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やっぱりgunniiは美しい!

珍しいユーカリを多数育てている私ですが、
実は最もありふれたユーカリである、
gunniiの栽培があまり得意ではありません。

ユーカリを育て始めた初期から栽培している
立派なgunniiを一昨年に枯らせてしまい、
我が家にはマトモなgunnii
一本もない状態が長らく続いていました。

ただタネは各亜種で管理していますので、
原種のgunnii ssp. gunnii
亜種のgunnii ssp. divaricata
別種になったarcheriと3種類しっかりあります。

すでに別種扱いなので、
gunniiと言って良いのかわかりませんが、
その中でもarcheriだけはガンガン成長していて、
150cmを越えようという勢いです。

fancybox記事360の画像1

ぶっちゃけ別種扱いになったくせに
イマイチその他のgunniiとの違いがわかりません。

fancybox記事360の画像2

上の写真のように左右対称ではない葉が出ることと、
新芽の白さの割に、下葉の青色が濃くなることなどが
archeriの特徴のようですが、
個体差と言い切ってしまえる程の差でしかありません。

我が家には学名にgunniiと付くマトモな株が一本もない、
そんな情けない状態でコツコツとgunniiを育ててきて、
やっとこさそれなりの株が揃ってきました。

気候自体があまり大阪に合っていないこともありますが、
我が家では、高温乾燥好きな
西AZのユーカリばかりを育てていることもあって、
総合的にgunniiに合った環境を完備できていません。

またどうしてもその強健な性質に甘えて、
劣悪な場所に置いたりするので、
いきなり枯れてしまったり、
慢性的に生育状況が良くなかったりしていました。

少し良好な場所に置いてあげたら、
やっとマトモに育ち始めてきた
gunnii ssp. divaricataです。

fancybox記事360の画像3

fancybox記事360の画像4

冬場の白く輝くような丸葉は、
albidagilliiの銀葉にも引けを取りません。

gunniiの中でも、このssp. divaricataは、
園芸品種として最も人気がありますので、
日本のgunniiの中にも良く混ざっています。

Silver Dropという名前が付いているものは、
このssp. divaricataであることが多いようです。

最も小丸葉が映えて、
銀葉の美しくなるgunniiですので、
栽培にはオススメの種になります。

次は私の手抜きのせいで、
最も栽培の遅れている原種のssp. gunniiです。

fancybox記事360の画像5

まだ15cm程度の小苗ですが、
今年の寒い冬をものともしません。
耐寒性最強クラスは伊達ではありません。

今のところあまり大きな違いはわかりませんが、
3種の中では最も楕円型の大きな葉になるようです。

こうしてしっかりと育ててみると、
改めてgunniiは綺麗だなと思わされます。

ユーカリマニアには、
少し面白みの欠けるユーカリなのかもしれませんが、
美しいgunniiをしっかりと育て上げることも、
ユーカリ栽培の醍醐味ではないかと思いました。

しばらくは、少し力を注いで栽培を行い、
gunniiについてもさらに勉強したいと思います。

# by eucalyptus_k | 2015-02-09 17:38 | ユーカリ(栽培実績)
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ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その2

私の育てている全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いています。

ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。

他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。


■ Eucalyptus eugenioides(ユーゲニオイデス)
比較的水食いで強健、暑さにも強い。
クーラー室外機の真前でも良く成長を続けている。
ただし用土は乾燥気味の方が経過は良い。
冬の寒さにはそこまで強くない模様。
激しく紅葉して、ある程度の葉を散らす。
ただ翌春には大部分が復活を遂げる。
見た目はミューレリアナと瓜二つだが、
ミューレリアナほど成長や吸水の激しさはない。
【樹高:100cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus archeri(アーチェリ)
グニー亜種の中では耐陰性、耐寒性、耐暑性、
耐過湿のあらゆる面で強いように感じる。
ただかなり涼しい季節が好きで、夏場は動きがない。
我が家ではあまり日照の良い場所に置いていないため、
わかりにくいが、そこまで水切れが早いという印象はない。
基本フルシーズン放置であまり大きな痛みなどもない。
【樹高:140cm / 鉢:プラスチック6号ロング】


■ Eucalyptus gunnii ssp. divaricata(グニー・ディバリカタ)
アーチェリに比べると耐陰性、耐暑性などで劣る。
夏場はあまりにも空中湿度が高いと葉が汚くなるので、
日照よりも風通しを重視した方が葉を綺麗に保てる。
ただし春先には良く日光に当てて、成長を促した方が良い。
最も見た目の美しい日本では良く見かけるグニーだが、
置き場所の関係もあって、さほど水食いの印象を受けない。
グニー系の例に漏れず、夏場は動きがない。
ただ全ての亜種の中では最も成長が遅い。
日照が悪すぎると、うどんこ病の被害が多発する。
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus perriniana [Mainland Form] (ペリニアナ 本土型)
我が家では特に経過の宜しくないユーカリの一つ。
日照と風通しは西AZのユーカリ並みに工夫が必要。
ただしそこさえ確保することができれば、
過湿は西AZのユーカリとは比べ物にならない程に楽。
少し我儘ではあるが元来は強健な品種なので、
日照の良いオープンスペースさえあれば問題はない。
強健なはずの本土型だが我が家ではタスマニア型よりも
病気がちで成長の季節が短く少し改善が必要。
全く動かないわけではないが、夏場はあまり動きがない。
【樹高:45cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus perriniana [Tasmania Form] (ペリニアナ タスマニア型)
我が家では特に経過の宜しくないユーカリの一つ。
日照と風通しは西AZのユーカリ並みに工夫が必要。
ただしそこさえ確保することができれば、
過湿は西AZのユーカリとは比べ物にならない程に楽。
我が家では本土型よりもデリケートであるという
前評判に応じて少し環境の良い場所に置いていたため、
本土型よりも圧倒的に生育状態は良い。
これは相当に風通しが重要であることを意味している。
全く動かないわけではないが、夏場はあまり動きがない。
【樹高:60cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus viminalis ssp. viminalis(ビミナリス)
あらゆる面で強健だが、夏場の高温多湿は少し苦手なため、
夏場の用土過湿は避けた方が良い。
思ったよりも涼しい季節メインで成長が進み、
成長力は信じられない程に激しい。
夏場はあまり大きな動きはない模様。
日光はかなり好きで、日光が当たった場所の葉は
際立って大きく立派に育つ。
ある程度の根張りが進めば、半日陰程度でも順調に育つ。
樹高の割に吸水量は並程度でシネレアと同等の平均的レベル。
【樹高:250cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis(ビミナリス・シグネテンシス)
原種に比べると少しだけ我儘なところがあり、
耐寒性や耐暑性、耐過湿などの面で劣る。
特に耐暑性は大きく劣るので、風通しの工夫が必要。
ただ少しでも手をかけてあげれば問題ないレベル。
原種にも言えることだが、初期の根張りと育苗の段階で、
ある程度順調な成長を確保してしまえば、
後は比較的楽に成長を進めてくれる感がある。
カルシウム好きなビミナリス系だが、
原種に比べると高pHに非常にうるさいので、
多肥等には少し気を付ける必要がある。
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus orbifolia(オービフォリア)
季節によって、葉を散らせたり、動きが止まったり、
成長を進めたりと、非常に気難しく、厄介なユーカリ。
砂漠地帯出身のユーカリなので、
当初は高温乾燥と日照量に最も重きを置いていたが、
最近わかってきたのは風通しと乾燥が最重要という点。
成長時期は思ったよりも涼しい春の時期で、
梅雨時期が最も調子が悪くなり、枯らせる人も多い。
夏場はある程度成長を進めるが、大きな動きはない。
最終的に半日陰程度で風通しの最も良い場所に置くのが、
最高の結果を残せることがわかってきた。
吸水量は非常に少なく、場所は半日陰ではあるが、
夏場でも大体週に1回くらいしか与えていない。
雨に当てると葉が汚くなり、過湿になるので、
できる限り雨の当たらない場所で育てる方が良い。
【樹高:140cm / 鉢:スリット5号ロング】
【樹高:120cm / 鉢:プラスチック6号ロング】


■ Eucalyptus websteriana(ウェブステリアナ)
過湿にうるさい砂漠地帯のユーカリの代表格だが、
良く似たオービフォリアに比べると遥かに楽。
これも意外に涼しい季節メインで成長を進めるが、
夏場もオービフォリアよりは動きがある。
日照については半日陰くらいでも全然問題ないが、
大切なのは乾燥と風通しであるところは同じ。
梅雨時期が少し苦手で葉を散らせることもある。
我が家では日照よりも風通し優先の場所に置いてから、
比較的生育は良好であまり心配はしていない。
【樹高:60cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus albens(アルべンス)
近年育て始めた割には成長がなかなか早く、
我が家の環境にもある程度適応してくれた模様。
かなりの水食いで過湿に対する耐性はかなりものだが、
どうやら夏の暑さは少し苦手であることがわかってきた。
夏が進んでから若干の高温障害の症状が見られる。
涼しい季節の成長メインでその季節の成長は激しい。
現地での生息地はとても多岐に渡っているので、
暑さ以外のあらゆる面での対応能力は高いと思われる。
耐陰性という程の耐性はないが、
木漏れ日程度の日光でも生育は良好。
【樹高:70cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus dealbata(デアルバータ)
アルべンスと良く似ているが性質は若干異なっている。
アルべンスと同時期に育てたものが、
アルべンス以上の樹高にまで育っている。
吸水量は超級水食いのアルべンスとは異なって、
シネレア等と同等の平均的なレベル。
アルべンスの横に置いて、比較しながら育てているが、
高温障害の症状は全く見られず、夏場も葉が美しいので、
耐暑性はアルべンスよりもかなり高いと思われる。
一方で水を与えすぎた際には、痛みのないアルべンスとは違って、
少し葉を散らせることもあったので耐過湿はアルべンスに劣る。
ポポラスに匹敵する美しさのあるユーカリで、
ほぼシネレアやプルベルなどと同じ管理で栽培が可能。
たまに日本でも売られているがもっと広まっても良い品種。
【樹高:90cm / 鉢:スリット5号ロング】


■ Eucalyptus nitens(ニテンス)
見た目は葉のスッキリした紳士的なグロブルス。
とにかく暑さに弱いという性質が顕著。
大阪の夏では際立って葉がボロボロになる。
ただ春先の涼しい季節には驚くほどに成長が激しい。
ユーカリでもトップクラスの水食いである。
生息地の雨量は日本の多くの地域を上回っている。
また、びっくりするほどの日光好きであり、
半日陰程度の日光では生育が著しく悪くなる。
空中湿度が高く暑い場所で育てる場合には、
夏場の葉痛みはある程度妥協するしかない。
我が家では他に例のない保水性の高い用土で、
夏場はほぼ毎日、表面が乾いたら即水遣りで順調。
冬場も在来の植物を上回る程の吸水力を発揮する。
【樹高:140cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus punctata(プンクタータ)
我が家ではあらゆる面で平均的な品種。
恐らく一般のご家庭でオリーブなどの横に置いて、
全く同じような管理で育てられるであろうユーカリ。
我が家では半日陰で平均的な場所で生育は良好。
毎日水を与えても育つだろうし、3日に1回程度でもOK。
暑さにも強く、少し暑いくらいの方が好きな模様。
耐寒性はユーカリの中では高くないが、
ほぼ在来の植物と同じような管理で越冬もできる。
我が家では特に気を付けるポイントもなく、
淡々と放置しながらの管理で育てられる。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】


■ Eucalyptus goniocalyx(ゴニオカリックス)
とにかく強い!という印象のユーカリ。
日照も最悪、クーラー室外機の風をまともに浴びるような
我が家で最も劣悪な場所にありながら、
特に大きな葉痛みもなく、普通に育っている。
ただ葉を美しくして観賞用に育てる場合には、
もう少し良い場所で育てる方が良い。
葉の白みを強くして、立派な大丸葉を確保するためには、
しっかりと日光に当てて育てるのがポイント。
耐寒性、耐暑性、耐過湿などあらゆる面で最強で、
我が家では最も強健なユーカリの認定を受けている。
これを枯らせるようでは他の品種は難しいと言える。
ちなみに激しく剪定しているのでこの樹高だが、
剪定をサボるとすぐに2mを超えていく。
【樹高:160cm / 鉢:プラスチック6号ロング】


■ Eucalyptus bridgesiana(ブリジシアナ)
ゴニオカリックスには及ばないが、
これも強健で成長の激しいユーカリ。
我が家では成長が早すぎるために、
敢えて少し悪い場所に置いている程である。
ただ、ゴニオカリックスとは異なって、
高温多湿を少し嫌うようで、
葉が密集して、風通しが悪くなるような箇所の葉は
枯れて散っていくこともあるが、それも一部である。
当初相当の水食いと判断して、水を与えまくっていたが、
吸水量はシネレアなどと同程度で激しすぎる程ではない。
耐過湿に強いので、それでも痛むことはなかったが、
現在は置き場所の悪さもあって、夏場でも、
大体週に2~3回程度の水遣りで栽培している。
ユーカリ初心者に最適な枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:180cm / 鉢:スリット7号】


■ Eucalyptus morrisbyi(モリスビー)
非常に強健で水食い、成長もそこそこ激しいユーカリ。
ただ一つ気を付けるのは日光で、
西AZのユーカリ匹敵する程の日光を必要とする。
日光が足りないと非常に貧弱な葉を生成して病気がちになる。
ただ本当に気を付けるところはその一点だけで、
ただ育てるだけなら、水と日光だけで十分。
夏場は大きな動きがないことから、
どちらかというと冷涼な環境を好むようだが、
我が家でも高温障害の症状が出たことはないので、
一般のご家庭では暑さを気にする必要はないだろう。
ただし葉を綺麗に保つためには、風通しの改善が必要。
吸水量が半端ないくせに水切れ耐性があまりないので、
水切れには少し注意が必要になると思われる。
個人的にはグニーよりも遥かに育てやすい。
葉の周囲がギザギザでクレヌラータの丸葉版といった外観。
【樹高:200cm / 鉢:スリット6号】


もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。

その3に続きます。

# by eucalyptus_k | 2014-08-25 14:03 | ユーカリ(栽培知識)
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タネ播きの適期・適温

最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。

当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。

良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。

ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。

1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
------------------------------------------------------------
日本で良く見かけるユーカリが多い地域です

主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata

これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。

ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。

ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。


2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
------------------------------------------------------------
ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana

どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。

これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。

グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。

これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。

また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。

このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。

冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。

ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。

一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensdalrympleananitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。

ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。


3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
------------------------------------------------------------
アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。

主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona


これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。

気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。

このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。

ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。

また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。


4. クイーンズランド州のユーカリ
------------------------------------------------------------
クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah


どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。

これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。

気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。

一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。

逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。

これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。

ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。


5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
------------------------------------------------------------
西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。

主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis

これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。

気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。

一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。

西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。

逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。

どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。


今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。

タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!{#グッド}

# by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)
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今年は結構枯れる。。。

今年は結構なユーカリを枯らせています。
先日、ご報告したglobulus ssp. maideniigunniiの他にも、
aromaphloiaなども枯らせてしまいました。

いつも小さなポット苗は結構な確率で枯れますが、
60cmオーバーになった株が
立て続けに枯れるのは珍しいことです。

恐らく、管理のミスと天候読みの間違いにより、
過湿になったことで根が蒸れたものと思います。

他にもかなり元気だったgunnii ssp. divaricata
40cmにもなったポット苗も枯れていました。

そして、また今日、viminalis ssp. cygnetensis
星になってしまいました。。。

このviminalis ssp. cygnetensisは以前より
非常に調子が悪く、変な症状を発症していました。

以前にもアップした下の写真のように、
出てくる葉全てが貧弱で色素欠乏の症状が出ており、
どんどん葉が枯れていくという状態でした。

fancybox記事219の画像1

これは、微量要素の補給を行っても改善されなかったため、
恐らく、要素欠乏ではなく、何かの病気だったようです。

私はviminalisを昔から結構枯らせているので、
私の鬼門と言えるユーカリになってしまいました。

もう一つあるviminalis ssp. viminalisの方は
比較的元気なので、枯らせないように気をつけたいと思います。

冬に葉が傷む品種、梅雨に傷む品種、
そして夏に傷む品種と、ユーカリは多種多様、特徴が様々で
なかなか多数の管理は難しいところですね。

これも経験として、
次へのステップにしたいところです!

# by eucalyptus_k | 2012-08-15 17:08 | ユーカリ(栽培実績)
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識別しにくいユーカリ(2)~Eucalyptus gunnii~

第一回の~はじめに~を何気なく書いて、
そこからすぐに「止めようか?」という壁にぶち当たりました。
何故かというと、このgunniiの識別は、
おそらく全ユーカリ中で最も困難になると思われたからです。

今回は当ブログを書いている中で
最も時間と労力を費やしました。
読んだ資料は10点を超え(全て英語です。。。)、
問い合わせた現地の栽培者や研究者は5名以上。
それでも確固たる結論は出ていませんが、
とりあえず今の時点で分かったことを書いていきます。

今後も引き続き、研究は続けていきます。
そして分かったことは必ずこちらに書いていきたいと思います。

まず、gunniiで学術的に認められている亜種は下記の3種です。
---------------------------------------------
Eucalyptus gunnii ssp. gunnii
Eucalyptus gunnii ssp. archeri
Eucalyptus gunnii ssp. divaricata
---------------------------------------------
この中のssp. divaricataですが、
これは英語のDivaricate(分岐する)から来ており、
ssp. gunniiから分岐して
新しく分類された品種という意味です。

ここで一つとても厄介なことがあります。
学説によってはこのssp. divaricata
ssp. gunniiと完全に同種とみなすこともあるのです。

まあそれだけ良く似ているということで、
資料や情報も格段に少なくなってしまいます。
もちろん、今回はssp. divaricata
完全に別種として考えていきます。

このssp. divaricataは絶滅危惧種に指定されており、
恐ろしく狭い、超限られた地域にのみ自生しています。
もし、興味があったらGoogle Mapで調べてみてください。

タスマニア島のMienaという町付近に
Shannon Lagoonという周囲7km程度の小さな湖があります。
ssp. divaricataはこの湖の周囲にのみ
わずかな数だけ自生しています。

周囲7kmというと富士五湖の中で
最小の精進湖と同じくらいの湖です。
ということはssp. divaricataは、例えばヒノキに例えるならば、
精進湖の周囲にのみわずかに生息しているヒノキのみを
別種として認定しているのに等しいということになります。

通常であれば、このような限定された品種を
私がタネを入手して育てたり、
苗をホームセンター等で購入することなどあり得ないことです。

でも、そこらへんのホームセンターで売っているんです!
タネも現地の種屋であればどこでも扱っています。
アメリカやヨーロッパでgunniiといえば、
十中八九はこのssp. divaricataのことです。

なぜここまで、このssp. divaricata
メジャーになったのでしょうか?
それは、フラワーアレンジなどに向く品種だと目をつけた
ヨーロッパの栽培者が現地でタネを手に入れて持ち帰ったそうです。
そして、その美しい外観と強健でコンパクトに育つ性質が人気で、
またたく間に世界中でgunniiの園芸品種として広まったようです。

こんなに簡単に広がる品種が何故絶滅の危機にあるのか?
それはこの強健なssp. divaricataには、
水切れにだけは非常に弱いという弱点があるためです。
1990年頃から生息地の雨量が減少し、干ばつが続いた結果、
多くのssp. divaricataが枯死してその数を減らしました。

まずはssp. divaricataに関する
これらの情報を押さえた上で識別へと進みたいと思います。

gunniiの識別は単純に3種を比較することは不可能です。
まずは第一段階の比較として、
ssp. divaricataか?それ以外の2種か?という識別を行います。

早速ssp. divaricataの写真を見ていきましょう。
fancybox記事133の画像1

fancybox記事133の画像2

fancybox記事133の画像3

以下の写真は私のところで育てているものです。
まずは比較的幼い苗の写真です。

fancybox記事133の画像4

そして次はかなり調子良く成長した苗です。

fancybox記事133の画像5

遺伝子的にはgunniiUrnigeraの間に位置するようなので、
葉がかなり綺麗な白銀水色をしていて、
色だけで見るとCinerea(銀丸葉ユーカリ)のようです。

次にssp. divaricataの特徴です。
-------------------------------------------------------------
-苗時点-
1. 葉や茎は非常に強く粉を吹き、白銀水色になる
2. 葉が楕円よりもかなり丸くなる傾向が強い
3. 大きく育っても葉は比較的小さ目の傾向が強い
4. 茎のザラザラは成長後、早い段階で消えてなくなる。
5. 茎は四角型と丸型が等しく発生する
6. 葉先が尖らずに丸くなる傾向が強い
7. 対に付いた葉同士の茎との接点は重なりやすい
8. 非常に脇芽が出やすく、こんもり育つ


正直、非常に曖昧ではありますが、
これが苗時点での特に大きな識別のポイントです。
とにかくgunniiをたくさん見てください。
そうすれば、何とか識別が可能になると思います。
一番大きなポイントは1と2です。

-樹木時点-
1. 蕾・実は非常に白色が強くなる
fancybox記事133の画像6
2. 実の形はツボ型になる
3. 12m~15m程度の低木に育つ
4. 大きく成長してからの葉は白色が強い
5. 木立ち(Tree)型に育つ

fancybox記事133の画像7

-その他
1. 香りはシネオールを含まず、柑橘系が強い
2. 耐寒性は非常に強い(-18℃以上)
3. 水切れに弱い
4. Shannon Lagoon周辺の限られた地域にのみ生息


他の2種はここまで白い蕾をしていません。
これは大きな識別のポイントですね。
ちなみにssp. gunniiはもっと大きな木へと育ち、
ssp. archeriは灌木型(Mallee)に育ちます。
-------------------------------------------------------------

次に第二段階の比較として、
ssp. gunniiか?ssp. archeriか?という識別を行います。
結論ですが、この識別は葉や茎などからはほぼ不可能です。。。

まずはssp. gunniiの写真を見ていきましょう。
fancybox記事133の画像8

fancybox記事133の画像9

fancybox記事133の画像10

成長するごとに葉は白くなっていきます。
ssp. divaricataに比べると葉は大きく楕円形をしています。

次は私のところで育てている苗です。
少し寒さで痛んで赤くなっています。

fancybox記事133の画像11

fancybox記事133の画像12

ssp. gunniiの特徴です。
-------------------------------------------------------------
-苗時点-
1. 葉は新芽・下葉ともに白く粉を吹いたように成長する
2. 茎も比較的白く育つ傾向が強い
3. 茎のザラザラは成長後、早い段階で消えてなくなる。
4. 茎は四角型の場合もあるが、丸型になる傾向が強い
5. 葉先が尖らずに丸くなる傾向が強い
6. 対に付いた葉同士の茎との接点は重なりやすい


-樹木時点-
1. 蕾は少しだけ白くなる
fancybox記事133の画像13
2. 実は白く粉を吹いたようになる
3. 実の形はツボ形になる
fancybox記事133の画像14
4. 25m以上の大木に成長し、3種の中では最も大きくなる
5. 大きく成長してからの葉は白色が強い
6. 木立ち(Tree)型に育つ

fancybox記事133の画像15

-その他-
1. 香りはシネオールを微量に含み、ミント系が強い
2. 3種の中で耐寒性は最も弱く、葉が傷みやすい(-15℃)
3. 水切れに弱い
4. タスマニア島広域の湿地帯や湖・川の付近に生息

-------------------------------------------------------------

次にssp. archeriの写真を見ていきましょう。
fancybox記事133の画像16

fancybox記事133の画像17

fancybox記事133の画像18

次は私のところで育てている苗です。
少し寒さで痛んで赤くなっています。

fancybox記事133の画像19

ssp. archeriの特徴です。
-------------------------------------------------------------
-苗時点-
1. 葉は新芽が非常に白色が強く、下葉は緑色が強くなる
2. 茎は比較的緑色もしくは赤色に育つ傾向が強い
3. 茎のザラザラは成長後も長く残る
4. 茎は丸型の場合もあるが、四角型になる傾向が強い
5. 葉先が丸くならずに尖る傾向が強い
6. 対に付いた葉同士の茎との接点が重なりにくい


-樹木時点-
1. 蕾と実が白くなることはない
fancybox記事133の画像20
2. 実の形はカップ形になる
fancybox記事133の画像21
3. 10m以内の低木に育つ
4. 大きく成長してからの葉は緑色が強い
5. 灌木(Mallee)状に育つ

fancybox記事133の画像22

-その他-
1. 香りはシネオールが強く、わずかにミント系が香る
2. 耐寒性は非常に強い(-18℃以上)
3. 3種の中では最も水切れに強い
4. タスマニア島の標高1100m以上の高山に生息

-------------------------------------------------------------

いかがですか?
ハッキリいって写真では区別がつかないと思います。
苗時点では個体差が特徴を上回るため、
見た目による識別はほぼ不可能といえます。

苗を何本も見てきている現地の栽培者からも、
「苗時点では全く同じ」という回答をもらいました。

一番の識別のポイントは、
樹高、木立ちか灌木か、蕾・実の色とその形状の3つです。
ところが実際は現地の栽培者でも、
外観からの識別はほとんど行わず、
しっかりとタネから管理しているようです。。。

とにかく、苗時点でのssp. gunniissp. archeri
確実な識別方法は、今の時点では私にもわかりません。

そこでタネのルーツから考える識別です。

こんなに外観が似ているにも関わらず、
ssp. archeri「Eucalyptus Archeri」
完全に別種扱いされるほど、
gunniiから切り離されて分類されています。

よってssp. archeriのタネが
Eucalyptus gunniiとして販売されていることは
ほとんどあり得ないと考えられます。

逆にssp. gunniissp. divaricata
Eucalyptus gunniiとして
ごっちゃになっていることが多いでしょう。
寧ろヨーロッパやアメリカからgunniiのタネを買うと、
かなり高い確率でssp. divaricataのタネが来ることでしょう。

よほどマニアックでもない日本の栽培者は、
ほとんどがEucalyptus gunniiでタネを仕入れているはずですから、
ssp. archeriのタネが紛れ込む可能性は非常に低いことになります。
よって、日本で販売されているgunniiについては、
ssp. gunniiか?ssp. divaricataか?の
第一段階の識別でほぼ間に合うと考えられます。

最後に私の家にもあるvar. silverdropという園芸品種ですが、
上記全ての判別を行った結果、
ssp. gunniiでほぼ間違いないと思います。

var. silverdropという名のタネは
ヨーロッパでのみ販売されているものです。
ssp. divaricataが主流のヨーロッパでは
gunniiは完全な丸葉というのが当たり前。

逆に葉が楕円のssp. gunnii
SilverDrop(銀の雫)と特徴づけて呼んでいる。
あくまでも推測ですが、このように考えられますね。

ここまで長文を読んでいただいて
本当にありがとうございました。

一番最後は我が家自慢の
silverdropの写真で締めくくらせていただきます。

fancybox記事133の画像23

fancybox記事133の画像24

私の適職??
どんな適職診断でやっても
もちろん"学者"ですw

こんなにgunniiばっかり見ていたら、
凄くgunniiが好きになっちゃったなぁ♪

# by eucalyptus_k | 2011-02-09 05:43 | ユーカリ(品種知識)
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