ユーカリ栽培で厳禁なコト その3(水分管理)
毎月たくさんのお問い合わせをいただきます。
その多くは栽培知識に関することであったり、
調子の悪いユーカリの改善策についてです。
ユーカリは栽培の難しい植物と言われることがあります。
確かに日本とは大きく気候の異なる
オーストラリアの植物なので、
若干癖のある部分もあると思います。
ただ大きく分けて3つのポイントにさえ気を付ければ、
特に難しい植物ではなく、その他の在来の植物でも
もっと難しいものはたくさんあると思います。
ただこの3つのポイントを抑えていないと、
なかなかうまくいかないことが多いです。
これからユーカリの栽培を始める方や、
ユーカリの栽培に苦戦している方は
この3つのポイントをチェックしてみてください。
3. 水分管理
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水遣りの問題というのは非常に難しい問題です。
実際に良くお問い合わせをいただくのは
ほとんどが水遣りに関連するお話ですが、
これはなかなか言葉や文章ではうまくお伝えできません。
私も初心者の頃、様々な先人にアドバイスをいただきましたが、
正直実際に水遣りを経験して、何度も失敗して、
それでも挫けずに何度も日課として水遣りを続けた結果、
近年やっと感じが掴めてきた感じです。
「水遣り三年」
という言葉があります。
水遣りは実際に三年程度の経験を積まないと
わからないというものです。
実際に水遣りの頻度や量というものは、
お育てになっている環境や
鉢・用土など全ての要素が絡み合って、
そこに気候が関わってきて、
初めてベストな状態が決まるものです。
例えばこのユーカリは
大体三日に1回の水遣りをしてくださいと言っても、
その通りきっちりと三日に1回水遣りをしていたら、
恐らく水切れか過湿で近いうちに枯れてしまうでしょう。
どれだけの日照があるのか?
風通しはどのくらい良いのか?
用土の質と量はどのようになっているか?
鉢の構造や材質はどうなっているか?
育てている場所の気候はどうなっているか?
そして今年の気候の特徴はどうなっているか?
雨は降ったか?降っていないか?天候はどうか?
最低でもこれだけの要素が関わってくるわけです。
例えば今週は三日で水を与えたけれど、
翌週は長雨が続いたので、
七日空けて水遣りをしたということもありますし、
昨年は非常に雨が少なかったので、
この季節の水遣りは大まかに三日に1回だったけれど、
今年は非常に雨が多いので、
五日に1回程度の水遣りが多かったということも起きます。
また全く同じ季節に同じ樹高・鉢・用土量の品種を
二つの異なる場所で育てた場合、
片方は一日1回の水遣りを要するのに対して、
もう一方では五日に1回ということもありえます。
結論として最適な水遣り頻度という部分では
アドバイスできることはほとんどありません。
今回の内容は主に水分管理の難易度を下げて、
効率良く水遣り方法を習得できるポイントになります。
まず1の「日照と風通し」、2の「用土・鉢」。
これを最善の状態に近づけることで
水分管理は格段に楽になっていきます。
とくに1の日照と風通しが最も重要です。
ユーカリの水分管理を考える上で
ユーカリの性質を知ることはとても大切です。
ユーカリの生息地は多岐にわたり、
日本より雨量の多い亜熱帯地域のユーカリもありますが、
日本で見かけるような外観の美しいユーカリは
乾燥した地域のユーカリがほとんどになります。
日本の2/3程度の雨量の地域や
凄いものでは日本の1/7程度の雨量の地域もあります。
ユーカリは在来の植物に比べると
一様に乾燥に強い植物ですが、
さすがに多肉植物のように水分を貯めこむ機構はないので、
ここまで少ない雨量の地域では
雨水だけで生存することはできません。
ユーカリの故郷であるオーストラリアの多くの地域では
このような乾燥した気候から慢性的な水不足にありますが、
少ない雨量とは逆に豊富な地下水を有しています。
このような乾燥地域のユーカリは
雨水ではなく、この豊富な地下水を吸って生きています。
ユーカリはとても根張りが強靭で、
根を真っ直ぐ下に伸ばす性質が強いものが多いですが
これはこの地下水を効率的に探して吸うためです。
雨水ではなく地下水を吸っているということは、
根の大部分は常に乾いた土壌内にあり、
地下水に到達した根の先端部分だけが
水分と接している状態ということになります。
この結果
ユーカリの多くは
根が長時間湿っていることを嫌います。
ユーカリの水分管理を考える上では、
どのくらいの頻度で水遣りをするのか?ということよりも、
どうすれば用土が早く乾く環境を作れるか?
ということを考えるのが最も重要です。
率直に湿潤を好むユーカリでも、
乾燥を好む砂漠地帯のユーカリでも、
盛夏には一日1回の水遣りを要する
という育て方が最もベストな状態と言えます。
実際に適切な環境で育てている場合は
盛夏にはほぼ一日1回の水遣りが必要になる
ということは覚えておいてください。
盛夏にも関わらず、用土が何日も湿っているようでは、
根本的に日照や風通し、
用土の質や量がマズイということになります。
実際に現地オーストラリアなどでは、
ユーカリの栽培には鉢底から吸水させる
底面吸水で栽培を行うことがほとんどです。
ただ湿潤を好む在来の植物では
底面吸水という方法はほとんど取られないため、
日本で底面吸水を効果的に行うためには
ある程度の器具や施設が必要になります。
実際にできる範囲としては、
鉢底をバケツの水に漬けるといった方法や
スリット鉢などの鉢を使用して、
鉢底のスリットから水を与えるという方法があります。
この方法は主に冬季などの吸水量の少ない季節の水遣りや
逆に一日1回以上の水遣りを要する際の補てんに効果的です。
ユーカリは乾燥を好む植物と言われます。
これは決して
「水を吸わない植物」であるということではありません。
どちらかというとユーカリの多くは
比較的良く水を吸います。
真実は
「ユーカリは用土が良く乾燥する環境を好む」
ということになります。
用土の表面がカラカラに乾いているからといって、
用土の内部まで乾いているとは限りません。
最初はこの感覚が非常に掴みにくいので、
用土の端の方を数センチ程度指などで掘ってみて
内部まで乾いているかをチェックする方法をオススメしています。
スコップなどであまり深く掘ってしまうと
根を痛めてしまうことにもなりますので、
あくまでも指や棒などで軽く掘って調べます。
これだけでもかなり鉢の内部の状態がわかります。
他には鉢の端に割り箸を刺して湿り具合をチェックする方法や
スリット鉢などを使用して、
鉢底のスリットから見える土の乾燥具合を見る方法もあります。
この方法だとチェックは比較的簡単です。
鉢底のスリットから見える土がある程度乾いていたら
水遣りをしても大丈夫という目安になります。
gunniiやcinereaなどの比較的難易度が低く
湿潤を好むというユーカリは、
この用土が長く湿っているという状態に
耐えることができるという力が強いということで、
macrocarpaやkruseanaなどの
難易度が高く過湿を嫌うというユーカリは、
この状態に耐える力が弱いということになります。
ユーカリの栽培が難しいと思うかどうかには、
純粋にその方の植物栽培のルーツも大きく関係しています。
例えば私のように植物のルーツが野菜という人間では、
植物=たくさんの水と肥料という固定概念があるので、
ユーカリ栽培に馴染むまでにはとても時間がかかりました。
一方では主にオージープランツを好んで栽培されている方の場合、
macrocarpaなどの比較的難易度の高いユーカリであっても、
対して困難だと思うことなく育てることができるでしょう。
結論として、
水分管理はご自身で経験して習得するしかありません。
そのためには何度か失敗することもあるでしょうし、
時には手塩をかけて育てた立派なユーカリが
いとも簡単に枯れてしまって悲しい思いをすることもあります。
それでも必ず続けていれば、日に日に感覚は研ぎ澄まされ、
まるでユーカリと話ができるかのように
水分管理のテクニックも向上していきます。
このテクニックを向上させるために、
下記の3つを気にとめていただければ、
少しお役に立つことと思います。
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ユーカリは水を吸わない植物ではなく、
用土が長い間湿っていることを嫌う植物である。
そのためにどうすれば用土が早く乾く環境を
作ることができるかを考える。
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鉢の中がどのようになっているか?に関心を持つ。
鉢の内部まで見ることはできないけれど、
出来る限りの簡易チェックを行い、
鉢の中の水分を何となくイメージできるように努める。
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気候や天気に関心を持つ。
人間の感覚は気温の変化に非常に鈍感。
朝の内寒くても昼が暑ければ暑い日であると認識する。
その日の気候や天気をチェックして、
その都度ユーカリの状態に目を向ける。
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決してガチガチに考えないでください。
この部分に少し気を留めていただくだけで、
水分管理の習得がとても早く進むと思います。
最初は少し大変なこともあるかもしれません。
特に拘る人には手間になるかもしれません。
でもユーカリはそこまで難しい植物ではありません。
どちらかというとご自身がユーカリの栽培方法に
慣れていないだけであることがほとんどです。
私が枯らせたユーカリの数は数知れず、
今でも枯らせることは多々あります。
それでもユーカリが好きなら、
何があっても挫けずにトライしてみてください。
きっと三年後には、ユーカリの栽培マスターに
なっていらっしゃることと思います。- # by eucalyptus_k | 2015-10-26 18:11 | ユーカリ(栽培知識)
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