冬場の水遣り例(albida)
非常に寒い日が続いています。
地域によっては激しい積雪もあり、
明らかに近年で最も寒い冬になっています。
今年は例年は痛むことのないようなユーカリでも
それなりに葉が汚くなったりすることもあり、
特に寒さに弱いユーカリ(0℃推奨/-3℃限界クラス)では、
一枝まとめて枯れてしまったものもあります。
それでもかなり水分量を控えめにして、
しっかりと天候のチェックをしていますので
枯死してしまうような株はありません。
今日は参考までに
我が家の冬場の水遣り例をご紹介します。
これは人気の白銀種albidaです。
albidaは非常に耐寒性の高いユーカリで、
-10℃くらいは耐えられるのでは?とさえ思う程ですが、
それでも乾燥気味の管理を心掛けないと、
耐寒性が激減して激しく傷むことになります。
写真をみてもわかるように、
冬場でも非常に綺麗な葉を維持しています。
こちらは枝先の新しい葉の部分ですが、
暖かい日には新芽を展開しているのでは?
という程に美しく元気です。
下の方の古い葉を見てみると、
少しは痛みが出ているのがわかります。
ちなみに私は今この症状を
敢えて痛みと言いましたが、
正直これは痛みの内には入りません。
最近冬場の葉痛みを避けたい
というお問い合わせがいくつかありますが、
もしこの程度の痛み?を防ぎたい場合には、
温室を購入するしかないように思います。
私が傷んでいるなと思うのは、
完全に全ての葉が霜焼けで半枯れしていたり、
先述したように一枝全部枯れてしまったりといった場合です。
現在、このalbidaは、我が家でも
非常に美しい姿を保っているユーカリの一つですが、
水遣りをミスってしまうと、
みるも無残な姿になってしまうことになります。
毎年albidaは耐寒性が強いこともあって、
冬季でも鉢の表面から水を与えていました。
その場合、昨年と一昨年の冬は今年の冬よりも
遥かに温暖であったにも関わらず、
この写真よりも遥かに傷んだ状態になっていました。
今年からは他の西AZのユーカリと同じように
鉢底のスリットからのみ水をかけるといった
底面吸水スタイルに切り替えました。
その結果、今年の冬はかなり寒いにも関わらず、
個人的にはほぼ痛みゼロという状態になりました。
このalbidaはもう1週間程度も
鉢底のスリットからでさえ水をかけていませんので、
鉢の表面は見事なまでにカラカラに乾いています。
では鉢底のスリットを見てみます。
中に見える土はまだ十分に湿っているのがわかります。
このような状態であれば、一切水を与えなくてもOKです。
晴天続きで1週間と少し経過したころに
鉢底のスリットを見てみると、
このように少しずつ乾いてきているのがわかります。
まだ奥の方が湿っているので、
あと数日は放置しても水切れにはなりませんが、
寒い冬に毎日水遣りをするのも大変なので、
このくらいであればスリットから水をかけてもOKです。
ちなみに我が家のalbidaは、
樹高がそこそこあって根張りが良く、
冬季の吸水量がそれなりに多い方なので、
この1週間と少しというのは比較的頻繁な方です。
例えばmacrocarpaやkruseanaなどは、
スリットに水をかけてから、
2週間以上は軽く放置できますし、
orbifoliaやyoungianaなどは半月以上放置したとしても、
まだスリットから見える土は湿っています。
一部の湿潤を好む東AZのユーカリや、
鉢の大きさの割に樹高が3m近くあるような株の場合には、
最速で4~5日に一回程度、
用土表面から水を与えることもあります。
ただそのような品種は非常に少なく、
主には冷涼湿潤を好む品種であったり、
冷涼な湿地帯に生息する品種になります。
ユーカリ中では湿潤を好むと言われるgunniiでも、
我が家では週に1回程度、
鉢の表面から水を与えるかどうかです。
最も水食いなのがmullerianaで、
6号鉢に120cm程の株で4日に一回程度、
用土表面からの水遣りになります。
あくまでも半日陰の我が家のベランダの例なので、
日照の良い場所で管理を行っている場合には
大きく変わってくると思いますが、
冬場は恐ろしく水を吸わないことがわかると思います。
皆さんのユーカリたちも、過湿を避けて
無事に冬を乗り切れることを祈っています!- # by eucalyptus_k | 2015-02-04 18:34 | ユーカリ(栽培知識)
ユーカリという樹木
最近お問い合わせが多くなってきたので、
ユーカリという樹木について、
簡単に書いてみたいと思います。
恐らく多くの方が育てているのは、
ラベンダーやミントなどのハーブ類、
屋内の観葉植物などがメインで、
ユーカリもその一環として
育てようと思われることが多いようです。
ただここで忘れてはいけないことは、
ユーカリは樹木であるということです。
最も低木なものでも2m~4m。
ただしこのクラスはマイナーな品種が多いので、
多くの方が良く育てているユーカリのほとんどは、
15~25mクラスの品種になります。
これは多くの草木や観葉植物とは完全に異なり、
小さくてもヤマボウシやハナミズキやツバキ、
ありふれたものでは、サクラやケヤキを
鉢植えで育てるイメージになります。
もう一つ、ユーカリは完全な陽樹のため、
室内で通常の観葉植物の鉢植えとして
育てることは残念ながらできません。
ユーカリを育て始めてから、
まずびっくりしてお問い合わせがあるのが、
冬を超えてから、葉が変色して散り始めたり、
葉に軽く班が出たり、葉の一部に枯れが出たり、
下葉がなくなりだしたりという症状についてです。
結論として、これはある種、生理現象です。
※越冬後の株、下の方の紫の葉の多くは春に散る
ここで比較の対象になる植物として、
まず花草やハーブ等があります。
これらの植物は苦手な季節(多くは冬か夏)を除いて、
全体的に綺麗な葉が茂っているイメージです。
なぜユーカリは当たり前のように
これらの植物のようにならないのかというと、
花草やハーブなどの樹高を考えてみてください。
恐らくその美しいハーブなどは、60cm~100cm程度の樹高で
一般的な最高樹高にほぼ到達していると思います。
ところがユーカリの最高樹高は、
10m~25mなわけですから、2m近くの樹高があったとしても、
ハーブ等に例えるならば、ほんの10cmの小苗になるわけです。
樹木であるユーカリは、最高樹高を目指して、
葉を増やすことよりも、背丈を伸ばすことを頑張ります。
樹高が伸びれば、下葉を落とし、その幹は木化して、
さらに土台をしっかりとさせて、また樹高を伸ばそうとします。
地植えの場合は問題ありませんが、
鉢植えの場合、ここで根張りのスペースにも限界が生じるので、
ある種、下葉がなくなって貧相になるというのは、
何らおかしなことではないわけです。
※放置すれば樹高ばかり伸びるのは自然
良く、ホームセンターなどで、
花草売場の奥に苗木コーナーがあると思いますが、
ここに並んでいる苗木たちは、どれもそのように下葉がなく、
少し貧相な苗木という形状になっていると思います。
もちろんここで、剪定のハイテクニックを駆使して、
低樹高で葉を茂らせるということも可能でしょうが、
それはある種、美しい盆栽を作るのにも似ていて、
プロでも日々苦心している部分ですから、
なかなか素人にはうまくはいきません。
例えば、広い庭に地植えをして、
そのユーカリの最高樹高近くにまで育てれば、
ある種、それらのハーブ草木などのように、
いつみても葉の茂った立派な樹木になるでしょう。
次に室内にあるシェフレラやベンジャミンなどの
観葉植物も比較の対象となる一つです。
良く言われるのが、室内の観葉植物は、
いつまでも綺麗な葉でいるのに、
ユーカリはどんどん葉が散ってしまうということです。
実は極論として、室内で植物を育てるというのは、
植物にとって非常に辛い状態にあります。
そのため、春などにはある程度成長が進みますが、
通年では、あまり大きく成長していないのです。
また室内にあるため、風雨や日光にも晒されませんし、
一部の害虫被害にも遭いにくいので、
葉が動かない=長期間葉が綺麗ということになります。
ユーカリは激しい直射日光を必要とし、
屋外でのみ育てることのできる植物です。
成長や新陳代謝の速度は、
室内の観葉植物の比ではありません。
先述した樹高を伸ばす性質に加えて、
必要のない枝葉や古い枝葉を
非常に早いサイクルで入れ替えていきます。
※湿気のこもる場所の葉は株を守るために傷んで散るがこれも生理現象
我が家の環境植物を例に取ってみると、
一年以上も前の葉がまだ残っていて、
比較的色も質感も綺麗なものが多々あります。
ところが屋外で激しい日光を浴びて、
より自然に近いサイクルで育つユーカリには、
一年前の葉などほとんど残っていません。
例え残っていたとしても、風雨にさらされて、
かなり汚くなっているか、
一部は枯れているものがほとんどです。
広いお庭をお持ちの方は大きな庭木を
お庭のない方は神社の森の樹木を
近くで良く観察してみてください。
葉の古い部分は枯れてボロボロになっていたり、
風通しの悪い部分は病気にかかって、
カビが生えていたり、萎縮している葉があったり、
所々が激しく虫に食われていたりすると思います。
それでもその樹木は枯れる気がしないくらい元気で、
春には青々とした新芽を吹きながら、
何十年もそこで変わりなく生きています。
ユーカリは現地オーストラリアでは、
野生動物くらいしかいない壮大な大平原や
大森林などの自然の厳しい場所に生息しています。
そのような場所出身で大型樹木のユーカリは、
屋外で普通に育てていれば、
上記の神社の木のような状態になります。
間違っても放置するだけで、ハーブ草木や花草、
観葉植物などと同じようにはいきません。
もちろんそこで人間の手が入るわけです。
汚く枯れた葉は人間の手で切って取り除き、
病気にかかった葉には薬剤を散布して対処し、
虫にも殺虫剤や手で取るなどの対処を行います。
この人間の手が増えれば増える程、
見栄えの良い植物になっていきます。
ただそれでも、人間が育てやすいように
品種改良された多くの花草などのようには
なかなかうまくはいかないものです。
最後に良くこんな状況を見ることがあります。
ある日、とても綺麗なお店の前で、
美しいグニーユーカリの鉢植えを見かけました。
ところが数か月後にそこを通って見てみると、
下葉はほとんどなくなり、上の方に葉が付いているだけで、
樹高もかなり大きくなって、美しい鉢とのバランスは最悪です。
そして一年も経つ頃、そこを通ってみると、
もうその鉢植えの姿はなくなっていました。
恐らくエクステリアとしては不格好となり、
破棄されたか、どこかにやられてしまったのでしょう。
少し哀しいお話かもしれませんが、
これがユーカリの自然の状態であると言えるのです。- # by eucalyptus_k | 2014-06-19 16:46 | ユーカリ(栽培知識)
ユーカリの幹が太らない?
最近、「ユーカリの幹が太らない!」
というお問い合わせをいくつかいただいています。
確かに私もたくさんユーカリを育てていますが
支柱をせずに自立するようなユーカリは
本当にわずかしかありません。
この理由はいくつか考えられますが、
まずほとんどのユーカリは
かなりの大型樹木であるということがあります。
特に日本で良く見かけるユーカリは
どれも大きくなるものばかりです。
gunnii(グニー)...25m程度
globulus(グロブルス)...45~70m超
polyanthemos(ポポラス)...20m程度
cinerea(銀丸葉)...20m程度
citriodora(レモン)...50m程度
bridgesiana(アップルボックス)...25m程度
どれも家の2階なんて
簡単に超えてしまうようなサイズですね。
良く聞くのが、2~3mでも
幹が一向に太らないというお話ですが、
これらのユーカリにとって、
2~3mなんてまだまだ子供で、
苗木レベルでしかないということになります。
サクラなどの植樹を思い浮かべていただくとわかりますが、
数メートル程度の苗木はそれはそれはヒョロヒョロで
どれもしっかりと支柱や添え木がされていると思います。
丁度これと全く同じ状態になるのです。
幹を早く太らせるためには
環境やその他様々な要因も絡んでくると思いますが、
樹木は先に背丈を伸ばそうとする性質が強いので、
相応に年月をかけて太らせていくものだとご認識ください。
だって、考えてもみてください。
ユーカリ自体は、20m以上の高い樹高を目指して、
どんどん枝や葉を出して樹高を伸ばそうと頑張っているのに、
わずか2~3mで新芽を摘まれたり、
剪定で樹高を抑えられてしまうので
幹を太らせる余裕なんて中々ないというわけです。
おまけにそれが鉢植えだったり、
いくら地植えでも、根を伸ばせば
すぐに家の基礎や壁、他の植物の根があるような場所では、
なかなか根も満足に伸ばせないので、
もちろん幹を太らせる力も満足に出せないのです。
gunniiは先述した通り25m級のユーカリですが、
良くご近所のお庭に植わっているgunniiは
25mになっているものなんてほとんどないと思います。
恐らく、樹高は2~4m程度で止まり、
幹もとても細くヒョロヒョロしていると思います。
これは上記の要因の通り、小まめな剪定のたまものでもあり、
日本の庭がどうしても狭いという事情によるものでもあります。
試しに広い畑の真ん中にgunniiを地植えした人がいますが、
何も邪魔をするものもなく、ふんだんに根を伸ばすことができ、
日光もガンガン浴びることのできるそんなベストな環境では、
3年程度の短期間で簡単に電信柱を超えたそうです。
もちろんこのような株は幹も早く太ります。
ソースは忘れてしまいましたが
大型樹木の成長の変遷として、
樹高を伸ばす→葉を茂らす→幹を太らす
という大まかな順序があったかと思います。
そのため、大きな樹木であるユーカリは
まず樹高を伸ばすことに必死で
幹を太らすのは後回しになるというわけですね。
5年前に近所で見つけた地植えのgunniiがあります。
その当時このgunniiは良く見かける通りヒョロヒョロで
それはそれは頼りない印象がありました。
そのお宅は植木屋さんの親戚がいるので、
毎シーズン見事に剪定を行っており、
いつ見ても3m程度の樹高に収まっていました。
そして5年が経過して、先日見たそのgunniiは
樹高は5年前と全く同じく3m程度で収まっていましたが、
幹はとても太くなり、とても立派な木になっていました。
このように、根気良く管理を続けていれば
いつかは必ず立派な幹になるものです。
あと、日本ではあまり見かけないレアなユーカリで
最高樹高が2~4m程度という品種がいくつかあります。
このようなユーカリは品種ごとの性質にもよりますが、
比較的早い段階で幹が太り、自立しやすいものが多いです。
我が家でも250cmを超えるcamaldulensisの
株元の直径はわずか1.5cm程しかありませんが、
70cmのalbidaの株元の直径は2.5cm以上、
120cmのcaesia ssp. magnaの株元の直径は4cm以上、
100cmのmacrocarpaの株元の直径も4cm以上あります。
camaldulensisは45m級の大木品種ですから、
250cmでもわずか1/18しか成長していません。
ところが、macrocarpaであれば、3m程度ですから、
既に樹高の1/3は成長しているわけです。
その他では、日本はオーストラリアよりも
かなり湿潤でジメジメしているので、
現地よりも根張りが悪くなる傾向があり、
地植えでも徒長しやすいという話もあります。
このような理由により、
多くのユーカリはちょっと幹が太りにくいのですが、
ぜひ根気よく育てていってみてください。- # by eucalyptus_k | 2013-06-10 18:13 | ユーカリ(栽培知識)
タネ播きの適期・適温
最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。
当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。
良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。
ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。
1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
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日本で良く見かけるユーカリが多い地域です
主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata
これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃、
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。
ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。
ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。
2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
------------------------------------------------------------
ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana
どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。
これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。
グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。
これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。
また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。
このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。
冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。
ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。
一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensやdalrympleana、nitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
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アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。
主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona
これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。
このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。
ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。
また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。
4. クイーンズランド州のユーカリ
------------------------------------------------------------
クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah
どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。
これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。
これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
------------------------------------------------------------
西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis
これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。
逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。
どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。
今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。
タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!- # by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)
【品種別栽培ガイド-04】
ユーカリ・グニー (Eucalyptus gunnii ssp. gunnii)続きまして04回目は
ユーカリ・グニーです。
◎ユーカリ・グニー
【学名:Eucalyptus gunnii ssp. gunnii】
【英名:Cider Gum】
【品種情報】
最高樹高:25m前後
樹形:Tree(木立)型
親葉への変化:楕円丸葉~卵型の細葉へ変化
適合pH:弱酸性~中性(5.1-7.8)
【生息地情報】
地域:Tasmania中部(準高山湿地帯)
夏季最高気温:最高値34℃、平均値19℃
夏季最低気温:最低値-3℃、平均値6℃
冬季最高気温:最高値16℃、平均値7℃
冬季最低気温:最低値-13℃、平均値-1℃
年間降水量:1000~1650mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm
【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。(夏場は少し遮光が必要)
最低でも半日直射は欲しいところです。
屋内管理はほとんど不可。
・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはかなり水好きな方です。
水切れ耐性がほとんどないので、水切れにも注意です。
・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。
・鉢
あまり問いませんが、縦長の方がパフォーマンスは出ます。
他のユーカリに比べると、横広の鉢でも
パフォーマンスの低下があまりありません。
・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。
・植え替え
植え替えに対しての耐性は強い方ですが、
初心者はできる限り根鉢を崩さない方が無難です。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。
・寄せ植え
後々の植え分けがとても困難になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
また、吸水力が激しいので、寄せ植えした花草を
早い段階で枯らせたり、生命力を奪うことがあります。
・病虫害
ミント系の成分を持つユーカリの一種なので、
うどんこ病やハダニの被害はほとんどありません。
ただし、日照不足の場合は酷い被害がでることもあります。
シネオール自体は薄い方なので、
尺取虫や蓑虫などが付くことはありますが、
被害が深刻になるようなことはありません。
・地植え
日本に入ってきているgunniiには様々な亜種が混在しています。
10m程度の亜種から、25mを超える原種まで様々です。
狭い日本の庭や玄関前のスペースでは、
根張りが十分にできずに、いまいちパフォーマンスが出ないため、
結果として、シンボルツリーとしても多用されていますが、
それでも最大樹高はかなりのものであることに留意してください。
畑のど真ん中など、根張りが十分にできる場所では、
簡単に電信柱を超えるサイズにまで成長します。
・耐寒性
ユーカリ中でもトップクラスの耐寒性を誇り、
地植えの成樹で-20℃以上と言われています。
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能。
日本の最も寒い場所でも栽培不可能ではありません。
・成長力
鉢植えであれば、最高で年40~50cmほど。
地植えすると1年で1mを超える可能性もあります。
多くの日本の都心部では、高温多湿が過ぎるようで、
パフォーマンスはいまいちなのですが、
それが逆に管理しやすいという結果につながっているようです。
・開花
そこそこの大きさの樹木を頻繁に見かける割には、
開花したという情報を全く聞いたことがありません。
恐らく、かなりの樹高が必要かと思います。
花は、ほとんど白に近いクリーム色の小さな花が咲きます。
蕾や実の形状・外観は亜種を見分けるポイントになります。
原種では白く粉を吹いていたり、粉が少なかったり様々です。
・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。
【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
他のユーカリに比べると、水を良く吸うので
この時期にも水切れに少し注意してください。
・夏
最も枯らせることが多い時期。
最近分かってきましたが、
特に見た目の変化は起きないにも関わらず、
日本の大阪や名古屋、東京などの夏は暑すぎて、
実際はかなり参っているようです。
新芽などに色素が抜けた高温障害の症状が出ることもあります。
少し涼しい場所に退避したり、遮光するのも良いでしょう。
また、夏はとても蒸れやすく、時期にしては、
思ったよりも水を吸わなくなることがあります。
過湿+高温には特に注意して、
真夏は少しお休みをさせてあげるような感じで管理します。
夏場はあまり成長は進まなくなります。
・冬
最もgunniiが美しくなり、安定する季節です。
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
他のユーカリに比べると、冬場でも結構水を吸います。
日本の暖地では葉が傷むようなこともなく、
新芽を展開することもあり、
寧ろ元気になった印象さえ受けます。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。
【特記栽培情報】
日光にさえ良く当てていれば、
勝手にどんどん育ってくれるという楽なユーカリ。
逆に日光が足りないと少し難しい植物になります。
ただし、思った以上に暑さは苦手なようで、
夏場や秋口にgunniiがいきなり枯れたというのは、
夏にかなりダメージを受けていたのが原因のようです。
ユーカリの中ではかなり湿潤を好む方なのですが、
夏場の過湿や根の蒸れには十分に注意が必要です。
暑さにとても強いユーカリが多い中、
gunniiは少し暑さには弱いんだなと考えてあげてください。
元々は比較的大型のユーカリなのですが、
日本のあらゆる環境と相まって、
かなり鉢植えで管理しやすいユーカリとなっています。
鉢植えでも、幹が十分に太り、
しっかりと自立するたくましい株に育ちます。
逆に日本の庭などで地植えにすると、
思ったよりパフォーマンスが出ないのですが、
それが結果として、低木のシンボルツリーとして
重宝される原因となっているのが面白いところです。
過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。
ただし、夏の管理は少し難しいところもあるので、
そのあたりは、冷涼地のユーカリの入門編としても経験になります。
※情報は適宜追加・変更します。- # by eucalyptus_k | 2012-10-16 10:10 | 品種別栽培ガイド