西オーストラリアのユーカリ入門編
日本では、ユーカリと言うと
gunniiやcitriodora、cinerea、
globulusなどが最もメジャーです。
また、日本で販売されているユーカリは
ほとんどが東オーストラリアのユーカリです。
東オーストラリアは、
シドニーやゴールドコーストなどがあり、
日本より乾燥こそしているものの
比較的湿潤な気候帯となっています。
そのため、日本でも比較的育てやすいユーカリが多く、
日光さえ十分であれば、比較的簡単に育てられます。
また、湿潤な気候柄、
大型樹木になる品種が多いのも特徴です。
これに対して、私が最近、凝っているのが、
西オーストラリアのユーカリです。
西オーストラリアは、沿岸部こそ湿潤ですが、
少し内陸に入れば、ステップや半砂漠地帯が広がっています。
そのため、非常に乾燥を好み、極度に過湿を嫌う、
少々我儘な品種が多く存在しています。
気温は寒くても-5℃程度までで、
夏は乾燥し、雨のほとんどは冬に降り、
雨量や湿度も日本より圧倒的に低くなっています。
そのため、気温や湿度の幅が広く、夏季が多湿な日本では
どうしても育てにくくなっています。
ところが、見た目がユニークだったり、
銀葉がとても美しかったり、魅力的なユーカリが多く、
全体的に藪状に広がる、小型品種がメインのため、
どうしても育ててみたくなってしまいます。
今日はそんな西オーストラリアのユーカリの
入門編に最適な品種をご紹介します。
何度か当ブログでも名前が出てきて、
切枝などでも有名なtetragona(テトラゴナ)というユーカリです。
ちなみにこのユーカリは現在はtetragonaという学名は返上して、
pleurocarpa/extricaという二品種に分けられています。
これらのユーカリは西オーストラリアのユーカリでは
比較的育てやすく、見た目も美しい品種です。
西オーストラリアのユーカリに初めてチャレンジする方は
まず、これらのユーカリを育ててみると良いでしょう。
自分の育てている環境や用土、鉢の質やサイズなどが、
西オーストラリアのユーカリに合っているかがよくわかります。
西オーストラリアのユーカリは、
ちょっと環境にうるさいところがあります。
土の排水性が悪かったり、鉢の乾燥力が低かったり、
鉢のサイズが大きすぎて、過湿気味になったり、
ユーカリと環境が合わないと、とたんに根腐れを起こします。
今年も西オーストラリアのユーカリをたくさん枯らせた!
という報告をたくさん頂きました。
その中の何名かの方は、水遣りに熟達しており、
水分管理をしっかり行っていたにも関わらずです。
その方々からお話を聞いたり、
写真を見せてもらったりしてわかったのは、
主に下記の要因によるものが大きいです。
1. 鉢が非常に湿気のこもりやすい材質だった
2. 用土の排水性があまり良くなかった
3. 鉢のサイズが株に対して大きすぎた
【1について】
この要因はある程度環境によってカバーできますが、
西オーストラリアのユーカリにはなるべく、
スリットポットや素焼き鉢、薄い材質のものなど、
乾燥力の高い鉢を使う方が無難です。
また幅広の鉢ではなく、
底の深い鉢を使うのが最適です。
【2について】
これは最も多かった要因です。
ポイントを下記に箇条書きにしてみます。
・通常の観葉植物の用土では保水性が高すぎる
・ホームセンターなどの花の土など論外!
・わからないならサボテンの培養土を使用した方がマシ
・排水性は鉄板でさらに乾燥力を強化(早く乾く土)
もちろん、これもある程度環境でカバーできますが、
一般の培養土ではどれも保水性が高すぎるようです。
市販の培養土なら、粒状倍用土が良いでしょう。
また、赤玉土を多様する園芸家が非常に多いのですが、
赤玉土はできる限り、高価で固いものを選びましょう。
通常の赤玉土ではすぐに砕けて、粘土状になってしまいます。
この状態になった赤玉土は最低最悪です。
また、ユーカリのように、
植え替え回数の少ない方が良い植物には
一般的な赤玉土は結果として不向きであると言えます。
私のところの培養土は乾燥力が異様に強力です。
これは決してベストな選択ではないでしょうが、
用土の乾燥力が高ければ、少々水を遣りすぎても
根腐れで枯れてしまうようなことはありません。
これは私が実験してみた結果です。
あるとても過湿にうるさいユーカリがあるとします。
これを保水性の高い用土に植えたとします。
土が全て乾くまで水遣りを制限して、
完璧な水遣りを行ったとします。
それでも、このユーカリは弱って枯れてしまいました。
要するにこの用土では、
どう頑張ってもこのユーカリは育てられないのです。
いくら水遣りを制限したとしてもです。
こんなこともあるということを覚えておいてください。
【3について】
これは私も初心者の頃は全然考えていなかったことなのですが、
鉢が株に対して大きすぎると、土の量もとても多くなるのです。
すると用土内に根が行きとどいていない場所ができ、
そこはいつまで経っても湿っているという状態ができます。
これは高い確率で根腐れを誘発します。
これも上記の実験と同じような実験を行いましたが、
ある鉢の大きさと用土の量では
育てられないユーカリというのがありました。
ユーカリを室内で管理すると
これと同様の状態になってしまうことがあります。
この辺りはもちろん、環境によっても左右されますから、
ご自身に最適な栽培環境とツールを見つける必要があります。
そのためにはpleurocarpa/extricaはとても最適です。
お花が1m以内で咲くというのも魅力ですね!
ただし、一つだけ難点があります。
これらのユーカリは小さな間は耐寒性に少し難ありです。
小さな間には、冬季は簡易温室などを利用すると良いでしょう。
大きく育って、葉の毛がなくなると、
-5℃くらいまでは全く大丈夫になります。
Eucalyptus pleurocarpa(テトラゴナ・シルバー)
全体的に白味が強く、葉先は丸くなります。
シルバーの名は葉ではなく、茎の白銀色のことです。
Eucalyptus extrica(テトラゴナ・グリーン)
シルバーよりも横に広がりやすく、葉先が尖ります。
グリーンの名は、茎が緑色をしていることによります。
手に入れたい方には
素晴らしい農場をご紹介します- # by eucalyptus_k | 2012-04-24 16:41 | ユーカリ(栽培知識)
ユーカリ育成ブログです。タネを輸入して150種以上のユーカリを育てています。 By eucalyptus_k
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