ユーカリ品種ひとくち栽培コメント その3
私の育てている全140種程のユーカリたちについて
ひとくち栽培コメントを書いています。
ただこれはあくまでも、
風通しや日照も悪い我が家のベランダで、
私のブレンド用土でスリット鉢で育てた場合の
私の個人的且つ直観的なコメントです。
他の栽培環境では良好なものもありますので、
あくまでも参考までにお願いします。
■ Eucalyptus aromaphloia(アロマフロイア)
環境さえ合えば、かなり成長の激しいユーカリ。
基本的にはブリジシアナと良く似た性質を持つが、
ブリジシアナよりもより涼しい環境を好む。
ただし高温障害にまで至ることは滅多にないレベル。
水分管理についてはシネレア等と同じで平均的。
半日陰以下でも栽培は可能だが、
葉がとても柔らかくなり、病気がちになる。
半日陰程度の風通しの良い場所で放置気味管理で問題ない。
学名のわりには香りはそこまで強くはない。
【樹高:70cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus glaucescens(グラウスセンス)
かなり涼しい環境を好むユーカリだが、
何よりもふんだんな日光が成長のキーになる品種。
初期の育苗は特に良く日光に当てて根張りを促進すること。
ある程度育ってからは水と日光さえ与えていればOK。
現地や他国のProv.(地域栽培種)が多数存在し、
それにより耐暑性などが大きく変わる。
高温障害の症状が出るものもあるが、
最もありふれたものはそこまで弱くはない。
暑い時期の吸水量はそこそこ激しいが、
夏場の過湿には少し注意が必要。
とにかく良く日光に当てることが重要。
日光が十分であれば真夏でもそこそこ動きがある。
【樹高:140cm / 鉢:スリット6号】
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus decipiens ssp. decipiens(ディシペンス)
色々と実験を行ってみたが、
西AZのユーカリの中ではそこそこの耐陰性があり、
半日陰程度でもそこそこ成長は良好。
だだ、菌類系の病気に非常に弱いので、
風通し良く十分な日光に当てて育てた方が健康な株になる。
良く似たオービフォリアやウェブステリアナとは異なり、
どちらかというとレーマニーやアルビダなどの
一般的な西AZのユーカリの管理を行った方が良い。
ディシペンス系の中では最もデリケートな感があり、
海外文献によると最も乾燥用土を好むとあるが、
個人的には風通しの良い場所で、良く日光に当てて、
乾燥気味の水分管理を行っていれば、
アルビダなどと同様に楽な部類になってきている。
【樹高:120cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus decipiens ssp. adesmophloia (ディシペンス・アデスモフロイア)
ディシペンスの中では最も青みの強い葉を持つ。
我が家では少し病気がちになってしまっているが、
それでもディシペンス系の中では強健な部類に属する。
ただ意外にも冬は葉が紅葉して、傷んで散ったり、
夏の日光が激しすぎると、
少し葉焼けを起こしたりということが起きるので
我が家では最終的に半日陰で風通しの良い場所に落ちついた。
年中を通して葉を綺麗に保つのは少し難しいが、
丈夫に育てるだけであれば、なかなかしぶとく強健なユーカリ。
【樹高:140cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus decipiens ssp. chalara (ディシペンス・カララ)
ディシペンスの中では茎や新芽の赤みや黄色みが強い品種。
少し後に育て始めたので樹高は低めだが、生育は良好。
これもアデスモフロイアと同じで、
我が家ではあまりにも強烈な日光に当てているよりも、
半日陰程度で風通しの良い場所に置いている方が経過が良い。
暑い季節でも結構動きのある原種とは異なって、
我が家では比較的涼しい季節に成長を進めている。
栽培についてはデリケートな部分はあまりないが、
以前複数株を育てていた際に、菌類系の病気が多発したので、
元々病気に弱い本種の中でもさらに弱いイメージがある。
ディシペンス系は風通しがとても重要だと考えている。
【樹高:50cm / 鉢:スリット5号】
■ Eucalyptus camaldulensis(カマルドレンシス)
我が家でも最も大きな樹高に育っているユーカリの一つ。
先日脚立に乗ってバッサリやったので少し樹高が下がったが、
元々はベランダの天井に頭を打って、そこから曲がって、
また1m弱ほど伸びていたので、4m弱にまでなっていたことになる。
とにかく、我が家ではほとんど日光が当たらない癖に、
ひと夏で1メートルはゆうに成長するという激しさ。
夏場は雨の降らない限り毎日の水遣りで、
冬場も表面が乾いているのに気づいたら水遣り。
水分管理をもっと真面目にコントロールすると、
さらに葉数が多くなって健康な株になると思われる。
一度かなり水遣りを忘れていたことがあったが、
水切れ耐性もそこまで悪くない様子。
現地では川の傍の湿地帯から乾燥地帯まで、
非常に幅広く生息しているのでかなりオールマイティ。
極端な水切れ以外では枯らせる気の全くしないユーカリ。
ユーカリの強靭さを最大限思い知らせてくれる。
【樹高:280cm / 鉢:素焼き5号】
■ Eucalyptus dives(ディベス)
ずっとうまくいかないなあと試行錯誤を繰り返していたユーカリ。
決して株の状態は悪くないのだが、初期に育て始めて、
もう何年も経つのに、剪定なしで未だにこの樹高止まり。
最近やっとわかってきたのは、かなりの日光好きということと、
大阪の気候とは根本的に合っていないということ。
結論として我が家では屈指の冷涼地を好むユーカリである。
3月下旬のまだ肌寒い頃から、5月の初旬の十分に暖かくなるまでの
この短い期間にのみそこそこ激しく新しい葉を出すが、
それ以外の季節は完全ストップと言える程に動きがない。
この成長期に日光が足りないと、これまた動きがなくなる。
我が家で数年も動きがほとんどなかったのは日照不足が原因。
最近はそのあたりを改善して、年々樹高を伸ばしている。
夏場は少し日陰においても、高温障害の症状が出る程。
吸水量は非常に少ない部類に入る半面、過湿耐性は非常に高いと思われる。
以前の置き場所が劣悪で、常に用土が湿っているという状態だったが、
それでもダメージなしで問題なく今に至っている。
【樹高:60cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus robusta(ロブスタ)
非常に美味なユーカリ茶葉を産するユーカリ。
湿地帯生息種のため、かなりの水食いで過湿耐性も高く、
用土が余程のベタ土でもない限り、
このユーカリを根腐れさせることはないと思われる。
そこまで水切れ耐性がないというわけでもなく、
あらゆる面で強健で非常に育てやすいユーカリ。
ただその成長力も激しいので小まめな剪定が必要。
我が家ではほぼ日光の当たらない場所に置いているが、
それでも相応に成長を進めている。
ただ良く日光に当てた方が葉色も良く、葉数も増える。
冬は葉が紅葉して痛むこともあり、あまり寒さには強くないが、
京都市内にたくさん植わっているので、そこまで弱くもない。
沖縄での栽培が非常に良好なので、温暖湿潤な気候に合っている。
【樹高:230cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus crenulata(クレヌラータ)
丸葉以外で際立って葉の美しいユーカリ。
かなりの過湿耐性を兼ね備えており、強健で育てやすい。
ただ反面水切れが早く、水切れで枯らせることが多い。
前評判では高い耐陰性とあったが、実際は微妙。
確かに日光のほとんど当たらない場所でも栽培できるが、
かなり病気がちになって葉も汚くなるので、
できる限り半日陰程度の日光には当てた方が良い。
夏でも寒いくらいの地域の湿地帯生息種だが、
大阪の夏でも高温障害の症状が出ることはない。
ただ冷涼多湿は大得意でも高温多湿は嫌うようで、
梅雨~夏場に風通しが悪いと、
葉の込み合った場所に枯れが出ることがある。
本種は元々たくさんの脇芽を出して葉数も多くなるので、
あまり動きのなくなる夏前に、少し葉をすいた方が良い。
【樹高:160cm / 鉢:プラスチック7号】
■ Eucalyptus ovata(オバータ)
Oval(楕円)の葉がそのまま学名になったユーカリ。
性質はカンフォラに良く似ているが遥かに日光好き。
当初湿地帯生息種ということもあって、
あまり日光の当たらない場所に置いていたが、
ほとんど成長が進まなかった。
そこで木漏れ日程度の場所に移動させたところ、
そこから急激に成長が進み始めた。
かなり涼しい季節に成長が進み、夏場は動きがないが、
暑さや激しい日光にも耐え、高温障害の症状は出ない。
さすが湿地帯生息種と言う感じでかなりの水食い。
そこそこ大型品種なので、東北などの冷涼地で育てると、
なかなかに激しい成長力を発揮すると思われる。
半日陰以上の日光があれば枯れる気のしないユーカリになる。
【樹高:80cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus sideroxylon(シデロキシロン)
これも非常に平均的な育て方をするユーカリ。
シネレア並みの平均的な水分管理で、相応の日光を必要とする。
日光が成長のキーで半日陰以上は必要。
寒さにはそこまで強くはないが、暑すぎてもあまり動きはなくなる。
だだし高温障害や葉の蒸れによる枯れはない。
個人的にはポリアンセモスと良く似ていると感じる。
ただしそれよりももう少し日光が必要になる。
リューコキシロンの隣で同じように育てているが、
それよりも暑さや病気に遥かに強いイメージ。
幼葉には二種類の異なるタイプが存在している。
一つは糸葉になるタイプ、もう一つは、
カマルドレンシスのような幅のある槍型葉になる。
【樹高:200cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus melliodora(メリオドラ)
現地での生息地が幅広いだけあって、
あらゆる面で強健でオールマイティなユーカリ。
我が家では最大級に劣悪な場所に置いているが、
それでも痛み知らずでガンガン成長を進めている。
暑さには相当強いようで暑さによる痛みは皆無。
また樹高もあるが初期からでも相当の水食いだった。
冬場は薄く紅葉して、少し葉を散らすこともあるが、
際立って寒さに弱いという印象はない。
日光は好きなので、良く当てた方が健康な株になる。
高い空中湿度に対しても強い耐性を持っているようで、
劣悪な場所の割には下葉の痛みもほとんどなく、
樹高のわりに残っている下葉の数が多い。
これもトップクラスに枯れる気のしないユーカリ。
【樹高:300cm / 鉢:スリット6号】
■ Eucalyptus dalrympleana(ダルリンプレアナ)
成長が激しくより水食いで暑さに弱いグニーというイメージ。
涼しい季節の吸水量と成長力はかなりのものがあるが、
夏場は高温障害の症状が出て、動きが皆無になる。
ただし水だけは夏場も激しく吸う。
涼しい季節の過湿にはグニー以上の耐性があるが、
一度暑い季節の日中に水遣りをして、
苗を全滅させたことがあるので、夏場の過湿には注意が必要。
毎年、春と秋にガンガン成長して、冬に葉を綺麗に保って、
夏に傷んで散らすというサイクルを繰り返している。
日光はかなり好きで、グニーなどよりも遥かに必要なので、
半日陰程度の日光が最低でも必要になる。
最近置き場所が悪すぎて、葉数が減ってきたので、
来春は少し良い場所で復活させようと考えている。
環境さえ合えば、成長も激しく強健なユーカリ。
【樹高:150cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus rubida(ルビダ)
パッと見はダルリンプレアナとほとんど区別がつかないが、
日光に良く当てることで、葉が丸くなり、白みが強くなる。
一方ダルリンプレアナは白みが出ることはない。
その性質もダルリンプレアナと非常に良く似ているが、
それよりも少し丈夫で暑さに強く水食いなイメージ。
ただ暑すぎると高温障害が少しだけ出るレベルではある。
総合的に見ると、成長が激しくより水食いなグニー。
夏場はダルリンプレアナほど葉が傷まないので、
あまり良い場所に置いていないが、
それでも汚くなる程の葉痛みは起こっていない。
春先の成長の激しさと比べると、夏場は全く動きがない。
環境さえ合えば、グニーよりも遥かに強健である。
【樹高:150cm / 鉢:プラスチック6号ロング】
■ Eucalyptus cephalocarpa(セファロカルパ)
何よりも日光が重要で、日光が足りないと成長が進まない。
最低でも半日陰以上の環境が必要になる。
シネレアにも似ているが、そこまで白みは強くはなく、
葉が分厚くなり、ネグレクタにも良く似ている。
実際はかなり冷涼地に生息しているユーカリなので、
少し涼しい季節メインで成長を進めるが、
高温障害や葉焼けは起こらないので、
夏場も激しい日光と風通し重視で管理をしている。
高温多湿はかなり嫌うようで、暑い中で空中湿度が高いと、
蒸れた葉がかなり痛むことになる。
吸水量は年中を通して、相応に激しい方で、
シネレアよりも吸水量は激しいように感じる。
過湿耐性はかなりのものがあるようで、過湿で傷んだことはない。
日光と風通しさえ確保できれば、かなり楽なユーカリ。
【樹高:70cm / 鉢:スリット5号ロング】
■ Eucalyptus nova-anglica(ノバ・アングリカ)
学名は少しカッコいいが、ニューイングランドの意味。
シデロキシロンのように二種類の幼葉が存在している。
一つはシネレアのような比較的丸葉に近い形の葉となり、
もう一つはビミナリスなどのようにかなりの細葉になる。
かなりの水食いで日光も大好きなユーカリだが、
冷涼地に生息しているユーカリのため、高温多湿を嫌う。
暑すぎても葉に高温障害の症状が出たことは一度もないが、
風通しが悪いと、夏場はかなり葉が傷むことになる。
場所があるのであれば、夏場も激しい日光に当てることで、
葉の白みがとても強くなり、かなり美しいユーカリとなる。
高温多湿を嫌う水食いなシネレアというイメージだが、
香りが強く、その香りの良さはシネレアを遥かに上回る。
【樹高:150cm / 鉢:スリット6号】
もし興味のある品種がありましたら、
ご連絡をいただければアップさせていただきます。
その4に続きます。- # by eucalyptus_k | 2014-08-27 13:05 | ユーカリ(栽培知識)
トラックバックURL : http://www.eucalyptus.jp/tb/337/