ユーカリ栽培で厳禁なコト その2(用土・鉢・肥料)
毎月たくさんのお問い合わせをいただきます。
その多くは栽培知識に関することであったり、
調子の悪いユーカリの改善策についてです。
ユーカリは栽培の難しい植物と言われることがあります。
確かに日本とは大きく気候の異なる
オーストラリアの植物なので、
若干癖のある部分もあると思います。
ただ大きく分けて3つのポイントにさえ気を付ければ、
特に難しい植物ではなく、その他の在来の植物でも
もっと難しいものはたくさんあると思います。
ただこの3つのポイントを抑えていないと、
なかなかうまくいかないことが多いです。
これからユーカリの栽培を始める方や、
ユーカリの栽培に苦戦している方は
この3つのポイントをチェックしてみてください。
2. 用土・鉢・肥料
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この中で特に用土・鉢という部分は
品種によって問うもの問わないものがあります。
例えばcamphora/robustaといったような
湿地帯に生息している品種、
rudis/grandisといったような
完全に水没した土壌でも生息可能な品種、
nitens/cypellocarpaといったような
日本よりも雨量の多い地域に生息する品種では、
特に用土も鉢も問わずに栽培が可能です。
ところが主に西オーストラリアのユーカリや
半砂漠地帯などの乾燥した環境のユーカリでは、
用土や鉢というのはとても重要な要素になります。
ただ前回の記事の「日照と風通し」が
十分に満たされている場合には、
用土や鉢が多少合わなくても、
比較的楽にに育てることができる場合もあります。
●用土
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まず用土ですが、多くの品種では
花と野菜の土の使用は厳禁
通常の観葉植物用土では保水性が高すぎる
という結果が出ています。
ただ用土をオリジナルでブレンドするには
ある程度の知識が必要になりますので、
良く分からない方には
観葉植物用の粒状培養土をオススメしています。
この粒状培養土はベストではありませんが、
ヘタなブレンドを行うよりは遥かにベターです。
用土と言うものは環境にも左右されますので
何をブレンドすれば良いかは一概には言えませんが、
参考までに私のブレンド用土を公開させていただきます。
硬質赤玉土(中粒):3割
手で潰せない固さのものを使用します。
通常の赤玉土はすぐに崩れて微塵になり、
保水性が上がってしまうので、
使用する場合は少量に留めた方が良いです。
砂漠品種の場合は大粒でも良い実績があります。
この部分を先日ご紹介いただいた
赤ボラ石などで代用するのもありでしょう。
人によっては焼赤玉土や
セラミスを使用している方もいらっしゃいます。
硬質鹿沼土(中粒~大粒):2割
手で潰せない固さのものを使用します。
この部分を日向土や軽石、先日ご紹介いただいた
赤ボラ石などで代用するのもありでしょう。
桐生砂:1~2割
鉄分豊富な桐生砂を選択しています。
この部分を川砂などで代用しても良いでしょうし、
上記の鹿沼土の部分でカバーしても良いと思います。
ゼオライト:2割
良く100均などで見かけるモルデナイトではなく、
ミネラル質豊富なクリノプチロライトを使用しています。
この部分は私的な拘りもありますので、
通常のゼオライトやパーライトで代用しても
省いてしまってもOKでしょう。
くん炭:1割
根腐れ防止効果やその他の利点を踏まえて
微量を配合することにしています。
この辺りは個人的な拘りの範囲です。
ピートモス:1割
これはユーカリの性質によって、
多量に配合する場合、全く配合しない場合があります。
保水性を調整する部分であると考えてください。
好みで腐葉土を配合するのもありでしょうが、
私はマンションなのでコバエの発生等を抑えるため、
腐葉土、堆肥は一切使用しないことにしています。
ちなみにこの用土は非常に乾きやすい用土です。
実家の庭のような終日直射日光の当たる場所では
真夏は確実に1日で用土がカラカラになり、
春秋でも暖かい日には1日で乾いてしまいます。
ただそのような環境でも
macrocarpaやkruseanaでは上々の結果が出ています。
gunniiやcinereaを育てる場合には
ピートモスの部分をもっと増やした方が良いでしょう。
ただし半日陰の環境で育てる場合には、
gunniiなどのユーカリでも非常に良い結果が出ています。
理想は真夏は2日以上、春秋冬は1週間以上、
水分を残さない用土がベストだと思っています。
ご自身の栽培環境に合わせて、
適切な用土を使用してください。
市販されているものでは、
粒状培養土の他にオリーブの土なども実績があります。
ただし先述した通り、亜熱帯のユーカリや
湿地帯生息種ではほとんど用土は問いません。
ただしあまりに過湿過ぎると
暑い夏場に根が蒸し状態になってしまいますので、
過湿に強い品種であっても、
夏場の暑い時間の水遣りは避けた方が良いです。
これはユーカリだけでなく、
在来の植物でも同様に言えることではあります。
植物の栽培を行う人には
用土は拘るべきだという人と、
用土はコストを抑える部分だという人がいます。
私は現在は後者に位置するでしょうが、
本質的には無駄なコストは抑えたいと常々思っています。
当初、結構用土はケチっていたのですが、
ケチることで弊害が生じて、
高いコストをかけているユーカリのタネや苗を
無駄にしてしまうくらいなら、
用土などを含めてできる限りベストな環境を構築した方が
遥かに総合的なコストに無駄がないことが分かりました。
今はせっかく育てた苗が枯れてしまうことは
コストも時間も無駄にして、私的にも悲しいので、
無駄なくケチらないようにしています。
例えば硬質用土は比較的高価なので、
以前は通常の安価な用土をミックスしたり、
ポット等も安価なポリポットを使用していましたが、
今は硬質用土には一切妥協せずに、
安価な赤玉土等の使用は一切行わず、
苗育成にも全てスリットポットを使用するようにしています。
●鉢
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基本情報としては下記の通りです。
■ 幅のある鉢より高さのある長鉢の方が経過が良い
■ 素焼きや陶器よりもプラスチック製が好ましい
■ 多くの品種ではスリット鉢の使用を推奨
■ 乾燥を好む品種ではワンサイズ小さな鉢を使用
色々と実験を行いましたが、
ユーカリでは盆栽皿のような幅広の鉢よりも
高さのある長鉢の方が圧倒的に経過が良いです。
これはユーカリが直根性の植物で
根を真っ直ぐに伸ばす性質に合っているからです。
一部woodwardiiなどこの根を真っ直ぐに伸ばせる
鉢の選択にうるさい品種などもありますが、
多くの品種では特に高さの低いもの以外であれば、
通常の高さの鉢で問題ありません。
実際に長鉢は転倒しやすいというリスクもあります。
鉢の素材ですがプラスチックがベターです。
これは乾きやすく、清潔に保てるという利点があることと、
目立った欠点がないことが大きな利点になっています。
素焼き鉢は乾燥が進みやすいという利点がありますが、
鉢表面の小さな穴がカビなどの温床となり、
根腐れや病気を誘発しやすいという情報もあります。
実際に何度か使用したことがありますが、
逆に用土全体の乾燥が進み過ぎたこともあり、
あまり経過は良くありませんでした。
陶器の鉢は水分が籠りやすく、
過湿になりやすいという欠点があります。
またデザイン重視のものが多いので、
これも過湿になりやすい要因になります。
そこでオススメなのがスリット鉢です。
参考記事:
スリット鉢は素晴らしい!!! その1
スリット鉢は素晴らしい!!! その2
スリット鉢は非常に乾燥が進みやすいため、
湿潤を好む品種などで賛否両論がありますが、
やはり大型樹木のユーカリでは、
根のサークリングを防止できるという効果が大きいです。
何年も育てていると良く分かりますが、
ユーカリの根張りは激しく、
通常の鉢では、短期間の内に根が飽和状態となります。
またユーカリの多くは
根を真っ直ぐに長く伸ばす性質があるので、
非常にサークリングが起こりやすいです。
サークリングの大きな弊害として、
根が鉢底部でサークリングを起こして、
吸水用の細根が底部に集中します。
すると鉢の底部は水切れを起こしているのに、
鉢の上部はまだ湿っているということが起き、
水切れを起こしているにも関わらず、
同時に根腐れを起こすということが起こります。
これはポリポットなどで
長期間苗を育てることでも良く起こります。
正直この症状は鉢を替えること以外に対処法が無く、
長期間の栽培の大きな障害となるため、
スリット鉢の使用はとても良い結果につながります。
またサークリングを防止することで
根が中心部に集まって正常に生育していくので、
根の飽和が起こりにくく、幹も太りやすくなります。
実際に我が家では、わずかスリット5号で150cm以上、
スリットの6号で3mにまで成長が進んでも、
根の飽和が限界に達することはありません。
ただしこのような場合、わずか6号の鉢に
2m以上の樹高の株が植わっているので転倒は必至です。
転倒に対しての対策が必要になるでしょう。
ワンサイズ小さな鉢で育てるという方法は
非常に水分管理にうるさい半砂漠地帯の品種や
水分管理にあまり自信のない初心者の方にオススメな方法です。
これは実際に鉢サイズ云々が重要なのではなく、
用土量を少なめで栽培することができるため、
過湿を避けて、健全な根の育成が可能になる部分が重要になります。
鉢をワンサイズ小さくすることで、
日照や風通し、用土の水分管理の難しさを
大幅に軽減できることになります。
globulusやgrandisといったような
湿潤を好み、大型で根張りの激しい品種では
ワンサイズ小さめの鉢で育てる利点は全くありません。
このワンサイズ小さめの鉢で育てる方法は
主に西AZのユーカリの低樹高時の栽培に効果的です。
どうしても用土の選択がうまくいかず、
水分管理が上手にできない初心者の方で
ユーカリを何度も枯らせてしまう人には
ワンサイズさらにはツーサイズ小さな鉢で育てることで、
非常に良い結果が出ているとご報告をいただいています。
ただしこの方法は根のサークリングを防ぐ
スリット鉢で行う必要があります。
この方法を行うことで過湿は避けられても、
更なるサークリングを引き起こす可能性がありますので、
できる限りスリット鉢で行うことが推奨となります。
主な西AZの品種での目安ですが、
5号で樹高100~120cmまで、
6号で2mまでというのが理想でしょうか。
水分管理に慣れてきたら、
通常の鉢サイズでも問題なく育てられますし、
根が十分に張り切った株ではあまり心配はいらなくなります。
主には低樹高時の根の生育に
高い効果を上げることのできる方法といえます。
ワンサイズ小さな鉢で育てると
植え替えの回数が増加するのではという心配がありますが、
西AZの乾燥を好む品種は成長速度も遅く、
同時に根の成長速度も緩慢なので、
そこまで頻繁に植え替えを要することはありません。
結論として鉢の選択は
用土の選択と密接に関わっています。
用土の問題を鉢でカバーするという感じです。
●肥料とpH
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ハーブ草木や野菜を育てていると
肥料の問題は切っても切れない問題です。
ところがユーカリを育てていると
肥料の知識がちっとも育ちません。
極論としてユーカリの多くは
全く肥料を与えなくても栽培可能です。
肥料を与えたとしても
ハーブ草木のように目に見えた効果は出ませんが、
それでも全くないというわけではありません。
西AZのユーカリの多くは多肥を嫌うものが多く、
一部では特にリン酸分を嫌うものがあります。
ただそこまで養分にうるさいものは
日本では滅多に手に入らないレアな品種になります。
肥料を与える場合は成長期の液肥、
通年での化成肥料の置肥が有効です。
液肥については特に問いませんが
拘るのであれば窒素やカリの多い、
観葉植物用や野菜用が効果的です。
成熟期の成長促進には窒素系が、
生育初期の根の成長促進にはカリ系が有効です。
その他にオーストラリアの土壌には
鉄分・亜鉛・マグネシウムなどの微量要素が豊富なため、
このような微量要素の補給も有効です。
ただあまりに肥料に拘り過ぎると多肥となり、
肥料にはアルカリ性のものが多いため、
用土のpHを上げてしまうことになります。
pHが高くなりすぎてしまうと、
鉄分欠乏症の症状が出ることがあります。
間違った情報でネット上などに
ユーカリは高pHを好むとありますが
結論としてこれは間違いです!
ユーカリの多くは弱酸性~酸性よりの用土を好みます。
一部のユーカリではアルカリ耐性の高いものもあります。
主に南AZや西AZ沿岸部の石灰岩地帯に生息するユーカリは
比較的高いアルカリ耐性を有しています。
ただあくまでもアルカリ耐性があるというだけで、
アルカリ性の土壌を好むというわけではありません。
現在私の育てている範囲で
たった1種類だけ例外があります。
Eucalyptus moon lagoonというユーカリです。
moon lagoonのみアルカリ寄りの土壌を好み、
比較的多肥を好みます。
ただ所詮好むという程度なので、
特に無理にpHの操作は不要ですし、
他よりも少し肥料を多めに与える程度でOKです。
経験上、あまり多肥にし過ぎると
間延びして、開花が遅れるという結果が出ています。
moon lagoonは通常かなり成長の遅いユーカリですが、
多肥にすることでかなりその成長速度を上げることができます。
ユーカリの好む弱酸性~酸性とはどういう用土かというと、
通常の赤玉土や鹿沼石などがそのpHなので、
特に石灰などを加えずにそのまま用土を使用すればOKです。
私も数年間同じ用土で栽培を続けて、
何か調子悪そうだなあとふと思った時に
少し苦土石灰を加えることがある程度です。
結論として肥料の重要度は低いです。
効果は相応にありますが、
肥料に注目しすぎることによる
多肥の弊害の方が遥かに大きいです。
あまり肥料には固執せずに、
全く与えなくても栽培可能なことを覚えておいて、
たまのご褒美程度に与えるのが良いです。
用土・鉢・肥料という要素は
一般的にとても注目されやすい要素です。
ただあくまでも最も重要なのは日照と風通しです。
まずはこの部分で最善を尽くせるようにしてください。
正直日照と風通しがベストな栽培者は
皆ユーカリなんて簡単だ!
eucalyptus_kは拘り過ぎだと言います。
実際に日照と風通しはそれほど大きな要素です。
ところが私は住居の関係上、
日照と風通しをベストに完備することができなかったため、
この用土・鉢で工夫せざるを得なかったのです。
日照と風通しが十分ではない場所で栽培する際には
この用土・鉢・肥料の情報を
是非とも参考にしていただければと思います。- # by eucalyptus_k | 2015-10-08 19:28 | ユーカリ(栽培知識)
【ユーカリ紹介-72】
ユーカリ・カンフォラ (Eucalyptus camphora)続きまして第72回目は、日本では
マウンテンスワンプガムの名前で知られた
湿地帯生息種のハートリーフ系ユーカリ
ユーカリ・カンフォラです。
◎ユーカリ・カンフォラ
【学名:Eucalyptus camphora】
【英名:Mountain Swamp Gum / Swamp Gum】
日本ではマウンテンスワンプガムという名称で
ホームセンターや園芸店などで目にすることができます。
camphoraはパッと見、ポポラスのように見えることもありますが、
白みの強いポポラスよりも濁った緑色の葉色をしています。
また幅の広い葉が生じることの多いポポラスに比べると、
camphoraは縦に長い葉を生成することが多くなっています。
名前の由来はcamphor(樟脳)と同じ成分を含む、
その精油が由来となっています。
実はこのcamphoraには原種のssp. camphoraと
亜種のssp. humeanaという二種が存在します。
ところが二種に分けられているケースは皆無で、
二種合わせてEucalyptus camphoraと一つの品種として
まとめられていることがほとんどです。
実際に現地オーストラリアでも、
タネの段階から分けられて販売されているケースは
今までに一度も見たことはありません。
camphoraの生息地は、
ニューサウスウェールズ州からビクトリア州にかけて
幅広い地域の高地、谷間などの湿地帯や水辺周辺です。
どちらかというとssp. camphoraの方が北部寄り、
ssp. humeanaの方が南部寄りの生息種になります。
ssp. camphoraは単にスワンプガムと呼ばれることもあり、
葉はかなり細く縦長になる傾向が強いですが、
樹高自体は10m程度のMallee型(灌木型)へと育ちます。
一方、ssp. humeanaはマウンテンスワンプガムと呼ばれ、
葉は縦長ではありますが、より幅のある、
大きなハートリーフになる傾向が強いです。
また10m程度のMallee型(灌木型)になる種から、
25m程度のTree型(木立型)まで幅広い樹形に育ちます。
こちらで紹介させていただいている株もそうですが、
日本で良く見かけるマウンテンスワンプガムは
比較的葉に幅のあるものが多いので、
どちらかというとssp. humeanaになると思います。
実際に現地でもssp. humeana系のcamphoraの方が
遥かに多く出回っているようですが、
親愛なるこあら師匠の農場のcamphoraでは、
ssp. camphora系の株もいくつか見られます。
原種と亜種による差は上記の通りですが、
その他では大きな性質上の差はないようです。
また双方の間のような種も存在するようで、
亜種というよりは地域種として捉えた方が
わかりやすいかもしれません。
実際にこれ以上の資料は皆無で、
園芸・栽培的にまず分けられていることはないので、
ここから先は単にEucalyptus camphoraとして
進めていきたいと思います。
camphoraの大きな特徴はやはり
ハートリーフを中心としたその外観でしょうか。
ただ、かなり縦長の葉が多くなるので、
パッと見ハートリーフと言うよりも
初心者マークのような感じにも見えます。
葉が青っぽくなることはあっても、
白く粉を吹くことはありません。
また茎も同様に粉を吹くことはなく、
少し赤みがかった黄緑色をしています。
orbifoliaやwebsteriana、decipiensと比べると、
camphoraやポポラスはそこまで頻繁に
ハートリーフを生成するとは限りません。
camphoraは良くポポラスと比較されたり、
ポポラスと間違えられることがあります。
ところが白みの強いポポラスと比べると
camphoraは幾分地味な葉色になります。
またcamphoraのような縦長のハートリーフよりも
ポポラスのような少し幅のあるハートリーフの方が好まれるため、
どうしても外観ではポポラスには一歩及びません。
camphoraの方が勝っている点を挙げるなら、
万能で強健、育てやすいというその性質と
ポポラスよりもかなりコンパクトで
脇芽を出しやすい性質を持っているという点です。
前述した通り、一部Tree型になる個体もあるものの、
ほとんどのcamphoraでは
10m程度までのMallee型(灌木型)へと成長します。
10mというと相応な大きさにはなりますが、
それでもpulverulentaなどよりも少し小さなサイズなので、
実際に鉢植えで管理しやすいユーカリということになります。
Malleeという性質が強いため、
株元からたくさんの脇芽を出す性質が強く、
個体によっては樹形がかなり暴れることもあります。
またその樹皮はねじれて
どんどんと剥がれて行くタイプですので、
最終的には白っぽくスッキリした外観になります。
その他にcamphoraの魅力を挙げるとすると、
成長が進んでもあまり葉の形に変化がないという点です。
ポポラスの場合はある程度の樹高にまで育つと、
ハートリーフではなくなり、
槍の先のような葉へと変化します。
ところがcamphoraは、
少し葉が細長くなることはあるものの、
あまり大きな葉の変化は起こらないようです。
また比較的低樹高での開花も目指せると思います。
花自体は白いスタンダードなユーカリの花ですが、
たくさんの花を咲かせてくれるようです。
camphoraの育て方についてですが、
とにかく育てやすく、万能で強健なユーカリです。
英名にスワンプとあるように
完全な湿地帯生息種になりますので、
水に浸かった土壌での栽培も可能となり、
事実上、過湿による根腐れ知らずです。
またあくまでもユーカリの中では...ですが、
耐陰性もかなり高い方になりますので、
半日陰程度の場所でも経過は良好です。
用土や環境、水分管理に寛容で、
かなり強健なユーカリになりますので、
初めてユーカリを育てる人でも
あまり気にせず簡単に育てることができます。
ただcamphoraはかなり冷涼な地域出身のため、
大阪などの暖地の暑さはあまり得意とは言えません。
成長のメインの時期はかなり涼しい季節中心で
夏場は成長が緩慢になるか、ほぼ完全にストップします。
毎年春に新芽の出る時期もかなりの早春で、
まだ寒さがかなり残っています。
その時期になると黄赤みがかったたくさんの新芽を出します。
この新芽を出す時期と新芽の色と形状により、
ポポラスとの明確な識別が可能になります。
高温障害の症状が出ることはほとんどありませんが、
camphoraを暖地で管理する場合には、
ある程度、用土の排水性を確保しておいた方が、
夏場の根の蒸れなどを防ぐことができます。
東北などの冷涼な地域で栽培する場合には
その本領を発揮して、ほぼ怖いもの知らず、
枯れる気のしないユーカリになると思います。
実際に東北でcamphoraを栽培している方の話では
すこぶる調子が良いと聞いています。
耐陰性が高めとはいっても、
もちろん直射日光に当てて育てた方が
明らかに健康で丈夫な株へと育ちます。
室内での管理はできません。
湿地帯生息種というとかなりの水食いで
水切れに注意という品種が多くなります。
このcamphoraもかなりの水食いで、
夏場などはほぼ毎日の潅水が必要になります。
ただその他の湿地帯生息種のように、
水切れ耐性が際立って低いということはなく、
ある程度の乾燥に耐える力も兼ね備えています。
実際にcrenulataなどの
水切れ耐性の低い湿地帯生息種と同じように、
水を与えまくりの状態でも育てられますし、
cinereaやperrinianaなどの
平均的な吸水量のユーカリと同じ水分管理でも
問題なく育てていくことができます。
ただし、タネから栽培する場合には、
育苗初期の段階に限り、
ある程度乾燥気味の管理を行う必要があります。
この段階で乾燥気味の管理を行わないと、
根張りがほとんど進まずに、いつまで経っても
成長が進まなくなることがあるからです。
ただ多くの方はcamphoraの苗を購入されると思うので、
ほとんど心配するようなポイントはありません。
ある程度の樹高で根張りの進んだ株の場合、
あらゆる環境に合わせて元気に育ってくれます。
camphoraの耐寒性についてですが、
これもポポラスに大きく勝っています。
-14℃程度までは容易に耐えることができ、
栽培環境等により耐寒性の上がった株では
-15℃以上の環境でも生き残ったという実績があります。
camphoraはユーカリの中でもかなり耐寒性の高い品種です。
ポポラスの場合、耐寒性は-8℃程度です。
これは東北の寒い場所では栽培が難しい場合もあります。
またヨーロッパやアメリカ北部などの寒い地域では
ポポラスを屋外で栽培することはできません。
ところがcamphoraであれば、
東北以北でも屋外で栽培することが可能で、
世界的にも栽培できる地域が多くなります。
実際にポポラスは海外では
かなり暖かい地域のユーカリという認識で、
万能なcamphoraはポポラスと同等以上の人気があります。
冬場にはある程度の紅葉は起こりますが、
あまり目立った葉痛みは起こりません。
ただし冬場は乾燥気味に管理した方が
明らかに葉を綺麗に保つことができます。
半日陰以下の場所で育てた貧弱な葉の場合、
冬の寒風で激しく葉が傷むこともありますが、
早春にはたくさんの新芽を出して復活してくれます。
気になるcamphoraの香りについてですが、
精油成分に多量の樟脳を含んでいるため、
シネオール中心のユーカリに比べると、
若草の香りと共に、爽やかで少し甘みのある
スッとした香りがします。
実際にクスノキの葉をクラッシュしたときの香りと
ほぼ同じといっても良いでしょう。
シネオール中心のユーカリの場合、
かなり薬用系の生臭い香りが強いのですが、
camphoraの場合、とにかく穏やかで、
ガツンとした感じはほとんどありません。
香り自体は弱い方ではないのですが、
そこまで香りを強く感じることはありません。
もしかすると香りを楽しむユーカリとしては
若干弱いと感じられるかもしれませんが、
香り自体は誰もが好きになれる爽やかな香りです。
日本では比較的手に入れやすいcamphoraですが、
どうしてもポポラスの影に隠れがちです。
ポポラスも特に栽培の難しい品種ではありませんが、
camphoraはさらに育てやすいユーカリで、
全く植物が初めてという方でも手が出せるレベルです。
とくに寒地でユーカリを栽培したい人には
最もオススメのハートリーフユーカリになると思います。
コンパクトで管理しやすいユーカリですので、
鉢植えでも育てやすく、庭木としても面白いかもしれません。
ぜひ一度camphoraを育ててみてください。
ユーカリの水分管理がうまくいかない人でも、
びっくりするほど楽に育てられますよ。
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<栽培難易度:A>
香良さ:★★★★
香強さ:★★★
成長力:★★★
要水分:★★★★★
耐過湿:★★★★★
耐水切:★★★
耐日陰:★★★★
耐移植:★★★★★
耐寒性:★★★★★
耐暑性:★★★
耐病虫:★★★★
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※A簡単~E難しい / A+...Aより少し難しい- # by eucalyptus_k | 2015-08-10 18:11 | ユーカリ紹介
ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その1
今日から私の育てている
全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いていきたいと思います。
ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。
他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。
■ Eucalyptus globulus ssp. globulus(グロブルス)
水食いで強健だが、暑いのはあまり好きではない。
ただ高温障害の出る程までに弱くはない。
日照が足りないと極端に生育が悪くなる。
例えば、葉の一部だけに日光が当たっていると、
その周囲の葉だけがやたらと大きく立派になる程である。
鉢植え管理でも激しい剪定を必要とする程の
基本的に枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:300cm / 鉢:スリット7号】
■ Eucalyptus globulus ssp. bicostata(ビコスタータ)
水食いで強健、私的にはグロブルスでは最も楽で育てやすい。
原種よりも暑さや日照不足に対する適応力が高い模様。
基本、水だけ毎日与えて放置でも全然問題ないが、
放置しすぎるとハダニが発生するのでたまに水をかける。
成長は激しいが原種程の暴力的な印象はない。
基本的に全く枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:250cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus globulus ssp. maidenii(マイデニー)
寒い季節や涼しい季節は放置気味だが、
かなり高温多湿に弱いらしく、梅雨時期や夏などは、
少し気にかけて、水分管理に気を付けている。
原種やビコスタータのように適当に管理していて、
一度150cm級を枯らせたので、グロブルスでは最も鬼門。
真夏の日光の激射を浴びると葉先が少しヘタることもある。
夏場はしっかりと頭で考えて水分管理を心掛ける必要がある。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus globulus ssp. pseudoglobulus(スードグロブルス)
置き場所が悪いので成長はあまり進んでいないが、
原種とビコスタータの間のような位置づけ。
暑さや空中湿度に対しては原種よりも強く、
ビコスタータ程は安心のできないレベル。
基本強健で放置でも問題ない。
ただししっかりと日光に当てないと成長は遅くなる。
葉色の緑が強く、あまり粉を吹かないのが特徴。
【樹高:100cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus cinerea(シネレア)
一般の御宅で屋外管理すると基本的には生育良好。
我が家では生育こそ良好で強健ではあるが、
置き場所が悪いので、夏場は葉が傷みやすい。
どちらかというと涼しい季節に良く日光に当てると良い感じ。
家では強健が故に辛い環境で育てられて見栄えはイマイチ。
葉を綺麗に保ちたい場合は、程良い日照と風通しの良さが大切。
水は思ったより吸わないなという印象。
今は枯れる気のしないユーカリの一つになっている。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus cinerea var. pendula(シネレア・ペンデュラ)
タネが希少なこともあって
少し気にかけているので、見栄えは悪くない。
基本定期的に水を与えるだけの管理で問題ない。
原種同様に過湿、日照不足にも強いので非常に楽な部類。
ただ原種に比べると過保護な管理をしている割には成長が遅い印象。
【樹高:60cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus pulverulenta ssp. pulverulenta(プルベルレンタ)
一般の御宅では生育が良好なことを考えると
我が家ではあまり良い状態とは言えない。
特に我が家の風通しの悪い高温多湿な環境が嫌いな模様。
手をかけて場所を改善すればもっと良くなると思われる。
用土や鉢、日照はそこそこ高いレベルを要求するので、
シネレアのように放置でOKとはまだいかない。
思い通りの樹形に育てるには恐ろしく難易度が高い。
【樹高:100cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus pulverulenta ssp. babyblue(ベイビーブルー)
以前は日照の悪いクーラー室外機の近くに置いており、
年中葉はボロボロで枯死寸前までいったので、
西AZのユーカリ並みの良い場所に移して手をかけたところ、
一気に葉が綺麗になって樹形も良くなってきた。
日照は半日陰程度でも良いので、
涼しく風通しの良い環境が最も大切。
環境さえ良くて少し手をかけてやればまだ楽な部類。
【樹高:60cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus polyanthemos ssp. polyanthemos(ポリアンセモス)
これもかなり強健な部類なので、
可愛そうな程、劣悪な場所に置いていて、
葉の状態はとても綺麗とは言えない。
ただ放置で全然育てられるレベル。
上の方の一部の葉には少し日光が当たるのだが、
その場所の葉は驚く程に立派で美しくなる。
用土の選別さえ間違わなければ、
ある程度の日照環境で放置でも問題ない。
暑さにはとても強いようで、
少し暑くなってからの方が成長が進む。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus polyanthemos ssp. vestita(ポリアンセモス・ベスティタ)
こちらは原種とは異なって、ある程度の環境に置いて
ある程度手をかけてあげないと一気に痛む。
また原種に比べると色々と病気にも弱い模様。
相応の場所で少しだけ水分管理に気を使ってあげれば、
特に問題なく、美しい樹形を維持できる。
少し我儘とは言えども他に比べると遥かに楽な部類。
高温障害の症状は出ないが、原種よりは暑さを嫌う。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus camphora(カンフォラ)
巷では生育良好で楽なユーカリというイメージだが、
かなり「純粋な暑さ」を嫌うイメージ。
春先の涼しい季節の生育は良好だが、
夏場は葉が汚くなって、成長が進まない。
耐陰性などの前評判はそこそこだったが、
我が家では少しは手をかけてあげないとしんどいレベル。
冬場以外の水遣りは表面が乾いたらの超級水食い。
水分管理はスルーで日照と風通しの工夫が少しだけ必要。
東北で育てている人は非常に生育良好との情報有り。
【樹高:50cm / 鉢:スリット6号】
■ Corymbia maculata(マキュラータ)
成長も早く、一般的なユーカリの管理でOK。
暑さや空中湿度、過湿に対する耐性は高いが、
寒さにはそこまで強くない(-5℃程度)。
クーラー室外機の側でも全然放置でOKだが、
ある程度の日照がないと成長が進まなくなる。
水切れにだけ少し気を付ければ非常に楽なユーカリ。
【樹高:170cm / 鉢:プラスチック6号】
■ Corymbia citriodora(レモンユーカリ)
クーラー室外機の間横でも生育は良好。
暑さや過湿に対する耐性はぴか一。
その代わり毛の生えている葉は冬場に激しく傷む。
日光はとても好きなようで、
これも日光の当たっている葉だけが大きく立派になる。
定期的に水さえ与えていれば完全放置でOKのユーカリ。
【樹高:300cm / 鉢:プラスチック7号】
■ Corymbia peltata(ペルタータ)
小型品種のためか成長は少し控え目。
ある程度の日光さえ確保できればとても楽なユーカリ。
これも日光が当たる場所の葉だけが極端に大きくなる。
レモンユーカリ程ではないが寒さは得意ではない模様。
樹高の割には水切れが激しいので、相当水食いのイメージ。
【樹高:45cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus staigeriana(スタイゲリアナ)
空中湿度や暑さには我が家では全く問題ないレベル。
ただし日照だけは少し大切で、日照が不足すると、
へなちょこな葉ばかりでうどんこ病が発生する。
以前は劣悪な環境に置いていたが、
最近は少しは日光の当たる場所に置いているので、
生育も良く、基本放置でOKなユーカリ。
日照以外では我が家の環境に適応していると言える。
樹高の大きさもあるが、水切れが非常に早いので、
旅行に行かせてくれないユーカリの一つ。
【樹高:200cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus muelleriana(ミューレリアナ)
暑さ、空中湿度、過湿に対して非常に強く、
寒さにも弱くないと弱点の見つからないユーカリ。
日照が良いと成長が激しすぎるので、
クーラー室外機の風をもろに浴びるような
劣悪な場所に置いているにも関わらず、
それでも成長は激しく、全く痛み知らず。
水切れが激しく我が家では間違いなくトップの水食い。
恐らく炎天下で育てるなら、一日何度も水がいるかもしれない。
現在予定はないが、鉢増しの際には、
かなり保水性の高い用土を使うつもりでいる。
【樹高:160cm / 鉢:スリット6号】
もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。
それでは、その2に続きます。- # by eucalyptus_k | 2014-08-22 14:24 | ユーカリ(栽培知識)
最近の近況
最近本当に冷えてきましたね。
こう寒くなってくると
ユーカリの世話もとても暇になります。
毎年冬になると同じ事を書きますが、
本当に私はユーカリ育成初期の頃、
冬に水をあげすぎていたんだなと反省します。
現在の水遣りは、
2mを超えるような水好きの品種では
週に1~2回程度を鉢の上から与えますが、
1m以内程度の乾燥を好む西AZの品種では、
週に1回程度、鉢底のスリットから水を少しかける程度です。
一部、根張りが良く、鉢が小さめの下記の品種に限り、
1~2週に一回程度、鉢表面から水を与えます。
■ 80cm程度のalbida
■ 120cm程度と150cm程度のorbifolia
■ 80cm程度のwebsteriana
■ 160cm程度のerythrocorys
■ 140cm程度のcaesia ssp. magna
■ 80cm程度のMoon Lagoon
■ 樹高50cmでも幅も50cmのplatypus
■ 樹高80cm程度のuncinata
これでも十分すぎるほどで
日照の悪い我が家のベランダの話ではありますが、
どれほど水を吸わないかが良く分かります。
比較的、耐寒性が高いと言われながら、
我が家では、毎年早いうちから葉が赤く染まり、
0℃程度でも結構葉の散っていた、
viminalis/nicholii/bridgesiana/neglectaなども、
水を減らしてからは、全くそのような兆候が見られません。
特にneglectaは最強クラスの耐寒性が特徴と言われますが、
東AZには珍しく、かなり乾燥に耐えることができるので、
乾燥した環境があってこその強い耐寒性のようです。
一方ではかなり冷涼地の湿地帯に生息している、
ovataやcamphoraなどは、本当に夏の調子はさっぱりですが、
この時期でも他と比べるとかなり早いペースで水を吸います。
我が家のovataやcamphoraはまだ樹高が60cm以下で
鉢はそこそこ大きめの鉢に植えているにも関わらず、
コンスタントに週一回程度の水遣りを行っています。
恐らくこれ以下でも問題なく生存できるでしょうし、
これ以上でも耐えることができるでしょう。
この2種に関しては、今の時期でも、新芽を吹くので、
思った以上に冷涼湿潤な環境が好きなようです。
もうユーカリを育て始めて5年近くになりますが、
最近になってやっと理解・納得のできた、
個々のユーカリの性質が本当にたくさんあります。
まだまだ勉強と経験あるのみですね!
寒い中、私はちょっと体調を崩し気味で、
記事の更新もかなり遅れ気味になっていますが、
皆さまは体調に十分気をつけて、
寒い日々を達者にお過ごしくださいね- # by eucalyptus_k | 2013-12-18 12:14 | ユーカリ(栽培実績)
タネ播きの適期・適温
最近色々とタネを播いていて
わかってきたことがあります。
当たり前と言えば当たり前なんですが、
ユーカリは様々な気候帯に生息し、多種多様ですから
それぞれの品種に最適なタネ播きの適期・適温があります。
良く最高気温が20℃を上回る季節が適期と言われますが、
これは全ての平均値のような感じです。
ちなみに私の環境でのお話ですので
ご参考までによろしくお願いします。
1. ニューサウスウェールズ州のユーカリ
------------------------------------------------------------
日本で良く見かけるユーカリが多い地域です
主なユーカリは下記の品種です。
cinerea/pulverulenta/bridgesiana/nicholii/polyanthemos
viminalis/globulus ssp. bicostata/scoparia/rubida
parvula/viridis/melliodora/sideroxylon/punctata
これらは一般的に良いと言われている季節で、
関西や関東の暖地ではゴールデンウィークが終わった頃、
もしくは9月下旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃を上回り、
最高気温が20~25℃くらいの季節です。
ただこのグループのユーカリは
比較的あらゆる気候帯に対応でき、
それ以降のさらに暑い季節や少し寒い季節でも、
ある程度の数を発芽させることも可能です。
ただ、もちろん冬季の屋外での発芽は難しく、
真夏の最も暑い時期には発芽率だけでなく、
発芽後の生育もイマイチになってきます。
2. ビクトリア州/タスマニア島のユーカリ
------------------------------------------------------------
ビクトリア州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
南部や南部内陸部のユーカリ、その他の地域の
高山生息種などもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
gunnii/archeri/globulus ssp. globulus/globulus ssp. maidenii
perriniana/urnigera/crenulata/glaucescens/camphora
aromaphloia/tenuiramis/risdonii/morrisbyi/cordata
delegatensis/smithii/cypellocarpa/ovata/pauciflora
coccifera/goniocalyx/sturgissiana/cephalocarpa
dalrympleana/dives/nitens/neglecta/nova-anglica
polybractea/radiata/regnans/subcrenulata
brookeriana/kitsoniana
どちらかというと、暑さに弱いユーカリが多いです。
これらは1のグループよりもさらに涼しい時期で
関西や関東の暖地では4月上旬くらいからと、
10月中旬~11月くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が10℃程度まで下がり、
最高気温が20℃いくかいかないかくらいの季節です。
グループの中でも色々と差があり、
例えば、globulus ssp. globulus/goniocalyxなどは
1のグループと同じように暖かい時期でも発芽率が良く、
逆にglaucescens/tenuiramis/risdonii/delegatensis
pauciflora/coccifera/dalrympleana/nitens/regnansなどは
気温が上がり過ぎると全く発芽しないこともあります。
これらの品種は真夏などにタネを播くと
全く発芽しないか、発芽しても極めて生育が悪く、
立ち枯れてしまう苗が多くなります。
また特に涼しい環境を好む品種では、
真夏にタネを播いても発芽は完全ゼロとなり、
10月に入り、忘れた頃に続々発芽し出す
といったようなことが起こります。
このグループのユーカリは、
冬季の室内で発芽を試みると、
極めて良い発芽結果が得られています。
冬季室内の温度や湿度の状態が
これらのユーカリの発芽に良く合っているようです。
ただし、そのような場合でも、
冬季室内で栽培し続けると、苗が徒長し、
生育が悪くなるので、ある程度発芽したら
とっとと屋外に出してしまう方が良いです。
※どれも耐寒性は高いので安心です。
一部の、特に高山部に生息し、且つ湿潤を好む
glaucescensやdalrympleana、nitensなどは、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
3. サウスオーストラリア州沿岸部のユーカリ
------------------------------------------------------------
アデレード周辺からカンガルー島付近に生息しているユーカリです。
主なユーカリは下記の品種です。
leucoxylon/cladocalyx/albopurpurea
fasciculosa/calycogona
これらは1と2のちょうど間くらいの季節で
関西や関東の暖地では4月中旬くらいからと、
10月上旬~11月初旬くらいの季節が最も最適です。
気温的には最低気温が15℃より低くなる日が何日かあり、
最高気温が20℃を少し超えるくらいの季節です。
このグループのユーカリは少し暖かい季節や、
さらに涼しい季節の発芽にも幅広く対応することができます。
ところが真夏にタネを播くと、発芽率こそ悪くないのですが、
その後の生育が極めて悪くなるという特徴があります。
また梅雨時期の育苗の調子があまり良くないので、
春は少し涼しめの時期に少し早めのタネ播きを行い、
秋は少し暖かめの時期にタネを播くのが良いです。
4. クイーンズランド州のユーカリ
------------------------------------------------------------
クイーンズランド州だけでなく、ニューサウスウェールズ州の
北部や北部沿岸部のユーカリなどもこのグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
citriodora/staigeriana/melanophloia/camaldulensis
maculata/muelleriana/tereticornis/robusta
grandis/coolabah
どちらかというと、寒さに弱いユーカリが多いです。
これらはかなり暖かく湿潤な季節を好み
関西や関東の暖地では5月下旬くらいからと、
梅雨時期~初夏と晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を超えだし、
最高気温が30℃に届くかどうかくらいの季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
逆にあまりにも温度が下がってきて、
最高気温が20℃を下回る季節になると
極めて発芽率が悪くなります。
これらのユーカリは一様に湿潤を好むため、
冬季の室内でもかなり良い状態で育苗できることがあります。
ただし、これは半日~終日直射日光の当たるような
明るい南側の窓辺限定でのお話です。
5. ウェストオーストラリア州のユーカリ
------------------------------------------------------------
西オーストラリアだけでなく、サウスオーストラリア州の内陸部、
ノーザンテリトリーの南部など砂漠地帯のユーカリなども
このグループに含まれます。
主なユーカリは下記の品種です。
全ての西AZのユーカリ/pachyphylla/gamophylla/gillii
leptophylla/socialis/oleosa/pimpiniana/gracilis
これらは最も暖かい季節を好み、
関西や関東の暖地では梅雨明け後の初夏から
真夏や晩夏の季節が最も最適です。
気温的には最低気温が20℃を完全に超えて、
最高気温が30℃を超えるような季節です。
一部の品種では、あまりにも暑い季節には
発芽率が低下するものもありますが、
基本的には真夏の半日陰での発芽も上々です。
西AZの沿岸部の非常に穏やかな気候の地域に属する
lehmanii/pleurocarpa/pachyloma/preissianaなどは
1のグループと同じ季節での発芽もOKです。
逆にrhodantha/macrocarpa/gamophyllaなどの
暑い砂漠地帯に生息するユーカリは
最低気温が25℃を超えるような暑い季節が最も良く、
1のグループのような少し涼しい季節には
発芽率がかなり悪くなります。
※特にrhodanthaは顕著です。
どれも乾燥を好み、梅雨時期の管理が困難なため、
私は梅雨明けと同時にタネ播きを開始しています。
今回は大雑把にグループ分けしたため、
かなりざっくりとした情報になっていますが、
実際にはそれぞれのグループ内でも
非常に微妙な差が発生しています。
タネ播きにチャレンジする方は
ぜひ参考にしてみてください!- # by eucalyptus_k | 2012-11-06 14:22 | ユーカリ(栽培知識)