育てていてわかった!巷のユーカリ情報の真偽
そろそろ冬も本格的になり、
大阪でも5℃を切る寒さになってきました。
寒さに弱いと思われる品種や幼苗などは、
寒風を避けるためにホームセンターで販売されている
安価の簡易温室に入れるようにしています。
とはいえ、家のベランダは
風を通さない分厚い石壁で覆われていますから、
外気温よりプラス3℃くらいの暖かい状態になっています。
夏には日照不足を招くこの石壁も、
冬季には寒風を防ぐというありがたい役割を果たしてくれます。
冬季はユーカリの生育にストップがかかったり、
非常にスローになったりしていますので、
どうしても栽培レポート系のネタは少なくなってしまいます。
日本にはたくさんのユーカリに関する情報があふれています。
今日はその情報にズバッと鉈を入れてみたいと思います。
「ユーカリの香りは花粉症に効く」
日本で販売されているユーカリの多くはgunniiですが、
そのgunniiの説明やキャッチコピーでも良く見かけます。
花粉症に効く成分といえるのは、
厳密にはシネオールやカンファー、ピペリトンといった成分ですが、
gunniiは精油量が少なく、
これらの成分もほとんど含まれていません。
gunniiが花粉症に効くというのは明らかな過大広告ですね。
成分分析と実際に試してみた実績として有効だなと思うものは、
globulus/dives/cinerea/cordata/goniocalyx
などでしょうか。
「アップルボックスはりんごの香りがする」
「りんごを切ったような葉型なので
アップルボックスという」
上記は全て誰かが勝手に勘違いした内容です。
bridgesiana/aromaphloia/goniocalyx
などがアップルと言われますが、
これは全て樹皮がりんごの木のようであるからです。
ユーカリの名称は樹皮、木質、花、実に起因するのがほとんどです。
アップルボックスはりんごの香りはしません!
もろシネオール系の樟脳の香りがします。
敢えてりんごの香りに近いと言ってもよいユーカリは、
grandis/glaucescensなどが考えられますね。
「レモンユーカリの耐寒性は5℃~10℃以上必要」
最近色々試してみましたが、
25cm以上の苗で鉢植えであっても、
アロエ程度(0℃以上)の管理で十分野外越冬できますね。
ただし葉は少し赤くなって痛んだりすることはあります。
耐寒性については環境もあるので一概には言えませんが、
下記のことに気をつければ耐寒性0℃でいけるように思います。
●秋の比較的暖かい間から徐々に寒さに慣らせていくこと
●夜間の水遣りは避け、用土の凍結を防止すること
●寒い風が吹き抜けるような場所は避け、軒下管理推奨
意外に寒くてもちゃんと水はそこそこ必要なんですよね。。。
「ユーカリは水切れに強い」
こあら師匠もおっしゃっていますが、
逆に水切れに強い品種は非常に少ないです。
降雨量が日本の1/6程度の環境の植物だからそう思うのでしょうね。
現地では根を深く伸ばし、豊富な地下水を激しく吸い上げています。
よって寧ろ水は大好きな品種が多いですね。
ところが「乾燥を好む」というのは大正解です。
毎日土がカラカラに乾いて、毎日欠かさず水遣りをする。
そんな用土や環境が大好きということです。
逆に土が長期間湿っているという環境は大嫌いです。
「ユーカリには肥料が効きにくい」
これは厳密には正しい部分がかなりあると思います。
日本で売られている肥料はほとんどがリン酸の多いものです。
ところがユーカリはこのリン酸をほとんど必要としません。
これはオーストラリアの土壌には
ほとんどリン酸が含まれていないことに
起因するのではないでしょうか。
逆にカリ肥料を比較的必要とするようですね。
窒素については一般的な草木と同じレベル必要とします。
特に砂漠地帯や西AZ出身の品種については、
日本の肥料を与えすぎるとリン酸に当たることがあるようです。
「ユーカリはアルカリ性の用土を好む」
これはたまに育て方などで見かけることがありますが、
95%以上のユーカリが好む用土は弱酸性~酸性の用土です。
一般的に日本で販売されている用土なら、
pHの調整は特に必要ありません。
ところが中には一部アルカリ性を好む品種もあります。
家ではMoon Lagoonなどがそうですね。
他ではアルカリ耐性のある品種もいくつか存在しますが、
アルカリ性を好むというわけではありません。
「ユーカリは根から他の植物を枯らす物質を出す」
これはよく言われていますが、
科学的にそのような事実は一切ありません。
ただユーカリは非常に根張り能力が高く吸水能力も非常に高いです。
また、用土の養分を急速に消費し、
用土を酸性にする力が非常に強いです。
一般的に寄せ植えするような花の咲く植物は、
比較的アルカリ性を好み、根張りや吸水もデリケートです。
そのため、ユーカリと一緒に寄せ植えすると
全てにおいて負けてしまって元気を失うことがあります。
ユーカリは寄せ植えにはあまり向かない植物といえます。
他にも疑問に思うような情報があれば、
私のわかる範囲で鉈を入れていきます。
お気軽にお問い合わせくださいね。- # by eucalyptus_k | 2010-12-11 22:59 | ユーカリ(品種知識)
ユーカリ育成ブログです。タネを輸入して150種以上のユーカリを育てています。 By eucalyptus_k
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