ユーカリの名前について
ユーカリに限らずですが、
学名・英名・和名・商品名など様々な呼び名があります。
特にユーカリの場合、
日本にはほとんど存在しない品種が多いので、
英名がそのまま和名になっているものや、
和名がそもそも存在しないものもあります。
例えば、Eucalyptus cinereaの場合、
[学名] cinerea
[英名] Silver Doller Gum / Argyle Apple / Mealy Stringybark
[和名] ギンマルバユーカリ
[商品名] シルバーダラーユーカリ etc.
といった感じになります
英名はともかくとして、和名は非常に曖昧です。
そのため、本ブログではあまり使用しないか、
「銀丸葉ユーカリことcinerea」と言ったりしています。
試しに近くのホームセンターや園芸店で
「銀丸葉ユーカリ」と注文してみてください。
恐らく十中八九、gunniiやpulverulentaが届くでしょう。
このようにユーカリの場合、
和名なんてあってないようなものです。
一部、レモンユーカリとユーカリノキだけは、
比較的日本に根付いた和名と言えます。
色々な名前が交錯すると
私でもややこしいと思う程なので、
基本当ブログでは学名を使用するようにしています。
また学名の読み方には、極力cinerea/macrocarpa等の
アルファベット表記を使用するようにしています。
この学名というのは、
ラテン語やギリシャ語を元に付けられています。
そのため、macrocarpaを
マクロカーパと読むのは間違いで、
正しくはマクロカルパという読みになります。
ただその販売者が、
これはマクロカーパという商品名なんだ!
と言い張った場合にはそれで通ってしまうので、
あくまでも正式な学名の読みが
マクロカルパということしか言えないのです。
他にはcypellocarpaというユーカリがあります。
このユーカリは当初様々な読みが交錯していました。
私も最初はシペロカルパだと思っていましたが、
サイペロカルパではないか?と言われたこともあります。
それで調べてみた結果、
ギリシャ語のカップという意味の
キペロという単語が語源になっているので、
正しくはキペロカルパということがわかりました。
他にも正しいとわかっているものでは、
[albopurpurea]
アルボパープレア ×
アルボプルプレア○
[nitens]
ナイテンス ×
ニテンス ○
などがあります。
人名や地名が元になっている品種があります。
これは一体何語で読むのが正しいのか、
正直全くわかりません。
[archeri] アーチェリー氏発見
アーチェリ? アルチェリ?
[woodwardii] ウッドワード氏発見
ウッドワルディー? ウッドワーディー?
[kybeanensis] カイビーン付近に生息
キベアネンシス? カイビーネンシス?
[lane-poolei] レーンプール氏発見
ラネプーレイ? レーンプーレイ?
こんな感じで困惑しますので、とにかく
アルファベット表記をするようにしています。
学名の語源を調べる資料自体はあるので、
一度時間があったら、
再編集してみようかなとも考えています。
ぶっちゃけ私自身も日本語読みは
間違っているものがたくさんあると思います。。。
ピックアップしてみるだけで、
[urnigera]
アーニゲラ×
恐らくウルニゲラ
[urna]
アーナ
恐らくウルナ
[orbifolia]
オービフォリア×
恐らくオルビフォリア
[campaspe]
カンパスプ×
恐らくカンパスペ
[cladocalyx]
クレイドカリックス×
恐らくクラドカリックス
[sturgissiana]
スタージシアナ×
恐らくストゥルジシアナ
などなど...トホホ...- # by eucalyptus_k | 2015-08-06 19:04 | ユーカリ(品種知識)
やっぱりgunniiは美しい!
珍しいユーカリを多数育てている私ですが、
実は最もありふれたユーカリである、
gunniiの栽培があまり得意ではありません。
ユーカリを育て始めた初期から栽培している
立派なgunniiを一昨年に枯らせてしまい、
我が家にはマトモなgunniiは
一本もない状態が長らく続いていました。
ただタネは各亜種で管理していますので、
原種のgunnii ssp. gunnii、
亜種のgunnii ssp. divaricata、
別種になったarcheriと3種類しっかりあります。
すでに別種扱いなので、
gunniiと言って良いのかわかりませんが、
その中でもarcheriだけはガンガン成長していて、
150cmを越えようという勢いです。
ぶっちゃけ別種扱いになったくせに
イマイチその他のgunniiとの違いがわかりません。
上の写真のように左右対称ではない葉が出ることと、
新芽の白さの割に、下葉の青色が濃くなることなどが
archeriの特徴のようですが、
個体差と言い切ってしまえる程の差でしかありません。
我が家には学名にgunniiと付くマトモな株が一本もない、
そんな情けない状態でコツコツとgunniiを育ててきて、
やっとこさそれなりの株が揃ってきました。
気候自体があまり大阪に合っていないこともありますが、
我が家では、高温乾燥好きな
西AZのユーカリばかりを育てていることもあって、
総合的にgunniiに合った環境を完備できていません。
またどうしてもその強健な性質に甘えて、
劣悪な場所に置いたりするので、
いきなり枯れてしまったり、
慢性的に生育状況が良くなかったりしていました。
少し良好な場所に置いてあげたら、
やっとマトモに育ち始めてきた
gunnii ssp. divaricataです。
冬場の白く輝くような丸葉は、
albidaやgilliiの銀葉にも引けを取りません。
gunniiの中でも、このssp. divaricataは、
園芸品種として最も人気がありますので、
日本のgunniiの中にも良く混ざっています。
Silver Dropという名前が付いているものは、
このssp. divaricataであることが多いようです。
最も小丸葉が映えて、
銀葉の美しくなるgunniiですので、
栽培にはオススメの種になります。
次は私の手抜きのせいで、
最も栽培の遅れている原種のssp. gunniiです。
まだ15cm程度の小苗ですが、
今年の寒い冬をものともしません。
耐寒性最強クラスは伊達ではありません。
今のところあまり大きな違いはわかりませんが、
3種の中では最も楕円型の大きな葉になるようです。
こうしてしっかりと育ててみると、
改めてgunniiは綺麗だなと思わされます。
ユーカリマニアには、
少し面白みの欠けるユーカリなのかもしれませんが、
美しいgunniiをしっかりと育て上げることも、
ユーカリ栽培の醍醐味ではないかと思いました。
しばらくは、少し力を注いで栽培を行い、
gunniiについてもさらに勉強したいと思います。- # by eucalyptus_k | 2015-02-09 17:38 | ユーカリ(栽培実績)
ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その2
私の育てている全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いています。
ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。
他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。
■ Eucalyptus eugenioides(ユーゲニオイデス)
比較的水食いで強健、暑さにも強い。
クーラー室外機の真前でも良く成長を続けている。
ただし用土は乾燥気味の方が経過は良い。
冬の寒さにはそこまで強くない模様。
激しく紅葉して、ある程度の葉を散らす。
ただ翌春には大部分が復活を遂げる。
見た目はミューレリアナと瓜二つだが、
ミューレリアナほど成長や吸水の激しさはない。
【樹高:100cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus archeri(アーチェリ)
グニー亜種の中では耐陰性、耐寒性、耐暑性、
耐過湿のあらゆる面で強いように感じる。
ただかなり涼しい季節が好きで、夏場は動きがない。
我が家ではあまり日照の良い場所に置いていないため、
わかりにくいが、そこまで水切れが早いという印象はない。
基本フルシーズン放置であまり大きな痛みなどもない。
【樹高:140cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus gunnii ssp. divaricata(グニー・ディバリカタ)
アーチェリに比べると耐陰性、耐暑性などで劣る。
夏場はあまりにも空中湿度が高いと葉が汚くなるので、
日照よりも風通しを重視した方が葉を綺麗に保てる。
ただし春先には良く日光に当てて、成長を促した方が良い。
最も見た目の美しい日本では良く見かけるグニーだが、
置き場所の関係もあって、さほど水食いの印象を受けない。
グニー系の例に漏れず、夏場は動きがない。
ただ全ての亜種の中では最も成長が遅い。
日照が悪すぎると、うどんこ病の被害が多発する。
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus perriniana [Mainland Form] (ペリニアナ 本土型)
我が家では特に経過の宜しくないユーカリの一つ。
日照と風通しは西AZのユーカリ並みに工夫が必要。
ただしそこさえ確保することができれば、
過湿は西AZのユーカリとは比べ物にならない程に楽。
少し我儘ではあるが元来は強健な品種なので、
日照の良いオープンスペースさえあれば問題はない。
強健なはずの本土型だが我が家ではタスマニア型よりも
病気がちで成長の季節が短く少し改善が必要。
全く動かないわけではないが、夏場はあまり動きがない。
【樹高:45cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus perriniana [Tasmania Form] (ペリニアナ タスマニア型)
我が家では特に経過の宜しくないユーカリの一つ。
日照と風通しは西AZのユーカリ並みに工夫が必要。
ただしそこさえ確保することができれば、
過湿は西AZのユーカリとは比べ物にならない程に楽。
我が家では本土型よりもデリケートであるという
前評判に応じて少し環境の良い場所に置いていたため、
本土型よりも圧倒的に生育状態は良い。
これは相当に風通しが重要であることを意味している。
全く動かないわけではないが、夏場はあまり動きがない。
【樹高:60cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus viminalis ssp. viminalis(ビミナリス)
あらゆる面で強健だが、夏場の高温多湿は少し苦手なため、
夏場の用土過湿は避けた方が良い。
思ったよりも涼しい季節メインで成長が進み、
成長力は信じられない程に激しい。
夏場はあまり大きな動きはない模様。
日光はかなり好きで、日光が当たった場所の葉は
際立って大きく立派に育つ。
ある程度の根張りが進めば、半日陰程度でも順調に育つ。
樹高の割に吸水量は並程度でシネレアと同等の平均的レベル。
【樹高:250cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis(ビミナリス・シグネテンシス)
原種に比べると少しだけ我儘なところがあり、
耐寒性や耐暑性、耐過湿などの面で劣る。
特に耐暑性は大きく劣るので、風通しの工夫が必要。
ただ少しでも手をかけてあげれば問題ないレベル。
原種にも言えることだが、初期の根張りと育苗の段階で、
ある程度順調な成長を確保してしまえば、
後は比較的楽に成長を進めてくれる感がある。
カルシウム好きなビミナリス系だが、
原種に比べると高pHに非常にうるさいので、
多肥等には少し気を付ける必要がある。
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus orbifolia(オービフォリア)
季節によって、葉を散らせたり、動きが止まったり、
成長を進めたりと、非常に気難しく、厄介なユーカリ。
砂漠地帯出身のユーカリなので、
当初は高温乾燥と日照量に最も重きを置いていたが、
最近わかってきたのは風通しと乾燥が最重要という点。
成長時期は思ったよりも涼しい春の時期で、
梅雨時期が最も調子が悪くなり、枯らせる人も多い。
夏場はある程度成長を進めるが、大きな動きはない。
最終的に半日陰程度で風通しの最も良い場所に置くのが、
最高の結果を残せることがわかってきた。
吸水量は非常に少なく、場所は半日陰ではあるが、
夏場でも大体週に1回くらいしか与えていない。
雨に当てると葉が汚くなり、過湿になるので、
できる限り雨の当たらない場所で育てる方が良い。
【樹高:140cm / 鉢:スリット5号ロング】
【樹高:120cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus websteriana(ウェブステリアナ)
過湿にうるさい砂漠地帯のユーカリの代表格だが、
良く似たオービフォリアに比べると遥かに楽。
これも意外に涼しい季節メインで成長を進めるが、
夏場もオービフォリアよりは動きがある。
日照については半日陰くらいでも全然問題ないが、
大切なのは乾燥と風通しであるところは同じ。
梅雨時期が少し苦手で葉を散らせることもある。
我が家では日照よりも風通し優先の場所に置いてから、
比較的生育は良好であまり心配はしていない。
【樹高:60cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus albens(アルべンス)
近年育て始めた割には成長がなかなか早く、
我が家の環境にもある程度適応してくれた模様。
かなりの水食いで過湿に対する耐性はかなりものだが、
どうやら夏の暑さは少し苦手であることがわかってきた。
夏が進んでから若干の高温障害の症状が見られる。
涼しい季節の成長メインでその季節の成長は激しい。
現地での生息地はとても多岐に渡っているので、
暑さ以外のあらゆる面での対応能力は高いと思われる。
耐陰性という程の耐性はないが、
木漏れ日程度の日光でも生育は良好。
【樹高:70cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus dealbata(デアルバータ)
アルべンスと良く似ているが性質は若干異なっている。
アルべンスと同時期に育てたものが、
アルべンス以上の樹高にまで育っている。
吸水量は超級水食いのアルべンスとは異なって、
シネレア等と同等の平均的なレベル。
アルべンスの横に置いて、比較しながら育てているが、
高温障害の症状は全く見られず、夏場も葉が美しいので、
耐暑性はアルべンスよりもかなり高いと思われる。
一方で水を与えすぎた際には、痛みのないアルべンスとは違って、
少し葉を散らせることもあったので耐過湿はアルべンスに劣る。
ポポラスに匹敵する美しさのあるユーカリで、
ほぼシネレアやプルベルなどと同じ管理で栽培が可能。
たまに日本でも売られているがもっと広まっても良い品種。
【樹高:90cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus nitens(ニテンス)
見た目は葉のスッキリした紳士的なグロブルス。
とにかく暑さに弱いという性質が顕著。
大阪の夏では際立って葉がボロボロになる。
ただ春先の涼しい季節には驚くほどに成長が激しい。
ユーカリでもトップクラスの水食いである。
生息地の雨量は日本の多くの地域を上回っている。
また、びっくりするほどの日光好きであり、
半日陰程度の日光では生育が著しく悪くなる。
空中湿度が高く暑い場所で育てる場合には、
夏場の葉痛みはある程度妥協するしかない。
我が家では他に例のない保水性の高い用土で、
夏場はほぼ毎日、表面が乾いたら即水遣りで順調。
冬場も在来の植物を上回る程の吸水力を発揮する。
【樹高:140cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus punctata(プンクタータ)
我が家ではあらゆる面で平均的な品種。
恐らく一般のご家庭でオリーブなどの横に置いて、
全く同じような管理で育てられるであろうユーカリ。
我が家では半日陰で平均的な場所で生育は良好。
毎日水を与えても育つだろうし、3日に1回程度でもOK。
暑さにも強く、少し暑いくらいの方が好きな模様。
耐寒性はユーカリの中では高くないが、
ほぼ在来の植物と同じような管理で越冬もできる。
我が家では特に気を付けるポイントもなく、
淡々と放置しながらの管理で育てられる。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus goniocalyx(ゴニオカリックス)
とにかく強い!という印象のユーカリ。
日照も最悪、クーラー室外機の風をまともに浴びるような
我が家で最も劣悪な場所にありながら、
特に大きな葉痛みもなく、普通に育っている。
ただ葉を美しくして観賞用に育てる場合には、
もう少し良い場所で育てる方が良い。
葉の白みを強くして、立派な大丸葉を確保するためには、
しっかりと日光に当てて育てるのがポイント。
耐寒性、耐暑性、耐過湿などあらゆる面で最強で、
我が家では最も強健なユーカリの認定を受けている。
これを枯らせるようでは他の品種は難しいと言える。
ちなみに激しく剪定しているのでこの樹高だが、
剪定をサボるとすぐに2mを超えていく。
【樹高:160cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus bridgesiana(ブリジシアナ)
ゴニオカリックスには及ばないが、
これも強健で成長の激しいユーカリ。
我が家では成長が早すぎるために、
敢えて少し悪い場所に置いている程である。
ただ、ゴニオカリックスとは異なって、
高温多湿を少し嫌うようで、
葉が密集して、風通しが悪くなるような箇所の葉は
枯れて散っていくこともあるが、それも一部である。
当初相当の水食いと判断して、水を与えまくっていたが、
吸水量はシネレアなどと同程度で激しすぎる程ではない。
耐過湿に強いので、それでも痛むことはなかったが、
現在は置き場所の悪さもあって、夏場でも、
大体週に2~3回程度の水遣りで栽培している。
ユーカリ初心者に最適な枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:180cm / 鉢:スリット7号】
■ Eucalyptus morrisbyi(モリスビー)
非常に強健で水食い、成長もそこそこ激しいユーカリ。
ただ一つ気を付けるのは日光で、
西AZのユーカリ匹敵する程の日光を必要とする。
日光が足りないと非常に貧弱な葉を生成して病気がちになる。
ただ本当に気を付けるところはその一点だけで、
ただ育てるだけなら、水と日光だけで十分。
夏場は大きな動きがないことから、
どちらかというと冷涼な環境を好むようだが、
我が家でも高温障害の症状が出たことはないので、
一般のご家庭では暑さを気にする必要はないだろう。
ただし葉を綺麗に保つためには、風通しの改善が必要。
吸水量が半端ないくせに水切れ耐性があまりないので、
水切れには少し注意が必要になると思われる。
個人的にはグニーよりも遥かに育てやすい。
葉の周囲がギザギザでクレヌラータの丸葉版といった外観。
【樹高:200cm / 鉢:スリット6号】
もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。
その3に続きます。- # by eucalyptus_k | 2014-08-25 14:03 | ユーカリ(栽培知識)
タネ播きの適期・適温
最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。
当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。
良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。
ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。
1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
------------------------------------------------------------
日本で良く見かけるユーカリが多い地域です
主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata
これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃、
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。
ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。
ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。
2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
------------------------------------------------------------
ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana
どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。
これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。
グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。
これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。
また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。
このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。
冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。
ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。
一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensやdalrympleana、nitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
------------------------------------------------------------
アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。
主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona
これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。
このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。
ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。
また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。
4. クイーンズランド州のユーカリ
------------------------------------------------------------
クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah
どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。
これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。
これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
------------------------------------------------------------
西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis
これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。
逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。
どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。
今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。
タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!- # by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)
【ユーカリ紹介-38】
ユーカリ・アーチェリ (Eucalyptus archeri)続きまして第38回目は、
Eucalyptus gunniiの高山生息種で全く見分けがつかず
ほぼgunniiといってしまっても良いくらいの
ユーカリ・アーチェリです。
◎ユーカリ・アーチェリ
【学名:Eucalyptus archeri】
【英名:Alpine Cider Gum】
このarcheriですが、当ブログでは
gunniiの亜種、Eucalyptus gunnii ssp. archeri
として紹介してきましたが、
この記事では敢えてEucalyptus archeriと
固有の品種として紹介させていただきます。
英名からもわかるように
比較的平地の湿地帯に生息するgunniiに対して、
archeriは1100m以上のタスマニアの高山に自生しています。
要するにgunniiの高山生息種というわけです。
とはいえ、実際にはgunniiと
見た目による差はほぼ皆無です。
色々、特徴みたいなものはありますが、
個体差がその特徴を上回ってしまうため、
これはarcheriという確定的な特徴はありません。
ただ、通常のssp. gunniiやssp. divaricataは、
20~30mクラスの立派な木立ちの樹木へと育つのに対して、
このarcheriはMallee(灌木型)で、
樹高も10m程度までとなっているようです。
そもそもその分類についても非常に曖昧であり、
またオーストラリア各所ではgunniiの亜種間での
勝手な自然交配も起こってしまっているため、
----------------------------
Tree(木立型)= gunnii
Mallee(灌木型)= archeri
----------------------------
と考えるのが現在では一般的なようです。
gunniiには大きく分けて3つの亜種が存在します。
----------------------------------------------------------------------
●Eucalyptus gunnii ssp. gunnii(グニー原種)
●Eucalyptus gunnii ssp. archeri(タスマニア高山種)
●Eucalyptus gunnii ssp. divaricata(白銀色の絶滅危惧種)
----------------------------------------------------------------------
ところが日本ではこの3種を
きっちりと分類して販売していることはまずありません。
私が様々な販売店等で見て調べてみた結果、
全ての亜種がごちゃまぜになっているのが現状です。
>>>詳しい識別についてはこちらの記事をご覧ください。
本当にパッと見では区別がつきにくい...ではなく
全く区別をつけることができません><;
このように亜種間で区別がつきにくい
ということはユーカリでは良くあることなのですが、
こんなにも差がないことには本当にびっくりします。
あくまでも主観で、個体差の範囲かもしれませんが、
ssp. gunniiに比べると、幾分か葉は小柄です。
また、少し白銀色は控えめになっていると思います。
またMallee型だからでしょうか。
通常のgunniiよりもたくさん脇芽を出しやすい
性質を持っているように思います。
一応、archeriの公的な特徴としては、
葉は丸みを帯びながら、葉先が尖りやすく、
新芽は白銀色をしているのですが、
だんだん下葉になるごとに、緑色が濃くなるようです。
茎のザラザラは成長後も長く残りやすく、
茎は丸型もあるが、四角型になりやすくなっています。
茎の色は比較的白みを帯びにくく、
緑色のままや赤色の茎のままが多くなります。
また、対になった二枚の葉の
茎との接点同士は重なりにくくなっており、
葉が対にならずに交互に生えることも多い、
といった傾向があるようです。
また、蕾や実が白く粉を吹くことはなく、
実の形状はカップ型になります。
そして前述のMallee型(灌木型)である
というところです。
archeriは、gunniiに比べると、
より乾燥に強く、過湿に弱くなっていますが、
あくまでもgunniiと比べたらです。
ユーカリ中ではかなり水が好きな方で、
根腐れよりも真夏の水切れを
心配した方が良いような感じです。
archeriはユーカリ中でも過湿に強い方で、
湿潤を好む品種のため、
一般的な観葉植物と同様の管理で
簡単にうまく育てることができます。
また、移植を嫌うユーカリの中でも、
比較的移植に耐えることのできる品種です。
成長力はなかなか激しい方ですが、
gunniiと比べてしまうと、
元々の樹高が低いということもあって、
少し控え目な成長力であるといえます。
ただし、archeriの耐寒性はユーカリ中でもぴか一で、
最強クラスのgunniiをさらに上回ります。
詳しい限界は不明ですが、
-20℃を上回るような環境下でも生き残るようです。
日本の暖地では葉が傷むことさえなく、
寧ろ夏の高温多湿の方が心配になるくらいです。
日本の暑さには弱いとまではいきませんが、
夏の成長は控えめで、あまり得意ではないため、
夏季の過湿による根の蒸れには少し気をつけてください。
気になるarcheriの香りは、
基本的にはgunniiとほとんど大差はないのですが、
ハッカ系の香りが強いgunniiに比べると、
柑橘系とシネオールの香りが少し強くなっています。
また、gunniiよりも少し精油の量は多めのようです。
とはいえ、香りを楽しむには少し心もとない感じです。
とにかくarcheriは、gunniiと並んで非常に育てやすく、
初心者向けで育てやすいユーカリの代表格です。
その割に、見た目は繊細で美しいので、
何かユーカリを育てたいという方には
gunniiと共にとてもオススメのユーカリになります。
あなたはgunniiを選びますか?
それともarcheriを選びますか?
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<栽培難易度:A>
香良さ:★★★
香強さ:★★
成長力:★★★
要水分:★★★★
耐過湿:★★★★
耐水切:★
耐日陰:★★★★
耐移植:★★★★
耐寒性:★★★★★
耐暑性:★★
耐病虫:★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2011-10-21 22:37 | ユーカリ紹介