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【品種別栽培ガイド-08】
ユーカリ・ビミナリス (Eucalyptus viminalis)

続きまして第08回目は
ユーカリ・ビミナリスです。

◎ユーカリ・ビミナリス(リボンガム)
【学名:Eucalyptus viminalis ssp. viminalis】
【英名:Manna Gum / Ribbon Gum / White Gum】
fancyboxビミナリス(Eucalyptus viminalis ssp. viminalis)の画像1

◎ユーカリ・ビミナリス(ラフバーク)
【学名:Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis】
【英名:Rough-barked Manna Gum】
fancyboxビミナリス(Eucalyptus viminalis ssp. viminalis)の画像2

【品種情報】
・Eucalyptus viminalis ssp. viminalis
最高樹高:40~90m前後(タスマニア生息種は特に大型)
樹形:Tree(木立)型
親葉への変化:槍型の細葉~柳型の長細葉へ変化
適合pH:弱酸性~酸性(5.0-6.0)

・Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis
最高樹高:10m前後
樹形:Tree(木立)型型、稀にMallee(灌木)型
親葉への変化:槍型の細葉~柳型の長細葉へ変化
適合pH:弱酸性~酸性(5.0-6.0)


【生息地情報】
・Eucalyptus viminalis ssp. viminalis
地域:New South Wale南東部、Victoria沿岸部、タスマニア中東部
夏季最高気温:最高値40℃、平均値26℃
夏季最低気温:最低値3℃、平均値11℃
冬季最高気温:最高値18℃、平均値11℃
冬季最低気温:最低値-9℃、平均値0℃
年間降水量:450~1350mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm

・Eucalyptus viminalis ssp. cygnetensis
地域:South Australia南東部~カンガルー島付近、
   New South Wale南西端部
夏季最高気温:最高値42℃、平均値25℃
夏季最低気温:最低値3℃、平均値12℃
冬季最高気温:最高値22℃、平均値13℃
冬季最低気温:最低値-4℃、平均値5℃
年間降水量:450~900mm
(参考)東京-約1800mm、大阪-約1500mm


【一般栽培情報】
・日照
終日直射日光が推奨。
半日直射程度ではかなりパフォーマンスが落ちます。
日照が悪いと葉が薄く小さくヨレヨレで貧弱になります。
そのような葉は酷い病虫害に悩まされます。
屋内管理は完全不可。

・水遣り
表面が乾いたらたっぷりというタイミングでは、
夏以外の季節は少し多すぎます。(用土・樹高による)
他の植物に比べると、遥かに乾燥を好みますが、
ユーカリに慣れている人にはそれなりに水好きな方です。
特に根張りのしっかりとした株では、
成長期の吸水量はとても激しくなります。

・用土
日照と風通しが良ければ、通常の観葉植物用土でも栽培可ですが、
パーライトや軽石、川砂などを混ぜ込んだ方がより良いです。
粒状培養土など乾燥力のあるものの方が育てやすいです。

・鉢
あまり問いませんが、根張りが非常に激しいので、
横広の鉢だと、パフォーマンスが非常に低下します。
できる限り、縦長で少し大きめの鉢を使用しましょう。

・肥料
あまり効き目はないですが、成長期などの液肥や、
リン酸分の少ない化成の置肥などは多少は効果あり。
全く与えなくても、十分に育てることは可能。
カルシウム分を好むため、貝殻由来の有機石灰は効果あり。
ただし与えすぎによるpHの変化には注意!

・植え替え
植え替えに対しての耐性は弱くはありませんが、
初心者はできる限り根鉢を崩さない方が無難です。
また、真夏・真冬の植え替えは傷みやすいので避けます。

・寄せ植え
後々の植え分けがとても困難になるため、
できる限り寄せ植えは避けた方が無難です。
また、根張りがとても激しいので、寄せ植えした花草を
早い段階で枯らせたり、生命力を奪うことがあります。

・病虫害
日照不足や生育不良により、
うどんこ病の被害が激しく出ることがあります。
雨のかからない場所では、ハダニ被害の激しい品種です。
風通しの良い場所で、日光を良く浴びた丈夫な株には
病気やハダニによる被害はあまり出ることがなくなります。
精油のシネオールが強いので、
その他虫害は全くと言っていいほどありません。

・地植え
非常に成長や根張りが激しく、
特にssp. viminalisは45m以上もの大木になる品種です。
余程の覚悟と場所がない限り、地植えは避けた方が無難です。
また、根張りが激しいため、家屋の傍に植えると、
家の基礎を傷つける可能性もあります。

・耐寒性
耐寒性はかなり高い方で、ssp. viminalisであれば、
地植えの成樹で-12℃程度と言われています。
生息地の都合上、ssp. cygnetensis
地植えの成樹で-7℃程度となっていますが、
関西や関東の暖地では余裕で屋外越冬可能です。

・成長力
鉢植えでも良く日光に当てれば、最高で年60~100cmほど。
地植えすると1年で簡単に人の背丈を越えてしまいます。
とても成長力は激しく、余程の覚悟がない限りは
地植えは辞めておいた方が無難です。
鉢植えでもとても激しい成長力を発揮し、
ハーブ利用にも事欠かないユーカリです。
ssp. cygnetensisは少し控え目になるはずですが、
苗木時点での成長力はあまり変わらず、2種ともに激しいです。

・開花
どちらも大型品種のため、
恐らく、数メートル以上という相応の樹高が必要かと思います。
最高樹高を考えると、ssp. cygnetensisならば、
2m程度での開花が見込める可能性はあります。
花は、白い小さな花がたくさん咲きます。
蕾は緑色が鮮やかで、比較的小さなサイズです。

・枯死の要因
ほとんどが植え替えの失敗、過湿による根腐れ、
夏場の根の蒸れによる急性根腐れ。


【季節の管理】
・春秋
最も良く成長するメインの時期。
良く日光に当てて、成長を促しましょう。
数日という単位でわかる程に激しく成長していきます。
日照が悪いと、成長は少し控え目になります。
日照不足になった葉は、
うどんこ病の被害が激しく出ることもあります。

・夏
最も枯らせることが多い時期。
比較的冷涼な気候出身のユーカリなので、
日本の高温多湿な夏は少し苦手です。
あまりに暑い場合には、新芽を中心に
高温障害の症状が出ることはありますが、
大きな被害につながることはありません。
ssp. cygnetensisはさらに冷涼な地域に生息しているため、
環境によっては、激しく葉痛みが出ることもあります。
また、水遣りは涼しい時間帯に行うようにして、
根が蒸れないように気をつけてください。
ssp. viminalisであれば、
春の間から良く日光に当てていた株は
真夏の西日でも葉焼けすることはありません。
ssp. cygnetensisの場合は、
少し遮光をした方が良い場合もあります。
最も暑い時期にはあまり成長が進まなくなります。

・冬
用土が全乾きするタイミングで水遣り。
後はひたすら放置するでOKです。
寒い場所では少し赤っぽく紅葉することがあります。
暖かい時期に比べると、思ったよりも水を吸わなくなるので、
冬場の過湿には十分に注意してください。
この時期に過湿にしてしまうと、
春になって一気にダメージが出ることがあります。


【特記栽培情報】
日光にさえ良く当てていれば、
勝手にどんどん育ってくれるという楽なユーカリ。
日光が足りないと少し病気がちにはなりますが、
それでもそれなりの成長力を見せつけてくれます。

まずは春と秋にふんだんに日光に当て、
丈夫で強い株と葉を育むことが第一です。
この時期に元気な葉をたくさん育てておくと、
一年中ほとんど心配することがなくなります。

とてもありふれたユーカリですが、
関西や関東の暖地などでは若干暑すぎる傾向があり、
夏場には、高温障害の症状や若干の葉痛みが出ることもあります。
また、雨の当たらない場所ではハダニの被害も激しく出ます。
ただ、春の間に元気な葉をたくさん生やした株には
あまり心配するようなことはありません。

ssp. cygnetensisについては、
暑さにさらに弱くなり、高温障害の症状が激しく出たり、
根が蒸れて枯れるという恐れが少し高くなっています。
ssp. cygnetensis暑さに弱いという認識を少し持って
少しだけ、デリケートな管理を行ってください。

根張りや樹高にもよりますが、
あまり十分に根の張れていない株は
涼しくなってからはかなり吸水量が低下します。
思った以上に乾燥を好む性質がありますので、
涼しくなってからの過湿には注意が必要です。

また、ssp. cygnetensis
原種よりも、少しだけ水分管理にうるさいところがあります。
基本的に、viminalisは成長が激しく、強健なユーカリですが、
ssp. cygnetensisを育てる場合には、
特にleucoxylonと性質が似ていますので、
少しだけ、デリケートな管理を心がけてください。

成長が激しいため、年に何度も剪定することになると思いますが、
剪定は春~初夏、秋口に行い、夏場や冬場の強剪定は避けましょう。
剪定には良く反応し、新芽をどんどん出してくれます。

また、大型品種で成長も根張りもとても激しいため、
どうしても鉢が飽和状態となり、
下葉が散る、葉数が少なくなるなど、
根詰まりの症状が早い段階で出ることもあります。

結果的には45mを超える品種なので、
大きく育てると言っても限界はあります。
そのような場合、どのように育てていくのかという問題は、
私にとっても、大きな課題になっています。

一つ、成長力を抑制し、根張りをコントロールできる
スリット鉢の使用は、とても効果的です。

オーストラリアの栽培指南書によると、
カルシウム分をとても必要とするユーカリだそうです。
特に、生息地が特殊なssp. cygnetensisは顕著です。
カルシウムが欠乏すると、葉の色素が抜けたり、
葉先に炭ソ病のような枯れが出ることがあります。

そのような場合は、貝殻由来の有機石灰などを適量補給します。
与えすぎると、用土のpHがアルカリ寄りとなり、
生育不良や他の要素の摂取障害に繋がりますので、
与えすぎには十分に気をつけてください。

過湿に対する耐性はかなりのものなので、
このユーカリを根腐れさせた経験がある場合、
ユーカリ栽培の水分管理を根本的に見直した方が良いでしょう。
※特に涼しくなってからの水分管理に注意。


※情報は適宜追加・変更します。

 
# by eucalyptus_k | 2012-10-26 15:07 | 品種別栽培ガイド
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