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ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その2

私の育てている全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いています。

ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。

他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。


■ Eucalyptus eugenioides(ユーゲニオイデス)
比較的水食いで強健、暑さにも強い。
クーラー室外機の真前でも良く成長を続けている。
ただし用土は乾燥気味の方が経過は良い。
冬の寒さにはそこまで強くない模様。
激しく紅葉して、ある程度の葉を散らす。
ただ翌春には大部分が復活を遂げる。
見た目はミューレリアナと瓜二つだが、
ミューレリアナほど成長や吸水の激しさはない。
【樹高:100cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus archeri(アーチェリ)
グニー亜種の中では耐陰性、耐寒性、耐暑性、
耐過湿のあらゆる面で強いように感じる。
ただかなり涼しい季節が好きで、夏場は動きがない。
我が家ではあまり日照の良い場所に置いていないため、
わかりにくいが、そこまで水切れが早いという印象はない。
基本フルシーズン放置であまり大きな痛みなどもない。
【樹高:140cm / 鉢:プラスチック6号ロング】


■ Eucalyptus gunnii ssp. divaricata(グニー・ディバリカタ)
アーチェリに比べると耐陰性、耐暑性などで劣る。
夏場はあまりにも空中湿度が高いと葉が汚くなるので、
日照よりも風通しを重視した方が葉を綺麗に保てる。
ただし春先には良く日光に当てて、成長を促した方が良い。
最も見た目の美しい日本では良く見かけるグニーだが、
置き場所の関係もあって、さほど水食いの印象を受けない。
グニー系の例に漏れず、夏場は動きがない。
ただ全ての亜種の中では最も成長が遅い。
日照が悪すぎると、うどんこ病の被害が多発する。
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus perriniana [Mainland Form] (ペリニアナ 本土型)
我が家では特に経過の宜しくないユーカリの一つ。
日照と風通しは西AZのユーカリ並みに工夫が必要。
ただしそこさえ確保することができれば、
過湿は西AZのユーカリとは比べ物にならない程に楽。
少し我儘ではあるが元来は強健な品種なので、
日照の良いオープンスペースさえあれば問題はない。
強健なはずの本土型だが我が家ではタスマニア型よりも
病気がちで成長の季節が短く少し改善が必要。
全く動かないわけではないが、夏場はあまり動きがない。
【樹高:45cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus perriniana [Tasmania Form] (ペリニアナ タスマニア型)
我が家では特に経過の宜しくないユーカリの一つ。
日照と風通しは西AZのユーカリ並みに工夫が必要。
ただしそこさえ確保することができれば、
過湿は西AZのユーカリとは比べ物にならない程に楽。
我が家では本土型よりもデリケートであるという
前評判に応じて少し環境の良い場所に置いていたため、
本土型よりも圧倒的に生育状態は良い。
これは相当に風通しが重要であることを意味している。
全く動かないわけではないが、夏場はあまり動きがない。
【樹高:60cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus viminalis ssp. viminalis(ビミナリス)
あらゆる面で強健だが、夏場の高温多湿は少し苦手なため、
夏場の用土過湿は避けた方が良い。
思ったよりも涼しい季節メインで成長が進み、
成長力は信じられない程に激しい。
夏場はあまり大きな動きはない模様。
日光はかなり好きで、日光が当たった場所の葉は
際立って大きく立派に育つ。
ある程度の根張りが進めば、半日陰程度でも順調に育つ。
樹高の割に吸水量は並程度でシネレアと同等の平均的レベル。
【樹高:250cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis(ビミナリス・シグネテンシス)
原種に比べると少しだけ我儘なところがあり、
耐寒性や耐暑性、耐過湿などの面で劣る。
特に耐暑性は大きく劣るので、風通しの工夫が必要。
ただ少しでも手をかけてあげれば問題ないレベル。
原種にも言えることだが、初期の根張りと育苗の段階で、
ある程度順調な成長を確保してしまえば、
後は比較的楽に成長を進めてくれる感がある。
カルシウム好きなビミナリス系だが、
原種に比べると高pHに非常にうるさいので、
多肥等には少し気を付ける必要がある。
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus orbifolia(オービフォリア)
季節によって、葉を散らせたり、動きが止まったり、
成長を進めたりと、非常に気難しく、厄介なユーカリ。
砂漠地帯出身のユーカリなので、
当初は高温乾燥と日照量に最も重きを置いていたが、
最近わかってきたのは風通しと乾燥が最重要という点。
成長時期は思ったよりも涼しい春の時期で、
梅雨時期が最も調子が悪くなり、枯らせる人も多い。
夏場はある程度成長を進めるが、大きな動きはない。
最終的に半日陰程度で風通しの最も良い場所に置くのが、
最高の結果を残せることがわかってきた。
吸水量は非常に少なく、場所は半日陰ではあるが、
夏場でも大体週に1回くらいしか与えていない。
雨に当てると葉が汚くなり、過湿になるので、
できる限り雨の当たらない場所で育てる方が良い。
【樹高:140cm / 鉢:スリット5号ロング】
【樹高:120cm / 鉢:プラスチック6号ロング】


■ Eucalyptus websteriana(ウェブステリアナ)
過湿にうるさい砂漠地帯のユーカリの代表格だが、
良く似たオービフォリアに比べると遥かに楽。
これも意外に涼しい季節メインで成長を進めるが、
夏場もオービフォリアよりは動きがある。
日照については半日陰くらいでも全然問題ないが、
大切なのは乾燥と風通しであるところは同じ。
梅雨時期が少し苦手で葉を散らせることもある。
我が家では日照よりも風通し優先の場所に置いてから、
比較的生育は良好であまり心配はしていない。
【樹高:60cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus albens(アルべンス)
近年育て始めた割には成長がなかなか早く、
我が家の環境にもある程度適応してくれた模様。
かなりの水食いで過湿に対する耐性はかなりものだが、
どうやら夏の暑さは少し苦手であることがわかってきた。
夏が進んでから若干の高温障害の症状が見られる。
涼しい季節の成長メインでその季節の成長は激しい。
現地での生息地はとても多岐に渡っているので、
暑さ以外のあらゆる面での対応能力は高いと思われる。
耐陰性という程の耐性はないが、
木漏れ日程度の日光でも生育は良好。
【樹高:70cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus dealbata(デアルバータ)
アルべンスと良く似ているが性質は若干異なっている。
アルべンスと同時期に育てたものが、
アルべンス以上の樹高にまで育っている。
吸水量は超級水食いのアルべンスとは異なって、
シネレア等と同等の平均的なレベル。
アルべンスの横に置いて、比較しながら育てているが、
高温障害の症状は全く見られず、夏場も葉が美しいので、
耐暑性はアルべンスよりもかなり高いと思われる。
一方で水を与えすぎた際には、痛みのないアルべンスとは違って、
少し葉を散らせることもあったので耐過湿はアルべンスに劣る。
ポポラスに匹敵する美しさのあるユーカリで、
ほぼシネレアやプルベルなどと同じ管理で栽培が可能。
たまに日本でも売られているがもっと広まっても良い品種。
【樹高:90cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus nitens(ニテンス)
見た目は葉のスッキリした紳士的なグロブルス。
とにかく暑さに弱いという性質が顕著。
大阪の夏では際立って葉がボロボロになる。
ただ春先の涼しい季節には驚くほどに成長が激しい。
ユーカリでもトップクラスの水食いである。
生息地の雨量は日本の多くの地域を上回っている。
また、びっくりするほどの日光好きであり、
半日陰程度の日光では生育が著しく悪くなる。
空中湿度が高く暑い場所で育てる場合には、
夏場の葉痛みはある程度妥協するしかない。
我が家では他に例のない保水性の高い用土で、
夏場はほぼ毎日、表面が乾いたら即水遣りで順調。
冬場も在来の植物を上回る程の吸水力を発揮する。
【樹高:140cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus punctata(プンクタータ)
我が家ではあらゆる面で平均的な品種。
恐らく一般のご家庭でオリーブなどの横に置いて、
全く同じような管理で育てられるであろうユーカリ。
我が家では半日陰で平均的な場所で生育は良好。
毎日水を与えても育つだろうし、3日に1回程度でもOK。
暑さにも強く、少し暑いくらいの方が好きな模様。
耐寒性はユーカリの中では高くないが、
ほぼ在来の植物と同じような管理で越冬もできる。
我が家では特に気を付けるポイントもなく、
淡々と放置しながらの管理で育てられる。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus goniocalyx(ゴニオカリックス)
とにかく強い!という印象のユーカリ。
日照も最悪、クーラー室外機の風をまともに浴びるような
我が家で最も劣悪な場所にありながら、
特に大きな葉痛みもなく、普通に育っている。
ただ葉を美しくして観賞用に育てる場合には、
もう少し良い場所で育てる方が良い。
葉の白みを強くして、立派な大丸葉を確保するためには、
しっかりと日光に当てて育てるのがポイント。
耐寒性、耐暑性、耐過湿などあらゆる面で最強で、
我が家では最も強健なユーカリの認定を受けている。
これを枯らせるようでは他の品種は難しいと言える。
ちなみに激しく剪定しているのでこの樹高だが、
剪定をサボるとすぐに2mを超えていく。
【樹高:160cm / 鉢:プラスチック6号ロング】


■ Eucalyptus bridgesiana(ブリジシアナ)
ゴニオカリックスには及ばないが、
これも強健で成長の激しいユーカリ。
我が家では成長が早すぎるために、
敢えて少し悪い場所に置いている程である。
ただ、ゴニオカリックスとは異なって、
高温多湿を少し嫌うようで、
葉が密集して、風通しが悪くなるような箇所の葉は
枯れて散っていくこともあるが、それも一部である。
当初相当の水食いと判断して、水を与えまくっていたが、
吸水量はシネレアなどと同程度で激しすぎる程ではない。
耐過湿に強いので、それでも痛むことはなかったが、
現在は置き場所の悪さもあって、夏場でも、
大体週に2~3回程度の水遣りで栽培している。
ユーカリ初心者に最適な枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:180cm / 鉢:スリット7号】


■ Eucalyptus morrisbyi(モリスビー)
非常に強健で水食い、成長もそこそこ激しいユーカリ。
ただ一つ気を付けるのは日光で、
西AZのユーカリ匹敵する程の日光を必要とする。
日光が足りないと非常に貧弱な葉を生成して病気がちになる。
ただ本当に気を付けるところはその一点だけで、
ただ育てるだけなら、水と日光だけで十分。
夏場は大きな動きがないことから、
どちらかというと冷涼な環境を好むようだが、
我が家でも高温障害の症状が出たことはないので、
一般のご家庭では暑さを気にする必要はないだろう。
ただし葉を綺麗に保つためには、風通しの改善が必要。
吸水量が半端ないくせに水切れ耐性があまりないので、
水切れには少し注意が必要になると思われる。
個人的にはグニーよりも遥かに育てやすい。
葉の周囲がギザギザでクレヌラータの丸葉版といった外観。
【樹高:200cm / 鉢:スリット6号】


もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。

その3に続きます。

# by eucalyptus_k | 2014-08-25 14:03 | ユーカリ(栽培知識)
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タネ播きの適期・適温

最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。

当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。

良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。

ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。

1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
------------------------------------------------------------
日本で良く見かけるユーカリが多い地域です

主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata

これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。

ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。

ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。


2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
------------------------------------------------------------
ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana

どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。

これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。

グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。

これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。

また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。

このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。

冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。

ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。

一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensdalrympleananitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。

ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。


3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
------------------------------------------------------------
アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。

主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona


これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。

このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。

ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。

また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。


4. クイーンズランド州のユーカリ
------------------------------------------------------------
クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah


どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。

これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。

気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。

一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。

逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。

これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。

ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。


5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
------------------------------------------------------------
西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis

これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。

気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。

一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。

西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。

逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。

どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。


今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。

タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!{#グッド}

# by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)
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【品種別栽培ガイド-08】
ユーカリ・ビミナリス (Eucalyptus viminalis)

続きまして第08回目は
ユーカリ・ビミナリスです。

◎ユーカリ・ビミナリス(リボンガム)
【学名:Eucalyptus viminalis ssp. viminalis】
【英名:Manna Gum / Ribbon Gum / White Gum】
fancyboxビミナリス(Eucalyptus viminalis ssp. viminalis)の画像1

◎ユーカリ・ビミナリス(ラフバーク)
【学名:Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis】
【英名:Rough-barked Manna Gum】
fancyboxビミナリス(Eucalyptus viminalis ssp. viminalis)の画像2

【品種情報】
・Eucalyptus viminalis ssp. viminalis
最高樹高:40~90m前後(タスマニア生息種は特に大型)
樹形:Tree(木立)型
親葉への変化:槍型の細葉~柳型の長細葉へ変化
適合pH:弱酸性~酸性(5.0-6.0)

・Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis
最高樹高:10m前後
樹形:Tree(木立)型型、稀にMallee(灌木)型
親葉への変化:槍型の細葉~柳型の長細葉へ変化
適合pH:弱酸性~酸性(5.0-6.0)


【生息地情報】
・Eucalyptus viminalis ssp. viminalis
地域:New South Wale南東部、Victoria沿岸部、タスマニア中東部
夏季最高気温:最高値40℃、平均値26℃
夏季最低気温:最低値3℃、平均値11℃
冬季最高気温:最高値18℃、平均値11℃
冬季最低気温:最低値-9℃、平均値0℃
年間降水量:450~1350mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm

・Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis
地域:South Australia南東部~カンガルー島付近、
   New South Wale南西端部
夏季最高気温:最高値42℃、平均値25℃
夏季最低気温:最低値3℃、平均値12℃
冬季最高気温:最高値22℃、平均値13℃
冬季最低気温:最低値-4℃、平均値5℃
年間降水量:450~900mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm


【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度ではかなりパフォーマンスが落ちます。
日照が悪いと葉が薄く小さくヨレヨレで貧弱になります。
そのような葉は酷い病虫害に悩まされます。
屋内管理は完全不可。

・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土・樹高による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはそれなりに水好きな方です。
特に根張りのしっかりとした株では、
成長期の吸水量はとても激しくなります。

・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。

・鉢
あまり問いませんが、根張りが非常に激しいので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが非常に低下します。
できる限り、縦長で少し大きめの鉢を使用しましょう。

・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。
カルシウム分を好むため、貝殻由来の有機石灰は効果あり。
ただし与えすぎによるpHの変化には注意!

・植え替え
植え替えに対しての耐性は弱くはありませんが、
初心者はできる限り根鉢を崩さない方が無難です。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。

・寄せ植え
後々の植え分けがとても困難になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
また、根張りがとても激しいので、寄せ植えした花草を
早い段階で枯らせたり、生命力を奪うことがあります。

・病虫害
日照不足や生育不良により、
うどんこ病の被害が激しく出ることがあります。
雨のかからない場所では、ハダニ被害の激しい品種です。
風通しの良い場所で、日光を良く浴びた丈夫な株には
病気やハダニによる被害はあまり出ることがなくなります。
精油のシネオールが強いので、
その他虫害は全くと言っていいほどありません。

・地植え
非常に成長や根張りが激しく、
特にssp. viminalisは45m以上もの大木になる品種です。
余程の覚悟と場所がない限り、地植えは避けた方が無難です。
また、根張りが激しいため、家屋の傍に植えると、
家の基礎を傷つける可能性もあります。

・耐寒性
耐寒性はかなり高い方で、ssp. viminalisであれば、
地植えの成樹で-12℃程度と言われています。
生息地の都合上、ssp. cygnetensis
地植えの成樹で-7℃程度となっていますが、
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能です。

・成長力
鉢植えでも良く日光に当てれば、最高で年60~100cmほど。
地植えすると1年で簡単に人の背丈を越えてしまいます。
とても成長力は激しく、余程の覚悟がない限りは
地植えは辞めておいた方が無難です。
鉢植えでもとても激しい成長力を発揮し、
ハーブ利用にも事欠かないユーカリです。
ssp. cygnetensisは少し控え目になるはずですが、
苗木時点での成長力はあまり変わらず、2種ともに激しいです。

・開花
どちらも大型品種のため、
恐らく、数メートル以上という相応の樹高が必要かと思います。
最高樹高を考えると、ssp. cygnetensisならば、
2m程度での開花が見込める可能性はあります。
花は、白い小さな花がたくさん咲きます。
蕾は緑色が鮮やかで、比較的小さなサイズです。

・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。


【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
数日という単位でわかる程に激しく成長していきます。
日照が悪いと、成長は少し控え目になります。
日照不足になった葉は、
うどんこ病の被害が激しく出ることもあります。

・夏
最も枯らせることが多い時期。
比較的冷涼な気候出身のユーカリなので、
日本の高温多湿な夏は少し苦手です。
あまりに暑い場合には、新芽を中心に
高温障害の症状が出ることはありますが、
大きな被害につながることはありません。
ssp. cygnetensisはさらに冷涼な地域に生息しているため、
環境によっては、激しく葉痛みが出ることもあります。
また、水遣りは涼しい時間帯に行うようにして、
根が蒸れないように気をつけてください。
ssp. viminalisであれば、
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。
ssp. cygnetensisの場合は、
少し遮光をした方が良い場合もあります。
最も暑い時期にはあまり成長が進まなくなります。

・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
寒い場所では少し赤っぽく紅葉することがあります。
暖かい時期に比べると、思ったよりも水を吸わなくなるので、
冬場の過湿には十分に注意してください。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。


【特記栽培情報】
日光にさえ良く当てていれば、
勝手にどんどん育ってくれるという楽なユーカリ。
日光が足りないと少し病気がちにはなりますが、
それでもそれなりの成長力を見せつけてくれます。

まずは春と秋にふんだんに日光に当て、
丈夫で強い株と葉を育むことが第一です。
この時期に元気な葉をたくさん育てておくと、
一年中ほとんど心配することがなくなります。

とてもありふれたユーカリですが、
関西や関東の暖地などでは若干暑すぎる傾向があり、
夏場には、高温障害の症状や若干の葉痛みが出ることもあります。
また、雨の当たらない場所ではハダニの被害も激しく出ます。
ただ、春の間に元気な葉をたくさん生やした株には
あまり心配するようなことはありません。

ssp. cygnetensisについては、
暑さにさらに弱くなり、高温障害の症状が激しく出たり、
根が蒸れて枯れるという恐れが少し高くなっています。
ssp. cygnetensis暑さに弱いという認識を少し持って
少しだけ、デリケートな管理を行ってください。

根張りや樹高にもよりますが、
あまり十分に根の張れていない株は
涼しくなってからはかなり吸水量が低下します。
思った以上に乾燥を好む性質がありますので、
涼しくなってからの過湿には注意が必要です。

また、ssp. cygnetensis
原種よりも、少しだけ水分管理にうるさいところがあります。
基本的に、viminalisは成長が激しく、強健なユーカリですが、
ssp. cygnetensisを育てる場合には、
特にleucoxylonと性質が似ていますので、
少しだけ、デリケートな管理を心がけてください。

成長が激しいため、年に何度も剪定することになると思いますが、
剪定は春~初夏、秋口に行い、夏場や冬場の強剪定は避けましょう。
剪定には良く反応し、新芽をどんどん出してくれます。

また、大型品種で成長も根張りもとても激しいため、
どうしても鉢が飽和状態となり、
下葉が散る、葉数が少なくなるなど、
根詰まりの症状が早い段階で出ることもあります。

結果的には45mを超える品種なので、
大きく育てると言っても限界はあります。
そのような場合、どのように育てていくのかという問題は、
私にとっても、大きな課題になっています。

一つ、成長力を抑制し、根張りをコントロールできる
スリット鉢の使用は、とても効果的です。

オーストラリアの栽培指南書によると、
カルシウム分をとても必要とするユーカリだそうです。
特に、生息地が特殊なssp. cygnetensisは顕著です。
カルシウムが欠乏すると、葉の色素が抜けたり、
葉先に炭ソ病のような枯れが出ることがあります。

そのような場合は、貝殻由来の有機石灰などを適量補給します。
与えすぎると、用土のpHがアルカリ寄りとなり、
生育不良や他の要素の摂取障害に繋がりますので、
与えすぎには十分に気をつけてください。

過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。
※特に涼しくなってからの水分管理に注意。


※情報は適宜追加・変更します。

 
# by eucalyptus_k | 2012-10-26 15:07 | 品種別栽培ガイド
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今年は結構枯れる。。。

今年は結構なユーカリを枯らせています。
先日、ご報告したglobulus ssp. maideniigunniiの他にも、
aromaphloiaなども枯らせてしまいました。

いつも小さなポット苗は結構な確率で枯れますが、
60cmオーバーになった株が
立て続けに枯れるのは珍しいことです。

恐らく、管理のミスと天候読みの間違いにより、
過湿になったことで根が蒸れたものと思います。

他にもかなり元気だったgunnii ssp. divaricata
40cmにもなったポット苗も枯れていました。

そして、また今日、viminalis ssp. cygnetensis
星になってしまいました。。。

このviminalis ssp. cygnetensisは以前より
非常に調子が悪く、変な症状を発症していました。

以前にもアップした下の写真のように、
出てくる葉全てが貧弱で色素欠乏の症状が出ており、
どんどん葉が枯れていくという状態でした。

fancybox記事219の画像1

これは、微量要素の補給を行っても改善されなかったため、
恐らく、要素欠乏ではなく、何かの病気だったようです。

私はviminalisを昔から結構枯らせているので、
私の鬼門と言えるユーカリになってしまいました。

もう一つあるviminalis ssp. viminalisの方は
比較的元気なので、枯らせないように気をつけたいと思います。

冬に葉が傷む品種、梅雨に傷む品種、
そして夏に傷む品種と、ユーカリは多種多様、特徴が様々で
なかなか多数の管理は難しいところですね。

これも経験として、
次へのステップにしたいところです!

# by eucalyptus_k | 2012-08-15 17:08 | ユーカリ(栽培実績)
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クロロシス様症状の改善

先年から悩まされてきた
葉のクロロシス様(色素不足)の症状についてです。

この症状が発生すると、
葉が白くなり、葉脈があばら骨のように
緑に透けて見えてしまいます。

またもちろん、色素不足で生えてきた葉は貧弱で、
すぐに菌類などの影響を受けて、
角班を作ったり、酷いうどんこ病にかかり、
最終的には汚く枯れてしまいます。

一度この症状になった場合、
今日までは特に有効な対策がありませんでした。

また、この症状は発生する品種が決まっており

Eucalyptus macrocarpa ssp. elachantha
Eucalyptus pachyloma
Eucalyptus pleurocarpa
Eucalyptus extrica
Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensys
Eucalyptus cordata

などの品種が主となっています。

特に一番上の二品種については
全ての株に酷い症状が発生するという有様でした。

基本の窒素、リン酸、カリ補給などを試し、
牡蠣殻石灰によるカルシウム補給、
苦土石灰によるマグネシウム補給を行いましたが
特に改善は見られませんでした。

そして、この度、Osakano Jieさんよりご提案を頂いた、
アミノール化学の微量要素8
という微量要素(主に鉄分系)の補給を行ってみました。

fancybox記事197の画像9

説明書きにあるように、
錠剤を水に溶かし、上澄みを葉面散布してから、
残りを土壌に潅水してみました。

すると!三日後にはその成果が現れました!

以下はmacrocarpa ssp. elachanthaの結果です。

クロロシスに悩まされていた葉でしたが

fancybox記事197の画像1

三日後には症状のない
丈夫な詰まった葉が生えてきました。

fancybox記事197の画像2

その他の株です。

fancybox記事197の画像3

 ↓

fancybox記事197の画像4


fancybox記事197の画像5

 ↓

fancybox記事197の画像6

写真では本当にわかりにくいのですが、
葉脈だけが残った症状が完璧に消えています。

fancybox記事197の画像7

新芽がやたら白いのは品種の特性と新芽だからです。
症状が発生しているときには
新芽の状態でもくっきりと葉脈が浮き出ていました。

ちょっと軽く症状の出ていたcordata
新芽に改善が見られています。

fancybox記事197の画像8

鉄分が不足しているなんて、
少し人間みたいだなあと思いました。

あまり、日本では話題にならない微量要素ですが、
鉄分が多く含まれるオーストラリアの土壌で
生息する植物には、重要な要素なのでしょう。

海外の植物の面白くも難しい一面を見ることができました。
何ごとも経験と学習ですね!{#炎}

# by eucalyptus_k | 2012-05-14 14:09 | ユーカリ(栽培知識)
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