、
その出荷名が銀世界というところが発祥のはずです。
そちらで育てているユーカリは独自に開発した品種とありましたが、
確かめてみたところpulverulenta 'Baby Blue'です。
これはpulverulentaの改良品種で、
小型で耐寒性があり、湿気にも強く、香水のような香りがします。
また、樹高が私の背より低くても花が咲くという
花屋で販売するために生まれたようなユーカリです。
また、銀世界というのは切枝での販売名が多いようで、
この名で売られている切枝は、
私が見たもの全てpulverulentaでした。
pulverulentaは新芽が非常に綺麗な白銀色なのですが、
しばらくすると葉が風に揺られてこすれて普通の緑になります。
ところが切ってしばらく置いておくと、葉が真っ白になってきます。
その姿が白くて綺麗なので銀世界と名付けたようです。
これもたまにcinereaの切枝が混ざっていますが、
cinereaは干からびると色あせるので
pulverulentaの方が切枝としては価値があるようです。
【アップルボックス】
これは珍しく、英名通りにbridgesiana。
間違いがあったことは今のところ見たことはありません。
他とは少し変わった葉型&生え方なのが原因でしょうか。
【レモンユーカリ】
他にはない外観と香りなので
citriodoraで間違いはありませんでした。
【グロブルス】
ほとんど間違いはないのですが、
gunniiと混ざっていることが結構あります。
本当は非常にユーカリらしいユーカリなのですが、
あまり普通の人に好まれる外観ではないからでしょうか。
以外に見かけることは少ないです。
【マウンテンスワンプガム】
英名の通りcamphoraです。
比較的良く見かけることがありました。
【マリーレッドガム】
英名の通りcamaldulensisです。
大きな木でたまに見かけることがありました。
【レッドアイアンバーク】
英名の通りsideroxylonです。
これも大きな木で非常に稀に見かけることがありました。
【ペパーミントユーカリ】
これはradiataのことです。
これも大きな木で非常に稀に見かけることがありました。
【リトルボーイブルー】
これはpulverulenta 'Baby Blue'が正体です。
これは実際に販売されているところが日本で2か所。
両方から取り寄せたことがありますので間違いないかと思います。
リトルボーイブルー=kruseanaという文献もありますが、
kruseanaが日本で出回ることはほぼありません。
【ハートリーフユーカリ】
私が見たものではorbifoliaが最も多く、
cordata、camphora、polyanthemos、
albens、niphophilaなどがありました。
いつも品種の判別が困難で泣きそうになる名付け方です。
【グニー】
まあほとんどはこれです!(笑)
圧倒的なシェアを誇っていると思います。
でも、本当に日本で&鉢植えで育てるのには最適のユーカリで
日本人女性好みの外観なんだなあと思います。
たまーにglobulusが混ざっていることがあり、
一度、parvulaやcrenulataが混ざっているところも見ました。
品種の判別については現在判別中ですが、
よく見かけるgunniiの外観は下記の通りです。
<白銀色で幹が赤く丸葉>
これが一番綺麗かなあと思っています。
葉が少し肉厚で白銀色が強いのが特徴です。
これが多分、ノーマルのssp. gunniiかと思っています。
たまにコマルバユーカリの名称で売られています。
<緑が濃くて葉が若干楕円葉(葉が少し大きめ)>
これは葉の付き方を見ると
ssp. archeriの特徴ににていますが、
詳細は定かではありません。
少し強めの香りがあります。
<通常の緑色で楕円葉、最もgunnii的なgunnii>
葉はしっかりとした楕円形で適度な緑色です。
また写真のように可愛らしく生えています。
これがssp. divaricataのように推測しています。
<白銀色が強めの楕円葉>
これは私も紹介させていただいている
silverdropという販売名のものです。
ssp. gunniiの園芸品種という説が有力です。
あくまでも私の情報収集の結果ですが
ご参考までによろしくお願いいたします。
ほんと私ってオタクだなあと思います(笑)。- # by eucalyptus_k | 2009-12-23 20:26 | ユーカリ(品種知識)
冬の訪れとユーカリ
本格的な冬の到来を覚悟したこの頃。
なのに今日は室内の温度計が28℃をさす暖かさ。
観葉植物中心の私には、
冬は暇なくせに難しい季節。
育ったユーカリでは簡単に冬を越せますが、
苗で冬を越すのは初めて。
ということで10cm未満の苗は全て室内へ退避しました。
今年は赤ん坊がいるので
室温は23℃前後を24時間キープしています。
家を空にすることも非常に稀です。
そのような高温密室の環境で、
ユーカリ苗はどんどん立ち枯れていきます。
高温のため、発芽は年中できるのですが、
一晩で30以上の芽が全滅したり、
そんなことが毎日のように続きます。
以前だったら萎えて落ち込んだでしょうが、
今の私は平気!これも全て学びと受け止めて、
次へのステップを一段登るのです。
近い将来、ユーカリで溢れたベランダが目に浮かびます。
こんな中で難易度なのか相性なのか、
生存率の低い子と高い子にくっきりと分かれます。
【生存率低or相性悪】
polybractes、neglecta、cinerea
dives、viridis、archeri
【生存率高or相性良】
camphora、globulus、citriodora
camaldulensis、tereticornis、robusta
中でもcitriodoraとcamaldulensisは
この環境でもほぼ倒れる苗がありません。
ユーカリから色々学んで成長するぞ、
子どもと苗もぐんぐん成長してほしいな- # by eucalyptus_k | 2009-11-14 16:42 | ユーカリ(その他)
Eucalyptus nitensのその後とユーカリ種播追加
先日、発芽のご報告をしたnitensが
何とか順調に育ってきています。
やはり、発芽率はイマイチですね。。。
時期も時期なので
室内越冬で春の成熟に期待です。
同じように発芽がほぼ皆無だったperrinianaも
別のところから取り寄せた種を播いてみたところ、
たくさん発芽しました。
これも悲しいことに種が悪かったみたいですね><;
先日、近所のホームセンターで
色んなユーカリがごちゃまぜに販売されており、
全てユーカリ・グニーの札が付いていました(笑)
その中にnitensらしきユーカリを発見しました。
そのユーカリは一見大きなglobulusで
やたらめったら甘くて良い香りがしました。
nitensは外観がglobulusに良く似ているようです。
そしてまた、ついつい悪い癖が出てしまい、
bridgesianaの種播を行いました。
やはり沼地出身の子なだけあって、
家での発芽率・成長率は抜群です!
camphora、robusta、そしてこのbridgesiana。
沼地出身のユーカリ達とは本当に相性が良いようです。
家のベランダはさながら沼地の如くといったところでしょうか。。。><;
実は悪い癖どころでは収まらず、
さらに新しいユーカリのタネを入手しましたw
早速、種を播きましたよ。
↓ ここからが新しいユーカリです!
●Eucalyptus viridis
>>>他にはない糸葉ユーカリ!ユーカリっぽくない
●Eucalyptus dives
>>>polybracteaと並んで精油採取の定番!
●Eucalyptus archeri
>>>gunniiの高山生息種、白くて綺麗!
●Eucalyptus camaldulensis
>>>スタンダードなユーカリ!コアラの餌として利用
●Corymbia citriodora
>>>レモンユーカリ!遂に手を出してしまった。。。
実はこれらのユーカリ、
既に発芽し始めています。
近日中にお写真を公開できると思います。
中でもcitriodora(レモンユーカリ)の
タネの大きさにはビックリしました!
大きいとはいっても、
スイカのタネには遠く及ばないですが、
埃のようなその他のユーカリのタネと比べると、
格段に大きいサイズになります。
macrocarpaのタネもそこそこ大きいですが
レモンユーカリのタネには及びませんね。
種播に最適な用土や湿度を何となく掴み、
苗の生存率も少しずつ上がってきた今日この頃ですが、
macrocarpaの苗が残り3苗に。。。
追加で種を播こうか検討中です。
いったい何度追加で播いたのか。。。トホホ...- # by eucalyptus_k | 2009-10-22 19:07 | ユーカリ(タネ播き)