ベランダでの蕾の近況まとめ
現在、我が家のベランダには
蕾を付けているユーカリがいくつかあります。
先日紹介させていただきましたが、
先行してcaesia ssp.magna/torwood
そしてdecipiens ssp. adesmophloiaが開花済みです。
今日はこれから開花を
期待できる品種についてご紹介します。
まず最も開花が差し迫っているのが、
ユーカリ中でも美しいピンク色の花が評判の
Eucalyptus torquataです。
もう蕾が真っ赤に色づいてきていて
数日後には開花しそうな勢いです。
良く見てみるともうキャップの外れた
開花寸前の蕾もあるようですね。
torquataは実家の庭では何度か開花していますが、
我が家のベランダで開花するのは今回が初めてになります。
恐らく次の開花情報は
torquataになるのではないでしょうか。
次はEucalyptus woodwardiiです。
woodwardiiは鮮やかな黄色の花を咲かせる品種です。
実は過去に何度も蕾が付いたことがあったのですが、
こちらの記事で解説しているように、
woodwardiiは非常に脆く折れやすいユーカリです。
そのためマンション高層階特有の強風により、
毎回全ての蕾が落ちてしまっていました。
ところが今回は蕾がたった一つだけ残っています。
春先にもかなりの強風が吹き荒れましたが、
この蕾は丈夫なようで、落ちずに成長を続けています。
ユーカリの中ではそれなりに大きな蕾です。
本来であれば蕾は4~7個セットで付くのですが、
他の蕾はすでに落ちてしまいました。
先端が尖り始めているので、
うまくいけば夏前には開花するでしょうか?
とにかく本当に脆いユーカリなので、
まだまだ蕾が落ちないように注意が必要です。
woodwardiiの先端部分を良く見てみると、
びっくりすることにたくさんの花芽が付いています。
woodwardiiの新芽は真っ直ぐに尖っているので、
この脇から出ているものは全てが花芽になります。
フルタイム直射日光の環境で栽培すれば、
恐らくこの花芽は秋頃に開花することになります。
ところが我が家のベランダでは日照不足のため、
この花芽が開花するのは、大きく遅れて、
年を越した後になる可能性が非常に高いです。
栽培環境のせいで、開花までに時間がかかってしまうのも
ベランダでの開花実現の難しさの一つになっています。
今年は例年よりも多くの花芽が付いているので、
できる限りたくさんの蕾を残したいものです。
次はベランダで毎年開花を続けてくれている
Eucalyptus pleurocarpaです。
pleurocarpaは株の先端部分に花芽を付けます。
蕾は白みが強くて、面白い形をしています。
またその花も存在感があって美しいです。
とにかくpleurocarpaはその外観も美しく、
非常に低樹高でも開花しやすいので、
魅力満点で人気のユーカリです。
開花の時期は初夏で、
大阪では6月下旬~7月くらいです。
次はpleurocarpaの兄弟分Eucalyptus extricaです。
こちらもベランダで毎年開花を続けてくれています。
extricaもpleurocarpaと同様に
株の先端部分に花芽を付けます。
ところが以前は同じ品種として扱われていた
pleurocarpaとは全く異なった形状の蕾を付け、
異なった花を咲かせます。
色も形状もサイズもpleurocarpaより遥かに質素で、
花も咲いているのに気づかない程に小さな白い花です。
extricaのような小さな白い花は
ユーカリ全体でのスタンダードな花といえます。
開花の時期はpleurocarpaと同じ初夏になります。
最後は激レア品種のEucalyptus pimpinianaです。
このユーカリは恐らく日本では初栽培では!?
と考えられる程の激レアローカル品種です。
何とその樹高は1m程度でツツジのような
Shrub型(茂み状)に育つユーカリです。
とにかく非常にたくさんの花を咲かせる品種なので、
最初はびっくりするほどに大量の花芽が付いていました。
ところがマイナーなローカル品種で
且つ砂漠地域出身の品種のため、
日本では気候が合わないからでしょうか?
なかなか花芽の生長が進まずに、
ようやくここまで大きくなってくれました。
うまくいけば初夏~秋口に開花するかもしれません。
初めて花芽が付いたのが昨年の初夏なので、
実に一年近くも開花せずに細々と成長を続けていました。
最初にあったたくさんの花芽は、
マンション高層階特有の強風により、
その数をかなり減らしています。
また写真を良く見てみると、
本来8個セットで花が咲くはずなのですが、
いくつかの蕾が取れてしまった後があります。
文献によると開花時期は初夏か秋口のようなので、
何とか今年度中に開花を実現させたいものです。
花自体は黄色の花が咲くようです。
今年も嬉しいことにたくさんの蕾が付いています。
恐らくtorquataは間違いないでしょうが、
その他の蕾も無事に開花してほしいものです。
やっとマトモに花が咲くようになってきた
ユーカリの薫るベランダでした- # by eucalyptus_k | 2015-05-27 15:03 | ユーカリ(花と蕾)
寒波を乗り越えたユーカリたち
昨晩の冷え込みは凄かったですね!
日本で有数の暖地である大阪でも
私の住む市の最低気温は-2℃程になりました。
私はその市の中でも最も京都よりに住んでおり、
場所は一級河川のすぐそばで
マンションの12階になりますので、
昨晩の最低気温は-3℃を越えました。
そして何よりも厄介だったのが、
ビル風によって強化された寒風による暴風です。
マンションのロータリーでは
何十キロもあるような看板が
簡単に倒れていましたし、
12階では正直、中規模の台風クラスの
暴風が吹き荒れていました。
もちろんここまでの暴風は予測していなかったので、
何鉢かは転倒していましたが、
先年のレイアウト変更で、転倒はしても、
絶対に台からの転落はないようにしていたので、
表層部の土が少しこぼれた程度で済みました。
結果的に転倒による被害は、ベランダの掃除
という面倒を引き起こしただけでした。
ベランダには様々な置き場所があります。
特に小さな苗などは、日照を確保するために、
全く寒風を凌げず、暴風吹きっ晒しの場所にあったので、
その幼さもあって、ある程度の被害が出ました。
まずtereticornisです。
このユーカリはオーストラリアでも
比較的暖かい、沖縄のような気候の地域出身のため、
耐寒性は大したことがありません。
大きな株や樹木になったものであれば、
大阪の冬で枯れることはまずありませんが、
それでも結構な葉痛みを起こします。
この2苗は見るも無残な姿になっており、
用土もカチカチに凍結して盛り上がっています。
既に見る影もありませんが、
昨晩の寒波を向かえる前には、
大きな葉が立派に生えそろっていました。
特にこの右側の苗の方は、
葉の大部分が吹き飛ばされていて、
このまま生き残るか微妙な状況です。
元々強健な品種のため、
暴風吹きっ晒しの場所の置きっぱなしでしたが、
移動させておけばよかったかなと少し後悔しています。
今後は寒風をしのげる場所で養生させる予定です。
次はpreissianaの苗です。
これもかなり傷んでいて、
緑の葉もカリカリになっていますが、
恐らくこの程度であれば大丈夫でしょう。
写真を撮っている苗置き台は
かなり寒さをしのげる場所にあります。
この傷んだ苗は、寒風吹きっ晒しの場所から
苗置き台に移動させて写真を撮っていますが、
この苗容器の右手一番後ろにある
緑鮮やかな苗も同じpreissianaです。
この小さなポットのpreissianaは、
ずっとこの場所に置いていました。
人間にとってはどちらも極寒の場所ですが、
寒風をしのげるかどうかで、
こうまで状態が変わってきます。
軒下に移動させることの効果が
目に見えてわかる実例です。
preissianaの用土も凍結していますが、
元々耐寒性の弱いユーカリといわれている割には、
tereticornisよりも遥かに善戦してくれました。
次はどうしても葉の散ってしまう
woodwardiiの葉です。
こちらの記事にも書いていますが、
本当にwoodwardiiは脆いです。
何か作りが柔いというか、
もろもろしていて、弾力性がなく、
すぐに折れてしまうのです。
寒さではなく、昨晩の強風にあおられて、
いくつかの葉が折れて取れてしまいました。
揺れ動かないように
かなりガチガチに固定していても、
他のユーカリの葉が当たったり、
単純に暴風に吹かれただけでも、
このように葉が取れてしまいます。
正直寒さに対してはかなり頑張ります。
昨晩くらいの温度では全然問題ありません。
ところが風にはめっぽう弱いので、
あらゆる状況で退避の優先順位が高いです。
毎年いくつか蕾が付きますが、
春や冬の強風で大体葉と同じように取れてしまいます。
現在も一つだけ蕾が付いていますが、
これは何とか落ちずに耐えてくれました。
これからのさらなる寒波による強風や
春一番に耐えることができるでしょうか。。。
ちなみにこのwoodwardiiは
ユーカリ中でもかなり香りの強いユーカリです。
このように取れた葉は少し揉んでから、
生ゴミ用のゴミ箱に入れて置くと、
その悪臭が完全に消臭されて
ユーカリの香りに変わります。
次は打って変わって寒さに強いユーカリたちです。
まずは我が家でも耐寒性トップクラス、
昨晩程度の寒波などものともしない
希少種のvernicosaです。
最も寒い場所に置いていて、
用土は完全にガチガチに凍結していますが
わずか数センチの苗が葉痛み完全ゼロです!
これでもし水浸しだったとしても全然大丈夫です。
少し葉先が赤いのは
夏場に傷んだものですので、
本当にこのユーカリの耐寒性は凄いです。
ちなみにvernicosaは非常に成長の遅い
超小型品種なので、この樹高であっても、
根はほぼパンパンになっています。
既に来春には5号鉢に植えかえようかな?
という状態ですので、
本当に色々と変わったユーカリです。
そして耐寒性最強クラスの評判を持つ、
pauciflora ssp. niphophilaの小苗です。
これも最も寒い場所に置いています。
わずか2センチ程度の幼苗で
用土は凍結していますが
これも全く問題のない状態です。
pauciflora系のユーカリは、
冬場に紅葉して色こそ変わりますが、
ほとんど痛みが出ることはありません。
逆に夏を乗り越えるのがとても難しく、
特にこのniphophilaは、私も一度しか
夏を乗り越えられたことがありません。
この幼苗も恐らく冬は問題なく越えられるでしょうが、
来年の夏が一番の山場になることでしょう。
次は寒さにはめっぽう強い
ツキヌキユーカリのperrinianaです。
我が家では毎年冬場に
葉が傷んだことは一度もありません。
逆に夏場は苦手で、
かなり風通しを良くしておかないと、
葉がどんどんと汚くなっていきます。
この株はTasmanian Formとして
品種管理されているタネ屋から購入したものです。
小ぶりな葉が冬場には純白~水色に変わるのも、
Tasmanian Formの特徴になります。
本当にperrinianaの葉は
冬にこそ美しく映えます。
最後は意外にも寒さに強いユーカリたちです。
まずは耐寒性に難ありとわれている
pleurocarpaです。
比較的寒風の直撃を受ける場所に置いていますが、
現在のところ葉痛みはゼロです。
pleurocarpaは育苗初期には
葉にたくさんの毛が生えています。
この毛の生えた状態のときには、
耐寒性が弱く、寒風で激しく傷みます。
ところが葉の毛がなくなると
このように耐寒性がぐんと増します。
先日、pleurocarpaの耐寒性について
お問い合わせがありましたが、
このように安心して冬を乗り越えられますよ。
この株は他のユーカリに比べて、
かなり乾燥気味に管理しているので、
その効果も加わっているのかもしれません。
次はmoon lagoonとalbidaです。
手前の葉の小さなものがmoon lagoon、
左上に見えている大きな葉のものがalbidaです。
moon lagoonは元々寒風に弱いと言われています。
我が家の株は150cmを越える樹高がありますし、
水切れギリギリにまで乾燥させて育てていますので、
その効果もあるかもしれません。
昨晩の葉痛みはほぼゼロという結果です。
albidaの方は正直かなり耐寒性が高いです。
以前、家の最も寒い場所に置いていたことがありますが、
わずか10cm程度の幼苗でも問題なく越冬できました。
このように少し寒風をしのげる場所に置いている場合は、
葉痛みは全く起こりませんし、新芽が展開したりもします。
ただ冬季の過湿には弱いところがあり、
過湿気味に管理すると冬でも葉が散っていきますので、
その辺りは少し注意が必要です。
先述した小苗以外は
その他のユーカリにもほとんど被害なし、
寒さに弱いと言われるユーカリでも、
あまり大きな影響はありませんでした。
albidaの後ろから
少しだけ顔を覗かせているwebsterianaですが、
これは寒波の前日にたっぷり水を与えていました。
外観的にも全く問題ないレベルですが、
恐らくそのせいで少しだけ葉が傷みました。
前日の水遣りをもう少し待っていたら、
きっと葉痛みゼロだっただろうという感じです。
全体的に寒波の前日に水を与えていたかどうかが
葉痛みに最も大きく影響を及ぼしているように思います。
私は虫を飼っていることもありますので、
ほぼ毎日天気をチェックしていますが、
葉痛みを避けたい場合には、
毎日天気をチェックするのも良いかもしれませんね。
まだまだ寒くなることと思いますが、
皆さんも皆さんのユーカリたちも
達者に冬を乗り越えられますよう祈っています!- # by eucalyptus_k | 2014-12-18 16:31 | ユーカリ(栽培実績)
西オーストラリアのユーカリ栽培のポイント
一般的に西AZのユーカリは
日本と環境が合わないため、
栽培が難しいと言われています。
確かに中には少しのミスで枯死につながるものや、
毎年同じ時期になると調子を崩すものがあり、
安心して放置できないものが多いです。
日本との大きな環境の差としては、
●絶対的な降雨量に差があること(日本の1/6程度)
●夏が乾燥し、冬が若干湿潤であるということ
●日本のような年単位での寒暖差より一日の寒暖差が大きいこと
●降雨による水分よりも地下水を吸っていること
●土壌の養分が日本と大きく異なること(日本よりも貧しい土壌)
などが挙げられるかと思います。
同じユーカリと言うことだけで、
日本でありふれたgunniiなどと
同じように栽培しているだけでは、
確かにうまくいかないこともあるでしょう。
ただ一部の難しい品種を除けば、
後はその栽培方法にさえ慣れてしまえば、
そこまで難しいものばかりではありません。
私が勝手に感じている範囲で
西AZのユーカリにはいくつかのグループがあります。
それによって若干栽培方法が変わってきます。
あくまでも我が家の栽培環境による判断ですが、
西AZのユーカリの栽培ポイントについて記します。
※あくまでも鉢植えでの管理のポイントです。
ただしあまりにも西AZのユーカリの管理に慣れ過ぎると、
植物=乾燥を好み、肥料はほぼ不要となってしまって、
私のようにパセリを枯らすことになるかもしれません。
1. 半砂漠地帯に生息する強乾燥を好むグループ
-------------------------------------------------------------------------------
このグループのユーカリは、
最も日本と環境の差のあるグループです。
大体、難しい品種というのは、
このグループに含まれるものが多いです。
とにかく用土の選定を間違えると
難易度がさらに驚異的に跳ね上がります。
またものによっては、梅雨時期などは
雨を避けた方が良いものもあります。
○乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○用土は最も乾燥力の強いものを選ぶ
○真夏はほぼ一日で用土が全乾きするくらいの配合が良い
○この配合で朝に一日一回の水遣りで夏を乗り切る
○終日直射日光に当てて育てる、半日陰は苦しい
○暑く日照が良く、風通しの良い場所に置く
○冬場はほぼ断水に近いほどの管理を行う(月1~2回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○荒れ地に生息しているため高pHや多肥を嫌う傾向にある
○肥料はリン酸分を嫌い鉄分や亜鉛などを多く必要とする。
○室内管理は論外
macrocarpa/rhodantha/kruseana/campaspe/woodwardii
youngiana/gamophylla/gongylocarpa/tetraptera など
2. 非常に乾燥した半砂漠地帯に生息する強乾燥を好むグループ
-------------------------------------------------------------------------------
このグループのユーカリも、
最も日本と環境の差のあるグループです。
1のグループ程、激しい日光と高温を必要とはしませんが、
用土の乾燥力はさらに強化した方が良いものが多いです。
用土の選定を間違えると難しいところは同じですが、
日照よりも風通しに気を付ける必要があります。
高い空中湿度のある場所ではすぐに葉を散らせます。
多くの品種において、梅雨時期などは
雨を避けた方が良いものが多いです。
○乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○用土は最も乾燥力の強いものを選ぶ
○終日直射日光に当てて育てるのが良く、半日陰程度でもOK
○何よりも風通しの良い場所に置くことが重要
○ジメジメして人間が不快を感じるような高温多湿な場所を避ける
○梅雨時期の葉痛みはある程度の妥協が必要な場合もある
○夏場でもかなり水切れに耐えられるものが多い
○半日陰程度であれば夏場でも一週間程度持つものもある。
○冬場はほぼ断水に近いほどの管理を行う(月1~2回)
○冬場は底面吸水が良いが1ほどは気を使わない
○肥料は1ほど気を使わないが高pHや多肥は好まない。
○室内管理は論外
orbifolia/websteriana/gillii など
3. 平均的な西AZのユーカリに属するグループ(高温を好む)
-------------------------------------------------------------------------------
このグループのユーカリは、
平均的な西AZのユーカリ栽培方法で管理できる
最もスタンダードな品種です。
その中でも特に高温と日光を好み、
夏場に大きく成長を進めるものが多いです。
このグループのユーカリを入門編として
育てると良いと思います。
私のユーカリ栽培方法は
このグループのユーカリを最も中心に考えていて、
我が家でも調子の良い品種が多いです。
○育苗初期は乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○一度根をしっかり張ってからはある程度融通が効く
○用土はかなり乾燥力の強いものを選ぶ(粒状培養土系)
○根をしっかり張った後はそこそこ吸水量の激しいものもある
○終日直射日光に当てて育てるのが良い
○半日陰程度でも栽培は可能だが成長力はかなり悪くなる
○暑く日照が良く、風通しの良い場所に置く
○冬場はかなり乾燥気味の水遣りを行う(週1回~10日に1回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○肥料にはそこまでうるさいものは少ないが高pHは良くない。
○室内管理は論外
albida/pleurocarpa/extrica/dicipiens/torquata/torwood
caesia/forrestiana/pachyphylla/pluricaulis
salmonophloia/uncinata/dolichorhyncha など
4. 平均的な西AZのユーカリに属するグループ(穏やかな気候を好む)
-------------------------------------------------------------------------------
このグループのユーカリは、
平均的な西AZのユーカリ栽培方法で管理できる
最もスタンダードな品種です。
日光は特に好きな品種ですが、
どちらかというと涼しい季節に成長を進め、
盛夏にはあまり動きがなくなるものが多いです。
中にはあまりにも真夏の激しい日光を浴びると
少し葉焼けをするものもありますので、
半日陰強くらいでの管理が良いです。
その分、3よりも少し過湿に強いものが多いです。
このグループのユーカリも入門編として
育てると良いと思います。
私のように3のユーカリを基本に考えていると、
夏場は少し葉が汚くなることがあります。
○育苗初期は乾燥力を強化するため少し小さめの鉢で育てる
○一度根をしっかり張ってからはある程度融通が効く
○用土はかなり乾燥力の強いものを選ぶ(粒状培養土系)
○根をしっかり張った後はそこそこ吸水量の激しいものが多い
○春秋冬には終日直射日光に当てて育てるのが良い
○夏場は半日陰程度か少し遮光をした方が経過は良い
○風通しの良い場所に置くことは3に同じ
○冬場はかなり乾燥気味の水遣りを行う(週1回~10日に1回)
○置き場所にもよるが気温が20℃を切る頃からは底面吸水が良い
○比較的高pHに対する耐性の高いものが多い
○室内管理は論外
lehmannii/macrandra/erythrocorys/urna/grossa
accedens/crucis/lane-poolei/leptopoda など
4. 冷涼湿潤でかなり穏やかな気候を好むグループ
-------------------------------------------------------------------------------
このグループのユーカリは、
冬も夏も非常に温暖且つ涼しく、
少しぬるま湯的な環境で育っているものが多いです。
平均的な西AZのユーカリ栽培方法よりも
少し湿潤を好み、過湿耐性はそこそこです。
ところが高温多湿な環境をとても嫌い、
高温多湿が過ぎると、葉が激しく傷んだり、
菌類系の病気に悩まされることが多いです。
日照は半日陰程度で十分なので、
できる限り風通しの良い涼しい場所で管理します。
どちらかというと涼しい季節に成長を進め、
盛夏にはほとんど動きがなくなるものが多いです。
冬場もそこまで耐寒性の強いものは少ないですが、
寒くてもそれなりに吸水の進むものが多いです。
私のように3のユーカリを基本に考えていると、
夏場は少し厄介なところもあるユーカリです。
○育苗初期は湿潤に管理しても生育は良好(育苗は楽)
○初期の育苗はなるべく涼しい季節を中心に行う
○用土は排水性の良いものを選ぶ(夏を乗り切るため)
○根をしっかり張った後は吸水量の激しいものが多い
○春秋冬には終日直射日光に当てて育てるのが良い
○夏場は半日陰程度か少し遮光をして育てる
○何よりも風通しの良い場所に置くことが重要
○ジメジメして人間が不快を感じるような高温多湿な場所を避ける
○冬場は東AZのユーカリと同じような水遣りでOK
○肥料はリン酸分を嫌い高pHでは障害の発生するものが多い
○一部厳冬期の日中や夜間限定の室内退避は可能
preissiana/pachyloma/nutans/platypus/vesiculosa など
5. 例外-1(rudis)
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高い空中湿度に対する耐性もあり、
暑さに対する耐性も高いので、
楽な東AZのユーカリと同様に育てられます。
西AZのユーカリではありますが、
ユーカリ全体でもかなり育てやすい部類になります。
湿地帯生息種のため相当の水食いですが、
そこまで水切れが早いということもありません。
特筆すべきポイントは、冬の寒さには特に弱いので、
小さな間は0℃以下にならない場所に
退避して管理することが大切です。
※成長後は-5℃程度でも耐えることができる。
日照も半日陰程度で育てられます。
また高pHに対する耐性も高く、
用土を酸性にする力が強いので、
アルカリ土壌の改良にも使用されるそうです。
5. 例外-2(moon lagoon)
-------------------------------------------------------------------------------
半日陰程度の日照でも育てられます。
また過湿に対してもかなり高い耐性を持っています。
かなりの水食いで水切れに気を付ける程ですが、
排水性の高い用土を好みますので、
ある程度乾燥気味に管理した方が生育は良好です。
特筆すべきポイントは
ユーカリには珍しく高pHと多肥を好みます。
肥料をたくさん与えないと生育が悪くなり、
与えれば与える程効果が表れてきます。
そして最後に総括です。
■用土
最も重要な要素の一つです。
この選定を間違えると難易度が跳ね上がったり、
根本的に栽培が不可能な場合があります。
置き場所や栽培環境により左右されますが、
下記が一般的にオススメの用土です。
○ゴールデン粒状培養土 観葉植物用などの粒状培養土
1や2などの強乾燥を好む品種では、
ここに鉄分が豊富な桐生砂、岡山土などや、
ゼオライト、日向土、軽石などを加えて乾燥力を強化する。
○自前でブレンドする場合
硬質赤玉土や硬質鹿沼土などをベースに使用するか
上記の岡山土や日向土などをベースに使用する。
赤玉土や鹿沼土は硬質のものを使用しないと
崩れて粘土化して逆効果になる。
※硬質と名の付くものは通常の2倍以上の価格がします。
○私のブレンド用土(参考)
硬質赤玉土...3
硬質鹿沼土...2
桐生砂...2
ゼオライト(クリノプチロライト系)...2
くん炭...1
■鉢
乾燥力の強いものが推奨です。
下からも乾燥が進むスリット鉢がオススメです。
陶器系のしゃれた鉢などはオススメできません。
また根張りを考えて縦に長いものが良いです。
テラコッタや素焼き鉢などもOKですが、
素材状菌類の繁殖が進みやすいようです。
※経験上経過がイマイチ
根が十分に張り切るまでは、
全体的に株に比べて少し小さめの鉢で栽培すると
格段に難易度が下がります。
この理由は単純に鉢が小さいと
用土量が少なくなるため、
根の行き届かない範囲の用土に
無駄な水分が残ることを防止できるからです。
■日照
一部の真夏の直射日光を避ける品種以外では、
在来の植物では信じられないほどに耐性があります。
特に葉の白い粉は日焼け防止の効果もあるので、
白みの強いものは激しい日光を好むものが多いです。
ユーカリはあくまでも樹木なので、
基本は花草よりも多くの日光を必要とします。
また日光は蒸散と吸水の少ない西AZのユーカリの
用土乾燥を促す効果もあります。
株だけではなく、鉢や用土にも良く日光を当てることで、
根の成長促進と乾燥力強化につながります。
これはかなり大きく成長に差の出るポイントです。
■風通し
全体的に風通しの良さは重要です。
特に東AZのユーカリと比べると大きく差の出るポイントです。
目安は気温自体は暑くても良いので、
人間が不快になるようなジメジメした空中湿度を避けます。
風が良く吹いて外でも涼しいなと感じる場所が良いです。
私がユーカリに適したような
湿度の低い国を訪れた際の経験談ですが、
気温が30℃以上あったとしても、
長袖の白い服を着ている方が涼しいのです。
このような湿度の低い環境がユーカリには最適になります。
また周囲に他の植物や壁などがない場所の方が
格段に風通しが良くなります。
ただし強風による転倒には注意が必要です。
■水分管理
西AZのユーカリ栽培を左右するとても重要なポイントですが
用土と日照、風通し次第では
そこまで気を使わなくて良くなります。
日本の多くの植物では用土表面が乾き始めたら
水遣りを行うという指標がありますが、
それでは少し多すぎるきらいがあります。
どちらかというと用土が中の中まで
ほぼ全乾きする寸前がベストな水遣りタイミングです。
このタイミングは本当に
置き場所や根の張り具合で大きく変わります。
例えば1のグループに属するmacrocarpaでも、
用土と鉢サイズが適切で真夏に直射日光下に置くことで、
ほぼ一日で完全に用土が乾くということになります。
逆に用土の保水性が高く、置き場所の日照が悪く、
根の張りも不十分である場合には、
真夏でも一週間経っても用土が一向に乾かないこともあります。
ユーカリ全般に言えることですが、
特に西AZのユーカリでは、
用土が良く乾き、良く水を与えるといったサイクルが
最も健康な株を安定して育てられる要素になります。
そのためには先述した通り、
用土と日照、風通しがキーになってきます。
■肥料
良くあるマグァンプなどの肥料は
リン酸分が多くなっています。
日本の多くの肥料は花を綺麗に咲かせるものが多いので
自ずからリン酸分が多めに設定されています。
オーストラリアの土壌にはリン酸分が存在しないため、
ユーカリにはほとんど役に立ちません。
品種によっては害にさえなる程です。
基本的に商用栽培でもない限りは
肥料を全く与えなくても栽培は可能ですが、
成長期の液肥などはある程度の効果が見込めます。
その際にはリン酸分が少ない肥料や
微量要素(鉄分など)が多いものを選択します。
我が家では根菜用のカリウム分の多い肥料なども
相応に効果が出ていることを確認しています。
また石灰や化成肥料を与えすぎると、
土壌のpHが上がって、アルカリ寄りになります。
そうなると鉄分欠乏の症状が現れることがあります。
一部、高pHを好むユーカリもありますが、
基本ユーカリは弱酸性~酸性の用土を好みます。
肥料の与えすぎによる高pHには注意してください。
まずは入門編と言われている西AZのユーカリを育ててみて、
西AZのユーカリの育て方に慣れることが先決です。
西AZのユーカリは外観の面白いものや、
美しい花を咲かせるものが多いので、
是非とも育ててみてください!- # by eucalyptus_k | 2014-09-01 17:02 | ユーカリ(栽培知識)
ユーカリ・ウッドワーディー(woodwardii)の蕾速報
先程、昼に観察した際に
思わぬユーカリに蕾ができているのを発見!
そのユーカリとはEucalyptus woodwardiiです。
まずは全体的な外観と蕾。
一番先についている小さな突起が蕾です。
まだとても小さなもので
じっくりと見てみないと中々気づきません。
反対側にもさらに小さな蕾が見えます。
woodwardiiは英名のLemon-Flowered Gumの通り、
真黄色の綺麗な比較的大きな花を咲かせます。
詳しくはこちらの記事に載っています。
こちらは参考の写真です。
我が家の株はそんなに調子の良い方ではないですし、
わずか40cmくらいの5号鉢に植わった貧相な株です。
正直この樹高で蕾が付いたのには
本当にびっくりしました。
今からですとうまくいけば
開花は来春になるでしょうか。
woodwardiiは管理のとても難しいユーカリで
冬の寒さにもあまり強くないですので、
ちょっと心配ですが、とても楽しみです- # by eucalyptus_k | 2013-07-24 16:28 | ユーカリ(花と蕾)
今年の冬季管理からわかったこと
初めに!
非常に遅くなってしまいましたが、、、
あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします!
今年はブログの機能追加と
それに関するトラブル云々に加えて、
年末年始のバタバタで、
記事の更新もままなりませんでした><;
季節は厳冬期に差し掛かろうというところですが、
今年は未だに温室を出してさえいません。
寒さに弱いユーカリを軒下に移動させたり、
後ろに下げるといったようなことも全く行っていません。
camaldulensis/robusta/melanophloia/rudisや
レモンユーカリといったような、
そこまで寒さに強くないユーカリは
既に真っ赤に紅葉しています。
ところが、
decipiens/kruseana/pleurocarpa/extrica
などの若干耐寒性に難ありの西AZのユーカリや、
耐寒性が未知数の新参のユーカリについては、
特に大きな葉痛みや、紅葉も起こっていません。
我が家で最も耐寒性に難のあるerythrocorysも、
成長が進んで、葉の毛がなくなり、
光沢のある葉へと変わったからでしょうか。
今のところ目立った痛みは出ていません。
このままいけそうな気もしているので、
今年は、まだしばらく、
温室や移動なしで行きたいと思っています。
今年の管理で、例年と大きく違うところは、ただ一つ!
ほぼ全ての株で、鉢の上からは全く水を与えていないことです。
寒さに強く、冬季の吸水もそこそこあるような、
globulus/risdoniiなどはその限りではありませんが、
特にmacrocarpaなどのユーカリでは、3~14日に1回程度、
ほんの数秒、鉢底のスリットから軽く水をかける程度です。
特に冬季の吸水が少ないユーカリにwoodwardiiがあります。
我が家のwoodwardiiは35cmくらいの樹高で、
スリットの5号鉢に植わっています。
これももちろん、鉢底のスリットからの吸水のみです。
試しに、用土全てがカラカラの状態のときに、
鉢底のスリットから5秒程度水をかけて、
そこから、鉢底のスリットから見える土が、
何日で乾くのかを実験してみました。
結果は、余裕で半月以上かかりました。
わずか5秒、鉢底から水をかけただけですから、
用土の表面は最初から最後までカラカラです。
60cmで6号鉢のkruseanaでも実験しましたが、
余裕で半月くらいは湿ったままでした。
これは、鉢底から見えるスリット付近の土だけの話ですから、
恐らく完全に水が切れて、枯れが出るまでには、
まだ何日も余裕があるものだと思います。
これらのユーカリが、
冬季はどれほど水を吸わないのかがわかります。
先年までの冬季管理では、最低でも半月に1度くらい、
鉢の表面からたっぷりと水を与えていました。
これでは正直少ないかなと思っていたのですが、
とんでもない話で、寧ろ多すぎたようですね。
今年、一切温室を使用していなくても、
ほとんど全てのユーカリに痛みがないのは、
この吸水量の調整の恩恵なのかもしれません。
吸水を減らし、乾燥気味に管理することで、
大幅に耐寒性を上げることができる。
この言葉の意味をようやく体感できた気がします。
一方で、冬季にこれらのユーカリを
常時、雨の当たる場所で管理するというのは
ちょっと難しいことなのかもしれません。。。- # by eucalyptus_k | 2013-01-05 19:38 | ユーカリ(栽培知識)