【ユーカリ紹介-08】
ユーカリ・ビミナリス (Eucalyptus viminalis)続きまして第08回目は、殺菌作用ナンバーワン!
官能的な芳香と精油で非常に評価の高い
ユーカリ・ビミナリスです。
viminalisには学術的に認められた亜種が4種存在しますが、
今回はその中でもメジャーな2種を一緒に紹介したいと思います。
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Eucalyptus viminalis ssp. viminalis
(リボンガムと呼ばれる原種)
Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis
(樹皮のザラザラした亜種)
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◎ユーカリ・ビミナリス(リボンガム)
【学名:Eucalyptus viminalis ssp. viminalis】
【英名:Manna Gum / Ribbon Gum / White Gum】
◎ユーカリ・ビミナリス(ラフバーク)
【学名:Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis】
【英名:Rough-barked Manna Gum】
これらの亜種には小苗や苗木の間での明確な差はほとんどなく、
育て方や性質についても全くと言っていいほど違いはありません。
単にviminalisとして販売されているタネの中には、
この2種のタネが混在していることが多く、
同時に日本で販売されているviminalisにも
2種が混ざっているようです。
あくまでも傾向ですが、
苗時点での2種の写真を見比べてみましょう。
ssp. viminalis
茎が赤みがかっていることが多く、
葉は幅があり、少し丸みを帯びる傾向が強いです。
また、こちらの方が少し香りが強いように思います。
ssp. cygnetensis
茎は綺麗な黄緑色をしていることが多く、
葉は細長く槍の先のような形状になる傾向が強いです。
香りはssp. viminalisよりわずかに控え目です。
もし、viminalisを植木鉢などでコンパクトに管理する場合、
どちらを栽培したとしても大きな差はありません。
上で挙げた傾向を個体差が上回ることも大いにありえます。
ところがもし、露地植えで樹木へと育てる場合には、
非常に大きな差が生じてきます。
ssp. viminalis
オーストラリア南東部からタスマニア島にかけて生息し、
90mを超えるユーカリ中でも屈指の巨木へと成長します。
また英名の通り、樹皮がリボンのように剥けていきます。
そして、蕾と実は下の写真のように3個セットで生じます。
ssp. cygnetensis
サウスオーストラリア州のアデレード周辺に生息し、
ssp. viminalisとは対照的に
10m程度の木もしくは灌木状に育ちます。
また樹皮は英名の通り、表面がザラザラしています。
そして、蕾と実は下の写真のように7個セットで生じます。
このように、苗の間では全く差がないのに対して、
樹木の時点では非常に大きな差が生じます。
日本では10mを超えるような樹木にまで
育てるようなことは中々ないでしょうが、
コンパクトに管理する場合、
ssp. cygnetensisの方が向いているということになります。
また、その生息地の特徴から考えると、
ssp. cygnetensisの方が若干暑さに弱く、
過湿に対する耐性も低くなっていることと思います。
それではviminalisの総合的なお話へと移ります。
公園や街路樹などでもたまに見かけることがあり、
園芸店等でもリボンガム名で売られていることがあります。
日本では比較的良く知られたユーカリといえるでしょう。
viminalisは今まで紹介してきた丸葉系と違って、
典型的な細葉系のユーカリになります。
また、大きく成長すると非常に細長い柳のような葉になります。
これは多くの人がイメージしやすい葉形なのではないでしょうか。
そうです!まさにコアラが食べているようなユーカリの葉です。
実際にviminalisは、コアラが好んで食べるユーカリとしても有名です。
また、その精油の殺菌作用の高さ(ユーカリ中トップクラス)から、
オーストラリアの先住民アボリジニーが、
うがいや歯磨き、怪我の消毒等にも使用しているそうです。
viminalisの気になる香りは、
シネオール系の香りが前に立つその他の品種とは異なり、
トロピカルフルーツのような甘くフルーティーな香りが強く香り、
その後に強くシネオールの香りがスッと感じられます。
少し香っただけで、気分がウキウキ爽快になれます。
また、香りも強く、軽く葉を指でなでるだけで香り、
葉を指で潰してみると非常に強く香り、
潰した指が精油でベトベトになる程です。
viminalisの精油はユーカリの精油中で最も高価です。
他の精油が1,000~2,000円程度なのに対して、
viminalisの精油は同量で10,000円を超えています。
精油の採取が難しいことがその要因のようです。
大木になるような品種に共通していることですが、
とにかく成長力がバカになりません!
家に来てから、植え替えの痛みをものともせずに
一日一日わかるほどに葉をガンガン増やしていきます。
特に春を迎えてから、夏に至るまでの間は
間違いなくトップクラスの成長力を誇っています。
日本の環境には比較的合っている方ですが、
鉢植えで育てていくには、その成長力の激しさから、
なかなか厄介なところがあります。
成長期にはまめすぎるほどの摘芯が必要になります。
また、総合的に夏の暑さはあまり得意ではなく、
特にssp. cygnetensisの方は、
夏場に高温障害の症状が出ることもあります。
夏場はあまり成長せずに、軽い休眠期に入ります。
基本的にはgunnii等と比べるとあまり水を必要とせず、
過湿に対する耐性はそこまで強くないので、
より乾燥気味に水はけの良い用土で管理しましょう。
ただし、鉢が根でパンパンになったような株では、
爆発的に水切れが早くなるので、
水切れにも注意が必要になります。
viminalisは2種ともにとても日光が大好きです。
基本的には良く日光の当たる環境で育ててください。
半日陰程度でも問題なく育てられますが、
あまりにも日照が足らない場合には、
貧弱でヨレヨレな葉を生成して、
うどんこ病の被害を激しく受けることもあります。
ただし、その精油の殺菌力の強さから、
虫害にあうことはほぼ皆無です。
例外的にハダニの被害だけは出ることがあります。
耐寒性はssp. viminalisが-12℃程度まで、
ssp. cygnetensisが-7℃程度までといわれています。
乾燥気味に管理すれば、大阪の冬などものともせず、
寒風を浴びても葉が痛むことさえありませんでした。
剪定したviminalisの葉を湯船に入れてみました。
ほんの一握り入れただけでしたが、
お風呂場がviminalisの香りでいっぱいになりました。
かなり強烈なので一握りで十分でしたが、
肌がスベスベになり、非常に調子が良くなりました。
また家の子供の汗疹にも効果がありました。
こんなお役立ちのviminalis、
ベランダの鉢植えでどこまで育てられるかわかりませんが、
頑張って育てていくぞと心に誓っています!
ssp. viminalis
ssp. cygnetensis
コアラの餌を栽培されている
親愛なるこあら師匠は、そのお仕事がら、
viminalisに関してはエキスパートです!
viminalisを育ててみたい方には
親愛なるこあら師匠の農場をご紹介します
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<栽培難易度:A+>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★★
成長力:★★★★★
要水分:★★★
耐過湿:★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★★
耐移植:★★★
耐寒性:★★★★
耐暑性:★★
耐病虫:★★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2009-06-12 13:50 | ユーカリ紹介
ユーカリ育成ブログです。タネを輸入して150種以上のユーカリを育てています。 By eucalyptus_k
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