越冬中のユーカリたち
ユーカリにはかなりの耐寒性があることを
ご存じない方が結構いらっしゃるようです。
特に日本でよく見かけるユーカリは
どれも耐寒性はなかなかのものです。
中でも、一番メジャーなgunniiは
ユーカリ中でもトップクラスの耐寒性を誇ります。
下記が日本でメジャーなユーカリの基本値です。
・Eucalyptus gunnii...-20℃
・Eucalyptus cinerea...-12℃以上
・Eucalyptus globulus...-8℃以上
・Eucalyptus pulverulenta...-14℃以上
・Eucalyptus bridgesiana...-10℃以上
・Eucalyptus Camphora...-14℃以上
・Eucalyptus Perriniana...-17℃以上
・Eucalyptus Polyanthemos...-7℃以上
・Corymbia Citriodora...-3℃以上
ご参考までにお願いします。
それでは家のユーカリたちの中で
比較的寒さには弱い品種の状況について
ご紹介したいと思います。
まず、日本での栽培ガイドなどでは
屋外越冬は無理と言われているレモンユーカリです。
家ではこれが越冬二年目です。
葉は思ったより傷みませんし、
寧ろあまり心配はしていない方です。
葉は少し散ることはありますが、
春にはまたワサッと新しい葉が出てきます。
こあら師匠のところでは、
葉が全部散ることもあるようですが、
問題なく春には完全復活するようです。
次に、レモンユーカリ並みと言われる
耐寒性の低いrudisです。
家の中では結構傷んでいる方ですが、
こんな感じであれば全然問題ありません。
耐寒性には自信のなさそうなmelanophloia、
家では最も激しく赤紫色に紅葉しています。
成長は11月ぐらいからピクリとも動きません。
それでも葉に枯れの出るようなことはありません。
これも耐寒性イマイチのgrandisです。
ただ葉は全部散っても枯れそうもないほど強健です。
先年は少し葉色が変わった程度でしたが
今年はより寒くなったために真っ赤になっています。
ただこの程度では葉が少し散るかもという程度です。
先日紹介したばかりのcamaldulensis、
見事なまでに真っ赤かになっています。
下葉は少し散りそうですが無問題です!
最も寒さに弱い部類に属するerythrocorys、
葉は明らかに霜焼けしていますが、
特に不健康そうには見えずに元気です。
これは一番寒くなった日に一度ヘタったので、
その日の夜だけは室内に一時的に避難しました。
今年は最低で-4~5℃はいったかと思いますが、
この程度の紅葉&葉痛みでは
全く心配するようなレベルではありません。
次に写真からもわかると思いますが
マンション12Fの寒風吹きっさらしの場所に置いた
比較的耐寒性の強い品種の状況です。
冬はやたらと風が強くなり、
寒波の来る日には常時風速10m以上の風が吹き荒れ、
マトモに立っていられないほどの風が吹くときもあります。
そんなときの体感温度を計算してみると、
-15℃くらいになっています。
耐寒温度-15℃にもなるdalrympleanaです。
色は変わっていますが、冬でも比較的水を欲します。
ところが夏はびっくりするほど暑さに弱いです。
冬は安心、夏は注意のユーカリの代表格です。
次に、耐寒温度-12℃程度のdelegatensis ssp. tasmaniensis、
とても綺麗な紫色の葉になっています。
葉の色は変わっていますが、葉痛みや枯れはゼロ!
真っ白になった茎がとても綺麗です。
これも夏は毎日ヘロヘロになるほど暑さに弱いです。
次は以外にも寒さに強く、家では丈夫な二種です。
寒風には弱いlehmannii、
寒風を浴びると葉がボロボロになってしまいます。
風さえ避ければ、この通り全く痛むことはありません。
albidaは西AZのユーカリの中ではかなり寒さに強いです。
この株は少し風を避けていますが、
吹きっさらしの場所に置いている株もかなり元気です。
最後に去年も紹介しましたが
冬に花を添えてくれる二種です。
この二種は夏には青々とした葉色をしているのですが、
冬になると真っ白な新芽が出て本当に綺麗です。
私の胸の高さを超えたtenuiramis、
もうすぐ私の背を超えそうなrisdonii
この二種が家では最も生育状態の良いユーカリになります。
今年も枯れたユーカリはゼロで
無事に越冬を完了できそうです- # by eucalyptus_k | 2012-03-02 20:34 | ユーカリ(栽培実績)
新年早々!我が家のユーカリ達
前回の12月初頭の写真に引き続き、
本日撮影したてのユーカリ達を公開します
前回の写真で最も日照の良い場所に置いてあった品種は
同時に寒風に弱いものも多いので、
多くは簡易温室に避難させている状態です。
恐らく多くの品種が温室外でも越冬可能かと思いますが、
敢えて葉を痛ませたくないという考えからです。
こちらが背の高い温室で、
三段のものを二段にして使用しています。
上段は苗、下段は寒さに弱い鉢ものです。
こちらが背の低い方の温室です。
温室の下段をさらに寄って見てみます。
まずは左の大きな温室からです。
銀大葉が目立っているのはmacrocarpaです。
その他ではkruseana/pachyphylla/pachyloma
staigeriana/rhodanthaなどがあります。
この中で本当に寒さが心配なのは
真ん中あたりのとても小さな苗サイズの
socialis/woodwardii/torwood/gongylocarpa
の4品種とpachylomaだけです。
次に右の温室です。
こちらも銀大葉が目立っているのはmacrocarpaです。
左の奥のピンクになっている大葉はpleurocarpa、
右手前の大きな葉のものがtetrapteraです。
小さな葉が特徴的なものは全てdecipiens(亜種3種)です。
このdecipiensが最も寒さに弱いように思います。
既にかなり葉は痛みかけています。
macrocarpaの右横の小さなpimpinianaも
寒さにはまり強くなさそうです。
私の背丈程の高さがあるrisdoniiです。
夏は比較的深緑の葉色をしていますが、
冬になるといきなり銀葉が美しくなってきます。
寒さにはめっぽう強く、冬は寧ろ調子が良いくらいです。
左の銀葉はcrucis、右手前がalbopurpureaです。
さらにその足元に寄ってみます。
右がalbopurpureaで真ん中左の銀葉はgilliiです
左手前がとても珍しいユーカリpruinosaです。
サバンナ出身なので寒さがとても心配でしたが
今のところとくに大きな葉痛みも起こっていません。
次は少し左側を見てみます。
銀葉が美しいのは先程も写っていたcrucis、
そして葉が真っ赤になっているのが
先日ユーカリ紹介で紹介したmelanophloiaです。
このように真っ赤になって葉痛みも激しいです。
albopurpureaの更に手前です。
大きな毛の生えた葉はerythrocorysです。
寒さにはとても弱いユーカリですが、
この大きさになると大阪の冬では問題ありません。
手前の細葉はlehmanniiです。
これも風さえ防げれば葉痛はありません。
さらに奥にあるtenuiramisです。
夏の葉はとっても濃い緑色なのですが、
冬になると別品種かの如く銀葉になります。
とても丈夫で美しく冬こそ本場のユーカリです。
我が家のノッポ君たちです。
どれも寒さに強いというわけではありません。
一番背の高いのがrobusta、右がglobulus、
手前の下葉が紅葉しているのがcamaldulensis、
左下の方で銀葉の美しいものはmaideniiやbicostata、
奥に見えるのがcitriodora(レモンユーカリ)です。
そのレモンユーカリに焦点を当ててみました。
今のところ別に大した葉痛みも起こっていません。
右下で綺麗に紅葉しているのはgrandisです。
これもあまり寒さに強いとは言えませんが、
春になれば一気に復活してくるでしょう。
さらに奥の日当たりの悪いゾーンです。
背の高い丸葉はrudisです。
これは我が家でもトップクラスに寒さに弱いですが、
ここまで大きくなれば越冬は問題ないと思います。
今のところ少しだけ葉が傷んでいる程度です。
真ん中の葉のでかいのはcypellocarpa、
その右横の銀葉はgunniiです。
この辺りは寧ろ冬の方が調子が良くなります。
そこから少し手前にあるsmithiiです。
これも今の時期の方が圧倒的に調子が良いです。
新芽はピンクで少し銀葉がかる部分もあります。
viminalisと比べて、今の時期はかなり白っぽくなります。
右下の方に見えている若葉色の新芽がviminalisですが、
夏には全く見分けがつかなくなります。
次はベランダの右手の方になります。
ここは日当たりは良いですが、
結構風が当たって寒くなります。
右の銀葉ハートリーフがorbifolia、
その左隣がtorquata、
一番手前の銀小葉がMoon Lagoon、
その後ろの銀葉がalbidaです。
ここの品種たちは比較的寒さには強いです。
その左側の場所です。
室外機の下なので暖かく、
養生場所のようになっています。
一番左の銀葉はcinerea、奥の銀葉はperriniana、
手前の背の低い銀葉はaccedensです。
accedens右側の小さなcoolabahと
左側の細長葉のleptophyllaは少し養生中です。
それでも温室内よりは寒いですから、
もう少し樹高が伸びれば屋外越冬は問題なさそうです。
それでは最後に大きな温室の手前にあった
特徴的なユーカリ3種を
紹介して終わりにしたいと思います
どれもあまり寒さには強くないかなと心配でしたが、
今のところとくに葉痛みもないようなので
安心して温室外(真前)に置いてあります。
Eucalyptua urna
これは他にはないようなとても珍しい葉をしています。
生息地はalbidaなどと同じ地域になっています。
写真でわかりますでしょうか?
良く見て頂くと葉が下の図のように生えていることがわかります。
このユーカリ、香水系の中々良い香りがします。
Eucalyptus preissiana
とても大きな緑色の葉をしています。
このユーカリは数メートルの茂み状に育ちます。
下の写真のような黄色い花が魅力のユーカリです。
成長はとっても遅いですが、開花が楽しみですね
Eucalyptus platypus
育ててみるとdecipiensにとても良く似ていますが、
葉には毛が生えており、色々な意味で
decipiensよりも頑丈です。
現地ではmoortと呼ばれて親しまれているユーカリで、
これも下の写真のように花が魅力のユーカリです。
花は写真のようなクリーム色の他に
黄色やライムグリーンなど多岐にわたっているようです。
これから先、厳しい冬を耐えしのんで、
春にはまた元気に育っていって欲しいですね。
皆さんのユーカリの近況も
また聞かせて頂ければ嬉しいです- # by eucalyptus_k | 2012-01-03 20:10 | ユーカリ(栽培実績)
冬のユーカリ管理 その4(水遣りと用土凍結)
耐寒性の強いユーカリを育てていて、
簡易温室などを一切使用せずに
通常通りの屋外管理を行っている場合に
用土が凍結してしまうことがあります。
寒さに強い品種では
用土の凍結自体にはかなり耐久力があります。
しかし、できる限り、
速やかに融かしてしまった方が良いです。
なぜかというと
凍結は様々な弊害を引き起こすからです。
まず用土が完全に凍結してしまうと、
用土が完全に乾いたのと同じことになってしまい、
水切れが起こってしまいます。
これは特に小さな鉢やポット苗で
気をつける必要があります。
次に赤玉土などの粒状の用土を使用している場合、
凍結により用土が粉砕して微塵になり、
解凍後に用土の保水性が極端に悪くなることがあります。
凍結してしまった後の用土には少し気をつけてください。
他には用土が凍結したことにより、
霜柱で用土が持ち上がってしまい、
根を損傷してしまうことがあります。
できる限り避けたい用土凍結ですが、
水遣りのタイミングをコントロールすることで
防ぐことができます。
夕方に水遣りをするのは避けてください。
また、天気予報を確認して、
やたらと冷えるような日には水遣りを控えます。
私がいつも用土を凍結させてしまうのは
個人的なスケジュールの都合で
夕方に水遣りをしてしまったときばかりです。
夕方の水遣りを控えるだけでも
用土凍結をかなり防ぐことができると思います。
ちなみに簡易温室を使用している場合は
用土凍結が起こったことは一度もありません。
最後に積雪に対してですが、
多くの耐寒性のある品種では
雪に対する耐久力もかなり強いです。
gunniiやperriniana、urnigeraなど
耐寒性が-10℃を超えるようなユーカリであれば、
積雪ごときで葉痛みさえも起こしません。- # by eucalyptus_k | 2011-11-08 21:03 | ユーカリ(栽培知識)
冬のユーカリ管理 その1(室内管理は厳禁)
先日メールをいただいた方から
冬のユーカリ管理について書いてほしいと
ご要望があったので、書いてみたいと思います。
あくまでも私の環境と経験に基づいた内容ですので
ご自身の栽環境とは必ずしも当てはまらないので
そのあたりはご了承くださいね。
まず、寒くなって、考えること!
お家の中にいれよう!
これは絶対にダメです!!!
ユーカリの室内管理は
止めてください!!
私も数々のユーカリ栽培者の方と
メールでやり取りをしていますが、
冬季に室内管理をされた方は、
ほぼ全員が全滅させたと伺いました。
室内で植物を管理すると、
思った以上に余分な水分が用土内に残ります。
表面は乾いたように見えても、
内部にはまだまだ湿った部分がたくさんあり、
これがいつまで経っても乾かないのです。
また、風通しも悪いので、
悪質な菌類が発生することにもなります。
実は室内管理の成功データもいくつかありますが、
これは一部の湿潤を好むユーカリのみになります。
比較的、室内管理が容易なものとしては、
citriodora(レモンユーカリ)/gunnii/camphora
robusta/rudis/staigeriana
などがあげられると思います。
このうち、gunnii/camphoraなどは
かなりの耐寒性を持っていますから、
わざわざ室内で管理する必要はありません。
これ以外の特に西AZ出身のユーカリなどは
室内管理で起こる、用土内部の過湿に耐えきれず、
かなりの確率で枯れることになります。
私の知っている方はほとんど枯らせていますし、
私もうまく越冬させられる自信は全くありません。
枯らせたくない場合は
室内管理は厳禁と思ってください。
ただし、一部室内管理は可能ですし、
ある程度、有効な方法でもあります。
これはとても面倒なので
時間的余裕のある方だけにしてください。
その方法とは
昼は屋外に出し、夜は屋内に取り込む。
お店をされている人などは
面倒なく、日課としてできるかもしれませんね。- # by eucalyptus_k | 2011-11-08 19:37 | ユーカリ(栽培知識)
ユーカリは基本「弱酸性」を好みます!
最近、ネットでユーカリに関する情報を拝見していると、
良く見かけるのがこの情報です。。。
ユーカリは酸性を嫌う
ハッキリいいますが、
この情報は大きな間違いです!
一般的にハーブが酸性を嫌うからでしょうか?
それともオーストラリア=石灰岩と思うからでしょうか?
中にはアルカリ性寄りの方が
好調な品種もわずかながら存在します。
例えばMoon Lagoon/erthrocorysなどです。
ほとんどの方が好んで育てられている
cinerea/pulverulenta/gunniiなど、
多くの東AZ出身のユーカリは
ほぼ全てが弱酸性~酸性を好みます。
主に弱酸性を好む日本の植物と比べても、
さらに酸性の強いものを好む品種も多いです。
leucoxylon/cladocalyx/fasciculosaなどの
アデレード近郊に生息しているユーカリは
基本的には弱酸性を好みますが、
かなり高いアルカリ耐性を持ち、
アルカリ寄りのpHでも比較的順調に育ちます。
ただ私は良くユーカリに
有機石灰や苦土石灰を与えることがあります。
それはpHを操作するためではなく、
マグネシウム等のミネラル分を補給するためです。
これが不足すると、葉の葉緑素が抜けた
クロロシスのような状態になることがあります。
あと最近思うのは意外に肥料当たりが多いです。
リン酸分の塩分に当たることが多いようですね。
慣れない方は肥料は控えた方が良いかもしれません。
急に寒くなった今年の秋口、
ユーカリを枯らせてしまったお話を良く聞きます。
私も苗サイズであれば、結構枯らせています。
夏季と同じ調子で水遣りをしていたため、
根腐れになってしまったことが主な原因ですが、
上記もぜひ、ご参考にしてみてください。- # by eucalyptus_k | 2011-10-28 21:13 | ユーカリ(栽培知識)