ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その2
私の育てている全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いています。
ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。
他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。
■ Eucalyptus eugenioides(ユーゲニオイデス)
比較的水食いで強健、暑さにも強い。
クーラー室外機の真前でも良く成長を続けている。
ただし用土は乾燥気味の方が経過は良い。
冬の寒さにはそこまで強くない模様。
激しく紅葉して、ある程度の葉を散らす。
ただ翌春には大部分が復活を遂げる。
見た目はミューレリアナと瓜二つだが、
ミューレリアナほど成長や吸水の激しさはない。
【樹高:100cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus archeri(アーチェリ)
グニー亜種の中では耐陰性、耐寒性、耐暑性、
耐過湿のあらゆる面で強いように感じる。
ただかなり涼しい季節が好きで、夏場は動きがない。
我が家ではあまり日照の良い場所に置いていないため、
わかりにくいが、そこまで水切れが早いという印象はない。
基本フルシーズン放置であまり大きな痛みなどもない。
【樹高:140cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus gunnii ssp. divaricata(グニー・ディバリカタ)
アーチェリに比べると耐陰性、耐暑性などで劣る。
夏場はあまりにも空中湿度が高いと葉が汚くなるので、
日照よりも風通しを重視した方が葉を綺麗に保てる。
ただし春先には良く日光に当てて、成長を促した方が良い。
最も見た目の美しい日本では良く見かけるグニーだが、
置き場所の関係もあって、さほど水食いの印象を受けない。
グニー系の例に漏れず、夏場は動きがない。
ただ全ての亜種の中では最も成長が遅い。
日照が悪すぎると、うどんこ病の被害が多発する。
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus perriniana [Mainland Form] (ペリニアナ 本土型)
我が家では特に経過の宜しくないユーカリの一つ。
日照と風通しは西AZのユーカリ並みに工夫が必要。
ただしそこさえ確保することができれば、
過湿は西AZのユーカリとは比べ物にならない程に楽。
少し我儘ではあるが元来は強健な品種なので、
日照の良いオープンスペースさえあれば問題はない。
強健なはずの本土型だが我が家ではタスマニア型よりも
病気がちで成長の季節が短く少し改善が必要。
全く動かないわけではないが、夏場はあまり動きがない。
【樹高:45cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus perriniana [Tasmania Form] (ペリニアナ タスマニア型)
我が家では特に経過の宜しくないユーカリの一つ。
日照と風通しは西AZのユーカリ並みに工夫が必要。
ただしそこさえ確保することができれば、
過湿は西AZのユーカリとは比べ物にならない程に楽。
我が家では本土型よりもデリケートであるという
前評判に応じて少し環境の良い場所に置いていたため、
本土型よりも圧倒的に生育状態は良い。
これは相当に風通しが重要であることを意味している。
全く動かないわけではないが、夏場はあまり動きがない。
【樹高:60cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus viminalis ssp. viminalis(ビミナリス)
あらゆる面で強健だが、夏場の高温多湿は少し苦手なため、
夏場の用土過湿は避けた方が良い。
思ったよりも涼しい季節メインで成長が進み、
成長力は信じられない程に激しい。
夏場はあまり大きな動きはない模様。
日光はかなり好きで、日光が当たった場所の葉は
際立って大きく立派に育つ。
ある程度の根張りが進めば、半日陰程度でも順調に育つ。
樹高の割に吸水量は並程度でシネレアと同等の平均的レベル。
【樹高:250cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis(ビミナリス・シグネテンシス)
原種に比べると少しだけ我儘なところがあり、
耐寒性や耐暑性、耐過湿などの面で劣る。
特に耐暑性は大きく劣るので、風通しの工夫が必要。
ただ少しでも手をかけてあげれば問題ないレベル。
原種にも言えることだが、初期の根張りと育苗の段階で、
ある程度順調な成長を確保してしまえば、
後は比較的楽に成長を進めてくれる感がある。
カルシウム好きなビミナリス系だが、
原種に比べると高pHに非常にうるさいので、
多肥等には少し気を付ける必要がある。
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus orbifolia(オービフォリア)
季節によって、葉を散らせたり、動きが止まったり、
成長を進めたりと、非常に気難しく、厄介なユーカリ。
砂漠地帯出身のユーカリなので、
当初は高温乾燥と日照量に最も重きを置いていたが、
最近わかってきたのは風通しと乾燥が最重要という点。
成長時期は思ったよりも涼しい春の時期で、
梅雨時期が最も調子が悪くなり、枯らせる人も多い。
夏場はある程度成長を進めるが、大きな動きはない。
最終的に半日陰程度で風通しの最も良い場所に置くのが、
最高の結果を残せることがわかってきた。
吸水量は非常に少なく、場所は半日陰ではあるが、
夏場でも大体週に1回くらいしか与えていない。
雨に当てると葉が汚くなり、過湿になるので、
できる限り雨の当たらない場所で育てる方が良い。
【樹高:140cm / 鉢:スリット5号ロング】
【樹高:120cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus websteriana(ウェブステリアナ)
過湿にうるさい砂漠地帯のユーカリの代表格だが、
良く似たオービフォリアに比べると遥かに楽。
これも意外に涼しい季節メインで成長を進めるが、
夏場もオービフォリアよりは動きがある。
日照については半日陰くらいでも全然問題ないが、
大切なのは乾燥と風通しであるところは同じ。
梅雨時期が少し苦手で葉を散らせることもある。
我が家では日照よりも風通し優先の場所に置いてから、
比較的生育は良好であまり心配はしていない。
【樹高:60cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus albens(アルべンス)
近年育て始めた割には成長がなかなか早く、
我が家の環境にもある程度適応してくれた模様。
かなりの水食いで過湿に対する耐性はかなりものだが、
どうやら夏の暑さは少し苦手であることがわかってきた。
夏が進んでから若干の高温障害の症状が見られる。
涼しい季節の成長メインでその季節の成長は激しい。
現地での生息地はとても多岐に渡っているので、
暑さ以外のあらゆる面での対応能力は高いと思われる。
耐陰性という程の耐性はないが、
木漏れ日程度の日光でも生育は良好。
【樹高:70cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus dealbata(デアルバータ)
アルべンスと良く似ているが性質は若干異なっている。
アルべンスと同時期に育てたものが、
アルべンス以上の樹高にまで育っている。
吸水量は超級水食いのアルべンスとは異なって、
シネレア等と同等の平均的なレベル。
アルべンスの横に置いて、比較しながら育てているが、
高温障害の症状は全く見られず、夏場も葉が美しいので、
耐暑性はアルべンスよりもかなり高いと思われる。
一方で水を与えすぎた際には、痛みのないアルべンスとは違って、
少し葉を散らせることもあったので耐過湿はアルべンスに劣る。
ポポラスに匹敵する美しさのあるユーカリで、
ほぼシネレアやプルベルなどと同じ管理で栽培が可能。
たまに日本でも売られているがもっと広まっても良い品種。
【樹高:90cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus nitens(ニテンス)
見た目は葉のスッキリした紳士的なグロブルス。
とにかく暑さに弱いという性質が顕著。
大阪の夏では際立って葉がボロボロになる。
ただ春先の涼しい季節には驚くほどに成長が激しい。
ユーカリでもトップクラスの水食いである。
生息地の雨量は日本の多くの地域を上回っている。
また、びっくりするほどの日光好きであり、
半日陰程度の日光では生育が著しく悪くなる。
空中湿度が高く暑い場所で育てる場合には、
夏場の葉痛みはある程度妥協するしかない。
我が家では他に例のない保水性の高い用土で、
夏場はほぼ毎日、表面が乾いたら即水遣りで順調。
冬場も在来の植物を上回る程の吸水力を発揮する。
【樹高:140cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus punctata(プンクタータ)
我が家ではあらゆる面で平均的な品種。
恐らく一般のご家庭でオリーブなどの横に置いて、
全く同じような管理で育てられるであろうユーカリ。
我が家では半日陰で平均的な場所で生育は良好。
毎日水を与えても育つだろうし、3日に1回程度でもOK。
暑さにも強く、少し暑いくらいの方が好きな模様。
耐寒性はユーカリの中では高くないが、
ほぼ在来の植物と同じような管理で越冬もできる。
我が家では特に気を付けるポイントもなく、
淡々と放置しながらの管理で育てられる。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus goniocalyx(ゴニオカリックス)
とにかく強い!という印象のユーカリ。
日照も最悪、クーラー室外機の風をまともに浴びるような
我が家で最も劣悪な場所にありながら、
特に大きな葉痛みもなく、普通に育っている。
ただ葉を美しくして観賞用に育てる場合には、
もう少し良い場所で育てる方が良い。
葉の白みを強くして、立派な大丸葉を確保するためには、
しっかりと日光に当てて育てるのがポイント。
耐寒性、耐暑性、耐過湿などあらゆる面で最強で、
我が家では最も強健なユーカリの認定を受けている。
これを枯らせるようでは他の品種は難しいと言える。
ちなみに激しく剪定しているのでこの樹高だが、
剪定をサボるとすぐに2mを超えていく。
【樹高:160cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus bridgesiana(ブリジシアナ)
ゴニオカリックスには及ばないが、
これも強健で成長の激しいユーカリ。
我が家では成長が早すぎるために、
敢えて少し悪い場所に置いている程である。
ただ、ゴニオカリックスとは異なって、
高温多湿を少し嫌うようで、
葉が密集して、風通しが悪くなるような箇所の葉は
枯れて散っていくこともあるが、それも一部である。
当初相当の水食いと判断して、水を与えまくっていたが、
吸水量はシネレアなどと同程度で激しすぎる程ではない。
耐過湿に強いので、それでも痛むことはなかったが、
現在は置き場所の悪さもあって、夏場でも、
大体週に2~3回程度の水遣りで栽培している。
ユーカリ初心者に最適な枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:180cm / 鉢:スリット7号】
■ Eucalyptus morrisbyi(モリスビー)
非常に強健で水食い、成長もそこそこ激しいユーカリ。
ただ一つ気を付けるのは日光で、
西AZのユーカリ匹敵する程の日光を必要とする。
日光が足りないと非常に貧弱な葉を生成して病気がちになる。
ただ本当に気を付けるところはその一点だけで、
ただ育てるだけなら、水と日光だけで十分。
夏場は大きな動きがないことから、
どちらかというと冷涼な環境を好むようだが、
我が家でも高温障害の症状が出たことはないので、
一般のご家庭では暑さを気にする必要はないだろう。
ただし葉を綺麗に保つためには、風通しの改善が必要。
吸水量が半端ないくせに水切れ耐性があまりないので、
水切れには少し注意が必要になると思われる。
個人的にはグニーよりも遥かに育てやすい。
葉の周囲がギザギザでクレヌラータの丸葉版といった外観。
【樹高:200cm / 鉢:スリット6号】
もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。
その3に続きます。- # by eucalyptus_k | 2014-08-25 14:03 | ユーカリ(栽培知識)
さらに新たな蕾を発見!
毎日1時間近くもかけて
観察と水遣りを行っていますが、
なかなか全てを見きれていないものですね。
さらに新たな品種に
蕾ができているのを発見しました。
まず一つ目は巷で人気のある
Eucalyptus orbifoliaです。
このユーカリは過去にある方のブログで
開花情報を見たことがありました。
また、今は枯れてしまいましたが、
以前実家の庭でも蕾を見かけたことがありました。
その方のお話と実家での実績によると、
1m前後で開花する可能性があるということで、
我が家のベランダでも
いつかは開花するだろうと思っていました。
このorbifoliaは色々と我儘なユーカリで、
季節により本当に調子がゴロっと変化します。
そのため、無事に開花に至るかは
本当に未知数なので、
咲けばラッキーくらいに考えています。
ちなみに我が家には、
この蕾の付いた140cmのorbifoliaの他に
120cm程度のorbifoliaもありますが、
そちらにも少し前に蕾を発見していました。
ところが今日見ると、
後者の蕾は落ちてなくなっていました。
もし開花させることができれば、
pleurocarpaの花のような、
なかなかに美しい花を見ることができます。
次は激レアの超低木品種、
Eucalyptus pimpinianaです。
このpimpinianaは現在、
タネを手に入れるのがほぼ不可能な程に
激レアなローカル品種です。
私がタネを手に入れることができたのは、
本当に幸運だったと言えます。
pimpinianaはAZ中南部の非常に限られた地域の
半砂漠地帯に自生しているユーカリです。
最高でも2m以下、大概は1m前後という
非常に低い樹高が大きな特徴です。
平均樹高は1m前後ですが、ブッシュ状に茂り、
幅は樹高の倍以上も拡がるようです。
pimpinianaはpreissianaなどと並んで、
ユーカリ中でもトップクラスに
樹高の低いユーカリであると言えます。
半砂漠地帯出身のユーカリなので、
強乾燥を好み、過湿を嫌う性質や、
激しい日光を必要とする性質を持っているので、
栽培難易度は高めで決して楽な部類ではありませんが、
今のところ調子は良いので、期待できそうです。
このpimpinianaは、
kruseanaの花の色を少し黄色くしたような、
ライムグリーンと黄色の中間のような色の花を咲かせます。
また蕾の数が多く、
たくさんの花を咲かせるのも特徴です。
枝先の方にも、いくつかの蕾が
ついているのがわかります。
もしこれら全ての蕾が開花すれば、
とても華やかになりそうです。
元々超低木品種ということもあって、
かなり早期の開花が見込めるのではと踏んで、
このpimpinianaを育てることにしたのですが、
その目論見通り、2年弱で蕾が付きました。
脇芽はたくさん出していますが、
その樹高はわずか70cm弱です。
このpimpinianaを開花させることができれば、
日本初間違いなしだと思っています!- # by eucalyptus_k | 2014-08-01 19:00 | ユーカリ(花と蕾)
ウェブステリアナ(websteriana)の剪定と仕立て直し
放置で伸びっぱなしだった
websterianaの無駄な枝を落として、
簡単に仕立て直ししました。
このユーカリは成長が遅いこともありますが、
私の管理が悪いからでしょうか?
新しい枝を伸ばして茂っては葉を落とし、
また新しい枝を伸ばしてを繰り返すので、
我が家ではなかなか目立って大きくなりません。
耐寒性はかなり持ち合わせているようで、
冬の間も特に大きな葉痛みはないのですが、
春になって新しい芽をたくさん出してくると、
いつも古い枝の葉がパラパラと散っていきます。
最近分かってきたことですが、
websterianaは準砂漠地域出身のため、
かなり暑い気候が好きなのかと思っていました。
ところが意外にも涼しい季節に枝葉を茂らせていきます。
類似品種のorbifoliaもそうですが、
あまりガンガンの暑い季節よりも、
一日の寒暖差が激しく、平均的には、
比較的涼しい時期の方が好きなようです。
ただし日光はとても好きな品種ですし、
ユーカリ中でもトップクラスに
水を吸わないユーカリの一つではあります。
日照と風通しの悪い我が家のベランダでは、
どうしても過湿気味になってしまうこともあるでしょうが、
この時期は冬の間に傷んだ葉や不要な古い葉を落とし、
新しい葉へと生まれ変わっていく時期でもあります。
そのため、落葉の数がとても多くなります。
ユーカリの数が150品種以上ありますので、
その落葉の数も半端ありません。
もちろん葉がベランダから落ちず、
全て中に落ちるように配置していますので、
風の強い日の後などはもの凄い量の落葉が出ます。
今日もスーパーの袋いっぱいになりました- # by eucalyptus_k | 2014-05-08 21:59 | ユーカリ(栽培実績)
最近の近況
最近本当に冷えてきましたね。
こう寒くなってくると
ユーカリの世話もとても暇になります。
毎年冬になると同じ事を書きますが、
本当に私はユーカリ育成初期の頃、
冬に水をあげすぎていたんだなと反省します。
現在の水遣りは、
2mを超えるような水好きの品種では
週に1~2回程度を鉢の上から与えますが、
1m以内程度の乾燥を好む西AZの品種では、
週に1回程度、鉢底のスリットから水を少しかける程度です。
一部、根張りが良く、鉢が小さめの下記の品種に限り、
1~2週に一回程度、鉢表面から水を与えます。
■ 80cm程度のalbida
■ 120cm程度と150cm程度のorbifolia
■ 80cm程度のwebsteriana
■ 160cm程度のerythrocorys
■ 140cm程度のcaesia ssp. magna
■ 80cm程度のMoon Lagoon
■ 樹高50cmでも幅も50cmのplatypus
■ 樹高80cm程度のuncinata
これでも十分すぎるほどで
日照の悪い我が家のベランダの話ではありますが、
どれほど水を吸わないかが良く分かります。
比較的、耐寒性が高いと言われながら、
我が家では、毎年早いうちから葉が赤く染まり、
0℃程度でも結構葉の散っていた、
viminalis/nicholii/bridgesiana/neglectaなども、
水を減らしてからは、全くそのような兆候が見られません。
特にneglectaは最強クラスの耐寒性が特徴と言われますが、
東AZには珍しく、かなり乾燥に耐えることができるので、
乾燥した環境があってこその強い耐寒性のようです。
一方ではかなり冷涼地の湿地帯に生息している、
ovataやcamphoraなどは、本当に夏の調子はさっぱりですが、
この時期でも他と比べるとかなり早いペースで水を吸います。
我が家のovataやcamphoraはまだ樹高が60cm以下で
鉢はそこそこ大きめの鉢に植えているにも関わらず、
コンスタントに週一回程度の水遣りを行っています。
恐らくこれ以下でも問題なく生存できるでしょうし、
これ以上でも耐えることができるでしょう。
この2種に関しては、今の時期でも、新芽を吹くので、
思った以上に冷涼湿潤な環境が好きなようです。
もうユーカリを育て始めて5年近くになりますが、
最近になってやっと理解・納得のできた、
個々のユーカリの性質が本当にたくさんあります。
まだまだ勉強と経験あるのみですね!
寒い中、私はちょっと体調を崩し気味で、
記事の更新もかなり遅れ気味になっていますが、
皆さまは体調に十分気をつけて、
寒い日々を達者にお過ごしくださいね- # by eucalyptus_k | 2013-12-18 12:14 | ユーカリ(栽培実績)
【品種別栽培ガイド-09】
ユーカリ・オービフォリア (Eucalyptus orbifolia)続きまして第09回目は
ユーカリ・オービフォリアです。
◎ユーカリ・オービフォリア
【学名:Eucalyptus orbifolia】
【英名:Round-leaved Mallee】
【品種情報】
最高樹高:5m前後
樹形:ブッシュ状のMallee(灌木)型
親葉への変化:ハートリーフ~一部楕円形の葉へ変化
適合pH:弱酸性(5.5-6.5)
【生息地情報】
地域:West Australia中南部、Northern Territory南端部、
South Australia北端部
夏季最高気温:最高値47℃、平均値37℃
夏季最低気温:最低値9℃、平均値21℃
冬季最高気温:最高値28℃、平均値18℃
冬季最低気温:最低値-5℃、平均値6℃
年間降水量:100~300mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm
【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度ではかなりパフォーマンスが落ちます。
日照が悪いと葉が薄く小さくヨレヨレで貧弱になります。
そのような葉はうどんこ病に悩まされることもあります。
屋内管理は完全不可。
・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏場であっても少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みます。
葉の蒸散をあまり行わないため、
ユーカリ中でも特に水の要らない品種です。
・用土
通常の観葉植物用土での栽培はできる限り避け、
パーライトや軽石、川砂などを多く混ぜ込み、
乾燥力を強化した用土の使用を推奨します。
粒状培養土やサボテン用土のような、
非常に乾燥力の高い用土での栽培に適しています。
・鉢
あまり問いませんが、根張りがデリケートなので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが異様に低下します。
この品種には必ず縦長の鉢を使用しましょう。
・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
基本的には、貧しい土壌を好む性質を持っているため、
多肥は避け、あまり肥料は与えない方が良いでしょう。
・植え替え
根がデリケートなので、植え替え時は注意してください。
初心者は絶対に根鉢を崩さないようにします。
特に根が細く長いので、切らないように十分に注意してください。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。
・寄せ植え
根が細くデリケートで、植え分けが不可能になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
・病虫害
日照不足や生育不良により、新芽を中心に、
うどんこ病の被害が激しく出ることがあります。
空中湿度の高い環境を極端に嫌いますが、
葉が硬く厚いためか、病害虫の被害はほとんどありません。
・地植え
地植えをした方が明らかにパフォーマンスは上がります。
ただし、非常に成長の遅い品種で、
あまり日本の気候や風土にも合っていないため、
爆発的な成長力は望めないと思われます。
地植えの際も、なるべく乾燥した場所や土壌を選択し、
空気や湿気が籠らないような工夫が必要です。
・耐寒性
西AZのユーカリの中ではかなり高い方で、
鉢植えでも-7℃くらいまで耐えられると思います。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
葉が厚く丈夫なためか、全く紅葉することがありません。
・成長力
鉢植えであれば、最高で年10~30cmほど。
地植えするとさらに成長力は増すことと思います。
成長力自体はとてつもなく遅いというわけではありませんが、
日本とは根本的に気候が合っていないため、
成長する時期がかなり限られています。
そのため、結果的に見ると、成長はかなり遅いイメージがあります。
春・秋の、日中はとても暑く、朝方は肌寒いという、
一日のうちの寒暖差の激しい季節をメインに成長します。
冬や梅雨時期はほとんど成長せず、夏場もあまり成長は進みません。
・開花
知り合いの情報では70cmと150cmで開花したという情報があり、
残念ながら最近枯れてしまいましたが、
実家の80cmの株に蕾ができていたのを発見しています。
70cm程度の樹高があれば開花が見込めるようです。
花は、花弁の先が黄色い、白に近いクリーム色の花を咲かせます。
蕾や実は少しだけ粉を吹いているようです。
・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れです。
特に水分管理にはとてもうるさいので、
過湿が原因でいきなり枯れることのある品種です。
【季節の管理】
・春秋
日中は暑く、夜と朝方は肌寒いという、
寒暖差のあるような時期で、尚且つ
雨の少ない乾燥した時期に成長します。
成長するときはグッと成長が進みますが、
気候や環境が合わなくなると、途端に成長がストップします。
とにかくこの時期は、良く日光に当てて、成長を促しましょう。
春に日照不足だと、梅雨を乗り切るのが少し厄介になります。
秋は、しっかりと日々の気温の低下をチェックしていないと、
水遣り過多で過湿になり、いきなり枯れることがあります。
秋は梅雨に次いで、最も枯らせることが多い時期だと言えます。
・夏
梅雨時期はorbofoliaの鬼門の時期です。
しっかりと日光に当てていても、
曇りや雨の日が続き、気候がジメジメしてくると、
葉が傷み(枯れというよりは葉が腐るような感じ)、
葉をパラパラと散らせることが多くなります。
あまりにも傷みが酷い場合は、
雨のかからない場所に一時的に退避するのもありです。
ただし、間違っても室内管理はアウトです。
何とか厄介な梅雨を乗り越えて、
夏に入ると、思ったより成長は進みませんが、
とても安定した時期に入ります。
葉は激しく粉を吹いているため、
真夏の直射や西日にガンガンに当たっても、
全く葉焼けすることはありません。
いくら水が要らない品種と言っても、水切れは起こるので、
葉が柔らかくなって、萎れていないかなどチェックしながら、
夏場でも過湿にならないように注意して水遣りをします。
夏場は他のユーカリとは大きく異なり、
葉の白色が鮮やでとても綺麗になる時期です。
ところが高温に多湿が加わると、
梅雨時期と同じ症状が多発することになります。
そのため、ハウス栽培などでは
夏場も注意が必要になってきます。
・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
日照や風通し、用土などにもよりますが、
他の植物と比べると、月に1~2回と、
ほとんど断水に近いような水分管理を行います。
冬になっても、葉に紅葉などの変化はほとんどありません。
完全に全ての活動を休止しているといったイメージです。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。
【特記栽培情報】
orbifoliaは特に成長の遅い品種ではないのですが、
気候が合わないと途端に成長をストップしてしまうため、
結果として日本では、とても成長の遅いユーカリになっています。
試しに1年間育ててみると良く分かりますが、
成長の進む時期というのがとても限られているのです。
特に昼は比較的暑く、日差しも強いのに、
朝方はかなり肌寒く、窓を開けてはとても眠れない
というようなとても限られた時期に成長を進めます。
丁度、4~5月の間と10~11月の間の雨の少ない時期です。
たまたま、この時期に雨や曇りの日が多く続くと、
そのシーズンのorbifoliaの成長はイマイチになり、
次のチャンスへ持ち越しとなってしまいます。
成長の進む時期だけを見ていると
さほど成長が遅いとは思えないほどなのですが。。。
また、用土の排水性にもとてもうるさく、
余分な水分が残るような用土で栽培すると、
徒長し、葉の数がとても少なくなってしまいます。
日光に良く当てて、風通しも良く管理しているにも関わらず、
葉が散ったり、葉の数が少なくなる場合は、
少し用土の質がorbifoliaには合っていないというサインです。
また、特に水を吸わず、乾燥を好む品種のため、
初心者は、ワンサイズ、もしくはツーサイズくらい
敢えて小さな鉢で栽培するのが良いでしょう。
日照については、半日陰くらいでも栽培は可能です。
ただし、日照が少ないとどうしても貧弱になり、
用土の乾燥も進まなくなりますので、
過湿による枯死の可能性は自ずと高くなります。
基本的には、フルタイム直射日光を好む品種なので、
ふんだんに日光が当たり、風通しも良い
オープンスペースでの栽培が好ましいです。
大きな株になってしまえばさほどの心配はいりませんが、
幼苗の間やあまり根が張りきれていない間は
雨を避けて管理した方が良いかもしれません。
先述しましたが、梅雨時期や
ハウス内栽培など夏場に高温多湿になりやすい場所での管理は
orbifoliaにとって鬼門です。
水分管理をしっかりと行っていても、
見るからに調子が悪くなり、葉を散らせたりします。
なるべく、空中湿度を下げる工夫を行い、
梅雨時期には雨を避けるなどして、
ある程度の傷みは受け入れて、何とか耐え忍んでください。
結論として、とても良い栽培方法や
好む環境づくりなど、私もいまいち読み切れていません。
私はどちらかというと、比較的相性の良いユーカリです。
難しいユーカリというのは、誰にも難しいものなのですが、
不思議とこのユーカリには、とても個人差があるのです。
このユーカリと相性が悪く、軒並み枯らせる人もいれば、
毎年屋外に放置しているだけで、とても元気に育てている人もいます。
上記のような結果から、何らかしかorbifoliaに合う
栽培のポイントというものがあるのだろうと思っています。
育て方も環境も人それぞれですから、まずはorbifoliaを育ててみて、
経験の中から栽培のポイントを掴んでみてください。
とても傷みやすく、我儘な性質を持っていますが、
完全に枯死することはそこまでありませんので、
砂漠地域のユーカリ栽培の入門編には最適です。
このユーカリを上手く育てることができたら、
その他の西AZのユーカリなどを上手く育てるポイントが
とても良く理解できるかと思います。
※情報は適宜追加・変更します。- # by eucalyptus_k | 2012-11-04 17:37 | 品種別栽培ガイド