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ユーカリ栽培のポイント

今回はユーカリ栽培の参考になる情報を
少し書いてみたいと思います。

昨年は早春からうどんこ病や生育不良に悩まされましたが、
今年は全てのユーカリがすこぶる好調に育っています。
まだ春も早いうちから、どの品種もたくさんの脇芽を出して、
みてわかるほどに元気な状態です。

この昨年との大きな差は私の水分管理術の向上が
最も大きな要因といえるでしょうが、
スリットポットの導入と用土の工夫も挙げられると思います。

ユーカリを育てていて常に思うのは、
非常に乾燥を好む植物だなあということです。

ところがここで注意していただきたいのが、
乾燥を好むということは、
水を必要としないということとは全く別

ということです。

乾燥を好むということは、
用土が長い間湿っていることを嫌うということです。

この用土が長い間湿っていることを避けるためには、
鉢と用土と置き場所(植え場所)に工夫が必要なのです。

ちなみに日本で一番有名なgunniiですが、
これはユーカリの中でもかなり水を必要とする品種で、
水切れに対する耐性をほとんど持ち合わせていない品種です。
それでも日本の在来の植物や一般的な観葉植物に比べると
かなり乾燥を好む植物であるといえます。

日本で乾燥を好む植物というと
サンスベリアやサボテンなどの多肉植物が思い浮かびます。

多肉植物は自分自身に水分を蓄えることができるため、
用土が完全に乾いても、その水分で長く生きることができます。

ところがユーカリは自分自身に水分を蓄える力は強くないので、
どんなに乾燥を好むユーカリでも、用土が完全に乾くと、
容易に水切れを起こしてしまうことを忘れないでください。

<1. 置き場所(植え場所)の工夫>
はっきりいってこれさえ十分に満たすことができれば、
鉢や用土はどうでもいいほどに重要な要素です。

一般的にユーカリの栽培難易度は簡単で、
庭に適当に置いておけば大きく育ったという話を良く聞きます。
これはこの1の要素が十分に満たされているからです。

実際に相応の庭をお持ちであればこの1の要素は満たせます。
ところが人によっては十分な置き場所を
確保することが難しい場合もあります。
例えば、家のようなベランダでは
この置き場所を十分に確保することはできません。

それではどのような置き場所が良いのでしょうか。
それはズバリ下記の二つの要素に絞られます。
----------------------------------------------
●日光が一年中、終日で良く当たる場所
●風通しの良い場所

----------------------------------------------
なぜこの二つの要素が重要かというと、
用土を早く乾かすために乾燥力の強い環境を作り、
日光を良く浴び、高い土中温度を確保できるからです。

ユーカリは、在来の日本の植物よりも
遥かに激しい日光と高い土中温度を好みます。

そのため、ユーカリの室内管理は無理があります。
室内は日光量や日照力が弱く、
何よりも風の動きが少なすぎるために、
どうしても余分な水分を用土に残してしまいます。

はっきり言い切りますが、
ユーカリの室内管理は不可能です。
私でも室内ではうまく育てる自信は全くありません。

この置き場所という要素を満たせない場合は
次の2と3の要素でカバーする必要があります。

<2. 鉢の工夫>
環境以外で乾燥力を上げるためには
鉢という要素があります。

乾きやすい鉢といえば、まず、素焼き鉢です。
率直に素焼き鉢はユーカリ栽培には向いているといえます。

素焼き鉢のデメリットをあげるとすれば、
重いことと、場所をとること、耐寒性が落ちることです。
素焼き鉢は冬季に用土が冷えやすいため、
根がダメージを受けやすく、明らかに耐寒性が下がります。
特に耐寒性が微妙なdecipiensなどの品種には不向きですね。
また、室内に取り込むとカビの温床にもなりやすいです。

そこで、今流行のスリット鉢がオススメです。
特長である根のサークリングを防げる能力だけでなく、
底面にも大きな穴が開いているために、
底面からも用土の乾燥が進みやすいです。
また、低価格で薄く軽く、コンパクトで場所も取りません。

ただ、1の置き場所の要素が満たされ過ぎているような場合には、
品種によっては乾燥力が強すぎる場合もあります。
特に湿地帯に生息するようなユーカリでは、
乾燥力が強すぎて、少し生育が悪くなることもありますし、
水切れが早すぎて少し面倒なこともあります。
環境に合わせて適切な鉢を選択してください。

<3. 用土の工夫>
1が十分に満たせず、鉢も素焼きやスリット鉢は嫌だという場合、
この用土という要素でカバーすることが重要になってきます。

率直に市販の観葉植物用の用土では少し保水性が高すぎます。
自家製ブレンド用土が面倒くさい場合は、
粒状培養土として販売されているものが良いでしょう。

自家製でブレンドする場合には、
赤玉土をメインに鹿沼土、桐生砂、日向土などを加え、
くん炭やゼオライトまたはパーライトを加えるとなお良いです。

肥料分となる用土はあまり使わなくても良いです。
ユーカリは雑菌に弱いところがありますので、
堆肥分や腐葉土などは余り使用せずに、
品種によりピートモスで保水力を調整すると良いでしょう。

ちなみに私の自家製用土は下記の通りです。
非常に乾燥力が強いので参考になさってください。
---------------------------------------
硬質赤玉土(小粒)-5割
鹿沼土(中粒)-2割
桐生砂or日向土orパーライト-1割
くん炭-1割
ゼオライト-1割
ピートモス-品種により調整

---------------------------------------
この中でゼオライトについてですが、
ユーカリにはかなり有効な用土であると考えています。
実際に家ではゼオライトを配合した用土を使用しているユーカリは、
非常に根張りが良く、丈夫に成長している実績があります。

Osakano_Jieさんのレポートによると、
オーストラリアの土壌にはゼオライトが多量に含まれ、
ユーカリへのミネラル分補給に一躍かっているとのことです。

ゼオライトには大きく分けて2種類が存在します。
モルデナイト系ゼオライトクリノプチロライト系ゼオライトです。
前者のモルデナイト系は日本では比較的良く見かけるゼオライトで、
水質改善剤や根腐れ防止剤として
使用されている和製やアジア製のゼオライトです。
後者のクリノプチロライト系は北米産が多く、
アルカリ分の強いゼオライトです。

この2種類の中でオーストラリアのゼオライトにより近く、
ユーカリに有効であると思われるものは、
後者のクリノプチロライト系ゼオライトです。

ところがこのクリノプチロライト系ゼオライト
ホームセンター等では滅多に売っておらず、
主にネット通販で購入できますが、
少しレアなために、かなり高価になっています。
もし余裕のある方は、使用して損はないと言っておきます。

ユーカリには日本で販売されている
多くの肥料がほとんど効きません。
その中で有効な成分のみを
効率よく吸収させるのにもゼオライトが役立ちます。

<肥料について>
ユーカリには日本の多くの肥料がほとんど効かないといわれます。
肥料には大きく分けて、窒素・リン酸・カリウムの三種があります。
良く売っている化成肥料や液肥などを見ていただくとわかりますが、
リン酸分が最も多く、窒素がそれに次いで
多くなっていると思います。

この中でユーカリはリン酸を特に嫌います。
私が試してみた結果、窒素もそんなに与えない方がいいでしょう。
この中でユーカリに有効なのは主にカリウム肥料なのです。

ところがカリウム肥料は中々吸収されにくいようです。
それを効率よく吸収させるためにゼオライトが役立つようです。

私は化成肥料を置肥している程度であまり肥料分は与えていません。
プロのお話では有機肥料(鶏糞や牛糞)は効果があるようですが、
あまり鉢植え栽培では実用的ではありません。
※一部、多肥を好む品種も存在します(Moon Lagoonなど)


最後に、栽培難易度の難しいユーカリ、
簡単なユーカリがありますが、
この差は本当に水分管理の難しさに直結します。
難しいユーカリは過湿に弱く、すぐ根腐れするということで、
簡単なユーカリは過湿に耐性があり、
水分管理がアバウトでも丈夫に育つユーカリということです。

ユーカリはいきなり枯れることがあると言われますが、
ユーカリが枯れる理由の90%は過湿による根のダメージです。
1、2、3の要素をうまく工夫して
より良い栽培環境を実現してください。

用土の表面がカラカラに乾いていたとしても、
用土の中は湿った状態であることが良くあります。
慣れないうちは少し用土を指で掘ってみて、
用土の内部の状況を確認することも参考になるでしょう。

それでは、皆さんがユーカリを
楽しく育てられることを願っています。
何か質問があったら遠慮なくどうぞ^^

# by eucalyptus_k | 2011-04-09 23:41 | ユーカリ(栽培知識)
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